ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ   作:夜鳥空

75 / 180
 シリアスさんは深刻な五月病に感染してしまったので初投稿です。

 サプリのあちこちに散らばるネタに気を取られて時間がかかってしまいました。本家に負けないように全力でネタに走るセッションをお楽しみください。


セッションその11-1

 お菓子ヨシ! 飲み物ヨシ! 録音機材(アカシックレコーダー)ヨシ! うん、準備はバッチリですね!!

 

 あ、至高神さんおはようございます! 剣の乙女と見習い聖女ちゃんに送る≪託宣(ハンドアウト)≫は出来ましたか……って、どうしたんですそんな緊張しちゃって? 今日は可愛い推しの晴れ舞台じゃないですか。もっと明るく元気にいきましょうよ!

 

 え、緊急事態? あの()が見学に来る? ええと、今まで来てなくて顔を出しそうな()ですと……嗜虐神さんですか? それともこのあいだ思いっきり説教していた吟遊詩神もとい死灰神さん? その2()でもないとすると……。

 

 ……あ、まさか。秩序と混沌の大規模戦争が冒険に移り変わってから、顔を見せてなかったあの()ですか!?

 

 それは……ちょっと想定の範囲を超えてますね。昔のノリで介入されると、冒険が血と硝煙塗れになっちゃうかも。まぁ今回は見るだけでしょうし、いきなり推しを登場させるなんてことは……あのGM? なんで露骨に目を逸らすんですか? ウソ、もしかして。もう、既に……!?

 

 

 


 

 あー、うぉっほん! 本格的にダブル主人公で進行する実況プレイ、はーじまーるよー!!

 

 さて、暦の上ではもう春という時期にもかかわらず小雪のちらつく辺境の街。吸血鬼君主ちゃん一党(パーティ)宅のリビングには炬燵様が鎮座しておられます。

 

「「ごっはん~ごっはん~♪」」

 

「寒いのに食欲旺盛ねぇ。こうも雪が続くようならまたシルマリルが物資の緊急輸送に呼ばれるかもしれないわねぇ」

 

 よっぽどおゆはんが楽しみなのか、ダブル吸血鬼ちゃんが声を揃えて即興の歌を口ずさんでますね。キッチンからは濃厚なチーズの香りが漂ってきており、ペコペコのおなかに住んでいる妖精さんたちが一斉に鳴き出しているようです。吸血鬼君主ちゃんを膝上に乗せ、肩口に顎を乗せた状態で炬燵に潜り込んでいる妖精弓手ちゃんが恨めしそうな声で長い冬を呪っています。

 

 やはりというかなんというか、土下座する勢いの監督官さんに頼まれて昨年同様物資輸送に従事していた吸血鬼君主ちゃん。だいぶ前に輸送依頼は完了していますが、雪に閉ざされた状態が長く続くようですと、また食料が不足する集落が出るかもしれません。

 

 冬になる前にゴブリンの駆除を進めていましたが、完全に殲滅するのは難しいですからねぇ。蓄えを狙って集落を襲う群れが出る恐れもありますので、現在吸血鬼侍ちゃんが西方辺境を巡回しており、本日はその労いを込めて牧場から貰った畜産物で豪華なおゆはんというわけです!

 

「拙僧も昨年頂戴したこの懐炉が無ければ冬眠していたかもしれませんなぁ。今日の晩餐に招待して頂いたことも合わせて何か返礼を考えなければ」

 

 妖精弓手ちゃんの対面、同じように吸血鬼侍ちゃんを膝上に抱えた蜥蜴僧侶さんが、尻尾をくゆらせながらしみじみといった様子で頷いています。牧場での働きに対して現物で報酬を貰っていた一党(パーティ)、山のように積み上がったチーズと腸詰を見て、真っ先に思い浮かんだのが蜥蜴僧侶さんでした。チーズをたっぷりつかったおゆはんに招待したところ何処からか丸鶏を調達してくれましたので、只今キッチンで令嬢剣士さんが調理中というわけです。

 

 

 

「お待たせいたしましたわ! 牧場のチーズと宰相から頂いた白葡萄酒をベースに作った特製のチーズフォンデュ。鶏モツと玉葱のパイ包み焼きはもう少しお待ちくださいまし」

 

 お、令嬢剣士さんが良い匂いのする土鍋を運んできましたよ! 炬燵に用意しておいた保温の魔法がかかった鍋敷きの上に乗せられた鍋は沸々と煮え立ち、中のチーズはトロリととろけた状態で保たれるようになっています。続けて運ばれてくる食材たちが所狭しと並べられ、本日のおゆはんが完成です!

