ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ   作:夜鳥空

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 お天気が良くてもおうちにいるので初投稿です。



セッションその10-8

 あーあー、音声大丈夫です? 映像は乱れてません? こちらはちょうど今ボス戦が始まったところです。

 

 なんとかそちら(盤外)との回線は確保しましたけど、現地にいる太陽神さん以外は信徒(推しの子)に奇跡を送れない状態のままみたいですね……。

 

 たとえ奇跡が届かなくても、みなさんの想いは彼らに通じると思います! 是非応援してあげてください!!

 

 

 

 前回、吸血鬼侍ちゃんがうっかりしていたところから再開です。

 

 自分の正体を暴露され死んだ目になっていた状態から復活したのも束の間、昨年の収穫祭の時に太陽の直剣を剣の乙女に貸したまま忘れるという盛大なガバが発覚した吸血鬼侍ちゃん。オロオロするばかりの様子に溜息を吐いた賢者ちゃん。苦笑いを浮かべていた剣聖さんが一歩進み出て状況を動かしてくれました。

 

「ならば私が前に出よう。スマンが属性付与(エンチャント)を頼む」

 

「無いものはしょうがないのです。私たちと一緒に後ろから援護に回るのです」

 

 おお、賢者ちゃんが呪文を唱えると、剣聖さんの握る剣に勇者ちゃんや聖騎士さんと同じ太陽の輝きが宿りました! 二度三度と剣を振り満足そうに頷いた剣聖さんが、裂帛の気合いとともに眼前の大悪竜(オロチ)へと吶喊していきます。それを見送った賢者ちゃんがしょんぼりしている吸血鬼侍ちゃんを回収し、後方で待機していた女魔法使いちゃんのところまで下がっていきますね。

 

「おかえり。で、どうするの?」

 

「せっかく()()()がいるのです。まずは()()をするのが礼儀なのです」

 

「わかったわ。ほら、アンタも何時までもしょげてないで働きなさい」

 

「うん……」

 

 頭をぺしりとはたかれた吸血鬼侍ちゃん。気合いを入れ直して見つめる先は怪獣大決戦真っ只中の戦場。左右に並んだ2人に目配せをして、一斉に呪文の詠唱に入りました!

 

「≪ウェントス()≫!」

 

「≪ルーメン()≫……!」

 

「……≪リベロ(かいほう)≫!! せぇ~のっ!」

 

 杖を片手に複雑な呪印を結ぶ女魔法使いちゃんと賢者ちゃん。2人の身体から溢れた魔力が吸血鬼侍ちゃんの両手に集まり、万物の根源立つ原初の光が灯り始めます。組んだ手を開けば比例して大きさを増す光球。一抱え程になったそれを掴み、大きく振りかぶった吸血鬼侍ちゃんが勢いよく投擲しました!

 

「全員一時退避~!!」

 

「GYAAAAAAA!?」

 

 背後から迫る熱を感じた勇者ちゃんの号令で一斉に距離を空ける前衛。一番足の遅かった聖騎士さんが効果範囲から離脱した直後、後退する彼に追撃しようとしていた黒い首に≪核撃(フュージョンブラスト)≫が命中! もろに喰らった黒竜の首は悲痛な鳴き声を上げました。……あれ、後ろ3人がしかめっ面になってますね。どうしたんでしょう?

 

「あれ? あんまりきいてない?」

 

「……どうやら対策を取られて(メタを張られて)いたようなのです」

 

「へぇ……ムカつくわね」

 

 

 

「馬鹿め、貴様らの攻撃方法は既に入手済み。竜に万能属性が通じると思うな!」

 

「……DORARARARA!!」

 

 鱗の一部が剥がれ、焼け焦げているものの健在をアピールするように吠える黒い首。祠が怪しく脈動し、供給される魔力によってその傷も瞬く間に塞がってしまいました。先ほど聖騎士さんと狼が倒した白と緑の首も復活し、復讐に燃える瞳で一行を見下ろしています……。

 

 うーん、持久戦になればこちらが圧倒的に不利ですし、かといって押し切れるほどの戦力があるわけでも無し、困りましたね。太陽の直剣が無い吸血鬼侍ちゃんでは弱点をつけないですし、頼みの綱だった分割詠唱が使えないと女魔法使いちゃん自身の火力は物足りません。≪火矢(ファイアボルト)≫にせよ爆発金槌にせよ、火属性が無効化されそうな首も何本かありますからねぇ。……お、ちょっと考え込んでいた吸血鬼侍ちゃんが顔を上げ、2人に声をかけてます。何か思いついたのでしょうか?

