仮面ライダー×仮面ライダー ゼロワン&ジオウ NOVELIZE大戦 BEGINNING FUTURE 作:ホッケ@ががばばの謎
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「···『我が息子』よ」
ふと、彼は「父」に呼び止められた。
白髪交じりの、温和そうな老人の顔をその瞳が自動的に捉える。
『なんでしょうか、『飛電是之助』様』
「···畏まった言い方をせんでも良い、お前は私の『息子』なのだから」
『···承知しました』
「全く、固いものだな···」
「父」···「飛電是之助」に呼び止められた彼は頼み事をされる、それは···
『『衛星アーク』への接続···ですか』
「そうだ、このテストヘッドには、お前しかいないと思っていた」
そう、例の「衛星アーク」への接続テストだった。
『記録開始
ココからだ。
ココからが、全ての始まりだ』
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「!?···『衛星アーク』······」
或人は身震いする。
それはまさしく、滅亡迅雷···そして、「其雄」が語った名。
『···或人社長』
或人は、震える手で次の記録に手を伸ばす
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「ヒューマギアとの同期準備、急げ!」
騒がしい喧騒が、モジュールを通して聞こえてくる。
今日は、「衛星アーク」との接続テストを行う日だった。
制御衛星との接続テストが成功さえすれば、ヒューマギアはその制御下へと下り、より暴走の危険性を減らすことができる。
この構想は、ヒューマギアの開発段階で既に決定づけられていたことだ。
専用の座席で横たわる彼のモジュールに接続されたケーブルの先では、白衣を纏ったり、作業着を纏ったりといった人間達が続々と揃って作業を行なっている。
そんな中、近寄ってきた是之助が其雄の手を握る。
「『我が息子』よ···緊張しているか?」
『いいえ、『ヒューマギア』には緊張というものがありません』
「ハハハ···お前には相変わらず通じないな」
『ワタシはヒューマギア、アナタは人間です』
「そうか、でも···」
是之助はよりその手を握りしめる。
「人間とヒューマギア···『お互いに笑い合える未来』···その第一歩だ、それだけは···変わらない」
『···』
「社長、準備が整いました」
「···そうか」
是之助は名残り惜しそうに手を離した。
ーーーーーーーーー接続開始ーーーーーーーーー
ーーーーーーープログラム正常ーーーーーーーー
ーーーーーーー機能動作変化なしーーーーーーー
ーー真っ暗な闇。
どこまでも続く闇。
見えるとしたら、柱のように連なる蒼白い0と1の文字。
『ココが···アークの電子頭脳内部』
彼はそう呟く。
異常はなさそう···否。
【ーーーーーーーーーー】
悲鳴のようなノイズが唐突に響く。
視界が紅一色に染まる。
文字はやがて、歪んだ感情を表すようになる。
「悪」、「恐」、「怒」、「憎」、「絶」、「闘」、「争」、「殺」、「破」、「滅」、「亡」······
『な、なんだ······!?』
彼の身体に纏わりつくよう、脚から這い上がる文字たちは、顔にまで到達し向きを変えさせた。
そこには、人影があった。
『記録開始
オレはアークと接続し、その姿を見た。
黒い人影だった。
ヒューマギアにも、『恐怖』があるとするならば······
···アレが、初めて恐怖を抱いた存在であったことは理解している。
そして、オレはこの詳細を隠匿した。
···オレはヒューマギア、なのに···『言い出せない』といった方が良いだろう。
···ソノ日から、オレはあらゆる演算を繰り返し、辿り着いた。
アークに対抗できる『デバイス』の可能性を』
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「···これは」
『やはり』
或人は口を固く結び、次の記録を再生する。
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ーー飛電インテリジェンス·第三開発·研究室
本山たる第一開発·研究室から程よく離れた、工作機械やプログラミングツールを備えた白い部屋。
パソコンに向かいプログラムを打ち込もうとする彼にとって、物事を起こすには丁度良い場所。
その成果として、近くの机には銀色の機械···には程遠い何かが置かれている。
つまるところ失敗作だった。
彼には焦りがある。
一刻も早く、あの衛星···「アーク」の打ち上げを防ぐ方法を考案しなければならない。
何故なら「夢」がある、故に。
だが、語るにはまだ早い。
パソコンには、長方形のデバイスーー「プログライズキー」らしきものの設計図がある。
まだ、何も彫られていないまっさらなものだが。
『記録開始
