ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ   作:夜鳥空

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 シリアスさんは遅めのGWなので初投稿です。




セッションその10.5

 これで一国一城の主な実況プレイ、はーじまーるよー。

 

 前回、無事にゴブスレさんがパパになったところから再開です。

 

 不思議な訪問者もあった出産から約三か月。ゴブスレさん譲りの灰色髪なお姉ちゃんと牛飼若奥さんと同じ赤髪の弟くんですが、体調を崩すことも無くすくすくと成長しています。2人とも首がすわり、ママと他の人の区別がつき始めたようで、日替わりでお世話をしている女性たちが抱き上げている時と反応が違うみたいです。

 

 ママ以外で懐いているのはお姉ちゃんが女魔法使いちゃんと剣の乙女、弟くんが女神官ちゃんと……妖精弓手ちゃんでした。ダブル吸血鬼ちゃんは嫌われてはいないのですが、まだ魂が未熟な段階でヤバイ級アンデッドが近付くのは宜しくないだろうという考えのもと、涙を呑んで自粛中です。もうちょっと大きくなったら遊んであげてくださいね?

 

 

 

 さて、そんな感じに年も明け、真冬ということで牧場もあまり作業がありません。家畜の世話はありますが、それも狼と英霊さんが暇つぶしに済ませてしまうので、ぶっちゃけやることがないんですよね。そのため実習に来ていた地母神神殿の子供たちは机勉強のために神殿へ一時里帰り中。代わりに牧場に滞在してるのは……。

 

 

「むぅ、おしめを縫うというのもなかなかに難しいのだな……」

 

「これも 母親 の 役目 よ? がんばって ね?」

 

「みんなが端切れを持ち寄ってくれたから、まだまだいっぱい作れますよ!」

 

 暖炉の前に椅子を並べ、繕い物をしている3人の女性。そのうち2人のおなかは大きく膨らんでおり、マタニティドレスの上にカーディガンを羽織り、腹部には毛布を掛けています。1人スリムなボディラインを維持している牛飼若奥さんが、真剣な眼差しで針先を見つめている女騎士さんと、それを横目に見事な速さでおしめを縫い上げている魔女パイセンの前に端切れを積み上げながら笑っています。

 

 というわけで、現在空いた宿泊スペースを有効活用するために出産を控えた銀等級奥様が牧場に滞在しています。どうしてもギルドの宿泊所ですと深夜の騒音や人の出入りがあるので環境的によろしくないですし、ゴブスレさんの結婚資金もありますが、冬場収入の減少する牧場にお金を落とす意味も込めて纏まった宿泊代を払っているみたいですね。

 

 最初は受け取ろうとしなかった牛飼若奥さんでしたが、腕の良い神官が常駐しているうえに出産経験のある女性がいると心強いという2人の意向もあり、そういうことならと受け取ったとのこと。春までのぶんをポンと前払いしたみたいですが、それでも銀等級らしい生活水準を要求されていたギルド暮らしに比べれば少ないんだとか。どうしても等級が上がればそれなりにお金を使うことを期待されますし、無言の圧力みたいなものもあったんでしょうねぇ……。

 

 あ、ちなみにわりかし成り上がりテイストな吸血鬼君主ちゃん一党の場合、早いうちに持ち家を手に入れたのと動かせる金が辺境の街の経済力を超えているので、そういうことは言われてないみたいです。やろうと思えば街一つ干上がらせることも出来ちゃいますからね、しませんけど。

 

 

 

「お疲れ様です、温かいお茶とお菓子を持ってきたので少し休憩にしませんか?」

 

 お、女神官ちゃんがお盆に湯気の立つ紅茶と焼菓子を乗せて部屋へ入って来ました。その首に掛けられている冒険者認識票は翠玉に変わっています。

 

「ああ、ありがとう。ずっと縫い目を見ていて頭が痛くなってきたところだったのだ……」

 

「あら? 昇級 したの ね おめでとう」

 

 縫いかけのおしめっぽいサムシングを机の上に放り出し、女神官ちゃんの差し出すカップを受け取る女騎士さん。同じようにカップを受け取ったパイセンが目敏く認識票の更新に気付き、優しく微笑みかけていますね。

 

「はい! このあいだの研究発表が認められて翠玉等級になりました!!」

 

 薄い胸を張りながら自慢げに笑う女神官ちゃんの姿に3人の顔も緩んでいます。帝王切開手術の確立と、それに付随する麻酔および()()()の摘出法を纏めたレポートは陛下を始め王国上層部に高く評価され、女神官ちゃんと見習い聖女ちゃんの名声は一気に広がりました。