 

「あのね、もういっかいさっきのやつおねがいできる?」

 

「構わないのですが、あまり効果は望めないと思うのです」

 

「……ねぇ、また無茶な事考えてるでしょ?」

 

 再び杖を構えた賢者ちゃんと、じっと吸血鬼侍ちゃんの目を見つめる女魔法使いちゃん。隠し事は許さないからという気持ちの籠った視線に対し、肯定の頷きを返してますね。

 

「うん、すっごいむちゃをする。でも、いまのぼくができるのはむちゃすることぐらいなの。だから……」

 

 おねがい、と頭を下げる吸血鬼侍ちゃん。今までなら黙ってやるか、事後承認を祈って強行していたのでしょうが、流石にこの状況では嘘は付けませんよね。あっさりと無茶をすることを認めた吸血鬼侍ちゃんの頭を撫でながら、女魔法使いちゃんが優しく確認をとっています。

 

「無茶をするのは決定事項なのね……。まぁ素直に言ったから許してあげる。でも、終わったらお説教とお仕置よ?」

 

「およめさんのしゅじゅつがひかえてるので、できればやさしくしてね?」

 

 絞られ過ぎて手術が出来なくなったらそれこそ笑い話にもなりませんからねぇ。そこだけは念を押してお説教とお仕置きを甘んじて受けるつもりの吸血鬼侍ちゃん。覚悟ガンギマリなその態度に女魔法使いちゃんも折れた様子で、しょうがないわねぇと言いながら杖を構えました。

 

「それじゃいくわよ? ……≪ウェントス()≫!」

 

「何をするつもりかわからないのですが……。≪ルーメン()≫!」

 

「それはみてのおたのしみ」

 

 先ほどと同じように、2人の身体から溢れた魔力が吸血鬼侍ちゃんへと流れ、両の掌に光が生み出されました。万物を照らし育む癒しの光であると同時に、その熱であらゆるものを焼き尽くす、相反する性質を内包した可能性の光。その輝きをキラキラした瞳で見つめながら……。

 

「……≪オッフェーロ(ふよ)≫!!」

 

「「……え?」」

 

 自らを抱き締めるように、両の手に宿った小さな太陽の輝きを体内へと取り込みました!

 

 

 

 

 

 

「ム!」

 

「お?」

 

「あれは……!?」

 

 お、前線で首と斬り結んでいたみんなも背後で発生した新たな輝きに気付いたみたいですね! 相対していた大悪竜(オロチ)も周囲に漂う太陽の気配に気圧されたように動きを止め……機械仕掛けの奴だけキョロキョロとあたりを見渡してますね。ポンコツかな??? 一瞬の静寂が訪れた戦場。それを破ったのは、己が理解の、予想の、願望を超えた事態に遭遇し、超越者の仮面が剥がれ落ちた総大主教(グランドビショップ)のヒステリックな叫び声でした。秘宝であるはずの本を取り落とし、ワナワナと震える指先を突き付ける先は、徐々に光が収まる中に立つ小さな人影。

 

「……馬鹿な、なんだその姿は。そんなモノ、万知神(アイツ)の設定には無かったぞ!? ≪核撃(フュージョンブラスト)≫のエネルギーを体内に取り込むなど正気のモノがやることじゃあないぞ、この不良品(ガラクタ)が……!?」

 

 そこではたと気付いたように辺りを見渡し、見つけ出した白い影へ憎々し気に怒鳴ります。ていうかシナリオや他人の設定を覗き見してメタを張るとか大概な事してやがりますねコイツ。……あ、別に彼とは関係無いんですけど。冷静沈着を装う者が大声を上げる時って、大概余裕を無くして何とかアドを取り戻そうとしている時のような気がしませんか?

