ゴブリンスレイヤー モンスター種族PC実況プレイ 作:夜鳥空
ワクチン接種で腕が痛いので初投稿です。
お前がパパになるんだよ!な実況プレイ、はーじまーるよー。
妖精弓手ちゃんの意味深な告白から数日後、とあるイベントに出席するために辺境で名を馳せる冒険者たちがギルドの訓練場へと集まっております。天井の高いホールの中で期待と不安に満ちた視線を左右に巡らせているのは、念願の冒険者となった新人たち。ベテラン連中は壁際でそれを懐かしそうに眺めています。
お、新人たちに紛れてこっそり白兎猟兵ちゃんの姿も見えますね。実戦経験は積んでいるとはいえ、冒険者としての知識や技術は必要なので通うことにしたようです。剣の乙女ちゃんが混じっているのは……新人だったころの気持ちを忘れないようにという戒めですね!(目逸らし)
そうそう、去年走り回るチキン事件を引き起こした例の
「やぁみんな、おはよう。教官の狩人おねーさんだよ」
いつもの口調で壇上に現れた森人狩人さん、一緒に出てきたのはゴブスレさんに吸血鬼侍ちゃん、それに最近ご無沙汰だった女神官ちゃんです。いつもなら相棒の森人少女ちゃんが隣にいるのですが、身重の義妹を連れ歩くのはちょっと……ということで、森人少女ちゃんは辺境の街のギルドでアルバイト中です。書類仕事の早さは
「先日やっと陛下から許可が下りて、訓練場の目玉となる施設が運用可能になったんだ。この施設があれば君たちの
不安げに視線を向ける新人たちに歯を見せる笑みを返し、説明を担当に引き継ぐ森人狩人さん。交代で3人が新人たちの前に出て……あ、ゴブスレさんが女神官ちゃんに脇腹を肘でつつかれてます。ビクッと肩を震わせる姿を見てベテラン勢が笑いを堪えてますねえ。若干緊張しているようですけど、大丈夫かなぁ……。
「お前たちが挑む施設は、魔法で作られた人工の
>「いまのじてんでかどうしてるのは、ゴブリンのすあなをそうていしたものだよ。ふつうのヤツからホブ、シャーマン、アーチャー。ばあいによってはチャンピオンもでるかもしれないね」
「支配者である彼女の
予想以上に手厚い準備と死の危険が無いことに安堵の声を上げる新人たち。ひそひそと「これは楽に経験が積めるな!」などという声も聞こえてきますが……あ、ベテラン勢は判ったみたいですね、吸血鬼侍ちゃんが創り出した
「ああ、言うのを忘れていたよ。お嬢さんたちの中で未通の子がいたら、想い人に頼んでさっさと大人になってくるといい」
「ゴブリンに処女を散らされるのがお望みなら話は別だけどね?」
凍り付くような冷たさと、赫怒の炎の熱さ。その両方を秘めた言葉によって魔法でも掛けられたように動きを止める新人たち。呼吸すら覚束無いほどのプレッシャーを放つ森人狩人さんが、そんな彼らを嗤いながら言葉を続けます。
「3人の話をちゃんと理解していないのかな? ゴブリンたちは君たちを傷付けないわけじゃない、
「ああもう、
頭を抱えながら呪文を詠唱する女魔法使いちゃん。掲げた爆発金槌の先端から限界まで威力を落とした
衝撃で正気に戻った森人狩人さん、怯える新人たちの視線と3人からのジト目を一身に浴びて下手糞な口笛で誤魔化そうとしています。おっと、無言で近寄った吸血鬼侍ちゃんが森人狩人さんの形の良い長耳に噛みつき、見事にダウンさせました! そのまま女神官ちゃんに彼女を渡すと、コホンと咳払いをして新人たちに向き直りました。
>「えっとね、こんかいのダンジョンは、へんきょうさいゆうがいままでけいけんしてきたゴブリンのしゅうせい、こうどう、たたかいかたと、ゴブリンにけがされたひとたちのけつえきからおしえてもらったくつじょくをぜんぶもりこんであるの。だから、
「先に入った
にっこりと笑う女神官ちゃんから放たれる圧力にただ頷く事しか出来ない新人たち。ちょっと見ない間になんか凄味が増しているんですけど!? おや、女神官ちゃんに介抱されていた森人狩人さんが何か言おうとしてますね。……嫌な予感しかしません。
「想いは遂げていたほうが良いというのは私の実体験からの言葉だからね? もし相手がいないならご主人様に頼み給え。至高の
「誤解を招く言い方をするんじゃないわよこの
あ、追撃の
「な、なぁ、本当に卒業させてくれるのかなぁ……?」
「馬鹿ねぇ、話聞いてなかったの? お嬢さんたちって言ってたんだから対象は女の子だけ……あれ?」
「つまり、あの
「俺の処女も散らして欲し……うわまてなにをするやめ」
「変態だ! 吊るせ!!」
開幕とは異なる類の期待と不安の視線を向けられ、ちょっと引き気味の吸血鬼侍ちゃん。助けを乞うようにベテラン勢に視線を向けてもそっと顔を背けられています。救いは無いんですね……。
無言のプレッシャーに耐え兼ね。意を決して口を開く吸血鬼侍ちゃん。さぁ、新人たちの圧を跳ね返すようなキメ台詞をどうぞ!
