ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ   作:夜鳥空

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 思うように筆が進まなかったので初投稿です。



セッションその11.5

 認めよう、君の力を。今この瞬間から君は冒険者だ、な実況プレイ、はーじまーるよー。

 

 前回、吸血鬼君主ちゃんが剣の乙女を眷属にしたところ、なーぜーかーちっちゃくなってしまいました。吸血鬼侍ちゃんが()()()()()()()()()()と言ってましたけど、どう見ても『死の迷宮(ダイカタナ)』時代よりも幼いです。眷属にしても姿はそのまま、若返ったりはしないという話でしたが……。

 

「つまり、吸い過ぎてヤバくなって慌てて魔力を送り込んだら、アンタの因子が強すぎちゃって、外見まで引き摺られたってコト?」

 

「たぶん。あと、しょうもうをおさえるためにせつやくしてるのもあるかも。ちょっとまえのすがたをそうぞうしてみて?」

 

「えっと……はい、やってみます」

 

 猫のように首を引っ掴まれてプラプラしている吸血鬼君主ちゃんと、反対の手で眉間を押さえている女魔法使いちゃんに促がされ、胸に手をあてて目を閉じた剣の乙女。その身体を光が包み、収まったところで一党の目に映ったのは、昨夜まで見慣れた妖艶な肢体。傷一つない肌の血色が若干悪くなったくらいの違いしか無さそうですが……。

 

「……ねぇおっぱい乙女。悪いけどすぐにちっちゃい姿に戻ってくれる? お願い」

「? え、ええ……」

 

 振り絞るような声で頼んできた妖精弓手ちゃんの声に頷き、"あのころ"形態に戻る剣の乙女。部屋中に安堵の声が響く中、気を確かめるように頭を振っていた妖精弓手ちゃんが姿を変えるよう求めた理由は……。

 

 

 

 

 

 

「あとちょっとあの姿を見ていたら、強引に押し倒して羨ましいたわわにむしゃぶりついてたわね。間違いなく」

 

妹姫(いもひめ)さまもそう思うかい? まぁ義妹(いもうと)ちゃんが()()()状態だからねぇ……。どうどう、落ち着き給えよ」

 

 フーフーと荒い息を吐き、今にもルパンダイブしそうな森人少女ちゃんを抑え込む2人。残念ながら目がハートな森人少女ちゃんにその呟きは届いていないみたいですね。視線を横に向ければ、鼻から溢れるお嬢様分を必死になって止めようとしている令嬢剣士さんを吸血鬼侍ちゃんが介抱しています。

 

「……魔性の美というか、アンタで慣れた気でいたけど素材が違うとここまで変わるのね」

 

「すごいよね~」

 

 はい、ダブル吸血鬼ちゃん以外、みんな剣の乙女の壮絶な色気に中てられちゃってたんですね!

 

 少女形態に戻ったことでみんな正気を取り戻してくれましたが、あのままだと朝っぱらから夜戦(意味深)になってましたね間違いない。お、吸血鬼君主ちゃんにアドバイスを貰いながら魔力で服を編んでいた剣の乙女が、後ろを向いていた一党(パーティ)のみんなに声をかけてます。

 

「どうでしょうか、変ではありませんか?」

 

「「「「「……」」」」」

 

 ……自信なさげにもじもじしている剣の乙女を見て、みんな言葉を失っちゃってますねぇ。まぁ盤外(こっち)でも至高神さんが鼻を押さえてますし、太陽神さんが無表情で撮影装置を連射(パシャパシャ)しているくらいですから。

 

 ほっそりとした二の腕を強調する白いノースリーブのシャツと大胆に太股を見せつける黒いミニのプリーツスカート。同じく黒のグローブとロングブーツで四肢の先端は覆っているものの、むしろ肌の白さを際立たせるアクセントにしかなっていません。寒さ対策の夜色のケープには吸血鬼君主ちゃんがこっそり呪文維持の護符(アミュレットオブパーマネンシー)をブローチ代わりにくっつけてますね。身に着けていたのは良いですが使う機会がありませんでしたし、剣の乙女に有効利用してもらうつもりなのかな? 最後にダメ押しの認識阻害の眼鏡を装備すれば……。

 

「かわいい!」

 

「えろい!!」

 

「えろかわいい!!!」

 

 

 

「もうダメ、辛抱堪らん! ちょっと可愛がらせなさい!!」

 

