遊戯王SHADOWS-SLEEP HERO-   作:ドルキ

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久しぶりの投稿となります。
不定期にはなりますが、時々投稿はしていこうと思っています。
…本当ですよ。


第2話 新たなる光の輝き

「ここが、僕達一年生の教室です」

 

「鳶君、ありがと〜」

 

 鳶と翠奈は、道中に何があるか紹介しながら、一年生の教室までやってきた。

 鯉ヶ崎は鳶が翠奈を案内することになったので、保健室に戻った。

 

「放課後もよろしくね〜」

 

「はい。後で案内しますね」

 

 翠奈はレベル組、鳶はランク組でクラスが分かれている為、放課後に鳶が学園の案内をする約束をして、それぞれの教室に入っていった。

 

 翠奈は教室に入ると、クラスメイトがヒソヒソと話しながら、自分を見ていることに気がついた。

 

「くそ、うらや…いや、けしからん」

 

「いきなり、あれはないよね」

 

 翠奈は意外と耳がいいのでヒソヒソ話の内容は聞こえてくる。

 

「?」

 

 翠奈は眠りについた前後の記憶が睡魔のせいで抜けており、どうして自分が注目されているのかを理解することが出来ずに首を傾げた。

 

「お戻りになりましたか」

 

 翠奈が首を傾げていると、水色の髪の女子生徒が翠奈に声を掛けてきた。

 その女子生徒はハッキリとした目鼻立ちをしており、腕や足もよく引き締まり、十人に聞けば十人が美少女と答える程、容姿が整っている。

 強いて言えば、同年代の女子達よりも胸は控えめと思われる。

 

「君はだ〜れ?」

 

「私の名前は宝城(ほうじょう)(あや)。このクラスの学級員長をしてる者です。まだ、隈がある様ですが、大丈夫なのですか?」

 

 彩が気遣わしげな表情を浮かべて翠奈の心配をする。

 

「だいじょ〜ぶ。元々、隈はあるから〜。お昼寝したからバッチリだよ〜」

 

 心配している彩の気を知ってか知らずか、翠奈は左手でVサインをしながらマイペースに答えた。

 

「それは良かったです。しかし、初対面で言うのはどうと思うのですが、疲れているのでしたら休むことも大事です。体を壊す原因にもなりますし、何よりいいデュエルが出来なくなりますわ」

 

「ごめんね〜。気をつけるよ〜」

 

「…わかっているのでしょうか」

 

 これから新しいクラスメイトとなることは当然として、デュエルのライバルとなる相手を他のクラスメイト達は警戒している。

 編入早々の翠奈の行動や言動が変わっていると別の意味で警戒している中、彩はクラスの代表として翠奈に話しかけたが、すっかり警戒心を解かれ、寧ろマイペースな翠奈に頭を抱えた。

 

「それはそうとして、遊凪さん。あなたを歓迎する意味も込めまして、私とデュエルをしませんか?」

 

「デュエル?」

 

「はい。新しくクラスメイトとなる遊凪さんのことを知る為、そして私達のことを知ってもらう為にもデュエルが1番と考えました。流石にクラスメイト全員とは時間が掛かってしまいますので、本日は私が代表としてデュエルをしようと考えています。放課後などは如何ですか?」

 

「う〜ん、どうしよ〜」

 

 翠奈が唸る様に悩み出す。

 

「不都合がありまして?」

 

「う〜ん、不都合じゃないんだけど〜。放課後にね〜学園のことを〜案内してくれるって〜鳶君と約束しちゃったんだ〜」

 

「鳶と言いますとランク組の旭山さんでしょうか?」

 

「そうだよ〜さっき友達になったんだ〜」

 

 翠奈の言葉で周りで様子を伺っていたクラスメイト達がヒソヒソと話だした。

 

「旭山ってあいつだよな。あのくそ弱いやつ」

 

「そうそう、よく入学できたよな」

 

「あんな奴と友達になるなんてな」

 

 中には嘲笑うようにクスクスと笑う者もいた。

 

「な〜んか、感じ悪いな〜」

 

 鳶を、友達を馬鹿にされて翠奈は目を若干細めて気分を悪くする。

 

「あなた達!」

 

 そんなクラスメイト達に声を上げたのは彩だった。

 

「ここにいない人の悪口を言うのはやめなさい!対戦相手はもちろんのこと、誰も人のデュエルを馬鹿にする資格などありませんのですから!」

 

 彩の声に他のクラスメイト達は押し黙りバツの悪そうな表情を浮かべた。

 

「へ〜」

 

 クラスメイトに声をあげた彩を見て、翠奈は感心した。

 

「彩ちゃん、ありがと〜」

 

