結果に変わりはありません。
「何だか〜、見られてるね〜」
翠奈と彩の歓迎デュエルの翌日、昼休みに食堂で昼食を食べていた翠奈が迷惑そうに呟いた。
今朝からもそうだが、他の学生からの観察されるような視線を向けられていた。
ちなみに、食堂で注文したカツカレーを食べている。
「それはそうですよ」
翠奈と共に昼食を食べていた鳶が言う。
ちなみに、鳶はサンドイッチを食べている。
「そうなの〜?」
「当然ですよ。あの宝城さんに勝ったんですから」
「でも〜、1回だけだよ〜」
翠奈は首を傾げる。
「1回でもです。宝城さんと対等にデュエルできる人なんて数えるほどしかいないんですから」
彩は現在1年生のデュエルランキング2位。
それだけで強さが決まるわけではないが、その強さは学園内でも上位。
彩に勝った翠奈に注目が集まるのは至極当然だ。
「確かに〜、彩ちゃん強かったよね〜」
「そう言っていただけるのでしたら光栄です」
会話をしている2人の横にいつのまにか彩が立っていた。
その手には食堂で注文したパスタをお盆の乗せて持っている。
「あ〜、彩ちゃんだ〜」
「宝城さん!」
2人は彩の登場に反応する。
「ご一緒してもよろしいでしょうか?」
「うん、いいよ〜」
「は、はい!」
彩は翠奈の隣に座った。
「遊凪さん、昨日はありがとうございました」
「うん。楽しかったね〜」
昨日のデュエルの感想を述べながら昼食を口にする。
「本当にすごかったです。どちらが勝っていても不思議ではありませんでした」
鳶が昨日のデュエルの思い出して賛嘆の声を上げる。
「ありがとうございます、旭山さん」
鳶の感想に彩は負けてしまったが、昨日のデュエルを誇らしく思った。
しかし、負けてしまったことで悔しさがあるのも事実だ。
「本当に強かったよね〜。攻撃する順番次第じゃ〜僕、負けてたよ〜」
翠奈は呑気に昨日のデュエルの感想を述べる。
「確かに、先にワンダードライバーを攻撃していたら勝ててました。しかし、それは結果論です。負けは負けです」
「彩ちゃんは〜真面目だな〜」
それから3人で昨日のデュエルの感想会をしながら昼食を食べた。
食べ終わろうかというころ、彩が疑問に思っていたことを翠奈に質問する。
「遊凪さん、気になったことを質問してもいいでしょうか?」
「いいよ〜。な〜に?」
「遊凪さんはデュエルの大会に出たことはないのですか?遊凪さんほどの実力でしたら名前を耳にしてもいいと思うのですが…」
「僕も思いました」
2人の疑問は当然と言えば当然だ。
このデュエルアカデミアシルバー校で上位の実力者は過去にデュエルの大会で実績を残していることが多い。
入学前から名前を知られていることも珍しくないのだが、翠奈は全くの無名。
そんな中、昨日の彩とのデュエルで無名である翠奈が勝利したことで注目が集まるのは至極当然のことだ。
「う〜んとね〜。出たことはないよ〜」
「そうなんですか?」
「うん。家庭の〜事情でね〜」
家庭の事情であれば2人は深くは聞くことが出来なかった。
家庭の事情。
翠奈の謎は深まるばかりだ。
「そんなことより〜、鳶く〜ん」
疑問に思う2人を他所に、翠奈が鳶に声をかける。
「何ですか?」
「放課後デュエルしよっか〜」
「え!」
翠奈の当然の提案に鳶が驚きの声をあげた。
「昨日ね〜、彩ちゃんとデュエルしてね〜、思ったんだ〜。鳶くんとデュエルして〜もっと鳶くんのことを〜知りたいな〜って」
「それは良いですね。私がデュエル場の予約を入れましょう。優先権があるので、すぐ予約が取れると思います」
