ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ 作:夜鳥空
前回、見習い聖女ちゃんサイドに場面転換したところから再開です。
吸血鬼君主ちゃん組が出撃した少し後、太陽がすっかり顔を出した頃に出発した吸血鬼侍ちゃん組。前日に召喚した二頭の英霊馬さんによって快調に進み、その速度は時速20km近くをキープという驚異的なものでした。通常の荷馬車の速度が6~12kmくらいらしいので、およそ倍の速さで行軍していることになります。途中休憩不要な疲れ知らずのアンデッドであることも追い風となり、通常は3日ほどかかる目的地までの行程の八割がたを出発日の夕方までに走破してしまいました。
それだけ速度があると荷馬車への衝撃もかなりのものとなりますが、そこは一面に敷き詰めた毛布を緩衝材にしてカバー。御者要らずで目的地まで進んでくれる英霊馬さんに全てを任せ、一行は馬車の中でぬくぬくあったまっているようです。あ、吸血鬼侍ちゃんがインベントリーを使えなくなってしまったため、馬車の中は荷物が満載です。辛うじて確保できたスペースに炬燵を設置している一行でございます。
日が暮れてきたために、本日は此処までという事で夜営の準備を済ませた一行。荷物でスペースが圧迫され全員で寝るのは厳しいので、申し訳ないのですが男性2人はお外でテント泊、女性陣は馬車の中で睡眠をとるつもりみたいですね。外では蜥蜴僧侶さんが組み上げた竈に、灯り兼おゆはん準備用の焚火を新米戦士くんが起こそうとしています。
「あのね、出発した時からどうしても気になっていることがあるんだけど……」
>「ん、な~に?」
おや、炬燵の魔力に憑りつかれ抜け出せなくなっている見習い聖女ちゃんが、対面にいる吸血鬼侍ちゃんに問いかけています。吸血鬼侍ちゃんは剣の乙女のお山と掛毛布の間で丸くなっており、彼女が身じろぎする度に形を変えるたわわへと見習い聖女ちゃんが複雑な視線を向けています。その視線を馬車の外へと向けながら、見習い聖女ちゃんが躊躇いがちに口を開きました。
「えっと、御者もいないのに目的地へ運んでくれるのは有難いんだけど……」
見つめる先には栗毛と葦毛の二頭。高く伸びた首につぶらな瞳、
「アレ、絶対に馬じゃないよね???」
見習い聖女ちゃんの疑問の声に反応して、慌てて被り物を装着する下の人たち。すぐさま合体しましたけど……前後で色が違うんだよなぁ。明らかに馬ではない、むしろUMAな存在を目にして良い感じに発狂ゲージが貯まりつつある彼女を吸血鬼侍ちゃんが宥めています。
>「みんな、ぼくじょうでエンジョイしてるふたはしらがうらやましいんだって……」
ええ、吸血鬼侍ちゃんも最初は昨年のように首無し馬さんを呼ぶ予定だったんです。ただ、召喚陣から雪崩のように英霊さんが現れて、みんなして暇だから冒険したいって言うもんだから……。英霊さん同士の大人げない話し合いの結果、自分たちを馬だと思い込んでいる逸般英霊というかたちで冒険に参加してくれることになりました。
見た目はアレですが、指示を出さずとも進んでくれますし、アンデッドだから疲労しないので休憩中や夜営時の警戒もお任せ出来る優秀なおUMAさんです。いざという時は後衛を護る盾としても使えるかもしれません。性格はともかく、中身は立派な英霊さんですからね!
