遊戯王SHADOWS-SLEEP HERO-   作:ドルキ

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数年ぶりの投稿です。
ブレイジング・ボルテックスが発売したので遊戯王が懐かしくなり描き始めました。


プロローグ

 デュエルモンスターズ。

 それは世界で最も知られているカードゲームで、世界での競技人口は世界人口の8割を超える。

 子供の遊びだけに止まらず、デュエルが強いだけで進学や就職に有利になり、揉め事の解決事にも用いられることもある。

 その人気からプロリーグも設立しており1デュエルで数億の経済効果が生まれることも珍しくないほどデュエルモンスターズは世界中で熱狂されている。

 

 

とあるプロリーグのデュエルスタジアム

 

『おおっと!これは決まってしまったか!』

 

『うおおお!!』

 

 実況者が叫ぶ。

 会場中が湧き上がり、観客達の歓喜の声が上がりスタジアムが熱気に包まれている。

 

「へっ!ざっとこんなもんよ!」

 

ドラグ辰吉 LP:2000

フィールド

メインモンスターゾーン

トライホーン・ドラゴン レベル:8 ATK:2850

魔法・罠ゾーン

セット1枚

 

手札0

 

 ドラゴン使いで有名なプロデュエリスト、ドラグ辰吉が対戦相手に挑発する様に言い放つ。

 ドラグ辰吉のフィールドには3本のツノが生えている最上級モンスターで彼のエースであるトライホーン・ドラゴン。

 相手のフィールド、手札にはカードがなく勝利を確信していた。

 

 その相手はそんな状況にあるにもかかわらず、冷静に相手を、このフィールドを見定めているように見えるのだが、見定めているかどうかは判断が出来ない。

 それもそのはず。

 対戦相手は黒で統一されたデュエル衣装に、笑っているようにも怒っているようにも悲しんでいるようにも見える白の仮面をつけた白銀の髪を持つデュエリストだ。

 

『さぁ、スリー選手!ここで連勝記録が途絶えてしまうのか!』

 

 実況者がこのデュエルを盛り上げる為に再度声を荒げる。

 

 ドラグ辰吉のデュエルの相手。

 スリーの愛称で呼ばれる者の名前はスリープレス・マスク。

 プロデュエリストになる者は基本的にアマチュアの大会で実績を収めたり、デュエルを専門に学ぶ学校を卒業したなどプロになる前から世間で名前が広がり有名になる事も珍しくない。

 だが、スリーは全くの無名のままプロデュエリストのライセンスを取り、約2ヶ月前に突如としてプロリーグに彗星の如く現れたデュエリスト。

 初めは誰も気にも留めなかった存在だったのだがデビュー以来連戦連勝。

 今では期待のルーキーとして人気を得てきているデュエリストだ。

 

スリープレス・マスク LP:750

フィールド

メインモンスターゾーン

なし

魔法・罠ゾーン

なし

 

手札0

 

「これでお前の連勝も終わりだな!ま、ルーキーにしては頑張ったんじゃねぇか」

 

 ドラグ辰吉が再度スリーを挑発する。

 誰もがスリーの負けと思い込んでいる中、

 

「フッフッフッ…」

 

 静かにスリーは笑っていた。

 

「何がおかしい!」

 

 ドラグ辰吉がスリーの笑い声に苛立ちを覚え声を上げる。

 

「いえ、別におかしくは……いや、おかしいですね。何を終わったとお思いですか?」

 

「何……」

 

「まだ、デュエルは終わっていないではないですか」

 

「この状況で終わっていないだと!」

 

「あなたもプロでしょう。最後までやってみなければ分かりませんよ」

 

「はん!ならやってみな!」

 

 スリーはデュエルディスクにセットしている自分のデッキに指を掛ける。

 

「私のターン!」

 

 スリーはデュエルディスクから思いっきりカードをドローした。

 

「フッ……」

 

 スリーはドローしたカードを確認すると再度笑い声を上げた。

 

