【実況】鬼滅の刃RPG【祝100周目】   作:ゆう31

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宣言通り日曜に投稿するゾ〜〜〜コレ!
筆が乗ったので今回は長いため初投稿です。


寝落ち〜◆◆戦まで

これは有名な話なんですが

オックスフォード大学のアンケートによるとおよそ

鬼滅の刃RPGをプレイしている84%の

鬼殺隊士が最も死亡率の高い階級は

<丙>であるという結果が得られました

次に死亡率の高い階級は庚その次が柱であるという

アンケートも入手しました。

 

 

 ということで次世代のメンタリストぽもです。

 

 

 実際ぽもの今までのキャラは丙と庚だけで50人はタヒったのはさておき、前回は胡蝶姉妹ときゃっきゃうふふしましたね。

 

 

 さて……よし!(バァァァァァァン!)

 

 いきますよ〜〜〜イクイク!

 

 

 とりあえずここからは生存率の高い任務を見極めましょう!ちょっとでもやばそうな感じがした任務は受けない!緊急任務は祈ろう!

 

 「いやどう考えても無理」って思う事前情報があった場合は行きません。

 

 モブ隊士、下弦と交戦中!とか、十二鬼月の気配有リとか、あの宗教が怪しいとか、夜の遊郭調査とか、絵画展に潜入とか、琵琶の音が聞こえるとかァァァ!!!!

 

 

 はぁ……ハァ……上弦に出会うかも知れない?取り消せよ……ッその言葉ァ!

 

 

 この他に注意すべきテキストはですね……ありました、水が生き物の様に唸っているとか、山が動いた様に見えたとか、刀を持つ剣士が歩いていたとか、銃声がしたとか……すいません、数えるとキリがなかったっすね。

 

 いやあ。

 

 

 

 

 

 

 

修羅か(つれえ)

 

 

 

 それでもぽもは今度こそは一番最初に作ったキャラクターを生存させたいんだ、(バッドエンド以外の)エンディングを目指すんジャイ!

 

 ほならね、基本的に選ぶ任務は合同任務にしましょう、合同任務の方が生存率高いので。

 

 モブ隊士くんちゃん達も同じ丙階級だとそこそこやりますしね、同期だったら尚嬉しい……いや同期に丙隊士いな……いやまあモブが二人ぐらいいるんだっけ?

 

 でも臨花ちゃんと連携完璧に出来るの真菰ちゃんぐらいだわ、真菰ちゃんほんと君だけがぽもの味方やもしれん……。

 

 ついでにこの合同任務などで匡近さんと組めたら嬉しいですね、下弦の壱戦で連携が取りやすくなります。

 

 不死川さんとも組めたらなお嬉しいゾ〜!友好値が高ければ高いほどキャラの現状を知りやすくなりますからねェ!

 

 

 そういう意味では単独での任務はうま味が少なくなっているので一部を除いて基本受けないです、一部というのは……まあ見かけたら説明します。

 

 救出任務は一部無理難題以外は基本受けましょう、無理難題というのは相手が下弦並みに強いか下弦上弦ショタの無惨様など。

 

 さてその前に気合入れの一本を飲んでますね。

 

 

 ん?動画が固まってますね。

 

 

 あ。

 

 

 草。

 

 

 はい。

 

 

 寝 落 ち ま し た 。

 

 

 あのさぁ……これなんてメガトンコイン?起きるまで倍速します。

 

 その間にコメ返ししたいと思いますね。

 

 

 Q.最強の刀って何?

