仮面ライダー×仮面ライダー ゼロワン&ジオウ NOVELIZE大戦 BEGINNING FUTURE 作:ホッケ@ががばばの謎
「どうして···」
そう問い掛ける或人に、其雄は静止させるように手をかざした。
『···まず、オレはあくまでも衛星ゼア内に組み込まれたデータでしかない』
「『データ』···」
『そして、『ゼロワンドライバー』にも組み込まれたデータとが、オマエの思考を検知し、実体を得ているだけだ』
そう言いながら、ドライバーを指差す。
『そして···外にいる『オレ』は、今いるオレの身体を使った『亡霊』とでも言える』
「···『亡霊』」
『ああ、かつて水底に沈んだヒューマギアたちがラーニングした、『悪意』の塊でしかない』
十二年もかけ、復活するほどに根強く残った事実に、或人は震える。
『ーーだからこそ、オレはココにいる』
「···父さん?」
そう言うが否や、其雄は一冊のスケッチブックを手渡す。
或人は戸惑いつつも、スケッチブックを捲りつつ眼を通していく。
ーー描かれていたのは、例のデータにも記録された、かつての自身の絵だった。
様々な動物が描かれ、色とりどりに飾られている。
···自分でも苦笑いするくらい、あの頃は苦手だったのだなと自覚していた。
『或人』
父は呼ぶ。
子は顔を上げる。
『···聞かせてくれ』
子は頷く。
『ーー『夢に向かって飛べ』ているか?』
子は息を詰まらせ、それでも答えた。
「ーーうん······きっと···飛べてる」
言葉が出そうにないと思えるのに、それでも答えられた。
「父さんが遺してくれたこの力が···『仮面ライダー』が······『夢』があるから·········」
『ーー或人』
父はまた問い掛ける。
子は察した。
ーーこれが、最期の質問。
『オマエの夢は何だ?』
やはりというか、予想通りすぎて笑いがこみ上げた。
「父さんも、おんなじような言ってたでしょ?」
『ソウだな』
「『オレ/俺が笑い、或人/父さんが笑える世界を創る」』
二人で笑った。
何度も何度も笑った。
「···やっと、笑わせられた」
『ああ······オレにとっては···』
父の身体は光り輝く。
『ーーやっぱり、コンナ
父の光は、プログライズキーの輪郭を象る何かに変わった。
「······ハハハ···ハハ·········」
今度は泣いた。
止めどない涙が眼から流れた。
すると、イズはハンカチを貸した。
眼を、涙を拭った。
『···ワタシは、ワタシは始めてでした』
イズは口を開く。
『ーーアソコまで、或人社長のギャグが面白いと思考したのは』
「!······もう!」
きっと、父の発言の事を言っているのだろう。
思わずふざけ半分で肩を叩いた。
「そういうこと言わない!」
『ハッ!?······申し訳ありませんでした···』
「···プッ、ハハハ!!」
ーー何か、壁をぶち破ったような感覚を覚えたのだった。
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社長室へと戻った時だった。
「おい社長!···ったく、ようやく戻ったか」
「不破さん?···どうしたの?」
「どうしたもこうしたもねぇ!」
何か、鬼気迫る事態のようだ。
「ーー例の滅亡迅雷モドキが現れた」
「···!」
「オマケに大勢連れてな····何体かマギア化が確認されてて、今A.I.M.S.が対応に当たってる」
『······或人社長』
手が僅かに震えていた。
眼も少し泳いでいた。
「社長、無理は言わねぇ···だから」
その言葉を、喉の奥まで押し込ませた。
「不破さん···大丈夫」
ーーそう言い持ち上げた顔は、何処かスッキリとした顔だった。
「······フッ、一皮剥けたって感じだな」
「···そう、そうだよ!」
すると、或人は右手を鉄砲のように曲げる。
察したのか、イズも右手を曲げる。
「難所
そして、同時にハイテンションに腕をオーバースローした!
「テンションはぁぁぁ!!!!
もうぅぅぅ
決めた瞬間、一緒に回りながらあの決め台詞を放つ!
「『ハイ!
