【実況】鬼滅の刃RPG【祝100周目】   作:ゆう31

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夜から失礼するゾ〜〜〜ほな続きでち


継子探し〜発見まで

 ウ ン チ ー ム ザ ン っ て し っ て る ?

 

 

 

 

 し ら な い よ (笑)

 

 

 

 糞まみれになった変態女装おじさんショタ様はさておき。

 

 

 ぽもです、前回は臨花ちゃんがぽもの手から離れ、継子探しに出かけてしまいました。もう臨花ちゃんが満足するまでぽもは何も出来ません。

 

 

 

 ウッソだろお前、おいおいぽも死んだわ。

 

 

 予定外ですがまあ、臨花ちゃんの継子として要求するレベルの隊士がいるならそれはそれで囲って成長させたいってのもありますし、ままえやろ、これはガバではない。いいね?

 

 

 

 早速ゲーム画面に戻る前に継子に出来る条件について話したいと思います。

 

 

 ぽもの動画では過去に……あー、78回目のデータがそうでしたっけ、そうです童磨に敗れたデータです。

 

 継子残して、妻も童磨に食われ、しかも敵討ちも出来なかった回ですね。

 

 

 ふざけんなクソがままええわ。

 

 

 継子は誰彼構わず継子に出来るわけではありません、何故原作の柱の方々に継子が少なかったか?それは原作でも描写がある様に、柱の修行に耐えられないからです。

 

 つまり一定以上の実力かそれを補って余りある才能の持ち主でなければ、継子として育てられる事が出来ないんですねぇ……。

 

 そんな稀な隊士がモブにいる訳なく(たまにいる)

 

 

 どうするんだろ臨花ちゃん、目を付けた一般モブ鬼殺隊士がいる訳でもないでしょうに。

 

 

 

 “まずは他の柱のみんなに聞いてみることにした、任務などで会いに行くのが難しい人には手紙をしたためて送り、カナエさんの容体を見るついでに継子について聞いてこよう”

 

 

 お、まずはカナエさんの所に行くみたいですよ???まあ妥当っすね、実際花の呼吸を扱うカナヲちゃんの師範でもありますからね。

 

 

 

 “暖かく笑うカナエさんの容体は悪くない、良くもないが、まだまだ元気だ……安心した。継子を探してると聞くと何か言いたげな表情になったので聞いてみる”

 

 

 

 “結論から言うと、私の呼吸を継げる隊士に会うのは難しいのではないか、との事……なるほど確かに、私の呼吸は難しいか”

 

 

 

 そもそも教えるのが向いてなごほんごほん。

 

 

 カナエさんの言うとおり、継子に出来る隊士の条件の一つに「自分の扱う呼吸と相性が良い」事が含まれます。

 

 

 これが水とか炎とかならほぼほぼ無問題なのですが、臨花ちゃんの場合、ほぼほぼ独力で「煌」の呼吸に至ったので、教えるのが難しいねんな。

 

 その過程に「電」の呼吸の秘伝書を読み解いていますが、では「電」の呼吸の相性の良いキャラを探せ、となると。原作キャラで該当するのは善逸くんとその兄弟子ぐらいかな?

 

 

 うーんどうだろう。探せばいたりするんだろうか?まあとにかく、今気にする事じゃないからさ!諦めよう臨花ちゃん。

 

 いつか出来るから!他にやる事あるでしょ!ね?ね?

 

 

 

 “まあそこはちゃんと教えれば大丈夫だろう”

 

 

 何も大丈夫じゃねえよ!!!教えんの下手っつたよなぁ?!

 

 

 

 “……?カナエさんがとても言いづらそうに苦笑いを浮かべてる様な?”

 

 

 当たり前だろが!これがしのぶさんだったら「向いてないのでやめましょう」ってちゃんと口に出して言ってんぞオイ!