 

 

 最強の武器ではなく刀限定で言うなら……そうですね。

 

 最強格の刀は数点挙げられますが、その中でもとびきり強い、最強だと思うのはやはり『 童子切安綱(どうじぎりやすつな)』ですね。

 

 まず前提として日輪刀以外で鬼の頸を斬る事は出来ません、その為国宝級と呼ばれる業物でも致命傷を与える事が出来ないのが普通です。

 

 

 ですが『童子切安綱』は、京の都を恐怖に陥れた大江山の酒呑童子(しゅてんどうじ)という【鬼】を討ち取った伝説に基づく刀ですね。

 

 鬼舞辻無惨という偽物の鬼ではなく、本当に実在していた鬼を討ち取ったとされる逸話、そしてその刀は、日輪刀に有らずされど、日輪刀に似た性質を持ち、鬼殺を可能とします。

 

 原作でそれは出来るのか?とも思いますがこの鬼滅の刃RPGではその様な立ち位置の刀なんですね。

 

 

 もちろん国宝の為、徹底した管理の下置かれてるので、入手するには手順を踏まないといけないです。

 

 

 ではどう入手するか?

 

 それは階級<柱>になり、お館様の友好値がとても高く、尚且つ交渉術や話術などの対人技能の「壁」を超え、譲り受ける事を承諾させると、晴れて『童子切安綱』を獲得します。

 

 

 では童子切安綱のテキスト文と、武器能力を覗いてみましょう。

 

 【童子切安綱】

 【平安の伝説の鬼を討ち取った、まごう事なき国宝】

 

 『旭日昇天(きょくじつしょうてん):朝日よ、登れ。

  効果:呼吸の壁を一段階突破し、戦闘中、高確率で『覚醒』する。』

 

 

 うんいや呼吸の壁超えて7、8割の確率で『覚醒』するとかもうどんな縁壱????????

 

 バグみたいな武器効果で分かりますね、ぽもはこの武器が最強だと思いますよええ。

 

 ただ……今回使う事は多分無いですね。

 

 

 童子切安綱の武器カテゴリーは『太刀』なんですね。

 

 剣術の派生、刀術でやっと使えるようになる武器なんですよ。

 

 今回は心眼を選んだので、実際の性能は自分でプレイしてもらうか「ぼんぼんぶりん"アニキ」投稿、【最強の刀ってなんだと思う?】の動画を見ましょう。

 

 

 童子切安綱を我が手の様に扱い、バッタバッタと鬼を薙ぎ倒し、上弦の壱とタイマンするとかいう本当に人類か?と思うような所業を果たした動画です、素晴らしいですよ。

 

 

 Q.鬼殺隊士と鬼、どっちの方がプレイして楽よ。

 

 

 いい質問だね。

 

 ぽも以外のプレイヤーがどう思ってるかは分かりませんが、ぽもはなんだかんだ言いつつ鬼殺隊士の方が楽かなあ、って思いますよ。

 

 鬼でプレイして最後まで生存した事無いんですよね、乗っ取りルートか鬼殺隊共闘ルートか、呪い外して人食いも克服して一生家から出ない引きこもりルートかぐらいじゃ無いですか?

 

 

 鬼プレイの場合、最初のうちは鬼殺隊士にすら勝てません、倒せるようになって調子乗って三人連続殺すだけで遥か上の階級の鬼殺隊士が飛んできますし。

 

 間違って日に当たると死にますし、パワハラで死ぬし、頑張って下弦になっても柱には勝てないし、上弦になっても定期的に戦果上げないとパワハラで死ぬし、突然暴走するし。

 

 

 結局、どちらが楽かとかでは無いという結論が付き、まだマシかなと思えるのは隊士側なんですねぇ〜〜〜???

 

 

 Q.この前『うちきりえんど』で世界三位取ったで

 

 

 草。

 

 あ、「うちきりえんど」というのは、平安時代にキャラクター作って無惨様が鬼になる前に無惨様がいた屋敷に泥棒に行って人間だった頃の無惨様か医者を殺すエンディングですね。

 

 界隈では「如何に早く二人を殺すか」でRTAが流行ってるみたいです。

 

 そもそも鬼が生まれない事変になるので、以降史実の日本がスタッフロールに流れるというね。

 

 

 お手軽に未来のラスボスを殺せるのでムカついた時にでもやると溜飲が下がりますよ、ストレス解消になりますね。

 

