間隔が空いてしまいましたが、ようやく2話目を投稿です。待っていてくださった方は、待たせてしまって申し訳まりません。
読者の皆さんのお気に召すかは分かりませんが、是非とも読んでくだされば幸いです。
──ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピッ……。
「……ん……朝、か……」
朝六時、いつもこの時間に設定している時計がけたたましく鳴り響き、それと同時に水底に沈んでいた私の意識は覚醒し、目が覚める。
枕の横に置いてあった眼鏡をかけてベッドから起き上がる。先ずは洗面台に向かい、眼鏡を外してから冷水で顔を洗い流してまだ現実と夢の中の間を行き来している意識を、無理矢理にでも叩き起こす。
そうして濡れた顔をタオルで拭いて眼鏡をかけ直したら、寝てる間に失われた水分を補充するために、脇に置いてあったコップに水を注いで、それを一気にあおいで渇いた身体を潤す。
「そう言えば、昨日はシャワーだけだったな……。あまり身だしなみを疎かにしたくないし、少し時間をとってたまには朝風呂にでも入るか……」
そうと決まったらすぐ部屋に備え付けられた浴室に行き、機器を操作して湯船にお湯を張る。最新の設備が使われているので、最初から温かいお湯が出てきてみるみるお湯が貯まり、直ぐに入れるようになった。
脱衣場に戻って寝間着を脱いで洗濯機に放り込む。眼鏡は外して洗面台に置いておく。そうしてから浴室に入ったら、軽く湯浴みをしてからゆっくりと湯船に浸かる。
「ハァ──……生き返る気分だ……」
気持ちよくてつい、声が漏れる
本当に、風呂を作った人は偉大だと思う。風呂は命の洗濯とは、よく言ったものだ。昔の人は毎日風呂に入るという習慣がなかったらしいが、私だったらとてもそんな生活には耐えられないだろう。
人はいつから毎日風呂に入るという習慣を身に着けたのだろう? そのきっかけは? そもそもなぜ毎日風呂に入らなかったのだ? いや、入れなかったのか? ……今度調べてみるのも良いかもしれない。
そんなことを考えているうちに身体が十分に温まったため、一度湯船から上がり、身体を洗う。泡立ったボディーソープをシャワーで流してから、もう一度湯船に浸かる。
二、三分ほどで上がり、脱衣場でバスタオルで体を拭いてから着替えて髪や耳、そして尻尾を忘れずに乾かして、ダメージを与えないよう丁寧にブラッシングする。以前はブラッシンググルームなどしていなかったが、それを話したら色んな人にせっかく立派な尻尾なんだからブラッシングぐらいしろと耳にタコができるほど言われたのでそれ以来毎回欠かさず行うようにしている。
ブラッシングを終えたら携帯端末や腕時計など携行品を身に着け、部屋を──出ようとしたところで肝心の眼鏡を忘れていたことに気づく。急いで脱衣場に行き、洗面台に置いてあった眼鏡をかけて、今度こそ忘れ物がないかをしっかりと確かめてから、部屋を出る。
歩きながら腕時計で時間を確認。時刻は、六時五十二分。いつもなら六時二十五分頃には部屋を出ているハズだが、朝風呂に入っていたためか──少しゆっくり浸かり過ぎていたこともあるだろう──いつもより二十七分も遅い。この後は食堂で朝食を摂るのだが、私の部屋から食堂まではそれなりに距離があるため、いつもより気持ち少し早歩きで向う。
食堂に到着。
腕時計を見ると六時五十五分と、三分しかかからなかったことが分かる。早歩きだったため、早めに到着出来たようだ。それでもいつもは六時半頃に着いているため、総合的に見れば二十五分も遅れているということになる。
とは言っても、まだこの時間は食堂も人がまばらだ。これからどんどん混んでくるので、早いところ食券を買ってカウンターで注文しておこう。
さて、今日は何を食べようか。朝はあまり多く食べる方ではないので、いつも通りできるだけ軽く済ましたいところだ。
朝食ではなく昼食の時間だったが、昨日食べた極東風の和食は中々に美味しかった。特に味噌汁だ。私は極東には縁もゆかりもないが、なぜか味噌汁を飲むと無性に心が落ち着いて、何だか懐かしいような気分になってしまう。しかし、だからといって続けて同じのを注文するのもなぁ……。
