正義を背負いたい   作:衛鈴若葉

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根性の三回目、どうかお付き合いください。
『正義』って何?と設定はほぼ同じです。
ストーリー展開は結構違うものにする予定です。
かなりの不定期更新になりますがよろしくお願い致します。


転生

白磁を思わせる白い肌に白雪のような白い髪。

薄く濁った赤い瞳は誰も寄せつけない冷徹な雰囲気を醸し出している。

身に纏うドレスには鎧のような部分があり、胸には林檎を思わせるブローチをつけている。

短くまとめられた白髪には薔薇のような髪留めが使われている。

持っている大鎌はそんな彼女には大きすぎるほどのものであり、身の丈ほどの大きさがある。

金属製のそれを軽々と片手で持っているのは流石としか言いようがない。

 

「‥‥‥どうしてこうなった」

 

いつもならば凛々しい声であるのだが、今は弱々しく保護したい欲に駆られるくらいのものだ。

木陰にもたれるとそのまま腰を下ろし頭を抱えてそんな弱々しい声を発している。

周りは人の気配のない森林なので自分の今の姿を忘れて吐露できる。

そんな環境は彼女、というかどちらで呼んだらいいのだろうか。

彼女か彼か、それとも元の名前か身体の名前か。

戸惑いか寂しいか不安か、それとも苛立ちか。

 

どうやら今この身体に収まっているのは所謂転生というものらしい。

転生というジャンルは幅広いが、憑依ではなく転生だ。

送られた世界は【シノアリス】ではないと断言されてしまっているからである。

それに色々感覚も変わっている。

ここに来て一日が経ち、当然のことに排泄行為をするのだが全く恥ずかしくなかった。

それに栄養補給、つまりはご飯なのだが何を食べるのにも嫌悪感がないのだ。

妻はいたがさすがにその場に出くわすのは気まずかったし、あの行為も晩年はほとんどしなかったし、ご飯に関しても好き嫌いは多い方だった。

漬物や梅干しは大好きだったけどね。

今のところはこれだけではあるが、戦闘方面でも変わっているところはあるだろうか。

不安なところは目白押しだが今気になるのは会った男のことである。

この体になってからではなく、転生する前の魂の状態で会った。

なんとまあ軽薄そうな男であったことは覚えている。

肝心の会話内容やここに来る経緯は、残念ながらだが覚えていない。

ただ二つ分かるのは男自身はこの世界に訪れていないこととあの男が体を選んだことくらいだ。

 

なにか恨めしいものを感じるがそれはそれとして上を見るとすっかり星が輝く夜空が見える時間帯になっている。

異世界なら、と周りを警戒しようとするがそれを諦めるくらいには瞼が重くなっていた。

 

「ねむい。きれいな、夜だな」

 

糸が切れたように体は動きを止めて寝息が漏れる。

スー、という寝息と端正な顔つきは美しいものであり、人形と思えるものだ。

 

『‥‥‥』

 

「‥‥‥んぅ」

 

『‥‥!』

 

寝息を漏らすと何かは身を震わせる。

血溜まりのような場所から現れた何かは幸せそうにスノウホワイトに頬ずりしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「‥‥‥ん、もう朝か」

 

寝て覚めて、重い腰を何とか言うことを聞かせて立ち上がる。

体は重いが寝起き特有のものだろう。

この体、【スノウホワイト】というキャラの悪夢は見なかったようだ。

特に倦怠感も汗も滲み出てはいない。

空を見ると太陽は登っているようだ、木々に隠れて太陽は見えないが。

 

「重っ‥‥‥」

 

木に立てかけていた大鎌、正式名称は【正義の大鎌】といったか。

この姿は【パラディン】という【ジョブ】である。

【スノウホワイト】の数ある姿の一つといったところだろうか。

ゲームでは様々なジョブがあって、その全てがなんと華麗であったことか。

私が一番好きなのは【―Mizugi―】と【パラディン】である。

 

「‥‥‥ん?」

 

一夜寝るとさすがに気分は良くなり、困惑もなくなってくる。

夢ではなかった、そんな事実も現実逃避なしに受け止めきれた頃だろう。

 

『‥‥‥』

 

ドラゴンがそこにいる。

一言も発さないが紛れもなくドラゴンだ、緑色の体躯は直に見ると自然を思わせてなんとなく神秘的に感じる。

スノウホワイトを襲うでもなくただいるのは何故だろうかと考えるとひとつ思い出す。

【リントヴルム】という名前のナイトメアがいたなと、そして目の前のドラゴンは非常に似ていると。

というか同じ個体としか説明ができない。

爪に血がついてるし口周りにもよく見たら血がついている。

寝てる間の護衛をしてくれたのだろう、そうだとしたらありがたい話である。

 

「ありがとう。戻ってくれ」

 

感謝の言葉をしっかり伝える、これ人間として大切なこと。

相手が誰であろうと感謝の気持ちと言葉は忘れてはならないのだ。

リントヴルムはスノウホワイトの言葉を聞くと血溜まりのような場所に帰っていく。

その向こうはスノウホワイトがいるはずの【ライブラリ】であろうか。

偽物が行ったとしても意味はないので関係のない話だが。

 

「顔、洗いたいな」

 

リントヴルムに出会って眠気は消し飛んだ。

驚く素振りは見せていないのは一概に眠気のせいである。

そして泉などの水場があるなら顔を洗いたいし水浴びでもしたいものだ。

毎日風呂に入っていた私としては少し気持ち悪い。

 

「お腹が、減ったな」

 

動物でも狩るかと思い立つ。

とはいえ昨日からこの辺りで動物を見ていない。

強いて言えば先程リントヴルムを見たくらいだがあれは例外だ。

取り敢えずこの深い森を出なければならない。

 

少しの欠伸とと共にスノウホワイトは適当な場所へ歩く。

木々は標準ほどの高さであるがそれでも陽の光を阻害する程に密集している。

木々の間はスノウホワイト数人分でかなり狭い。

大鎌で木を切らないように注意しながら抜けていくことにする。

少し前に派手にぶった切ってしまったためだ。

ろくに整地されていないためか草木が進路を妨害する。

それは切って進路を確保しながら見通しの悪い森を進んでいく。

 

「あった」

 

特に何もないまま進んでいくと小さな水場を見つける。

歩き出して数時間か、まだ太陽は真上にあるようだ。

水場の真上には日光を遮るものは存在せず、そこから見えた。

 

心が躍った。

温泉ではないことに少し憤ったがそれはそれ、水浴びでもそれはそれで良い。

サウナの後の水風呂とでも思えばいいだろう、それに顔も洗える。

よし、と小さくガッツポーズをすると服を脱ぎだす。

自分の身体だ、そんなに羞恥心はない。

 

 

 




スノウホワイトはオリ主です、本人が降ってくることはありません。
オリ主はスノウホワイトっぽく振る舞いますがあくまで偽物です。
他のシノアリスのキャラを出すことはあっても全員偽物です。
あと、オリキャラが反則級に強いです。
それでも良かったら付き合ってくださいね。
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