 

「甘露ッ!!」

 

「「おいし~!!」」

 

 めいめいが食べたいものを串に取り、黄色いチーズの海へ投入。予め火を通してある食材へ十分にチーズが絡んだところで取り出し、そのまま口へと運ぶ贅沢な食べ方です。チーズと同じく牧場で作られた腸詰は抜群の相性、頬張った蜥蜴僧侶さんの口からはいつもの声が飛び出していますね。ベーコンや馬鈴薯を頬張るダブル吸血鬼のほっぺたも落っこちそうになっています。

 

「あぁ~。身体の中からあったまるし、2種類の違ったコクが楽しめるからいいわねコレ」

 

 頬を緩ませる妖精弓手ちゃんが口にしているのは牧場での薪割の時に見つけたカミキリムシの幼虫ですね。下茹でされてピンと伸びた身にチーズの衣を纏わせ、噛み千切れば口中に溢れる濃厚な旨味。甘い幼虫とチーズの塩分が織りなすハーモニーは薄味を好む森人(エルフ)の舌も唸らせる味のようです。

 

「素材が良いものでしたから、私の拙い調理でも美味しく出来上がってくれましたの。あ、麺麭もなかなかイケますわよ?」

 

 エプロンと三角巾を外して着席した令嬢剣士さんも、骰子状に切り出して焼き色を付けた麺麭を口にしながら笑みを浮かべていますね。根菜にキノコ、大蒜などを摘まみつつ、白葡萄酒でくどくなった口内をさっぱりさせている姿は育ちの良さを感じさせます。外は雪の混じった寒風が止まぬ中、温水暖房と炬燵によって暖かい部屋で進むささやかな夕食会。用意した具材が全て無くなるまで、そう長い時間はかかりませんでした……。

 

 

 

「はぁ……美味しかった。他の連中も来られなくて悔しがるでしょうねぇ。あとで自慢してやろっと!」

 

 鶏モツと玉葱のパイ包み焼きに加えて〆のパスタまで貪り尽くし、満足げに仰向けに倒れる妖精弓手ちゃん。彼女の言う通り、今日はちょっと人数が少なめでした。

 

 剣の乙女は見習い聖女ちゃんと一緒に神殿に向かい、至高神さんからの≪託宣(ハンドアウト)≫を待っている状態。女魔法使いちゃんと森人義姉妹(エルフ2人)は賢者ちゃんと一緒に学院へ赴いているそうです。出発の際に意味深に微笑んでいた4人を思い出したのか、ダブル吸血鬼ちゃんは若干震えていますね……。

 

「にしても……シルマリルにもヘルルインにも好かれているなんて、ちょっと妬けちゃうかも」

 

「いやぁ、拙僧に鱗が無かったら肌を重ねるのも良いかもしれませんが、残念なことに一張羅でありますからなぁ」

 

 妖精弓手ちゃんが蜥蜴僧侶さんの懐で丸くなっている吸血鬼君主ちゃんを見ながら漏らす呟きに、牙を見せる笑みで答える蜥蜴僧侶さん。さっきまで膝を占領していた吸血鬼侍ちゃんは現在令嬢剣士さんの胸元に潜り込んでいます。

 

「それに、君主殿は()()()()()()でいなければならぬと聞いております故、拙僧も紳士的に接しなければならぬ次第。こうやって触れるのが精一杯でありますなぁ」

 

「あう……」

 

 蜥蜴僧侶さんに撫でられながら頬を赤くする吸血鬼君主ちゃん。はい、実は今吸血鬼君主ちゃん、ピュアピュアな処女(おとめ)なんです……。

 

 

 

 みんなの協力で新しい身体を手に入れた吸血鬼君主ちゃん。日光浴で魔力を補充できるようになったものの、ここのところずっとあいにくの空模様、もう何日もおひさまの姿を見ていません。太陽さんの専用奇跡である≪晴天(サニーデイ)≫を使えば1回につき1時間は晴天になるものの、魔力の消費を考えると赤字になってしまう為あえなく断念。ボディ新造の際に吸血鬼侍ちゃんが貯め込んでいた魔力を使ってしまい、剣の乙女の眷属化が遅れてしまうことを悩んでおり、積極的にみんなから魔力を貰うつもりでした。

