仮面ライダー×仮面ライダー ゼロワン&ジオウ NOVELIZE大戦 BEGINNING FUTURE   作:ホッケ@ががばばの謎

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仮面ライダーゼロワン 第0話 「ソレがオレの名」
SIDE ZERO−ONE①


ーー「デイブレイクタウン」

 

2019年から遡って十二年前、その日常性を失い、今では専ら「負の世界遺産」扱いされている廃墟。

 

ここはかつて、AIテクノロジー企業「飛電インテリジェンス」が製造する、職業従事に特化した人工知能搭載人型ロボット「ヒューマギア」が世界で唯一稼働する試験都市であった。

飛電インテリジェンスを筆頭に様々なテクノロジー企業がまちづくりに参画し、明るい未来を創り上げる第一歩になると期待されていた。

 

 

 

···その郊外にあるヒューマギアの製造工場、そしてヒューマギアを制御するための衛星の発射台を中心として発生した大爆発さえなければ。

 

 

 

のちに「デイブレイク」と呼称されるこの爆発事件をきっかけに、飛電インテリジェンスはヒューマギアの普及と世間の信用回復に途轍もない時間を要した。

爆発の際に大量の川水が流れ込んだため、今では街は川水で出来上がった湖の水底に沈んでいるという悲惨な現状で、現在では専用の区域で仕切ることによって外界とは明確に隔離されている···のだが。

 

 

そんなデイブレイクタウンの一画にある工場跡地に···機械音が響いた。

 

 

入り組んだ跡地の更にその一画。

まるで誰かが住んでいたかのような痕跡が残っている。

幾つもある家庭用より一回り巨大なコンピュータ。

まるで何かを内部に保管するために無理矢理備えられた縦長のケース。

ところどころにかけられた布。

埃を思いっ切り被っている紅色のソファ。

壁にぶら下がる、三葉虫を想起させる紋章の上から十字に配置された「滅亡迅雷」の文字。

そして、爆破によって無理矢理開けられたような痕のあるコンクリートの壁のその奥。

テーブルと、先端が銃口のような二本のアーム。

 

コンピュータにパッと浮かんだ「START  BUILDING」の文字とともに、何かの設計図が映される。

その図面は、人型の機械ーーヒューマギアの素体が描かれている。

連動し、二本のアームから蒼いビームが放たれる。

一方は先程に設計図に沿ったフレームを映し出し、もう一方が実際にそのフレームに肉付けする。

床に張り巡るワイヤーが不気味に淡く輝き、何かが送られるかのように光が胎動する。

 

 

作業が終了すると、生成されたのはレザージャケットを羽織った男性ーー正確には、耳元にはヘッドホンの耳当てサイズの機構が備わっているーーだった。

耳元のモジュールにリング状につけられたLEDが不気味な紫色に染まると、今度はそのすぐ側で布と二つの妙な造形の機械が生成される。

布には小さな六角形が連続してプリントされており、どことなく機械が生成したにしてはボロい感じがする。

 

一方の機械には槍を振りかざさんと駆ける人間の絵が彫られた、やや暗い蒼色の長方形のもので、

 

 

「AVENGING HUMAN ABILITY:ARMS」

 

 

···と英文が彫られている。

 

そしてもう一方は、正面から見て左下部にフック型のレバーが取り付けられた銀と紅のもの。

 

やがて、その瞼の奥にある蒼い瞳が輝き、男は目を覚ました。

その瞳がパッと紫色に変わると、口を開く。

酷くノイズ混じりで、まるで複数の人が文字通り異口同音を奏でるようだった。

だが、その中にはっきりとした声が一つだけある。

 

 

 

 

それは、何処か慈しみのある声···

 

 

···いうなれば、「子を持つ父親」のような声だった。

 

 

 

 

『ーー『アークの意思のままに』···!』

 

 

 

水面下で、紅い光が不気味に広がる。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ーー飛電インテリジェンス·社長室

 

「···うーん······うぅぅぅん············」

 

未来感ある真っ白尽くめな部屋の中で、まだ幼さが残る顔付きの青年が唸っている。

 

『ドウかされましたか、『或人』社長?』

 

碧色のラインが入った白いスーツを着用している女性ーー秘書型ヒューマギア「イズ」がその青年に問いかける。

 