 興奮したダブル吸血鬼ちゃんが周囲を走り回り、妖精弓手ちゃんに捕獲され羞恥で頬を染める剣の乙女ちゃんかわわ。あ、衣装デザインは無貌の神(N子)さん提供でございます。怪我をする度何食わぬ顔で装備ごと復元していたダブル吸血鬼ちゃんでしたけど、こうやって衣装を登録しておけば、再生時にマッパになる心配をしなくて良くなるんですね。いちいち針仕事で衣装を修復する吸血鬼ってのもなんかカッコつかないですし、元の大司教の姿に変身した時にはいつものえちえちな服装になったあたり、空中魔力固定装置(キューティーハニー)的なアトモスフィアを感じます。

 

 

 

 その後1日かけて身体の調査を行った結果、剣の乙女ちゃんの詳細なスペックが判明しました。

 

 朝チュンしても焼け落ちていなかったことから陽光への脆弱性はありませんし、日光浴でのエネルギー補給も問題なし。吸血に関しては吸い過ぎて事故ると大変なので、暫くは親にあたる吸血鬼君主ちゃんからの吸血or女性陣からの授乳で賄ってもらうことに。変身して大司教モードになると一気に消耗してしまうらしく、女魔法使いちゃんのお山を一心不乱にちゅーちゅーする姿は地母神さんが『あら^~いいですわゾ^~』と壊れるくらいには刺激が強かったみたいです。

 

 現状実装されている技能としては【邪な土】と【眷属化】以外はダブル吸血鬼ちゃんと同じものが使えるっぽいです。まぁ2人もまだバランス調整段階なので、実装されていない技能が多いんですけどね!

 

 

 

 さて、乙女ちゃんモードの装備については、メイン武装として貸しっぱなしだった太陽の直剣。サブは短剣か殴打武器がベターじゃないかとみんなで話していたのですが……。

 

「あの子の従者になった記念に面白いものをあげるのです。少々複雑な仕掛け(ギミック)の武器ですが、今の貴女にはピッタリなのです」

 

 妙に押しの強い賢者ちゃんが押し付けてきたのは、精緻な装飾が施された一振りの騎兵刀(サーベル)。鍔の部分が護拳(ガード)になっているのが特徴ですね。手に取って≪鑑定≫していた剣の乙女ちゃんが何かに気付き、眼前に掲げた剣を強く振ると……。

 

ガシャッ!!

 

「あ、それ女王様がくれた主に捧げし忠義の砲剣(レイテルパラッシュ)だね! やっぱかっこいいなぁ!!」

 

 おゆはんを食べに来ていた勇者ちゃんが目を輝かせながら出どころを明かしてくれましたが……やーなむちほー産じゃないですかやだー! 切先が変形して現れた銃口を見て、みんな驚いています。刺突をメインにした剣と遠距離に対応した銃。両方の機能を併せ持つ変態……浪漫……優秀な武器なのが、このレイテルパラッシュです!

 

「むう、銃は苦手だから振るうのを避けていたが、いざ他人が使っているのを見ると、やはり羨ましくなるな……」

 

 おなじくおゆはんを貪っていた剣聖さんが物欲しそうな目で見ていますが、斬撃を飛ばせる人には不要だと思うんですがそれは。あ、もっと他にないのとせがんでいた吸血鬼君主ちゃんが、裸に頭部と右手にでっかい車輪、左手に大砲という冒涜的な装備に!?

 

「通常の短筒と違い、握り(グリップ)の棘に指を当てて血を充填すると弾丸が生成される仕組みになっているのです。吸血鬼にしか使えない武器なので、ゴブリンの手に渡る心配も無いのです」

 

 楽しそうに車輪を回し続けてYOU DIEDした吸血鬼君主ちゃんを抱き上げながら、賢者ちゃんが仕様について説明してくれてます。使用者の筋力に左右されず、短期間の修練で恐るべき威力を生み出す銃の普及は四方世界にとって望ましくありませんからね。現状弾薬費が高価すぎるのとメンテナンス出来る人間が限られているため広まっていませんが、ゴブリンが使い始める悪夢の事態は避けねばなりません。そういう意味では万が一盗難に遭っても盗んだ相手が使えないというのは実に素晴らしい(マジェスティック)!!。 新生剣の乙女ちゃんの活躍に期待が高まりますね。

 

 

 

「それじゃ、明日冒険者登録に行きましょうか」

 

「はーい!!」

 

「え、あの、私は既に登録してありますが……」

 

 一通りの確認が終わり、これなら問題ないだろうということになったその夜。一党のママである女魔法使いちゃんの一声にぴょんぴょんする白兎猟兵ちゃんと、困惑した様子の剣の乙女ちゃん。お気持ちはごもっともですが、これには事情ってものがありましてですね……。