 

 しかし、いざ夜戦というところで処女(おとめ)になっていたことが発覚。もちろん以前に魔力供給してもらっていましたし、『死の迷宮』でクソザコ吸血鬼をしていた時に一通りの酷い経験はしていたので、とっくの昔に開通済みだったのですが……。どうやらその辺りの問題がまとめてリセットされてしまったようで。ご主人様の初めての相手はこの狩人(ハンター)だッ!と跳びかかる義姉(森人狩人さん)を絞め落とした森人少女ちゃんの一言が、その後の全てを決定しました。

 

 

 

 

 

 

主さまには申し訳ございませんが、≪蘇生(リザレクション)≫を行使する際に都合が良いのでそのまま清らかな身体を保っていただけませんでしょうか? (わたくし)を含め、みな主さまのお手付きですので……」

 

 

 

 ええ、非常に合理的かつ納得力に溢れた言葉だと思います。魔剣で散々みんなを鳴かせておいて清らかはないんじゃない?という意見もありましたが、試しにやってみたところ無事に成功。どうやら魔剣使いはピュア判定には影響を及ぼさなかったようです。正典には乙女が童貞か否かの確認は書いてないからセーフ? だれもそんな状況想定してないんだよなぁ……。

 

 そんなこんなで剣の乙女眷属化計画は絶賛遅延中。太陽神さんの信徒となった吸血鬼君主ちゃんはあんまり吸血を好まなくなり、相手が望まない限りは日光浴かお山から魔力を集める傾向にありますし、独立して攻めっ気がさらに強くなった吸血鬼侍ちゃんを、性癖に反して森人義姉妹(エロフ2人)に代表されるケダモノへ差し出すのも可哀そうという、ちょっとだけ困った状態になってしまいました。

 

 うーん、どこかにこうモリっとゲージを溜められる美味しい(エサ)はいないものですかねぇ……。っと、リビングに設置してある≪転移≫の鏡の表面が波打ち始めましたね。さて、神殿組か学院組かどちらが帰ってきたのでしょうか。

 

 

 

「ただいま戻りましたわ。……あら、良い匂い」

 

「「お、お邪魔しまーす!」」

 

 お、やって来たのは神殿組でした。最初に出てきた剣の乙女に続いて、神殿で修行していた新米戦士カップルがこわごわと鏡を通ってきました。そういえば往路は普通に馬車で向かってましたから鏡を使用するのは初めてかもしれませんね。使用方法を教えてもらうということはそれだけ信頼されていることでもありますし、2人のパワーレベリングは順調みたいです。

 

 3人が揃ってやって来たということは、至高神さんからの≪託宣(ハンドアウト)≫が届いたということでしょうか? 蜥蜴僧侶さんのところから吸血鬼君主ちゃんを強奪して、ちっちゃな尖り耳をしゃぶっていた妖精弓手ちゃんが口を離しながら問いかけています。

 

「おかえり~。もしかして例の≪託宣(ハンドアウト)≫の件?」

 

「ええ。それに関連してお客様が見えてまして……どうぞ此方へ」

 

 おや? 剣の乙女の招きに応じるように、新米カップルの後ろから小さな人影が進み出てきました。歩みとともに響く金属音は人影の足元から……どうやら義足のようですね。素足と金属の足を交互に進ませながら姿を現したのは、壮年の圃人の男性でした。

 

 

 

「ふむ、どうやら夕食は終わってしまったようだね。まぁよろしい。太陽馬鹿(聖騎士)から君たちの話を聞いて依頼を持ってきた。すまないがタオルと温かいお茶を頼む」

 

「おお~……!」

 

 その無礼半歩手前な堂々とした振る舞いとキッチリ着込んだ軍服にも似た装いを見て、感嘆の声を上げるダブル吸血鬼ちゃん。すぐさまお茶と足拭き用のタオルを用意してもてなしの姿勢に入りました。いつにない2人の行動に妖精弓手ちゃんと令嬢剣士さんも目を丸くしていますね。清めた足を炬燵に潜り込ませ、お茶を啜るその姿を見て考え込んでいた蜥蜴僧侶さんが、思い出したかのように声を上げました。

