ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ   作:夜鳥空

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やたらと筆が走ったので初投稿です。



セッションその11 いんたーみっしょん

 お早う御座いま……おや至高神さん、涙目になって何を見ていらっしゃるんで?

 

 ふむ、これは彼女の幼き頃の肖像(ポートレート)

 

 今の妖艶な美しさも良いですが、未だ咲くことを知らぬ蕾もまた可憐ですね。

 

 しかし何故今更になって……? ふむ、散々な苦労をかけた娘にどうにかして幸いを届けたいと。

 

 成程成程。そう言うことならお任せを。

 

 この万知神、うどんと屁理屈を捏ねる腕は神々の中でも随一と自負してますので。

 

 まぁ見ててください、本当の祝福ってヤツをご馳走してあげますよ……!。

 

 


 

 

 吸血鬼の花嫁(ヴァンパイアブライド)育成実況プレイ、はーじまーるよー。

 

 前回、吸血鬼侍ちゃんと森人少女ちゃんが真に結ばれたところから再開です。

 

 大宴会の残り香漂う翌朝。死屍累々という言葉が相応しい一階へと手を恋人繋ぎで降りて来た吸血鬼侍ちゃんと森人少女ちゃん。賢者ちゃんが魔力探知を試みたところ、無事胎内に新しい魔力反応が見つかりました! 今後は成長速度や母体への影響を慎重に検査しつつ、様子を見守っていくそうです。

 

 また、奇跡のような出来事を目の当たりにした半透明の恋する乙女2人が、自分たちにもと熱と湿度の籠った視線で霊薬を要求。貴重なサンプルになりそうなのですとノリノリな賢者ちゃんによって残りの試作品が供与されました。実態も無いのに飲めるのかなぁという疑問がありましたが、どうやら聖水や聖油と同じで非実体にも干渉出来るとのこと。飲むというよりは体内に取り込むという感じみたいです。嬉々として黄金の液体を身体に受け入れる相棒を見た童貞男子2人の絶望フェイス、蜥蜴僧侶さんが黙って2人の肩を叩く程度には素晴らしいものでした。

 

 

 

 さて、そんなイベント盛りだくさんな朝から数日が経過しました。各方面への報告と根回しのために本日はみんな別れての行動です。吸血鬼侍ちゃんと森人少女ちゃん、それに令嬢剣士さんと賢者ちゃんは、金髪の陛下へ新たにギルドの訓練場に建設する施設の説明と、その許可を得るために王宮へ。ついでに妊娠?報告と霊薬の説明もする予定とのこと。

 

 不良闇人さんと少年魔術師君は半鬼人先生へ報告するために、謁見組の≪転移≫の鏡に便乗して王宮経由で学院に。ひとつ上の男になった2人を見た半鬼人先生の反応が楽しみです! 背後に浮かぶ相棒2人が揃って自らの腹部を愛おしそうに撫でていますが……うん、詳細は後ほどレポートでいただきましょうか。

 

 剣の乙女と見習い聖女ちゃん、それに新米戦士くんは水の都の神殿へ。無事≪託宣(ハンドアウト)≫で指定された試練(クエスト)を達成したので、本格的に大司教の地位を譲る準備に入るそうです。本当は宴会の翌日には向かう予定だったのですが、予想以上に見習い聖女ちゃんの腰と新米戦士くんのメンタルに負荷が掛かっていたために休息を挟んでいたそうです。……至高神の神官はみんな肉食系になるんですかねぇ?

 

 

 

 女魔法使いちゃんと森人狩人さんは受付嬢さんに泣き付かれてギルドの訓練場へ。なんでも年が明けてからこっち、手厚い福利厚生とタダ飯の噂を聞きつけて、王都などから青玉・鋼鉄等級の冒険者が流れて来ているそうです。新米たちの模範となるような冒険者なら大歓迎なのですが……どうもタチの悪い(福本モブ的な)連中らしく、秋に冒険者デビューした新人に横柄な態度で接するわ、春に()()を済ませている黒曜・白磁等級の子たちを「ゴブリンを殺すのに練習が必要な腰抜け」と下に見るなど好き勝手しているとのこと。職員からの注意にも耳を貸そうとせず、実力行使をチラつかせてくる始末。このままだと我慢の限界を超えた洗礼組がキレて血が流れるかも……というところまで来ているんだとか。