アルトじゃぁぁぁ······ないとぉぉぉ!!」』
ーー瞬間、諫の腹筋はバキバキに割れた。
自身のプライドを護るため、地面に豪快に倒れ込む。
「グッ、ゴフッ!!」
「不破さん!?」
「だ、大丈夫···だぁ!!」
『今のは、『脱する』という意味の『突破』と、『頂点』を意味する『トップ』を掛けた、とても小粋な···』
「いやこの状況で解説しないでぇぇ!!!」
「と、とりあえず、先に···ゴグゥッ!?」
「不破さぁぁん!?!?」
「だ、だから···大丈夫だと···!」
どう見ても大丈夫ではないが。
閑話休題。
或人はドライバー片手に、社長室を飛び出そうとする。
諫は既に死に体のまま、部屋を出ていた。
『!···或人社長!』
「ん、えっ?···どうしたの?」
『ーー新しいプログライズキーが生成されています!』
「えっ!?」
社長室側面の壁···そこにかかるホログラムを解除する。
社内に比べると、比較的小ぢんまりとした専用工作室。
しかし、部屋の奥に聳え立つ専用プリンターからは眩い光が発せられ、何かが起き始めていることを物語っていた。
「······父さん···?」
「おい社長、早く来い!」
諫の怒号が響き渡った。
『或人社長···ココはワタシが!』
「···うん、終わったらすぐ来てね!」
『承知しました!』
そう言い、或人は社長室を飛び出した。
『ーー行ってらっしゃいませ、或人社長』
自身が信じられないほど、満面の笑みを浮かべていた。
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街へ赴けば、讐はその腕の銃口から放つ光弾でその街並みを壊していく。
『人類よ、滅亡せよ······ん?』
《『RISING HOPPER』!
−A jump to the sky turns to a RIDER KICK.−》
アタッシュカリバーの刃を手で受け止め、讐は尚も動きを止めない。
「『父さん』·····俺は、今度こそ
『みすみす戻って来たか、飛電或人』
「!······その声で、人間を、ヒューマギアを、みんなを···!!」
瞬間、拳を鳩尾にめり込ませようと振りかぶる。
「傷付けるなぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
振りかぶった一撃は、しかしまたしても止められる。
『オマエの動きは予測済みだ』
拳を止めた手を素早く離し、刃を受け止めた腕でアタッシュカリバーごと或人/ゼロワンを振り回す。
想像以上の怪力は、やがてゼロワンを宙に浮かせる。
『滅亡せよ』
そのまま地面へ叩きつけ、その反動で地面から少し浮いた身体を蒼黒い閃光を纏う回し蹴りで弾き飛ばした。
「うぉぐぁぁぁぁ!?!?」
そのままシャッターへと叩きつけられ、身体が言うことを聞かなくなってきた。
『····不確定要素ですらなくなったオマエに、構う未来などない』
そう冷たく言い放ち、その場を離れようとする。
「待てよこの野郎!」
「アサルトウルフ」の姿の不破/バルカンはライザーから光弾を連射するが、着脱地点を冷静に分析する讐の手を
が防ぎ切る。
「おぉぉぉ!!!······社長!!」
讐の腰辺りを両腕でガッシリとホールドし、持ち前の馬鹿力で取っ組み合いを始めたバルカンは呼びかける。
「闘って分かったぜ!······こいつには『意思』なんてねぇ!」
『ワレワレの『意思』は、『人類滅亡』···』
「『てめぇら』には聞いてねぇんだよ!!」
ホールドした腕を離し振りかぶる。
しかし、ゼロワン同様に受け止められる。
だが、ギリギリと決抗するような鈍い音が響いている。
「こいつは、お前の親父さんじゃねぇ、ただの空似でしかねぇヒューマギアだ!·····遠慮する事なんてねぇんだよ、ウラァッ!」
膝が讐の鳩尾へと吸い込まれる。
『グッ!?······前提を書き換え、結論を···』
「させるかゴラァッ!!」
尚も殴り合うような鈍い音が連続して響き渡っている。
そんな音すら、遠くに聞こえていた気がした。
瞬間銃声が響き、バルカンの装甲からは煙が湧き上がる。
「ウガァッ!···クッ、それだけやきもきしてるってことは···『違う』って思ったってことなんだろ!?」
それでも尚、バルカンは問いかけてくる。
「お前が信じなくてどうするってんだ!?