「ありがとう〜彩ちゃん〜」
驚く鳶を置いて話が進む。
「で、でも…」
鳶が何か言いたそうにしている。
「ど〜したの?」
翠奈が首を傾げる。
「僕なんかが遊凪くんとデュエルしてもいいんでしょうか…」
鳶は暗い表情で俯く。
その声は悲嘆を浴びていた。
「どうして〜?」
「だ、だって遊凪くんはとても強いじゃないですか。僕みたいに入学してから勝ったこともないデュエリストが…いや、デュエリストを名乗るのもおこがましい僕がデュエルしてもらうのは申し訳ないです…」
嗚咽を漏らしながら鳶はそういうが、その顔には悔しさが現れていた。
彩はどう声をかけるか考えていると翠奈が不思議そうに声をかけた。
「じゃ〜余計デュエルしないといけないね〜」
「え?」
翠奈の言葉に鳶は困惑する。
「自分で言うのも変だけどね〜。強い人とデュエルするのが〜強くなる為の〜近道だと思うよ〜」
「で、でも」
「それにね〜、友達とデュエルするのに〜遠慮はいらないよ〜」
笑顔で答える翠奈。
そんな翠奈の笑顔を見て、鳶の表情も和らいでいく。
「やろうよ〜、デュエル」
ウキウキしながら答える翠奈。
そんな翠奈の優しさに、鳶の気持ちも固まった。
「わかりました。やりましょう」
そして放課後
彩が予約したデュエル場に3人で訪れた。
翠奈がデュエルすると聞こえた学生もいて、見学しようとしていたのだが、彩の判断で3人のみでのデュエルを提案して、2人もその判断に賛同した。
鳶は自己評価がかなり低い。
そんな鳶は人目があるデュエルでは緊張と焦りで自分のデュエルができていない。
鳶のことを知っていた彩がそのように判断した。
鳶は昼休みに会話したこと、自分のことを理解してくれていたことにより彩に対しては心を開いたようだ。
「じゃ〜、始めるよ〜」
向かい合い対峙する2人と観戦する彩。
昨日とは違った緊張感がデュエル場に広がっていた。
「わかりました、始めましょう」
お互いにデュエルディスクを構える。
「「デュエル(〜)!)」
遊凪翠奈 LP:4000
メインモンスターゾーン
なし
魔法・罠ゾーン
なし
手札:5
旭山鳶 LP:4000
メインモンスターゾーン
なし
魔法・罠ゾーン
なし
手札:5
先行のランプが点灯したのは翠奈だ。
「お〜、昨日から先行ばっかりだ〜。じゃ〜ね、僕は〜【E・HERO エアーマン】を召喚するよ」
E・HERO エアーマン レベル4 ATK:1800
「【エアーマン】の効果発動〜。デッキから【HERO】モンスターを〜手札に加えるよ〜。【E・HERO エッジマン】を手札に加えるよ〜。そして〜、カードを1枚伏せて〜、ターンエンドだよ〜」
遊凪翠奈 LP:4000
メインモンスターゾーン
E・HERO エアーマン レベル4 ATK:1800
魔法・罠ゾーン
1枚
手札:4(内1枚は【エッジマン】)
まずは様子見と言ったところ。
鳶のターンが回ってくる。
「僕のターンドロー!」
旭山鳶
手札:5→6
「え、えっと…」
手札を確認すると鳶が緊張の為か慌て出す。
「こ、このカードで!「ストップ〜」!?」
慌ててカードを出そうとした鳶に翠奈が待ったをかける。
「ど、どうしましたか」
「鳶くん、ホント〜に、それがやりたいこと〜?僕たちだけだよ〜。慌てない〜。まずは深呼吸〜、スーハー、スーハー」
緊張している鳶に翠奈が気をかけて自分も深呼吸する。
そんな翠奈を見て、鳶は申し訳なく思った。