 

 

 

 お。

 

 起きたか。

 

 

 寝てんじゃねえよな、まじで(お前のことやぞ)

 

 

 

 “丙隊士になり、危険度の高い任務が殆どになってきた、連戦なども多くなるだろう……だがそれ以上に、私は私の実力を信じてる”

 

 うん、健康的な精神状態ですね、特に問題無く任務を選べます。

 

 

 “任務を受けたので玄関へ、後ろから「生きて帰ってきてね」ともう一人の家の主に声をかけられたので勿論と一言言う……さあ、鬼狩りを始めよう”

 

 

 始めますかあ〜↑

 

 さてここからは乙に上がる為、そして姑獲鳥戦で盤石の構えを取る為に何かの技術の「壁」を超えましょう。

 

 では壁……つまり技術の限界値を100から200にする為にはどうすればいいか?技術の種類によって千差万別ありますが……今回この壁は超えたいと思っているのは『剣術』若しくは『体術』ですね。

 

 

 剣術の「壁」の越え方は二つの条件を一試合で達成すると、壁を越えることが出来ます、ではその二つの条件とは何か?

 

 一に「戦闘中、格上相手に無傷」二に「頸を斬る(奇襲強襲を含まない)」です。

 

 格上相手に無傷が難しいねんな、かすり傷一つでも受けたらアウトです、髪が数本落ちるのがギリギリセーフの判定ですね。

 

 丙隊士の格上ってつまり強い乙級の鬼って事なんですけど、血鬼術にもよりますが奇襲などを封印して、無傷で倒すとなると成功率は五分五分、中々出来る事じゃ無いです、ちゃんと『壁』なんですよね。

 

 

 ただ格上を倒さないとその更に格上に挑む挑戦権すら与えられないのも事実、なんとかしましょう。

 

 

 次に体術ですが、こちらも同じく二つの条件を一試合で達成すると壁を越えます。

 

 一に「鬼を体術のみで追い詰める」二に「武術、仙術などの他身体技術の何れか一つを100にする」です。

 

 剣術と比べると簡単ですが二の条件を達成するのに時間がかかります、100/100になって会得した派生技術は伸びが遅いので、一点に絞って集中的に育ててもゲーム時間二ヶ月は確実、三ヶ月でも難しいぐらいです。

 

 なので姑獲鳥戦に間に合わないかも知れないんですよね、なので体術は最終手段です。

 

 他技術の壁突破に関しては狙うには狙いますが、出来たらいいなあ程度にしましょう、狙うものが多すぎるとかえってやり辛くなり、集中力が落ち、鬼に殺されます。

 

 

 それらを意識した上で、ほな(任務)いくワョ〜〜〜〜ン!

 

 

 ヌッ!

 

 ハッ!

 

 デェヤ!

 

 ハッ!

 

 ヌッ!

 

 ゾォ!

 

 ブッ!

 

 アヒョン?!

 

 ウェ!

 

 ウォッシャオラ!

 

 チェストォォォォォォォォォォォォォオオ!!

 

 

 

 はぁ……はあ。

 

 

 進捗だめです(白目)

 

 

 や無傷達成辛いョ……あと一歩のところで質量高い血鬼術使いやがって……広範囲攻撃はやめろ繰り返す広範囲攻撃はやめろ。

 

 

 はあ、しかも任務終了した瞬間に緊急任務だし、連戦じゃん〜〜〜そんなにスタミナ減ってないから大丈夫だと思うけど……どんな任務よ、言ってみ?臨花ちゃん。

 

 

 “丙隊士が率いる他数名の隊士の合同任務中、強力な鬼が現れた、柱も向かっているが現場から一番近いのは私らしい、直ぐに向かえとの事だ”

 

 

 は?

 

 

 柱案件?違うよね?

 

 

 いやいやまさか笑

 

 

 え?