>「えっと……あんまりえっちなのはいけないとおもいます!」
「アンタたち2人にだけは言われたくないわねその台詞」
「まぁまぁ、これで新人たちの慢心も消えたことでしょう。……余裕も無くなったと思いますが」
火に油を注ぐような発言によって一気に燃え上がったホールを呆れた様子で眺める女魔法使いちゃん。隣の令嬢剣士さんが必死にフォローしようと試みていますが、それは追い討ちにしかなっていないのでは?
横を見ればゴブスレさんにヤジをとばして魔女パイセンに尻をつねられている槍ニキに、顔を突き合わせて森人少女ちゃん謹製の「頭あるじさまでもわかる帝王学」という謎の本を読み込んでいる重戦士さん&女騎士さんいう謎空間。ここだけ見れば辺境で名を馳せる冒険者だとは誰も思わないでしょう。銀等級まで上り詰めるような連中はだいだい頭のネジが外れてますからねぇ……。
「あはは……。そういえば、もう1人の
お、地獄の書類仕事から解放された受付嬢さんが
腰に手を当てて粘度の高い液体を一気飲みしながらの問いに対し、顔を見合わせる
「あのお姫様ならちょっと実家まで里帰りしているわ。パートナーのスケコマシも一緒にね」
>「だいじょうぶ? さむくない?」
「うん、シルマリルが
心配する声に応じながらギュッと吸血鬼君主ちゃんに抱き着く力を強める妖精弓手ちゃん。季節の上では春とはいえ、上空を飛ぶ2人の息は白く、糸を引く様に背後へと伸びています。
時間は少し遡って妖精弓手ちゃんが意味深な台詞を言った翌日。2人は一党の自宅から離れ、エルフ王の森へと向かっている真っ最中。彼女のお願いというのは一緒に里帰りして欲しいというものでした。
急な里帰りの理由についてはお茶を濁されてしまい、「森に着いたら話すわ」の一点張りでしたが、彼女の言葉を聞いた
お姫様だっこの体勢で森を目指す2人。
「……ん……ふぅっ……んぅぅ……」
もじもじしてると思っていたら、おもむろに抱き着いてほっぺにちゅー。細い首筋に顔を埋めて
妖精弓手ちゃん、どうしちゃったんですかねぇ……ん? なんですか神々のみなさん、なんか自分変な事言いました? え? アレを見て本当に何だか判らないのかって? イヤ、普段とは違うとしか……。
ちょっと
もう、そこまで扱き下ろすなら自分にも教えてくださいよ! え、面白いからナイショ? いいから実況を続けて? そんな~……。
ええと、失礼しました。以前水の街まで馬車に乗り、そこからさらに筏で1日かけて川を遡っていた行程を飛行でスキップして僅か半日で終わらせ、新緑の眩しいエルフ王の森が2人の眼下に広がり始めました。お、妖精弓手ちゃんが吸血鬼君主ちゃんにお姫様抱っこされた体勢のまま愛用の弓を構え、自宅の庭で成長している木から作り出した一本の矢をつがえていますね。