ただし、緊張したことにではなく、自分のデュエルを見せられないことに対してだ。
せっかくデュエルする機会を作ってくれたことに対して出来ることは、自分のデュエルをすること。
鳶は深く深呼吸をする。
徐々に鳶は冷静さを取り戻した。
「ごめんなさい、遊凪さん」
鳶は深く頭を下げる。
「いいよ〜。落ち着いてね〜」
「はい!」
そんな2人を見ている彩にも笑みが溢れていた。
ここからが本当のデュエルが始まる。
「僕はモンスターをセットします。そして、もう1枚セットしてターンを終了します」
旭山鳶 LP:4000
メインモンスターゾーン
1体
魔法・罠ゾーン
1枚
手札:4
「落ち着いて良かったよ〜。じゃあ〜、僕のターン」
遊凪翠奈
手札:4→5
「僕は〜【E・HERO ワイルドマン】を召喚するよ〜」
E・HERO ワイルドマン レベル4 ATK:1500
「なるほど、【ワイルドマン】ですか」
鳶がカードを見て思考を巡らす。
【ワイルドマン】は罠が効かない。
鳶のセットカード対策のモンスターだ。
「バトルフェイズに入るよ〜。そうだな〜、【エアーマン】で攻撃するよ〜」
翠奈は考えた結果、【エアーマン】で攻撃を行った。
与えるダメージよりもモンスターの破壊を優先したためだ。
【エアーマン】の発生させた竜巻にセットモンスターが巻き上がる。
しかし、裏返ったモンスターは破壊されまいと踏ん張って耐えていた。
「がんばって!ペンギン・ソルジャー!」
鳶の応援に応えるように【ペンギン・ソルジャー】が光を纏う。
ペンギン・ソルジャー ☆2 DEF:500
【ペンギン・ソルジャー】は戦闘では破壊される。
しかし、破壊される前に【ペンギン・ソルジャー】の効果が発動された。
「【ペンギン・ソルジャー】のリバース効果です。フィールドのモンスターを2体まで手札に戻します。僕は【ワイルドマン】と…」
2体まで戻せるのに【エアーマン】を戻すのに躊躇する。
【エアーマン】はフィールドに出た時に効果が発動するモンスター。
鳶はその効果を警戒しているのだ。
「【エアーマン】も戻します!“ハンドリバース”!」
考えた結果、2体とも手札に戻すことに決めた。
2体のヒーローが光に包まれてフィールドから消え去った。
そして、役目を終えた【ペンギン・ソルジャー】もフィールドから消滅した。
「ありがとう【ペンギン・ソルジャー】」
そんなカードを労いながら墓地に置く。
「鳶くん、やるね〜。僕は〜これでターンエンドだよ〜」
遊凪翠奈 LP:4000
メインモンスターゾーン
なし
魔法・罠ゾーン
1枚
手札:5(内3枚は【エッジマン】【エアーマン】【ワイルドマン】)
翠奈のフィールドにはモンスターがいない。
攻めるには絶好のチャンスだ。
「僕のターン、ドロー!」
旭山鳶
手札:4→5
そんなチャンスに鳶のドローにも力が入る。
手札を確認して戦略を立てる。
「僕は魔法カード【浮上】を発動します。墓地の水族モンスター【ペンギン・ソルジャー】を守備表示で特殊召喚します。蘇って!【ペンギン・ソルジャー】」
フィールドに水面が発生してそこから勢いよく【ペンギン・ソルジャー】が現れた。
「そして【ペンギン・ソルジャー】をリリースします。現れて!【大皇帝ペンギン】!」
【ペンギン・ソルジャー】が光の粒子になって消滅し、そこから現れたのは大きなペンギンのモンスターだ。
大皇帝ペンギン ☆5 ATK:1800
☆5のモンスターにしては攻撃力は低め。