 

「その恰好で『私は金等級冒険者で、みんなから剣の乙女として敬愛の念を集めています!』って言えるんなら構わないけど、良いかしら?」

 

「ごめんなさい」

 

 まぁ、そういうことです。盤外(こっち)の盛り上がりは置いといて、六英雄の1人である『剣の乙女』が姿を変えてウロウロしているのは問題なわけで。それならいっそ新人冒険者として登録することで偽装身分(カバー)を用意してしまおうという話ですね。幸い他にも登録が必要な仲間がいますし、まとめてやってしまえば目立つことも無いでしょう! ……外見という点を考えないのであればですが。

 

「なるほど、冒険者として登録すれば旦那さまの御傍で活躍できるんですね。ぼく頑張ります!」

 

 やる気に溢れた白兎猟兵ちゃんを見て、満足げに笑みを浮かべる女魔法使いちゃん。視線はそのまま吸血鬼君主ちゃんへと移り、その小さな肩をポンと叩きました。

 

「なに他人事みたいな顔してるのかしら。アンタも登録するのよ?」

 

「……ふぇ?」

 

 


 

 

 数日前に冬将軍が討伐されたことにより、あっという間に春めいた陽気となった辺境の街。冬眠から覚めたように活動を始めた冒険者に対応するためにギルドの受付は大賑わいです。受付嬢さんが訓練場で邪神ぽんぽんぺいんと戦いながら、元新人と都落ち(福本モブ)冒険者のいがみ合いを捌いているため、監督官さんまで新人登録に駆り出されているみたいです。夢と希望に満ちた瞳でピカピカな白磁の認識票を受け取る少年少女に、営業スマイルで対応していた彼女。冒険者たちのざわついた声に気付き、視線を向けた先には……。

 

「とうちゃ~く!」

 

「ほわぁ~! ここがギルドなんですねぇ」

 

「……やはり似合っていないのでしょうか? みなさん此方を見てますもの……」

 

 好奇に満ちた冒険者の間を掻き分けるように一直線に受付へと向かってくる3人の少女。種族は違えどもその美しさ、可愛らしさは周りの目を捉えて離さず、ギルド中の注目を集めながら監督官さんの前までやって来ました。3人の後方からはこれもまた美女、美少女の一行が。こっそりと後を付けてきた彼女たちがテーブル席に着くのを見た後、監督官さんが3人の少女に笑みを向け、要件を尋ねています。

 

「やぁやぁ可愛いお嬢さんたち、今日は冒険者登録かな?」

 

 からかうような視線を受けて、さっと先頭の子の後ろに隠れようとする眼鏡の少女。お父さんのお下がりであるまだら模様の上下(迷彩服)を着ている兎耳の少女はどこ吹く風といった態度を崩そうとしません。受付の縁に手をかけ懸垂のような格好で顔を見せながら、吸血鬼侍ちゃんに借りた貴族のお坊ちゃん風の半ズボンスタイルな先頭の少女……吸血鬼君主ちゃんが来訪の目的を話しました。

 

「えっと、ぼうけんしゃとうろくをおねがいします! ()()()()()()!!」

 

「はいはい、()()分ね。それじゃあこの用紙に必要事項を記入し……んん?」

 

 用意した白紙の冒険記録用紙(アドベンチャーシート)を取り落とし、思わず二度見する監督官さん。よく見れば吸血鬼君主ちゃんの胸元にある筈の紅玉の認識票がありません。聞き返してしまったのも無理は無いでしょう。女魔法使いちゃんに持たされた手紙と、それを差し出す吸血鬼君主ちゃんを交互に見つつ確認をとってますね。

 

「ええと、後ろの2人は新規で良いとして……え? 再発行じゃなくって???」

 

 はい、覚知神さんに言われるまで私を含め誰も気付いていなかったのですが……吸血鬼君主ちゃん、なんと現在冒険者ではありません。というのも、水の街の冒険者ギルドで登録してあるのはあくまで『吸血鬼侍ちゃん』の名前なので、2人に分かれた時にその名前を元分身ちゃん……現在の吸血鬼侍(サムライ)ちゃんが名乗ってる以上、書類の上では吸血鬼君主(ロード)ちゃんは自分を『吸血鬼侍ちゃん』だと思い込んでいる一般吸血鬼、あるいはそっくりさんでしかないのです。

 

 慌てて監督官さんが視線を向けた先、テーブル席で手を振っている吸血鬼侍ちゃんの首には紅玉の認識票。交互に視線を向ける監督官さんに追撃をするように、認識阻害の眼鏡をずらした剣の乙女ちゃんが、心苦しそうな様子で口を開きます。

