そんな疑問を試すための世界線が紡がれる。
あれが起きたのは半年以上も前の話。
事故で左腕と両足が動かなくなった時に、入院した病院で偶然目撃してしまった白い生物に声をかけられたことから始まった。
あたし、
その夢は普通の人間なら到底理解できないものだろうが、アリナ・グレイという有名な芸術家だけが理解を示してくれた。
理解者がいるみさきには夢を叶える資格があると思う。
白い生き物は希望を得たタイミングを見計らってみさきの病室へとやって来た。
《僕と契約して魔法少女になってよ。そうしてくれたら君の夢を叶えるための道具であるその手足を治してあげられる。その代わりに君が求める戦いに行ってもらうことになるけど、君からしたら願ったり叶ったりだろ?》
そう言われたらみさきはその契約を選ぶ以外に選択肢がなかった。
契約を結んだみさきはキュゥべえと少女達に呼ばれる生き物から、黒く見えるほどに濃い青色のソウルジェムを受け取ってその使い方を聞き出した。
変身の仕方と戦い方と敵の探り方を知ったみさきは最初の変身でキュゥべえの一個体を血痕も残さずに消した。
そこから全てが狂った。
数時間後、手足が治った奇跡を医者に悟られないようにしながら魔法少女の力の実験を行っていた。
その時に病院の屋上にとんでもない量の穢れが感知しなくても分かるほどに集まってるのに気づいた。
それで急いでそこに向かうとみさきと同じ新米魔法少女が数人と、あのアリナ・グレイがそこにいた。
様子がおかしいのでみさきも変身して近づくと、アリナがちょうど被膜で病院を包んでいる所だった。
「あなた達!病院に集まっている魔女はどうするつもりなの!」
被膜が完成した時に中に入っている魔女の反応はとても小さいがあった。
それに対してみさきは声高らかに命令した。
「全魔女!及び全使い魔に命じる!その場で待機して誰も襲わず逃げずにいなさい!これは絶対命令である!」
その命令に従った魔女達は反応からしても動いていないのが明らかになった。
新人達はあまりのことに困惑してるようだ。
しかし、アリナは突然現れて何かをしたみさきに対して機嫌を悪くした。
みさきにムカついたアリナは一目でわかるほどに機嫌斜めな顔で言った。
「今のが何なのか分からないんですケド」
そう言われたみさきはアリナと真逆に上機嫌な様子で答えた。
「あたしの願いは『健康で絶対的な悪になってヒーローにやられること』なんだ。そんなあたしだからこそ使える魔法は『魔女の絶対支配』なんだよね。武器とかが無い代わりに最高で半径1km圏内の魔女達を操れるんだ。魔女よりこっちを優先したのはいい判断だけど病院がそういう所だってことを失念しないでね」
この話を聞いてアリナは真顔になった。
他の新人2人も解答と説教を同時にされてキョトンとしている。
その隙に半魔女が出来上がって動きそうなのでみさきが一気に命令した。
「半魔女に命じる!動くことと成長することと魔女化することを完全に禁じる。これは絶対命令である!」
それを聞いた半魔女は完全に動きを止めた。
それを見た新人達は目を見開いてから悲しそうな顔になった。
「その命令に従ったってことは...間に合わなかったんだ...」
赤髪の新人はより一層悲しそうな顔をする。
その隣にいる茶髪の新人は目を閉じて何かを考えているように見える。
しばらくして4人の間に流れた沈黙を破って茶髪の新人が言った。
「まだ助かる可能性はあるよ」
その言葉に赤髪の新人が反発する。
「そんな...でも、出来ることなんてもう...」
赤髪の新人が弱音を吐くと茶髪の新人が強い口調で返した。
「あるんだよ!一世一代の大博打。僕の物語を具現化させる!」
その言葉に全員が驚いた反応をした。
このまま全く知らない少女が魔女になるのも面白いかもと思っていたみさきは残念そうな顔をして傍観する。
「人格や感情が無ければ魔女になることはない...!だから、魂に刻まれたういという存在を抜き出す!そんな物語を具現化させれば!」
「ダメだよねむ!どこかに入れておかないと抜き出しても消えちゃうよ!」
茶髪の少女のやり方に穴があると赤髪の少女が気づいて指摘する。
その指摘に対してすぐに答えを見つけた茶髪の少女は近くにいるキュゥべえを指した。
それはみさきが消した個体と比べても明らかに小さい。
そして、明らかに性能が他と比べて劣る。
なぜそんなものが居るのかみさきには見当もつかないが、2人はそれに希望を託すことにしたようだ。
「僕達が機能を奪ったこのキュゥべえなら...!」
「本当に大丈夫...?ういをこの世界から切り離したら何が起きるか...!」
「それでも、やるしかないよ!」
こうして半魔女となった少女から魂を切り離して小さなキュゥべえの中に封じ込めた。
それによって世界は大きく変化してしまった。
その場に集まってしまった4人の記憶も書き変わって、最悪な展開を迎えた4人の目的はその半魔女を利用して何かをすることで一致した。
『アリナは魔女という魅力的なマテリアルをその手でベストアートにしたい』
『灯花は健康になってキュゥべえと取引して宇宙の全てを知りたい』
『ねむは健康になってこの世界を隔離し、自分の物語を刻む原稿にしたい』
『みさきは強大な力を持った魔女を生み出して、それを利用して誰もが注目するヴィランになりたい』
全ては最悪な方向に進んで一致する。
アリナ達は半魔女を捕まえて、そこで灯花達が魔法少女になったということに変化させられた。
ついでに4人が名前くらいは知っている仲ということにもなったので、みさきはアリナ以外とも普通に関わるようになった。
「作戦はうまくいった。さすが、アリナさんの力と灯花&ねむの頭脳だわぁ」
みさきがニヤついた顔で3人を褒めると、揃いも揃って悪人のようになって話し始めた。
「くふっ、これには邪魔者を近づけないみさきの力も役に立ったよ」
「でも、本番はここからだよ。まずは被膜を広げてキュゥべえを神浜から遮断する。その次が重要な半魔女の育成だよ。そこで魔女の支配を役立ててね」
「任せてよ!あたしは完璧な強敵になれない。その代わりにこいつを利用して完璧な強敵にして、あたしへの恐怖感を高めてくれる道具にするんだからね!」
ここまで言って3人は笑った。
そこにアリナも笑みを浮かべて近づいて来た。
「さぁ、その被膜を広げるための魔力を早く渡して欲しいんですケド。3人分の魔力を貰えればアリナ的にオーケーだヨネ」
「分かってるよ。今すぐにわたくしを通して3人分の魔力を変換してアリナに渡すねー」
「ヨロシク」
その後変換された魔力を受け取ったアリナは今できる限界まで被膜を広げた。
それをその目で確認したみさき達は変身を解いてアリナにもそれを促した。
そして全員が変身を解いて手にソウルジェムを持つと灯花が宣言した。
「わたくし達は利害が一致したから手を組むだけ。そう思ってたけどここから先は4人だけじゃ心許ない。だからここにマギウスの翼を設立することを宣言します!組織形態なんかは後で考えるから、今は一緒に戦う仲間として賛同して欲しいんだけど。どうかにゃ?」
その宣言と同意を求める言葉に他の3人が賛同を示すためにソウルジェムを掲げてくっつけた。
その行為の意味のなさに灯花は困惑したが、この際それは気にしないようにしようと考えてから一緒にソウルジェムを掲げた。
こうして全てが始まった。
そうして現在の環いろはが神浜にやって来た時期に至る。
ここからみさきを含めたマギウス達がウワサと魔女を利用しながら効率よく物語を進めていく。