【実況】鬼滅の刃RPG【祝100周目】   作:ゆう31

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間に合ったので続きです。


夏〜夏の終わりまで

 てってーってー、るてっててー♪

 

 

 どうもぽもです、本日の食材はこちら(ドンッ!)

 

 

 はい、というとこで色街で取れた新鮮なホニャララというで、本日も捌いてイクッ!

 

 

 

 

 

 銀色のヤツで乾杯。ぽもです。

 

 

 前回は無一郎くんに見られて終了した所ですね、さてと……そろそろになるかな。

 

 

 今の時期は夏、テキストメッセージも「じめじめして嫌な空気になってきた」との事なので、ここ数日の間でほぼ確定で時透兄弟襲撃イベントが始まる事でしょう。

 

 

 

 まあいけるっしょ(慢心)

 

 

 

 っとゲーム画面に戻る前に、暫く見てなかった臨花ちゃんのステータス画面の方を覗いてみましょう。

 

 

 

【戌亥 臨花  階級<柱>

  能力値 トータル 柱(中)

  力>>>柱(中)

  技>>>柱(中)

  体>>>柱(下)

  速>>>柱(上)

  運>>>丙

  呼吸

  火0/0 水50/50 風50/50 雷80/80 岩20/20

  派生呼吸

  煌161/200

  技術

  剣術186/200 抜刀100/100 仙術149/200 居合100/100 体術100/100 歩法160/200 気配感知137/200 暗器術169/200 交渉術107/200 鉄砲術119/200 育成49/100 薬学48/100

  技能

  応急手当 耐忍 対の先 常中(上) 心眼 奇襲反撃 明鏡止水 交渉巧者 分析 専心 研磨 掩護 転迷開悟 剣豪 覚醒 怪傑

  特殊能力

  『速度+』『抜山蓋世』『卓越技術』『艱苦奮闘』】

 

 

 

 んにゃぴ……上から見ていきましょう。

 

 

 と言っても能力値の変動は特に無し、技能も増えた訳でもないので、如何に上弦の弍、童磨戦がとんでもない成長を促したのか見てわかりますね。

 

 

 変わったところと言えば、技術「交渉術」の壁が越えました、壁越えの条件は「交渉難易度が高い交渉に成功する」です、有一郎くんちゃんとのやりとりがそれに当てはまったのでしょう、思わぬ所で壁越えに成功しました。

 

 そしてそれと同時に技能「交渉上手」から「交渉巧者」に変わりましたね、まあ低確率から中確率ぐらいの差ですが、旨味!

 

 

 ……てか二ヶ月間三日に一回は有一郎くんちゃんに稽古してんのに育成全然成長しないね????20ぐらいしか上がってないっピ。

 

 

 まあ得意不得意のマスクデータはオリキャラの『自我構築』発生時に出てくるとかなんとかってアレなので、不得意の部類なんでしょう。

 

 

 まあこればっかりは仕方ありませんので気長に成長が成長(ゲキウマギャグ)してくれる事を願いましょう。

 

 

 

 

 “真菰が「最近任務以外で何処かに行ってるよね、何処に行ってるの?」と聞いてきたので、継子が出来たので修行していると言うと、すごい顔をした。そんなに驚くことかな“

 

 

 

 てな事でゲーム画面戻りまして……言ってなかったんだ臨花ちゃん()

 

 

 そんな冨岡さんみたいな事しなくていいから(いいから)、いやまあ、継子出来たよ〜ってわざわざ言う事でもないか?

 

 

 この辺の判断は性格によりますね、不死川さんとか継子出来たとしても「認めてねェ」とか言って継子なの隠しそうっすね??

 

 

 真菰ちゃんは「ねえねえ聞いて聞いて」とか言って自慢しそう、しない?

 

 

 ……時期的にワンチャン炭治郎きゅんと知り合ってる可能性否定できないんだよな、まあ炭治郎きゅんの場合、紹介しようにも出来ない事情があるから話せないのかも知れへんけど。

 

 

 

 ”「私も会いに行きたいな」と言うので連れて行く事にしよう……例の正体不明の違和感の件もある、真菰の見解も聞くべきだ“

 

 

 

 言葉の最後に怒りマークがミエルミエル……有一郎くんちゃん逃げて!目つけられちゃったよ……どうしてくれるん?