 

「本当に申し訳ありませんが、()()()()()()()()()()()()()()()

 

 眼鏡による認識阻害が無くなったことと、吸血鬼君主ちゃんが差し出した女魔法使いちゃんからの手紙によって、目の前の眼鏡っ子が誰なのか、何故新規登録なのかを察してくれたみたいです。ニヤリというあまり人様にお見せ出来ない笑顔を浮かべながら、幾分か弾んだ声で自分を見つめている3人の少女に声をかけました。

 

「そこの机じゃ高さが合わなくて書き辛いだろうから、ちょっと奥の部屋で作成しようか! 3人とも着いてきてね~!!」

 


 

「はい、それじゃあこれで3人とも晴れて冒険者の仲間入りを果たしたワケだけど……早速依頼を請けるかな?」

 

「んとね、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!」

 

「うんうん、それがいい! 場所は街を出て街道沿いに歩けば見えてくるけど、困ったら認識票を下げている先輩に道を尋ねるといい。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 お、戻ってきましたね! 先程までの営業スマイルとは打って変わって心底嬉しそうな笑顔の監督官さん。彼女に引率されている3人の首には真新しい認識票が輝いています。3人揃ってお辞儀をしながら監督官さんにお礼を言い、このまま訓練場に向かうみたいですね。前年の春から、冒険者登録をした新人は余程自分の腕に自信がない限りは訓練場に通うことをギルドから勧められてますので、新米冒険者のロールプレイとしては真っ当といえるでしょう。

 

 さて、後は上手く釣れるかどうかですが……おっと、ギルドホールの一角を占拠していた集団の中から鋼鉄の認識票をつけた男3人が立ち上がりました! 装備から判断するに、戦士1人と斥候か軽戦士っぽいのが2人でしょうか。うーん、全員揃いも揃って性根の腐ってそう(福本モブ)な顔をしてますねぇ。「運の良いヤツ」や「後から合流するからあんまり汚すんじゃねぇぞ」なんて小声で話しているあたり判りやすいというか何というか……。

 

 

 

「さて義妹(いもうと)くん、私たちもそろそろ向かおうじゃあないか」

 

「そうね、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。残りの連中は頼むわね?」

 

「任せときなさい! こう見えても私、掃除は得意なのよ!」

 

「でも、おへやのおそうじはできてな……おあ~……」

 

 檸檬水を飲み干した女魔法使いちゃんと森人狩人さんが立ち上がるのを見て、妖精弓手ちゃんが吸血鬼侍ちゃんのほっぺを引っ張りながら平坦な胸を張って請け負ってますね。テーブルの上には本来冒険者が見ることの出来ない他人の冒険記録用紙(アドベンチャーシート)と人相書きが広げられています。どの用紙にも注意書きや付箋が多く、素行の良い冒険者で無いのがひと目でわかります。人相書きの顔については……まぁ視聴神の皆さんがお察しの通り、向こうのテーブル席の連中ですね。

 

 

 

 王都から流れて来た連中の中で、辺境ギルドのおっかない面々に脅しつけられて更生した者は訓練場で教官役や新人の引率を率先して引き受け、人事評価の向上に邁進しているのですが、それすらも拒否した一部の連中が先日とうとう訓練場を追い出されてしまいました。

 

 宿泊費が続く間は近場の宿屋の大部屋を借り切っていたようですが、どうやらそれすらも底をついたようで、とうとうギルドのホールに屯するように。宿屋でも深夜まで騒ぎ立てたり、いちゃもんを付けて宿泊費を踏み倒そうとしたりと随分迷惑をかけていたみたいです。鋼鉄等級なんですから依頼をこなせば日々の生活費くらい簡単に稼げるというのに、下水掃除や近場への輸送依頼なんかは鋼鉄等級のこなす依頼じゃないとゴネる始末。

 

 辺境の街居付きの冒険者からも総スカンを喰らい、やり場のない不満と溜まったストレスを発散させようと、超えてはならない一線を超えるつもりのようですねぇ。

 

 妖精弓手ちゃんに引っ張られて赤くなった頬をさする吸血鬼侍ちゃんが見上げれば、二階の手摺にもたれかかるようにして待機している鉱人道士さんと蜥蜴僧侶さん。一行に向かって小さく手を振ってくれてます。重戦士さんと槍ニキは顔を見せると警戒されてしまうので、油断させるために本日は森人少女ちゃんと令嬢剣士さんと一緒に訓練場に行っているため、その代替要員として協力してもらっているんですね。