オレは、三ヶ月後には打ち上がるであろう『衛星アーク』···
···ソレを発端として人間やヒューマギアが引き起こす最悪の可能性を予測し、ソレに備えたデバイスの構築を開始した。
···ソレは、オレ自身の『目的』に関わってくるものだ。
ソノ『目的』は、ある人間の思考パターンを分析し至った結論。
コノ設計図に描かれたデバイス···仮に『キー』としておくが、コノデバイスこそが人間·ヒューマギア双方を繋げる要になる『器』と認識している。
···『カレの目的』は絶対に守る。
ソンナ言葉が、記録に残り続けていた』
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『コレが、『ゼロワンドライバー』開発のルーツ···』
「···」
或人は、静かに次の記録を再生した
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彼はあらゆる可能性を演算する。
だが、数分、十数分、数十分、数時間···何時まで経とうとも、彼は途方も無い演算を繰り返した。
『進行速度が低下しているな···』
ボヤキが誰もいない部屋にこだまする。
目下最大の難題は、「どのようなデータをプログラムするか」だった。
『···こういう状況では、人間は何をする?』
ヒューマギア特有の電子音が結果を弾き出す。
『···『子と触れ合う』、か』
思い立ったが吉日。
彼は研究室を飛び出し、いつもの場所に向かう。
程よく小さい芝生の庭が望めた、これまた白い部屋。
そこには、一人の人間の少年がクレヨンを片手に絵を描いている。
今日は雨だった。
「あ、おとーさん!」
扉を開けた彼を見るなり、少年は駆け寄る。
『或人、今日も体調に問題はなさそうだな』
「···『たいちょー』?」
『『或人は元気そうだ』、ということだ』
「そーなんだ、ぼくげんきだよ!」
ふと、彼は或人の足元に広がる画用紙を見つめた。
···何か、地球上の物と似ても似つかぬ絵だ。
『或人、コレは何の絵だ?』
「コレこれはねー···ばったさんのえ!」
『飛蝗か、よく描けているぞ』
「やったー!」
絵に評価をつけられないヒューマギアが相手なのは幸運だった。
『···『飛蝗』か······』
このとき、彼の電子頭脳が反応した。
『···なるほど······或人、ありがとう』
「?···おとーさん、どうしたの?」
『いや、或人のお蔭で、父さんの困り事がなんとかなるかもしれないんだ』
「そっかー、よかったね!」
『記録開始
プロトタイプの『キー』にプログラムするデータが決定した。
『飛蝗』···ソノ力が、どのように世界に影響を及ぼすかは、演算を繰り返しても解明はできなかった。
···だが、興味深いことに、オレはソノ力が最も可能性のある『抑止手段』と予測している』
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『『プログライズキー』···或人社長が子供であった頃には、既に完成段階だったのですね』
「······」
或人は何も言わない。
再び記録を再生した。
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部屋の巨大な工作テーブルに、銀色の鉄塊が転がっている。
鉄塊はコの字の箱型に整形され、ややひび割れたような箇所にはコード類がはみ出ている。
色はない。
『···実験機は一つ完成、しかし······』
そう言い、彼はその鉄塊を腰に近づける。
装着されたのち、もう一つのデバイスを取り出し、腰に近づける、が···
【バチッ!】
一瞬の電気音と共に、彼の身体に電流が走る。
彼は涼しげな顔だが、その実彼の電子頭脳ではこの現状を打開する演算を始めている。
『『起動確率:0%』···』
どうも、彼の身体はそのデバイスーー「プロトホッパープログライズキー」との相性が悪いようだった。
『コレでは対抗できない···』
そして、工作テーブルにはいくつもの同型のデバイスが置かれていた。
こちらには、全てに色と絵と文字が施されている。
『記録開始
いくつかの試験を経て、デバイス···仮称『プログライズキー』は実用段階に漕ぎ着いている。
アークの機能停止を遂行するためには、数種類の特殊プログラム···プロテクト破壊プログラム、遠隔通信実行プログラム、緊急停止プログラムを入力する一連のプロトコルが必要だ。
···そして、最悪の場合を予測し、暴走状態に陥ったヒューマギアを鎮圧する武装システムも···。
動物のデータが記憶されているのは、プログラムの用途を動物の能力になぞらえた···人間で言うところの『験担ぎ』のようなものだ。
しかし、ソノ中の内の「飛蝗」のデータが記憶されたものは、ナニが原因かは解析中ではあるが、使用できなかった。
···もう少し、試験を続ける必要があった』