 

「矮小な太陽神の走狗(イヌ)と見逃していたが……。貴様、まさか僕と同じ化身(アバター)!? 貴様がこいつらに力を貸しているのか!!」

 

「フン!」

 

 その問いに答えるまでも無いと言うように鼻を鳴らし、行きがけの駄賃とばかりに青竜の首を斬り飛ばして疾走する狼。三回転後の着地を決めた先は、見違える姿となった吸血鬼侍ちゃんの隣です。

 

 

 

「綺麗……はっ!?」

 

「気を抜ける状況では無いのです。……たしかに()()姿は少々理性によろしくないのですが」

 

 戦闘中であることが頭から抜け落ちてしまったように、吸血鬼侍ちゃんを見つめる女魔法使いちゃん。構えていた爆発金槌の先が地面に接触した音で我に返り、気持ちを切り替えようと真っ赤になった顔を振っています。そんな女魔法使いちゃんを窘めている賢者ちゃんの頬も朱に染まり、本人はチラチラと見ているつもりのガン見を視線の先に注ぎ続けていますね。2人に……いえ、この場にいるすべての演者(キャスト)が注目する中、ゆっくりと吸血鬼侍ちゃんが閉じていた眼を開き始めました……。

 

「ん……。うまくいったかな?」

 

 体内に取り込んだ太陽が秘める熱の影響でしょうか。インナーも含め装備していた服は全て崩れ去り、見えるのは一糸纏わぬ小さな姿。体中に走るひび割れは朱色の紋様となり、そこから吹き出す黄金の太陽風(フレア)が薄衣のように裸体の一部を覆っています。頑なに秘匿し続けていたオデコも露わとなり、総大主教(グランドビショップ)を見据える瞳は血の赤ではなく黎明色に。あ、『吸血鬼侍(分身)ちゃん』に比べてちょっと三白眼気味ですね! もしかしてそれが恥ずかしくてずっと隠していたのかな?

 

「ワンワン! わふぅ」

 

「えへへ、ちからをかしてくれてありがとう()()()()()

 

 隣に降り立った狼……太陽神さんの化身(アバター)の首元に顔を埋め、感謝の気持ちを伝える吸血鬼侍ちゃん。どうやら狼の正体には気が付いたようですね! おひさまの匂いを胸いっぱいに吸い込み、促されるままにそのもこもこの背中に跨ります。しっかり背中に座ったのを確認すると、狼が咥えていた剣をそっと差し出してきました。使えと言いたげなその表情に戸惑う吸血鬼侍ちゃん。せっかくだから借りちゃって良いと思いますよ?

 

「えっと、……いいの?」

 

「バウ!」

 

 お、吸血鬼侍ちゃんが剣を受け取ると、狼が何処からともなく大きな円盾()と鈴なりに結ばれた呪物(勾玉)を取り出し、中空に浮かべてますね。武器をとっちゃったかと心配していた吸血鬼侍ちゃんですが、それを見て顔に笑みが戻ってきました。うんうん、流石信徒と信仰対象、相性はバッチリ! お、前衛のみんなが集まってきました。どうやら決め技に入る準備をするつもりみたいですね!

 

 

 

「おお、貴公も己が内に太陽を見出したのだな!!」

 

「うん。かくぶそうさんたちのわざをみて、もしかしたらできるかもっておもったの」

 

 あー、アレを見て思いついたんですか! ん? でも核武僧さんのパンチは核分裂ですけど、たしか≪核撃(フュージョンブラスト)≫は核融合……。いや、そんな細かいことは気にしちゃダメですね! HBの鉛筆をへし折る事と同じように出来て当然と思うことが重要だって、昔世界を支配しようとしていた吸血鬼の忠実なる配下が言ってましたし!!

