ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ 作:夜鳥空
書きたいことを詰め込んでいたらおそらく今までで最長に。お時間のある時にゆっくりとお読み頂ければ幸いです。
前回、知識神の
賢者ちゃんの呼び声でぞろぞろと集まってくる西方辺境の冒険者たち。こうやって見ると本当に寄せ集めというか、バラエティ豊かな面子ですね。複雑な演算で消耗したのか、腰に手を当てて
どうやらこの場は銀髪侍女さんと返り血で真っ赤に染まりながらすっごい良い笑みを浮かべている聖人尼僧さんが引継ぎ、軍と協力しての事後処理にあたってくれるみたいです。女魔法使いちゃんにだっこされた吸血鬼侍ちゃん対して気遣いの言葉を送ってくれたのは嬉しいんですけど、そのまま野獣の視線が分身ちゃんにスライドしていったのは怖かったですね。「騒動がひと段落したら
さて、鏡を通り抜けた先は昨年訪れたことのある知識神の
「ふぅ、転移事故が起きることもなく無事に到着したのですが……別に全員で押し掛ける必要は無かったのでは?」
「いや、まぁそうだけど。やっぱ心配じゃない? シルマリルたちの変化を見届けたいってのもあるし」
賢者ちゃんが半目で見渡すのも無理はないでしょう。あわせて20人以上がいきなり現れたんですから修道女さん達もビックリ。元牙狩りの2人が一緒じゃなかったら、保管している呪物を狙ったテロと間違われるような登場と面子ですからねぇ……。
傷あり司祭さんが説明してくれて落ち着きを取り戻した修道女さんたち、一行が寛げるようにとお茶の準備を始めてくれています。あ、目敏い修道女さんたちに囲まれて分身ちゃんが全力で可愛がられてます! 服装や纏う雰囲気が変わっても精神はそのままなのか、嫌がる素振りも見せずに素直におもちゃに徹してますね。これから大切なイベントがあるみたいなんですから、ほどほどにして資料室へ来てくださいねー。
「ええと、この子は此処に寝かせれば良いかしら?」
「そこで問題無いのです。ああ、貴女はもう少し左に。運ばれてくる素材とあわせて三角形の配置になるように待機していて欲しいのです」
>「ん、わかった~」
机や椅子が部屋の隅に固められた資料室、その床に吸血鬼侍ちゃんをそっと横たわらせる女魔法使いちゃん。先ほどから吸血鬼侍ちゃんの体温は下がってきているようで、今は修道女さんにお借りした毛布の上に寝かされています。男性陣がいるところで裸体を晒すわけにも行かないので、肩口から下を隠すように上からシーツがかけられていますが、薄い布地のために身体の線がクッキリと浮かび上がってますねぇ。……うーん、逆にえっちな気がします!
ひとしきり修道女さんたちにチヤホヤされた後、断りを入れて抜け出してきた分身ちゃんも儀式のためにスタンバイ。賢者ちゃんの指示に合わせて床に血で複雑な術式を描き、指定された場所で体育座りをしています。なお修道女さんたちのところから戻って来た時に
そんな
元々吸血鬼関連の品物を保管しておくために外部からの干渉を防ぐ防壁はあるようですが、念には念を入れて内部も清めていたほうが良いとのこと。たしかにこんなところでまた余計な茶々が入って、闇堕ち吸血鬼侍ちゃん誕生とかまったく笑えませんからねぇ……。こっそり太陽神さんが怪しいオーラを放っている呪物を浄化して回ってますし、まぁ問題無いでしょう!
お、そうこうしているうちに件の骨格標本を取りに行っていた
「だぁ~!? 骨格標本っつーから軽いモンだと思ってたが、なんつー重さしてやがる畜生!?」
「あはは、すっごい重かったね~!」
「……まさか部位ごとにバラシて運ぶのが精一杯とはな」
あー、やっぱり重かったんですね。立ち姿で保管されていた標本を吸血鬼侍ちゃんは軽々と動かして『死の舞踏』ごっこしてましたけど、100%金属製は流石に人では厳しかったみたいです。頭部、胴部、腰部、右腕、左腕、右足、左足と七部位に分割されて運ばれてきたそれを、指定された場所に置いてそのまま倒れ込んじゃいました。森人狩人さんと令嬢剣士さんが、予め修道女さんに用意してもらっていたタオルと飲み物を今日一番の功労者たちに配っています。
最初は分身ちゃんが取りに行くつもりだったみたいですが、棒立ちで何の役にも立ってないんじゃ冒険者の名折れと言い出した槍ニキの発案で役目を交代していたんですけど……。やはり無理は禁物です。万が一腰をやってしまったら大変ですからね、冒険者としてもお父さんとしても。
「それでは始めるのです。神官は所定の位置へ、それ以外は床の術式を踏まないよう少し離れるのです」
賢者ちゃんが杖で床の紋様を突いたのを切っ掛けに、分身ちゃんの血で描かれた魔法陣が光を放ち始めました。どうやら再構成の儀式が始まったみたいですね!
