ほな続きです……。
例え明けない夜であっても。
如何に闇深い奥底であっても、日の光は閉ざせない。
煌びやかな輝きは何処にでも存在する。
「稽葉」
「はい」
懐かしき夜、丸い月が印象的だった、そんなある日に私は、無惨様と歩いていた。
私の容姿は人と比べても遜色ない、牙が少しだけ尖ったが、それを見て鬼だと思う者はいないだろう、だからだろうか、人里に紛れる為か、無惨様はよく私を側に置いてくれた。
「この前は良くやってくれた、鬼殺隊の要である刀鍛冶の里の襲撃は奴らに大打撃だろうな」
「有難きお言葉、ですがまだ……肝心の青い彼岸花を見付けられておりません、鬼殺隊など所詮二の次、優先すべきは青い彼岸花です」
「そうだ、その通り、青い彼岸花さえ見つかれば後はどうにでもなる、お前は良く分かってる、良く理解している……くく、何か褒美でもやろうか?私は今気分が良い」
私の言葉に気分を良くしてくれたようだ、その事に嬉しい気持ちになる、この人の喜ぶ姿が好きだ、唯我独尊の様な性格は王に相応しい。
それでいて誰よりも生きる事に固執したこの方は人間らしい、人よりも、人らしい。
本当に気分が良いようで、これ程気分が良いのを見るのは久しい、それにしても褒美……。
「いえ、そんな……身に余る光栄です」
「なんだ?私の気分を否定するのか?」
「で、では……差し支えなければで宜しいのですが」
「なんだ、言ってみろ」
「手を握らせても、宜しいでしょうか」
「ふむ?まぁいいだろう、握れ」
お言葉に失礼して、手を握らせて頂いた。無惨様の手は鬼だからか、体温の通ってない冷たい手だ、その冷たい手が心地いい。
私もこの手と同じく、冷たいのだろうか?人の体温なんていらない、暖かいものは、他でもないこの方に全て貰っている。
私は人が嫌いだ、だけど無惨様は別だった、誰よりも人間らしい鬼の王が、何故だかどうしようもなく愛おしかった。
私にとって鬼の生というのは、生きるという意味に他ならなかった、生まれた時から人としての生を全う出来なかった、させてもらえなかっただからだろうか。
自分を悪だと理解して尚、無惨様がどうしようも無く、悪であると理解していても尚、だからどうした、それがなんだと心から思った。
私は悪に堕ちた訳じゃない、最初から光のない夜のように黒く染まっていた。
それはきっと無惨様も同じだと思った、私は、無惨様は、きっと誰にも理解されない。
私もきっと、全てを理解できてない、でも一人は、寂しいものだから、私が無惨様の事を何か一つでも共感できて、理解できて、想れば、それで良い。
それが不快だと言われ、死ねと命じられても、それで良い。
私は死ぬ事は怖くない、ああそうだ、きっと私はーーーこの人に見捨てられるのが怖かった。
でも、それ以上に、尽くしたかった。
「……多くの鬼が死んだ、折角の十二鬼月も黒死牟と猗窩座、そして稽葉、お前を除いて死んだ。何故だ?それ程までに強かったのか?それともお前らが弱すぎるのか?」
江戸時代、1人の特異点によって数々の鬼が死んだ、妖として名の知れた鬼も死ねば、無惨様が自ら探しになって鬼にした鬼も死んだ。
あの柱は最後まで死ななかった、それどころか無惨様の逆鱗に触れた、無惨様の血の記憶にある、
結局奴は寿命で勝ち逃げした、最悪だ、ただでさえ無惨様の怒りのやり場もなくなったというのに。
「なあ猗窩座、お前か?ああそうだ、お前だろう?この中で最も弱いのは貴様だ、なんだ?これは、説明しろ、この状況を私に説明しろ」
無惨様が猗窩座さんの体を破壊していく、壊していく、ちらりと横を見て黒死牟さんを見たが、あの人はこの今の状況になんとも思ってない、いや、心がここにない。
あの柱の男に、何か苦しい過去を思い出しているような、そんな様子で空を見ていた。
「猗窩座……猗窩座猗窩座猗窩座猗窩座猗窩座!私は怒りのやり場に困っている、貴様を殺せばこの怒りは治るか?試してみるか?猗窩座!」
ああ、お怒りだ。心底、怒っている。
あのままじゃ、本当に猗窩座さんが死んでしまうかもしれない。
……何で誰も私を責めない?どう見ても、序列的にも、実力的にも私は猗窩座さんより黒死牟さんより劣っているのに、どうしてだ?