 

 むむむ、女魔法使いちゃんと森人狩人さんが出て行ったことで、連中も気が緩んでいるみたいですね。ギルドから出て行く2人にイヤらしい視線を向けながら「クソ、いつかヒイヒイ言わせてやる」だの「無理矢理手籠めにしてやれば俺たちの玩具だ」なんて盛り上がってますけど……吸血鬼イヤーにはバッチリ聞こえちゃってるんだよなぁ。

 

「ねぇ、あいつらもうしまつしても……おあ~……」

 

 あぶないあぶない、牙を剥くような笑みを浮かべている吸血鬼侍ちゃんのほっぺを妖精弓手ちゃんが再び引っ張ってもうちょっと我慢しなさいと窘めています。そんな妖精弓手ちゃんの顔もなかなかおっかないことになってますけどね。ギルド側の準備はばっちり、あとは先行した鋼鉄等級3人のやらかしを吸血鬼君主ちゃんが連絡してくれれば……お、どうやら3人に接触してきたみたいですね。視点を移してみましょう!

 

 


 

 

「なるほど~、きょうはくんれんじょうじゃないんですね!」

 

「あ、ああ。今日は実地訓練としてゴブリンが住んでいた巣穴にみんな集まっているんだ……」

 

 うーんこのガバガバ理由。どうやら追いかけて来た腐れ冒険者(福本モブ)、人気のない洞窟か何かに3人を連れ込む算段のようです。言葉巧みに街道から離れ、林の奥へと誘導しているつもりなんでしょうが……あまりにも挙動不審過ぎて誰も引っ掛からないんじゃないですかねぇ。

 

 リーダー格と思しき眼鏡をかけた重装備の男は吸血鬼君主ちゃんの太股に目を奪われてますし、後方を警戒している斥候っぽいのは白兎猟兵ちゃんの左右に揺れる長耳に気を取られて、竜革の外套を使って上空から凄い目で眺めている女魔法使いちゃんと森人狩人さんに全く気付いていません。素肌に革鎧というセンシティブな格好のふとましい軽戦士からねっとりとした視線を注がれ、居心地悪そうな剣の乙女ちゃん。嫌悪感で青褪めた二の腕にも粘っこい視線が纏わりついてます。

 

 3人が精神的な拷問を受けながら歩く事暫し、どうやら彼らが致す場所に選んだ洞窟に着いたようですが……。ん? なんだか見覚えが……あ!?

 

 

 

「ど、どうした? 急に立ち止まって」

 

「……ん、なんでもない。このおくにみんないるの?」

 

 歩みを止めた吸血鬼君主ちゃんを訝し気に眺めている眼鏡重戦士。不審がられていると勘違いして3人に早く中に入るよう急かしていますけど、吸血鬼君主ちゃんが止まったのは全く別の理由です。上空の女魔法使いちゃんの顔も歪んでいますし、間違いありません。

 

 

 

 ここ、『吸血鬼侍ちゃん』が初めて『冒険』をした、あのゴブリンの巣穴です。

 

 

 

 先ほどまでの人懐こい笑顔が消え、黙ったまま歩く吸血鬼君主ちゃんと、それを心配そうに見つめる2人。いよいよバレたと思ったのでしょう、入り口からの光が届かなくなった辺り、ちょうどゴブリンが壁抜きをしてきた場所で腐れ冒険者(福本モブ)が動き出しました! リーダー格の眼鏡重戦士が吸血鬼君主ちゃんの首を腕で挟み込むように締め上げ、反応して武器を抜こうとした2人に向けて反対の手で剣を突き付け手慣れた様相で恫喝の声を響かせます。

 

「おっと、妙な真似はするなよ? お前らの大切な仲間の首が、俺が驚いた拍子にへし折れるかもしれないぜ!」

 

「おあ~……」

 

 うん、もうちょっと演技ってものを学んだほうが良いんじゃないかなぁ吸血鬼君主ちゃん。呼吸不要なので苦しさとは無縁ですが、喉元に当たる金属の感触に不快そうに唸っています。いつの間にか短剣を抜いていた残りの2人も吊るし上げられた吸血鬼君主ちゃんの服に刃をあてがう素振りを見せ、剣の乙女ちゃんと白兎猟兵ちゃんに武器を捨てるよう怒鳴りつけてますね。2人が剣とクロスボウを地面に置くと、足元から顔まで舐めまわすような視線を向け、下品に笑いだしました。

 