陣の中心に並んで寝かされた吸血鬼侍ちゃんと骨格標本。それを挟むように分身ちゃんと賢者ちゃんが向かい合わせに立ち、女神官ちゃん、森人少女ちゃん、剣の乙女、そして聖騎士さんと
「まず、肉体と魂を分離させるのです。……魔法陣に魔力を注ぎ込むのです」
>「ん……こんなかんじでいい?」
分身ちゃんが自らの掌に爪を立て、血の滲み始めたそれを床の魔法陣へしゃがみ込んで押し付け、集中すること暫し。魔方陣の中心に亀裂が生まれ、そこから血のように赤い魔力が溢れ出てきました! 粘性の高いそれは吸血鬼侍ちゃんと骨格標本を飲み込むと自ら姿を変え、宙に浮かぶ球体へと変貌。泡のようにも卵のようにも見える球体の中で、取り込まれた2つの身体が徐々に崩れていくのが透けて見えますね。
幼虫が蛹の中で変態するように融ける吸血鬼侍ちゃんの身体。同時に球体から小さな輝きが飛び出してきました。所在なさげに彷徨うそれに手招きし、ふよふよと近付いて来たソレを分身ちゃんが優しく胸元へ抱きしめています。もしかしてあの光が吸血鬼侍ちゃん……その身体に残っていた『圃人の女の子』の魂、その欠片なんでしょうか。
やがて真紅の球体は吸い込まれるように内側へ収縮し、小さな身体が見えてきました! 全身に走っていた罅割れはすべて消え、艶やかな肌が魔力光を受けまるで輝いているようです。ゆっくりと降下する身体を賢者ちゃんが抱き留め、用意してあった
クッソ重たい骨格を取り込んだので全身義体じみた重さの吸血鬼侍ちゃんが爆誕したらどうしようかと心配していたんですが、どうやら
>「それじゃあ、たましいといっしょにぼくのなかにあるこのこのかけらをもどすね」
人形のように微動だにしない吸血鬼侍ちゃんの身体にゆっくりと近付き、胸元で保護していた光を解放する分身ちゃん。同時にその身体から抜け出すように現れた光の粒子が、寝かされている身体へ入り込んでいきます。無事にすべての光が吸い込まれたのを確認した分身ちゃんが安堵の息を吐いてますね。
これで身体の新しい肉体への魂の移植は終了だと思うのですが、この後はどうするんでしょう? お、再び吸血鬼侍ちゃんの身体にシーツを掛けた賢者ちゃんが杖を突くと、床一面に光っていた魔法陣が消えました。儀式の補助をしていた女神官ちゃんたちと陣の外で見守っていたみんなを吸血鬼侍ちゃんの身体の近くへ呼び寄せているようですが……。
「新たな肉体の生成と魂の定着は完了なのです。あとは、あの子を目覚めさせるだけなのです」
そう告げる賢者ちゃんを怪訝な目で見る一同。まだ何か必要な事があるのかと言いたげな顔を見て、説明が不足していたのですと咳ばらいをする賢者ちゃん。それを誤魔化すようにちょっと冷たい吸血鬼侍ちゃんの頬を撫でながら、これから必要となる手順を話し始めました。
「人を人として形成しているのは、自己認識と他者からの認識に因るものなのです。今のあの子は真っ新な状態。先ほど魂と一緒にもう1人が持っていた記憶の欠片を肉体へ戻していましたが、それだけではぜんぜん足りないのです」
ほうほう、吸血鬼侍ちゃんがどう思われていたか、吸血鬼侍ちゃんをどう思っていたかを伝えることで自己を確立させるという理解で良いんですかね? 互いを結び付けていた
「神官たちの祈祷によって、今この時この場所は、
おお、流石わかっていらっしゃる。先ほどから≪真実≫さんと≪幻想≫さんを始め、
さっきからハンカチで涙を拭き続けているのは至高神さん。剣の乙女の成長と、吸血鬼侍ちゃんの正体に思わずウルっときてしまったみたいですね。なお吟遊詩神が吸血鬼侍の真実を暴露した時は直で殴りに行こうとしていたのは内緒です。流石にリアルファイトは不味いですよ!?