 そんな彩に自分の代わりに叱ってくれたことにより翠奈は礼をする。

 

「あ、彩ちゃん…い、いえ、当然のことをしたまでです」

 

 ちゃん付けの呼び方に慣れていない彩は少し動揺しながら答えた。

 

「とりあえず、どうでしょうか?後で旭山さんに確認を取ると言うのは?」

 

「そうだね〜。聞いてくる〜」

 

 翠奈は教室を出てランク組の教室に向かう。

 意外と行動が早い。

 

「鳶く〜ん」

 

 教室に入るとすぐに鳶を呼ぶ。

 

「ゆ、遊凪君!どうしたんですか!」

 

 自分を呼ぶ翠奈の声に先ほど別れたばかりだったこともあり、鳶は驚き声を上げた。

 ランク組の人達は見たことのない翠奈に興味を持つ者もいた。

 鳶は翠奈の基に駆け寄った。

 

「鳶く〜ん、さっき学園の案内をするって言ってたんだけど〜」

 

「ど、どうしたんですか?」

 

「クラスの子がね〜歓迎のデュエルを〜放課後に〜したいって言ってるの〜。けど〜放課後は〜先に鳶君と〜約束したから〜どうするか〜聞きにきたの〜」

 

「そ、そんなのクラスの人達と約束を優先してください。案内なんていつでもできますから」

 

「わかったよ〜。あ!鳶君も見に来てよ〜」

 

「いいんですか?」

 

「いいよ〜。鳶君は強く〜なりたいんでしょ〜。人のデュエルを〜見るのも〜勉強だよ〜」

 

「そうですね。わかりました。見学させてもらいます」

 

「じゃ〜、放課後ね〜」

 

 鳶と約束を交わして翠奈は自身の教室へと戻った。

 

 

 

 

 放課後

 

 約束した通り彩とのデュエルの為にデュエル場へと向かう。

 このデュエルアカデミアにはデュエルディスクでのデュエルに特化したデュエル場が設備されている。

 教室や野外でのデュエルでもいいのだが、デュエル場を使用することによりより良いデュエルを行うことができるのだ。

 生徒達は放課後や休み時間に使用する許可を申請することによりいつでも使用することが出来るようになっている。

 デュエル場は3種あり、全校生徒が入って1デュエルを観覧できる最大級のデュエル場、授業などで使用される1度に3デュエルまで行える中型のデュエル場がある。

 今回は彩が事前に申請して使用許可をもらっていた比較的小規模のデュエル場を使用する。

 デュエル場に到着して設備の電源を入れる。

 彩はデュエル場の向かい側に向かい他のクラスメイト達はフィールド横から観覧する。

 

「ほ、宝城さんとデュエルするんですか!」

 

 翠奈の横で鳶が驚きの声をあげる。

 

「そ〜だよ。なんで?」

 

 翠奈は首を傾げた。

 

「だ、だって宝城彩さんといえばジュニアリーグで何度も優勝した実績がある学年ランキングでも2位の実力者じゃないですか!」

 

「へ〜、そ〜なんだ。…学年ランキングってなに?」

 

 がくっ!と倒れる勢いで鳶がよろける。

 学年ランキングとは月に1度、座学と実技の総合点数で出されるランキング。

 1〜3位まで発表されで施設の優先使用権等の特典が与えられる。

 1学年に100人近くの在校生が在籍している為、その中でも2位となっている彩の実力はトップクラスといってもよい。

 

「つまりそういうことです」

 

 鳶は翠奈に説明を行った。

 

「そ〜なんだ。彩ちゃんってすごいんだね。」

 

 デュエルディスクを準備しながら翠奈は彩を褒めた。

 

「ありがとうございます。ただし、次のランキング発表では1位を目指します。負けてはられません。遊凪さん、あなたはどうですか?」

 

「僕?」

 

 2位では満足していない彩。

 そんな彩に問いかけられて翠奈は考える。

 

「そ〜だね。やるからには負けたくないかな〜」

 

 間の抜けた返事だが確かに翠奈の言葉には力があった。

 

「良い答えです。では、始めましょう」

 

「そ〜だね」

 

 お互いにデュエルディスクを構える。

 

「「デュエル!」」

 

遊凪翠奈 LP:4000

メインモンスターゾーン

なし

魔法・罠ゾーン

なし

手札:5

 

宝城彩 LP:4000

メインモンスターゾーン

なし

魔法・罠ゾーン

なし

手札:5

 

 先行のランプは翠奈が点灯した。

 

「お〜、また先行だ〜」

 

 翠奈の言葉に彩が疑問を抱く。

 

「また?今日誰かとデュエルしたのですか?」

 

「そ〜だよ。槍坐くんとね〜」

 

