ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ 作:夜鳥空
到達しました72話、実にキリの良い数字ですね。
今回は何時にも増して露骨な描写が多いので、ご注意をお願い致します。
前回、牛飼娘さんが到着したところから再開です。
牧場からの短距離とはいえ馬車での移動、しかもサスペンションなど無いタイプですと身体に負担がかかりやすいので、到着後に少し休憩中の一行。手術前に精神を落ち着かせる意味合いを兼ねてダブル吸血鬼ちゃんが牛飼娘さんとスキンシップをしていますね。本当はお茶でも飲んでリラックス出来れば良いんですけど、手術に備えて昨夜から食事制限が掛かっているので残念ながらお預けです。
>「もうすぐでられるからね!」
>「みんなふたりをまってるよ!」
「うん、やっぱりわかってるみたい。いつもより活発に動いてる!」
おおきくなったおなかに頬を寄せ、赤ちゃんに語り掛けるように話す2人の頭を優しく撫でている牛飼娘さん。連日泊まり込みでメンタルケアをしてくれていた吸血鬼侍ちゃんと森人少女ちゃんには頭が上がりません。2人とも当人である牛飼娘さんはもとより家族であるゴブスレさんと伯父さんの不安も取り除こうと頑張っていたようです。『死の迷宮』から戻った後も、休む間もなく動き続けるみんなを見ていた牛飼娘さん。不安の色が払拭されているようでなによりですね。
ダブル吸血鬼ちゃんと女神官ちゃん以外の面子は既に隣室で手術の準備を始めており、扉の奥からは酒精と香草の香りが微かに漂って来ています。邪なるモノを阻む術式が展開された部屋に兜を向けている英霊たちは若干居心地悪そうにしています。善なる霊とはいえこの世の存在ではない2人にとっては出禁を喰らっているような気持になるのかもしれませんね。狼さんはこの部屋内における序列二位のお山の持ち主である女神官ちゃんに尻尾を振って可愛さアピール中。
「……そろそろ行きましょうか。ゴブリンスレイヤーさんと狼さん、それに英霊のお二方は隣の部屋でお待ちください」
お、どうやら始まるみたいですね。女神官ちゃんの声に頷きを返した吸血鬼侍ちゃんが、触手と翼を器用に使って牛飼娘さんを包み込み、そっと持ち上げました。牛飼娘さんの顔に驚きの色が無いのを見るに、この運ばれ方は牧場で何度か経験していると思われます。リラックスした様子で編み上げられた触手に背を預け、何処か不安そうに見ているゴブスレさんにそっと手を伸ばしています。躊躇いがちにその手を握るゴブスレさんに笑いかけながら、発するのは普段通りの明るい声。
「もう、そんな顔してたらお姉さんに笑われちゃうよ? ……大丈夫、こんなにみんなが協力してくれてるんだから、心配しないで! それじゃ、いってくるね!!」
「……ああ」
スッと離れた彼女の手を僅かに彼の手が追いかけたのは、隠し切れない不安の現れでしょうか。英霊さんたちが両側からゴブスレさんの肩に手を置き、運んで来てあったソファーへと案内しています。あ、深く腰掛けた足元に我が物顔で狼が座り込みました。とぼけた顔で見上げてくる狼の頭を、ゴブスレさんはゆっくりと撫で続けています。ナイス狼! これで少しでも不安が払拭されれば良いのですが……。
「それでは始めるのです。手術時間は約一時間を想定。まずは麻酔と切開箇所の消毒なのです」
さて、隣室でも動きがありました。清潔なシーツの上に寝かされた牛飼娘さんを中心に賢者ちゃん、剣の乙女、森人少女ちゃんが片側に、反対側にダブル吸血鬼ちゃんという並びで始まった手術。賢者ちゃんたちの背後には手術に用いられる器具、消耗品が並べられ、その向かいには沸かされたお湯の入った鍋が。女神官ちゃんと見習い聖女ちゃんは少し離れた位置で記録係を担当しているようです。
>「それじゃあ、いまからますいをするね。ちょっとちくっとするかもだけど、ごめん」
「いいよ、思い切ってカプッとやっちゃって! ……んっ」
丸くおなかの部分が切り抜かれたシーツを掛けられた牛飼娘さんと、その首元に口を近付ける吸血鬼侍ちゃん。牛飼娘さんの返答に頷きを返し、そっと牙を突き立てました。僅かに身じろぎをするだけで口付けを受け入れた牛飼娘さんの目が徐々にトロンとしていきますね。それを確認した森人少女ちゃんが、≪
「如何ですか、冷たさや刺激は感じられますでしょうか?」
「ううん、触れられてる感覚も無いよ。自分の目で見てるのになんか不思議だね」