>「どうしてもきになるんだったら、ごめんなさいしてもういっかいしょうかんする? こんかいはきみがリーダーだから、そのしじにしたがうよ? ……んちゅ」
吸血鬼君主ちゃんと分離してからこっち、なんだか昼間は眠そうな吸血鬼侍ちゃん。器用に鼻先で剣の乙女の服をずらし、半分寝ている状態でお山をちゅーちゅーしてますね。最初は面食らっていた男性陣もそのあどけない様子に毒気を抜かれてしまい、今では新米戦士くんすら目を向けようとしません。……もっとも、初回に見習い聖女ちゃんから腰の入った一撃を貰ったからかもしれませんが。
「んっ、もう少し強く吸っても大丈夫ですよ? ……ええ、此度の
そんな吸血鬼侍ちゃんの頭を撫でながら、見習い聖女ちゃんへと微笑みかける剣の乙女。実は今回、一行の
さて、吸血鬼侍ちゃんを制御下に置くということは、その生命維持にも係わらなければならないということです。餌やりを忘れておなかを空かせた吸血鬼侍ちゃんが、通りすがりの人間を襲ったらたいへんですからねぇ。左右のお山を満遍なくちゅーちゅーした吸血鬼侍ちゃんが、剣の乙女の服の乱れを整えた後にくるりと見習い聖女ちゃんのほうへと向き直りました。しゅぽっと炬燵の中に消え、内部を通って顔を出したのは見習い聖女ちゃんの胸元。正面から抱き着き、見上げるような視線でおねだりしています。
>「あのね、リーダーからもちゅーちゅーしたいな」
「うぇっ!?」
突然の要求に混乱している見習い聖女ちゃん。縋るような目で対面の剣の乙女に助けを求めようとしていますが、あらあらうふふと笑うだけで剣の乙女は介入しようとしません。羞恥心と義務感の狭間で揺れる視線を受けて、胸元に顔を擦り付けていた吸血鬼侍ちゃんが再びおねだりを繰り出します。
>「だめ……?」
「……エロ吸血鬼のおねだりひとつ叶えられずして何が聖女だ! どこからでもかかってこい!!」
雄叫びとともに服の裾をまくり上げた見習い聖女ちゃん。厚手の上着の下から現れたのは、小ぶりながらも将来性を感じさせるふたつの果実です。剣の乙女が大司教になってから急激にたわわになったように、見習い聖女ちゃんも将来ナイスお山の持ち主になるかもしれませんね。ほわぁ~と感嘆の声を上げ、そっと口を近付ける吸血鬼侍ちゃんを真っ赤になった顔で見ています。
馬車の入口からおUMAさんたちが見守り、蜥蜴僧侶さんとおゆはんを作っている新米戦士くんの耳がダンボになっていることにも気付いていない様子。やがて小さな牙が薄桃色の先端に触れようとした瞬間、吸血鬼侍ちゃんの後頭部に近付くものが……。
「はい、そこまで。あんまり揶揄わないであげてください」
>「は~い」
炬燵の向こう側から伸びてきた手が吸血鬼侍ちゃんの後頭部を掴み、見習い聖女ちゃんの胸元から引っこ抜いていきました。たくし上げポーズのまま硬直している見習い聖女ちゃんに対し、吸血鬼侍ちゃんを胸元に抱えながら謝罪の言葉を伝えています。
「吸血でしたら指先や首筋でも大丈夫ですのに、ちょっと悪戯したいとこの子が言うものですから。……ごめんなさいね?」
>「でも、まだあおいかじつはちょっとあじみしたいかも。おあ~……」
エロガキと化した吸血鬼侍ちゃんがほっぺたを引っ張られているのを見て、ようやく担がれていたことに気付いたのでしょう。みるみる羞恥とは異なる赤色に見習い聖女ちゃんの顔が染まっていきます。あ、
>「おあ~……!? だれかがおそわれてる!」
おや、おしおき中の吸血鬼侍ちゃんが突然何かに反応しました。遅れて微かに悲鳴とそれを嘲り笑うような声、それに地響きのようなものが聞こえてきましたね。まったりとしていた一行の間に緊迫した空気が戻ってきました。炬燵から抜け出た吸血鬼侍ちゃんが飛び出そうとして、ピタリと立ち止まり見習い聖女ちゃんのほうを見ています。その視線に訝し気な目を返していた見習い聖女ちゃんですが、何を言わんとしているのかを理解して吸血鬼侍ちゃんに指示を出しました。
「ええと、先行して襲われている人の救助をお願いします! 可能であれば原因の排除も!!」
>「あいあいまむ!」
「痛ッ、は~な~せ~よ~!」
あ、いました! 吸血鬼侍ちゃんの視線の先、白い毛皮に覆われた大型の人型に掴み上げられて苦悶の声を上げている子が見えました! 頭頂部から長い耳を生やした小さな姿。片足は奇妙にねじ曲がり、握りしめられた胴体からは骨の軋む音が聞こえるほどです。手に持った短刀を逞しい腕に突き刺そうとしていますが、長い毛と分厚い脂肪で阻まれ望む効果を得られていないようです。
「お、うまく捕まえたモンだなァ」
「この時期の
おー、さらに後方から2体の毛むくじゃらが現れました。吸血鬼君主ちゃんよりもちのうしすうの低そうなところから察するに、雪山に生息する乱暴者である
「おー、脂がのってると思ったら、こいつメスだァ。そんなら喰う前に
うーんこの二大欲求を纏めて叶えようとする思考。お前だけズルいや喰う前にオラたちにも使わせろという明け透けな言葉を聞いて
>「ねぇ、うさぎさんっておいしいの?」
唐突な少女の声に
「なんだオメェ。どこから出てきたんだァ?」