青年ーー飛電インテリジェンス代表取締役社長「飛電或人」はなおも思い悩んでいた。

「うぅぅぅん······」

『ーー先日の会見、気にしていらっしゃるのですか?』

「······そうなんだよねぇ···」

 

先日と言えば、飛電インテリジェンスが開いた緊急会見での一件。

ヒューマギアが強制的にハッキングされ変貌した怪物「マギア」を生み出していたサイバーテロ集団「滅亡迅雷.net」に終止符を打った矢先のことだった···。

 

「ヒューマギア廃絶」を訴えているライバル社「ZAIAエンタープライズ」日本支部のCEO······「天津垓」が言い放った、飛電インテリジェンスのTOB(株式公開買付け)宣言。

ヒューマギア対人間による会社と自身の夢が懸かった勝負を前に···或人は悩んでいた。

 

「ああ、一体何が起こるんだか···」

 

 

 

考えるべきは、「いかにして立ち向かうか」ではないのか?

 

しかし、自身の夢はそれを許すだろうか?

 

 

 

 

「人間とヒューマギアが共に笑える世界を創る」

 

 

 

 

······先代社長、自身の祖父「飛電是之助」が掲げ、そして自身も叶えたいと思った夢。

 

そこで、ふと思った。

 

 

 

「ーー『父さん』は······どう思ったんだろ·········?」

 

 

 

「飛電其雄」

或人の父親···否、父親代わりの男。

彼の父親は·········彼が生まれるずっと前にこの世を去っている。

その本当の父親の名は···

 

 

 

「飛電其雄」

 

 

 

無論、ふざけて言っているのではない。

その疑問に対して、凡そこの一言で片がつく。

 

「或人と共に暮らしたのは、()()()()()()の『飛電其雄』である」

ということ。

 

ヒューマギアに関連した法律が施行される前···デイブレイクが起きるずっと前。

ヒューマギアである「其雄」は亡くなった本当の父に代わり、父親型ヒューマギアとして製造されたオーダーメイドである。

或人は思い返した。

「父」と笑い合おうと奮闘した、あの懐かしき日々を。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「見てて、今度こそ父さんを絶対に笑わせるから!」

 

「父」は、どれだけ面白いと思ったことをしても、「心から」笑うことがなかった。

 

「···無理だよ······何度やっても同じだ」

 

でもそれが、彼自身の夢の糧になった。

 

「絶対笑わせるもん!」

 

彼は社長になる前、「お笑い芸人」を目指していた。

人々を笑わせるために···いつか、その笑い声が世界中に響くために。

···もっと、彼のセンスは何処かズレていたが。

 

「はい、アップップー!」

 

ーーそれでも、「父」は顔を歪めなかった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

特徴的な電子音が響いた。

イズは耳元のモジュールに手を当て、何か焦るような表情を浮かべた。

 

ーー現時点における最新型のヒューマギアは、「父」よりも感情豊かに見える。

 

「(!···いやいや······)」

或人は頭を小さく揺らす。

「どうしたのイズ?」

 

『ーー『マギア』が出たそうです』

 

「!!···行こう!」

『承知しました、或人社長』

或人は、黒と黄緑の妙な機械とともに社長室を出た。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ーー連続した銃声が響く。

機械仕掛けの人影が街中を荒らしていく。

 

「トリロバイトマギア」

いわゆる戦闘員であり、マギアが近場にいたヒューマギアに有線接続することで生成する。

つまり、その近くに生み出した親玉がいることを指す。

 

或人が駆けつけた。

「···イズ、避難誘導と救助を!」

『承知しました』

イズを怯える人々の下へ向かわせると、或人は先程の機械ーー「飛電ゼロワンドライバー」を腰に装着する。

 

《ZERO−ONE DRIVER!》

 

すると、彼の意識が一瞬落ちる。

 

目を開けてみれば、大量の0と1が飛び交う白い空間内にいる。

 

「衛星ゼア」

飛電インテリジェンスが製作したAIの中でも最高クラスの演算能力を持つ「ザット」をその身に宿した巨大衛星。

彼の精神はゼアと接続され、ヒューマギアクラスの思考速度を発揮できる状態に入った。

 

その光景もほんの僅か、気がつけば目の前には現実が広がっていた。

トリロバイトマギアが取り囲んでいる。

彼は懐から、長方形の黄色い物体を取り出す。

その表面には、

 

「RISING HOPPER ABILITY:JUMP」

 

という英文と共に、バッタの横顔が彫られている。

 