······親父さんのことをぉ!!!」
バルカンの全身のミサイルポッドから紅色の軌跡が走るが、讐は打って変わって手にした槍で纏めて薙ぎ払った。
「······俺は···」
ーー本当のことを言うなら、「未だ恐ろしい」と言ったところか。
···それでも、と言うなら······
「······俺は···!」
『或人社長!』
ふと、呼びなれた名前が聞こえる。
イズは或人へと近づき、
「イズ···」
『コレを!』
そう言い手に握らせたのは、右側がゼロワンのような顔を模しており、ベース部を深藍色とする淡いピンク色のプログライズキー。
その表面には、
「BEGINNING HOPPER
ABILITY:DREAMER'S JUMP」
と彫られている。
「···これは」
見れば、その配色はかつての父の一度っきりの姿に似ている。
『コレは···或人社長の、アナタのお父様です!』
「父さんの······?」
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あの時、光に近づいた瞬間、イズの電子頭脳は衛星ゼアに接続された。
『或人の秘書······だったか』
『はい』
···と言うより、この状況は「イズを呼び止めた」という方が正しいのかもしれない。
『或人は、キミから見て······ドンナ人間だ?』
『······『ドンナ』、とは?』
『いや···思考できたことだけでいい』
イズは数秒間静止し、特徴的な電子音を鳴らし続け、そして······
『或人社長は、きっと······』
しかし、言葉に詰まった。
ヒューマギアにも、このような疑問は解釈しがたいのだろうか。
『···きっと······』
···声が段々と萎む。
完全に言い淀んでいた。
『···そう、か』
だが、其雄は逆に納得したような表情を浮かべていた。
『···なら、聞こう』
再びの質問。
イズは顔を上げる。
『ヒューマギアには、『夢を見る力』があるとは思うか?』
『······『夢』』
『ソウ、『夢』だ』
其雄は指を上げる。
『元々、オレは父親型ヒューマギア······対象に、将来の可能性を教えるようにラーニングされているが···』
そして、真上へと上げた。
『······あくまでも、それは記録からの引用だ』
『はい』
『でも、ソンナオレは『夢』を見た······『オレが笑い、或人が笑える世界を創る』という『夢』を······』
イズは演算に演算を重ねていた。
その言葉の意味を、最大限解釈しようとしている。
···しかし、意味を解釈できない。
『答えられなくて当然だ······『夢』に最適解はない、近似解しかない』
イズは、はっきり言って其雄の意図を読みかねていた。
その本質を、読み切れていない。
『キミは、ドウ思考し、ドウ予測し、ドウ行動していくか······きっと自分自身でも分からないだろう······ソレが分かった時、ソレが『シンギュラリティ』なんだ』
「特異点」
イズはかつて、或人と共に様々なシンギュラリティを見てきた。
···イズは、その記録を見返していた。
再び電子音が響いた。
『···ワタシが記録してきたシンギュラリティ······その条件は、やりがいや達成感という『感情』を得た時、と予測できました』
『ああ』
『しかし、ワタシはシンギュラリティに達したと思考できるほど、『感情』という曖昧な概念をラーニングできていません』
『···ああ』
『······だから』
イズは息を吸うように挙動した。
その結論が、唇を震わせるのを、其雄は今か今かと待ちわびていた。
『···或人社長は、ソンナ『感情』を教えてくれるだろう、と結論づけています』
『そうか』
『興味深いことに、ソノ結論には『根拠』が足りません···ソレこそ、理論的なヒューマギアを満足させるには圧倒的に足らないほど······』
『···そうか』
『ワタシも、満足できているとは言えません』
『···だから?』
イズは、その顔を見た。
子を問い諭す親の顔とはこういう事か、とイズは考えた。
『···ワタシは、自身を···或人社長を······信じたい』
『···なら、託そう』
そう言うと、其雄の身体から光が発せられる。
その光が集まると、一つのプログライズキーとなっていた。
『或人を···頼む···!』
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『或人社長···ワタシは······』
イズはゼロワンと眼を合わせた。