どうやら感覚麻痺は上手くいったみたいですね! 眠たげな眼で自分のおなかを見つめている牛飼娘さんに対し、本当に開腹の場面を見るつもりなのですかと確認している賢者ちゃん。え、普通衝立や布なんかで見えないように仕切りを作ると思うんですけど、まさか……。
「ゴメンね我儘言っちゃって。でも、この子たちが産まれてくる瞬間を見ていてあげたいの。それにほら、家畜のお産や加工で血には慣れてるから大丈夫!」
うーんこの覚悟ガンギマリお母さん。笑みに込められた強さに押し負けたように肩を落とす賢者ちゃんに哀愁が漂っています。一方で既に青い顔になっているのは見習い聖女ちゃんですね。頻りに手のひらの汗を服の裾で拭っています。
「あの、見てて怖くないの? 意識がある状態でおなかを切るとか……」
まぁこれが普通の反応ですよね。隣で平然としている女神官ちゃんに戸惑いを隠せない様子で訪ねていますけど、残念ながらその子も普通じゃないんですよ……。
「訓練場で見たと思いますけど、血に関しては私も家畜を潰した経験はありますから。それに……」
そこで一旦口を閉じ、何かを思い返すように目を瞑る女神官ちゃん。再び開いたその瞳には、ゾッとするほどの怒りが込められたモノでした。
「
「あ、主さま! いったい何をなさっているのですか!?」
……最初にそれを目撃したのが森人少女ちゃんであったことは、今思えば幸運だったのかもしれません。
油塗れだった城塞跡から帰還した後の話です。当時の吸血鬼侍ちゃんと分身ちゃんが夜中に寝室を抜け出し、2人で何かをしているのに彼女が気付いたのは夏の終わりの頃でした。
こっそりと示し合わせたように
>「ええと、ここはさきにきっちゃダメだから……」
>「う~、ちっちゃいからやりにくいね~……」
浴室の前に脱ぎ散らかされた寝巻を見て汗を流していたのだと納得した森人少女ちゃん。その夜も随分激しかったので、残り香を消すためのものだと思ってしまったのでしょう。自分も一緒に身体に付着した色々な液体を洗い流そうと、備え付けのタオルを手に浴室へ。2人の主を綺麗にして差し上げれば、もしかしたら2人からご褒美が貰えるかもしれない。森人少女ちゃんの脳裏にそんな考えが浮かんだのかもしれません。
ちょっと淑女には相応しくないピンク色の思考に促がされ、浴室の扉を開いた森人少女ちゃんが目にしたのは……。
>「あ……」
>「みつかっちゃった……」
タイル地に広がる赤い海と、
>「あのね、べつにあたまがおかしくなったわけじゃないよ?」
>「ていおうせっかいのれんしゅうをしてただけだから……」
その場で卒倒した森人少女ちゃんを介抱しつつ、同時に≪
なんとか寝巻を着せてリビングの椅子へ座らせた森人少女ちゃんが目を覚ますと、2人で必死に先程の行為を説明しました。死体を腑分けするわけにもいかないし、いくら傷つけても問題ない身体を有効活用していただけなのだと。ですが、それで納得するほど森人少女ちゃんは甘い女ではありませんでした。
「主さまでは痛覚が鈍すぎて参考にはなりませぬ。実際に手術をする際には麻酔やそれに類する痛覚麻痺の処置をされるのでしょうが、それらも主さまには効果が無いのでは? 構造を把握するだけならまだしも、手術の練習には向かないと思われます」
理路整然と問題点を指摘されれば反論出来る筈も無く。黙り込んでしまった2人に対して森人少女ちゃんが提案したものは、まさに愛情と狂気による産物でしょう。
「ですから、どうか
「「は?」」
……察しの良い視聴神のみなさんなら、この後どうなったかおわかりになることでしょう。
翌朝、3人の姿が見えないことに気付いた朝食当番の女魔法使いちゃんが見たものは、黒く変色したタイルの上で、≪
その後、女魔法使いちゃんの悲鳴を聞きつけて起き出してきたみんなからこっぴどくお説教された吸血鬼侍ちゃんと分身ちゃん。ですが、森人少女ちゃんが自分の身に施してもらった処置を話したところ、同じことをして欲しいと涙ながらに懇願されてしまいました。……剣の乙女と森人狩人さんです。
「あいつらに凌辱された事実が消えるわけじゃないことはわかってるよご主人様。でも、もし可能ならば、私にも
「私も同じ気持ちです。それに、これはゴブリンに穢された女性にとっての救済となるかもしれません……!!」
……愛する人の魂の叫びを聞いた2人がその後如何したかは、言うまでもありませんよね?
