ケインズの背後に立つのは吸魂鬼三匹。
ダンブルドアに無断で校内に連れ込んだようですね。
その程度で私を下せるとは舐められたものですね?いえ、普通の子供相手ならオーバーキルにもほどがあるのですが。
守護霊の呪文は知っています。
ですがあれは普段のように頭の中で感じるがまま杖を振るって成功するものじゃないでしょう。
「大丈夫、キスまではさせないから。ちょっとの間動けなくなった隙に記憶をすべていただくだけよ…痛くはしない」
「御免こうむります」
「
ケインズの足元の草が伸び彼女の足に絡みつきます。ケインズは焦らず杖を振りました。草をブチブチと引き抜き拘束をときます。そして私を睨みつけ杖を振ると吸魂鬼が動き出しました。
吸魂鬼は滑るように私の方へ向かってきます。うわ、なんか思ってたより速いです。
「
私と吸魂鬼との間を遮るように木を動かし、壁を作ります。
木の隙間から吸魂鬼が左右に旋回するのが見えました。
そのまま杖を振るい、目の前にそびえ立つ木の壁を割って私の両脇へ。吸魂鬼たちを再び阻み、ケインズと真正面で向き合います。
ケインズは私を睨みつけ、杖を振るいます。
赤い閃光。麻痺呪文とは大人げない。
秘密の部屋のときも思いましたが戦っているとなぜだか私は心から潤います。まるで水を忘れた魚が海に戻ったかのようにワクワクします。
「エクスペリアームス、武装解除」
「
ケインズの武装解除と私の妨害呪文がぶつかりまばゆい閃光が走ります。私はケインズに向かって走り一気に距離を詰めます。
「
ケインズは私の足縛りをくらい蹌踉めきます。しかし彼女は私を見てニヤリと笑いました。
「後ろにいるものを忘れたかしら」
背筋に冷たいものが走りました。つららを背中に突っ込まれたように全身が強張ります。
皮膚を焼くような冷たさ。吸魂鬼が今まさに私の背後に立っている。
「……………な…」
ケインズの勝ち誇った笑みが突然凍りつきました。私は何が起きたか分からず、全身を包む冷気がゆっくりと動くことだけわかりました。
吸魂鬼は私を襲うでもなく、ただ私の周りを徘徊しています。
「何をやっているの!そこよ!そこにいるのに…」
「エクスペリアームス!」
動揺するケインズにすかさず武装解除呪文をかけ、再びインカーセラスで地面に縛り付けました。
「あってはならないことだわ」
ケインズは私を凝視しています。その目に込められてるのは憎しみや悔しさではなく、ただ純粋な驚愕でした。私はケインズを見下ろして言います。
「さて…情報を抜かせてもらいましょうか……
しかし思うように彼女の心に侵入できません。どうやら閉心術の心得があったようですね。吸魂鬼が彷徨いている今、時間をかけて情報を聞き出すことはできません。どうしたものか。
とりあえず彼女のポケットから先程見せてもらった写真を抜き出しました。
「アブラクサス……」
そして
「ブリジット・キンブリー……」
金髪に碧眼。快活そうな笑みを浮かべてる点を除けばやっぱりどう見ても私にそっくりです。ケインズが凶行に走るのもうなずけるほどに。
私の目的は私の正体を知ることです。ケインズをこのまま味方につけるというのも悪くない選択肢かもしれません。なんて言ったって彼女と私の目的はほぼ一致しているのですから。説得してみるのもいいかもしれません。
しかしそこで空が異様なほどに暗くなっていることに気が付きました。初夏とは思えない寒気が森全体に漂い、ケインズと私の息が白く染まります。
「なにが……」
ケインズが見つめる先、空一面を吸魂鬼が覆い尽くしていました。
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ハリーは無我夢中でピーター・ペティグリューを追うシリウスを追った。必死に走って走って、黒い犬のしっぽを追いかけた。ハリーの足はものすごく嫌な予感に突き動かされていた。
両親を裏切り、自分を殺そうとしている人殺し。そう思っていた人物が実は無実で、今も父への友情を胸に秘めた悲劇の男。
友に裏切られ、無残に殺された被害者。そう思っていた人物こそが両親の秘密をヴォルデモートに漏らし、無実の男に罪をすべて被せた仇だった。