結構、悩む。……あまり良くない兆候だ。また余計に時間を食ってしまう。そのせいで、昨夜は風呂に入れなかったと言うのに。全く、この癖はいい加減何とかしたほうがいいな。
「──さん」
何も物事について深く考えることが悪いことだとは思っていないが、時には即断即決、早い判断が求められることもある。別に今がそうということでもないが……。だが、朝食を決めるのに一々こんなに時間をかけるのは、時間が勿体ないような気がする。
「──リさん」
しかし、朝食というのは重要だ。一日の中での最初のエネルギーの摂取であり、決して疎かにしていいものではない。やはりよく考えて選んだほうが良いのではないか? それが正しいとしても、だからといってこんなに考えていては朝食を食べる時間が────
「《ノーリ》さん!」
後ろから名前──名前と言っても本名ではなく、コードネームというやつだが──を呼ばれ、ハッとして思考の海から意識を浮上させる。後ろを向いて、その人を確認する。
「……あぁ。誰かと思えば、アンセル君か。おはよう。今日も良い朝だね。それで、私に何か用でも?」
そう言うと、アンセル君は呆れたようにため息をつきながら、
「はぁ……。何か用でもって……、そんなにずっと考えてたら、朝ご飯を食べる時間がなくなっちゃいますよ? 時計見てください。もう七時十分を過ぎてますよ?」
「……なんだって? 七時十分を過ぎている?」
慌てて腕時計を見る。──確かに短針は七を指しており、長針は二と三の丁度真ん中あたりを指している。
考え過ぎていたことは確かだが、食堂に着いたのが六時五十五分だから、十五分以上も券売機の前で考えていたことになる。
しまった──! 今日はドーベルマン教官に頼まれていて、八時から行動予備隊A1の訓練を担当しなければならないというのに。
当然だが訓練には準備が必要なため、いくら訓練が八時から、と時間が決まっていても馬鹿正直に八時までに訓練室に行けば良い、という話ではない。
彼女等はまだまだ未熟なため、本物の武器を使って訓練するのは危険だ。だから今は刃や穂先を潰した訓練用の武器を使う必要がある。そしてそれらの武器は訓練室に置いてあるのではなく、専用の武器庫に保管されているため、事前に取りに行っておかなければならない。
訓練用の武器だけでなく、怪我をしないようにするためのプロテクターなどの防護用品、水分補給用の飲み物、汗を拭くためのタオル、休憩時のためのおやつ──ってこれは必要なのか? ──、万が一怪我をした場合のための救急キット、などなど一言で訓練と言っても様々な備品が必要となる。本当なら事前に──遅くとも前日までには──準備、段取りを済ませているのだが、今回は折しも重要な書類仕事が重なってしまい全く労力を割くことが出来ていなかった。
結構必要なものが多いので、準備にもそれなりの時間がかかる。人が一人で運べる量などたかがしれているので、何度も訓練室と必要な備品がある部屋とを往復しなければならないのだ。
──アーツを使えば一度に大量に運べるだろうが、アーツの使い過ぎは鉱石病を進行させてしまうため、戦闘以外でのアーツの使用は非常時を除いてケルシー先生に禁止されている。そもそもこんなことにわざわざアーツを使いたくない、という思いもある。
それなりの時間がかかるとは言え、もちろん私一人でやる訳ではなく、行動予備隊A1の面々もそれぞれ分担して手伝ってくれる。そのため馬鹿みたいに時間がかかるということはないが、それでも十分やそこらで終わらせられるものではない。あまり別のことに時間を割いてしまうと、訓練室と備品室の位置を考えれば遅刻してしまうだろう。
ドーベルマン教官に頼まれて承諾した手前、受け持った訓練に私が遅刻するわけにはいかない。代理とは言え教官が遅刻するなんて、折角訓練に参加してくれてる彼女達に申し訳ないし、──代理ではあるが──教官としての示しがつかない。
であるならば、直ぐに何を食べるか決めて朝食を出来るだけ早めに済まさなくては。