「やはり、最後までやってみないと分かりませんでしたね。私は魔法カード【フュージョン・デステニー】を発動!」

 

 デュエルディスクにカードをセットするとフィールドに雲が渦を巻いているようなエフェクトが発生する。

 

「このカードのエフェクトにより"D-HERO"を素材とした融合モンスターをエクストラデッキから融合召喚します!」

 

「お、お前のフィールドにも手札にも素材となるモンスターがいねぇじゃねぇか!」

 

「チッチッチッ」

 

 スリーは人差し指を立てながら横に振り舌を鳴らす。

 

「【フュージョン・デステニー】は手札だけではなく、デッキのモンスターも素材とする事ができるのですよ」

 

「何だと!」

 

 ドラグ辰吉の驚愕と共に会場が更なる熱気に湧き上がる。

 

「融合素材は【D-HERO(デステニーヒーロー) ドグマガイ】と【D-HERO(デステニーヒーロー) Bloo-D(ブルーディー)】!最後にして最強のDのHEROよ!その究極の力で全ての悪を粉砕し、破滅の未来から世界を救え!融合召喚!カモン!【Dragoon D-END(ドラグーン・ディーエンド)】!」

 

 スリーが叫ぶとフィールドに片方の腕が剣のようになっており、反対側がドラゴンを模りその口が銃口のようになっている翼の生えたモンスターが現れた。

 

Dragoon D-END レベル:10 ATK3000

 

「な、何だこいつは!」

 

 その圧倒なまでの存在感でドラグ辰吉が驚愕し、身構える。

 

『おおっと!スリー選手!ここに来て新たな融合モンスターを召喚した!スリー選手のエースモンスター2体を素材に融合されたモンスターだ!これは強いに違いない!』

 

『うおおお!!!』

 

 これまでに見ないモンスターの召喚に実況者、観客達のボルテージが最高に上がっていく。

 

(だが、セットされているのは【聖なるバリア-ミラーフォース-】。お前が攻撃してくれば俺の勝ちだ!)

 

 ドラグ辰吉は自分のフィールドにセットされている罠カードに勝利を確信していた。

 そんなドラグ辰吉を余裕な表情を他所に、スリーは淡々とデュエルを進めていく。

 

「さて、最後のDの力をお見せしましょう。【Dragoon D-END】のエフェクト発動!1ターンに1度、相手フィールドのモンスターを破壊し、そのモンスターが表側表示だった場合、その攻撃力分のダメージを相手プレイヤーに与える!」

 

「何だと!」

(効果破壊だとセットカードは意味がねえ……)

 

 先程まで勝利を確信していたのだが、それとは一転して自分の敗北に喫しおうとしていた。

 

「これで終わりです! "インビンシブル・D"!」

 

「くそったれ!」

 

 Dragoon D-ENDがトライホーン・ドラゴンをその剣から起こした旋風で細切れになり爆砕した。

 

ドラグ辰吉 LP:2000→0

 

『決まった!スリー選手、圧倒的不利からの大逆転勝利だ!これでデビュー以来15連勝!この快進撃はどこまで続くのか!……うん?なんですか?ってこれは!」

 

 実況者が実況する中でスタッフから渡された資料を確認すると驚愕した。

 

『スリー選手は1ヶ月程休暇を取るそうです。デビュー以来怒涛の連戦でしたからね。疲れが溜まっていたのでしょう。人気が急上昇している所ですが、彼の帰還を楽しみに待つとしましょう」

 

 観客達が湧き上がる中、膝をつき呆然としているドラグ辰吉を他所にスリープレス・マスクはデュエルフィールドを後にした。

 

 デュエルフィールドから戻ってきたスリープレス・マスクは控室の扉を開けて中に入る。

 中に入ると蒼髪のロングヘアの黒スーツの美女が壁にもたれかかって立っていた。

 

「スイ君、お疲れ様」

 

 スリープレス・マスクに労いの言葉を掛け、近づきながら微笑み掛ける。

 