 

 既に前報酬として青玉等級になっていた女神官ちゃんは翠玉に、白磁のままだった見習い聖女ちゃんは一気に青玉まで昇格というスピード昇進。賢者ちゃんや剣の乙女の後押しもあったとはいえ、2人とも頑張っていましたからね。等級のプレッシャーに負けないようこれからもよろしくお願いします。

 

 

 

 

 

 

 さて、そんなこんなでまったりとした日々が続いていたのですが……。現在、吸血鬼君主ちゃんと侍ちゃんは王都に来ています。涙を浮かべた2人の手を取り真ん中で微笑んでいるのは聖人尼僧さん。その後ろであらあらうふふと笑っている彼女をげんなりした顔で見ているのは妖精弓手ちゃんと森人狩人さんです。聖人尼僧さんに捕縛されている2人を取り返す算段を立てながら、ひそひそと昨日起きた惨劇の話をしているようですね。

 

「あの2人をいっぺんに相手取って完勝するとか、ホントに人間なのかしらあのおっぱい……」

 

「うんうん。まさか昼だけじゃなくて、夜の勝負でも2人纏めて枯らしてしまうなんてね……」

 

 ……2人の台詞からカンの良い視聴神さんはお察しになるかと思いますが、一応今朝ナニがあったのかお話ししておきましょうか。

 


 

「ヒック……グスッ……たいようしんさまのしんでん……?」

 

「はい、神官長を凌ぐほどの実力をお持ちですし、この街に神殿を拓くのも良いかと思いまして」

 

 半泣き顔を妖精弓手ちゃんの薄い胸に擦り付けながらの吸血鬼君主ちゃんの問いにツヤツヤ笑顔で返事をする聖人尼僧さん。その背後では同じく半泣きの吸血鬼侍ちゃんが森人狩人さんのお山をちゅーちゅーしています。

 

 突然≪転移≫の鏡から現れたと思ったらクラスチェンジした2人の首根っこを掴み、強制的に手合わせ。≪分身(アザーセルフ)≫のエラッタから一足先に逃げ出して調子に乗っていた2人を再生出来なくなるまでボコり、そのまま寝室で夜通し搾り取るという凶悪コンボ。遅めの太陽が顔を覗かせて暫し、つい先ほど解放された2人は半鬼人先生や傷あり司祭さんに手も足も出なかった時と同じくらい凹んでいました……。

 

「ええと、それを伝えるためにわざわざ此処へ? あとなんで2人をボコボコにしたのかしら?」

 

「はい。もともと手合わせはお約束していましたし、あの純情な()が会う度に自慢してくるのでずっと気になってまして……お2人の()()()

 

 頬をヒクつかせて問う妖精弓手ちゃんに対しても、にこやか笑いを崩さずに卑猥なジェスチャーを見せる聖人尼僧さん。剣の乙女ってば他所でナニを言ってるんですかもう。ほら、妖精弓手ちゃんも「まぁ、たしかにシルマリルとヘルルインの魔剣はすごいけど……」なんて言いながら真っ赤になっちゃってますし。……()()()()()

 

「……ぷぁ。ヘルルインってぼくのこと?」

 

「古い森人(エルフ)の言葉で蒼く輝く氷星(シリウス)を表すものだよご主人様。なるほど、ご主人様にぴったりだね」

 

 ほー、天上で一番明るく輝く星のことですね。森人(エルフ)が敬愛する星々の女王(エレンターリ)灯をともす者(ティアンタレ)の異名を持つ彼女の最高傑作で呼ぶとはなかなかロマンチストじゃないですか妖精弓手ちゃん。森人狩人さんに撫でられながら何度も繰り返してますし、吸血鬼侍ちゃんも気に入ったみたいですね。

 

「それに、人間と共存を謳うのであれば、太陽神に仕える吸血鬼という肩書は役に立つのではありませんか?」

 

 卑猥なハンドサインを引っ込めた代わりに口から出るのは至極まっとうな意見。これには流石に妖精弓手ちゃんも反論できません。まだ胸元でベソかいている吸血鬼君主ちゃんを宥めながら、どうしたいのかを聞いています。

 

「どうするシルマリル? あのおっぱい尼僧の言う通り、シルマリルの願いを叶えるには悪くない話だと思うけど」

 

「ん……やる。みんなのこころをあかるくてらせるようなしんでんをつくる」

 