しかし、攻撃力を補えるほどの効果を【大皇帝ペンギン】は持っている。
「【大皇帝ペンギン】の効果を発動します!このカードをリリースしてデッキより【大皇帝ペンギン】以外の【ペンギン】モンスターを2体まで特殊召喚します!"エンペラーコーリング”!現れて【トビペンギン】!」
【大皇帝ペンギン】が咆哮を上げると2体のペンギンモンスターが現れた。
役目を終えた【大皇帝ペンギン】は消滅する。
トビペンギン ☆4 ATK:1200 ×2
「お〜、やるね〜」
翠奈が鳶に感心する。
「まだです!」
「!」
鳶の気迫に翠奈は一瞬怯んだ。
「永続罠【リビングデッドの呼び声】を発動します。墓地のモンスターを特殊召喚します!もう1度力を貸して!【大皇帝ペンギン】」
【リビングデッドの呼び声】の効果により再度現れる【大皇帝ペンギン】。
そして、再び効果が発動される。
「もう1度、【大皇帝ペンギン】の効果を発動します!今度は君達だよ!【ペンギン・ナイトメア】!」
【大皇帝ペンギン】が再び咆哮を上げると今度はシルクハットを被ったペンギンたちが現れた。
ペンギン・ナイトメア ☆4 ATK:900 ×2
4匹のペンギンたちが共鳴するように鳴き声を上げた。
「これだけはありません!【ペンギン・ナイトメア】がフィールドに存在する限り、自分フィールドの水属性モンスターの攻撃力は200アップします!2体いるので400アップします!さらに、永続魔法【勇気の旗印】を発動します!これにより、このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分フィールドのモンスターの攻撃力は、自分バトルフェイズの間200アップします!」
トビペンギン ☆4 ATK:1200 →1400→1600 ×2
ペンギン・ナイトメア ☆4 ATK:900→1100→1300 ×2
「これは…」
観戦している彩が息を呑む。
1体1体の攻撃力は確かに低い。
しかしこの怒涛のモンスターの展開で、その攻撃力の合計は5800、【勇気の旗印】を含めて6400となっている。
全ての攻撃が決まれば勝つことが出来る。
「鳶く〜ん、凄いよ〜」
対戦相手である翠奈も驚嘆する。
(勝てるでしょうか…)
鳶は思う。
アカデミアに入っての初めての勝利のチャンス。
翠奈のセットカードは1枚。
覚悟を決める。
「バトルフェイズに入ります!【トビペンギン】攻撃です!」
トビペンギン ☆4 ATK:1200 →1400→1600→1800 ×2
ペンギン・ナイトメア ☆4 ATK:900→1100→1300→1500 ×2
【勇気の旗印】の効果でさらに攻撃力が上がる。
【トビペンギン】が飛び上がりして翠奈に向かって飛び込んでいく。
ドス!
その重たい体を使って翠奈を踏みつける。
「くっ…」
遊凪翠奈
LP:4000→2200
攻撃が決まった。
翠奈は苦悶の表情を浮かべる。
(やった!)
心の中で歓喜する。
「続けて、2体目の【トビペンギン】で攻撃します!」
同じように2体目の【トビペンギン】が翠奈に攻撃する。
遊凪翠奈
LP:2200→400
あと1体。
その攻撃が決まれば鳶の勝利が見えてきた。
「これで!決めます!【ペンギン・ナイトメア】で攻撃します!」
【ペンギン・ナイトメア】の声が響く。
「ここで〜リバースカードを発動するよ〜」
「ここでですか!」
先2体の攻撃に発動しなかったリバースカードをここで発動する。
一体何のカードなのか?