 

 

 ここで真菰ちゃんが来てくれるのは地味にでかいね。そろそろ襲撃イベントが起こるはずですし、何が起きてもいい様に協力NPCがいると居ないとではやっぱり違いますからね。

 

 

 

 

 ”クロえもんから伝えられた任務を真菰と共に終わらせた後、有一郎くんに稽古をする為に景信山に着いた、日が落ちた霞のような山の特性は夏だからだろうか、ジメジメして、暑い“

 

 

 

 地味に任務終わらせました、襲撃の時間は夜なんで昼に山行っても意味ないし多少はね、任務の内容は……ンニャピ呆気なかったんで、カット。

 

 

 

 ”一緒に来ている真菰の表情が変わって、何か考える様に顎に手をあてて…私の勘違いではなかった事はこれで確かになった。それに最初に比べて違和感が変化しているように思える……まさか、居るのか(・・・・)?“

 

 

 む。

 

 

 ついに来たか?何が来るんすかね?

 

 まあ臨花ちゃんと真菰ちゃんに叶う相手なんて居ないんすけどね(慢心)

 

 てかぽものプレイスキルなら余裕なんすけど(油断)

 

 今のぽもと臨花ちゃんと真菰ちゃんに勝てるやつ、おる?(不注意)

 

 

 いねえよなぁ!(マイキー)

 

 

 

 

 上弦だけはやめろ繰り返す上弦だけはやめろ。

 

 

 

 “嫌な予感は常に当たる様に出来ている、だからこそ“この”感覚になった時、私は直ぐに行動を開始して、駆け出した。続けて真菰が私の一歩後ろに着いてきてーーーーその時、鈴の音が聴こえた“

 

 

 

 ヒョ?

 

 

 

 ”分断されたーーー!鈴の音が”血鬼術“だと気付いた時には既に視界の景色が変わっていた、何をされた?真菰は、いや、それより、鬼だ、鬼がいる。目の前の鬼だけじゃ無い、複数いる”

 

 

 

 ァァァァァァァァッァアァアアアア!!!!空間系血鬼術かよクソガァ!!!

 

 

 クソクソファッキンモブ鬼がコラ!

 

 

 マジで厄介すぎる、琵琶の音じゃ無いってことは鳴女じゃないって事なんで血鬼術が優秀なモブ鬼なんだろうけど。

 

 

 真菰ちゃんと分断されたのが痛いですね……詰む事は無いと見て良いですが、討伐速度が落ちました、=襲撃イベに助けに行くのが遅れるって事ですので、いやあ大変(大変なんて言葉で片付けられない)

 

 

 

 いやまって?複数?鈴の音の鬼だけでない?なんで徒党組んでんだよ

 

 

 

 ”鬼が言う「あの方が言っていた女はお前だな」と。そうか、鬼舞辻無惨ッ!上弦の弍を逃した時、薄々思っていたがやはり、目を付けられたか……!“

 

 

 は?!

 

 嘘だろおい!無惨様が無惨様(笑)してないんだけど!?ちょっとこれはマズイですまずいっすよまずいねまずい。

 

 

 ……いやでもこの鬼が弱けりゃ別に問題ねえか?いや目を付けられたって事実がやばいねん、遭遇率が上がるじゃねえか、死亡フラグが歩き出してんじゃね〜〜〜ェイ!!!

 

 

 “……真菰は強い、大丈夫。だけど時透兄弟が心配だ、鬼の気配は向こうにも感じてる。この目の前の鬼を撒いて助けに……いや、あの血鬼術は目の前の鬼の血鬼術のように思えない。先にそれを……ッ”

 

 

 ちょっまて急に戦闘始まるなおいばかやめろ回避しろ回避!