 

 ギルドとしても冒険者の品位を下げるような連中を放置しておくわけにはいかないので、女魔法使いちゃんと森人狩人さんに加え、依頼から戻って来た重戦士さんと槍ニキという泣く子も慈悲を乞う面子で黙らせに出るそうです。既に監督官さんが王都から連中の冒険記録用紙(アドベンチャーシート)を取り寄せており、更生の見込みの無い者はその場で冒険者の身分を剥奪、場合によっては犯罪者として捕縛する許可も下りている模様。

 

 どうやらギルドも本腰を入れて冒険者の綱紀粛正に乗り出したようですね。訓練場の存在で新人たちの技術とモラルの底上げが見込める以上、低等級で胡坐をかいている評判の悪い冒険者は不要と判断したのかもしれません。それに不満で野盗や山賊に転身するのならば……粛清する大義名分を得るようなものですから、ね?

 

 

 

 残りの面子である吸血鬼君主ちゃんに妖精弓手ちゃん、白兎猟兵ちゃんですが……彼女の弟妹であるおちびさんたちが働いている牧場に来ています。急に食べ盛りの子どもが増えて備蓄が不安になりそうな牧場に食料を届け、ついでにおちびさんたちの日用品も持ってきた感じですね。

 

 まだ働き始めて数日ですが、おちびさんたちはみんな元気に牧場の中を駆けまわっています。春植えの蕪や玉蜀黍の畑にする予定の荒れ地で木の根や石の除去、それに土壌改良の為の腐葉土や牛糞のすき込み(Plow Under)を頑張る姿。肩から下げた牛飼若奥さんお手製のポシェットからは、おやつ兼非常食の人参が頭をチラリ。大きな岩や切り株なんかはちょっと彼らには厳しいので、それらを発見したときには……。

 

 

 

「「「「「「「だんなさま、おねがいします!」」」」」」」

 

「ああ、少し離れていろ」

 

 ゴブスレさん(旦那さま)が棒を使い、梃子の原理で切り株を掘り返すのを「がんばえ~!」と応援するおちびさんたち。応援に夢中で作業の手が止まっているのはご愛敬というものでしょう。僅かに隙間が生まれたところで絶賛ファーマーライフを満喫中な英霊さん2人が手を突っ込み、鎧姿の3人掛かりでぶっこ抜きました! 見事切り株を引っこ抜き、「すっご~い!」と称えられ困惑しているゴブスレさんとまんざらでもなさそうな英霊さん2人。その奇妙な一幕を偶々通りかかった伯父さんが生暖かい笑みで眺めているのが印象的でした。

 

 

 

 さて、リアル牧場物語が進む傍らで、吸血鬼君主ちゃんは何をしているのかといえば……。

 

「フン! ハァ!! セィヤァ!!!」

 

「よっ、ほっ、へぷっ!?」

 

 女騎士さんが繰り出す連撃を躱し切れず、宙に打ち上げられてますね!

 

 盾を投げ捨て両手持ちとなった長剣は重戦士さんには及びませんが十分に重く、単なる力任せでは無い一撃はウェイト差という吸血鬼君主ちゃんの数少ない弱点にぶっ刺さり、面白いようにポンポン空中へと跳ね上げられています。やがて顔面から地面に落ちた吸血鬼君主ちゃんの首元に切っ先が突き付けられ、幅広い刀身(天叢雲)の剣を離し両手を降参のポーズに上げたところで手合わせが終了しました。

 

「む~りぃ……こうさ~ん……」

 

「ハッハッハ! いやぁ良い運動になった。膂力も技量も持ち、何よりうっかり一撃を入れてもあっという間に再生するのが最高だ! 君に相手を頼んで正解だったな」

 

 普段見慣れた騎士甲冑ではなく、豊満なお山が見て取れる鎧下姿。その腹部は既に引っ込み、女性でも羨むプロポーションを取り戻しています。吸血鬼君主ちゃんの手を取って立ち上がらせ、ご褒美と言わんばかりにその顔をお山に埋もれさせてますね。