 

「おー! 可愛いけどちょっとエッチだね!!」

 

「あ、さわるとあついからきをつけてね?」

 

「いや、これはもはや犯罪では……?」

 

 戦線を再構築するために集まってきた勇者ちゃんと剣聖さんも、吸血鬼侍ちゃんを見て驚いています。剣を持ってないほうの手を近付けては離しを繰り返し、身体から放出されている熱を確かめているようですね。勇者ちゃんの後ろで鼻を押さえている剣聖さん、鼻から飛ぶ斬撃が漏れそうでしてよ? 背中に高熱を発している吸血鬼侍ちゃんが乗っているのにポアっとした顔をしているあたり、やはり太陽神さんの化身(アバター)は優秀だなぁ。

 

 

 

「巫山戯るなよ……っ。何処まで僕の邪魔をすれば気が済むんだ……!?」

 

 おや、一行が戦闘中会話(フレア稼ぎ)をしているのに業を煮やしたのか、総大主教(グランドビショップ)大悪竜(オロチ)ごとこちらへ向かってきました。彼が抱える負の感情に反応してか、過剰供給された魔力によって八つ首の目も血走り、口からはそれぞれの属性のブレスが漏れ出しています。

 

「どいつもこいつも、何故僕を気持ちよく遊ばせない!? 楽しませようとしないんだ!?」

 

 こんな事、許される筈が無いと呟く彼を冷たい視線で見ているのは後衛2人。三千世界を渡り歩く賢者ちゃんなら兎も角、この世界に生きる女魔法使いちゃんにとっては理解の及ばぬ超次元的思考……というより、ただの狂人の戯言ですよねぇ。

 

「バッカじゃないの? 別に世界は()()()()()()()()()()()()()()()()()っつーの」

 

()()もまた、あの子と同じく世界の法則から外れた存在なのです。あの子と違うのは、それが世界に認められたかどうか。その一点なのです」

 

 然程大きくはない2人の会話。ですがそれは彼にとって決して捨て置けぬ言葉だったようです。矢継ぎ早に大悪竜(オロチ)へ命令を下しながら狂気に満ちた瞳で女魔法使いちゃんを睨みつけ……。

 

()()がそれを言うのか? 本来なら()()()()()()()()()お前が! ()()()()()()()()()()()()()()()()()()、ただ()()のお気に入りというだけで持て囃されている玩具(オモチャ)でしかない、()()お前が!?」

 

 ……()()()()()()()()()()()、その言葉を口にしてしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で? それがどうしたっていうのかしら」

 

「なん……だと……!?」

 

 明かしてはならない真実をぶつけてもなお崩れない女魔法使いちゃんの態度に、気圧されたように言葉を失う総大主教(グランドビショップ)。手に持つ爆発金槌をクルクルと回し、手から≪点火(インフラマエ)≫の単語発動をしながら静かに彼へ言葉の刃を抜き放ちます。

 

「アンタの言ってることは何一つ理解できないし、理解したくもないわ。でも、もし()()()があの場所に居なかったら、私は()()()で死んでいた。何も残せず、何も変えられず。……そういうことなんでしょ?」

 

 こんな事も出来ずにゴブリンに殺されていたんじゃないと口にする女魔法使いちゃんの顔は普段通りのまま。その事実こそが逆に総大主教(グランドビショップ)を怯えさせる原因になっているのでしょうか。それに、と続ける女魔法使いちゃんの言葉が、戦争音楽に満ちた空間に不思議と響き渡ります。

 

「たとえ誰か()の意思で誘導されたものだとしても、アイツが私を求め、私がそれに応えたことは変わらないわ。私はあの子を愛している。これまでも、そしてこれからも。アイツが望む限り永遠にね?」

 

「馬鹿な、その感情こそがアイツらによって植え付けられた、偽りのものだというのに……!?」

 

 理解できないという総大主教(グランドビショップ)の顔を見て馬鹿にするような笑みを浮かべ、本来(原作)よりもたわわな胸を張る女魔法使いちゃん。やましいところなぞ何一つとして無いという開き直った顔で、この世界全体と、それを観測している誰か()に届けと言わんばかりに高らかに宣言するのは……。

 

 

 