「──アンセル君、ありがとう。君が教えてくれなかったら、私はもうしばらくの間券売機の前で何を食べるか、頭を悩ませていただろうね。本当に助かったよ」
「いえ、特別お礼を言われるようなことはしていませんよ。それよりも何を食べるかは決めましたか?」
「ああ、今しがた決めたよ。アンセル君は決めたのかい?」
「はい。私はとっくに決めてましたので。今日は極東の和食にするつもりです」
「和食か、良いじゃないか。実は私はそれを昨日の昼食で食べたんだけどね、とても美味しかったよ。楽しみにするといい」
「そうなんですか? 極東の食事は初めてでどんなものが出てくるかと思っていましたが、それは楽しみです。何よりノーリさんがそう仰るのなら安心できます。──では、そろそろ食券を買って、カウンターに行きましょうか」
「うん、そうしよう」
アンセル君の言葉に頷いて、食券を買う。券売機は複数台設置されているので、順番を待つことなく、アンセル君も食券を買うことができた。因みに私が選んだのはフレンチトーストだ。そこにサラダとドリンクがついてくる。ドリンクの種類はカウンターで選ぶことができる。
アンセル君と他愛もない話をしながらカウンターへ向い、受付担当のスタッフに食券を手渡す。
「ノーリさんにアンセルさん、おはようございます。本日は珍しい組み合わせですね?」
「そうでしょうか? まぁ確かに、私がノーリさんと朝食をご一緒することはあまりないですね」
「確かにそうだね。言われてみれば、アンセル君と一緒に食事をとったことは少ないな」
「やはりそうですよね。アンセルさんはともかく、ノーリさんは普段お一人で食堂に来られるので、こうして誰かと一緒にお越しになるのは何だか新鮮です。あ、ノーリさんはドリンクはどうしますか?」
「ブラックコーヒーのホットでお願いします」
「承りました。ブラックコーヒーのホットですね。こちらが番号札です。では直ぐにお出しするので、席でお待ち下さい」
注文が終わったら、後は料理ができたら呼び出されるので受け取り口に行って受け取ればいい。私の番号は14、アンセル君は15だ。
「分かりました。ありがとうございます。──それじゃあ、席を取りに行こうか」
「そうですね。ノーリさんはどこがいいですか?」
「私はどこでもいいよ。アンセル君が好きに選んでくれ」
「分かりました。では私が選びますので、私に着いてきてください」
そうしてアンセル君が選んだ席に向かい合って座る。 朝早いということあるだろうが、お昼等食事時にはごった返す食堂も人は疎らで近くには誰もいない。殆ど二人きりのような空間だ。
「なんか……落ち着きませんね。私は部隊の皆さんと一緒に食べることもありますが、どちらかと言えば一人で朝食をとることが多いので」
「アンセル君もか。私と同じだね。普段一人で食べていると、こうして誰かと同席したときにどう話せばいいか分からない」
「あ、それ分かります。一人に慣れちゃうと偶然他の人と一緒になったとき、それが仲の良い人なら良いですけど、あまり関わりがない人とか仲の良くない人だと、どうしたらいいか分からなくて困っちゃいますよね」
そう言うとアンセル君は、少しすると「しまった」というような顔をして
「別に私がノーリさんのことを嫌っているとか、そういうことではないですよ!? ただ、その、ものの例えというか、言葉の綾というか……もしノーリさんが気を悪くしてしまったのなら、申し訳ありま──
「アンセル君、ひとまず落ち着いて。大丈夫、私は分かっているよ。別に何とも思ってないし、君が危惧しているようなこともない。もちろん謝る必要もない。それは君の勘違いで、早とちりというものだ」
アンセル君は優しい心の持ち主だから、私が不愉快に感じなかったか心配してしまったのだろう。気に病まれても困るし、ここはアンセル君を慰めなければ。ここロドスで立派にオペレーターとして活躍しているとはいえ、彼はまだ子どもなのだから。大人の私がフォローしてあげないと。
「君は悪くないよ。何も、悪くない。だから気にしないでくれ。本当に私は何とも思っていない。それに、空気が悪くなってしまうと折角のこれからの朝食が不味くなってしまう」