「とっくの昔に私たちの存在に気付いてるとは思うけど、うっかり撃ち落とされないように報せておきましょうか。……ふっ!」
通常の矢とは異なり、先端に穴の開いた筒のようなものを取り付けた特殊な形状の矢……鏑矢を引き絞り、地平線へ向かって放つ妖精弓手ちゃん。笛のような独特な音を生み出して飛翔する矢、その音に応えるように地上からも鏑矢が撃ち上げられました! 交差する二本の矢が生み出す音は複雑に絡み合い、まるで音楽のように周囲一帯に響き渡っています……。
「うん、これで良し! そしたらシルマリル、この間みたいに森の中をゆっくり飛んで頂戴? 案内役の斥候が迎えに来てくれるから」
>「ん、わかった。しっかりつかまっててね」
妖精弓手ちゃんの言葉に従い徐々に高度を落としていく吸血鬼君主ちゃん。豊かに生い茂る木々の合間を縫うように飛んでいるうちに、左右の枝に人影が見え始めました。手に弓を持ち、腰には矢柄と短剣を身に着けた優美な姿。これは……懐かしの斥候さんたちです! 速度を落としているとはいえ飛行する2人に楽々と追従しているあたり
「……来たか、星風の娘とその伴星。予想よりも早い里帰りであったな」
斥候さんたちの警戒……もとい護衛の下、以前妖精弓手ちゃんに案内された街並みを見下ろせる集落の外縁部へと到着しました。従兄殿とお姉さんが、侍従を連れて2人を出迎えてくれました。鷹揚に挨拶を交わす姿を見ると、普段忘れがちですが妖精弓手ちゃんがマジモンのお姫様だったことを思い出しますね。
不意の訪問に若干警戒されているのでしょう、なんだか
お姉さんである花冠の森姫もじっと吸血鬼君主ちゃんを見つめているようですが……お、周囲の様子を見て苛立ちを隠せない様子の妖精弓手ちゃんが吸血鬼君主ちゃんへ近付いてきましたね。ぷんすこしながら大袈裟な身振りを伴って何かを催促しているみたいです。頷きを返した吸血鬼君主ちゃんが、そっと両手をおへそのあたりに宛がい何かを引き抜くようなポーズを……あ。
「これは……!?」
吸血鬼君主ちゃんが
「――太陽神の神官から譲り受けた神器よ。これでもまだシルマリルが夜の住人だなんて言うつもりかしら?」
背後から吸血鬼君主ちゃんに抱き着き、頬擦りをしながら妖精弓手ちゃんが笑っています。あの、目がまったく笑っていないんですが……。空いているほうの手で妖精弓手ちゃんを撫でながら吸血鬼君主ちゃんも困ったように笑みを浮かべていますね。
>「あのね、ここにきたりゆうはぼくもきいてないんだけど、たぶんたいせつなようじなんだとおもう。おはなしをきいてあげてくれませんか?」
「……貴公の言う通りだな。斥候は持ち場へ戻れ、後は私たちが引き継ごう」
ふぅ、どうやら警戒は解いてくれたみたいですね。次期族長の指示に従い散っていく斥候の人たち。何人かが名残惜しそうな目で吸血鬼君主ちゃんを見ていますが……見なかったことにしておきましょう!