「それこそ望むところってヤツよ。つまり私たちとあの子はたくさんの人々(神々)に祝福されている! このありきたりな幸せを邪魔するって言うのなら……かかって来なさい。神だろうとなんだろうと、みんな纏めてぶちのめしてあげるわ」

 

 

 

 ただの人間が口にするのには傲慢すぎる、でも誰もが苦笑して受け入れてしまうような。

 

 そんな、恋する少女の一世一代の宣戦布告(告白)でした。

 

 

 

「うんうん、やっぱり愛されてるね~キミ! あの子が夢中になるのも分かる気がするよ!!」

 

「あう……///」

 

 後方からの盛大な援護射撃(告白)でお肌ツヤッツヤな勇者ちゃんにからかわれ、顔を真っ赤にして俯く吸血鬼侍ちゃん。その間にも大悪竜(オロチ)へ攻撃する手を緩めないあたりフレアの補給は万全みたいですね! 過剰供給による負荷が原因なのか、大悪竜(オロチ)の再生にも異常が起きたらしく首の総数は増え続けるものの全体的な力は減少しているみたいです。攻め手が増えたことに対抗しようとして手段を誤ったのかもしれませんね。

 

「とはいえ貴公、その状態も長くは保たんのではないか?」

 

「うん、あとさんぷん(3ラウンド)くらいかな……?」

 

 おっと、流石に負荷が厳しくなってきたんでしょうか。見れば身体中に走る紋様の一部が赤から黒に変色し、プスプスと黒い煙が……ひょっとして焦げてます?

 

「なんだ、じゃあ大丈夫だね!」

 

「そうだな、何も問題は無い」

 

 自信満々に告げる勇者ちゃんと剣聖さん。どうやらハッタリでは無さそうですね。剣を大悪竜(オロチ)、その背に立つ総大主教(グランドビショップ)に向け、キメ顔で宣言するのは……。

 

「「一分(1ラウンド)で、十分(フィニッシュ)だ!!」」

 

 堂々たる勝利予告です。

 

 

「で、どうやってアレを倒すのかね?」

 

 聖騎士さんが見つめる先、額に青筋を浮かべた総大主教(グランドビショップ)が、もはや語ることも無いと口を閉ざしたまま四十八本まで増えた竜の首を操り、一行を滅ぼさんとその神に等しい力を行使しています。数多の属性が入り混じった竜の吐息(ブレス)は結界と言えるほどの密度となり、近付くことは容易では無さそうですが……。

 

「ああ、アレ? 見掛け倒しで大した威力じゃないと思うよ? 数に対抗するために首を増やしたせいで、攻撃力も防御力もガタ落ちだね!」

 

 猪突猛進に見えてそのあたりクレバーですよね勇者ちゃん。まぁ毎度毎度負けられない戦いばかりですから、そういうのを見抜く眼力も磨かれてきたんでしょうね。

 

「ブレスの結界を突破して、全員自慢の必殺技でどっかーん! これで勝つる!!」

 

 すいません、やっぱり脳筋ですよね? レベルを上げて物理で殴る系の脳筋ですよね???

 

 そしてそれに納得したように前衛全員が太陽神さんを含めて頷いています。何処も彼処も脳筋ばかりだ……。

 

「それじゃいつもの援護よろしく! いぇ~いボク一番乗り~!!」

 

「まったく、調子が良くなる(フレアが貯まる)といっつもああなのです。……ほら、貴女たちもさっさと行って終わらせて来るのです」

 

「は~い」

 

「わふっ」

 

 既に駆けだしている前衛のみんなの後を追うように疾走する狼と、その背に跨り剣を構える吸血鬼侍ちゃん。行く手には渦巻く魔力の嵐、竜の吐息(ブレス)の洗礼が待ち構えています。翼を展開して迎撃しようとする吸血鬼侍ちゃんを制し、狼はそのまま駆けていきますね。そろそろ先に行ったみんなが竜の吐息(ブレス)エリアに入りますけど、どうやって回避するつもり……うわぁ。

 