 

 

 

 “殺気を感じ、即座に離れて避ける、考え事をしてる暇もない……なら、私が今出来る事は、この目の前の鬼を屠り、その後に有一郎くんの元に向かうだけだ……ッ!”

 

 

 

 うぉぉおっぉだらぢゃばづゔぃゔぃゔぃゔぃゔぃめうあ時間制限少ねえぇ〜〜〜?!とんでもねえなおい!これが人のやる事かよ!いやこいつら鬼だった。テヘッ☆

 

 

 テヘッ、てなんだよ!(空飛ぶ非常食ボイス)

 

 

 

 “鬼に刀を向ける、重圧、殺気、それらがこの鬼は”一筋縄ではいかない“事を告げる、鬼舞辻無惨が特別、私に向ける刺客として血を分け与えたのか……肌感で上弦よりは弱い事はわかる、だが油断は出来ない”

 

 

 

 クソ強モブ鬼じゃねェか!ふざけるのやめます。

 

 

 

 “火を付ける(・・・・・)、私の守るモノを奪わせてなるものか……!”

 

 

 

 てな事で対戦よろしくお願いします。

 

 

 

 ちゃんとした戦闘はなんだかんだ久しぶりになりますかね?ゲーム画面を見ながら実況していこうと思います。

 

 

 今回の戦闘は時間制限付きの戦闘になります、多分これが0になると時透兄弟を助ける事が間に合わなかったって事になるんでしょうかね……ヒェ。

 

 有一郎くんちゃんは臨花ちゃんのスパルタ特訓で現時点で最終選別?余裕っす(笑)ぐらいの剣士に育ってます、原作で襲撃してきたモブ鬼ぐらいなら倒せると見て良いでしょう。

 

 にも関わらず、制限時間が少なく、しかもイレギュラーの様に戦闘が起きました。どう見ても下弦並みの鬼が徒党組んでます本当にありがとうございました(怒)

 

 上弦は居ないと思いたいですね……いやもしかしたらこの制限時間で解決しないと上弦が出てくるとかないよな。やめろよ。

 

 一番の問題は目の前の鬼を片付けても鈴の音の鬼が残ってる事ですね、正直これは真菰ちゃんにお願いするしかないです、運です。ふざけんな!

 

 でも真菰ちゃんなら何とかしてくれるってぽも信じてっから(豹変)

 

 

 

 無惨様がちゃんとラスボスとして動いてるの久しぶりなんで結構動揺してます、とはいえ臨花ちゃんの速さと能力値なら何とかなるはずです。

 

 

 真菰ちゃんの方は臨花ちゃんも言っていた通り、心配しなくても大丈夫と思いたいですね、下弦程度なら敵じゃないので、上弦と会ってない事を祈りましょう。

 

 

 ……てかこの鬼強いんだけど。

 

 

 

 

 ”やり難い、この鬼は泥状に変化する、何が起こるかわからない以上触れる訳にもいかない、それだけじゃない。確立した武術……技術で見れば、私の剣術と同じか?“

 

 

 

 身体変化系はこれだから嫌っすね、しかもかな〜り劣化した猗窩座さんみたいな動きするから頸斬る隙少ねえや。

 

 臨花ちゃんが負ける事は……まあないと見て良いでしょう、ただ隙が少ないせいで首を落とす所まで詰めれません。

 

 

 んー。

 

 

 

 この後の戦闘がどうなるかわからないからあんまり使いたくないし、後々の事考えるとやっぱ温存したいんだけど、そうも言ってられないか。

 

 

 ほなポチー!

 

 

 

 “この鬼、私をここに留める事を優先している、後一歩が届かない……前までの私なら打開策が無かった、でも今の私はあの時と同じじゃないぞ……!”

 

 

 

 

 時にしのぶさんと臨花ちゃんは仲が良く、技術:薬学を獲得出来る程に友好度を獲得しています。

 

 それに加え、カナエさんを助けた事により、なんと言う事でしょう、真菰ちゃんの次にしのぶさんの友好度は高いです。

 

 

 同期でほぼ最初の頃から仲良くしていた不死川さんよりもです、コレはびっくり!ぽもにっこり!(にちゃあ)

 

 

 これが戦闘面でどういう意味になるか?