 その言葉にクラスメイト達が少しざわめく。

 

「槍坐とは2年の向田先輩のことでしょうか?」

 

「そ〜だよ。勝っちゃたよ〜。いえ〜い」

 

 翠奈はVサインで答えた。

 その言葉にクラスメイト達のざわめきが増した。

 

「そうですか。これは気を引き締めないといけないですね」

 

 彩の表情がより真剣なものへとなった。

 実は槍坐は1年生にも名前は知られており、素行は悪いが過去に学年ランキングで3位にもなったことがある実力者であったのだ。

 そんなことを知らない翠奈は自分のペースでデュエルを始めだした。

 

「僕は〜、モンスターをセットして〜、そして〜カードを1枚セットするよ〜。ターンエンド〜」

 

遊凪翠奈 LP:4000

メインモンスターゾーン

セット1枚

魔法・罠ゾーン

1枚

手札:3

 

「まずは様子見という所ですね。私のターン、ドロー!私は【宝玉獣アメジスト・キャット】を召喚します」

 

手札5→6

宝玉獣アメジストキャット ☆3 ATK:1200

 

「【宝玉獣アメジストキャット】は相手のモンスターがいても直接攻撃することができます。行け、【アメジストキャット】!"アメジストネイル"!」

 

 アメジスト・キャットがフィールドを駆け出してその爪で翠奈に攻撃した。

 

遊凪翠奈 LP:4000→3400

 

「あれ?600?」

 

翠奈は首を傾げた。

 

「【アメジストキャット】の効果で攻撃を行った場合はダメージは半分になります。(伏せてあるカードを発動しませんでした。攻撃の時に反応するカードではない…ならば)バトルフェイズを終了して私はカードを2枚伏せます。ターンエンドです」

 

宝城彩 LP:4000

メインモンスターゾーン

宝玉獣アメジスト・キャット ☆3 ATK:1200

魔法・罠ゾーン

2枚

手札:3

 

「僕のターンだね〜。ドロー。そ〜だね、僕は〜【E・HEROエマーマン】を召喚するよ」

 

E・HEROエマーマン ☆4 ATK:1800

 

「そして〜、【エアーマン】の効果によって〜デッキから【HERO】モンスターカードを手札に〜加えるよ〜。僕は〜【E・HEROスパークマン】を加えるよ〜。そして反転召喚するよ〜【E・HEROクレイマン】」

 

E・HEROクレイマン ☆4 ATK:800

 

「そして〜魔法カード【融合】を発動するよ〜」

 

「やはりそう来ましたか」

 

 HEROデッキは融合に長けたデッキ。

 その特性を知っていた彩は気を引き締める。

 

「融合素材は〜【スパークマン】と【クレイマン】。現れいでよ!その(いかづち)を悪に轟かす剛雷のヒーロー【E・HEROサンダー・ジャイアント】!」

 

E・HEROサンダー・ジャイアント ☆6 ATK:2400

 

 フィールドに登場したスパークマンとクレイマンが渦を巻き込まれ爆発し、雷のヒーローが登場した。

 その時、一瞬だが翠奈の隈が消え間延びした話し方も変わったように見えた。

 

(気のせいでしょうか?)

 

 翠奈の変化に彩が気がついたがこれからの戦略を考える為に気を引き締めた。

 

「【サンダー・ジャイアント】の効果を発動〜。手札を1枚捨てることで〜このカードの元々の攻撃力以下の〜モンスターを破壊するよ〜。【アメジスト・キャット】を破壊するよ〜"ヴェイパー・スパーク"」

 

 サンダー・ジャイアントと雷がアメジストキャットに放たれる。

 

「私もリバースカードを発動します。【宝玉の集結】!」

 

 彩のリバースカードが発動するもアメジスト・キャットに雷が炸裂し、爆散する。

 

「あれ?倒せちゃいました」

 

 鳶がリバースカードを発動したにも関わらずアメジスト・キャットが破壊されたことに疑問を抱いた。

 

「ここからです。【宝玉の集結】の効果により、1ターンに1度、戦闘・効果で【宝玉獣】モンスターが破壊された場合にデッキより【宝玉獣】モンスターを特殊召喚することができます。現れて【宝玉獣サファイア・ペガサス】!」

 

宝玉獣サファイア・ペガサス ☆4 ATK1800

 

「さらに、【サファイア・ペガサス】の効果によってデッキより【宝玉獣】モンスターを魔法・罠ゾーンに置くことが出来ます。【宝玉獣コバルト・イーグル】を宝玉として魔法・罠ゾーンに置きます。"サファイア・コーリング"!さらに破壊された【アメジスト・キャット】も宝玉として魔法・罠ゾーンに置かれます」

 