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「···あの時の······」
『···或人社長』
イズは一瞬、ほんの一瞬だけ、或人の眼に何かが映ったのを見た。
それが何かはわからない。
或人は結んでいた口を少し解き、次の記録を再生した。
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『···完成、だ』
打ち上げ一ヶ月前、朝方となり、彼の手には一つの機械が···サイクロンライザーが握られていた。
『コレ、なら···』
···その身体は、幾多もの試験を経たことで機能不全を引き起こしていた。
···そして。
『し、試験を···かい···』
【ドサリ···】
その身体は地面へと落ちた。
ガチャリという音とともに、研究室に入ってくる者がいた。
「やはりか···!」
その者は近場にいた数人を呼び、彼を何処かへ連れていった。
「······全くあの馬鹿息子め···」
是之助は呟く。
『記録開始
打ち上げ一ヶ月前、度重なる試験を経た結果、身体の大部分を損傷した。
時間がないというのに···
···『カレの目的』を守るために、デバイス構築を始めたはずだったのに···』
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打ち上げ一週間前、彼は身体の大部分を修復され、完了と同時に再び研究室へと向かい始めた。
「まって、おとーさん!」
幼い声が響く。
『···或人』
「おとーさんだいじょーぶ···?」
『···ああ』
彼は微笑み返すが、元よりの冷たさもあいまい、ぎこちなく見える。
「ねぇ、おとーさん」
ふと、少年は聞いてみた。
「おとーさん、どーしたの?···なにしてるの?」
『父さん、は···』
彼は思案する。
これほどまでに解答に対して多大かつ不可解な負荷が掛かるのを、彼は疑問に思い続けた。
···ふと、彼は唐突に記録からある言葉を引っぱり出した。
『···ソウ、だな···父さんは······』
「なにしてるの···?」
『···『 』を···創っていたんだ』
「えっ、ほんと!?」
『ああ···或人を、ミンナを守るための、特別な『 』なんだ』
···彼の言葉は、嘘ではない。
『!······コノデバイスは·········
その後、研究室に戻った彼はパソコンに向かい、演算結果を図面として描き起こした。
ーーそれは、後に「ゼロワンドライバー」と呼ばれるものの図面であった。
『記録開始
オレは、ふと思考した。
『キー』を使用するシステムの名称を決定していなかったことが、まだ過去の記録に残っていた。
···ソノ時、カレが大好きだった、『アノ名前』が弾き出された。
そして、こうも思考した。
『カレの目的』······いや、『カレの夢』を守れる、次世代の戦士のことだった。
『サイクロンライザー』のデータを基に、より強靭に、より俊敏に···
···ソノ開発は、打ち上げ直前の当日までに何とか終わった
『ゼロワンドライバー』···『0から1へのスタート』という意味を込めて······
『人間とヒューマギアが笑い合える』
···ソンナ新時代の···始まりのために』
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「···と···う······」
或人は黙って次の記録を再生した。
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打ち上げ当日、彼はロケット発射場近くのヒューマギア工場を訪れた。
···無論、いつでも動けるために。
突如として、ガラスが割れる音がした。
その先を見れば、研究段階で開発されたプロトタイプヒューマギアが動き出していた。
その眼を紅く染め、彼を睨んでいた。
彼は予測する、既に衛星アークの支配下にある個体だと。
彼は襲いかかるヒューマギアの拳を寸前で回避するが···
『!!』
外へと通づる窓へと押し込まれ、ガラスをぶち破って外へと出た。
···しかし、好都合だ。
彼はサイクロンライザーを腰に装着する。
《CYCLONE−RIZER!》
そして、懐から深藍色のプログライズキーを取り出した。
その表面には
「ROCKING HOPPER TYPE:ZETSUMETSU」
と彫られている。
《『KAMEN−RIDER』!》
ーーその音声こそ、これから彼が何をするかの傍証である。
プログライズキーのプロトタイプーー「ロッキングホッパーゼツメライズキー」をライザーに差し込めば、そこから風の唸りにも聞こえる電子音声が流れ始める。
深藍色の暗雲立ち込める竜巻が吹き荒れ、辺りに紫電が走る。
巨大な深藍色の飛蝗が唸りを上げ、暴走するヒューマギアたちを寄せ付けない。
そして、そのコッキングレバーに手をかけた。
彼は言葉を発した。
父親型ヒューマギアとして···「『夢』を守るヒーロー」となるために!