思っていたことと事実が反転したんだ。
なんて奇妙な日だろう。
父と母、二人が微笑む写真を思い出した。もっと二人のことを聞きたかった。父の学生時代、忍びの地図を作った話。いろんなことを。
森の中で犬の脚力に追いつけるはずもなく、ハリーはシリウスの黒いしっぽを見失ってしまった。
「シリウス!」
ハリーは木の根に足を引っ掛けて転んだ。全身がすぐに立ち上がり、シリウスが消えて行った方へ走る。
「シリウス!!」
草むらをはらいのけると、そこに黒い犬が座っていた。周囲は少し開けた岩場で、月明かりが指し仄かに明るかった。
「シリウス……?」
黒い犬は振り向くと、口からポトリとなにかを落とした。
「う…」
それは血まみれでピクリとも動かないネズミの死体だった。
「そんな……」
黒い犬は一度体をブルリと震わせると、人間の姿に戻った。シリウスは酷く蒼白な顔をしており、口元から赤い血が垂れていることにも気づいてないようだった。
「君は……ジェームズそっくりだ、ハリー。見た目だけではなく、正義感も」
シリウスの目には薄っすらと涙が溜まっていた。ハリーはネズミの死体を拾い上げた。足の指が一本ない。確かにペティグリューの死体だった。
「君が私の無罪のため、彼を引き渡すように言った時…私はジェームズの面影を君に見た。ジェームズが私に語りかけたように思えた」
シリウスは膝を付き、誰へ語りかけるわけでもなくただ懺悔するように嘆いた。
「ワームテールが逃げ出して…わたしは…彼がまた、ジェームズを裏切ったように感じた」
この男は、決して自分の犯した罪を悔いたりしない。
踏みつけた命になんの関心もない。
月日に、日々に、重みなんて感じない。
我々の過ごした青春にも、獣に身を窶した屈辱も。
優しさも、人としての矜持も、道徳も……憎しみも。
この男には何も伝わらないのだとわかってしまった。
「だから……殺した」
「シリウス……」
ハリーは打ちひしがれるその背中にそっと手を当て、擦った。アズカバンから逃げてきた恐ろしい囚人。怪物のような人相の手配書。しかし実物はひどくくたびれて疲れた、かつて正義に燃えていた青年の成れの果てだった。
「僕は…」
ハリーはそこで自分の息が真っ白なことに気がついた。異常なまでに寒い。そして全身を包み込む嫌な感じには覚えがあった。今年何度もハリーの前に立ち塞がった敵、吸魂鬼だ。
「チッ…」
私は舌打ちをします。なんてタイミングが悪いんでしょう。吸魂鬼たちは私たちを目掛けてきているわけではないようですが、これだけ多くいれば何匹かこちらに気づき襲いに来るかもしれません。
いえ、それよりも。
この吸魂鬼の動員はシリウス・ブラックが再び校内に出没、それを追跡中…というくらいに大袈裟です。つまりこのままだと教員と鉢合わせする可能性が高いです。
私はケインズから奪った写真をポケットにしまいました。
「ええっと…エクスペクト・パトローナム」
杖を振ります。ですが杖先からは白い靄さえもでません。呪文を失敗するのは初めてです。こうなった以上彼女に恩を売ることもできない。詰みですね。
「助けられず残念です」
「何…どういうこと?」
私はそのまま背を向けてその場を去ります。どういうわけか吸魂鬼は私に興味を示しませんからね。
「置いていかないで…!これを解いてよ!」
「あんまり怖がると気付かれちゃいますよ」
ケインズの悲鳴がどんどん遠ざかっていきます。可哀想に。吸魂鬼にキスをされると適切な処置を施さねば吸魂鬼になると聞きます。
私も助けられるものなら助けてあげたかったのですが、彼女は私をかならず拷問するという硬い意志を持っていましたし、これは正当防衛ですね。
説得する時間がなくて本当に残念です。いい友達になれたかもしれないのに。
ま…この写真に写る人間を片っ端から調べればいつか答えにたどり着くでしょう。二年目の終わりにしては上々な成果じゃないですか。
今年は一度も死んでないし、生徒を生贄にもしてないし、上々ですよね。よく知らない誰かの死なんて些細なことです。そうでしょ?