 おお、やる気になってるみたいですね! その言葉を聞いた聖人尼僧さんがポンと手を打ち合わせ、微笑みを崩さぬまま提案したのが……。

 

「うふふ、それじゃ行きましょうか。≪転移≫の鏡を使えば王都の太陽神の神殿まであっという間ですよ?」

 

「「……え、いまから?」」

 


 

 なんとか聖人尼僧に捕縛された2人を取り返し、彼女の先導で歩く吸血鬼君主ちゃん一行。若干怯えている見た目圃人の少女を森人2人がおんぶして歩く姿は、事情を知らない道行く人から見れば微笑ましく映ることでしょう。残念ながら背中の2人、歩く核弾頭なんですよ。

 

「それで、その太陽神の神殿とやらは何処にあるのかな? 見たところこの辺りは商業地区のように思えるのだけれど」

 

「うふふ、もう見えてきましたよ。ほら、あそこです」

 

 半目の森人狩人さんの問いをいつもの微笑みでいなしながら聖人尼僧さんが指差す先には……なんでしょう? 人だかりが出来ている建物があります。威勢の良い掛け声や注文を復唱する店員と思われる人の復唱が響く一画は周辺の商店に比べても繁盛しているみたいですけど……。

 

「え、もしかしてあそこが?」

 

「はい、太陽神の神殿です。信徒の方が育てた野菜や畜産物の直売、その場で食べられる食堂などもあるんですよ?」

 

 ほほう、直売所やイートインスペースもあるとはなかなか珍しいですね……って、それなんて道の駅ですか? どうやら神殿の一画を解放して行っているみたいですけど、なんだか普通の神殿とはイメージが全然違いますねぇ……。

 

「へぇ、面白いことをしているんだね……っと、ご主人様急にどうしたんだい!?」

 

 おや? 先ほどまで元気が無かった吸血鬼君主ちゃんと侍ちゃんが突然背中から飛び降りて駆けだしちゃいました。向かった先は煙と良い匂いのする鉄板の前、どうやら牛肉を焼いているみたいです。分厚く切り出された赤身の肉を見て2人の口元から涎がダラダラと……搾り取られたせいでおなか空いてるんですねきっと。

 

「おいしそう……」

 

「おこづかいでたべてもだいじょうぶかなぁ……」

 

 一般人から……いや、普通の冒険者から見ればアホ程稼いでいる2人ですが、まともな金銭感覚を身に着けさせるために、令嬢剣士さんからお小遣い帳を書くよう言われています。幾ら使ってもその場では大丈夫ですが、後でお説教されちゃうので2人ともちょっと躊躇っていますね。たぶんこの前、蛞蝓野郎(フラック)に金塊をそのまま投げつけたのが原因なんだろうなぁ……。

 

 

 

「ちっこい嬢ちゃんたち、肉を喰えば大きくなるぞ! 喰っていくかい?」

 

 不意に頭上からかけられた声に驚く2人。通常の発声とは違う、()()()()()()()()()()声の主を見て目を輝かせています。

 

「ほあ~!」

 

「かっこいい!」

 

 大きな真紅の複眼に、額から生えた2本の触角。艶やかな黒と濃緑の外骨格を惜しげもなく晒す軽装のなかで、唯一目立つのは腰帯(ベルト)に輝く2つの太陽石(キングストーン)。混沌の勢力の中でも最も恐れられている種族のひとつである飛蝗人(ローカスト)がエプロン姿でステーキを焼く姿は、なかなかにシュールですね。

 

「ちょっと2人とも、勝手に走り出しちゃ……うわ、ビックリした!?」

 

蟲人(ミュルミドン)、しかも飛蝗人(ローカスト)とは……街中で見るのは初めてかな」

 

 ようやく追い付いてきた森人2人も声の主を見て目を丸くしています。最後尾をゆっくりと歩いてきた聖人尼僧さんが彼の前まで進み、悪戯が成功したような顔で彼を紹介してくれました。

 

 

 

「こちら、この太陽神の神殿を治める神官長様です。……貴女たちと同じく、祈る者(プレイヤー)として目覚めた方でもあるのですよ?」

 

 

 

「持ち上げるのは止してくれ、今はただのステーキ屋の主人さ!」

 

 

 

 

 

 

「ええぇぇぇぇぇぇぇ~!?」

 

 

 

 ……そんな大きな声を出したら他の方に迷惑ですよ、そこの2000歳児。

 

 

 

 

 

 

「「うめ、うめ、うめ……」」

 