……ああ、そうか。
でも、それでは駄目だ。だめですよ、無惨様。
「無惨様」
「なんだ、稽葉、口を挟むな、今私はーーー」
「全て、私の責任で御座います。処罰を」
空気が、シンッと静まり返った。
猗窩座さんが、私の影に何かを見るようにこちらを見ていた。
黒死牟さんが、自分の世界から帰ってきて、珍しく驚いたような表情でこの場を見ていた。
無惨様の、表情が消えた。
「稽葉、その言葉の意味を理解出来ないほど、お前は愚かではない事を私は知っている」
「……」
「訂正すると言うなら一度だけ許す、お前は私を裏切るのか、稽葉」
……ああ、やっぱりだ。
無惨様、やっぱり貴方様と私は似た者同士ですね、貴方様もそう思ってくださったのでしょうか、本当に私の事を気に入ってくれていたのですか?
弱い私を責めないのは、だからですか?
「……申し訳御座いません、無惨様」
「そうか、そうか、ああーーーそうか、残念だ、残念だよ。本当に残念だ」
肆の目に十字の傷が出来た、痛い、痛むが、無惨様は煩わしいのがお好きでないから、声を出す事を我慢した。我慢できた。
「もう良い。お前は消えろ、もう二度と顔を見せるな」
あの時庇ったのは猗窩座さんが可哀想だったから、とかいう陳腐な理由じゃない。上弦である以上、鬼である以上、自らの失敗は自らが背負うべきだ。
私もその覚悟をしていた、それでも、あの時ですら無惨様は責めなかった、あえて無視していた、お前は私のお気に入りだから、今回は許してやると、そう言われた気がした。
でもだめだ、ダメなんだ、その優しさは。
それは
他でもない貴方様だけは人間の心を理解してはいけない、ならない。鬼の王として、君臨し続けなければならない。
無惨様なら人の心を理解しても、人を殺したことに何の意味も感じないだろう、これから自分がする事に、何かを思う事はないだろう。
ただその心の芽生えは確実に貴方様を弱くする、何か何処かのその時に、貴方様は敗れてしまう。
だから私は裏切った、あの人の心を、気持ちを。
ごめんなさい無惨様、勝手な判断をしてしまって。でも何故あの時、私を追放するだけにとどめたのですか?あの時殺されても、私はそれで満足でしたのに。
「黒死牟さん?」
「ここに……いたか……ふむ」
無惨様から離れて数年、鬼の時間の感覚では短い時に、黒死牟さんはやってきた。
まさか、ああやっぱり、無惨様の怒りが収まらず、私を殺しに来たのだと思ったが、いや無惨様ならいつでも殺せる事が出来るんだったと思い、では何故?
「……刀を……稽葉、力を求めろ」
「……!良いん、ですか?前まではあんなに頑なに……」
「これもまた……一興」
あの時、黒死牟さんにどんな心境の変化があったのはわからない、でも黒死牟さんが本格的に教えてくれたお陰で私は確かに、遥かに強くなった。
黒死牟さんと同じ高みに辿り着く事は最後まで出来なかったけど、少しは認めてくれただろうか。
「……む、ざん……様?」
「久しいな、お前に頼みたい事がある、引き受けーーーいや、聞くまでもないか」
「喜んで……!」
三百年ぶりに出会った無惨様は何も変わらなかった、いや、強いて言うならばより鬼の王となってくれた。
それで良いのです、貴方様はそれで、後は青い彼岸花を手に入れて、究極の生命体になって、永遠を手に入れれば。
……貴方様は、人の想いで永遠を手に入れるような人じゃない、それはきっと、私にはーーーいえ。
何れにせよ、来るべき日が来た、なら私はそれにただ、答えるだけだ。
「……ああ」
頸が斬られた、あの赫い刀ーーーそうか、無惨様の記憶が流れる、とするなら、あれが赫刀、確かにアレは、鬼に有効だろうな。
負けたか。
何から間違えたか?最初の少年の柱相手に梃子摺り過ぎたか?