 彩のフィールドに2つの宝玉が出現した。

 

「なるほど〜、面白いデッキだね〜」

 

「褒めていただきありがとうございます」

 

「じゃあ、僕も〜効果を発動しようかな〜」

 

「ここで発動する効果ですか?」

 

「うん。手札だから捨てたのは【E・HEROシャドー・ミスト】だよ〜。その効果により〜デッキより〜【E・HEROフェザーマン】を手札に〜加えるよ〜」

 

遊凪翠奈

手札2→3

 

「なるほど、やりますね」

 

「ありがと〜。それじゃ〜行くよ〜。バトルフェイズ〜。【サンダー・ジャイアント】で〜【サファイア・ペガサス】に〜攻撃だ〜“ボルティック・サンダー"」

 

 サンダー・ジャイアントが攻撃のために雷を充填し雄叫びをあげる。

 

「させません!リバースカードを発動します!【宝玉の祈り】!魔法・罠ゾーンの【宝玉獣】を1体墓地に送ることにより、相手フィールドのカードを1枚破壊します。【コバルト・イーグル】を墓地に送り【サンダー・ジャイアント】を破壊します!」

 

 コバルト・イーグルの宝玉が割れてサンダー・ジャイアントが爆散する。

 

「やるね〜。そうだな〜。【エアーマン】は攻撃力は同じか〜…よし、バトルフェイズを終わるよ〜。カードを1枚伏せて〜ターンエンドだよ〜」

 

遊凪翠奈 LP:3400

メインモンスターゾーン

E・HEROエアーマン ☆4 ATK1800

魔法・罠ゾーン

2枚

手札:2(内1枚はフェザーマン)

 

「「お〜」」

 

 2人の攻防にクラスメイト達と鳶が歓声の声をあげた。

 ランキング2位の彩はもちろんのこと、転校生である翠奈の実力に感心を見せた。

 

「私のターン、ドロー!」

 

宝城彩

手札3→4

 

「私は【宝玉の絆】を発動します。その効果により、デッキより【宝玉獣トパーズ・タイガー】を手札に加えて、さらに手札に加えたモンスターと別名の【宝玉獣】モンスター、【宝玉獣エメラルド・タートル】を魔法・罠ゾーンに置きます。さらに【宝玉獣トパーズ・タイガー】を召喚します」

 

宝玉獣トパーズ・タイガー ☆4 ATK1600

 

「そして【宝玉の開放】を発動します。これを【サファイア・ペガサス】に装備して攻撃力を800アップさせます」

 

宝玉獣サファイア・ペガサス ☆4 ATK1800→2600

 

「バトルフェイズに入ります!【トパーズ・タイガー】で【エアーマン】に攻撃します。【トパーズ・タイガー】は攻撃する時のダメージステップに攻撃力を400アップします"トパーズ・バイト"!」

 

宝玉獣トパーズ・タイガー ☆4 ATK1600→2000

 

 トパーズ・タイガーが駆け出してエアーマンに襲い掛かる。

 

「リバースカードを発動するよ〜。【ヒーローバリア】。【E・HERO】がいる時に〜1度だけ攻撃を無効にするよ〜」

 

 トパーズ・タイガーの前に現れたバリアが攻撃を防ぐ。

 

「そのリバースカードは最初に伏せていた…」

 

 彩が思い出すように呟いた。

 

「なるほど、1度発動を見送ることで意識をそらしたのですね。ですが次の攻撃はどうでしょうか!【サファイア・ペガサス】で【エアーマン】に攻撃します!【サファイア・トルネード】!」

 

 サファイア・ペガサスの角がエアーマンを貫き爆散した。

 

遊凪翠奈 LP:3400→2600

 

「ああ…ライフポイントが…」

 

 鳶が翠奈のライフポイントが少なくなっていくことに心配の声をあげる。

 他のクラスメイト達も「さすがは宝城」と褒め称える。

 

(ライフは勝っていますが…)

 

 ここにいる彩のみが翠奈の表情を伺っていた。

 手札も少なくなってライフも負けてはいるが、翠奈も彩のことを取り乱したりはせず様子を伺っている。

 

「私はバトルフェイズを終了します。そして伏せカードを1枚セットします。これでターン「ちょっとまって〜」」

 

 彩の宣言に翠奈が待ったを掛ける。

 

「なんでしょうか?」

 

「リバースカードを〜発動するよ〜。【裁きの天秤】」

 

 フィールドに神様が現れ天秤を掲げる。

 

「相手フィールドのカードの数が〜自分の手札・フィールドのカードの〜合計数より多い場合に発動できるよ〜。自分はその差の数だけ〜デッキからドローするよ〜」

 