 

 

 “……この丙隊士の人、同期だ、知ってる、深く話した事はないけど、会う時に飴をくれたりしてくれた人だ、早く行かないと”

 

 

 えっちょっまってこここじょこじょろのこころ、心の準備んんん

 

 

 はい。

 

 

 決意しました、心を燃やせ!

 

 

 

 ”森をかけて、開けた道にでる……市街地から離れた場所が戦場なのか、障害物などがない分、純粋な力での戦いになりそうだ“

 

 

 おい奇襲不可かよてめえ!!!!!!!!

 

 

 ついに始まったな鬼滅の刃RPGさんよォ?!そんなにぽもを苦しめるか!ふざけるな!ふざけるな!ふざけるな!

 

 

 ヌァァァァァァァァンもう嫌な予感しかしねえよ!

 

 

 

 “……あぁ、そんな”

 

 

 あ。

 

 

 まじ?

 

 

 ”私が辿り着いた瞬間、同期の丙隊士の心臓に位置する場所に「刀が突き刺さった」“

 

 

 ”人だったモノが無造作に転がっている、皆苦悶の表情を浮かべ、中には原型すら無い隊士もいた、生きている人間は誰一人いない……皆刀を抜いていた、戦ったんだ、最後まで“

 

 

 うっわ、えっぐ。

 

 

 まじか、イベント絵付きかよ。

 

 

 毎回思うけど、どれだけイベント絵あるんだ?これランダムイベントだろ?全てにあるんですかね?

 

 

 いや今考える事じゃ無いっすね。

 

 

 

 “間に合わなかったのか、また”

 

 

 「止水」会得してなかったらやばかったな……ファインプレーですよ。

 

 

 

 ”鬼殺隊士の服を着た、血に塗れた、隊士がーーーーー鬼が振り返る、恍惚の笑みを浮かべながら、不気味に変色した元人間が私を見ていた“

 

 

 ん?

 

 おい!!!!!!

 

 

 鬼殺隊士が鬼になったのかよ?!

 

 絶対強いやつじゃねえか!

 

 

 獪岳か?!いや獪岳はまだ入隊してないですね……モブで鬼化したのかよ!珍しいなおい!珍しいとかいいんだよダメだろ何してくれてんだオイ!

 

 

 “色んな感情が過った、そしてそれは、一つの決意となって、私は刀を抜いた”

 

 

 “死の匂いが蔓延する、何か一つでも間違えたら、恐らく死ぬ、失敗は許されない、生きて帰ると誓った”

 

 

 だよねえそうだよねえそのテキスト入るよねえ?!

 

 きもくてつよい下弦並みの鬼だもんねえ?!

 

 

 クソが!(クソでかタメ口)

 

 

 はあ。

 

 

 はい、わかりました。

 

 

 

 

 

 “呼吸を整え、自らの心に火を点ける(・・・・・)

 

 

 

 

 やってやるわコナクソー!!!

 

 

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 

 

 

 

 

 きっかけは、突如現れた、圧倒的強者の風格を漂わせた、鬼。

 

 

 隊から外れてしまった時、幸か不幸か、その鬼はそこにいた。

 

 何も出来なかった、ただ怖かった、初めて自分が鬼殺隊士として全うに任務を受けていた事を後悔した、これが、こんなものを倒そうとしているのか?自分達は。

 

 

 その鬼が振り返った、六つの瞳がこちらを覗き、目が合った。

 

 

 ーーーーー上弦の、壱。

 

 

 十二鬼月の中でも最強の、鬼。

 

 

 

 勝てる訳がない、対峙することも出来ず自分はまばたき一つのうちに殺されるのだろうと、抜いていた刀を落とし、恐怖から立っていられなくなった。

 

 死ぬのか、自分は。

 

 

 死にたくない。

 

 

 死にたくない。

 

 

 死にたくない……ッ!

 

 

 助けて、誰か、先輩ーーーーー!