>「みんな、あのこへのきもちをつよくおもっててね? ……はじめるよ」
分身ちゃんの声とともに、祈る様に手を合わせた女性陣の身体から淡い光が放たれています。あれがおそらくチャージされていた吸血鬼侍ちゃんたちの魔力なのでしょう。想いに比例するように輝きを増す光が徐々に体から離れ……あれ?
「……オイ、なんでテメェからアイツの魔力が出てくるんだよ、ゴブリンスレイヤー?」
「誤解だ」
「ちょっとどういうコトよオルクボルグ!? 説明しなさい!!」
目にも止まらぬ勢いでゴブスレさんを蹴倒し、ギリギリと首を締め上げる妖精弓手ちゃん。ゴブスレさんも必死に引き剥がそうとしているようですが、細腕にどれほどの力が籠っているのか、手の緩む気配はありません。勇者ちゃんと剣聖さんの2人掛かりでやっと引っぺがすことに成功し、森人少女ちゃんに落ち着くよう説得されています。一方で重戦士さんに手を引っ張られて立ち上がったゴブスレさんですが、よく見れば足がガクガクになってます。一体どれだけの衝撃を受けたんでしょうかね……。
「なぁ、まさかとは思うが……嫁さんが身重で色々持て余して、我慢できずに手を出したワケじゃあ……」
「違う」
口をパクパクするだけで声が出ない槍ニキに変わって確認を取っている重戦士さん。即座に否定するゴブスレさんを見て、お前がそんな不義理をする男とは思っていないが……とお茶を濁すような言い方に。傷あり司祭さんと半鬼人先生さんからの微妙な視線に身じろぎするゴブスレさんを守るように、女神官ちゃんが両手を広げて立ちはだかりました!
「みなさん酷いです! ゴブリンスレイヤーさんがそんな事をする人だって、本当に思っているんですか!?」
この健気さっぷり、流石清楚系清純派な女神官ちゃん! 地母神さんもこれにはニッコリ。かつての想い人を信じてもらおうと必死になる姿はヒロインの鑑ですね! その強い視線に思わず目を逸らしてしまうしまう一行。やはり原作メインヒロインは格が……。
「あんなに毎日アピールしてるのに、一向に手を出そうとしてくれないヘタレなゴブリンスレイヤーさんに、そんな度胸あるわけないじゃないですか!!」
地母神さん、あなたは今、泣いていい……泣いて良いんです……ッ。
あまりにも普段の様子からかけ離れた言動に思わず当身を入れて気絶させた女魔法使いちゃんグッジョブ。スヤァ……という感じに崩れ落ちる女神官ちゃんを部屋の隅に寄せていた椅子に座らせています。おや、凍り付いた空気を壊すようにスッと手が上がりました。みんなの視線の先、ほっそりとした指の持ち主である森人狩人さんがうんうんと頷きながら一言。
「彼女の言う通りだとも。魔力がオルクボルグの身体から出てきたということは、彼がご主人様に魔力供給(意味深)したのではなく、ご主人様が彼にカヒュッ」
キメ顔で妄言を吐いていた森人狩人さんの首に言わせねえよとばかりに巻き付いた細腕が瞬時に狂人を絞め落としました。鮮やかな手並みを見せた森人少女ちゃんが上姉様が大変失礼を、と頭を下げるのを見て、震える声で気にしていないと答えるゴブスレさん。
ちょっと知識神さん、崩れ落ちた地母神さんに薄い本を渡さないでください! 『吸血鬼侍ちゃん♂&分身ちゃん♂×ゴブスレさん』とか何処に需要があるんですかもう!?