 翠奈は手札の2枚とフィールドの【裁きの天秤】の3枚、彩はフィールドにモンスターが2体と【宝玉の開放】【宝玉の集結】宝玉状態の2体の【宝玉獣】とセットカードが1枚の合計7枚。

 その差は4枚。

 

「「おお!」」

 

 先ほど歓声よりも大きい歓声が上がった。

 

「【宝玉獣】の特性が裏目に出ましたか」

 

「ま〜ね〜。4枚ドロ〜」

 

遊凪翠奈

手札2→6

 

 4枚のドローはデュエルの中でも珍しくクラスメイト達の熱があがった。

 

「やりますね、遊凪さん」

 

「彩ちゃんもね〜」

 

「ふふっ」

 

 翠奈の表情を見て彩が笑顔を見せる。

 自分とこれほどのデュエルができるデュエリストに出会えたことの喜びにだ。

 

「彩ちゃん?」

 

「いえ、何でもありません。私はこれでターンを終了します」

 

宝城彩 LP:4000

メインモンスターゾーン

宝玉獣トパーズ・タイガー ☆4 ATK:1600

宝玉獣サファイア・ペガサス ☆4 ATK:1800→2600

魔法・罠ゾーン

1枚

宝玉の開放

宝玉の集結

宝玉獣アメジスト・キャット

宝玉獣エメラルド・タートル

手札:1

 

「僕のターンだね〜。ドローするよ〜」

 

遊凪翠奈

手札:6→7

 

「ふふふ」

 

 手札を見て翠奈が笑う。

 

「遊凪さん?」

 

「彩ちゃん強いね〜。でも…」

 

 翠奈が前髪を掴み上にあげる。

 

「お楽しみは、これからだ!」

 

 翠奈の隈が無くなり、表情からも覇気を感じるようになった。

 その豹変ぶりにクラスメイト達と彩があっけに取られる。

 

「あれはあの時の…」

 

 鳶が呟く。

 それを皮切りに翠奈の反撃の狼煙が上がった。

 

「まずは【サイクロン】発動するよ。フィールドの魔法・罠を1枚、破壊するよ。【宝玉の集結】を破壊するよ」

 

(【宝玉の集結】はフィールドのカードを手札に戻す効果がありますが…)

 

 彩は効果を発動するかどうか思考する。

 

「ありません」

 

 【宝玉の集結】が破壊される。

 

「良かった、破壊できて。どんどん行くよ。【融合回収】を発動するよ。これで墓地の【融合】と【スパークマン】を手札に加えるよ」

 

「また【融合】のカードを…」

 

 彩は警戒を強めた。

 

「そして【O-オーバーソウル】を発動するよ。墓地より通常モンスターの【E・HERO】を特殊召喚するよ。現れて【クレイマン】」

 

E・HEROクレイマン ☆4 ATK800

 

「そして【HERO'Sボンド】を発動するよ。フィールド上に【HERO】と名のついたモンスターが存在している時に発動する事ができるよ。手札からレベル4以下の【E・HERO】と名のついたモンスター2体を特殊召喚するよ。来て!【フェザーマン】【バーストレディ】」

 

E・HEROフェザーマン ☆3 ATK1000

E・HEROバーストレディ ☆3 ATK1200

 

「そして、ここからが見どころだよ!現れよ!正義を貫くサーキット!」

 

 翠奈の言葉でフィールドに8つのマーカーが現れる。

 

「アローヘッド確認!召還条件は【HERO】が2体!僕は【フェザーマン】と【バーストレディ】をリンクマーカーにセット!」

 

 2体のモンスターが上下のマーカーに吸い込まれていく。

 

「サーキットコンバイン!現れよ!リンク2【X・HEROワンダー・ドライバー】!」

 

X・HEROワンダー・ドライバー リンク2 ATK1900

 

 光輝くロッドを持つ光のヒーローが登場した。

 

「すごい!リンク召喚まで使えるのですね!」

 

 クラスメイト達や鳶も含め、彩までもその光景に歓喜の声をあげる。

 リンク召喚は扱うデュエリストが少なく珍しい召喚法であったためだ。

 

「そして、【融合】を発動するよ。融合素材は【クレイマン】と【スパークマン】だ!」

 

 先ほどのターンと同じ2体のヒーローが渦に混ざり合っていく。

 

「また、【サンダー・ジャイアント】か!」

 

 誰かが声をあげる。

 

「今回は違うよ。ヒーローには無限の可能性があるんだから。召還条件は【E・HERO】モンスターと地属性モンスター。現れいでよ!その力で悪に激震を震わす大地のヒーロー!【E・HEROガイア】」

 

E・HEROガイア ☆6 ATK2200

 

 渦の爆発と同時にフィールドを震わせる大地のヒーローが登場した。

 