さて、肝心要の妖精弓手ちゃんの訪問理由ですが……お、どうやら決心がついたみたいですね。吸血鬼君主ちゃんを抱きかかえ、お姉さんと従兄殿へと相対しました。微かに震えるその手に吸血鬼侍ちゃんがそっと手を重ね、全幅の信頼を孕んだ瞳で見つめています。その後押しを受け、強い意志を含んだ声で妖精弓手ちゃんが己の願いを口にしました。
「今日ここに来た理由はただ一つ。『揺り籠』を使わせて欲しいの」
「!? 本気で言ってるの……?」
『揺り籠』……? ふむ、聞いたことの無い単語ですねぇ。ですが
喧々諤々の言い合いが続く事暫し。吸血鬼君主ちゃんが抱きかかえられたまま頭上に舞う木の葉の枚数を数えるのに飽き、侍従さんたちと無言のアイコンタクトで脱走を協議し始めた頃、ようやく決着がつきました。最終的には従兄殿が妖精弓手ちゃん側につき、花冠の森姫を説得したみたいです。憔悴した彼女の肩を抱きながら、勝ち誇ったように吸血鬼君主ちゃんを掲げる妖精弓手ちゃんに話しかけています。
「直ぐに準備はさせよう。そなたの伴星には、その間に身を清めて貰うと良い」
「では
「……うん、貴女になら任せられるわ! それじゃシルマリル、この子に着いて行って。しっかり面倒見てもらいなさい!」
従兄殿の言葉を受け、1人の女性が前に進み出てきました。幾重にも布を重ねた露出の少ない服を纏い、何故か瞳を閉じたままの小柄な
……おや? ぽつんと残された吸血鬼君主ちゃんが不思議そうな顔で案内役の女性を見上げていますね。視線を受け止めている彼女も心当たりがあるのか、柔らかな笑みを浮かべ、ゆっくりと歩き出しながら吸血鬼君主ちゃんの視線に応えています。
「ふふ、すぐに判りますよ。さぁ、まずは身体を綺麗にいたしましょう」
>「えっと、よろしくおねがいします?」
初対面にしては随分と距離感が近いですが、吸血鬼君主ちゃんも何処か安心したように彼女に抱かれるままですね。そのまま身を清める場所まで連れて行ってくれるみたいです。
……ふーむ、たしかに何処かで見たことがあるような気もしますが……やっぱり記憶に無いですねぇ。彼女の言う通りすぐに判るんでしょうか。ちょっと様子を見てみましょう!
「どこか痒いところはありませんか?」
>「ん、ちょっとみぎ……あ、そこ……ふあぁ……」
清流のせせらぎに交じって響くのは案内役の女性の問い掛けとそれに反応する吸血鬼君主ちゃんの気持ちよさそうな声。前回水恐怖症を克服した例の場所にやって来た2人、女性の唱えた≪
薄布一枚を身体に巻き付けた姿の彼女、腰まで水に浸かった状態で膝上に吸血鬼君主ちゃんを乗せ、大きな葉で作った器で水を掬っては頭のてっぺんから爪先まで優しく洗い流していきます。あれほど流水を怖がっていた吸血鬼君主ちゃんですが、流水に浸り頭上から水を掛けられても怖がる様子を見せず、完全に身体を彼女に預けていますね。
時折身を捩り、顔を彼女に擦り付けて何かを確認している吸血鬼君主ちゃん。どうやら確信が持てたのでしょうか、するりと膝上で向きを変え、彼女と正対する姿勢で口を開きました。
>「やっぱり
え、お姉さん? 吸血鬼君主ちゃんが見上げている彼女……体型を隠す服を脱いだので判り易いですが、身長は妖精弓手ちゃんよりちょっと低く、手のひらサイズの控えめなお山のスレンダーな体型。肩甲骨辺りまで伸びた白に近い銀髪は清流の雫を纏いキラキラと輝いています。アレ? 言われてみれば誰かに似ているような……。
吸血鬼君主ちゃんの言葉に応えるようにゆっくりと開かれた瞳。その色は
「あら嬉しい。でも外れです。貴女たちによって救われた若草の娘は私の
……エルフって、すっご~い!
>「……エルフって、すっご~い!」
いや、ビックリしました! まさか姉妹にしか見えないこの女性が森人少女ちゃんのお祖母ちゃんだったなんて……。
>「えへへ……おばあちゃん……!」