「ふぅ…確かに疲れましたよ。週1以上ってどういう事ですか?あと、今はスイ君は禁止ですよ。正体がバレたらどうするのですか?」

 

「まあまあ、その時はその時でしょ。それに15連勝。ファイトマネーがガッポリで私達の事務所はウハウハよ。ま、私とスリー君しか居ないけどね」

 

 笑いながら親指と人差し指を使い輪っかを作る。

 彼女はスリープレス・マスクの所属するプロデュエリスト事務所の社長でありマネージャーである。

 スリープレス・マスクが最初に注目を浴びなかったのはこのプロデュエリスト事務所【スターダスト・ミラージュ】が創設されたばかりのプロデュエリスト事務所だったからでもある。

 社員は彼女だけでマネージャーも雑用もこなし、所属するプロデュエリストはスリープレス・マスクだけだ。

 

「ウハウハって、まだそこまで儲けは出ていないでしょう」

 

「そうでもないわ。スリー君の学費と当面の生活費くらいは余裕よ。これからはグッズの売り上げなんかも入ってくるし。あっ、そういえばCMのオファーも来ていたわよ。人気者ね、スリー君」

 

「……はあ」

 

 営業の話ばかりの彼女に呆れたのかスリープレス・マスクはため息を吐いた。

 スリープレス・マスクは礼儀正しく紳士的でそこが人気の理由でもあるのだが、これをファンが見たら落胆するだろう。

 しかし、スリープレス・マスクがこんな姿を見せるのは彼女だけだろう。

 

「それにしても今日はヤケに苦戦したわね。あんまり相手のことを悪く言うのは良くないけどそれほど苦戦する相手には見えなかったけど……って、いうよりわざと演出してたでしょ!負けたらどうするの!せっかく、いい流れになってきたのに!」

 

 彼女は頬を膨らませながらプンスカと怒り出す。

 

「いい歳してそんなことをしても可愛くないですよ。迷惑です」

 

「何を!」

 

 彼女が激情するがすぐに冷静さを取り戻す。

 取り戻すと言うよりも、先程の言動は彼女のいつもの言動で演技のようなものなのである。

 事務所の社長であるからして演技は営業の技術の1つである。

 それは、プロデュエリストもまた然り。

 

「で、何であんなデュエルをしていたの。負けるかもしれないのに」

 

「別に負けるつもりはありませんでしたよ。暫くデュエルフィールドを明けるファン達に送るファンサービスです。それに……」

 

 スリープレス・マスクは仮面に手を掛け、それを外す。仮面と白銀の髪は一体となっており、今まで隠れていた翠色の髪が露わとなる。

 大人の様な礼節を持っていたスリープレス・マスクだったがその顔はまだ幼さが残る少年だった。

 

「今日は〜負けないと思ったんだ〜」

 

 先程とは打って変わり、間の抜けた話し方になった。

 まるで別人の様だ。

 

「ふっ、そっか」

 

 彼女も気が抜けたのか笑う。

 

「明日から学校よ。早く帰る準備をしましょう。私達の目的の為にもお互いに頑張りましょうね」

 

「ん〜、頑張るよ〜」

 

 蒼髪の女性と翠色の髪の少年の目的とは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今日の最強カード
Dragoon D-END
融合・効果モンスター
星10/闇属性/戦士族/攻3000/守3000
「D-HERO Bloo-D」+「D-HERO ドグマガイ」
このカードの融合召喚は上記のカードでしか行えない。
(1):1ターンに1度、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
その相手モンスターを破壊し、表側表示モンスターを破壊した場合、
その攻撃力分のダメージを相手に与える。
この効果を発動するターン、自分はバトルフェイズを行えない。
(2):このカードが墓地に存在する場合、
自分スタンバイフェイズに自分の墓地の「D-HERO」カード1枚を除外して発動できる。
このカードを墓地から特殊召喚する。

主人公の切り札です。
アニメのエドは関係ないですがD-HEROは世間ではあまり出回っていないカテゴリーという設定です。

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