 

 も〜〜〜チャート崩れる……今更だけど……勝手に動くのやめちくり〜^時間はあるとはいえ有意義に使って磐石の布陣にしないといつ無惨様に殺されてもおかしくないんだよ!ダメダメ♡

 

 

 

 “直ぐに見つかると思ってはないから、気長に探そう……それに、柱の仕事もある、継子を探して疎かにしてはいけない、都合良くクロえもんがやってきた……任務を聞こう”

 

 

 

 ほ(安心)

 

 

 やっと操作出来るようになったぞい……オリキャラが勝手に動くことは長い時間そのキャラを使ってると割と良くあるのですが、臨花ちゃんもその例に当てはまるようになりましたねぇ……。

 

 

 さて、任務の方針ですがそろそろ時期が時期なのでフィールド「山」を優先的に向かいたいと思います、運良く景信山を引ければ時透兄弟遭遇イベントが起こる筈です。

 

 運の能力値が高ければ高い程イベントは起こりやすくなるのは既プレイ兄貴姉貴はわかりますね?今の臨花ちゃんの運は「丙」階級順列の上から三番目の位置ですね。

 

 

 これを低いと見るか高いと見るかはプレイヤー次第ですが、ぽもは高い方だと思います。伸びない時はそれはもう伸びないのでね。

 

 

 余談ですが、最近の鬼滅の刃RPG学会では運の値は「生存力」に比例して上がっていくのではないか?と検証をしていますが、今までのオリキャラの統計を見れば確かに、長生きするキャラ程運が高いですね。

 

 

 

 “離れた小さな集落は鬼にとって絶好の場と言えるだろう、身を隠すのに丁度良く、隠れて人を襲える……実際鬼の被害に遭う場所は山などの場所が多い。それ故に鬼の隠れている位置は大方推察が出来る”

 

 

 

 んにゃぴ。

 

 

 フィールド「山」での任務は実の所弱い鬼が多く、しかも数だけは多いので連戦が続きます、臨花ちゃんのステータスだと弱い鬼を倒しても経験値はほんのわずか。

 

 あまり旨味ではありません。上弦の壱との遭遇の可能性もあるので、実はあまり受けたくない任務です。

 

 ですがこの時期の春〜夏でのフィールド「山」のイベントを逃さぬためには、これぐらいのリスクは踏むべきでしょう。

 

 

 だけど黒死牟さんが出現したら終わりです。祈れ

 

 ウワァァァァァァァァァァァッァアンもうやめて本当にいきなり月の音が聞こえるつってその三秒後には胴体が真っ二つになって「他愛無し…」って言われるのトラウマトラウマトラウマトラウマトラウマトラウマトラウマトラウマやめてお願いやめて助けて縁壱さん蘇れ蘇れ

 

 

 

 ナニカキコエマシタカ?

 

 

 

 

 “斬り捨てる、鬼の頸を落としてって…一息。この辺りにはもう鬼が潜んでいる気配は感じない。油断はしないが、もう居ないと見て良いだろう。まだ体力は万全だ……他の山も巡ろうか?“

 

 

 

 行きます行きます。

 

 

 ……んー、今の臨花ちゃんならステゴロ鬼殺!出来るかな、難しいか?素手(補助武器使用を除く)のみでの鬼殺出来たら取れる技能と体術の壁越えしてえなあ。

 

 難しいか?やっぱ小手武器使わないと厳しいかなあ、でもそれだけの為に小手武器作るのも勿体ない気がするんだよなぁ……武器重量も嵩んじゃうし。

 

 火縄銃使ってる関係上、これ以上武器増やすのはよろしくないよなあ。

 

 

 とぽもが考え事しながら討伐できるぐらいには一般モブ鬼を屠れる実力者になった臨花ちゃん、最初の頃と比べると雲底の差ですね。

 

 

 

 

 

 ”霞のかかった様な山だ……初めて来たかも、記憶にないな“

 

 

 

 

 

 

 あ。

 

 

 

 うおおおおおおおおおおおおおおおおお!?

 

 

 このテキストは間違いなく景信山のテキストや!これは期待持てますぞ持てます持てます。

 

 

 ん?

 

 ご存知でない?景信山というのは無一郎くんちゃんの出身地です、東京にある山ですね。詳しい場所を言うのは省きますが、無一郎くんちゃんファンで登山に興味ある方は行ってみてもいいかも?

 

 いやでも初心者にはちょっと厳し目の山なんで、もう少し軽めの山行ってからの方が良いっすね……。

 

 

 ぽもは饅頭なので山に行くと虫に刺されて中身が飛び出るのでNG。

 

 

 

 ”……変だな、鬼の気配が感じにくい……いない?いや、どこか不自然だ、巧妙に隠れている。面倒だな……完全に”逃げ“に徹している隠れ方だ、私を襲いに来るのなら直ぐにわかるのだが“

 

 

 

 あーはいはい、ステルスタイプの血鬼術ね。

 

 

 臨花ちゃんの気配察知でも探すの難しそうっすね、技能に奇襲反撃があるので奇襲仕掛けて貰いたいけど難しいかも。

 

 

 まあ今は鬼のことは一旦忘れて時透兄弟探しにいきまひょ臨花ちゃん。

 

 

 

 ”歩く、歩く、歩く……思えば最初の頃は、山での任務は来た道を忘れたりして迷ってたな。今でこそ山中での探索は慣れたけど“

 

 

 

 ”見つけた、鬼の気配はない、人だ。この山に住む者だろう……私より小柄で、歳も下だろうか?月を睨むようにそこに佇んでいる“

 

 

 

 ビンゴ!それじゃい!