 

「その装いに胸の御印(シンボル)……もしや御身は栄纏神(えいてんしん)に仕える神官では?」

 

「え~てんしん?」

 

 蜥蜴僧侶さんの言葉に首を傾げる吸血鬼君主ちゃん。どうやら知らないみたいです。他の人も同様に首を傾げてますが……おや、妖精弓手ちゃんは知っているみたいですね。もしかして、と前置きをしながら確認するように男性へ問いかけています。

 

「≪破壊≫を司る神の顔の一つで、神代の時代に東方から押し寄せてきた赤い津波を打ち砕いたっていう話をむかーし聞いたことがあるような……」

 

「左様、混沌の軍勢との戦いの時には何処からともなく姿を現し、自由と秩序の守護者として力を振るう人界の護り手。決して見返りを求めることは無く、その身に()()光と誇りは迫る悪意を通さず、振りかざす一撃はあらゆる災厄を粉砕すると戦場では称えられていたとか。こうして実際に目にするのは拙僧も初めてですな……」

 

 敬意を表すように奇妙な合掌を結ぶ蜥蜴僧侶さん。それを見て敬礼にも似た返礼をする男性、いちいち動作がサマになっています。あ、ダブル吸血鬼ちゃんの瞳がアイドルを見るファンのそれになっちゃってますね……。

 

「随分大袈裟に広まってしまっているようだが、あくまで我々は教義に則って力を行使しているに過ぎない。長い戦乱の中で多くの戦友が斃れていった。上の森人(ハイエルフ)お嬢さん(フロイライン)の言う通り、もはや長命なる種族の間で語られる異端の集まりでしかないと私は思うのだがね」

 

「ですが、今回は動くときである。そう言うことなのでしょう? そうでなければ態々水の街(ウチ)まで来たりしませんもの……」

 

 頭痛を堪えるように頭を押さえながらツッコミを入れる剣の乙女。依頼の話はそちらの後で構わんよという彼の言葉に応じ、至高神さんからの≪託宣(ハンドアウト)≫について話し始めました。

 

 

 

「私と彼女……次代の大司教に下された≪託宣(ハンドアウト)≫は、とある村に迫る危機を解決することです。雪に閉ざされた集落を襲う混沌の軍勢から住民を護り、敵の首魁を滅ぼすこと。それを彼女が大司教となるために必要な通過儀礼(イニシエーション)であると、至高神様は判断されたようです」

 

 なるほどなるほど、大筋はそのままで難易度に調整を加えた感じっぽいですね。一党(パーティ)の頭脳担当+アルファが不在なのは調整の一環ということなんでしょう。主役である神官2人の護衛として新米戦士君とダブル吸血鬼ちゃん。残った枠は妖精弓手ちゃん、令嬢剣士さん、蜥蜴僧侶さんから1人を選択というのがGM神さんの当初考えていたものなんだと思います。

 

 ……で、例のあの()の影響で変わった結果、どうなるんでしょうかねぇ。

 

「私に下された≪託宣(オーダー)≫も、恐らく君たちの冒険に関係するものなのだろう」

 

 剣の乙女の言葉を引き継ぐように、飲み干したカップを弄んでいた男性……栄纏神(えいてんしん)の神官さんが話し始めました。曰く、何処かの阿呆共がこの西方辺境に冬を繋ぎ止め、ライフラインの寸断を計画しているんだとか。オマケに春が遅くなるほど農作業は滞り、秋の収穫にも悪影響が出かねないというなかなかに陰湿な作戦を立てているようです。

 

「この地に冬を繋ぎ止める楔となっている魔神……『冬将軍』を討伐すること。それが私に下された指令(ミッション)であり、君達の助力を求めてきた理由でもある」

 

 ええとGM神さん、つまりまた一党(パーティ)分割ですか? まぁ君主ちゃんと侍ちゃんが揃って動くと過剰戦力になっちゃいますし、前回の冒険も視聴神さんたちには好評だったみたいですからねぇ。了解しました、2人を分けつつ適当に編成すれば良いんですね!