「良い食べっぷりだ! おかわりはまだまだ焼けるからな!!」

 

「あーあー2人ともがっついちゃって……あ、でも美味しい」

 

 お子様用の椅子に腰かけ、一心不乱にステーキを貪る2人を見て顎を鳴らしながら笑う飛蝗人(ローカスト)の神官長さん。えぇと太陽神さん、あの人はなんて呼べば……。蟲人英雄? じゃあそれで。

 

 最初は警戒していた妖精弓手ちゃんも、2人の懐きっぷりから悪い人じゃないと判断したのか、吸血鬼君主ちゃんの隣で焼き野菜を頬張っています。食事療法からこっち平気で肉食をするようになった森人狩人さんは、吸血鬼侍ちゃんにあーんしたりしてもらったりとランチを満喫中ですね。

 

 2人のおなかがぽっこり膨らんだ頃合いを見計らって聖人尼僧さんが新しく太陽神の神殿を建立したい旨を話すと、蟲人英雄さんはあっさりと快諾してくれました。あまりの即断即決っぷりに妖精弓手ちゃんが理由を訪ねたところ、帰ってきたのはいかにも太陽神の信徒らしい答えでした。

 

「太陽はいつでも皆を見守ってくれているからな!」

 

 なんか理由になってないような気もしますが、向こうで太陽神さんがへへっと鼻の下を指で擦っているから問題無いでしょう! 聖騎士さんといい蟲人英雄さんといい太陽神さんの信徒はおおらかな人が多いみたいですね。

 

 ……おや、良かったわねシルマリルと妖精弓手ちゃんにほっぺをつつかれている吸血鬼君主ちゃんを見ていた蟲人英雄さんの視線が、いつの間にか吸血鬼侍ちゃんに向けられています。何処か懐かしいものを見るような視線に気付いた吸血鬼侍ちゃんが、デザートを食べる手を休めて彼に問いかけています。

 

「あの、ぼくがどうかしたの?」

 

「いや、君の纏う月の香りを感じていたら、不意に親友を思い出してね……」

 

 鉄板を掃除する手を休め、遠い場所を見るように視線を上げた蟲人英雄さん。興味津々な一行の表情を見て、咳払いの後にゆっくりと話し始めました……。

 

 

 

「俺と親友は、飛蝗人(ローカスト)の王となるべく産み出され、育てられていた。だが、俺は太陽の導きで祈る者(プレイヤー)となり、人々の平和を脅かすかつての同胞たちと戦っていた」

 

「アイツは俺を倒すことで王の資格を得られると教え込まされ、俺とアイツは何度も拳を交えた。その中で、アイツもまた祈る者(プレイヤー)となる資格を得ていたんだ」

 

 そう言ったところで一度言葉を区切り、過去を思い出すように沈黙する蟲人英雄さん。再び話しだしたその口調には、苦いものが混じっています。

 

「最後の戦いの時、俺たち2人を纏めて葬ろうと混沌の軍勢が押し寄せてきた。独自の論理で動く飛蝗人(ローカスト)を邪魔に思った魔神の手によるものだった……」

 

 ギチギチと鳴る口元から漏れるのは、悔恨か、それとも怒りでしょうか。深く呼吸をした後に、親友との別れの一幕を語ってくれました。

 

「体勢を崩した俺を庇う形でアイツは魔神の槍で貫かれ、命を落とした。敵味方に別れてしまったが、最期までアイツは俺の親友だったんだ……」

 

「俺は、戦いの中で半身とも言える親友を失った。君達にはそんな後悔を味わってもらいたくはない。互いを信じ、困った時は助け合ってくれ」

 

 そう、絞り出すような声で告げる蟲人英雄さんを見て、お互い頷き合う吸血鬼君主ちゃんと吸血鬼侍ちゃん。そっと硬質な蟲人英雄さんの腕に触れ、誓いの言葉を紡ぎます。

 

 

 

「「だいじょうぶ、ぼくたちはずっといっしょ!」」

 

 

 

 

 

 

「あら、2人だけずっと一緒なんて随分酷いこと言ってくれるじゃない」

 

「まったくだね。私たち全員を虜にしておいて、そのまま放置しておく気なのかな?」

 

「「おあ~……」」

 

 おおう、良い感じだったのに森人2人の可愛いヤキモチで台無しな空気に……。聖人尼僧さんは相変わらずあららうふふですし、蟲人英雄さんも呆気にとられた様子で4人の痴話喧嘩を眺めています。一頻りほっぺを引っ張って満足したのか、膝上に吸血鬼君主ちゃんを乗せた妖精弓手ちゃんが蟲人英雄さんに確認をとっています。