出し惜しみせず目を使えば良かったか、それともあの岩柱が来た時に、引くべきだったか?あの男もまた強かった。
反省するべき所は無限にあるが、全て終わった今、それをした所でただの蛇足か。
……ああ、死ぬ、これは死ぬな。
頸を落とされた以上、私は復活できない。
いや、
清く死のう、私はこの結果に納得している、あの少女は強かった、特にあの呼吸は煌びやかで見ていて心踊った。
月の呼吸以来の感情、中々に良いものだった。
あの最後の瞬間、岩柱の横槍がなくとも、あの一撃を受け止めきれる自信は無かった、いや、頸ぐらいは守れていたか?
……まあ、いいか。
死はいつか訪れると思っていた、それが今日だというのなら、今日なのだろう。
この命を賭して、最後まで無惨様に貢献してきたが、満足頂けましたか?……そんな訳ないか。
私は二度も貴方様を裏切ってしまった、その事が心苦しい、もし私が勝って、生きて無惨様に報告出来ていたら。
その時はどんな言葉を頂けていたのだろうか。
……消えていく。
視界を見渡す、木を背に倒れた岩柱に、必死で何かを言っているあの少女の光景が見える。
鬼の頸を落としたとはいえまだ私の体は完全に消えていない、やや不注意にかけるぞ……まあ、それをわざわざ言うつもりもないが。
私に勝ったんだ、精々生き永らえて無惨様の前で死ね。
ハッ、ふふっ……あぁダメだ、やっぱり人間は嫌いだ。
私は夜が好き、月の明かりが良い、暗い道が丁度良い、私に地獄も天国もいらない、何も無いのが心地良い。
「稽葉」
「は、はい!」
「お前の血鬼術は有能だ、それだけじゃない、お前は珍しく、私に隣に居ても良いほど私を解っている……まぁ下手に理解する程度なら殺してやるが、お前は別だ」
「はゎ……えっとその、ありがとうございます?」
「永遠は私のモノだがそれまでは側に居る事を許して良い、ありがたく思え稽葉」
「はい!」
最後に思うは懐かしい会話、鬼になって僅か数日の時の、あぁ……懐かしい。
やっぱり隣に居たかったなあ、勿体無い事しちゃった。
さよなら無惨様、天国でも地獄でもない、そんな何も無い場所に……まあ無惨様なら来ないとは思いますけど。
……私はそこに向かいます。
視界に見えていた元上弦の肆が消えた、消える最後とは思えない程清々しい表情だ、まるで勝ち逃げされたようにも思える。
……ああ、これでは何方が勝者か、まるで分からないな。
“……っ、倒したよ、悲鳴嶼さん……ッ、止血、しないと……!”
「……いや、無駄だ、この出血量ではどうにもならない、自分を優先しろ」
“そんなことない、させない!死なせない!だって……!わた、私は……ッ!”
……出血量以前にこれは、命を削った代償か、今にも泣き出しそうな戌亥の頭を、残っている方の左腕で撫でようとして、まるで動かない事に気付いた。
”……っ、ごめん、なさい、悲鳴嶼さん……っ、わたし、私、が……っ!もう誰も、死なせたく無いって、なのにっ……っ!“
「良い、元より短い命。これもまた定めだろう」
”そんなことっ、ない!だって悲鳴嶼さんなら、きっともっと長く生きてた!“
「……ふ、そうでもない。私の肉体でも、痣者である以上……いや、よそう……そんな話は今は良い」
心苦しく思うかと言われれば、そうだと答えよう。
この先、私の代わりに成り得るのはきっと煌柱を除いて、戌亥臨花を除いていないだろう。
私と同じように痣者、今回、二度の痣の発現で感覚は掴めただろう、それはつまり痣者として完成したと言う事に他ならない。
それから透き通る世界、あれもまた短時間とはいえ、習得してみせた、痣を発現できるようになった今、透き通る世界に入る持続力も増したはずだ。
それから赫刀、あれは、握力か?とてつもない力がいるのだろうな、それこそ痣を発現できなければ、成し得ないのだろうか?