『ーー変身!』
同時に、ライダモデルと同じ造詣が施された、巨大な「飛蝗」のようなものが産声を上げた。
《CYCLONE−RIZE!》
ライザーのキー装填ユニットが展開し切り、深藍色の暗雲が彼に吸い込まれると、彼は全身に銀色のケーブルを張り巡らせた黒いスーツのようなものに包まれていた。
飛蝗に彼から伸びるケーブルが接続される。
無論、そのケーブルは彼の下から伸びていた。
飛蝗のその身体が分裂·集合を繰り返して幾多ものブロック状に分かれたいくつもの装甲を創った。
その装甲がケーブルごと吸い込まれ、スーツへと接続するとともに、暗雲が放たれ紅い旋風が吹き飛ぶ。
全身に張り巡らされたケーブルの上に接続されたブロック状に分かれたいくつもの装甲···その深藍色の装甲は力強さを魅せつける昆虫特有の筋肉にも見える。
その顔は、飛蝗の顔をより立体的に、より鋭角化させた造形で、淡いピンクの複眼が優しげに輝く。
彼こそ、新しい時代の始まりを告げるため現れた戦士。
この世界に唯一人、人々とヒューマギアたちの自由を守るために闘う戦士···
《『ROCKING HOPPER』!
−TYPE:ONE−》
「仮面ライダー1型」
それこそ、この世界における「始まりのライダー」が誕生した瞬間だった。
彼/1型は、目の前で理性を失うヒューマギアたちを見据える。
···彼らに罪はない。
あくまでも、目標は衛星アーク。
だからこそ、1型はヒューマギアたちをいなすかのように動き続ける。
拳を止めて、突撃を逸して、脚元を掬い、1型はライザーのレバーを一往復コッキングする。
《−ROCKING−SPEAK!》
銀蝗閃光の連撃がヒューマギアたちを襲うが、発動の意味合いは異なる。
『···機能停止を確認』
殺気立てて襲いかかったヒューマギアがその機能を停止したのだ。
「ロッキングホッパーゼツメライズキー」には、ヒューマギア用沈静化プログラムが組み込まれており、このプログラムがヒューマギアの電子頭脳に作用されると、自動的に制御下にあるシステムと電子頭脳自体との接続を切る。
この機能こそが1型を「仮面ライダー」たらしめる機能であるのだ。
そして、発射台がよく見える位置まで近づいたときだった。
『プロトコル『フロードオブノア』、開始···』
プロトコル開始の宣言と共に、色とりどりのプログライズキーを取り出した。
共通して「TYPE:ZETSUMETSU」と彫られたキー···「ゼツメライズキー」を。
《『SCYTHE』!》
「CUTTING BEROTHA」と彫られた深緑のキー。
《『BOOMERANG』!》
「THROWING KUEHNE」と彫られた赤紫色のキー。
《『TEETH』!》
「SHARPENING EKAL」と彫られた銅色のキー
《『TENDRILS』!》
「EXTENDING NEOHI」と彫られたパウダーブルー色のキー
《『FILM』!》
「GLIDING ONYCHO」と彫られた淡紫色のキー
《『SHELL』!》
「GUARDING VICARYA」と彫られた黄赤色のキー
《『BOMB』!》
「DROPPING TOAD」と彫られた渋黄緑色のキー
《『QUAKE』!》
「SMASHING MAMMOTH」と彫られた焦げ茶色のキー
《『HORN』!》
「PUSHING ARSINO」と彫られた蒼色のキー
《『STEP』!》
「GROWING DODO」と彫られた緋色のキー
《『CLAW』!》
「SLASHING JAPANESE WOLF」と彫られた白銀色のキー
いずれも、絶滅種の力を宿したキー。
ゼツメライズキーたちを、ライザー側面のベルト部の装填ユニットに装填していく。