《『JUMP』!》

 

上部にあるスイッチを押し込むと、「跳躍」の電子音声と共に発光した。

そして、ドライバーを右側にある、円形のユニットにそれーー「プログライズキー」をかざした。

 

《AUTHORIZE···》

 

「認証確認」のアナウンスと共に、衛星ゼアの中心部から光柱が或人目掛けて降り注ぐ。

光柱は、黄色いサイバーライン走る銀のバッターーバッタのデータを秘めし者「ライダモデル」へと変化した。

それは、キーに秘められた力を解放するための承認が下された証。

或人の周りを跳び回り、地面を轟かせてトリロバイトマギアたちを退けていく。

淡青色で横広の紋章が或人の目の前で展開された。

キーを持った右手を、何も持ってない左手と同様正面へ回転させ、腕をクロスする。

その表面を、右腕を外側へ振り伸ばす勢いと親指で滑らせ展開させる。

名の通り「鍵」の形となったキーを構えた。

 

そして、彼は叫ぶ。

己を変えられる「言葉」を!

 

 

「ーー変身!!」

 

 

キーを、ドライバー右横のスロットへと叩き込む。

ドライバーの正面装甲が左側へとスライドし、中心部で新たにサークルを創り上げた。

中心部には、キーと同じバッタの横顔が描かれている。

 

《PROG−RIZE!》

 

同時に紋章が或人の身体を突き抜けた。

紋章は全身を包み、六角形の連続する模様輝く黒地に白と赤のラインが走るボディスーツを構築した。

周りを跳び回っていたバッタが或人の頭上でその四肢、胴体、頭部を分断する。

それぞれがそれぞれの対応する部分へ、DNAのらせん構造にも似た光を送り込み、黄色い追加装甲を形成した。

スポーツ製品を彷彿とさせる、清涼感のあるシンプルな装甲が陽の光を受けて輝く。

その紅く丸い目が輝き、ドライバーが叫んだ!

 

 

《飛び上がRISE!

 

『RISING HOPPER』!!

 

A jump to the sky turns to a RIDER KICK.(空へ跳躍し、ライダーキックを決めろ)−》

 

 

 

彼は···彼の名は······「仮面ライダーゼロワン」

 

令和の新時代を駆け、0と1の電子世界を「跳び上がるバッタ」の超戦士!

 

彼はドライバーから飛び出すらせん状の光を右拳に宿した。

その光が、アタッシュケースにも似た何かを生成する。

その下部を掴み、回転させて上へと引き上げる。

 

《BLADE−RIZE!》

 

変形したアタッシュケースーー「アタッシュカリバー」の銀色の刃が輝く。

或人/ゼロワンは黄色い軌跡を描き、周りにいるトリロバイトマギアたちを次々と斬り伏せていく。

トリロバイトマギアたちは発砲する暇もなく火花に包まれていく。

何体かはナイフを持って斬りかかるが、その太刀筋を見切ったゼロワンの軽やかなステップの前で空振る。

逆に、秘めしバッタの能力による大跳躍、そして見上げた者たちの胸部に次々と突き刺さる蹴りによって爆散した。

 

「···?······何処にいる?」

 

全個体を処理し切った後、ゼロワンが辺りを見回す。

······いない。

 

親玉は何処へ?

 

【ズガガガガガン!】

「!?···グッ!」

再び銃声が響く。

そしてゼロワンの装甲に火花が咲く。

その最新鋭の鎧が銃撃程度で崩されることはないが、同時に無数の衝撃が襲う。

衝撃に耐え切ると、再び辺りを見渡す。

 

「(何処だ、何処だ!?······ん?)」

影が見える。

ボロボロの黒フードを被った何者か。

見れば、トリロバイトマギアが使っていたライフルを降ろしていた。

目が合う瞬間すぐに消える。

「待て!」

声が虚しく木霊した。

 

【ーーーーーーーーーー】

「グァ!?···グッ、ウォォ!?」

 

ノイズ音···否、「悲鳴のような音」が響いたーーそれも頭に直接、流れ込んできて。

「アァ、アッ!···アァァァァ!!!·········ハァ、ハァ、ハァ······」

鼓膜が破れるかと錯覚するほどの「悲鳴」がようやく引く。

···頭にまだ残っている。

「···ウッ···さっきの奴の仕業か···!」

頭を抱えながら、もう一度辺りを見渡す。

見れば、ゼロワンの背後を陣取っていた。

 

「···お前は···誰なんだ······人間か!?