……あ、若干怯えた様子のゴブスレさんに苦笑しながら森人少女ちゃんが襟元を緩めて服の下から何かを取り出しました。手のひらに乗ってスペースが余るほど小さなそれをゴブスレさんに見せているようですね。あれはもしかして……。
「オルクボルグ様も、主さまから
「……ああ。結婚式の後、いざという時のためにと。
2人の手に乗っている小さな巾着。ぺったんこなのは中に入っていた邪な土が魔力と見做されて回収されちゃったからなんですね。光の原因がわかってみんな胸を撫で下ろしている様子。こんなところで不倫発覚とか誰も幸せにならないんだよなぁ。
お。気を取り直したように咳ばらいをした賢者ちゃんが最後の手順に入ったことを話し始めています。どうやら儀式もクライマックスのようですね。
「……コホン。あとはそれぞれあの子に触れるのです。その際、あの子との思い出を強く意識し、それを渡すような、見えない
手本を見せるのですと言いながら吸血鬼侍ちゃんへ近付いていく賢者ちゃん。冷たい彼女の頬に手を当て、優しく語り掛けるように口を開きました。
「最初に出会ったあの日、あまりにも歪んだ在り様に驚いて、ウチの脳筋2人をけしかけたのは悪かったのです。その後も蛮族領域や王宮で顔を見る度皮肉を言ったのも謝るのです。何をしても困ったような笑みしか浮かべない貴女をどうにか変えたくて、自分でもちょっとムキになっていたと思うのです……」
賢者ちゃんの告白に驚きを隠せない一行。勇者ちゃんと剣聖さん、それに分身ちゃんだけは揃って苦笑いを浮かべています。まるで好きな女の子にちょっかいを出す悪ガキみたいだったね~と笑う勇者ちゃんに煩いのですと赤い顔でがなり立てた後、再び吸血鬼侍ちゃんに向き直りました。
「いつの間にか貴女は、びっくりするほど幼くなっていたのです。今思えば、それこそが貴女が
そこで言葉を区切り、頬を撫でていた手を止めてそっと顔を近付ける賢者ちゃん。唇同士が触れ合いそうな距離で、小さく、でもみんなの耳に届く声で吸血鬼侍ちゃんに呼びかけます。
「だから、こんなところで寝ていないでさっさと起きるのです。起きて、貴女の進む
そのまま唇を寄せ、否定の返事などさせないというように口を塞ぐ賢者ちゃん。触れ合っていた唇が離れた時には顔は真っ赤になり、口を開けてそれを見ていた一行に振り返り、眉を立てた笑みを浮かべながら言い放ちます。
「何を惚けているのですか? ……他の人に操を立てているのなら、頭や頬を撫でたり、手を握るだけでも良いのです。早く順番にするのです!」
大胆過ぎる賢者ちゃんの行為に度肝を抜かれていた一行ですが、其処は度胸とハッタリが持ち味の冒険者。じゃあ次はと言いながら次々とその身体に触れ、吸血鬼侍ちゃんとの思い出を語っていきます……。
はじめてのゴブリン退治、
水の街での下水探索に収穫祭の襲撃、雪山でのなんちゃって
ちょっと不思議な世界を救ってみたり、ゴブスレさんの結婚式にあわせてプレゼントを用意したり、新人冒険者を死なせないために訓練場を建設してみたり。依頼以外の冒険を楽しむことを覚えたのはこの頃かもしれません。……2人を中心とした
そして城塞跡での異世界からやって来た危機との接触に、吟遊詩神が裏で糸を引いていた一連の『赤い手』騒動。
楽しかったこと、辛かったこと、改めて伝えておきたかったこと、こんな機会が無ければ心中に秘めていたであろうこと。様々な思い出を振り返りながら、みんなが吸血鬼侍ちゃんに話しかけ、その身体に触れていきます。
力強く手を握る槍ニキ。節くれだった大きな手で壊れ物を扱うようにこわごわと頭を撫でる重戦士さん。鉱人道士さんはさっさと起きんかちみっことデコピンをかまし、その硬質な口先で器用にキスをした蜥蜴僧侶さんにはみんなが驚いていました。
何故か参戦した勇者ちゃんと剣聖さんは、タイミングを合わせて左右同時に
未だ開かない
うわ、妖精弓手ちゃんがシーツを捲り上げて吸血鬼侍ちゃんの胸元に思いっきりキスしてます。心臓のある位置に鬱血するほど強くされたキスが意味するのは"所有"。吸血鬼侍ちゃんの終わりは誰にも渡さないという宣戦布告ですねこれは……。知識神さん、とりあえずそのスケブは横に置いて、黙って見ててください。あとネタにするならちゃんと
「いや、全員でそんなガン見しないでもらえるかしら。別に変わったことなんてしないわよ」