「……そうですね……。ノーリさんがそこまで言うのなら……。しかし、私が言葉選びを間違えたのは事実です。改めて申し訳あり──むぎゅっ!?」
私がああ言ったというのにまだ謝ろうとしているので、アンセル君には申し訳ないが、手で口元を掴んで強引に口を塞ぐ。
「全く君という奴は……。いいかい? 君がどう思おうとも、私は先程のことは何一つ気にしていないし、不愉快に感じたこともない。だから君が謝る必要は全くないんだ。──この話はこれでお終い。いいね?」
私がそう言うとアンセル君は、今度こそ分かったというように何度もこくこくと首を上下に振る。流石にこのままという訳にはいかないので、そろそろ手を離してあげよう。少し苦しかったのか、多少息が荒い。ごめんね、アンセル君。
「はぁ……はぁ、分かりました。では、この話は終わりということにしましょう」
「分かってくれればいいのさ。……それよりも、そろそろ頼んだ食事が出来上がる頃だろう。早めに受け取り口に行こうじゃないか」
「なんでそろそろ料理が出来るって分かるんですか? どのみち出来上がったら呼び出してくれるんですから、それまで待てばいいのでは?」
もっともな疑問だ。確かにわざわざ呼び出される前に行く必要はないのだ。私も普段は呼び出されてから受け取りに行く。
しかし、今日は色々あって朝食をとるのが遅れており、八時からは訓練を担当しなければならない。なので、少しでも早めに食事を終わらせておきたいのだ。そのために予め受け取り口に向かっておいて、呼び出されてから食事を受け取りに行く時間をなくそうと思うのだ。
あまり意味はないかもしれないが、やらないよりは時間の節約になるだろう。
「アンセル君。君を巻き込むような形になってしまって申し訳ないが、実は次の予定までの時間が結構押していてね……。少しでも早めに食べられるようにしたいんだ」
「そういうことでしたか。なら、受け取り口に行きましょうか」
二人で席を立って受け取り口に向かおうとした瞬間、呼び出しのアナウンスが流れる。
『食券番号14番、及び15番の方。お食事が出来上がりましたので、受け取り口の方までお越しください。繰り返します。食券番号14番、及び15番の方──』
「丁度良かったね。今まさに行こうとしていたところだ。さ、受け取りに行こうか」
「はい。行きましょう。もうかなりお腹が減りました」
アンセル君と一緒に受け取り口に行き、それぞれトレイに載せられた食事を受け取って席に戻る。
「ノーリさんはフレンチトーストとサラダ、飲み物はブラックコーヒーですか……。それだけで足りるんですか? 私のから何か分けましょうか?」
「いや、心配しなくとも大丈夫だ。私は元々朝はあまり食べないんだ。いつもこんな感じで軽く済ませてるよ。アンセル君の気持ちだけ、受け取っておくとしよう。ありがとう」
「朝食を軽めにする人は結構いますもんね。私は朝から沢山食べても大丈夫ですが、まぁ人によります。では、そろそろ頂きましょう」
「ああ、このままではせっかくの食事が冷めてしまう。温かいうちに早く食べよう。──いただきます」
そう言うと私は直ぐに食べ始めるが、なぜかアンセル君は中々朝食に手を付けない。それどころか、私のことを不思議そうな顔でジッと見つめている。
「……どうかしたのかい? それとも、私の顔に何か付いてるのかな?」
「いえ、そういうことではないんです。食べ始める前にノーリさんは手を合わせて『いただきます』と言いましたよね。食べる前にそういうことをするのは初めて見たので、何なのか気になってしまったんです」
「そのことか。これはね、極東での食事の際の作法の一つなんだ。食べる前に食事に携わってくれた方々への感謝と、食材への感謝を示すんだ。私も知ったのはつい最近だけどね。──因みに食べ終わった後にも手を合わせて『ごちそうさまでした』って言って食事を作ってくれた人に感謝を示すんだよ」
私が説明すると、アンセル君は興味深そうに聞いている。
「なるほど……。極東にはそのような作法があるんですね。食べる前と食べた後にそれぞれ感謝の気持ちを示す……素晴らしい文化だと思います」