……上弦の弍を追い詰めたという報告を聞いて、薄々思っていたのだ、次世代の、今の柱達を引っ張っていくのは、彼女なのではないかと。
その予感を確信に変えてくれた、この少女にならーーー後は任せられる。
「
”ぁーーーーっ、はい……っ“
「後は託す、お前が柱を引っ張っていけ、一人で出来ない事は皆を頼れ」
”わたし、できないよ……っ、悲鳴嶼さんの代わりなんていないんだよっ……!“
「いいや、出来る。私は臨花を信じている……君は強い子だ」
……そろそろ眠くなってきた。
後悔はない、私の命で目の前の少女の命が守れたと言うのなら、それで良い、後世に命を託すのが柱としての責務でもある、強いて言うのならば、お館様より先に逝ってしまう事か。
”……っ、やだ、そんなーーーっまた、また……ッどうして、いつも……っ“
「ーーーーー臨花、柱としての責務を」
”っ……ぅ、うぅ……わかり、ました、必ず、必ず私が……っ、私達が鬼舞辻無惨を倒すから……っ!“
嗚呼、それは何とも頼もしい。
……ああ、おまえ達。
そうか、そうだったのか。
ああ。
行こう……
1月冬。
元上弦の肆 稽葉 討伐。
岩柱 悲鳴嶼行冥 死亡。
その報告は多くの鬼殺隊士が衝撃を受けた、討伐した事による賞賛の声よりも、岩柱が死んだと言う衝撃の事実が。
長らく柱として活動していた彼の男は多くの命を救ってきた、多くの鬼殺隊士から頼りにされていた、それは同じ柱達にとってもそうであった。
「……そんな、悲鳴嶼さんが……っ」
一人は、自身と姉を救ってくれた恩人が殉職した事に涙を流して。
「へぇそうかい……まさか、あいつが」
一人は最強であった岩柱の死に、心底驚き眉を顰め。
「……そうか」
一人は静かに追悼し、暫く立ち止まった足を進める。
「師範、悲鳴嶼さんが……っ!」
「うむ、よもやよもや……だな」
まさかの報告に師弟はいつもの元気は鳴りを潜め。
「……醜い鬼共は俺が殲滅する」
一人は鬼に更なる憎しみを繰り広げ。
「そんな……っ、師範がいて、それでも……!」
「……あの人の分まで強くなるぞ」
二人の兄弟はただ自分達の実力不足を痛感し。
「俺は……信じない……ッ、くそっ……!」
そしてあの戦いを経験した彼もまた、兄弟以上に深く後悔した。
彼らは思い思いに考えを、言葉を発して、だがほぼ全ての鬼殺隊士、柱達は皆、岩柱の死を悼んだ。
元上弦、それであっても鬼殺隊最強の男の死が無ければ、勝ち取れなかったというのかと、そう言葉にしながら。
「……そうか、上弦を討伐したか……!形勢が、流れが変わった!100年以上変わらなかったものが漸く変わろうとしている!良くやった、臨花、行冥……ッ、すまない、行冥、君を先に逝かせて」
産屋敷耀哉は喜びを口にしながら、僅かに声の明るさを落とす。
産屋敷耀哉にとっても、悲鳴嶼行冥とは鬼殺隊士の中で唯一と言って良いほど長く関わった隊士だ。
未だ病が顔に訪れていない時に出会った、戦友。
胸に悲しみの念と、自分の直感をもう少し信じ、更に柱を助けに向かわせればと思わずにいられなかった。
「臨花は?」
「カァッ、痣を発現ーーー!一週間の治療ーーー!」
「そうか……っゲホッ……ッ、痣を、そうか……行冥、そういう事なんだね、なら……私も、応えないとね、君の気持ちに……想いに」
「悲鳴嶼さんが、あの人が?嘘でしょ……そんな……っ、臨花は?」
真菰は燃えた家の処理をした後、警察の調査を開始、鬼の仕業だと理解し、臨花の助太刀に向かおうとしたのを、待機命令によって待機していた。
お館様の先見の明は知っている、きっとその判断は正しい事も理解してる。
それでもこんな事なら、命令に背いてでも行くべきだった、ちくしょう。そう思わずにいられなかった。
「キィ、無事。キィ、蝶屋敷、しばしの休養」
「ーーー柱が減った、やっと揃ったのに……今柱になれるのは私を含めて三人、でも岩柱の、悲鳴嶼さんの代わりは誰にも出来ない、あの人の席を埋めたくない……」
熟考、それは真菰にとって珍しく、そしてこういう時は何度も考えても答えは出ない。
「……今は、臨花の様子を見に行かないと」
岩柱、悲鳴嶼行冥の死は、鬼殺隊の混乱を招いたのは確か、だが訓練され、いついかなる時も覚悟していた彼らは三日もすれば完全に平日に戻る事が可能だった。
問題は柱の方だった、今いる柱の全てが柱を纏めるものとして相応しい、鬼殺隊最強として見ていた、圧倒的支柱が居なくなったのだ。
今後一体どうなるのか?お館様の判断を待つ他ないが、浮き足立つのは造作も無い事。
そんな状況が一週間続いた後。
「伝令!伝令!カァ!炭治郎、禰豆子、両名ヲ拘束!本部へ連レ帰ルベシ!」
遂に、邂逅を果たそうとしていた。
ベンッ!