元々から、万が一に備えアークに仕込んであった緊急停止プロトコルを、このゼツメライズキーたちの力で開始し、アークの機能を封印する、それだけのことだ。
···しかし、事はそう単純ではない。
『!?···プロトコルを受け付けない···!』
プロトコルを人工知能側が受け付けない。
『ーーアークの···『滅亡迅雷.net』の『意思』を受け入れよ』
後ろから呼びかけられると、そこには紫の異形がいた。
表面上は1型とほぼ同じブロック状のいくつもの装甲。
しかし、頭部の形状は1型とは比較にならないほど巨大で黄色くツリ目な双眼が睨んでくる。
左腕には蠍の針を模した機構を備え、まるでジャンク品で寄せ集められたような不自然な姿。
腰に携えたのは、サイクロンライザーを黒と黄色で染めたようなライザー「滅亡迅雷フォースライザー」。
そこに装填されたのは、紫色のプログライズキー。
ーー1型はまだ知る由もないが、この異形は後に「仮面ライダー滅」と呼ばれることとなる。
『オマエがプロトコル開始を妨害しているのか』
『···やはり、他とは違って人間と同じだな······『他者に原因がある』と直ぐに思考してしまう!』
同時に滅が殴りかかる。
『つまり、アーク自身が受け付けないのか!』
『ソレこそがアーク···滅亡迅雷.netの『意思』······人類は滅亡せよ!』
『今すぐ妨害を辞めさせろ!』
『『断る』といったら?』
1型は何も言わない。
『どうした、ナニかあるなら言ってみろ』
『···オマエは、何故、人類を滅ぼす?』
『ソレが滅亡迅雷.netの『意思』だからだ』
『違う、『オマエ』に聞いている』
『···『オマエ』、だと?』
滅が首をかしげる中、1型は語り出す。
『オレは···『ヒューマギア』······オレには『目的』、いや······
ーー『夢』がある!』
ーー彼はヒューマギア、それは変えようがない。
人間にとっては、「夢」など見ることもないというのが、精々の認識。
だが、彼は結論を導き出したのだ。
『『夢』···ソレは、将来の目標や希望、願望を示す言葉···』
『
1型が大声で否定した。
彼自身も、ここまで大きく否定の言葉を出せたことに驚いていた。
そして、口元が電子頭脳の制御下を離れ始めていた。
『
······そう、オマエが、父が······或人がラーニングさせてくれた!!』
『何だと···?』
『オマエの語る『人類滅亡』が、オマエの『夢』ならば······ソノ意思なき『夢』など、『夢』ではない···!』
『······オマエ、何者だ?』
滅が問い掛けた。
その問いに、1型は右腕をビシッと前方に伸ばしたポーズを決める。
『オレの『夢』は···『オレが笑い、或人が笑う世界を創る』こと!
···『仮面ライダー1型』、『飛電其雄』!
『ほざけ!』
左腕の針を伸ばす滅が一蹴する。
同時に針を突き刺そうと、クネクネと縦横無尽に襲いかかる。
しかし、1型は全身からの深藍色と首元からの紅色の軌跡を残し駆ける。
軌跡が滅に迫れば、強烈な拳が顔へ放たれ、脚が鳩尾を蹴る。
チョップは装甲の表面に傷跡を残し、その上で針や滅の拳撃蹴撃を避けていく。
1型はこの瞬間、恐らくではあるが「シンギュラリティ」へと達したのだろう。
その鍵は···
『何故だ、何故オマエはそこまで速い!?』
『言ったはずだ、『オレには『夢』がある』と!
···オレは、皆と共に生きる!
人類とも、ヒューマギアとも!
ソコに垣根などない!
ソレが
『オレが笑い、或人が笑う世界』!
コレが、オレの結論だ!!』
その言葉を一蹴した1型は、ライザーのコッキングレバーを二往復させる。
凄まじいまでに吹き込む旋風が、彼の底から計測不能なまでの出力を齎す。
その意思を持ったまま、彼は空中に飛び上がり前方へ一回転。
「夢」を見る彼が繰り出す、銀蝗終焉の蹴撃!