 身体から放出されるフレアで竜の吐息(ブレス)を遮断している勇者ちゃんは、そもそもレベルが違うのでまぁ納得しましょう。でも剣聖さん、どうみても隙間の無いその竜の吐息(ブレス)、なんで当たってないんですか??? これが元祖『射線を先読みしての移動』と『ドット単位で見切るすり足』の組み合わせなんでしょうかねぇ……。

 

「よっ、ほっ、ムン、トオォー!!」

 

 そして騒々しく前転し続け(ローリングし)ている聖騎士さん。アレ絶対当たってますって……。

 

 え、なんです万知神さん? アレこそがアタリハンテイ力学を応用した前転回避? うわーやーなむちほーでもよく見た光景です! って、無貌の神(N子)さんまで……。

 

 と、とにかく全員被弾せずに接近することが出来たみたいですね! さて、吸血鬼侍ちゃん&太陽神さんのほうは……。

 

「すっごーい!」

 

「ワン!」

 

 おー、太陽神さん大盤振る舞いですね! 属性ブレスを(疾風)で吹き散らし、首が体当たりしようと迫れば周囲の時間を遅くして(霧隠で)回避、あ、よそ見していた機械仕掛けの首に、聖騎士さんから伸びた稲妻(迅雷)が当たりました! 周囲で起きる不思議な現象に吸血鬼侍ちゃんも大喜びです。

 

 

 

 周囲を覆っていた竜の吐息(ブレス)の結界が突破され、とうとう本体まで辿り着かれた大悪竜(オロチ)。その背に立つ総大主教(グランドビショップ)の顔が屈辱と恐怖に歪んでいるのが見て取れます。逃げ場を潰すように全方向から迫る一行、賢者ちゃんの魔術による援護で、草を刈るような速度で首を薙ぎ払っていきます。

 

「そろそろトドメだ! みんな、いっくよ~!!」

 

 勇者ちゃんの号令で己が得物に力を籠める前衛陣。空間全体を照らし出すように生まれた複数の太陽の輝きを前に、大悪竜(オロチ)の首が怯えるように祠の周囲へ巻き付いていきます……。いや、怯えているのは大悪竜(オロチ)じゃありません、それを操っている……!

 

「クソ! 大悪竜(オロチ)よ、僕を守れ!! あんな大技連発できるわけが無い。こちらは魔力さえあれば幾らでも再生ガッ!?

 

 あ、大悪竜(オロチ)を盾にしようとしていた総大主教(グランドビショップ)の顔が仰け反りました! 幾重にも張られた防護結界を抜け、呪文抵抗すら貫通して当たったのは≪力矢(マジックミサイル)≫、その射手はもちろん……。

 

 

 

「あら、今日も命中。運が良いわねぇ」

 

 指で総大主教(グランドビショップ)を指し示したポーズを決めている女魔法使いちゃんですね!

 

 突然の衝撃に蹈鞴を踏み、穿たれた目を押さえながら遠方で挑発している女魔法使いちゃんを睨みつけていますが……その気の緩みが命取り。制御を離れた首が縦横無尽に動き回り、痛みとの相乗効果で彼の冷静さを奪い取っていきます。その隙を見逃すほど、一行が甘いわけがないんですよねぇ。

 

 

 

「日輪の力を拝借して……!」

 

「今、必殺のぉ……っ!」

 

「太陽、万歳!!」

 

 剣聖さん、勇者ちゃん、そして聖騎士さん。三方から大悪竜(オロチ)を取り囲み、太陽の輝きを秘めた一撃を放つ3人。閃光は総大主教(グランドビショップ)の展開する防御結界を易々と貫き、その膨大な熱量で大悪竜(オロチ)の首を焼き滅ぼしていきます。

 

「ぐっ!? こんな、こんな事があってたまるか! 僕は認めない、僕を認めなかった奴ら、その人形どもを認めない!! ……ハッ!?」

 

 辛うじて自分の身は護れたのでしょう。黒焦げになった大悪竜(オロチ)の背、崩れかけた祠にもたれかかるように立つ総大主教(グランドビショップ)が、自分以外の全てを否定する怨嗟の声を上げています。ですが忘れていません? 自分が何を一番警戒していたのかを。ほら、空を見上げて? そこに終わりが見えますよ?