「そして【ガイア】の効果を発動するよ!ターン終了時まで相手モンスターの攻撃力を半分にし、その数値分【ガイア】の攻撃力をアップするよ!"ガイアプレッシャー"!」

 

 ガイアがフィールドを震わせてサファイア・ペガサスが重力の重さが加わったように動きが鈍くなる。

 

宝玉獣サファイア・ペガサス ☆4 ATK1800→2600→1300

E・HEROガイア ☆6 ATK2200→3500

 

「さらに【ワンダー・ドライバー】の効果も発動しているよ。【HERO】モンスターがリンク先に特殊召喚された時、墓地にある【融合】をセットすることができるよ」

 

 翠奈は墓地にあった【融合】をフィールドにセットした。

 先ほどまでは劣勢であった。

 それが攻撃力3500のモンスターを率いて攻めようとしている。

 

「すごいです!遊凪くん!」

 

 鳶の感激の声が上がる。

 他のクラスメイト達も彩もこれには舌を巻くをえない。

 

「バトルフェイズ!【ガイア】で【トパーズ・タイガー】に攻撃!"コンチメンタルハンマー".!」

 

 ガイアの拳を合わせた重い一撃にトパーズ・タイガーは爆散した。

 

宝城彩 LP:4000→2100

 

「【トパーズ・タイガー】…やりますね、遊凪さん。しかし、負けません!リバースカード【宝玉の双璧】!その効果により、デッキより【宝玉獣】モンスターを1枚魔法・罠ゾーンに置きます。【宝玉獣アンバー・マンモス】を宝玉として置きます。そしてこのターンに受ける戦闘ダメージは0となります」

 

「なるほど。【ガイア】で先に攻撃したのは運が良かったね。それと【トパーズ・タイガー】は宝玉として置かないの?」

 

「運も実力の内ですから。それとフィールドが圧迫していますからね。【トパーズ・タイガー】の効果は使いません」

 

「そっか。じゃあ【ワンダー・ドライバー】で【サファイア・ペガサス】に攻撃するよ。"ワンダーレイ"」

 

 ワンダー・ドライバーのロッドから放たれる光線がサファイア・ペガサスを貫いた。

 

「【サファイア・ペガサス】もフィールドに置きませんが【宝玉の解放】の効果を発動します。デッキより【宝玉獣ルビー・カーバンクル】をフィールドに宝玉として置きます」

 

 彩のフィールドにルビーの宝玉が置かれる。

 

「僕はバトルフェイズを終了するよ。そして、カードを1枚伏せてターンを終了するよ。その時【ガイア】の効果と終了するよ」

 

遊凪翠奈 LP:2400

エクストラモンスターゾーン右

X・HEROワンダー・ドライバー リンク2 ATK1900

メインモンスターゾーン

E・HEROガイア ☆6 ATK2200

魔法・罠ゾーン

2枚(内1枚は融合)

手札:1

 

「まさか宝城さんが負けるのか」

 

「そんなバカな」

 

 クラスメイト達のどよめきがデュエル場に響き渡る。

 押していたのは彩であった。

 しかし、今のターンで翠奈の形勢が逆転した。

 

「すごいです!遊凪くん!」

 

 鳶も興奮を隠しきれない。

 

「本当に…すごいですね」

 

 彩が噛み締めるように呟いた。

 

「さあ、彩ちゃんのターンだよ」

 

 形勢が逆転すると傲慢になって自慢をするデュエリストも存在する。

 しかし、翠奈はまだ勝負がわからない、楽しくて仕方ないというような姿勢を見せる。

 そんな翠奈に鼓舞されるように彩も拳を握りしめ胸に当てた。

 

「そうですね…負けません!私のターン!ドロー!」

 

宝城彩

手札:1→2

 

 彩が自分の手札を見つめる。

 

〔逆転するためのカードは今はない、ならば!)

 

「このカードに賭けます!魔法カード【レア・ヴァリュー】を発動します!自分のフィールドの魔法・罠ゾーンに【宝玉獣】モンスターが2種類以上存在する場合に発動することができます。相手にフィールドの【宝玉獣】モンスターを選んでいただき墓地に送ることでデッキより2枚のカードをドローします。選んでください、遊凪さん」

 

「そうだね。【エメラルド・タートル】にするよ」

 

 彩のフィールドのエメラルドの宝玉が割れた。

 

(来て!逆転のカード!)

 

「ドロー!」

 

 勢いよくカードをドローする。

 その気迫にクラスメイト達も鳶も翠奈も息を呑む。

 

(来ました!)