 

 

 

「ん~と、だったらぼくがふゆしょうぐんのほうにいくね」

 

 おや、君主ちゃんが先に行先の希望を出しましたけど……剣の乙女とは別行動になっちゃいますが良いんですかね?

 

「ぼくはかまわないけど……いいの?」

 

「うん、きみにならまかせられるし、それに『あのきけんなきゅうけつきをしたがえるじだいのせいじょさますっご~い!』するならぼくよりもきみのほうがいいかな~って。……だめ?」

 

 ほうほう……え、君主ちゃんが頭を使っている……だと……?

 

「確かに、どちらか1人ということでしたら太陽神の信徒である貴女よりも大衆受けはしそうですね。……お願いしても良いでしょうか?」

 

「ん、わかった! ふたりもいっしょにがんばろうね!!」

 

 剣の乙女も侍ちゃんのほうがインパクトが大きいと判断したのか、侍ちゃんに同行をお願いしてますね。勢い良く返事をした侍ちゃんはそのまま新米カップルに飛び込んで2人に強烈なハグ。いきなりのスキンシップに顔を赤くするあたり、まだまだ修行が足りないみたいですね。

 

 

 

「ふむ、であれば拙僧もそちらへ同行致そう。強者に挑むは誉れといえども、名前を聞くだけで拙僧とは相性が悪そうでありますからなぁ……」

 

 どうやら蜥蜴僧侶さんも聖女ちゃん試練組に同行してくれるみたいです。魔神懐炉で緩和されているとはいえ、冬将軍とか明らかに苦手そうですもんね。

 

「人数のバランスを考えるなら残りはシルマリルのほうに着いてったほうが良さそうだけど……」

 

「でも、悪天候の中3人抱えて飛ぶのは流石に無謀ではありませんでしょうか……」

 

 若干口淀む妖精弓手ちゃんの見る先には令嬢剣士さん。君主ちゃんの最大乗員は3人ですが、あくまで飛べるだけであって戦闘はおろか高速飛行も難しくなってしまいますからね。ちょっと心配だけど6-3に別れて……と一行が考える中、スッと上がったのは栄纏神(えいてんしん)の神官さんの手です。

 

「心配無用だ只人(ヒューム)お嬢さん(フロイライン)。こんなナリで動き回る以上、私も自前で()()()()は持っている。上の森人(ハイエルフ)お嬢さん(フロイライン)ならこちらで引き受けよう」

 

 コツンと義足を叩きながら任せたまえよと応じる栄纏神(えいてんしん)の神官さん。流石は推定神官長クラス、剣の乙女のように使徒(ファミリア)を授かっていてもおかしくはありません。≪転移≫を除けばもっとも短時間で長距離を移動出来るのが飛行ですからね、全員の歩調を合わせられるなら最適の手段と言えるでしょう!

 

 

 

「じゃあ組み分けはこれで決まりね! そうしたらギルドに行って明日出発出来るように馬車を手配してくるから、シルマリルとヘルルインはお馬さんを召喚()んでおいて頂戴」

 

「「は~い!」」

 

 上着を引っ掛けて飛び出していった妖精弓手ちゃんに手を振りながら返事をする君主ちゃんと侍ちゃん。どうやら今回も英霊さんにお願いするつもりのようです。新米カップルと蜥蜴僧侶さん、それに栄纏神(えいてんしん)の神官さんにはゲスト用の寝室に泊ってもらうみたいですね。……あ、もちろん全員別々の部屋ですよ?

 

 

 

「当初の予定とは大きく変わってしまいましたけど、これもまた試練ということなのですね」

 

「わぷっ」

 

 みんなをそれぞれの寝室に案内した直後、剣の乙女に後ろからそっと抱き上げられ、お山に顔を埋める形で抱きしめられた君主ちゃん。理性ではこの組み分けが正しいと判っていても、感情的には一緒に冒険したかったんでしょうね……。しばらくは剣の乙女の好きにさせていた君主ちゃんですが、ゆっくりとお山から顔を上げ、ちょっと拗ねているような剣の乙女の頬に両手で触れました。

 

「うん、ぼくもちょっとさみしい。でも、あのこがいればだいじょうぶだろうし、はなれててもこころはつながってるから。だから、そんなかおしないで?」

 

 そのまま剣の乙女に顔を近付けさせ、唇を重ねる2人。微かに響く水音の後に銀糸を引きながら離れた剣の乙女の口から漏れるのは、蕩けるように甘い囁きです。

 