思いっきり甘えてくる吸血鬼君主ちゃんの頭を優しく撫でる彼女……若草祖母さんとでもお呼びしましょうか。ほっそりとした肢体から放たれる圧倒的なバブみによって、吸血鬼君主ちゃんも完全に骨抜きにされてますね。あらあらと口では言いながらもまったく困っていない様子で甘やかす姿は森人少女ちゃんそっくり。むしろ彼女のほうがオリジンでしょうか……。しばらくお肌の触れ合いを楽しんだ後、膝上に抱え直した吸血鬼君主ちゃんを抱き締めた若草祖母さんが口にしたのは、森人少女ちゃんを助けたことへの感謝の言葉でした。
「行方不明になっていたあの子から届いた
本当にありがとうございますと語る若草祖母さん。吸血鬼君主ちゃんの肩に滴る雫は彼女の頬を伝って来たものでしょうか……。肩越しに振り返った吸血鬼君主ちゃんが、彼女の頬を流れるその熱い雫を舌でそっと舐め取り、耳元で囁いています。
>「ううん、おれいをいうのは
だから、ありがとうは直接言ってあげて?と笑う吸血鬼君主ちゃん。その言葉に頷き、頬を伝う涙をそっと拭う若草祖母さん。ふにふにと吸血鬼君主ちゃんのほっぺたを指で捏ねながら表情を笑みへと変えていきます。
「ええ、そういたしましょう。産まれてくる曾孫の顔を見るのは年寄りの楽しみですからね」
出産予定日が近付いたらお伺いしますねと笑う若草祖母さんに対し、同じく満面の笑みを返す吸血鬼君主ちゃん。よしよし、
うんうん、森人少女ちゃんの赤ちゃんが産まれてくる日が待ち遠しいなぁ……っと、何時の間にやら吸血鬼君主ちゃんもピッカピカに磨き上げられ、水気を拭きとったちっちゃなボディに香油らしき液体を塗ってもらっているようです。僅かに残っていた血の匂いが完全に消え去り、やり遂げた顔の若草祖母さん。対照的に吸血鬼君主ちゃんは落ち着かないみたいですねぇ。
「はい、おしまい。あとは此方の服に着替えていただければ準備は終わりなのですが……」
絹織物と思しき子供用サイズの衣を持った若草祖母さん、一糸纏わぬ姿のままチラチラと吸血鬼君主ちゃんを見ています。髪に残った水分を拭きとっていた吸血鬼君主ちゃんがその様子を見て首を傾げていますが……。
>「えっと、おばあちゃん、どうかしたの?」
「あの、はしたない女と思われても仕方が無いのですが……ひとつお願いを聞いていただいても宜しいでしょうか」
乙女チックにもじもじしていた若草祖母さん、興奮によって鮮やかさを増し宝石のように瞳を輝かせ、吸血鬼君主ちゃんの耳元に口を近付けていきます、まるで他の誰にも聞かれないようにと微かな声で囁いたのは……。
「以前、友人から『すごかった』というのを聞いておりまして。おなか、空いてはおりませんか……?」
……うん、これは森人少女ちゃんのお祖母ちゃんですね間違いない。
「来たか。随分念入りに身体を清めていたようだが……どうした、何かあったのか?」
>「……ナニもなかったよ?」
口から魂を半分出している吸血鬼君主ちゃんを見て、不安げに調子を尋ねる従兄殿。子供サイズでも
禊の後に2人が訪れたのは泉のような場所。大きな蓮の葉を足場に向かった先では従兄殿と花冠の森姫が待っていました。お姉さんは何故かボロボロと泣いており、口からは「妹に先を越された……」や「結婚前にだなんて、うらやまけしからんですわ……」などという声が漏れています。
「妻はそっとしておいてくれ。気持ちの整理に時間がかかっているようだからな。……義妹はこの先で待っている。ここからは貴公1人で行くのだ」
>「ん、わかった。おばあちゃん、あんないしてくれてありがとう!」
ぴょんと若草祖母さんの腕から飛び降り、お礼を言う吸血鬼君主ちゃん。おばあちゃん呼びに対してやれやれという顔をしているところから察するに、従兄殿も彼女のことは理解しているみたいですね。妖精弓手ちゃんが「この子」って言ってましたし、
「これを持って行け。貴公には不要かもしれんが、念の為にな。……健闘を祈る」
>「……? ありがとう」
包みを受け取って歩き出した吸血鬼君主ちゃん。その背中を見る従兄殿の目は優しさに溢れています。若草祖母さんにそれを指摘されると「明日は我が身だからな……」と背中を煤けさせながら返してますけど……いったいどれほどの試練がこの先に待ち構えているというんでしょうか?