期せずして練習を積むことが出来た2人。ですが、望まぬ機会は更にあったのです。
「助けられたのは1人だけだ。……すまん」
ある新人の
訓練場での洗礼を済ませ、油断も慢心も無かった
「悔しい……。みんなあいつらに殺されて、私だけが生き残って……ッ」
嬲り殺しにされながらも、凌辱に耐える彼女に生きろと叫んでいたという仲間たちへの後悔。そしてただ1人生き残ってしまったという自分自身への怒りでした。
「……主さま」
>「「うん、わかってる」」
森人少女ちゃんの声に揃って頷きを返す2人。固く握りしめられた両の拳をそれぞれ手に取り、己の胸元に抱き締めました。冷たい手の感触に顔を上げた女冒険者を正面から見つめ、静かに語り掛けます。
>「いたかったよね。こわかったよね。しんでしまいたいほどくやしいよね」
>「なかまがみんなころされて、こんなこといわれたくないかもしれない。でも、あえていわせてもらうね」
>「「いきていてくれてありがとう」」
女冒険者の目から涙が零れ、訓練場の床を濡らしていきます。嗚咽をあげる彼女の頭を優しく撫でながら問うのは、厳しさの中にある僅かな慈悲か、あるいは甘美な堕落への誘いでしょうか。
>「あとほんのすこしのくつじょくをうけいれてくれるなら、きみのおなかにきせいするクソッタレをとりのいてあげる。ひとのこをやどすことができるようにしてあげる」
>「ソレをうみおとすことにたえられないというのなら、いたみもなくねむらせてあげる。あとのしまつとあいつらへのケジメは、みんなでしっかりひきうけてあげる」
>「「きみは、どうしたい?」」
2人の視線を受け、硬く目を閉じる女冒険者。再び目を開いたときに彼女が出した答えは……。
瞼越しに感じる眩しさに反応して、ソレは小さな身じろぎをしていました。
生暖かい液体に浸かり、快適に過ごしていたハズなのに、肌に感じるのは乾いた空気と……身を刺すような殺気。
重い瞼を開きながら不満の声を上げようとした瞬間、怖ろしい力で口を塞がれ、出るのはくぐもった吐息だけです。
焦点の合わぬ目で見上げれば、口を塞ぐ腕の先にはふたつの赤い光。
その光は徐々に近づき、ソレの視界一杯に迫った時。光の下に亀裂が走り、そこから発する悍ましい音がソレの耳に入りました。
「だまれ。おまえのたんじょうはだれからもしゅくふくされてなどいない。うぶごえなどあげさせてたまるか。おまえがいまいかされているのは、おまえたちがどれほどみにくくおぞましいものなのかをみなにあらためてしらしめるためだ。わかったらふるえてまっていろ」
言葉の意味はまったくわかりませんが、目の前の何かがとても恐ろしいものであることはソレにもわかりました。
声を出させぬよう細長く血生臭いモノを口に噛まされ、無造作に頭陀袋に放りこまれるソレ。僅かでも声を出そうものなら袋の外から万力のような力で締め上げられ、ソレはただ黙るしかありませんでした……。
皆に見てもらいたいものがある、という銀等級からの招集によって訓練場の講堂に集まってきた冒険者たち。水の街へ出向している新米戦士君と見習い聖女ちゃんはいませんが、蜥蜴人の戦士に率いられた
元新人たちの集まりから聞こえるのは依頼に失敗した
「やぁみんな、教官の狩人おねーさんだよ。今日はみんなに見てもらいたいモノがあるんだ」
普段通りの調子で講堂に現れた森人狩人さん。後ろには同じく教官を務めることの多い森人少女ちゃんと、彼女に支えられて歩く1人の女性。若干顔色が悪いのは≪
「……もう知っている子もいると思うけど、君達の同期の