ハリーは杖を構えた。シリウスも背中合わせで杖を構えている。流石にこんなことになっては落ち込んでいられないようだ。
「そういえばその杖、どうやって手に入れたの?」
「何…ちょっと盗んだ。そのせいかあんまり言うことを聞いてくれなくてな」
吸魂鬼はシリウス目掛け飛んできた。シリウスは守護霊の呪文を唱えるが杖からは白く光るモヤが出るだけでうまくいかなかった。幸せな思い出が霞むのだろう。
ハリーは自分の心も恐怖に負けかけているのに気付いた。こんなんじゃだめだ。ハリーは吸魂鬼に囲まれている中、目を閉じて深呼吸した。
シリウスはペティグリューを殺してしまった。結局またアズカバンに送られるかもしれない。けれども今ここで彼を守らなくては、すべての真実はまた闇の中だ。
正しい事をしなくちゃならない。
それはハリーの中にある確固たる信念だった。
恐怖でどんどん胸の奥が黒い水のようなものに満たされて、息ができなくなる感覚に陥る。恐怖は抗えない本能からくる感覚だ。
しかし自分の中にある思い出は違う。思い出は、記憶は、幸せは、自分の中に在るものだ。
恐怖という刹那の感覚に負けるはずがない。
「エクスペクト・パトローナム!守護霊よきたれ」
確かな手応えがあった。
白い光が瞬いた後、杖先から大きな白い牡鹿が出現した。ハリーは杖をシリウスに襲いかかる吸魂鬼たちへ向けた。牡鹿は吸魂鬼を蹴散らすように力強く駆けた。シリウスが歓声を上げた。
「ジェームズと同じ守護霊だ…!」
それを聞いてハリーの中の幸せな気持ちが増した。幸福が増すにつれ守護霊の放つ光が増し、ついに周辺を取り巻いていた吸魂鬼たちが煙を吹き払うように一勢に飛び去ってしまった。
「ハリー!」
「シリウス…」
ハリーとシリウスはしっかりと抱き合った。
ハリーはシリウスの冷えた身体を温めようと強く抱き締めた。シリウスの身体は見かけよりも痩せていて、思っていたよりも大きかった。
「シリウス、学校に戻ろう。ダンブルドアのところに行かなきゃ」
「ハリー…すまない。それはできない」
「え…」
ハリーは後ろに突き飛ばされた。尻もちを付きシリウスに理由を問いただそうとした時にはすでに彼は犬の姿へ変化していた。そして身を翻し森の奥へと走り去ってしまう。
「シリウス…!シリウス!!」
ハリーの叫びは虚しく森の中に木霊した。さっきまでの幸福感はすっかり霧散してしまった。
「どうして……」
ハリーは挫けそうになる心をなんとか奮い立たせなければならなかった。ここで悲しみに暮れていたら再び吸魂鬼に襲われる可能性が高い。先程のような強力な守護霊を呼び出せる自信もない。
そしてなにより…ピーター・ペティグリューの死体を持っていかなくては、シリウスの冤罪を証明できない。彼が本物の殺人者になってしまった事実は取り消しようもない。
ハリーは月明かりもまばらな森を必死に歩いた。遠くに見える城の明かりはなんだか幻想のようだ。
ほとんど崖のような斜面を登ると、聞き覚えのある蹄の音が聞こえた。ケンタウルスだ。坂の上からプラチナブロンドの美しい金色の毛が見えて、ハリーはホッとした。
「やはり、ハリー・ポッターでしたか」
「フィレンツェ…」
「ついておいで」
フィレンツェは斜面を飛んでハリーのそばに着地した。そして崖を回り込む道へ案内してくれた。
「どうしてここに…やっぱりって?」
「吸魂鬼、あの忌まわしい生き物が森に入ってきてみなざわついています。あれらは壮絶な恐怖を体験したものに引き寄せられる。君が襲われたことは我々の間でも有名ですから」