 

「惜しかったわねぇシルマリル。もうちょっとご飯食べて大きくなれば、なんとか踏みとどまれるんじゃない?」

 

「そうですよ()()! もっと人参食べましょう!!」

 

「ふふ……流石、に、大きくは、ならない、と、思う、わ?」

 

 簡易的なテラスに置かれたテーブル席でそれを観戦していた女性陣。残念そうに肩を落とす妖精弓手ちゃんとポシェットから人参を取り出す白兎猟兵ちゃんを見て、魔女パイセンが苦笑しています。ゆったりとしたデザインのブラウスにロングスカート、トレードマークのとんがり帽子はそのままな彼女のおなかも蠱惑的な曲線を描き、3人のいるテーブル席の傍には2台の移動式ベビーベッドが置かれています。ベッドの中にはスヤスヤと眠る赤ちゃん。黒髪にキリっとした眉の女の子と、紫色の髪に泣き黒子が特徴の男の子。辺境に名を馳せる銀等級ダブルカップルの愛の結晶です!

 

 

 

 ゴブスレさんと牛飼若奥さんの出産から数えて3ヶ月ほど後、銀等級ダブルカップルの出産もここ牧場で行われました。といっても先の帝王切開のような困難さは無く、出産に伴う傷の治療や≪浄化(ピュアリファイ)≫による消毒など、基本的な対応で問題なかったようです。産後の経過も順調で母子ともに健康。身体が鈍るのを厭うた女騎士さんがリハビリを兼ねて吸血鬼君主ちゃんに手合わせを願うくらいには元気が有り余っていらっしゃるご様子。うーん、母親は強しってヤツですかね?

 

 

 

「おっと、勝負はついたのかな?」

 

「ちょっと休憩して、お茶にしましょう!」

 

 お、ちょっと大きめのベビーカーを押している牛飼若奥さんと、ティーセットを持った女神官ちゃんがやって来ました! ベビーカーの淵からは灰髪と赤髪の赤ちゃんが顔を覗かせ、好奇心に満ちた瞳で周囲を見ています。先に置かれていたベビーベッドに横付けされると、身を乗り出して中の黒髪眉毛ちゃんを覗き込んでますね。

 

「ふへへ……やっぱり赤ん坊ってのは可愛いわねぇ……」

 

 自分に懐いてくれている赤髪の弟くんに被り付きの妖精弓手ちゃん、見目麗しい上の森人(ハイエルフ)という素性を置き忘れたような非常にだらしねぇ顔で、握手している赤ちゃん同士を眺めています。これは将来結婚待ったなしね!なんて言ってますけど、流石に早過ぎません??? まぁ本人同士の気持ちもあると思いますが、辺境で優秀な冒険者を囲い込むという点ではアリな気もしますね。

 

「はい、どうぞ!」

 

「ああ、ありがとう」

 

 女神官ちゃんが淹れたお茶を腰に手を当てて一気飲みする女騎士さん。その男らしい姿にあちこちから漏れる苦笑。肩にかけた布で汗を拭き、妖精弓手ちゃんと一緒になって赤ちゃん同士の触れ合いを覗き込んでいます。夢中になって見ている妖精弓手ちゃんに「自分も欲しいとは思わんのか?」と聞いてますが……。

 

「んとね、若草の()の頑張りでシルマリルの子を産めるのはわかったんだけど……あね様たちとの兼ね合いもあるし、なかなか直ぐにはねぇ……」

 

 ああ、そっちの懸念もありますか。貞淑さが美徳とされる森人(エルフ)、しかも王族となれば結婚すぐ子作りはちょっとはしたないって思われちゃいますもんね。その間に妹である妖精弓手ちゃんが先に出産となると、色々問題になりそうです。お姉さんにプレッシャーをかけるのは妖精弓手ちゃんとしても避けたいところでしょうし。お茶菓子を頬張っていた吸血鬼君主ちゃんを抱き上げ、頬擦りをしつつ言葉を続ける妖精弓手ちゃん。

 

「まだまだシルマリルと冒険し足りないし、まだ暫くは身軽で良いかなって。1000年くらい」

 