「私もそう思うよ。──さて、アンセル君も新しく極東の作法を学んだことだし、今度は一緒にやろうか。では、手を合わせて」
「「いただきます」」
そう言って今度こそ、私とアンセル君はそれぞれ頼んだ朝食を食べ始める。アンセル君は慣れない箸に最初は苦戦していたようだが、暫くすると多少ぎこちなさは残るものの、上手に箸で食べていた。
箸を使うのは初めてだろうに、もうここまで上手く使えるようになるとは、アンセル君は器用だなぁ。私なんて慣れるのに一週間はかかって──
おっと。人のことばかり気にしてないで、時間がないのだから私も早く自分の朝食を食べてしまおう。
私のメニューはフレンチトーストにサラダと、手間をかけずに簡単に食べられるものなので時間もそうかからない。
……結果的に、当然と言うべきか私は、アンセル君よりも早く食べ終わった。見るとアンセル君はまだ半分ぐらいしか食べていない。
「……ごちそうさまでした。さて、私は食べ終わったから先に行くよ。せっかく珍しく一緒に朝食を食べれたのに悪いね」
「予定があるのなら仕方ありませんよ。私のことは気にしないで下さい。……それにしてもそんなに急ぐなんて、この後は何があるんですか?」
「実はドーベルマン教官に頼まれていて、八時から行動予備隊A1の子たちの訓練を担当しなきゃなんだ。……準備もあるから、結構ギリギリだけどね……」
「ドーベルマン教官に頼まれてですか……。それなら早く行ったほうが良いのでは? ゆっくりしてたら遅刻しちゃいますよ?」
「おっと。それはまずい。遅刻したのが後で知られたら、ドーベルマン教官に怒られてしまう。それでは、私はここで失礼するよ」
そう言って、トレイを返却口に戻すために席を立って歩き始めてしばらくしたところで、アンセル君に言わなきゃならないことがあることに気が付いて振り返る。少し距離があるので、声は多少大きめに。
「アンセル君、一緒に朝食を食べれて楽しかったよ! 機会があったらまた今度一緒に食べよう!」
「私もノーリさんと一緒に食べれて楽しかったです! 機会があったらその時は是非、ご一緒させて下さい!」
アンセル君の声に頷いて返すと、前に向き直って再び返却口に向う。返却口についたらトレイを返して、そのまま食堂を出て備品を取りに行ってから訓練室に向かわなければならない。
ふと、腕時計を見て今の時間を確認する。……時刻は、七時三十五分。私が取りに行くのは訓練用の武器なため、先ずは武器庫に行かなければならない。そこで彼女たちがそれぞれ使う武器と同じタイプのやつを選んで持っていく。
……これが同じ方向でなお且つ武器庫の向こうに訓練室があるという構造なら楽なのだが、誰がどう考えたのか武器庫は訓練室の反対側にあるのだ。そのため必然的に長い距離を移動しなければならない。
──正直、私は設計ミスだと思う。一体誰が決めたのやら……。
「はぁ……。時間に間に合うかな……。いや、何が何でも間に合わせなくてはならない。遅刻なんて言語道断だ。彼女達に申し訳ないし、なによりドーベルマン教官に怒られたくはない……。絶対に後で何らかの罰を与えられてしまう……それだけは御免だ」
……よし。私は決心すると──食事の直後にはキツイが、そんなことは言ってられない──訓練の時間に遅れないために、先ずは武器庫に向かって走り出した。
頭の中で、鞭を片手に持ちながら、こちらに静かに怒りを向ける、鬼の形相のドーベルマン教官を思い浮かべながら──
いかがでしたでしょうか? 今回は朝の一コマを書いてみました。2話目でコードネームですが、オリ主君の名前を出しました。ノーリ君です。元々そういうセンスはないので、結構適当に決めました。本名はそのうち出します。
実はまだ本編に沿った内容にするかは決めていません。ノーリ君に関しても名前を決めても種族や生い立ち、アーツ能力などはまだ決めていません。種族に関しては尻尾があるという記述がありますが、どの種族とするかは考え中です。
引き続き投稿頻度は遅くなると思いますが、ご容赦下さい。
終わり方で予想できるとは思いますが、次話では行動予備隊A1の子たちとの訓練風景を書きます。ここまで読んで下さりありがとうございました。