 

 

 

 “私の投げ刀はしのぶ印の毒薬を塗ってある、しのぶは毒を使って柱まで上り詰めた、すごい事だ。尊敬する、だから……この毒の力は、この鬼がたとえ、鬼舞辻無惨から多く血を与えられた、十二鬼月相当の鬼であっても効く”

 

 

 

 おわり ってことだよ。

 

 

 

 “この瞬間、確実に生まれた隙に私は鬼の頸に刃を振るった”

 

 

 

 こんぐらっちゅれいしょん!討伐完了デスゥゥゥゥ……

 

 

 

 まあこんなもんすね、思ったほど強くない鬼で助かりました、いや臨花ちゃんが強いのもあるんすけど、ああでも毒使わなかったら時間切れまで粘られてた可能性微レ存だし……まあいいや。

 

 

 さっさと助けに行くわよ!

 

 

 

 “鈴の音はもう聞こえない、真菰が倒してくれたんだろう……やっぱり真菰は強い……!速く向かわなくては、まだ鬼の気配は無くなってない、時透兄弟が心配だ”

 

 

 

 制限時間消えねえんだけど、おい倒したら止まれよ!そう言う所だぞ技術スタッフ!

 

 

 間に合うか……?んゃぴ、もうしのごの言ってられん!全速前進!移動にも使える陸の型 紅昏燕連打じゃい!!!

 

 

 

 オォーーーーーーーーラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ

 

 

 

 オラァ!!!!ンダァ!!!!

 

 

 

 

 

 “……!見つけた……ッ!”

 

 

 

 やれっ!

 

 

 そこだっ!

 

 

 いけー!

 

 

 うぉおおおお!

 

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジメジメした暑い、蝉も鳴いている夏の夜だった。

 

 

 

「ーーーーーッ!なんだ……?」

 

 

 

 この二ヶ月で研ぎ澄まされた感覚が、俺を起こした。

 

 

 鳥肌の様なものが俺の体に伝わった、嫌な予感がする、俺は無意識から無一郎に見つからない様に隠していた、鬱陶しくも俺に剣術を教える女……戌亥から貰った刀を握る。

 

 

 戌亥は言っていた、夜は鬼が来るから、この山は何か妙な気配がするからと、会うたび、去る前に必ずと言って良いほど俺に言い聞かせた。

 

 毎回毎回言うものだから「本当にいるんじゃ無いか」と俺に不安を与え、あわよくばその鬼殺隊とやらに入れる算段なのだと思ってまともに聞いていなかった。

 

 

 

 ーーーーーー戌亥は正しかった。

 

 

 

 開けていた戸から、何者かが入ってきた。それが鬼だと気付いた時、俺は、今まで信じてこなかった出来事に、体が硬直した。

 

 

 

「あァ?何だってこんな貧乏な所に刀持ったガキがいやがんだ?」

 

 

 

 体が思うように動かない、二ヶ月俺は確かに剣術を学んだ、だからといって今まで生きてきた感覚はそう簡単に変えられない、戌亥にも言われた事だ、俺には突発的な出来事に対して硬直する癖があると。

 

 

 ……隣で、寝ている弟を見る。

 

 

 俺が、何もしなかったら、このまま体が動かないままなら。

 

 

 弟が、無一郎が、死ぬ?殺されるのか?

 

 

 そんな理不尽、許せるのか?

 

 

 

「まぁいいか、ぶっ殺してーーー」

 

 

 

 

「……死ぬのはお前の方だろ、鬼……!」

 

 

 

 

 そんな運命、受け入れられるかーーー!

 

 

 

 柳色(・・)の刀を抜刀と同時に駆け出して鬼の頸目掛けて斬りかかる、驚きつつも鬼は既の所で躱した。

 

 

 躱した、避けられた、どうする、どうすればいい、考える時間はない、この鬼が何をしてくるかわからない。

 

 俺より速かったらどうする、俺より強かったらどうする、ちがう、そうじゃない、何を教わった、何のために刀を握った。

 

 鬼なんて信じないと言いながら何故刀を振るった、全部弟を守るためだ。

 

 

 弟を守るために、次はどうすればいい、思い出せ。

 

 

 戌亥は何を言っていた?