「そうそう、黙って言うことを聞いてれば痛い思いはしなくて済む。むしろ気持ちよくさせてやるからなぁ?」

 

「あんまり乱暴に扱うんじゃねえぞ? アイツらが使()()前に壊しちまったら面倒なことになる」

 

「駆け出し冒険者がゴブリンに返り討ちにされて姿を見せなくなる……っ。何処にでも転がっている、ありふれた話……っ!」

 

 もうちょっと気の利いたことを言うかもと思ってましたが、残念ながら見た目通りの台詞でしたねぇ。剣を鞘に納め、空いた手で無遠慮に吸血鬼君主ちゃんの身体をまさぐる眼鏡重戦士。剣の乙女ちゃんと白兎猟兵ちゃんに節穴斥候と太め軽戦士がにじり寄るのを見て、吸血鬼君主ちゃんが声をあげました。

 

「……さんにんともぼくがあいてするから、そのふたりにはてをださないで」

 

「オイオイオイ、そんな貧相なナリで随分余裕ぶっこくじゃねえか。まぁ俺たち3人を満足させられたら考えてやるよ!」

 

 考えてやるよ(考えるだけ)ですねわかります。自分たちが圧倒的強者であると信じ込んでいる者特有の歪んだ笑みを浮かべている腐れ冒険者(福本モブ)たち。手早く剣の乙女ちゃんたちを逃げられないようにロープで縛り上げ、自慢の逸品を引っ張り出しながら吸血鬼君主ちゃんを囲むように迫ってきます。表情の消えた吸血鬼君主ちゃんが、正面で期待と興奮で息を荒くしている眼鏡重戦士の得物に手を伸ばし……。

 

 

 

 

 

 

ぷちゅん

 

 

 

 

 

 

 柄の部分にぶら下がる塊を、果物を摘み取るようにあっさりともぎとりました。

 

 

 

「ぎゃあああああああああああああああ!?」

 

 激痛にのたうち回る眼鏡重戦士の眼前に果実を落とし、横で呆然と立ちすくむ節穴斥候の股間を蹴り上げる吸血鬼君主ちゃん。細心の力加減で放たれた一撃は、骨や内臓を傷付けることなくナッツだけを粉砕。口から泡を吹いて崩れ落ちるソレに背を向け、下ろしたズボンが引っ掛かって仰向けに転倒している太め軽戦士へと近寄っていきます。

 

「ぼ、冒険者同士の争いはご法度……っ! これは決して許されない暴挙……っ!!」

 

 ぐにゃあ……とした顔で必死に喚いてますが、手を出してきたのは彼らが先ですからねぇ。ニッコリと笑ったまま近付く吸血鬼君主ちゃんを見て、本来笑みとは肉食獣が牙を剥く行為であると彼も思いだしたことでしょう。恐怖ですっかり縮み上がった相棒に小さな足が乗り、少しづつ力が籠められる中で、悲鳴を上げることしか出来ない太め軽戦士。やがて上から押し潰すような万力の如き力に耐え切れず、彼の股間からも水っぽい破裂音が響きました。

 

 

 

「おやおや、随分派手にやったみたいだねご主人様」

 

 お、剣の乙女ちゃんと白兎猟兵ちゃんの拘束を解いていたら、女魔法使いちゃんと森人狩人さんが迎えに来てくれました。地面でのたうち回る男たちを見て顔を引き攣らせてます。絶対に殺さず生かしたままギルドまで連行する約束を守りながら最大限の責めを行う吸血鬼君主ちゃん、なかなかやりますねぇ!

 

「た、助けてくれ……っ」

 

 訓練場でスゴイ=シツレイな態度を取っていたにも関わらず、這いずるように女魔法使いちゃんへと近付き助けを乞う眼鏡重戦士。ゴミでも見るような目で眺めていた女魔法使いちゃんでしたが、溜息を吐きながら杖で肩を叩いています。

 

「まぁ、そのまま出血してたら危ないかもね。取り合えず止血くらいはしておきますか」

 

 嫌そうな顔を見せている吸血鬼君主ちゃんと剣の乙女ちゃんに手を振り、奇跡は不要だと告げる女魔法使いちゃん。まぁ酷い目に遭わせようとしてきた連中に癒しの奇跡をかけるのは嫌ですもんね。懇願するような顔つきの男たちにニッコリと笑いかけながら、爆発金槌を起動する女魔法使いちゃん。赤熱した先端を見て、何がおこなわれるか察したのでしょう。逃げようとする眼鏡重戦士の腹を踏みつけて固定し、笑みの表情……目は全く笑っていない……のまま、傷口へと爆発金槌を近付け……。