お、どうやら〆の分身ちゃんを除けば、女魔法使いちゃんがラストみたいですね。だいぶハードルが上がっているように思えますが、いったいどのようなパフォーマンスを魅せてくれるのでしょう。視聴神たちも前のめりになって見ています! 脱力したように肩を落としたまま吸血鬼侍ちゃんに近付き、両手を顔の横について覆い被さるような体勢に。重力によってボリュームを増したお山がシーツ越しに吸血鬼侍ちゃんの平原にくっつく至近距離で、言葉の雨が降り注ぎ始めました。
「まぁ……あの
押し付けられた柔らかさに反応したのか、意識が無い筈の身体が僅かに動きました。本能レベルでおっぱい好きなんですね吸血鬼侍ちゃん。その反応に苦笑しながら女魔法使いちゃんは言葉を続けています。
「そのまま冒険に付き合わされて、あれよあれよという間に他の子までモノにして。誰もアンタを刺さなかったのは奇跡みたいなものよ。全員に感謝することね」
そっと前髪を掻き上げて、秘匿されたオデコを露出させながら語る女魔法使いちゃん。思い返せばいつNice boat.しても可笑しくないジゴロっぷりでしたもんね……。
「おまけに私も泣き顔に騙されてコロッといっちゃって、いつの間にやら保護者扱い。私はアンタの母親じゃないんだからね、もう……」
そっと頭を撫でる女魔法使いちゃんの表情は、言葉とは裏腹に慈愛に満ちたもの。女というにはあまりに優しすぎる顔はたしかに母親を感じさせるものです。
「でも、私は後悔してないわ。アンタに初めてをあげたことも、
下手糞な口笛を吹いている賢者ちゃんを軽く睨みつけながら、冗談よと笑う女魔法使いちゃん。だから、と言いながらそっと吸血鬼侍ちゃんの額に唇を落とし、悪戯っ子のような表情で問いかけます。
「いつまで寝てるつもりなの? このままじゃ私たちみんなあっちの子にとられちゃうわよ? それでもいいの?」
とらないよ!?と叫ぶ分身ちゃんを華麗にスルーして立ち上がる女魔法使いちゃん。後はお願いと言って肩を叩き、分身ちゃんを吸血鬼侍ちゃんのほうへ押しやっています。……偶然かもしれませんが、額へのキスが意味するのは
さて、トリを務めるのは分身ちゃん。あいたたと女魔法使いちゃんに叩かれた肩をさすりながら吸血鬼侍ちゃんが眠る
>「いいたいことややりたいことはたくさんあるけど、それはぜんぶきみがおきてからのはなし。いまぼくがきみにつたえるのは、かつてきみにいわれたこと。いつかきみにいいたかったこと。いちどしかいわないから、しっかりきいててね?」
そっと口を近付けたのは賢者ちゃんと同じ場所。愛情を示す唇にキスをして、吸血鬼侍ちゃんが太陽を見た時と同じ、見る誰もを魅了する笑顔で言い放った言葉は……。
分身ちゃんが宣言した瞬間、その場にいた全員の身体から淡い光が立ち昇りました。
照らすものすべてを暖かくする思いの光。人の心を象徴する柔らかな輝きが、部屋中を埋め尽くしていきます……。あ、太陽神さんがこっち見てますね。準備が整ったという合図でしょう。万知神さんたちの準備は……バッチリみたいですね。では……太陽神さんお願いします!!
「凄い……光が満ちていくのが私にもわかります……っ!」
太陽神さんが大きく吠えた直後、みんなの祈りの光が吸血鬼侍ちゃんの身体へ次々と吸い込まれていきます。眼帯を取り去った剣の乙女が霞む目で見つめる先、宙に浮かんだ吸血鬼侍ちゃんがゆっくりと瞼を開き始めました。生まれたままの姿だった小さな身体に光が触れると、徐々にそれは新たな装いへと変化していきます……。
黒かったインナーは無垢を具現化したような白へと変わり、袖の無い肩口から鎖骨、胸元を経て腰部まで大胆に露出したデザインに。どうやら
腹部を覆っているコルセットを挟んで下半身、半ば役目を放棄しているミニスカートの下には、此処だけ以前の色を残した黒のスパッツ。パンツは絶対に見せませんという万知神さんの固い決意の表れだそうです。ちょっぴり顔を覗かせた魅惑の太股の下は、膝上までのロングブーツに。短めの白い毛に覆われたふわふわもこもこデザインは太陽神さんの
コンプレックスの三白眼を隠すためのメカクレをガードしているのは剣の乙女とお揃いのベール、これは至高神さんの提供によるものです。フードと違って付けたまま前髪を持ち上げられちゃいそうですが、本当の自分を見せたいという内に秘めた思いを後押しするためのものなんだとか。意外とその辺少女趣味ですよね至高神さん。
胸元にはブルーリボンと護符を組み合わせたペンダントをあしらい、不思議な光沢を放つチェーンをアクセントとして各所へセット。あれもしかしてヒヒイロカネですか? 流石にデブの骨格だと装備に使っても余りが出たからって……さらっととんでもないこと言いましたね覚知神さん?
