「……あら?」
「おっ、赤龍帝の復活だ」
ようやく動けるようになったのか。
「な、なにかあったんスか?」
「テロだよ。ま、当たり前だけどな。各勢力のトップが集まってんだ、狙われない訳がない」
俺がそれをいうと変態がスッゲー驚いてる、テロに狙われるなんて予想してなかったみたいだな。
いや、予想しろよ……各勢力のトップ集まってんだぞ。
それと、今動けないのは朱乃、ソーナ達、ついでに無能王だ。
逆に動けるのは俺、俺の『神使』、ヴァーリ、サーゼクス達だな。
「外、見てみろ?」
アザゼルはあごで窓のほうを示し、変態は会議室の窓ガラスから外を見ようと近づいていく。
カッ!
そのときに閃光が広がる。
しかし、テロとか面倒だな……。
「攻撃を受けているのさ。いつの時代も勢力と勢力が和平を結ぼうとすると、それをどこぞの集まりが嫌がって邪魔しようとするもんだ」
……それにしても、スッゲー人数だなぁ。
だってさぁ、校庭、空中に数百人の魔法使いがいるんだぜ。
しかも、なにげに増えていってるし。
「いわゆる魔法使いって連中だな。悪魔の魔力体系を伝説の魔術師『マーリン・アンブロジウス』が独自に解釈し、再構築したのが魔術、魔法の類いだ。……放たれている魔術の威力から察するに一人一人が中級悪魔クラスの魔力を持ってやがりそうだな」
あ! そういや……。
「なあアザゼル、コイツらが時間停止したのはなんでだ?」
「考えられるのは時間停止能力の『神器』
「……リアスの眷族にコントロール出来てない時間停止の『神器』
あー、確実にソイツの『神器』
ここにいないってことはソイツいる場所って旧校舎だろ? よくもまあここまで届いたもんだ。
そんだけ潜在能力が高いってことか……。
しかし、この学園は結界に囲われているってのに、コイツらは結界内に出現してきた。
つーことはこの敷地内と外の転移用魔方陣とゲートを繋げてる奴がいるってことだが……多すぎてわかんねぇって。
「タイミングもドンピシャだし、案外裏切り者がいるのかもな」
「確かにな、こちらの内情に詳しい奴となると、上級や最上級ってところか」
「面倒だしテロリストの活動拠点になってる旧校舎を吹っ飛ばすか?」
案外ここからはわかんなくとも旧校舎にいけば繋げてる奴がいるかもしんねーし。
「和那君、そういうのはやめてもらえないかな?」
あ、ヤッパリ?
「そういやアザゼル、テロリストの組織の名前なんだっけ?」
「お前忘れたのかよ……『渦の団』
あー、そうそう、渦の団
「アザゼル、その『渦の団』
「組織名と背景が判明したのはつい最近だが、それ以前からもうちの副総督シェムハザが不審な行為をする集団に目をつけていたのさ。そいつらは三大勢力の危険分子を集めているそうだ。なかには『禁手』
「その者達の目的は?」
「破壊と混乱。単純だろう? この世界の平和が気に入らないのさ。――テロリストだ。しかも最大級に性質が悪い」
あれ? もしかして俺、詳しくテロリストの話を聞くのって初めてじゃね? 確か前に聞いたのは組織の名前だけだったきが……。
「組織の頭は『赤い龍』
ん? 『赤い龍』
「その頭である『無限の龍神』
「……和那くん」
「なんだよサーゼクス」
「……オーフィスとはどれぐらい一緒にいるのかな?」
「まあ、百年は一緒にいるな。つかキノ、いつそんな組織作ったんだ?」
「ん? んー……」
俺がキノにいつテロ組織なんて作ったのかを聞くとキノは首を傾け考えるしぐさをする。
「忘れた。多分和那とあうズット前?」
「……そうか」
トップに忘れられた組織、ご愁傷さま。
「アハハハハ! 頭に忘れられたのに活動し続けるテロ組織、笑いがとまんねー!」
アザゼルが腹を抑えながら笑う。
……まあ、確かに笑うな。
『そう、オーフィスが 「渦の団」
声とともに会議室の床に魔方陣が浮かび上がり、誰かが転移してくる。