まずは依頼半ばで斃れた彼らに祈りを、という森人狩人さんの声に黙祷を捧げる冒険者たち。顔を上げた彼らの視線が向けられるのは、生き残りという女冒険者です。憐憫、或いは忌避の混じる視線を向けられてなお正面を見る彼女の姿はとても力強いものに感じられます。
「皆様もご存知でしょう。ゴブリンの成長は早く、腹が膨らむ頃には産むしかないという状態であることが殆どです。その悍ましさに耐えきれず。自ら命を絶つ女性も少なくありません」
「でも、彼女は耐えた。凌辱の限りを尽くされながら、殺された仲間の言葉を信じ、救出が来るまで生き残った」
これはすごいことなんだと語る教官2人の目には、歓喜とも狂気とも見分けのつかない光が宿っています。話を聞く中には、口元を押さえながら必死に立ち続ける女性冒険者の姿も見て取れますね。
「そして彼女は選んだ。1匹のゴブリンを道連れに死ぬことでも、黙して悍ましい害獣を産み落とす事でもなく、自らの腹を裂いて追い出す道を!」
講堂内に響き渡る森人狩人さんの声に合わせるように頭陀袋の中身を放り出すゴブスレさん。中から出てきたのは……。
「……!?!?!?」
「既に切開の傷は主さま……そちらの2人によって癒され、彼女は人の子を産むことが出来る身体に戻っております。
そっと分身ちゃんに近づき、後ろから抱き締める森人少女ちゃん。吸血鬼侍ちゃんは森人狩人さんに抱き上げられ、後頭部をお山に埋もれさせています。
「―――ッ!?」
漸く事態を把握したのか、声にならない悲鳴を上げるゴブリン。慌てて立ち上がろうとしますが、いくら成長が早いといってもまだ揺り籠を追い出されて一刻と経っていないのでは足元もおぼつかす、無様に転倒を繰り返すだけ。そこにゆっくりと近付く姿があります。
感情の浮かばぬ瞳でゴブリンを見つめ、視線を合わせるようにしゃがみ込むのは青白い顔の女冒険者。そっと顔に触れるように両手を伸ばしていきます。本能的に察知したのでしょうか、まるで母親に縋るようにつんのめりながら歩み寄って行く小さなゴブリン。倒れ込んで来るその身体を
「良かった……。万が一にでも母性本能を刺激されるようなら死のうと思ってたけど、一切そんな気持ちは湧いてこない。やっぱりただの寄生虫ね」
絶妙に加減された力と自重によって窒息し、地に着かぬ足をバタつかせるゴブリン。まだ未熟な爪を彼女の腕に突き立てようとして剥がれてもなお、もがくのを止めようとしません。そのあまりに生き汚い光景を見た冒険者たちに浮かぶのは嫌悪と畏怖の色。ゴブリンというモノの醜悪さと、それを殺さんとする人間の持つ漆黒の殺意に対してでしょう。
やがて動きを止めたゴブリンを床に落とし、腰に差していた短刀でその心臓を抉る女冒険者。最期にビクンと身体が跳ねるのを見て、身震いする冒険者たち。この期に及んで死んだふりをするゴブリンの、生に対する執着に恐怖すら感じているのかもしれません。
「彼女たちには、油断も慢心も無かった」
森人狩人さんが女冒険者の手から短刀を受け取るのを横目で見ながら、冒険者たちに語り掛けるゴブスレさん。その淡々とした声に引き込まれるように彼らの視線が集まっていきます。
「幾ら周到に準備をしても、完璧に装備を整えても、万全の
例え銀等級であっても、その事実は変わらない。そう語るゴブスレさんの言葉に何も反論は上がってきません。
「冒険に失敗した冒険者の末路は悲惨なものだ。死ぬことが救いになるような目に遭う可能性だってある。だが……」
僅かに下を向いた後、再び語りだすゴブスレさん。その言葉には先程までとは違い、微かに熱が籠っているように感じます……。