 

「行きます!遊凪さん!」

 

「来て!彩ちゃん」

 

「このカードはフィールド、墓地に7種類の【宝玉獣】モンスターが存在する場合のみ特殊召喚することができます!現れなさい!私の最強のモンスター!7つの輝きに導びかれ降臨する究極の宝玉の龍神!【究極宝玉神レインボー・ドラゴン】!」

 

 フィールドの3体の宝玉、そして彩のデュエルディスクから放たれる4つの輝き、合計7つの輝きが1つとなり、七色に輝く光のドラゴンが咆哮と共に降臨した。

 

究極宝玉神レインボー・ドラゴン ☆10 ATK4000

 

「「おおおおお!!!!!」

 

 今日1番の大歓声が上がった。

 

「私の切り札です。耐えられますか、遊凪さん」

 

 自信に満ちた表情。

 自身の切り札を召喚したことによる自信が彩の心を駆り立てた。

 

「はは、どうだろうね」

 

「さらに速攻魔法【アクションマジック-ダブルバンキング】を発動します。手札を1枚捨てることにより【レインボー・ドラゴン】はこのターン相手のモンスターを戦闘で破壊した時、もう1度だけ続けて攻撃することが出来ます」

 

「攻撃力4000の2回攻撃ですか!」

 

 鳶の驚きの声が上がる。

 クラスメイト達も彩の勝利を確信した。

 

「バトルフェイズです!【レインボー・ドラゴン】で【ガイア】に攻撃します!“オーバー・ザ・レインボー”!」

 

 レインボー・ドラゴンの口から放たれる七色の光線がガイアに放たれる爆散した。

 

遊凪翠奈 LP:2400→600

 

「もう一度です!“オーバー・ザ・レインボー”!」

 

 ダブルバンキングによる2回目の攻撃。

 クラスメイトは「よくやった」だの「当然の結果」だのそれぞれ感想を述べるが…

 翠奈だけは諦めていなかった!

 

「リバースカードを発動するよ!【ヒーロースピリッツ】!【E・HERO】モンスターが戦闘で破壊された場合のバトルフェイズに発動することができるよ。相手モンスターの1体による戦闘ダメージを0にするよ!」

 

 レインボー・ドラゴンから放たれた光線を受けたワンダー・ドライバーはその攻撃に耐え抜いた。

 

「おお!」

 

「すげ!」

 

 彩の渾身の攻撃を耐え抜いた翠奈に称賛の声があがる。

 

「耐えられましたか。ターンエンドです」

 

宝城彩 LP:2100

メインモンスターゾーン

究極宝玉神レインボー・ドラゴン ☆10 ATK:4000

魔法・罠ゾーン

宝玉獣アメジスト・キャット

宝玉獣ルビー・カーバンクル

宝玉獣アンバー・マンモス

手札:0

 

(耐えられました。しかし、状況はこちらが優先。なのに…)

 

 彩は思う。

 自身が優先なのになぜ、翠奈はわらってられるのか。

 

「危なかったね。順番が逆だったら負けてたよ」

 

 翠奈は笑って答えた。

 今の攻撃、ワンダー・ドライバーから攻撃していたらヒーロースピリッツは発動できずに彩は勝てていた。

 前ターンの翠奈の攻撃でもダメージを多く受けていた。

 運が良い。

 言ってしまえば簡単だがそれを引き寄せるのもまたデュエリストなのだ。

 

「遊凪さん、勝てますか?」

 

 彩による翠奈への問い。

 優勢である彩自身も必ず勝てるビジョンが見えずにいるためだ。

 

「どうかな。わかんないけどそれが楽しいんだよね」

 

 再度笑顔で答える翠奈。

 その笑顔に釣られてか彩を笑みを浮かべる。

 

「おそらく次のターンで決まるでしょう!来てください、遊凪さん!」

 

「うん!いくよ!僕のターンドロー!」

 

遊凪翠奈

手札:1→2

 

 勢いよくドローする。

 そのカードを見て翠奈は笑った。

 

「魔法カード【闇の量産工場】を発動するよ。墓地の通常モンスターを2体対象にして発動するよ。そのカードを手札に加える。選ぶのは【フェザーマン】と【バーストレディ】」

 

「これは…」

 

 彩は息を呑んだ。

 翠奈のフィールドにはワンダー・ドライバーによって伏せられている【融合】が存在するからだ。

 

「これで【Great TORNADO】を出せば【レインボー・ドラゴン】を倒せます!」

 

 翠奈の前のデュエルを見ていた鳶が声を上がる。

 

((Great TORNADO)ですか。ですが、ライフは残ります)

 

 彩は心の中で思う。

 

「鳶くん、ネタバレはやめてね」

 

 翠奈は鳶に注意する。

 

「ご、ごめんなさい!」

 

「ま、いいけどね。【Great TORNADO】じゃないから」

 