 

 

 

 

「ならば……鬼となれ、鬼狩り……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目を開ける。

 

 

 

 もう既にあのお方(・・)は居なかった、どこに行ったのか、一言でも■■を言いたかった……?

 

 なんだ?

 

 あのお方……?この思考はなんだ。

 

 何?私が、私じゃ……私、私は?

 

 

「おい!だ、大丈夫か?」

 

 

 背後から声をかけられた、振り返ると隊の隊長の人がいた……先輩だ。

 

 良い人だ、今回の任務もこの人が居たから全員無事に任務を終えられた、本人は大した人間じゃないと謙遜するがそれは先輩の周りに凄い人が多いからだ、私から見たら十分先輩も「凄い人」だ。

 

「大丈夫です」

 

「そうか……本当に?本当に大丈夫?無理してない?隊から離れたのって俺が嫌いだから?お前について行きたくねえよって?!ごめんねえ!ブスで!かっこよくなくて!」

 

「え、いや、そんな、違います、それに先輩はかっこいいですよ」

 

「やだ惚れちゃう……結婚しよ」

 

「ふぇ、そ、そういうのは、えっと、その」

 

 

 言葉に詰まってしまった、恥ずかしい……まるでその気があるみたいじゃないか、違う……こともないけど、もっと仲良くなってから。

 

 

「帰ろうか◆◆、みんな待ってるよ」

 

 

 座っていた私に手を差し出してくれる先輩、その手を取って立ち上がり……名残惜しいけど、離す。

 

 

「……先輩、なんか、良い匂いですね?」

 

「え?!香水変えたからかな」

 

「香水つけたんですか?」

 

「そこからでした?!」

 

「ふふっ……」

 

 

 他愛のない話をしながら、隊の合流場所に向かう。

 

 

 ふと、匂いがした。

 

 

 嗅ぎ慣れてしまった、匂いがした。

 

 

「ッ……先輩」

 

「俺から離れるなよ、◆◆」

 

 

 瞬時に背中合わせになって、警戒するように合流地点に向かう。

 

 

 不気味な程に静かな空間に、私はーーーあれ、なんだろう、この感情。

 

 変だ、そもそも私は何故あの場所に居たんだろう、記憶が抜け落ちてる、おかしい。

 

 

「ああくそ、なんでだよ……」

 

 

 合流地点に着いて、その光景に先輩は苦虫を噛み潰したように怒りの表情を見せる。

 

 ◆◆な光景だった……あれ?違う、よね、凄惨な光景だよね。

 

 

 無常に切り裂かれ、中には原型すら無い隊士もいた、皆苦しんで死んでしまったんだろう……少し前まで互いに協力し合っていたのに、それがこんな。

 

 

「一先ず鎹鴉に応援を頼んだから、付近に鬼がいるか調査しよう……俺は隊長失格だな、くそ」

 

「そんな事、無いです、私が隊から離れなかったら」

 

「違う、◆◆のせいじゃない……◆◆だけでも無事で良かったよ」

 

 

 なんでだろう。

 

 

 良い匂いがずっとするんだ。

 

 

「刀で殺されたのか、これは……その道の達人だ、刀を使う鬼……まさか、あの文献にあった鬼なのか?」

 

 

 良い匂いが■■と誘惑してくる、でもそれは、ダメだ、なんでダメなんだっけ?それは……いけない事だからだ。

 

 私が■■である為の……アレ?

 

 

「……◆◆?どうした?あ、いや、どうしたってのは変だよな、こんな光景初めてだろ?……ごめん、でも、乗り越えないといけない」

 

 

「先輩……」

 

 

 声をかけてくれた先輩を見る。

 

 私が初任務の時から、殆ど一緒だった先輩。

 

 強くて、かっこよくて、憧れの……私の◆◆の先輩。

 

 あれ?私の……なんだっけ?

 

 私の?

 

 

 

 

  私は?