 

 

 

 “ 私から教えられる基本の呼吸は四つ、その中で有一郎くんの最も高い素質は多分、風。その中でも基礎しか私は出来ないけど、君なら直ぐに覚えて自分のモノに出来るよ”

 

 

 

「グッ……アアアアアア!!てめえよくも俺の腕を!」

 

 

 

 そうだ、呼吸、呼吸を教わった。風の呼吸を教わった、たしか、こうだ、覚えている、体が、頭が呼吸のやり方を学んでいる。

 

 

 

「シィィァ……!」

 

 

 

 “うん、良いね。よく出来た、えらい”

 

 

 

 ……俺が風の呼吸を始めて成功した時、眠たげな目がいつもより開いて、よく出来たと褒める。

 

 ……それが両親を思い出させて余計に苛々させた、出来たから何だって言うんだ、何でそんな顔が出来るんだ、二ヶ月しか会った事のない、お前にとっても俺にとっても赤の他人同然なはずなのに。

 

 

 そんなお人好しが嫌いだ、だけど守る力をくれたのは俺も嫌いなお人好しだった。

 

 

 ……俺は初めて、心から師範(戌亥)に感謝した。

 

 

 

 

「風の呼吸……!弐ノ型 爪々・科戸風!」

 

 

 

 右肩へ刀を大きく振りかぶって繰り出す一撃、無数の爪のような攻撃は鬼が何かする前に頸に向かって振り翳し、その頸を落とす事に成功した。

 

 

 “上手くは使えないけど”と言いながらも俺に見せてくれた戌亥の風の呼吸の様には出来なかったが、それでも俺は、鬼という化け物に、命を刈り取る悪魔に、対抗して、倒す事が出来たんだ。

 

 

 

「な……なぜ……だ……」

 

 

 

 体が、元からいないものの様に消える鬼が何かを呟きながら消えていく、それと同時に、背後から声がした。

 

 

「ん……兄、さん?これは……」

 

 

「大丈夫、大丈夫だ。もう終わった、終わらせた、いいから眠れ、今日見た事は忘れろ」

 

 

「どういう、意味だよ、さっきの、何だよ……僕にも教えろよ……兄さんだけに……っ兄さんだけが、背負うなよ……!」

 

 

 

 その言葉に何か言い返そうとして。

 

 

 

 

 

 何か、とてつもないものがいるような、気配を感じた。

 

 

 

 

 

「こんにちは」

 

 

 

 なんて事のない言葉、まるで日常の中にいるかの様な言葉が。この非日常の中では特に異常で。

 

 

 振り向いた時にはすでに俺は家の壁が呆気なく壊れる一撃で外に飛ばされていた。

 

 

 

「兄さんーーー?!」

 

 

 

「ーーーーーハッ、ガッ……ッ」

 

 

 

「おや、死なない?咄嗟に受け身でも取った?」

 

 

 

 何をされたのかもわからない、ただ咄嗟に二ヶ月間体が覚えた受け身が、俺の命を守ってくれた、それでも体の芯に入って身動きが取れない、体が痛みから震える、倒れた体が起き上がらない。

 

 

 何だ、なんなんだ。

 

 

 さっき出会った鬼なんて、今目の前にいるこの存在に比べたら鼠と狼だ。

 

 

 灰色の髪に、灰色の着物、特に目に見えて異常なのは両肩に乗っかったまるで蛇の様にトグロを巻いた”肉塊“、それが口元を隠し、片方の瞳には×印、奥に見える数字は下。()

 

 

 それが何を意味するのか俺にはわからない、ただただこの鬼は、一回りも二回りも存在が上だということだけ。

 

 

 

「ごめんねえ、君達に何か恨みがあるわけじゃないんだけど……君達殺して、柱を炙り出したら、あの方直々に十二鬼月に戻してあげようって言われてさあ、そりゃあやるよね」

 

