武勇伝みたいな、あれ。
店
「…なー、たまには良いだろー?」
「何がたまにはだよ…嫌だよ俺の過去なんて知りたくないだろ」
「店長の秘密知りたいよなこころ」
「イエス黒歴史ノータッチ」
「お前が咥えてる飴炙るぞ」
…そうだなぁ、俺が一番ヤンチャだった頃の話をしようかなぁ。いや、でも先代の巫女さんに厄介になった時の話でも良いかなぁ…うーん、うーん…と悩んでいると魔理沙が『年寄りの話なんて大体自分の時代から昔はヤンチャだったくらいなもんだぜ』とか言ってた。ふざけんなクソ。
「まあ、お前の言った通りの時期の話をしよう」
「ヤンチャか?時代か?」
「ヤンチャだな。あの頃の俺は怖いもの知らずでな。香霖堂に置いてあった外の世界のものにお札を貼っては妖怪をタコ殴りにしてたよ」
「ヤンチャってレベルじゃねえぞおい」
「それがお前の時代のヤンチャか、驚いたぞ」
「今はもう心を入れ替えてるさ」
昔の香霖堂
「…これかな」
「おや、お目が高い」
「そうですかね?」
「お世辞だよ。外の世界で交通整理に使われるものさ」
「こうつうせいり?」
「ま、幻想郷には無縁だけどね。下のデカいのは、風で倒れないようにするための物だね」
「へー」ヨイショ
おや、意外と軽い。意外と軽いと言っては失礼か。しかしだな。こちとら巫女の養護施設で最も挑戦的なコース、鬼焼きコースを生き抜いた子供だぞ。低級妖怪くらいなら素手で勝てる。中級には刀がいるかな。大妖怪とか考えたくねえよもう死ね
「買うのかい?」
「買う」
昔の博麗神社
「うーっす」
「あら、知らないお客ね」
「八雲さん、久しぶり…と言うほどでもないけど、まあ」
「ええ、どうも。で?まだ博麗の巫女探し中なんだけど、神主でもやってくれるの?」
「それも良いですねぇ」
「さすがは先代の巫女が作ったあの鬼畜コースをクリアする子ね…あれは私でも攻略するのにかなりの時間が要るわよ」
「まあな」
とか言ってる間に、どこからか、博麗の巫女がいないと聞きつけて低俗な妖怪が寄ってきた。巫女の住処を奪えばもう妖怪のペースだと思ってんのか、こいつらは。そう思ってたら襲いかかってきた。折角だし買った標識とやらを使おうかね。
「ふんっ」ブンッ
「アギャッ」ゴリァッ
「…躊躇無いわね〜」
「お前は階段を登ってこい!」カッキーン
「ナイスバッティーング」
…とまぁ、こんな感じだ。そう説明すると魔理沙とこころは物足りないと言い顔をし、魔理沙が思いついたように鬼畜コースとはどんなのかを聞いてきた。鬼畜コース。あれはもう思い出したくない。例えることすらも嫌になる。
今の店
「…はぁ。人って面倒だよな」
「なんだ?詩人ぶってんじゃねーぞ!」
「…その後風見幽香に対してお札を貼りまくった標識で戦った」
「聞かせろ」
「詳しくな、詳しくな!!」
カランカラン
「ご本人様だぞ、俺はもう覚えてないからそっちに聞け」
「幽香!」
「風見幽香!!」
「…え、何?」
「こいつと戦ったんだろ!?感想を聞かせてくれ!!」
「独り占めはずるいぞ!」
「…ああ、あれね。ええ。戦ったわね」
「教えろ!教えろ!」
「こころ、あまりしつこいと顔面吹き飛ぶぞ」
「なにそれこわっ」
「こころちゃん、怖がってる顔じゃないんだよ」
「外の世界のものにお札が30枚くらい貼られてて、それで殴られた時は痛かったわねぇ」
「嘘だろオイ怖すぎんだよ」
「若気の至りだな」
「お前今何歳だ?」
「何歳に見える?」
「…こいつ面倒だな」
「またやりたいわねぇ。あんなにドキドキした戦いは…そうね、八雲紫くらいしかいないわね」
「大妖怪と並んでんじゃねーかオイ」
「そんな奴が拉致られたり店潰されたりわけわかんねーなおい」
「精神的な攻撃に耐える手段は知らねえからな。しゃーねー」
いや、まぁ考えるまでもなくキレる案件なんだろうけど、幻想郷ではそんなんじゃ生きていけないぜ。うっかりキレた相手が機嫌の悪い大妖怪とか、洒落にならん。ならんと言うよりは死にたいと言ってるのと同じと言っておこうか。
「ふんっ!」グサッ
「んっ!?」
「…相変わらず反応が早いわね。大したものよ」
「店の壁に穴開けるのやめてもらえるかな」
「安心しなさい。私は親切よ」
「…草で穴を隠すなよ」
「それじゃあね」
「いや、おい…妖怪退治行ってくる」
「店どうすんだよ!?」
「バイト二人に任せるわ!」
「胸が高まるな!!」
「なんも高まらねえよ!?」
人里
「でりゃあ!」ゴスッ
「危ないわね」
「うるせっ。壁直して行けよ!」
「普通それでここまでやるのかしら…」
「俺はやるの!!」ブンッ
「通行人に当たるわよ!?」スカッ
「回転蹴りぃ!」ゴシッ
「ふんっ!」ブンッ
「っぶな!」グサッ
「…永遠亭の姫の能力かしら?硬いわね」
「慧音先生!!」
「ふんっ!」ドロップキック
「いだっ!?」
「ちょっ」ドサッ
…外の世界ではこれをご褒美というらしい。女性にドロップキックされ、目の前に居た女性に被さる形で倒される。風見幽香が育てている花の匂いだろうか、頭がその匂いで埋め尽くされかけた時、俺は起き上がった。
「っくはぁー!死ぬかと思った!!」
「…なによ、失礼ね」
「そんなことよりだ。何故二人が争っているんだ?人里の中で」
「じゃあな、幽香さん」ボソッ
「?」
「ふんっ!」ダッ
「あっ!?」
「…糸の能力って聞いてはいたけれど、あんな挙動ができるのかしら…?」
一方その頃店は
ドガーン!
「…壁が崩れたな」
「というか魔理沙、お前状態を戻す魔法ないのか?」
「なんだお前って。この…ある!」
「それをやれば給料上がるのでは?」
「名案だ!早速試そう!!」ホワァン
「治ってきた!これは良いぞ!」
ドガーン!
「あぐ…」
「店長、顔になんか印付いてますよ」
「ドロップキックされた時に付いたんだな、どうせ。あのクソ野郎が…」
「あー…私知らないっ」
「は?」
ヤンチャ(若気の至り)でした。
というより、主人公人間のくせして大妖怪と渡り合えるとかなにそれ主人公か?
主人公だよ。