 うーんこの圧倒的なタイムスパン。只人(ヒューム)の女性陣は揃って苦笑い。普段の言動を見てると忘れがちですが、永遠に等しい時間を美しい姿のまま過ごす上の森人、そのお姫様ですもんね。

 

「それに、今はそっちに魔力を使う余裕は無いんでしょう、シルマリル?」

 

 

 

「……そうだな、そろそろ手合わせの代価を払うとしよう」

 

 表情を真面目なそれに変え、妖精弓手ちゃんの胸元から地面に降りた吸血鬼君主ちゃんの前にしゃがみ、視線を合わせる女騎士さん。その視線を受けて、躊躇いがちに吸血鬼君主ちゃんが口を開きました。

 

「あのね、ぼくからおねがいしたことだけど……ほんとうにいいの?」

 

「こう見えても私は聖騎士となるべく研鑽を積んでいる身だ。実際に見たのは君が初めてとはいえ、吸血鬼(ヴァンパイア)という存在の恐ろしさは嫌というほど耳にしている」

 

 厳しい言葉を受け、俯いてしまった吸血鬼君主ちゃん。だが、という言葉と共に、女騎士さんが籠手(ガントレット)を嵌めた手でその頭を撫でながら言葉を続けます。

 

「『君』という個人については、私は非常に好ましく思っている。多少、いやかなり子どもっぽいところはあるが、君には間違いなく善性が備わっているからな。……この場合の『君』にはもう1人のあの子も含まれているぞ?」

 

 冗談めかした口調に顔を上げた吸血鬼君主ちゃんを見て、ニヤリと口元を歪める女騎士さん。女性をとっかえひっかえするのは如何なものかと思うが、全員が幸せになるのなら良いだろうと呵々と笑っています。

 

「あの大司教殿が人の身を捨てると聞いたときは自分の耳を疑ったが、それが愛ゆえにというのなら是非も無し。私や彼女が幸運の女神から前髪を毟り取れたのは君のおかげだからな」

 

 そう言って魔女パイセンと視線を交わし、苦笑する2人。椅子から立ち上がった魔女パイセンも、ゆっくりとした動作で吸血鬼君主ちゃんに近付き、その傍らにしゃがみ込みました。

 

「新しい命、を、守って、くれるなら、好きにして、いいの、よ? 彼女の、ために、魔力が必要、だもの、ね」

 

「うむ、ちょっとデカい乳兄弟が出来るようなものだ! 存分に味わうと良い!!」

 

 そう言い放ち、鎧下を勢いよく捲り上げる女騎士さん。隣の魔女パイセンもブラウスの前ボタンを外していきます。窮屈な場所から解放された4つのたわわが零れ落ちるように跳び出し、出産によって更に破壊力を増したお山を見て女神官ちゃんと妖精弓手ちゃんが崩れ落ちました。

 

 

 

 氷の魔女を捕食したことによって眷属化に必要な魔力を獲得した吸血鬼君主ちゃん。ですがそれはあくまで最低限。万全を期すならば更なるちゅーちゅーが必要でした。吸血鬼侍ちゃんと2人掛かりという案もあったのですが、彼方は霊薬による子作りという森人義姉妹のトラウマ克服の仕事がありますので残念ながら廃案。折角蓄えた魔力を今後の冒険(セッション)で消耗しないとも言い切れないので、早急に眷属化を行ってしまおうという結論に至りました。

 

 そのため別の補給対象(ちゅーちゅー相手)を探していたのですが、そこに件の屑冒険者騒ぎ。下手に連中の前で吸血相手の募集でもしたら、質の悪い血液を吸わせるだけで依頼も受けない怠惰冒険者の誕生か、吸血を拒否したことを逆恨みして悪評をばら撒かれる未来しか見えません。

 

 わりと行き詰ってしまってしまい一党(パーティ)の頭脳担当たちが頭を抱えていた時に、颯爽と答えを導きだしたのはやっぱり妖精弓手ちゃん。血が無いのならおっぱいで良いじゃないという滅茶苦茶乱暴な理論で、牧場に行くことを提案したのです!