 

 

 聞いてるわけでも無いのにペラペラ話す、気色悪い、完全に下に見てる、いつでも殺せるからと、見下してる。

 

 

 視線を弟がいる方に移す……その場から動けないみたいだ、無理もない、俺と違って弟は何の訓練もしてない、それに俺よりあの鬼と近い、あの鬼の威圧感に、悍ましさを俺より近くで受けている。

 

 

 ……神も仏も助けちゃくださらないなら、俺が弟を助けるしかない。

 

 

 動け、動くんだよ、動けよ!……動かすには、そうだ、これも教わった、回復の呼吸、俺があの稽古で倒れ伏す度にいつも使っていた!

 

 

 

「フゥーーーー……弟から、離れろよ……!」

 

 

 

「あれ、もしかして鬼殺隊士?うーん?情報と違うな……まあいいや、どっちでも、それで何だっけ?この子から離れて欲しいの?」

 

 

 

 いいよ。

 

 

 

 

 ギリギリの命の最中、極限まで集中しているからか、僅かに、微かに、ほんの少しだけ、向かってくる乱雑な、ただ腕を振り下ろしただけの、たったそれだけなのに目で追う事が奇跡の様な速さの動きは。

 

 

 それでも、俺に教えを説いた人より俄然遅かった。

 

 

 

 ギリギリで受け止める、踏ん張るんじゃない、受けて、止めて、流す、そうじゃないと、刀が折れるから。

 

 

 次は、なんだ、そうだ、呼吸、速く、呼吸を繰り出ーーーー

 

 

 

 

「兄さ……ん?」

 

 

 

 

 

 あれ、なんで無一郎の顔が、こんなに近くにあるんだ。

 

 

 ……体が痛い、俺は今攻撃されたのか?何をされたんだ。

 

 

 

「はあ、やっぱオレ、弱いなあ、こんな餓鬼に受け止められるし、しかもそこそこ本気で投げ飛ばしたのに脚も腕も壊せないや。だから下弦のまんま……ああ!元だけどね、ははは」

 

 

 

「兄さん、兄さん!しっかりしてよ……!ぼ、僕、どうすれば」

 

 

 ……せめて弟だけでも逃さなければ。

 

 

 俺は、刀を杖にして、なんとか立ち上がって、無一郎を守る様に立つ。

 

 

「……ッゲホっ、ごほっ、ぁ……ぐ、うう、逃げ……ろ、遠くにいけ、はやく逃げろ」

 

 

「兄さんを置いていけるわけないだろ……!ぼ、僕も戦う!一緒に戦えば」

 

 

「無理だ、出来るわけ……ッは、はぁ……っ頼む、逃げてくれ、お前が生きて逃げれば、それで良いから」

 

 

「兄さんはどうするんだよ…!僕ーーー」

 

 

 

「あのさあ、ちょっとさあ、オレのことを忘れてないよね、なあ、ねえ、無視?むかつくなあ、てかさあ、お前らみたいなどうでもいい兄弟、早く死んでくれよ、どうせ誰も助けちゃくれないし早く楽になった方が身のためだよ?」

 

 

 

 

 ……ああ。その通りだ。

 

 

 どうせ犬死、この鬼にオレは勝てない、30秒も持たない、数秒で殺されて終わりだ、こいつの言う通り諦めた方が楽になれる。

 

 命乞いでもすれば変わるか?……無理だな、そんなのした所であいつを楽しませるだけだろう。

 

 

 

 ……ああ、そうだよ。誰も助けてくれるわけないだろ、だから俺が、弟を、無一郎を守らなきゃならないんだ。

 

 

 

「生きろよ……俺はお前が幸せになれれば、それでいいから」

 

 

「なんだよ、それ……!」

 

 

「優しく出来なくてごめんな」

 

 

「兄さん……!待って!」

 

 

 

 

 駆け出す。

 

 

 体のそこら中が痛む、自分でも何で走れるのかわからない、後ろに命を懸けてでも守らなきゃいけない人が居るからだろうか?