「【ヒーロー見参】を発動するよ〜。相手の攻撃宣言時に発動できて〜相手はランダムに〜僕の手札を〜選ぶよ〜。モンスターなら特殊召喚できて〜違ったら墓地に送るよ〜。さあ、選んで〜」
翠奈が手札を掲げる。
5枚ある内の3枚はモンスターで確定している。
モンスターが当たる確率はかなり高い。
鳶は思考するが、結局のところは運次第。
「真ん中を選びます!」
果たして…
「大当たり〜、【E・HERO エッジマン】を特殊召喚だよ〜」
E・HERO エッジマン ☆7 ATK:2600
鳶に取っては運が悪く、翠奈に取っては運が良い結果となった。
「遊凪くん、もしかして手加減しましたか?」
今のプレイを見た鳶が疑念を抱いた。
「どうして〜?」
「最初に発動していればダメージを抑えることができたはずです。僕に勝てると思わせる為に今のようなプレイングを…」
「それは違いますよ、旭山さん」
話に入ったのは彩だった。
「確かに【エッジマン】を出せていたなら、そうなったでしょう。しかし、それが【ワイルドマン】だったなら、【エアーマン】だったなら、もしくは別のモンスター、またはモンスターではなかったら。そうした場合、フィールドにモンスターを残すことも出来なかったでしょう。手札次第ですがこのターンはライフポイントが残る確率は高かったはずですよ」
彩の説明に翠奈が胸を張ってしたり顔をする。
改めて説明を受けてプレイの思考して、【ペンギン・ナイトメア】の攻撃する時に【ヒーロー見参】を発動するのが最善だったことを理解した。
「…そうですね。疑ってすみませんでした」
「全然いいよ〜、ナイス攻撃〜」
翠奈は親指を立てる。
「さあ〜、まだ、鳶くんの〜ターンだよ〜」
その表情はとても楽しんでいた。
そんな翠奈に勝ちたいと鳶はデュエルを続けた。
「そうですね。わかりました。では、バトルフェイズを終了して、カードを1枚セットします。ターンエンドです」
【勇気の旗印】の効果が切れて、モンスターの攻撃力は元に戻る。
旭山鳶 LP:4000
メインモンスターゾーン
トビペンギン ☆4 ATK:1200 →1400→1600 ×2
ペンギン・ナイトメア ☆4 ATK:900→1100→1300 ×2
魔法・罠ゾーン
リビングデッドの呼び声
勇気の旗印
セット1枚
手札:1
鳶は優勢だ。
しかし、昨日の2つのデュエルを見た鳶に油断はない。
「すご〜い、鳶くん」
ここまでのデュエルの内容に翠奈は賞賛する。
「とても〜勝ったことないなんて〜思えないよ〜。ね〜彩ちゃん」
翠奈の投げかけに彩が答える。
「本当に凄いと思います。これだけの大量展開は中々できないと思います」
心からの賞賛だった。
その言葉で鳶の口が緩む。
「けどね…」
翠奈が前髪を掻き上げた。
「お楽しみは、これからだ!」
翠奈の間の抜けた話し方が消えた。
隈も消えている。
その状態を知っている彩と鳶は今後のデュエルのプレイに注目する。
「僕のターン、ドロー!」
遊凪翠奈
手札4→5
「僕は【エアーマン】を召喚するよ」
E・HERO エアーマン レベル4 ATK:1800
「また、【HERO】を手札に加えるんですね」
【ペンギン・ソルジャー】の効果で手札に戻した【エアーマン】を召喚したことにより、効果が発動するのだが、今回はどうも違うようだ。
「それが今回は違うよ」
「え!」
てっきりサーチ効果を使うものとばかり思っていた鳶が驚きの声を上げた。
「【エアーマン】にはもう1つの効果があるんだよ。このカード以外の自分フィールドの【HERO】モンスターの数だけ魔法、罠カードを破壊することができるんだよ。だから、鳶くんのセットカードを破壊するよ」
【エアーマン】が生み出した竜巻にセットカードご巻き上げられる。
そのカードに記されていた名前は【ポセイドン・ウェーブ】。
「うひゃー、破壊して正解だったね」
翠奈が言うように【ポセイドン・ウェーブ】はモンスターの攻撃を無効にし、自分フィールドの水族モンスターの数だけ800ポイントダメージを与えるカードだ。
破壊せずに攻撃をしていたなら鳶は勝つことが出来ていた。
「さて、これで自由に動けるね」
「く…」
笑顔で言う翠奈に対して、鳶が苦悶の表情を浮かべる。