 

 

 

 

 

 

 

「……あぁ、嘘だろ、なあおい◆◆」

 

 

 

 あ。

 

 

 

 そっか。

 

 

 

 私。

 

 

 

「もっと早く見つけてやれば良かったな、俺がもっとしっかりしていればこんな事は起きなかったんだ、やっぱ俺に人を育てる才能は無えなあ……」

 

 

「先輩は悪くないですよ、先輩は、何も悪く無いんだ」

 

 

「っはは……せめて、俺の手で殺させてくれ」

 

 

 鬼になっちゃったんだ。

 

 

 

「ねえ先輩、私先輩が好きです」

 

「先輩に助けてもらって、鬼殺隊になって、それからも一緒に任務を続けられて、それだけで私の心の穴は塞がった……こんな世界でも、毎日が楽しいんだって、気付かせてくれた」

 

 

 

 だから、一緒になりませんか?

 

 

 私の中で、一緒に。

 

 

 

 眠りましょう……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 先輩は強かった。

 

 岩の呼吸を使った剣技は、私が鬼じゃなかったら最初の一撃で簡単に葬られただろう。

 

 でも、その技術の差を暴力的な鬼の血の力が上回る、生物としてのスペックが先輩の上を行った。

 

 戦闘は時間にしたら短いのだろう、5分か10分か、それとも30分か。

 

 傷を増す毎に動きが鈍くなる、そんな自然の摂理に私は含まれない、最初から最後まで100%の力を出す私に、とうとう先輩の腕を私の刀が斬り裂いた。

 

 

「あぁ……先輩、死んじゃうよ、やめようよ、抵抗しないで」

 

「ッ……はは、それは無理かなあ」

 

 

 即座に腕を失血して、片腕で刀を握り、先輩はいつもの調子で笑う。

 

 

「死ぬなあ、俺」

 

「そうですよ、だから私と一緒に……ッ!私の中に!」

 

「いやいや、それも死ぬことと変わらないよ……ったく、やっと同期のすげえやつに追い付けたってのにさ、ままならない世界だ」

 

 

 先輩が、死んじゃう。

 

 私がーーーーーーー殺す?

 

 

 なんでこんなことしてるんだっけ。

 

 

 私は、こんなことがしたかったんだっけ?

 

 

 

 思考が体の動きを止める、その隙を見逃さなかった先輩が刃を振り翳しーーーーーーー

 

 

「すまねえ」

 

 

 鮮血が、迸る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんで?」

 

 

 振われた刀は私の頸を斬ることなく地面にカランと音を立てて落ちる。

 

 なんで?

 

 

 なんで、私の刀が先輩の心臓を刺してるの?

 

 

「すまねえ、ごめん、ごめんな……惚れた女は、殺せねえよ」

 

「せん……ぱい?」

 

「こんな形で実りたくなかったなあ、初恋……運が無えわ、あーやだやだ……ほんと、つれぇなあ」

 

「そんな、いやだ、私、こんな、こんな事したかった訳じゃない!違う!こんな、やだよ」

 

 

「殺せなくてごめん……先、行ってるよ◆◆」

 

 

 

 

 

 あ。

 

 

 ああ。

 

 

 死んじゃ、た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あはっ。

 

 

 

 

 

 

 ふと、稲妻の様な轟音が背後から聞こえて、振り返る。

 

 

 振り返った私はどんな顔をしていたんだろうか。

 

 

「……」

 

 

 無言で、目の前の人物を観察する。

 

 銀色の髪に、赤い瞳……洗柿色の小紋羽織、これだけ特徴が分かればこの少女が何者なのか直ぐに分かる。

 

 先輩の同期の『戌亥臨花(いぬいりんか)』だ、先輩がすごいやつって言って武勇伝を語っていた、少女。

 

 元下弦の鬼を倒した実績に、強い鬼相手にも目立った負傷をしない、各地を巡って救援を受けた鬼殺隊士を助ける事から人望もある、そんな人。

 

 そんな人が、なんで。

 

 

 

「初めまして、戌亥先輩、少しお話ししませんか?」

 