琵琶の音が聞こえた。
無限城……無惨様の招集か?
「また……腕を上げたか……猗窩座」
「ッ……上弦の壱」
……待て、こいつだけか?無惨様は要の無い時に呼ばない、上弦の招集じゃ無いのか?
一体何だ、こんな事は極めて稀ーーーいや、これは。
「……無惨様が……お見えだ」
気配のした方を振り向けば、そこには無惨様がいた。
「累が死んだ」
「もはや十二鬼月は上弦のみで良い、下弦は解体する、アレらはもう必要無い」
開口一番のそう仰った、それには大いに賛成、肯定だ。弱者は死んだ方が良い、下弦などその典型的な弱者、成長の見込みもないクズ共。
「これについてはもう既に終わらせた、貴様らを呼んだのは別の議題だ」
「……」
……なんだ?
一瞬の間、何か思う様に目を閉じた後に、無惨様は口を開いた。
「稽葉が死んだ」
その言葉に、あの黒死牟がやや目を見開いた、この男が表情を変えるとは、最後に見たのは三百年前か。
「二度も私を裏切った。馬鹿な奴だ、だが私以外で私を最も理解していた鬼だ、貴様らより余程な、気に入っていた」
……稽葉、そうか。あの時の女。
死んだのか。
妙に体が震えた、これは怒りか?俺が、何故?
「……過ぎた事はもう良い、猗窩座、お前はさっさと青い彼岸花を探せ、まだ江戸の頃の稽葉の方が役に立った」
「っ……は」
「黒死牟、洗柿色と薄桜色の小紋羽織の柱を探せ、それから耳に花札のような飾りをつけた鬼狩りもだ、見つけ次第殺せ」
「御意」
ベンッ!
ベンッ!ベンッ!
琵琶の音が鳴り響く。
琵琶女ーーーー鳴女を除いて、この空間に居るのは鬼舞辻無惨、一人だけになった。
「ふん、らしくもない」
胸の膨らみに入れていたモノを取り出す、三百年前から思えば無意識に入れていたモノだ。
無限城に飾り付けられていた机に、丁寧にそれを置き、鳴女に合図をして元の拠点に帰る。
「お前は死んだ、私は思い出を残さない。これでさよならだ、稽葉」
江戸時代、戯れで買った物だ。
「次に成果を上げれば髪飾りをやろうか稽葉、お前は前髪が少し長い」
「それは、とても嬉しいです……!必ずや貴方様に良い成果を上げてみせます」
それは鬼が大勢死に、十二鬼月を再度補充しなければならない事になる前の、前日だった。
私も人であったというのか、私が?
最も永遠に近いこの私が?
あり得ない、そんな事は認めない、ただの気の迷いだ。
私は人を超えた、究極の生物に、永遠に最も近いただ一人だ。
そうだろう?
そして。
柱合会議が始まろうとしていた。
悲鳴嶼さんはかな〜り好きなキャラですがそれはそれとして鬼滅の刃の世界は普通に無常なので……はい。
全生存とは一言も言ってないからね(ワニワニパニック)
てな事で一段落したので一週間ぐらい休憩します、多少はね?
ほな一週間後のどこかで会いましょう。