「あえて言わせてもらう。生き残ることを諦めるな。生き残りさえすれば挑むことが出来る。己に、仲間に襲い掛かった不条理に。そしてそれでも駄目な時は……?」
そこまで話したゴブスレさんの両手に、そっと触れるものが。見れば森人2人から逃げ出してきた吸血鬼侍ちゃんと分身ちゃんが、その手をギュッと握っています。満面の笑みを見せる2人に呆れたように溜息を吐くと、途切れかけた言葉を続けます。
「
ケジメは後から必ずつけるという言葉で締めくくられたゴブスレさんのお話し。言葉も無く聞き続けていた冒険者の中から、次第にクスクスという笑い声が聞こえ始めました。やがてそれは伝染し、講堂中に響くような大きなものへと変わっていきます。
「……何か可笑しかったか?」
>「ん~ん、ぜんぜん!」
>「すごいよかったよ。ゴブリンスレイヤーってかんじで」
2人からの称賛にそうか、と一言だけ返すゴブスレさん。きっとみんなも同じ気持ちなんでしょう。『仲間』でも『友人』でもなく、ただ同業でしかない『冒険者』。それでも誰かが未練を晴らしてくれるのなら、満足して終われる。後を継ぐ者がいるのだと言いたかったのは通じていると思いますよ?
「そうだ、皆良くやってくれている。準備も、根回しも、事後処理の計画もだ。何も心配するような事は無い……」
なのに、何故……とソファーに腰掛けたまま自問自答を繰り返しているゴブスレさん。先ほどまで狼を撫でていた手も動きを止め、心配そうな狼に舐められるがままになっています。どうにか元気付けようとしていた英霊さんたちも、万策尽きたのか壁に手を当てて反省のポーズ。うーん、思考が負のスパイラルに陥ってますねぇ。あまり悪い方向に物事を考えていると、どんなに
手術も佳境に入っているようですし、誰かあの空気を変えてくれる人は……。
あ、覚知神さん。彼女が現場に到着した? 良かった! 彼女ならきっとゴブスレさんのマイナス思考を止めてくれる筈です。なんとかしてあの重たい空気を払拭してくださ~い!
「やはり俺は彼女に相応しい人間ではないのか。所詮俺はゴブリンにとってのゴブリン、人並みの人生なぞ望むべきでは無かったのか。俺なんかが……」
「「俺なんかが幸せになる権利なんてない!」……な~んて、そんな馬鹿なことは考えていないわよね?」
口から零れた言葉を一言一句なぞる声に顔を跳ね上げ、辺りを見回すゴブスレさん。
いつの間に現れたのか、ソファーに埋もれるように腰を下ろしていた彼の前に、1人の女性が立っていました。
慌てたように傅く英霊さんにいいからいいからと手を横に振り、目敏くお山を見つけた狼へはこのスケベさんめと両のほっぺたをワシワシ。
ゴブスレさんの肩口ほどまでしかない小さな身体。昔はもっと大きく思えていた筈なのに、今はもう彼のほうが見下ろすようになっています。
あの日見たのと寸分違わぬその姿に、立ち上がった姿勢のまま茫然と見つめるゴブスレさんの口から洩れたのは……。
「……
今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。
予想より1~2話ほど伸びそうなので失踪します。
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お時間がありましたら、一言でも構いませんので感想を頂ければ嬉しいです。今後の作品の方向性にも影響してくると思いますので。
誤字脱字のご連絡も助かっております。減らしたいと思ってもなかなか無くならないのが辛いですね……。
お読みいただきありがとうございました。