 

 

 やったぜ。久しぶりにちゃんとチャート通りに事が運べた気がするぞ……いやあよかったよかった。

 

 

 ……いや遭遇しただけで満足したら何の意味も無いから全然気抜けないっすけどね。

 

 

 

 “姿を現して話しかける、その人物は驚き、警戒する様に私を見て、何の用だ、何しに来た、誰だと言われるので、一つ一つ質問に答えると、怒った様な表情で早く帰れ、どっかに行けと言われる。むう、嫌われているような?”

 

 

 

 これ有一郎きゅんか?いつかのプレイでの無一郎くんちゃんと遭遇した時のテキストと違うし、どっか行けとは言わないっすよね。

 

 

 ここからどういう会話展開になるかは臨花ちゃん次第、ぽもも会話の選択肢を間違えない様にするわゾ〜するする!

 

 

 選択肢間違えて関係構築出来なかったら……ナオキだ……んに“ゃァ(ドブ鼠ボイス)

 

 

 

 ”どこかに行く前に言う事がある。鬼が近くに潜んでいるから、山を降りて避難して欲しい。そう言うと、嘘だと言い、昼に来た奴と仲間かと問われる。なんのことだろう?……とぼけるなと言われても……心当たりはないよ“

 

 

 あまねさんの事かな?

 

 

 原作同様、あまねさんが時透兄弟を鬼殺隊士に誘っているみたいですね、結果はまあこの通りなのですが……てかあれ誘い方も駄目だよね、まだ11ぐらいの子供に「凄い剣士の子孫だからその力を使って人を助ける仕事をしよう!」的なの言っても、ねえ?

 

 

 無一郎きゅんならともかく、その兄貴はそりゃあ警戒するわな、リアリストだし。

 

 

 

 ”ともかく、避難しようと言うと、鬼なんか居ないし、お前は信用出来ないし、そもそも自分達に行く宛なんかないと言われる。なるほど、確かにそうだ……さて、どうやって説得させようか“

 

 

 

 交渉上手ついて自動成功しないし警戒心も解けないのか……有一郎くんとこの段階で会う事は今までなかったので知らなかったのですが、これは相当説得難易度高い設定にされてるな?

 

 

 ぽもの腕の見せ所ですね。

 

 

 ほなポチー!!!

 

 

 

 ”山を下りた後の行く宛は私が紹介すると告げる、すると山は降りないしそんなものも要らないと言う”

 

 “切り口を変える。熊などの自然の動物に一人で立ち向かえるのかと聞くと、この山に危険な動物はいない、いても避ける方法は知っていると言われる”

 

 “切り口を変える。この山に拘る理由でもあるのか?と聞くと、それをお前に言う必要はないと言われる“

 

 

 ”理解した、この子は精一杯なのか。心に余裕がない、日々を生きる以上の事を考えられる余裕が無い……人の気配は、この子ともう一人、弟か?”

 

 

 んにゃぴ、新しい選択肢が出たな。これで終わりや!

 

 

 さぁショタ兄ぃちゃん!その心の分厚いハートをブレイクさせてもらうわよ?!

 

 

 

 “……切り口を変える。君が私を信用しないのもわかった、背後の、家の中で眠っている弟を守る為に精一杯で手一杯なのも理解した。そう言うと少年は動揺した様に、押し黙る“

 

 

 ”私が口を開ける前に、少年はお前にはなにも関係ないと言って、これ以上の会話を拒絶した……ふむ“

 

 

 

 ……え。もしや説得失敗した?

 

 

 まじで?選択肢ミスはしてないと思うんすけど、もしかして交渉術壁越えしてないと無理とか?嘘だろ?

 

 

 いやでも鬼滅の刃RPG技術者ならそれぐらいしてもおかしくねえ、くそげーかよ!は?!折角の遭遇イベントなんだぞオイ!