 

 総大主教(グランドビショップ)が見上げる視線の先、白き双光が天から落ちてきます。踊る様にクルクルと周り、加速し続ける光の螺旋。

 

 突撃体勢をとった吸血鬼侍ちゃんと太陽神さんのエントリーだ!

 

 降り注ぐ陽光の槍を前に、彼の口から洩れるのは悲鳴と疑問でした。

 

「止めろ、僕の夢を壊すな! 何の権利があって僕の邪魔をする!? 僕はお前たちと同じことをしているだけなのに!!」

 

 えぇ……? この期に及んでまだ自分のやっていることが理解できないとか、どうしましょう? なんとか吸血鬼侍ちゃんを通じてハッキリわからせてやりたいんですけど、大丈夫かなぁ。

 

 

 

「きみのきもち、ちょっとだけわかるよ」

 

「ぼくもあのこのからだをかりて、いままでたくさんみんなにめいわくかけてきたから」

 

「でも、ぼくはきみとちがう」

 

「きみは、きみいがいのだれもみとめようとしなかった」

 

「じぶんのことをわかってくれないと、あいてのことをわかろうとしないのにわめいてた」

 

「それじゃあだれもきみのこと、すきになってくれないよ」

 

「ぼくは、ぼくのすきなひと、ぼくをすきでいてくれるひとのためにわがままになる」

 

「ぼく『が』しあわせになるために、みんな『で』しあわせになるために」

 

 

 

「だから……さよなら」

 

 

 

 

 

「どうして……?」

 

 

 

 祠を蹴り穿つように着弾した吸血鬼侍ちゃんと太陽神さん。そこから広がる爆発的な閃光が空間全体を白く染め上げ、一行の視界を奪います。やがて光が収まり、眼前に掲げていた腕を退けたみんなの目に映る景色は、寸刻前のものとは大きく異なりました……。

 

 

 

「わぁ~!」

 

「おお、これはまた……!」

 

「美しいな……」

 

 焼け焦げた竜の首だったもの。大樹の枝に変じたそこから芽吹くのは、淡い桃色をしたたくさんの花。勝利の余韻を感じさせる風に舞うのは桜の花びらです。この空間が崩壊するまでの僅かな間だけ咲き誇ることを許された儚い夢の景色が、そこには広がっていたのです。

 

 祠のあった中心点。抉れたそこには浄化された竜血であっただろう水が流れ込み、小さな池が出来ていました。その真ん中に見える2つの白。水面に浮かぶ蓮の葉に立っているうちの片方が、天を指差すように腕を上げて……。

 

 

 

 

 

 

「ぼくたちの……かちだ!」

 

 

 

 その声に呼応するように太陽神さんが放った勝ち名乗りの遠吠えが、桜花舞う清浄な空間に、何処までもどこまでも響き渡っていくのでした……。

 

 

 

 

 

 

 今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まったく、あの調子だと最後の最後までわかってなかったんだろうなぁ。

 

 あれだけ卓を引っ掻き回している万知神さんや無貌の神(N子)さんが認められて、なんで自分が認められないのか。

 

 だって、きみは自分の事ばかりで他の()のやりたいことを認めようとしないんだもの。

 

 それじゃあだれだってきみと遊びたいなんて思わないし、きみが来るのを嫌がる様になるだけだよ

 

 今回だってそう。乱入なんかしないで最初から遊びたいって言ってれば、こんな事にはならなかったかもしれない。

 

 あの覚知神さんだって、犬猿の仲の万知神さんがいてもわざわざ許可を得て参加しているんだもの。

 

 ……そんなんだから、きみはいつまでたってもみんなから独り善がりの無法者、吟遊詩()って呼ばれるんだよ……。

 

 

 




もう一話か二話くらいでこのセッションが終わりそうなので失踪します。

 いつも誤字脱字のご連絡ありがとうございます。

 お気に入り登録や感想、評価についても執筆速度が上がるかもしれませんのでよろしくお願いいたします。更新の燃料になります故……。

 お読みいただきありがとうございました。
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