あ、ゆっくりと身体の調子を確かめるように動いていた吸血鬼侍ちゃんが、分身ちゃんと抱き締めあっています!! 頬擦りをするように顔を寄せあい、お互いが確かにそこにいることを確認するような、倒錯的でありながら微笑ましい光景にみんな目を奪われてしまっているようです。おっと、抱擁を終えた吸血鬼侍ちゃんが、
>「これは、きみがもってて?
>「わかった。でも、きみはどうするの?」
どうやら村正と血刀を分身ちゃんに渡しているみたいです。差し出された愛刀を受け取り腰に差す分身ちゃんですが、何処か心配げに訪ねてますね。たしかに分身ちゃんにオリジナルを渡してしまったら他に装備なんて……。あ、もしかして覚知神さんが笑っているのって。
>「だいじょうぶ! みて!!」
あ! 吸血鬼侍ちゃんが掲げた手に光が集まって、幅広い刀身を持った剣と周囲が移り込むほどに磨き上げられた
「ウム、あれらこそまさに太陽の欠片! この世界を遍く照らし出す慈母の愛がカタチを為したものであろう!!」
大きく頷く聖騎士さんの横でフンスと自慢げに鼻を鳴らしている太陽神さん。実に良い仕事でした、お礼はこちらへ戻って来てからさせていただきます!
>「えへへ……あれ?」
おや、クルクル回りながらみんなに新しい姿を見せて歩いていた吸血鬼侍ちゃんが急にバランスを崩しています。慌てて分身ちゃんが支えましたが……何かを察したのか、持ち上げた吸血鬼侍ちゃんを女魔法使いちゃんにダイレクトパス! 急に飛んで来た小さな想い人を柔らかなクッションで受け止め、女魔法使いちゃんが何事かと尋ねています。
「ちょっと、まさかまだ具合が悪いの? それとも……」
心配そうに矢継ぎ早に問いかける女魔法使いちゃんに首を振り、照れたように笑う吸血鬼侍ちゃん。ぺったんこのお腹をおさえながらの台詞は、安心と信頼の……。
>「……おなかすいちゃった」
その言葉に対し、呆れた様子でブンブンと吸血鬼侍ちゃんを振り回す女魔法使いちゃん。一頻りブンブンして目を回している吸血鬼侍ちゃんを背中側から抱き締め、なんだかなぁと笑っているみんなのほうへ顔を向けさせました。
「そりゃそうでしょうよ、もうすぐ今日が終わるんだもの。随分とお寝坊さんねぇ?」
>「あぅ……ごめんなさい。でも、これでみんなとあしたがむかえられるね!」
「そうね、でも大切なことを忘れているわ。……まずみんなに、アンタを待っていた人たちに言うことがあるんじゃない?」
>「え? ……あ!!」
一瞬惚けていた吸血鬼侍ちゃん。何かに気付いたのか慌ててみんなを見渡していきます。笑っている人、涙を流している人、苦笑している人……。たくさんの表情がありますが、そのどれもが吸血鬼侍ちゃんを待っていた、みんなが持つ大切な感情です。
それを感じ取ったのでしょう。不意に浮かんできた涙を拭い、太陽を思わせる晴れやかな笑顔で、吸血鬼侍ちゃんはいちばん大事な言葉をみんなへと伝えるのでした……。
>「みんな、しんぱいかけてごめんなさい」
>「それから……ただいま!!」
今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。
キャンペーンでやりたかったことの第一目標が達成できましたので失踪します。
お気に入り登録に評価や感想、非常に励みとなっております。
お時間がありましたら、一言でも構いませんので感想を頂ければ嬉しいです。今後の作品の方向性にも影響してくると思いますので。
誤字脱字のご連絡も助かっております。減らしたいと思ってもなかなか無くならないのが辛いですね……。
お読みいただきありがとうございました。