 

 ”話す事は無い“

 

 

「じゃあ、黙って聞いててくださいーーーーよ!」

 

 

 互いに踏み込み接近する。

 

 戌亥先輩の呼吸は初めて見るが先輩から聞いたことがある、『煌の呼吸』という戌亥先輩の独自の呼吸、眩しい程に、煌びやかな閃光。

 

 焼き切れるような光だ……目に頼るより、鬼になって強化された感覚で刀を振るった方が良い。

 

 だけど、当てられない。

 

 弾かれる、受け流される。

 

 なら掴み掛かろうとすれば、体術で投げられる。

 

 そして見せた隙に必ず投げ刀でその隙を盤石の物にする。

 

 かすり傷一つも付けられない。

 

 何故?

 

 身体能力は私の方が高いはず!

 

 なのに何故。

 

 

 ”スゥ……ッ!“

 

 青に、黄に、緑に、そして、(あか)く、煌びやかに色を形を変える、今まで見たこともない呼吸から見える風景……ッ!

 

 

 そうか、呼吸!

 

 

 あの独特の呼吸が、攻防一体の構えを更に強固なモノにしているのか!

 

 

 “煌の呼吸…… 五の型 煌々(こうこう)(いろどり)

 

 

 煌びやかに、稲妻が走るかの様な足捌きを繰り出し、私に一切の攻撃を許さない。

 

 

 これが鬼殺隊士内で「次世代の柱」だと噂される実力の持ち主か!

 

 

 

 剣戟が踊るように繰り出される。

 

 

 戦って初めて理解した。

 

 

 

 ーーーーーーーーッ先輩より強い!

 

 

「強いですね、戌亥先輩ッ!速くて、技量もある!力だって!それなのになんで間に合わなかったんですか?!ねえ!」

 

 私の言葉に何一つ反応する事なく、ただその剣戟は勢いを増して私を葬らんと繰り出される。

 

「戌亥先輩みたいに凄い人が!いろんな人を助ける、そんな人が、なんで私の時は……先輩の時は間に合わないんですか?!ねえ、教えて下さいよッ!!」

 

 

 ”……黙れ“

 

 

「戌亥先輩が間に合ったら先輩が死ぬ事はなかったですよ!二人相手に勝てるとは思いませんもん私、だって弱いから!弱いから、鬼にされて、こんな力で!好きな人を殺して!アハハハハ、笑っちゃうな!ねえ、笑ってよ戌亥先輩!」

 

 

 感情のままに口から言葉が羅列する。

 

 

 ただの八つ当たりだ。

 

 

 意地汚い、私の。

 

 

 空虚な言葉。

 

 

「どうして?なんで世界は、鬼は私達を辱めるの?!いっつも!私以外も!みんな!!!」

 

 

「そんな時に、どうして誰も助けてくれないの?」

 

 

 危険を察知したのか、身を翻して稲妻が残像を残すかの様に呼吸を繰り出した。

 

 

 瞬間、私の感情のままに振るった刀が月のような(・・・・・)弧を描いて戌亥先輩の残像を斬り刻み、その遥か後方まで斬撃が飛ぶ。

 

 

 今のは、血鬼術?

 

 ははっ……こんな、力でも、傷一つ付かないのか。

 

 

 なんでそんなに強いのに、間に合わなかったの?

 

 

 速く、もっと早く来てくれれば。

 

 

 先輩は。

 

 

「……生まれたくなかった」

 

「孤児で、引き取られて、不自由もない暮らしだった、でも、鬼がその全てを壊したんだ」

 

「こんなことになるなら、あの時に、死ねば良かったんだ……ッ!」

 

 

 そうすれば、先輩を殺す事だって。

 

 

 なかったのに。

 

 

「……終わらせましょう」

 

 

 刀を構える。

 

 

 こんな戦いに、意味なんてない……抵抗なんてしたところで私は直ぐに死ぬ、大人しく頸を差し出して斬って貰えばいい。

 