 

 ドヤ顔でおっぱいおっぱい連呼している2000歳児を呆れた様子で見ていた頭脳担当たちでしたが、直ぐにその表情は真面目なものに。牧場に滞在しているのは銀等級、しかも2人とも熟練の呪文遣い(スペルスリンガー)です。ダメ元で頼んで来いと送り出された結果、女騎士さんとの手合わせを条件にちゅーちゅーさせてくれることになったわけです。

 

 

 

「それじゃ、いただきます……んちゅっ」

 

 抱き上げてくれた女騎士さんのお山に口を付け、ゆっくりとちゅーちゅーし始めた吸血鬼君主ちゃん。女騎士さんはその身体を片手で軽々と支えながら、反対側の手でゆっくりと吸血鬼君主ちゃんの頭を撫でています。いくら小柄とはいえ身長から考えると20kgほどはありそうなダブル吸血鬼ちゃんを良くみんな抱っこできるなぁと思っていましたが、万知神さんに問い合わせたところ、抱っこしてもらっている時は2人ともこっそり浮遊しているため、相手が感じる重さはだいたい林檎3個ぶん(1kg弱)なんだとか。赤ちゃんよりも軽いんですねぇ……。

 

「……ぷぁっ。ありがとう、ごちそうさま」

 

「ん? なんだ、もう良いのか?」

 

 片方のお山から口を離した吸血鬼君主ちゃんが、ニッコリと笑いながらお礼を言ってます。どうやら反対側は赤ちゃんのぶんだから吸わないみたいですね。そのままふよふよと飛行して、魔女パイセンのお山に顔を埋めています。

 

「んっ。ふふ……、やっぱり、赤ちゃんより、吸う力 は、強い、のね?」

 

「ごめん、いたかった……うむぅ!?」

 

 魔女パイセンの声に慌てて顔を上げようとした吸血鬼君主ちゃんでしたが、そのまま顔にお山を押し付けられて目を白黒させています。口いっぱいに感じる柔らかな感触と甘い匂いのダブルパンチによって、陶然とした様子でちゅーちゅーしてますねぇ。魔女パイセンのホールドが解け、頬を赤く染めた吸血鬼君主ちゃんが一言。

 

「とてものうこうなまりょく、ごちそうさまでした……」

 

 背後で女騎士さんが私のはどうだったんだ?と声を上げてますが……どうやらさっぱりとした喉越しだったそうです。

 

 

 

「よし、それじゃあ最後は私だね! えい!!」

 

「ふぇ?」

 

 暢気な掛け声とともに吸い口を露出させた牛飼若奥さんを見て、魔女パイセンに撫でまわされていた吸血鬼君主ちゃんが驚きの声を上げました。女騎士さんとの手合わせの代価はあくまで()()()()()()()()()()()()()()()なので、牛飼若奥さんは対象外だと思うんですが……。魔女パイセンから受け取った吸血鬼君主ちゃんをハグしながら、そんな疑問を先読みしたように牛飼若奥さんは笑っています。

 

「ふっふっふ、この牧場にいる銀等級冒険者は全部で()()! 残念なことに()は仕事中なので、かわりに私からどうぞ!」

 

 ……え? ゴブスレさんもカウントしてたんですか?

 

「それにね、ウチの子たち早めに離乳食を食べ始めちゃったから、最近あんまり飲まないんだ。だから今日も張ってて痛いんだよね」

 

 そう言いながら吸血鬼君主ちゃんの口元にそっと吸い口をあてがう牛飼若奥さん。鼻先から感じる甘い芳香におめめグルグル状態の吸血鬼君主ちゃん、戦友の大切な奥さんからちゅーちゅーして良いのかという理性と、魔力を集めなきゃという使命感のせめぎ合いが見て取れます。そんな吸血鬼君主ちゃんの葛藤を知ってか知らずか、ちょっぴり尖った耳元に口を寄せ、理性を吹き飛ばす一言を囁く牛飼若奥さん。

 

 

 

 

 

 

「このまま張ってると辛いから、飲んでくれないと自分で搾ることになっちゃうかなぁ。……ね、勿体無いと思わない?」

 

 

 

 

 

 

 この後、妖精弓手ちゃんと白兎猟兵ちゃんの2人掛かりで引き剥がされるまで、ちゅーちゅーするのを止めなかったエロ吸血鬼がいたそうな……。

 