……つか、声の主よ、おまえはどこから聞いてどこで聞くのを止めた。
「この魔方陣はまさか……」
「知ってるのか、グレイフィア」
「はい、これはレヴィアタンの魔方陣です」
「え……? でも僕の知ってるセラフォルー・レヴィアタンさまの魔方陣の模様はこれじゃないですよ?」
「確かにセラが使う魔方陣とは違うな。つまり旧魔王レヴィアタンが使う魔方陣か」
「和那の言った通りだろうな。ヴァチカンの書物であの魔方陣を見たことがある」
「旧魔王のレヴィアタンってまだ存在してたんだ。私今知った」
まぁ、ヴァーリは旧魔王や現魔王とかにはたいして興味ないからな。
しかし、旧魔王であるレヴィアタンの魔方陣か……旧魔王は死んでるからその血筋か。
そして魔方陣から一人の女性が現れる。
胸元が大きく開いていて、深いスリットが入ったドレス……悪魔って以外と服装を気にしない奴が多いよな。
「ごきげんよう、現魔王のサーゼクス殿」
「先代レヴィアタンの血を引く者。カテレア・レヴィアタン。これはどういうことだ?」
こうしてここに現れるってことはこいつは『渦の団』
協力したとして、カテレアだけか、それとも旧魔王派全員か……。
「旧魔王派の者たちはほとんどが『渦の団』
旧魔王派のほとんどかよ、……まぁ、旧魔王派はそんなに人数がいないだろうが。
「新旧魔王サイドの確執が本格的になってきたわけか。悪魔も大変だな」
アザゼルは他人事のように笑いながら喋る。
……確かに他人事ではあるな。
「カテレア、それは言葉通りと受け取っていいのだな?」
「サーゼクス、その通りです。今回のこの攻撃も我々が受け持っております」
「――クーデターか」
クーデターねぇ、会議室に転移してくるとは堂々もしてんなぁ。
「……カテレア、なぜだ?」
「サーゼクス、今日この会議のまさに逆の考えに至っただけです。神と先代魔王がいないのならば、この世界を変革すべきだと、私たちはそう結論付けました」
「神の不在と三大勢力の和平、それをすべて知った上でのクーデターってのはわかったが、おまえたちにそれが出来るほどの力があるのか?」
俺の問いかけにカテレアは答える。
「私たちの組織のトップはあなたたちの知る最強の龍の一人です。彼は力の象徴としての、力が集結するための役を担うだけです。彼の力を借り、一度世界を滅ぼし、もう一度構築します。――新世界を私たちが取り仕切るのです」
「うわ、つまんねー。おまえたちが取り仕切る世界なんか興味のひとかけらもないっての。つーかさぁ、オーフィスじたいおまえらの組織に百年以上顔出してねぇんだろ」
「なぜあなたがそのことを知っているのです!」
「なぜって、オーフィスは俺と百年近く一緒にくらしてるからな。なあ、オーフィス」
「ん。我はもう組織のトップじゃない。我は和那とズット一緒にいる」
「……その女性は誰ですか」
あれ? 気づいてない? ……ああそっか、気配を消してるのと保険として指輪にも気配を遮断する術式を取り込んでるからか。
「オーフィス、指輪外してもいいぞ」
「いいの?」
「ああ」
「わかった」
キノは指に嵌めている指輪を外す。
するとキノから龍の気配が漏れ出す。
「この気配はまさか!」
「つー訳だ、オーフィスはもうおまえらの組織のトップじゃねぇよ。それとオーフィスじゃなくて今の名前はキノだがな」
「なぜですオーフィス! なぜあなたがそこにいるのですか!」
「今の我は静寂なんていらない。和那やコーティたちと一緒に暮らすしていくのがとても幸せ。だからもうトップをする必要はない」
「だとさ、どうする? 最強の龍という後ろ楯がなくなったぞ」
「く、例えそうだとしても目的はかわりません!」
「そうかよ、なら表にでな。テメェの目的ごと俺が消滅させてやるよ」
俺はカテレアの首根っこを掴み、会議室の外に投げ飛ばす。
あ、これじゃ表にでな、じゃないな。