 

 

 勘弁しちくろ〜^オバンコ〜^

 

 

 ……はーダメかあ、そう都合良く行かないわな。真菰ちゃんをチャート通り助けられて、カナエさんも突発的とはいえ初めて救助できて、よっシャ!この勢いで時透兄弟もイクゾッ!ってなってたんすけど、難しいわな。

 

 

 鬼滅の刃RPGはゲームですが、ゲームの様に全てが全て上手く行く様に出来たゲームじゃないですしね、寧ろ今までが幸運過ぎましたね。

 

 

 まあ時透兄弟の片方さえ生き残っていれば最終決戦「上弦の壱」戦での予定、動きを変える必要はないですし……まあその場合無一郎くんちゃん(或いはその兄)ほぼ100%生き残らないけど、しゃあなし。

 

 

 諦め……ん?

 

 

 

 “うん、よし、決めた”

 

 

 

 ファ?!うーん()

 

 

 

 “この少年を継子にする事にした、二日後にまたこの場所で会おうと言ってその場を後にする……楽しみだ”

 

 

 

 

 やりやがった!(歓喜)

 

 

 強引に決めやがったよ臨花ちゃん!何言ってんだこいつって顔した時透くんに何の説明もせず「それじゃ二日後」って言って去ってったぞおい!

 

 

 ……いや説明ぐらいしてあげて?冨岡語しないで?

 

 

 いやまあ、はい。

 

 

 ……なんとかなるもんすね、いやあチャート通り!

 

 

 

 ほなじゃあパパッと二日後!

 

 

 

 “一昨日と同じ場所、同じ時間……より一時間早く来て少年を待つ。相変わらず鬼の気配は隠れている、やはり何処かにいる。近くにはいないだろうし、見られている訳でも無さそうだが、いるのは確かだ“

 

 

 

”気配の隠し方の巧さから、十二鬼月の可能性も捨てきれない。件の少年の事もあるが……暫くはこの山を中心に活動するのが良いだろう“

 

 

 

 これで十ニ鬼月だったら洒落にならないんすけど(真顔)

 

 

 怖いこと言わないでよ臨花ちゃん……

 

 

 

 ”来た……約束は守ってくれるみたいだ、良かった、二日前のように暴言を浴びせられるが、これも弟を守る為というのが分かれば何も気にならない”

 

 

 メンタル強者か?メンタル強者だった……

 

 

 “もって来た刀を少年に渡す。受け取らないので強引に渡した、うん、よし……私は木刀に変えて、稽古を始める前に少年の名前を聞くが、教えてくれない。むう“

 

 

 

 ”今から君に戦う術を教えると言って木刀を向ける。弟を守りたいなら刀を構えろと言うと、少年は刀を構えた“

 

 

 

 ……これさあ。

 

 多分有一郎くんちゃん勘違いしてるよ、臨花ちゃん的には多分稽古のつもりだけど向こう命懸けだぞ多分。

 

 だってこれテキストメッセージ的に、有一郎くんちゃん視点だと「いきなり現れて変な事言い出して刀渡して来たと思ったら抜かないと弟に何かするぞと脅して来た人」だよねえ?!

 

 

 冨岡さんさあ……(風評被害)

 

 

 

 てな事で説得成功(?)したので今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 意味が分からなかった。

 

 

 剣士の子孫だと言われ、それに感化される無一郎に酷い言葉を言った、余裕が無いから、優しく出来なかった、他に言い方を考えられなかった。

 

 夜、寝れなくて外に出てこの先どうやって生きて行くかを考えている時に、そいつはやってきた。

 

 

 

 “こんばんは、私は戌亥臨花、君の名前は?”

 

 

 

 洗柿色と薄桜色の小紋羽織を着た、腰に刀を差して、背中に火縄銃のようなものを背負った、銀色の髪に茜色の目をした女だった。

 

 

 得体の知れなかった、もしや人狩りか何かなのだと思い、次に昼に訪れたあの女の仲間だと思って警戒した。

 

 

 警戒して、罵言を浴びせて帰らせようとしてもそいつは寝ぼけたような目で何一つ聞いていないかの様に話しかける、それが俺を苛々させた、何が目的なのか、何をしに来たのか。

 

 

 俺の暴言混じりの質問にそいつは質問に答えたと思えば、鬼がどうとかここは危険だとか言う。意味がわからない、鬼なんている訳ないだろ、そんな冗談で俺がこの山から下りると思っているのか。