「そうなんだ…」
「それに…ちょうどこの崖の上で犠牲者が見つかった。私はダンブルドアにそれを知らせなければならない」
「犠牲者?!」
「ええ。彼女は一度あったことがあります。魔法生物規制管理局の魔女…名前はたしか」
「まさかケインズ…?」
「そう。彼女は吸魂鬼に襲われキスされたようです」
「そんな…キスされた人間はもう助からないって…」
「ええ。ですので急いで知らせなければ」
シリウスの逃亡に、すでに任務を終えいなくなったはずのケインズの犠牲。ハリーの頭はもうパンク寸前だった。フィレンツェがいてよかった。もしこのまま崖を登りケインズと鉢合わせしたら今度こそ吸魂鬼と戦う気力が消えてしまっていたかもしれない。
しばらく歩くと松明の明かりが見えた。
「ハリー!ハリー!」
ハグリッドの声だった。フィレンツェが「ここです」呼びかけると、どすどすと音を立ててハグリッドが現れた。そしてフィレンツェに脇目も振らず、ハリーを抱き締めた。
「は、ハグリッド…苦しい…!」
「お前さんがやられちまったんじゃないかと思った!ハーマイオニーとロンもずいぶん心配しとったんだ…!ほら、おーい!ハリーがいたぞ!」
「ハリー、無事かい?!怪我はない?」
ハグリッドが大声で叫ぶとロンとハーマイオニーが駆け寄ってきた。ハリーはようやく、強く握りしめた杖から手を離した。視界が滲んで、涙が出てきた。
「ハリー…何があったの?」
「ハグリッド、ダンブルドアは?」
「暴れ柳の方でちっとな…その対処をしちょる」
「そうですか。では他の職員に急ぎ伝達願いたい。この奥、崖の手前の茂みで魔法省のケインズという魔女が吸魂鬼に襲われ、倒れています」
「何?あのケインズがなぜ森に……?」
「伝えることは伝えました。私は帰ります。群れの一部はこういうことを好ましく思わないので」
「わかった、フィレンツェ…ありがとうな」
「我々も吸魂鬼に棲まわれては困る」
フィレンツェは背を向けた。
「私は……運命に身を委ねています。だが、あなた方のことも好ましく思っています。どうか辿り着くよう、見守っています」
そう言って去っていった。金色のたてがみがたなびき、闇に溶けていった。
「ハリー、わしは急ぎさっきのことを先生方に伝えに行かなきゃならん。ハーマイオニーとロンとでハリーを医務室へ」
「わかったわ」
ハーマイオニーとロンはハリーの肩を支えた。ハリーはハグリッドの背中を見送ってから、二人に事の顛末を話した。
シリウス・ブラックの真意。そして、スキャバーズの正体。特にスキャバーズの正体について、ロンは全然信じてくれなかった。ルーピンの正体が狼人間だったと話すと、ハーマイオニーは小さく「やっぱり…」と呟いていた。そしてシリウスが逃げ出したペティグリューの後を追ったあたりで、森を抜けた。
「ポッター!」
森から出てまず出会ったのはマクゴナガルだった。
「ミスター・ウィーズリー、ミス・グレンジャー二人は寮へ戻りなさい」
「でも、ハリーを医務室へ連れて行かないと」
「ミスター・ポッター。あなたは至急校長室へ」
マクゴナガルはそれだけ言うと、慌ただしく森へ入って行った。おそらくケインズの死体を探しに行くのだろう。
医務室へたどり着くと、事情を聞いていたのかマダムポンフリーが温かいミルクを出してくれた。ロンとハーマイオニーのぶんも作ってくれ、三人はひとまず落ち着くことができた。