 理性も、感情もそう叫んでる。

 

 

 速く死ねって、そう言ってる。

 

 

 それでもそうしないのは……きっと、戌亥先輩が羨ましいんだ。

 

 強い人が、羨ましいんだ。

 

 

 本当に……醜い感情。

 

 

 いつの間にか、刀を納刀して居合の構えをしていた戌亥先輩と目が合う。

 

 

 

 

 そんな目で見ないでよ、ずっと恨んでいてよ、殺意で私を殺してよ。

 

 

 

 全速力で戌亥先輩に向かって駆け出し、向かい掛かる。

 

 刀を握り締め呼吸を放ち、目の前の標的を破壊せんとして刃を振るう。

 

 

 それは月のような弧を描いて、戌亥先輩を殺す為の一撃を放つ。

 

 

 血鬼術とも言えない、そんな。

 

 ただただ私の感情が混ざり合った、醜い、斬撃。

 

 

 

 ”煌の呼吸……ッ”

 

 

 

 この一撃で、何方かが死ぬ。

 

 

 

 刹那の瞬間。

 

 

 

 

 

 

「すごい、なあ」

 

 

 

 

 気付けば私は振り切った両腕毎、頸を斬られていた。

 

 全力で向かった、本当に殺そうとした、先輩の時のように思考が体を止める事なく、刀を振るったのに、それでも傷一つすらつける事が出来なかった。

 

 あの刹那、私の動きと合わせる様に居合の構えから刀に手をかけて……おそらく、手をかけたと同時に既に私は斬られたのだろう。

 

 

 対の先の究極、一瞬の間に私が刀を振るったと同時に抜き、そして私より速く動く、反撃攻撃(カウンター)

 

 

 ああ、きれい……まるで虹が掛かったみたい。

 

 

 

 

 

 “肆の型 虹霓(こうげい)

 

 

 

 

 

 

 

 

「負けちゃった」

 

 

 ぽつりと、つぶやく。

 

 

 何故か、頸を斬られた時、想像していたような痛みは無かった。

 

 目に見えた虹が掛かったかのような煌びやかな光景に、目を奪われていたからかもしれない。

 

 

 

「どうすれば良かったかな」

 

 

 誰に言うわけでもなく、ただただ、漠然とそんなことを口に出していた。

 

 

 戌亥先輩は何も喋らなかった、私を■■■ように見ているだけで、何か言葉を発する事はしなかった。

 

 

「そんな目で見ないでくださいよ、私は、先輩を殺したんですよ?あなたの同期を殺したんだ」

 

 

 挑発する様に言っても、戌亥先輩は何も変わらない。

 

 

 ただ、ただ、見つめていた。

 

 

 

 やだなあ。

 

 せめて恨んで欲しかったなあ。

 

 

 

 

「私を鬼にしたのは、上弦の壱です、刀を持ってました……この現状も、私じゃなくてその鬼がやりました、凄い強いです……元鬼殺隊の、もしかしたら、始まりの剣士かもしれません」

 

 

 このまま消える前に、鬼殺隊士としての最後の役目を終える。

 

 せめてこの情報だけは伝えたかった。

 

 だって、戌亥先輩までこうなって欲しく無かったから。

 

 

「死んだらどこに行くんですかね?」

 

 

 そんな最後の呟きに。

 

 

 完全に消える前に。

 

 

 

 

 ”君はきっと、地獄には落ちないよ“

 

 

 

 

 そんな、声が。

 

 

 

 

 

 あ……。

 

 

 

 せん、ぱい?

 

 

 なんで?

 

 

 一緒に行ってくれるんですか?

 

 

 あぁ……。

 

 

 今度は、二人とも生きて、鬼のいない平和な世界で。

 

 

 

 結ばれたい、な。

 

 

 




感想ありがとう!評価、誤字報告など感謝です!ここすきも見てるゾ〜。

次は未定です、平日のいつかに上げまス

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