手札から発動するカードがない限りは翠奈は自由にプレイすることができる。
「僕は魔法カード【融合】を発動するよ」
昨日からお馴染みの【融合】のカード。
何を出されるかわからない緊張感に鳶は身を引き締める。
「融合素材はフィールドの【エッジマン】と手札の【ワイルドマン】。現れいでよ!その刃で悪を切り裂く野生のヒーロー!【E・HERO ワイルドジャギーマン】!」
E・HERO ワイルドジャギーマン ☆8 ATK:2600
登場したのはワイルドマンが鎧を着たようなヒーロー。
融合素材とした【エッジマン】と同じ攻撃力を持っているようだ。
「バトルフェイズに入るよ!【ワイルドジャギーマン】で【ペンギン・ナイトメア】に攻撃!“インフィニティ・エッジ・スライサー”!」
【ワイルドジャギーマン】の腕から発射される刃が【ペンギン・ナイトメア】を切り裂き爆散する。
旭山鳶 LP:4000→2700
「くっ!」
爆風に飲まれ鳶は苦悶の声をあげる。
【ペンギン・ナイトメア】が減ったことにより、鳶のモンスターの攻撃力も下がった。
トビペンギン ☆4 ATK:1200 →1400 ×2
ペンギン・ナイトメア ☆4 ATK:900→1100
「まだです!まだライフポイントは残ります!」
【エアーマン】に攻撃されてもライフは残る。
「ごめんね、鳶くん。ここまでなんだ」
翠奈が申し訳なさそうに言う。
「え?」
【ワイルドジャギーマン】の効果を知らなかった鳶は疑問の声を出す。
「【ワイルドジャギーマン】はね、相手モンスターに1回ずつ攻撃が出来るんだよ」
「そ、そんな…」
翠奈の説明に、鳶は痛嘆する。
「いくよ!2体目の【ペンギン・ナイトメア】に攻撃!2連打!」
再度、鳶のモンスターに降りかかる刃。
その刃で2体目の【ペンギン・ナイトメア】が爆散する。
「うわっ!」
旭山鳶 LP:2700→1200
これでフィールドのモンスターの攻撃力は元に戻った。
トビペンギン ☆4 ATK:1200 ×2
「これで最後だよ!【トビペンギン】に攻撃だ!3連打!」
最後の刃が【トビペンギン】を爆散させる。
旭山鳶 LP:1200→0
このデュエルは翠奈の勝利に終わった。
「負けました…」
鳶の顔には悔しさが滲み出ている。
勝てるチャンスはあった。
デュエルアカデミアに入学以来、1番の自分本来のデュエルをすることができた。
それでも負けた。
自分と翠奈のデュエルの差に痛嘆している所に、翠奈が優しい声で話始まる。
「すごかったよ〜、鳶く〜ん」
拍手しながら鳶を賞賛する。
また間延びしながらの話し方と目の下の隈が戻っている。
「いや、負けてしまいましたし…」
「そんなことないよ〜。ねぇ〜、彩ちゃん〜」
謙遜する鳶に翠奈は観戦していた彩に話を振った。
「そうですよ、旭山さん。大量にモンスターを展開したり、その後の効果ダメージを狙ったり、何より最後まで諦めなかったことは何よりも賞賛されることだと思います」
鳶のデュエルを彩は賛嘆する。
それは心からの賞賛だった。
「鳶くんは強いよ〜、自信を持って〜」
笑顔で話す翠奈。
「そ、そうですか」
若干照れながら鳶が言う。
「あとは〜、人目に慣れないとね〜」
「うっ…」
痛いところを突かれた鳶が声が出る。
「協力するよ〜、頑張ろうね〜」
「私も協力致します。できることがあれば言って下さいね」
2人の心よりの優しさに鳶は嬉しく思った。
「ありがとうございます」
その目には嬉し涙が溢れていた。
今日の最強カード
E・HERO ワイルドジャギーマン
融合・効果モンスター
星8/地属性/戦士族/攻2600/守2300
「E・HERO ワイルドマン」+「E・HERO エッジマン」
このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
(1):このカードは相手モンスター全てに1回ずつ攻撃できる。
ストーリーとかキャラは考えているんですけどね。
書きたいストーリーを言葉にするのが難しいです。
追記
勇気の旗印を追加しました。
そうしないとヒーロー見参を最初に発動すれば、最低でもワイルドマンの守備力1600でトビペンギンの攻撃に耐えられたからです。
遊戯王はたくさんのカードがあるから何とかなるものですね