「おっそーい! シルマリルってばいつまで私を待たせるつもりだったのか……シルマリル? ちょっと、どうしたのよ黙り込んじゃって? おなか空いたの? それとも眠い?」
>「ほわぁ~……」
……吸血鬼君主ちゃんが呆けてしまうのも無理はありません。従兄殿が指し示していた先、吸血鬼君主ちゃんが辿り着いた泉の最奥には、自然の生み出した究極の美が広がっていました。
流れ落ちる滝を背に咲き誇る蓮の花、中心に咲く一際大きな一輪の蓮華に腰掛け、訝し気に声をかけている妖精弓手ちゃん。素肌が透けるほど薄い絹衣を纏い、水飛沫によって濡れた髪は夜空に瞬く星の輝きに満ち、そっと吸血鬼君主ちゃんの頬に手を伸ばす仕草ひとつが背筋が凍るほどの美しさを秘めています。まるで絵画から抜け出てきたような美の極致と言うべき姿に、ただただ吸血鬼君主ちゃんも息を呑むばかりです……。
妖精弓手ちゃんの繊手が頬に触れたことでようやく我に返った吸血鬼君主ちゃん。ムニムニと遠慮なく頬を蹂躙す普段と変わらないスキンシップによって、やっと目の前の女性が妖精弓手ちゃんであると認識が追い付いたみたいですね。頬をなぞる手を優しく取り、そっと口付けをしながら素直な気持ちを露わにします。
>「とってもきれいで、みとれちゃった。ぼくのかわいいおひめさま?」
「ふふっ、前にも言ったけど、故郷の森の中でこそ
吸血鬼君主ちゃんの腕を取り、蓮華へと引っ張り上げる妖精弓手ちゃん。後ろ抱きの体勢のまま花の中心に座り、眼前の光景に見惚れる吸血鬼君主ちゃんの耳元で囁くのは……。
「ここは『揺り籠』。私たち
妖精弓手ちゃんの呟きを合図に、時計が逆回りするように花弁を閉じ始める蓮華。やがて蕾の形へと姿を変え、2人はその中に閉じ込められてしまいました。内部はおおよそ半径5フィートほどの空間があり、花弁を通して外の光が感じられます。急に閉所に閉じ込められて慌てた様子の吸血鬼君主ちゃん。その小さな身体を抱きすくめ、妖精弓手ちゃんがからかい交じりに頬擦りを始めました。
「そんなに慌てるんじゃないわよ。
>「……ふぇ? ぎしき?」
「そう、儀式。祖霊との繋がりを深め、一時的に霊的な位階を上げて、新たな生命を授かるための儀式」
>「えっと、つまり?」
ああ、それってつまり……。頭が事態に追い付いていないのか、首を傾げる吸血鬼君主ちゃんに対し「もうシルマリルってば察しが悪いんだから」とわしゃわしゃ頭を撫でる妖精弓手ちゃん。秘匿されたおでこに口付けをして、膝上に吸血鬼君主ちゃんを抱きかかえた体勢にチェンジ。頭アライさんな吸血鬼君主ちゃんにも一発で理解できる言葉で告げるのは……。
「つまり、私とシルマリルの赤ちゃんを授かるための儀式よ! ……シルマリル、私は、あなたの子どもが欲しいの。イヤだなんて、言わないわよ……ね?」
>「ふぁっ!?」
……これはまさしく、四方世界で一番美しい『○○〇しないと出られない部屋』ですね!
ほら、さっさと出しなさいという妖精弓手ちゃんの勢いに負けてインベントリーから豊穣の霊薬を取り出す吸血鬼君主ちゃん。腰に手を当てて一気飲みをする男らしい姿を横目に従兄殿から託された包みを開けてみれば、中には
ええと、夜の事情に詳しい地母神さんに確認したのですが、
「さ、こっちにいらっしゃいシルマリル」
お、霊薬を飲み干した妖精弓手ちゃんが花の中央にあるクッションに似た形の
「シルマリルが
……うん、完全に逃げ場無しですね! 捕食者の眼光を浮かべ顔を近付けてくる妖精弓手ちゃんを見て、覚悟を決めたのか先んじて唇を奪う吸血鬼君主ちゃん。閉ざされた空間に濡れた音が響き、銀糸を残して離れた口から熱を帯びた吐息が漏れています。イニシアティブを奪われた妖精弓手ちゃんですが、それを挽回するように眉を立てた笑みを見せ吸血鬼君主ちゃんを花托へと押し倒しました!
「いつもはシルマリルの好きにされちゃってるけど、儀式中の
……満月の夜から
今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。
栄養補給に邁進するので失踪します。
評価、ご感想ありがとうございます。次話が遅れたりしながらも連載を続けられているのは、やはり読んでいただいた方からの反応が嬉しいからですね。
もし宜しければ、読み終わった後にお気に入り登録して頂ければ幸いです。いつか四桁の大台に乗れたら良いなぁと思う次第であります。
お読みいただきありがとうございました。