その眼は、ガラス球のように輝き、人間と同様の虹彩が不思議な模様を描く蒼色。
『···まだ、『シンギュラリティ』の、『感情』のデータをラーニングできていません···自身が納得できるほどに』
ゼロワンは、その言葉に惹かれた。
彼女は、自分から申し出たのだ。
『だから、ワタシは······アナタの秘書でいます···自分の『意思』で、ソウ決めたから!』
「······分かった···!」
《『DREAMER'S JUMP』!》
キーが起動し、カバーが自動展開された時、イズの顔を再び見つめた。
「イズ······俺は······!」
《DREAM−FRY−ZE!》
ドライバーにキーを認証する。
瞬間、遥か上空に浮かぶ衛星ゼアから深藍色の光柱が降ってくる。
現れた深藍色のバッタは、まるで二人を守るように讐を寄せ付けない。
「俺は···」
展開したキーをドライバーの装填スロットに叩き込んだ時、バッタの旋回飛びによって巻き起こされた紅い疾風がゼロワンとイズを優しく包み込んだ。
《SINGULA−RIZE!》
疾風に波乗るように、バッタは身体を分裂させ飛ばした。
すると、ゼロワンの黄色い装甲が全身から分離し、空中に浮かぶ。
分裂したバッタの身体が、黄色の装甲と次々合体し、天色と黄色が混ざった複雑な造形の装甲へと変化させた。
むき出しになった黒い身体に紅と蒼と銀のラインが全身を走り、更に黒いケーブルが全身から装甲へと伸びる。
装甲に接続したケーブルが一気に引き込まれ、装甲がゼロワンの各部に装着された瞬間、黄色いサイバーラインとともに疾風が吹き飛んだ。
黒い身体に真逆な黄色と白の装甲は、例えるならシャイニングホッパーの装甲を更に厚く、鋭くし、一部の機構基盤をむき出しにした上でクリアカバーで保護したとでも言えばいいだろうか。
頭部の側面には、旧型のヒューマギアモジュールに似たヘッドフォンのような造詣の機構が備わり、その複眼は右眼が蒼色、左眼が紅色へと染まっている。
···ともすれば、それは「彼」に抱いた「思い」を表しているようにも見える。
ドライバーのサークルの中心には、さながら「飛」の字を崩したような紋章が描かれている。
そして、ドライバーは告げる。
相反する二つの感情を内包する、全く新しいゼロワンの誕生を。
《
『BEGINNING HOPPER』!
−
「始まりのバッタ」の戦士、
「仮面ライダーゼロワン ビギニングホッパー」
ソレがカレの名。
0から1への再スタート、その全ては己と「始まりのライダー」の「夢に向かって飛ぶ」ために······。
「···俺は······父さんが、君が託してくれた夢に向かって飛んでみせる!
···お前を止められるのはただ一人!
『オレ』だ!!」
『···なんだ、ソノ姿は······!』
「···フッ、やったじゃねえか」
『或人社長······』
ゼロワンはゆっくりと歩き出す。
一歩一歩、しっかりと、己と「彼」の夢を思い返しながら。
『コノ結論は、『不完全』と断定する!』
言うが早く、讐は腕の銃口から光弾を連射する。
しかし、その光弾が着弾する瞬間、ゼロワンの姿が振れる。
そして、ゼロワンの振れが収まると、その背後に着弾していた。
『バカな···』
讐は槍を取り出し、すぐそばまで迫っていたゼロワンに連続で突き出した。
しかし、ゼロワンは白と黄色の軌跡を残し消えていた。
その軌跡は、右へ左へ···そして上へと伸び、その上には跳び上がったゼロワンが拳を構えていた。
紅と蒼入り交じるオーラを纏い讐へと打ち付ける。
瞬間、讐は十数m吹き飛ばされ、せめてもと防御に使った槍は完全に折れていた。
「······『父さん』···」
ゼロワンは問い掛ける。
「······父さんの『夢』は、何?」
『『夢』、だと?』
「そう、『夢』」
ゼロワンは大きく息を吸った。
「ーー俺には『夢』がある···
『人とヒューマギアが共に笑える世界を創る』という『夢』が!」
『···人間は、他種族を、時には同族すらも徹底的に排除し、嫌悪し、そして存在を抹消する······
ソンナ存在が、『共存』を謳うなど不可能だ!』
ーー事実、讐の言い分は間違っていない。
恐らく、誰もが心当たりがあっても、見て見ぬ振りをしてきた負の側面。
目の前のヒューマギアは······今の「父」は、その側面を誰よりも見ていた。
その力が、人間の「負の側面」を象徴する力であるから···。
···だが、ゼロワンはそれでも······と
「分かってるよ······人間よりも、ヒューマギアの方がよっぽど素直だよ···
それでも!