 

 

 

「おいおい、人がせっかく親切に……まあその方が楽しいか!」

 

 

 

 呼吸を使った一撃を放とうとして、肺が限界を達してむせた、それならもうひたすらに、振るうしかないと振るった刀は、肉塊に隠れて口元が見えないのに、ニヤついた様に見える鬼の振りかぶった腕で破壊される。

 

 

 ……ああ、くそ。理不尽すぎるだろ。

 

 

 

 ああでも、それでも、たとえ腕がもがれようが、下半身がなくなろうが、頭が潰されようが、最後の最後まで絶対にこいつを弟に近づけさせるものか。

 

 

 

 鬼の肉塊が迫り来る、まるで口の様に開いたそれを見て俺を喰らうのだと知った。

 

 

 ……ごめんな無一郎。

 

 

 

 

「ばいば〜い」

 

 

 

 

 

 向かってくる命の終わりに、せめて何かと折れた刀を振おうとした。

 

 

 

 

 

 

 瞬間。

 

 

 

 

 閃光の様な煌びやかな何かが割って入って、肉の塊を切り裂いた。

 

 

 

 

「は?おい、なんだ、おまえ」

 

 

 

 

「……い、ぬい?」

 

 

 

 

 

 “……頑張ったね“

 

 

 

 霞んだ視界じゃどんな顔をしているのかわからない、でもその声は、間違えるはずない、二ヶ月、よくわからない理由で俺に剣術を教えた、守る力を教えた、俺の……師範。

 

 

 

 “すぐ治療するから、もう安心だから“

 

 

 

 安心させる様に語り掛ける戌亥に何か言いたかった、あの鬼は危険だとか、無一郎はどうしてるとか、でも体が思う様に動かない。

 

 

「そうか!お前が!”煌柱“!あの上弦の弐を追い詰めた柱!」

 

 

 

 ”……だから?“

 

 

 

「お前を殺す!そうすれば下弦……いや上弦にすら!ッハハハ!ついてる、ついてるぞ、うん!やっぱオレは運がいい!」

 

 

 

 ”お前、もう黙れよ“

 

 

 

 

 微かに見える視界が、微かに見える視界でも、その刹那の一瞬に起きた出来事が、何が起きたのか遅れて理解した。

 

 

 斬ったんだ、戌亥が、知覚出来ない速さで、一瞬で鬼の首にトグロを巻いている肉塊をバラバラにしたんだ。

 

 

 でも、もう一歩の所で鬼が避けた、殺しきれなかった。

 

 

 

「は、はは、強いし速いしめちゃくちゃだ……まあでも、頸は斬られてないし、次は殺すよ、うん、殺せるさ、何たってオレの血鬼術はーーー!」

 

 

 

 “もうお前は終わった“

 

 

 

「ーーーーーな……え?」

 

 

 

 

 夏なのに雪の降る様なシンッ……とした静寂が、聞こえた様な音がした。

 

 

 視界に見えなかった、戌亥だけが気付いてた、多分、一瞬の間の、上空からの、真上からの刃。

 

 

「雪の呼吸……肆の型 羽衣霜雪(ういそうせつ)

 

 

 トグロがなくなって無防備になった鬼の頸が斬られて、雪の様に溶けてきえた。

 

 閉じかけている視界では足しか見えない、多分戌亥の仲間だろう。そいつが、やったんだ、俺が手も足も出なかった鬼を一瞬で倒した。

 

 

 これが、鬼殺隊。鬼を殺す剣士。

 

 

 

「お待たせ……私は周囲警戒、臨花はその子の応急処置」

 

 

 ”ん“

 

 

 

 ……もう意識がもたない。

 

 

 

 

 視界が完全に閉じて意識が落ちる、その最後に聞こえた声は俺を心配する弟の声と。

 

 

 戌亥の……師範の、優しい声だった。

 

 

 




てことでミスリード、騙されたね(にっこり)
時間制限に間に合わなかったら……ンニャピ

 次回はちょっとわからない……土日までには多分出ます。
ちょっと今コメ返し出来ないけど全部見てるよ!後で返します。

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