 

···それとも······!」

 

すると、黒フードの何者かは答えるように何かを取り出す。

···それは、デイブレイクタウンで生成されていた、例の銀と紅の機械。

 

「滅亡迅雷の!?···いや、色が違う···!」

その正体について心当たりがあったようだが、また何かが違うということにも気づいたようだ。

 

『···ア······の······の···ま···に······』

 

ノイズ混じりの声が響く。

「······何だ···?」

 

 

 

『···アー···の···し···ままに······

 

 

···アー···のい···の···まに······

 

 

ーー『アークの意思のままに』······!』

 

 

 

《CYCLONE−RIZER!》

 

その機械ーーかつて滅亡迅雷.netが使っていたライザー···「滅亡迅雷フォースライザー」に似た機械が腰に叩きつけられた事で起動した。

 

「!?······そ、んな······!?」

ゼロワンは狼狽えた。

「ライザーに反応した?」···否。

 

彼は、その「声」に反応した。

 

そして黒フードは、紅色の何か···

 

ーー「プログライズキー」を取り出す。

 

「何だ!?···あのプログライズキーは!?」

 

《『ARMS』!》

 

「武装」を意味する電子音声がコールされ、黒フードはキーを持つ右腕を上にして左腕と交錯させる。

両手を内側に向けるように回し、その右腕を斜め左上へと伸ばす。

そして、そのノイズ混じりの音声で告げた。

 

 

 

 

『···変······身···』

 

 

 

右腕を素早くライザーの右横へ持ってくる。

キーを差し込めば、そこから風の唸りにも聞こえる電子音声が流れ始める。

蒼い暗雲立ち込める竜巻が吹き荒れ、辺りに蒼い紫電が走る。

同時に、ライダモデルと同じ造詣が施された、幾人かの「人間」のようなものが槍を構えた。

「···!?」

或人は絶句する他なかった。

 

黒フードはライザー下部のフックに指をかけ、無感情に引く。

瞬間、キーに電撃が走る。

ライザーがキーを無理矢理にーー本来なら、正規の手順を踏まなければ展開できない設計をなされているのを意図的に無視しーー展開しようため、装填ユニットから計り知れない剛力をかける。

キーはその根比べに敗れ、内部データを無理矢理に吸い取られていく。

それを表すかのように、ライダモデルたちが四方八方にやたらめったら暴れまわっていた。

 

《CYCLONE−RIZE!》

 

ユニットが展開し切ると同時に、蒼い暗雲が黒フードに吸い込まれると、黒フードはどす黒いスーツのようなものに包まれていた。

同時にライダモデルにケーブルが接続される。

···無論、そのケーブルは黒フードの下から伸びていた。

ライダモデルたちがケーブルが接続された箇所を必死に掻きむしっているように見えたが、ライダモデルたちが抵抗虚しく黒フードの下へ引っ張られると、その身体が分裂·集合を繰り返して幾多ものブロック状に分かれたいくつもの装甲を創った。

···その装甲がケーブルごと吸い込まれ、スーツへと接続するとともに、暗雲が放たれ蒼い旋風が吹き飛ぶ。

 

全身に張り巡らされたケーブルの上に接続されたブロック状に分かれるいくつもの装甲···その両脚部は剣の如く鋭く刃が備えられ、両腕部には銃口のような意匠が見える。

背面にマウントされた巨大な槍の先端が鈍く輝く。

その胸には、何らかの機構が備わっているであろうサークル状の一体ユニットとなっている。

その顔は、人間の顔をより立体的に、より鋭角化させた造形で、血走ったように真っ赤な眼がその殺意を迸らせる。

 

そして···ライザーが狂うように叫ぶ。

 

 

 

《『AVENGING HUMAN』!》

 

 

 

「復讐せし人間」を象る戦士が生まれた。

 

その名は···

 

 

 

『···『仮面ライダー讐』······

 

 

 

『ワレワレ』は···『人類』に復讐する···!!!』

 

 

 

「···復······讐······!?」

 

「仮面ライダー讐」

黒フードはそう名乗る。

「···な、なら!」

ゼロワンは固まった身体を無理矢理動かし、新たなキーを取り出す。

表面は黄金色、そしてーー

「SHAINING HOPPER」と彫られたものを。

 

《『SHINING JUMP』!》

 

 

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