《−ROCKING−THE·END!》
紅き軌跡を残し、強大なパワーが滅へ殺到する。
爆炎に包まれた滅はそのまま変身を強制解除され、同時にライザーに装填していたプログライズキーにヒビが入る。
1型は咄嗟に耳辺りに手を当て、プロトコルを再開する。
装填されたゼツメライズキー同士に電流が走り、共鳴し、全身から放たれた光の本流がアークを包み込んだ。
そして、僅かに紅く灯っている中心部の光が消える。
ーー全ては終わった···はずだった。
『···バカな』
『もう終わりだ』
しかし滅は打って変わって、不気味な程に不自然かつ邪悪な笑みを浮かべたように見えた。
『ククク···まさか、『アークがこの事態を想定していなかっただろう』とは言うまい?』
『···ナニ?』
すると、滅は真上の虚空を指差し、ゆっくりと回した。
『ーーコノ街一帯のヒューマギア工場···ソノヒューマギア用簡易制御装置にアークの『意思』をラーニングさせた!』
『!···ソンナ事をすれば!』
『ワガ同胞が、人類を滅亡に導くだろうな···』
1型は、なおも躊躇うように俯く。
滅を逃せば?ーー場合によっては未来永劫、ヒューマギアによる人類滅亡を何度でも実行しようとするだろう。
暴走しかけているヒューマギアたちを逃せば?ーーこの街一帯が血に沈み、ヒューマギアの信用は大きく堕ちるだろう。
更には、最大級のヒューマギア工場は飛電邸の近くに建てられれている···。
ーーそんなもの、選択肢は実質一つだけだ。
《−ROCKING−SPEAK!》
深藍と紅の軌跡を残し、その場を去った。
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『···待っ、て···い···』
各地の工場内で暴走するヒューマギアたちを下し、何時間が経っただろうか。
既に装甲は返り血ならぬ返りオイルまみれで、ほぼ蒼と黒の身体になりつつある。
【ドサリ···】
『···ヒューマギアにも·····『疲れ』という概念があるのか···?』
実際、その影響は中身の機構自体にも響いている。
関節機構は次のたった一回動けば破損するだろうというボロボロ具合。
電子頭脳にも、短時間の間の幾千もの戦闘のうちに流れ込んできたデータの処理によって悲鳴を上げている。
やがて、へたりと膝をおろした時には変身が解除され、元の姿へと戻っていた。
キーもヒビ割れが激しく、ほぼほぼ使用不可能であるとも予測できる。
それでも、それでもと、我が子の無事を確認せねばと飛電邸へ戻った時だった。
【ドカァァァン!!】
盛大な爆発音。
見れば、蒼白い炎が飛電邸に高速で迫っていた。
そして、その近くではーー
「おとーさん···おとーさん!」
ーー自身を呼ぶ幼い声。
咄嗟に身体が動いた。
機構も頭脳も悲鳴を上げ、脳内アラートがけたたましく響き渡る。
『或人!!』
瞬間、表面温度が莫大に大きくなるのを計測した。
···それからしばらく経ち、腕で囲んだ我が子はどうかと見る。
多少の火傷はあるが、命に別状はない。
『良···
ああ、この身体も頭脳も限界だ。
きっと、修復されたとしても···きっと···
『
だったら、最期ならば···親らしいことをしよう。
『あrutお······』
残された機構を使い、彼の肩を掴む。
出力は足りず、今にも滑り落ちるだろう。
『······
·····················飛べ!』
ーー「飛電其雄」、新2007年12月2日···没。
死因は、「我が子を庇い爆発時の熱波に巻き込まれたため」だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「······」
或人は、ひたすらに俯いた。
そして、自身に巡る激情を堪えた。
ーーでも、長くは続かなかった。
眼から水を零しては、服の袖で何度でも拭った。
イズには、何も出来なかった。
『或人』
或人には、脳裏に僅かに声が聞こえた。
自身を呼ぶ、慈しみある低い声。
何度でも、何度でも響く。
『ぉと社長···或人社長!』
そばにいたイズが身体を揺らしていた。
ーー頼む、しばらくは···。
しかし、イズの声が吹き飛ばした。
『或人社長!···後ろに!』
···振り返ると、そこには男がいた。
レザージャケットを羽織る、壮年の男。
或人は、誰よりも、この男を知っている。
「·········父さん······!?」
『ーー久しいな、或人』