 

 

 

「私の大切な恋人や家族を犯そうとしたヤツらに施すには、十分すぎる処置でしょう?」

 

 

 

 

 

 

 洞窟中に充満する肉の焼ける臭い。今日のおゆはんは肉以外が良さそうですね……。

 

 


 

 

「ようやく来たか」

 

「そいつらで最後だからさっさと放り込んでくれや!」

 

 燃やしたゴミを引き摺りながら辺境の街へと帰還した一行を、街の入り口で重戦士さんと槍ニキが迎えてくれました。その背後には大型の馬車が2輌。連中に気取られぬよう訓練場に移動させていたものを、油断を誘うついでに運んで来てくれたんですね! 手や足に枷を嵌められた()冒険者たちを屋根の無い荷台に乗せ終えた鉱人道士さんと蜥蜴僧侶さんに、監督官さんがねぎらいの言葉と共に飲み物を渡しています。

 

「お疲れさま~。暴れる前に拘束できて助かったよ~!」

 

「いや、拙僧の呪文ですらないひと吠えに怖気付き、術師殿の≪酩酊(ドランク)≫で寝てしまう程度の未熟者ばかりでしたからな。王都で活動していた冒険者とは思えぬ技量、まこと拍子抜けとしか言いようがありませぬ」

 

「鱗のの言う通りだのう。訓練場の新人のほうがまだマシだわい」

 

 ため息交じりにぼやく銀等級2人。冒険者登録の剥奪と犯罪者として官憲に引き渡すことを通達した監督官さんに対し言いがかりだと騒ぎ立てていた連中ですが、冒険記録用紙(アドベンチャーシート)を突き付けながら数々の違法行為を告発され逆上、彼女に掴みかかろうとしたところで待ち構えていた2人に無力化されたという顛末だったそうです。なお、監督官さんもバッチリ≪酩酊(ドランク)≫の効果範囲に含まれていましたが、腐れ冒険者(福本モブ)たちがバタバタと倒れ伏す中1人だけ平然と立っていたとのこと。精神的にタフでなきゃギルド職員なんてやってられないですもんね……。

 

「こ、こんな事が許されてたまるか……何故なんだっ! 圧倒的……! 圧倒的ギルドの……横暴っ!」

 

 おや、荷台に放り込まれた衝撃で眼鏡重戦士が意識を取り戻しましたね。もがく身体が周囲の連中にぶつかり、衝撃で次々と目を覚ましていきます。馬車を囲うように立ち、蔑みの視線を向ける辺境居付きの冒険者たちを見て、自分勝手な意見を主張し始めました。

 

「新人と上の連中ばかり優遇されて……俺たちは中間搾取……っ! 俺には分かる……どうせギルド職員(お前たち)もグル……っ! そいつらと結託して甘い汁を吸っている……汚い社会の在り様っ!」

 

 お、おう。あんまりにも歪み切った考え方に一同の目が点に。訓練場から馬車と一緒に来ていた森人少女ちゃんと令嬢剣士さんも頬を引き攣らせています。経済に明るい2人からすれば、彼らの主張は的外れにも程があるでしょうねぇ。はぁ、と巨大な溜息を吐いた監督官さんが、只人(ヒューム)社会は複雑怪奇なのねぇと頷いている妖精弓手ちゃんから吸血鬼侍ちゃんを受け取り、彼らが積まれている馬車へと近付いて行きました。

 

「あのさぁ……口を開けば文句と不平しか吐かない中堅下位等級と、ゴブリン退治から上級魔神殲滅までこなしてくれる上に、訓練場建設のために王国から莫大な資金援助を引き出してくれて、おまけにタダみたいな依頼料で新人の育成もしてくれる新進気鋭の若手。ギルドがどっちを優遇するかなんて決まり切ってるでしょ?」

 

「俺たちはベテラン……っ! 白磁や黒曜の使えない奴らとは……違う待遇……っ! 優遇されて当たり前……っ!」

 

 なんでそれがわからないのかなぁとぼやく監督官。なおも不平を漏らす連中の前に手を翳して声を遮り、普段の飄々とした姿からは想像もつかない冷徹な顔を見せ……。

 

 

 

 

 

 

「残り少ない時間を有意義に使いたまえ、()冒険者の犯罪者諸君。ギルドはもう、君たちを救わない」

 

 

 

 ヒエッ……。強烈な殺気をぶつけられた眼鏡重戦士は泡を吹いて気絶、抱きかかえられていた吸血鬼侍ちゃんもその余波を喰らってガタガタ震えています。凍り付いた時間を動かすように監督官さんが重戦士さんと槍ニキに出発を促しています。水の街の至高神の神殿に移送し、裁きを受けさせるみたいです。……つまり見習いでなくなった至高神の聖女ちゃんのお仕事ですね!