「こりゃ食いでの無さそうな
首根っこを掴んで持ち上げられても悲鳴一つ上げない姿に若干気色悪そうにしていますが、再び美味しいのと問われお互いに顔を見合わせています。やがて首根っこを掴んでいた1体が、新しい獲物の両足を圧し折りながら質問に答えました。
「まぁ、オメェみてぇなチビより食いではあるし、〆る前に
>「ふ~ん、そ~なのか~」
両足を砕かれても顔色一つ変えない獲物は流石に気味が悪いのか、思わず手を離してしまう
>「じゃあ、そのこはぼくがもらうね」
「あん? オメェなに言って……」
>「すぐにちりょうするから、もうちょっとがまんしてね?」
「は、はい……」
急転直下の連続で頭がパンクしているのか、お姫様抱っこのまま素直に運ばれる
「こらぁ、それはオラたちの獲物だぞォ!」
「オメェも一緒に喰ってやるぞォ!!」
「わわっ!? おっかけて来ましたよ!」
>「へ~きへ~き。もうすぐなかまがくるから」
背後からの怒声に身を固くする彼女を安心させるように笑いながら、追い付かれない程度の速さで
>「おそわれていたこはきゅうしゅつして、いっぴきはそのばでしまつしちゃった。のこりはおいかけてきているあのにひき。……けがわときんにくがあついから、
「よっしゃ、それならコイツのお披露目だな!」
吸血鬼侍ちゃんのアドバイスを聞いて、鮫のような笑みを浮かべる新米戦士くん。至高神さんの
右腕全体を覆うように形成された巨大な
自分の半分ほどしかない大きさの
「神殿に持ち込まれたまま放置されていた
>「ぼくのしってるカシナートとちがうきがする……!」
頬に手をあてて満足そうに笑う剣の乙女と
「いやぁ助かりました。あのままじゃきっとあいつらの
ありがとうございます、と深々と頭を下げる
「集落が
「うへぇ、1匹2匹なら兎も角、そんなにいたら身体がもたないって……」
チーズを齧っている蜥蜴僧侶さんがうんうんと頷く横で苦い顔をしているのは新米戦士くん。どうやら
「今は父さんをはじめとする大人のみんなが頑張ってますけど、もうあまり食料も残っていなくって……」
そこなんですよねぇ。
「あつかましいお願いなんですが、故郷の危機を救う手助けをしてもらえませんか? 大したお礼は出来ませんけど……」
>「もちろん、いい……おっと」
いつも通り二つ返事で引き受けようとして、ハッと口を紡ぐ吸血鬼侍ちゃん。そっと視線を見習い聖女ちゃんへ向けています。良かった、
>「うん、そのためにぼくたちはきたんだ。だから、がんばろうね!」
吸血鬼侍ちゃんに続いて肯定の意思を示す一行。外から覗いていたおUMAさんたちも二本足で立ち上がり、全身でやる気をアピールしています。あ、見習い聖女ちゃんが馬は馬らしくしててください!と半泣きで抗議しに出て行きました……。
「それじゃあ、おやすみなさ~い」
「うむ、また明日ということで」
全員で寝るには少々狭い馬車の中、外に張った
>「おみみふかふか……あったかい……」
「駄目ですって
お返しと言わんばかりに脇をくすぐられ、小さく声を上げる吸血鬼侍ちゃん。すっかり仲良しになったみたいですが……。
「あのさ、その
剣の乙女に背後から抱き締められた状態で髪を解いていた目の死んでいる見習い聖女ちゃんが、思わず問いかけるのも無理は無いでしょう。出会って半日も経っていないのに好感度がやたら高いんですから。剣の乙女は
「もし、あすこで旦那様が駆け付けてくれなかったら、ぼくは散々嬲られた後にミンチになってあいつらの腹に収まってたでしょう。そこから救ってくれた旦那さまは、ぼくの命の恩人でありぼくのすべてを好きにする権利を持っているんです。もし旦那さまがぼくを食べたいって言うのなら、喜んで外の焚火に飛び込みますからね!」
予想を遥かに上回る好感度の高さに若干引き気味の見習い聖女ちゃん。吸血鬼侍ちゃんもちょっと驚いた様子で白兎猟兵ちゃんを見上げています。もしおなかが空いたらいつでも言ってくださいね?という彼女に対し、慌ててそんなつもりは無いことを告げています。
>「たべないよ!? ……
ああ、そういえば彼女にはまだ自分が吸血鬼だって伝えてませんでしたね。母親に歯を磨いてもらう子どものように、膝上で口を大きく開いて牙を見せる吸血鬼侍ちゃん。……おや、それを見て頭を撫でていた白兎猟兵ちゃんの手が動きを止めてしまいました。肌寒い気温だというのに頬に汗を浮かべて、膝上の吸血鬼侍ちゃんと傍らにいる神官2人を交互に見ています。躊躇いがちに尋ねられたソレは、吸血鬼侍ちゃんにとって思いもよらぬ存在が生き延びていたことを示しているものでした……。
「あの、旦那さま。もしかして旦那さまは、
>「……まだ、きゅうけつきがのこっていたの?」
今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。
ちょっとずつ仕事が忙しくなってきたので失踪します。
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お読みいただきありがとうございました。