 

「とりあえず、シルマリルが新しく神殿を作るのは良いってことなのよね。でもそういう時ってなんか有難いものを置いたりするんじゃないの? おっきい御印(シンボル)とか」

 

「うん? ああ、太陽神は太陽そのものが御印(シンボル)だからそういったものは……」

 

 そこまで口にした蟲人英雄さん、はたと何かに気付いたようにダブル吸血鬼ちゃんと交互に見渡し、納得したように大きく頷いています。ちょっと待っててくれと言い残し、風のような速さで神殿の奥へと走り去ってしまいました。戻ってきたその手には細長いものを覆った包みが2つ抱えられていますね。黄色い紐で封がされたほうを吸血鬼君主ちゃんに、青い紐で封がされたほうを吸血鬼侍ちゃんに差し出しながらこう告げています。

 

祈る者(プレイヤー)としての先輩から、後輩へのプレゼントだ。受け取ってくれるかい?」

 

 頷きながら受け取り、封を解く2人。包みが解放されると同時に周囲に溢れ出したのは、むせかえるような太陽と月の香りです。

 

「なにそれ、精霊が驚いて逃げてっちゃったわよ……」

 

「美しい。とても綺麗な刀身だね……」

 

 吸血鬼君主ちゃんの手には1本の(ケイン)。短いながらもびっしりと紋様が刻まれたそれは白く輝き、振り抜いた軌跡に光が舞っています。

 

 吸血鬼侍ちゃんの手には護拳付きの長刀(サーベル)。精緻な装飾の鞘から抜き放たれた刀身は真紅に輝き、吸い込まれるような美しさを見せています。

 

 

 

「かつて、俺と親友が使っていたものだ。俺たちは互いに向けてしまったが、どうか君たちは互いを護るために使って欲しい……」

 

 

 

「「うん、やくそくする!!」」

 

 

 

 自信に満ちた表情の2人を見て、どこか肩の荷が下りた様子の蟲人英雄さん。きっと貴方の親友だった……いえ、今も親友である人も認めてくれているでしょう。……ですよね! 万知神さん?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、結局此処に祠を作ったってわけね」

 

 女魔法使いちゃんが見つめる先、ギルドの訓練場の集会所に作られた小さな祠をエヘ顔の吸血鬼君主ちゃんが掃除しています。御印(シンボル)のかわりに置かれた太陽のメダルはピカピカに磨かれ、まわりには農家の出と思われる新米冒険者が祈りを捧げていますね。

 

 その隣には同じように万知神さんの祠。版上げで使用されなくなった怪物事典(モンスターマニュアル)や古い教科書などが乱雑に積まれた周囲にはこれまた神殿や学院出身の新米たちが集まっています。

 

 許可を貰ったは良いものの、何処に建てるかや維持はどうするんだという問題で喧々諤々だった一幕があり、結局ギルドにお願いして訓練場の隅に置かせてもらうことにしたようです。え、万知神さんの許可は得たのかって? 吸血鬼侍ちゃん曰く、聖典(ルルブ)の何処にも神殿を建てる時は万知神さんの許可を得なければいけないって書いてなかったから良いんだそうです。

 

「まぁまぁ下姉様、良いではありませんか。主さまが神殿を預かる神官として認められれば今後も何かと動きやすくなるというものです」

 

 森人少女ちゃんが取り為してますけど、彼女も万知神さんの信徒ですからねぇ。これから新米たちを洗脳……支配……教育していくのは間違いなさそうです。それが目に見えているから女魔法使いちゃんも半目で横にいるニッコニコの森人少女ちゃんを見ているのでしょう。

 

 

 

 何はともあれこれでダブル吸血鬼ちゃんが人界へ溶け込む下地の第一歩が完成したわけで。帝王切開関連の協力も含め、これからも継続して友好政策を執り続けていきましょう! 目指せ親愛なる隣人、次は見習い聖女から見習いを奪い取る作業に入るんだ!!

 

 

 

 今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 




 気合い入れてサプリを読み込みたいので失踪します。

 お気に入り登録に評価や感想、非常に励みとなっております。

 お時間がありましたら、一言でも構いませんので感想を頂ければ嬉しいです。今後の作品の方向性にも影響してくると思いますので。

 誤字脱字のご連絡も助かっております。減らしたいと思ってもなかなか無くならないのが辛いですね……。

 お読みいただきありがとうございました。
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