「でしたら、その証をください。離れていても、貴女を感じられるように。私の寂しさが満たされるほどにたくさん……」

 

 そう言いながら君主ちゃんの服に手をかける剣の乙女。イイ感じに盛り上がってますけど、此処は寝室じゃないんですよねぇ……。

 

 

 

 

 

 

「……ああいう甘々なのも新鮮ですわね」

 

「きょうみがあるならやってあげてもいいよ?」

 

「あ、いえ。私はちょっと強引に迫られるほうが好みですから……いつもみたいにお願いします」

 

 

 

 背後から聞こえる声にビクッと震え、ゆっくりと背後を振り返る剣の乙女。そこには顔を赤くした令嬢剣士さんと味わい深い表情の侍ちゃんの姿が。さらにその背後から感情を押し殺した女性の声が響いてきます……。

 

 

 

「ふーん、お馬さんの召喚をヘルルインに任せて女の子とちゅーちゅーしてるなんて。吸血鬼を統べる君主サマは随分と偉いみたいねぇ」

 

「ごめんなさい」

 「ごめんなさい」

 

 

 

 その後、拗ねた妖精弓手ちゃんのご機嫌を取るために明け方近くまでリビングの灯りが消えることは無く、その空気に当てられた侍ちゃんと令嬢剣士さんは大いに盛り上がったそうです。

 

 

 

 

 

 

「大丈夫かね吸血鬼(ヴァンピーア)お嬢さん(フロイライン)。随分と疲れた顔をしているが」

 

「うん……すぐげんきになるからだいじょうぶ」

 

 夜明けと同時に牛乳を飲んで体操を始めた栄纏神(えいてんしん)の神官さん。聖女ちゃん応援組はまだ寝ていますが、どうやら冬将軍討伐組はもう出発するようです。

 

 昨晩は随分盛り上がっていた筈の妖精弓手ちゃんと令嬢剣士さんは生気に満ちたツヤツヤお肌、この様子だと侍ちゃんも暫く起き上がれなさそうですね……。

 

「それで、昨日言ってた飛行手段ってのはなんなの? シルマリルたちみたいに羽根を生やして飛ぶわけじゃ無さそうだし」

 

「慌てる必要はないぞ上の森人(ハイエルフ)お嬢さん(フロイライン)。もう間もなく到着する」

 

 防寒具でバッチリ固めた妖精弓手ちゃんの問いに柔軟運動をしながら返答する栄纏神(えいてんしん)の神官さん。その言い方ですとやはり飛行生物に騎乗するタイプっぽいですね。お、君主ちゃんが何かに反応して顔を上げました。まだ暗い西の空を見ているようですが……。

 

「はえ~……すっごいおっきい……」

 

 闇の中から浮かび上がるように近付くシルエットは巨大な鳥。吸血鬼一党(パーティ)宅上空を旋回する姿はとても優美なもの。バサリバサリと翼を羽ばたかせながら栄纏神(えいてんしん)の神官さんの隣に降り立ったのは、大人が背に乗れるほどに大きな猛禽です。その力強い脚部に括り付けられていた2本の槍を手にした栄纏神(えいてんしん)の神官さんが、呆気にとられた様子の3人に向かって言い放ちます。

 

 

 

 

 

 

「惚けている暇は無いぞお嬢さん(フロイライン)たち、出撃だ!!」

 

 

 

 今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ええと、GM神さん。彼が出てきた時からずっと気になってたことがありまして。いつ聞こうか迷ってたんですけど、この機会に聞いても良いですか?

 

 

 

 

 

 

 あの栄纏神(えいてんしん)の神官を名乗ってる()、どう見ても信徒じゃなくて栄纏神(A-10神)の主神格である破壊神さんですよね???

 

 

 




 こうしちゃいられない、休んでる暇は無いので失踪します。

 お気に入り登録に評価や感想、非常に励みとなっております。

 お時間がありましたら、一言でも構いませんので感想を頂ければ嬉しいです。今後の作品の方向性にも影響してくると思いますので。

 誤字脱字のご連絡も助かっております。減らしたいと思ってもなかなか無くならないのが辛いですね……。

 お読みいただきありがとうございました。

 
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。