······人間は、『共存』を···『夢』を謳うことができた!
···父さんは、人間に教えてもらったはずだ!
『夢』を持てたはずだ!
自分で言ったの、忘れた······?
『オレが笑い、或人が笑える世界を創る』って!」
『···理解不能、不確定要素が多過ぎる!······人類に、夢見る明日はやってこない!』
「『夢』は、不確定要素だらけだ···だから···
···やって来るよ······
俺は、人間とヒューマギアの『共存』を信じたいんだ!!」
不意に、讐の身体が揺らめいたように見えた。
『······ナニが『夢』だ······』
その身体から、蒼···ではなく、紅いオーラが解き放たれる。
『人類の『夢』見る明日に······滅亡をぉぉぉぉ!』
【ーーーーーーーーーー】
讐が悲鳴のようなノイズ音と共に殴りかかる。
「グゥッ!」
その拳を、ゼロワンは受け止めた。
その身体が光り輝く時、ゼロワンは静かにその拳を両手で包んだ。
『···!?』
「苦しいよね······?
人間って、とっても怖い生き物なんだ···
···俺も、
その双眼が、讐を映し出す。
「···だから、人間は······」
そして、瞬間光が灯り始める。
「······人間は、どんなに不安でも、前を向くんだ···
···俺はその意味を···ヒューマギアに教えられる『夢』へと!」
拳を掌底のような形で、讐の鳩尾に当てた。
その拳に、紅と蒼と白と黒と黄色とが入り交じる。
「飛んで···みたいんだぁぁぁぁぁ!」
掌から放つエネルギー波が、讐の全身に走る。
『···コ、コレは!』
讐の電子頭脳に混乱が生じた。
その身体からは黒い粒子が吹き上がり、消えていく。
『コレは、所謂『リセット』ですね』
「『リセット』だとぉ?」
遠巻きに見ていたイズが、そう解釈した。
諫は、少し理解が及べていないが。
『恐らく、アノ黒い靄は、アノプログライズキーによってラーニングさせられた『人間の悪意』···』
「!···つまり、あのプログライズキーのデータが失われたってことか···」
それこそが、「カレの夢」···なのだろう
「···フッ、どんな風になるか、見物だな」
諫は、どことなく楽しそうな顔で、イズ···そして或人を見つめた。
『!?···『
「『人間はそれだけじゃない』ってこと!」
『おのれ、コノ人間が!!!』
「····そうだ、俺は『飛電或人』···
···『仮面ライダーゼロワン』!
···
《−RIDER-BEGINNING−IMPACT!》
『滅びろ、『ゼロワン』!!』
《−AVERAGING−SPARK!》
ゼロワンはキーを押し込み、讐はライザーのレバーを一往復コッキング。
瞬間、二人はそれぞれと紅蒼白黒黄と紅黒い軌跡へと変わって、地面で、空中で何度も何度もぶつかりあった。
時に拳同士を、時に脚同士を、互い違いに拳と脚を······その度、凄まじい紫電と火花を散らした。
だが、紅黒い軌跡がもう一方の軌跡に飲み込まれた。
「悪意」のデータが不足しているのもそうだが、何より···
『何故だ!?···身体が、動かない···!!』
「その『夢』は、自身の『意思』で決めたものなの!?」
『ナニ!?』
「『アークの意思』とか『ワレワレの意思』とか、他人ばっかに流されたままだ!
···本当に、人類を滅亡させたいの!?」
『···グッ、ワレワレは·········
「もう···終わりにしよう!」
そう言うと、ゼロワンは閃光を纏い飛び上がる。
『グッ、うぉぉぉぉぉぉ!!!』
讐もコッキングレバーを二往復させ、飛び上がる。
前方に向かって宙返り、紅と蒼と白と黒と黄色とが渦巻く閃光を纏い繰り出す一撃!
《 −RIDER-BEGINNING−IMPACT! 》
悍ましき紅黒いオーラを纏い、ゼロワンへ向けて放たれたの讐焉の蹴撃!