 


 

 

 はい、予想以上の魔力が集まった牧場遠征を終えて、帰ってきました一党の自宅(エロ伏魔殿)。それぞれの成果を発表し合いながら夕食を終え、現在リビングは緊張に満ちています。

 

 あーうーという意味の無い声が続き、言い出す切っ掛けを掴めない吸血鬼君主ちゃんに、チラチラと視線を向けるだけでもじもじしている剣の乙女。既に数えきれないほどちゅーちゅーしたり夜戦したりしているというのに、付き合いたてのカップルのような初々しさです。……言い方を変えれば、見ている側からすればもどかしくてたまったものでは無いという状態ですね。

 

 森人(エロフ)義姉妹+2000歳児は完全に奥様戦隊ですし、令嬢剣士さんと賢者ちゃんはお茶を片手に愉悦顔。吸血鬼侍ちゃんは白兎猟兵ちゃんに押し倒されて「旦那さま! うさぴょいでも、うさだっちでも、すきだっちでも良いですよ!!」と迫られているワケワカンナイヨー!!な有様。ウィズボール(やきう)チームを作る宣言は酔った勢いによる妄言では無かったんやなって……。

 

 頼みの綱であるみんなのオカン(女魔法使いちゃん)は苦虫を纏めて噛み潰したような顔でバカップルを見ていましたが……おっと、とうとう我慢の限界を迎えたのか、椅子を蹴立てて立ち上がり、驚きで硬直している吸血鬼君主ちゃんを小脇に抱えました! 椅子に座ったまま呆然と見上げている剣の乙女に視線を向けて……。

 

 

 

 

 

 

「ヤらないなら、貰うわよ」

 

 

 

「あげません!!」

 

 

 

 ……これは麗しい友情ですね! アンタもキッチリ型嵌めてきなさいと抱えていた吸血鬼君主ちゃんを剣の乙女に放り投げ、再び席に戻った女魔法使いちゃん。もう離さないと言わんばかりにきつく抱き締められた状態で、吸血鬼君主ちゃんが女魔法使いちゃんに顔を向けました。

 

「ありがとう、がんばるね」

 

「……失敗して喰屍鬼(グール)にでもしたら覚悟しなさい。目の前で始末して私も死んであげるから」

 

 クッソ重たい激励の言葉に顔を引き攣らせながらも、大きく頷く吸血鬼君主ちゃん。するりと剣の乙女の胸元から抜け、その手を取って口付けをしました。

 

「それじゃあ、いこうか」

 

「……はい!」

 

 数日前の光景を思い出すようなエスコート。吸血鬼君主ちゃんにお姫様抱っこされて二階へ消えていく剣の乙女に向かって、女性陣がサムズアップ。剣の乙女も頬を赤く染めながら小さく返しています。やがて寝室の扉が閉まる音とともに、リビングに弛緩した空気が戻ってきました。お疲れさま義妹(いもうと)くんと肩を叩く森人狩人さんをジト目で睨む女魔法使いちゃん。その視線に気付かないフリをしながら、そういえば、と問いかけました。

 

「確か、本来眷属を生み出す際には対象の生命力を全て奪い取り、死んだ状態で魔力を送り込むんだっけ」

 

「……ええ、そのほうが手っ取り早し抵抗もされないもの。でも、それだと素体が劣化してしまうし、腐敗する前に送り込める魔力に限りがあるわ」

 

 ほほう、そんな仕組みになってたんですか。死体となった素体に魔力を送り込んで支配下に置く。……あれ、それって魔力が足りないと上手く眷属にならないんじゃ?