 

 

 俺には守らないといけない弟がいるんだ、この生活を変えるなんて事できない、それに第一他人は信用できない、俺が守らないといけないんだ。

 

 

 どれだけ善良に生きてたって神も仏も結局守ってはくださらないのだから、俺が無一郎を守ってやらないといけないんだ。

 

 

 だというのになんなんだこの女、何を言っても引かない、俺がああ言えばこう言って俺を説得しようとしてくる、ふざけるな、騙されてなるものか、利用できると思うな。

 

 

 

 

 

 “そうか、君は守る事で手一杯なんだね”

 

 

 

 その言葉に知った様な口を聞くなと言おうとして、その女の表情を見て、言い出せなかった、寝ぼけていた目が、一点に俺の心を見透かす様に見ていたからだ。

 

 その独特な雰囲気に完全に呑まれた、関係ないと言って拒絶する事で精一杯だった、他人の俺の心を見透かされたくなかった。

 

 

 

 ”よし、じゃあ二日後にまたここで会おう“

 

 

「は?」

 

 

 

 どう言う事だと聞こうと口を開いた時にはもうすでにいなかった、音もなく消えたから、幻だったのかと思った。

 

 

 というかなんだ、二日後に会おう?意味がわからない、会うわけないだろ、勝手に言い残して消えて、ふざけてるのか。

 

 

 ……それでも、一度自分の心に触れられてしまったからなのか、二日後、同じ時間、俺はモヤつきながら、苛立ちながらも向かってしまった。

 

 

 そしてそいつは居た。

 

 

 幻でもなんでもなかった、あの二日前の出来事は事実だったと理解した時、その女が口を開いて、手に持った物を受け取らせようとする。

 

 

 ”待ってたよ、これ受け取って”

 

 

 

 刀だ、やっぱりこいつはあの昼に来た女の仲間だった、とぼけて記憶にないと言いながらこれだ。やっぱり信用できない、利用しようとしてる。

 

 

 

「いらない!もう二度と俺の前にーーーー……は?」

 

 

 

 気付いた時にはもう、俺の手に刀が握られていた、俺の目にはそこに突っ立っている様に見えたのに、目に追えない速度で、俺の手に刀を握らせたんだ。

 

 何者なんだ。なんなんだ。

 

 

 女の雰囲気が変わっていく、なんの変哲もなかった女が、その目が俺を見つめていた、恐怖に背筋か凍る様な感覚がした。

 

 

 

 “少年、刀を構えろ。誰かを守りたいなら、守る為の力が必要だ……それを、今から君に教える”

 

 

 

 

 女はいつのまにか木刀を俺に向けていた、真剣じゃない。それなのに俺は、今日ここで死ぬのかと思ってしまう様な感覚を覚えた。剣士とは皆こうなのか?こんなにも恐ろしいものが、人だというのか。

 

 

 そうだ、俺は弟を守らないといけない。もう考えるのもめんどくさくなってきた、この刀で……!

 

 

 

「……ッああああ!」

 

 

 

 握った事もない刀を振るった。それをさも簡単に躱される、無我夢中で、がむしゃらに、苛立ちのままに、感情のままに、当てつけのように、振るう、振るう、振るう。

 

 

 その全てが当たらない、当たり前だ、俺は木こりで、向こうは剣士、年齢も向こうが上だろう、経験値も体格も、何もかも違う。

 

 

 

「はぁ……っ!なんなんだよ……っ!」

 

 

 

 疲れて、振るう刀を止めた。

 

 

 瞬間に視界が落ちた。違う、体が吹っ飛んだんだ、その事に気付いたと同時に体の痛みがやってきた、なんだ。今俺は何をされたんだ。

 

 

 

 ”刀を止めるな、止めた時が君の最後だ“

 

 

「がっ……は、っ……!」

 

 

 立てない。立とうとしても痛みで体が上手く動かない、だいたいなんなんだ、いきなり刀を持てだの、守る術を教えるだの、何がしたいんだ、何をしているんだ。俺は、こいつは。

 

 

 

 “……君が立てないなら、私は君の弟の所に行く“

 

 

 

 その言葉を聞いた時、自分でも驚くほどに、痛みを無視して、立ち上がって、その女に刀を振るった。

 

 

 ……ひどい剣筋だと思う。無一郎には剣の才能があるみたいだが、俺にはない、すぐにわかった。俺は無一郎のようにはなれない、できない。

 