「ねえハリー…スキャバーズの死体を持ってるんだよね」
「うん。ピーター・ペティグリューの…」
「うう…ごめん、よく知らないおじさんの死体だっていうのにまだ納得が…」
「無理もないわ」
散々スキャバーズのことで詰られていたハーマイオニーだが、スキャバーズが動物もどきだと聞いて少しは罪悪感も薄まったのだろう。この場合薄まってもいいものかわからないが。
「シリウスは本当に人殺しになってしまったんだ…」
ハリーははその事実に再度打ちひしがれた。ロンもハーマイオニーもかける言葉がなかった。そこで来客があった。
「失礼、邪魔していいかの」
ダンブルドアだった。いつもどおり穏やかな表情で、ハリーは見て安心すると当時にペティグリューの死体を引き渡さなくてはならないことを思い出した。
「先生、シリウス・ブラックは無実だったんです!裏切り者はこの…ネズミに変身していますが、このピーター・ペティグリューだったんです!」
「ハリー、落ち着いて」
ダンブルドアはとても穏やかだった。
「トンクスとセブルスから話は聞いた。セブルスの方には頑なにブラックを捕まえろと言われたがのう。…しかしなぜペティグリューは死んでおるのじゃ?」
「それは………」
ハリーは心臓がぎゅっと潰されるような気分だった。そして絞り出すように言った。
「シリウスが……殺してしまったからです」
「なるほど…」
ダンブルドアはしばし沈黙した。そして明るい青い目がハリーとハーマイオニーを行き来した。
「残念ながら変身した動物もどきがその場で死んだ場合、人間の姿に戻すのは不可能じゃ。更に動物もどきであるという証明自体も難しい。特に未登録であればなおさらじゃ。残念ながら証拠としてまともに取り扱われんじゃろう」
「そんな…じゃあシリウスは…」
「よくお聞き、ハリー。シリウスが新しく罪を犯したのか、その場で見てない限り、もう誰もわからないのじゃ」
ハーマイオニーはそこで「あ…」と小さく声を上げた。
「ふむ。ともあれ関係者の証言をその場で照らし合わせる必要があるのう…儂はもう一度トンクスたちと面談してこよう。それまで医務室は誰も立入禁止じゃ」
ダンブルドアは医務室から出ていこうとした。ハリーは思わず呼び止めようとしたが、今度こそダンブルドアの姿が消えた。
それを見るやいなやハーマイオニーは胸元からネックレスを出した。円形の金具の中心に回転するように砂時計がついたものだった。それとハリーとロンを見てちょっと悩むようにつぶやいた。
「ロンは…うーん…スキャバーズの事だし、冷静でいられないかもしれない…留守番ね」
「え?なんの話…?」
「僕が留守番?なんでさ」
「説明してる暇はないの。…ハリー、聞いて」
ハーマイオニーはネックレスを掲げた。
「これは『逆転時計』よ」
砂時計の中できらめく砂粒はソフィアの瞳のような輝きを放っている。
「私の変な時間割…あれはこの時計で時間を巻き戻して可能にしていたの」
「ちょ、ちょっとまって…時間を巻き戻すだって?」
「そう。これで…シリウスが本当にピーターを殺してるのか確かめられるわ」
「シリウスが逃げるのも止められる…?」
「いえ、それは違う。ハリーはもう一人のハリーなんて見てないでしょう?未来の私達が過去の私達自身に干渉するのはだめだわ」
「じゃあ…」
「とにかく、遡りましょう。時間がもったいないわ」
ハーマイオニーは逆転時計を掲げると、くるりと回転させた。ロンの混乱した顔がグニャリと歪んだ。
動物もどきの設定は独自のものです