「え?」

 

 呆気に取られた鳶を他所に翠奈はデュエルを進め始める。

 

「【融合】を発動!融合素材は【フェザーマン】と【バーストレディ】!現れいでよ!その炎で悪を滅する爆風のヒーロー!【E・HEROフレイム・ウィングマン】!」

 

 フェザーマンとバーストレディが渦に巻き込まれて混ざり合い登場したのは赤き竜の腕を持つ緑と黒のコスチュームを纏いしヒーローだ。

 

E・HEROフレイム・ウィングマン ☆6 ATK2100

 

「ここで【フレイム・ウィングマン】!」

 

 デュエル場は驚愕の声をあげる。

 フレイムウィングマンは破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える強力な効果を持っているが圧倒的に攻撃力が足りないからだ。

 

(そういうことは…)

 

 彩は残り1枚の翠奈の手札を見つめる。

 

「最後にこれを使うよ!装備魔法【フェイバリット・ヒーロー】!」

 

 フレイムウィングマンが黄金のオーラに包まれた。

 

「これでバトルフェイズに入るよ。そして【フェイバリット・ヒーロー】の効果を発動!自分・相手のバトルフェイズ開始時に発動できるよ。自分の手札・デッキからフィールド魔法カード1枚を発動するよ。発動するのは【摩天楼 -スカイスクレイパー-】!」

 

 フィールドが高層ビル群で覆われる。

 

「あれ?【フレイムウィングマン】は?」

 

 いつのまにかフレイムウィングマンの姿が消える。

 

[あそこだ!」

 

 誰かが指を挿して声をあげた。

 そこは1番高いビルの頂点に腕を組んで立っていた。

 

「【フェイバリット・ヒーロー】はもう1つ効果があるよ。自分のフィールドゾーンにカードが存在する場合、装備モンスターは攻撃力が元々の守備力分アップし、装備モンスターを相手は効果の対象にできなくなるんだよ」

 

E・HEROフレイム・ウィングマン ☆6 ATK2100→3300

 

 まだ足りない。

 しかし、

 

「ここで【スカイスクレイパー】ですか…」

 

 彩が小さく呟く。

 効果を知っていたためだ。

 

「バトルフェイズ!【フレイムウィングマン】で【レインボードラゴン】に攻撃!【スカイスクレイパー】の効果により攻撃力を1000アップする!いけ!【フレイムウィングマン】!“スカイスクレイパーシュート”!」

 

E・HEROフレイム・ウィングマン ☆6 ATK2100→3300→4300

 

 ビルより飛翔したフレイムウィングマンが全身に炎を纏い、レインボー・ドラゴンに突撃する。

 その攻撃はレインボー・ドラゴンを貫きレインボー・ドラゴンは咆哮と共に爆散した。

 

宝城彩 LP:2100→1800

 

 ライフは残った。

 しかし、フレイムウィングマンの効果による追撃が待っている。

 

「【フレイムウィングマン】の効果により、【レインボー・ドラゴン】の攻撃力分のダメージを受けてもらうよ」

 

 翠奈の言葉に彩は目を閉じて自身の敗北を受け入れた。

 

宝城彩 LP:1800→0

 

 勝敗が決した。

 デュエル場は静寂に包まれる。

 

 バチパチパチ

 

 鳶が拍手をした。

 

 パチパチパチパチパチパチ

 

 それに釣られてクラスメイト達が拍手と歓声をあげた。

 

「良いデュエルだったね〜彩ちゃん」

 

 彩に近づく翠奈。

 すでに前髪は降りて、目の下には隈が出ていた。

 目を閉じていた彩は目を開く。

 

「負けました。次は負けません」

 

 彩は翠奈に手を差し出す。

 負けはした。

 しかし、翠奈とのデュエルを心より楽しんだ彩は清々しい思いも抱いていた。

 

「うん。またしよ〜」

 

 差し出された手を握り握手を交わす。

 

 




今日の最強カード

フェイバリット・ヒーロー
レベル5以上の「HERO」モンスターにのみ装備可能。
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分のフィールドゾーンにカードが存在する場合、
装備モンスターは攻撃力が元々の守備力分アップし、装備モンスターを相手は効果の対象にできない。
(2):自分・相手のバトルフェイズ開始時に発動できる。
自分の手札・デッキからフィールド魔法カード1枚を発動する。
(3):装備モンスターの攻撃で相手モンスターを破壊した時、このカードを墓地へ送って発動できる。
その攻撃モンスターはもう1度だけ続けて攻撃できる。


デュエル考えるのむずー。
アニメ勢だから最近のカードとか知らんしね。
完全アニメのノリだよね。
面白そうなカードがあれば教えて欲しいな!
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