 

 でも無一郎を害する奴は、俺が許さない、認めない。弟を守る為なら死んだって良い。

 

 

 ひたすらに刀を女に振るう、それこそ殺す気で向かう。当たらない、当てられない、俺は遊ばれているのか、それは今はどうでもいい、こんな得体の知れないやつを弟の所には行かせない、向かわせない。

 

 

 ただただ振るう、だが限界はすぐにきた、体が上手く動かなくて刀を振るう手を止めた。そしたらまた体が飛んだ、地面に倒れた。体に痛みが走った。頭痛もした。

 

 

 その度に女は俺に立てと言った。それが四回(・・)続いた時に、ついに俺は意識が切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 “おはよう、もうすぐ朝だね”

 

 

 

 

 起きた時、その女の顔が一番最初に映った、気を失ってから何時間経ったのだろうか、空は日の出に近付いていた。

 

 不思議と体の痛みが引いている気がする、薬でも塗られたのか?体を起こそうとして、ふらついたのをそいつに支えられた。

 

 地面に座らされて、その女も隣に座った。

 

 

 “無理に動かない方がいいよ”

 

 

 

「……なんなんだよ」

 

 

 “継子を探してたのを思い出して、丁度いいから君にした”

 

 

「は?なんだ継子って、丁度良いってなんだよ」

 

 

 “弟子のこと。鬼の潜む山に住む君をほっとく訳にはいかない。でも君が山を下りないなら、それなら私に出来る事は、鬼を屠る術を教えること以外にない”

 

 

「まだ鬼とか言うのかよ、いるわけ……ないだろ」

 

 

 

 ”いるよ。鬼は人を襲う、人を殺して、人を食う。あいつらは大事な物を全て壊す、全て奪う。私はそれを止める為に、いるんだ“

 

 

 

 もうそれを否定出来るような言葉を投げられなかった、言い聞かせるように言う女の声は冗談の一つもない事は、あの短いのか長いのかもわからない出来事で理解した。

 

 

 

 “守る為の力がない者は、奪う者に全て奪われる。君にそうなって欲しくない、だから守る為の力を、君に教えることにしたんだよ”

 

 

「頼んでない……なんで構うんだ、別にあんたに関係ないだろ、放っておいてくれよ……!」

 

 

 

 “もう関係なくないよ、君は私の継子だからね”

 

 

「勝手に決めるな!俺は認めてないし、そんなの知らない!」

 

 

 “むう……頑固だ……しかたない、君が私の継子と認めないなら私は君の弟に接触するよ”

 

 

 その言葉を聞いて、思わず掴み掛かろうとしたその手が、それより前に押さえつけられる、ふざけるな……弟は関係ないだろ!

 

 

「ぐっ……離せよ!」

 

 

 

 “ごめん、意地悪だったね。でも鬼は待ってくれない、こうして話す暇も与えない、君を殺したら次は弟だ。それを君は許せるのか”

 

 

「許せるわけないだろ!弟は……無一郎は俺が守るんだ」

 

 

 そう答えた俺の言葉にその女はどこか満足そうに頷いて、立ち上がる。

 

 

 ”次は三日後に此処に来る。来ても来なくても良い、最後は君の判断次第だから、これ以上は言わない……あ、でも一つ教えて欲しいな”

 

 

「……なんだ」

 

 

 

 “君の名前、まだ聞いてないから”

 

 

 

「……時透有一郎」

 

 

 

 “ん、有一郎くんか。良い名前だね……それじゃあ、さようなら”

 

 

 

 なんで俺はあの女に自分の名前を教えたのかわからない、最後まで言わなくても良かったのに、無視すれば良いのに、そうすることが出来なかった。

 

 

 女は、二日前と同じように音もなく消えた、最初は幻覚だと疑っていたが今ならわかる、俺には目に見えない速度で移動しているんだ、本当に人なのか疑う程に速い。

 

 

 あの女は三日後に来ると言っていた。

 

 

「……ッ」

 

 

 

 あの女が残した、俺に握らせた刀が地面に置かれていた。

 

 

 

 日が登る。

 

 

 

 刀を見つめながら、俺はーーーーー

 

 

 




感想評価、誤字報告等々ありがとナス!ここすきもウレピ

次回は金土日のどっかに出したい(出せるとは言っていない)
塁きゅん編までの流れは出来たので今年はそこまで書きたいですね?

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