《 −AVERAGING−THE·END! 》
紅黒い暗雲と極彩色のサイバーラインが競り合う。
しかし、閃光が満ちた。
「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「始まり」と「終わり」の力が交錯せし力が、讐の身体ーーその腰に巻いたライザーに叩き込まれた!
『コ、コノエネルギー
「···もう、終わったよ」
『···
·····
·····················
瞬間、讐のライザーとプログライズキーが砕け散った。
本体である、「其雄」は倒れ込み······その瞳から、光を消し去った。
「···うん······分かってる」
黄色と白の閃光を放って変身解除したゼロワン/或人は、ビギニングホッパーキーを指でなぞった。
「飛んでみせるよ、俺の『夢』へと······!」
或人は、静かに眠る「父」を見つ続ける。
その顔は、間違いなく「飛電其雄」の顔であった。
ーーふと、あの時がフラッシュバックする。
【ピキッ···チッチッチッチッチッ······】
「ーー感動させてもらったよ」
「(!?···身体が、動かない···!!)」
時が「止まった」ように、身体が言うことを聞かなくなる。
···否、「止まった」と言うのは正しいと言わざるを得ないだろう。
僅かに視界の端から、黒と金に彩られた、歯車の意匠のある人影が「父」へと近づく。
顔には、紅く禍々しい「ライダー」の文字が刻まれている。
「だが無意味だ」
そう言うと、彼は腕に巻いたユニットから
その表面に蒼い指針のようなものが出現し、外見がガラッと変わった。
銀色のベース部に、深藍色のベゼル部。
その表面には、ゼロワンに似た顔を模したマークと、「2007」と描かれている。
···同時に、「父」の身体が消えた。
《『1型』!》
ヒューマギアとは違う電子的な音声が響き渡ると同時に、黒い影は立ち去ろうとする。
しかし、身体が動き出した。
「!?···ま、待て!!」
或人は叫んだ!
「ん?···ああ、『令和の象徴』か、割とパッとしない顔なんだね······」
「いやそこじゃない!······何をするつもりだ!」
「···これか?」
そう言いながら、先程のウォッチ···「1型ライドウォッチ」を見せびらかすように振る。
「まあ、あんたの『父さん』の願いは、俺が叶えてあげるよ···そのためにも、
そう言いながら、黒いワームホールを生み出して逃げようとしていた。
「待て!!」
或人は追いかけようとする。
『或人社長!!』
イズも慌てて追いかけ始める。
「お、おい待てお前ら!!······あっ!?」
諫が後ろから迫ったことで、三人は一様にワームホールへと入ってしまった!
ーー電子基盤のような模様が四方八方を取り囲む、どこまでも続く道。
そこに、三人が落ちるかのように奥へ奥へ進んでいく。
「うわぁぁぁぁぁ!!」
「おぉぉぉぉぉ!?!?」
二人の男が叫べば、一人のヒューマギアが二人の手を繋いでいた。
「お二方!!···ワタシの手を離さないように!」
「相変わらず冷静だねぇ!?」
「ツッコんでる場合か!!」
しかし、そんな冗談も通じなくなるほど分が悪すぎた。
やがて、息苦しくなってきた。
ヒューマギアの方はまだしも、残り二人はただの人間。
誰しも、諦めた。
《『タイムマジーン』!》
ーーふと見てみると、機械的な巨人が自身に手を伸ばしていた。
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何もない真っ暗な空間。
何もないはずの空間に、巨大な時計盤と、一人のシルエット。
時計盤を背後に、旅人のような出で立ちの青年が佇む。
彼は手に持つーー歯車の装飾が施され、「逢魔降臨歴」と題された本をパラパラと捲り、口を開いた。
「ーー『···かくして、異世界から流れ込んだ三人組は、『我が魔王』に救われる形で、謎のライダーを追いかける一冬の冒険を経験することになったのでした』···」
本をパッと閉じた瞬間、その空間に地鳴りのような音が響いた。
「おっと······どうやら動き出したみたいですね?
なぜ、あのようなタイミングで例の三人組を拾えたのか······
それは、『我が魔王』達の前に現れた、とあるレジェンドが関係しています···
ここからの物語が記す歴史···
ーーこれが、『ジオウ』正真正銘の最終回です···」
青年ーー「ウォズ」は、そう締め括った。