 

「ギルドの女子(おなご)はおっかねえな。酒に呑まれんよう注意せんといかん……」

 

「然り。さればまずその一口目をいただくとしますかな」

 

 受付嬢さんもですが、監督官さんの怒りも買ってはいけないと心に刻んだ冒険者たち。ゴミ処理に付き合わせてしまったお詫びに、ギルドホールに居合わせた冒険者たちにギルド持ちで一杯奢ってくれるということで、みな引き攣った顔のままギルドへと入って行きます。一行もそれに続こうとしたところで、女魔法使いちゃんが吸血鬼君主ちゃんの挙動がおかしいことに気付きました。

 

「どうしたの、しきりに服を気にしてるみたいだけど? 洞窟で泥でも跳ねた……っと」

 

 おや、屈みこんだ女魔法使いちゃんのお山に顔を埋めるように吸血鬼君主ちゃんが抱き着きました。突然のセクハラに対し、公衆の面前で盛ってるんじゃないわよと引き剥がそうとした女魔法使いちゃんですが、掴んだ肩が僅かに震えているのを見てそのまま優しく抱き締めました。

 

「どうしたの? ただ甘えたくなったわけじゃないんでしょ?」

 

「……あいつらにさわられたかんしょくがまだのこってるきがして、きもちわるくて」

 

 ああ、無遠慮に身体をまさぐられてましたもんね……。好きでもない人に肌を蹂躙されたら流石の吸血鬼君主ちゃんも不快だったみたいです。やっぱアイツ殺しとくかと立ち上がりかけた女魔法使いちゃんを慌てて制しながら、上目遣いでおねだりするのは……。

 

 

 

「あのね、いっしょにおふろはいってほしいの。ぜんしんきれいにしてほしい……だめ?」

 

 

 

「……いいわ、ピッカピカに磨き上げてあげる。アンタと出会った思い出のあの場所を穢されて、私もムシャクシャしてたし」

 

 森人狩人さんに声をかけ、2人は身体を清めてからギルドに向かうことを告げる女魔法使いちゃん。何となく理由を察したのか、森人狩人さんも揶揄うこともなくみんなに伝えておくよと引き受けてくれました。

 

「わがままいってごめんなさい」

 

「ばか、べつに謝るような事じゃないでしょ。それにお酒が入る前に考えたかったこともあるし」

 

 吸血鬼君主ちゃんを抱き上げながら、あそこまで冒険者が王都から流出した理由、ただの偶然とは思えないと呟く女魔法使いちゃん。言われてみれば下位等級がごっそり抜けたにも拘わらず、王都からの依頼が辺境に回ってきたという話も聞かないですし。もともと冒険者の数が依頼よりも多かったのか、それとも他の理由があるのか。気にしておいたほうが良いかもしれませんね。

 

 王都の状況も気になる所ではありますが、今日はパーッと騒いで嫌な気分を払拭しちゃいますか。ギルドの風通しも良くなったことで、春からの新人育成も捗ることでしょう。ダブル吸血鬼ちゃん一党(パーティ)も、これからますます忙しくなっていきますね!

 

 

 

 

 なお、お風呂で燃え上がってしまい、2人がギルドに顔を出したのは日が暮れた後だったそうです。若いってすっごーい!

 

 

 

 今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 


 

 

 なるほど、可変式とは考えましたね万知神さん。これなら視聴神さんたちの様々なニーズにも対応できますね!

 

 んで、やり切った顔の万知神さんとは対照的に渋い顔のGM神さんは何をそんなに悩まれているんです?

 

 ふむふむ、次のシナリオで使う予定のゴブリンが足りない? あー、死灰神(オ〇ニー)野郎が『赤い手』の時に盛大に無駄遣いしてましたもんね……。

 

 ここは逆転の発想でいきましょう、ゴブリンが足りない、だったら人間を敵にしちゃえば良いやって。

 

 いやいや、あの子たちを悪堕ちさせるとかじゃないですからその物騒な神殺し(チェーンソー)は仕舞ってください万知神さん!?

 

 ふぅ、まぁこの無貌の神(N子)さんに任せてください。駄々甘い人間関係にスパイスを効かせてみせますから!!

 

 

 




 テキストでのオンセに慣れないので失踪します。

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