 

「魔力が不足していると、生まれる眷属は喰屍鬼(グール)従属種(レッサー)になる可能性が高いのです。それではあの子の願いを叶えることは出来ないのです」

 

「ともに日光の下を歩める吸血鬼希少種(デイライトウォーカー)。主さまの求める血族(かぞく)が要求されるもの……」

 

 うーむ、やり直しの効かない眷属ガチャは怖ろしいですね。でも、なんとかする方法はあるんですよね? 森人少女ちゃんの言葉を補うように、令嬢剣士さんが口を開きます。

 

「だから、生命力を少しずつ抜き取りながら、減った分を頭目(リーダー)の魔力で補填する。そのための交わりですわ」

 

「でも、それは生きながらに身体を作り変えるような所業。肉体への負荷は想像を絶するものになる。……そうだよねご主人様」

 

「うん。だからいたみをかいらくにおきかえて、にくたいがこわれないようにするの。いままでぼくたちがみんなとからだをかさねてきたのは、そのかいらくにたえてもらうため」

 

 おおう。つまり、精神が壊れそうなほどの快感に耐えるだけの前準備が必要だったと。だからあんなエロ……爛れ……情熱的な日々を送っていたんですね! 

 

「……ねぇヘルルイン、あの2人なら大丈夫よね? ちゃんと上手くいくわよね?」

 

 いつになく弱気な様子の妖精弓手ちゃん。縋るような目を向けられた吸血鬼侍ちゃんは、彼女の手を取り、ギュッと胸に抱きしめました。冷たいはずの吸血鬼侍ちゃんの肌、ですが妖精弓手ちゃんには内部から広がる温かさを確かに感じています。

 

 

 

「ぼくにはわかるよ。いま、ふたりはおたがいにすべてをあずけてる。かこ、げんざい、そしてみらい。このあたたかさがあるかぎり、あのこの……ううん、ぼくたちのみらいは……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しあわせでいっぱいだから!!」

 


 

 

 

 

 

 

 

「ほわぁ~!?」

 

 

 

「んなななな何よ今の声!? シルマリルの声よね!?」

 

 机やソファーに突っ伏したまま寝てしまった一行の耳に飛び込んで来た奇声。朝の清廉な空気を台無しにする奇妙な声に驚いて跳び起きた妖精弓手ちゃんが、慌ててみんなを叩き起こして回っています。

 

 スヤァ……と全く起きようとしない吸血鬼侍ちゃんは森人狩人さんが小脇に抱え、おそるおそる二階への階段を上る一行。幾つも並んだ来客用寝室のうち、唯一ドアが閉まっている部屋の前に到着しました。部屋の中から微かに聞こえる話し声。興奮しているほうをもう1人が落ち着かせようとしているみたいですが……。

 

 周りの面子を見渡し、後ろへ下がった妖精弓手ちゃん。このままでは埒が開かないと強引に突入するつもりですね。ドア前方の空間が空いたことを確認し強く踏み込んだ後、自慢の蹴りでブチ破りました!

 

 

 

「ちょっとシルマリル!? いったい何があったの……よ……?」

 

 ドアを蹴り開けた姿勢のまま固まっている妖精弓手ちゃんを押し退けるように、雪崩を打って入り込んだ一党の仲間たち。彼女たちも一様に声を失ってしまいました。

 

 

 窓から差し込む陽光に照らしだされたベッドの上、吸血鬼君主ちゃんに抱き着かれ、途方に暮れている1人の()()。艶やかな金髪は日の光を反射して輝き、焦点を結ばぬ空色(スカイブルー)は夕焼けの色に変じ、硬直している仲間たちを半泣きになって()()()()()()()。寝ぼけ眼を擦っていた吸血鬼侍ちゃんも、その姿を見た瞬間森人狩人さんの胸元から飛び出し、満面の笑みで抱き着きました。摩擦で火が点きそうな勢いで両の()()()に頬擦りされ、ダブル吸血鬼ちゃんを引き剥がせずに困り果てているのは……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えへへ、えへへ・・・・・・」

 

()()()()()()()()()()()だ~!!」

 

 

 

 

 

 

「あの……何故か幼くなってしまいました……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「……え???」」」」」

 

 

 

 今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 


 

 ちょっと万知神さん??? いったいぜんたい何をやらかしているんです???

 

 まぁ落ち着け? これが落ち着いていられますか! 物語(キャンペーン)最大級のおっぱいが無くなっちゃったんですよ!?

 

 え、別に無くなってはいない? ちゃんと理由はある?

 

 そこまで言うのなら一旦引き下がりますけど……ちゃんと説明してくださいよ?

 




 免許更新を忘れていたので失踪します。

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