異世界に召喚されしはイレギュラーが率いる異界の艦隊   作:日本武尊

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今年最後の投稿になります。来年も本作をよろしくお願いします。


第二十三話 闇夜の空を舞う荒鷲達

 

 

 

 中央歴1639年 5月28日 ギム

 

 

 辺りは暗くなり、星の光も曇りによって見えない漆黒の闇に包まれている中、ロウリア王国軍東方征伐軍によって占領されたギムには、あちこちに松明が灯されて光源が確保されている。

 

 

「まだ先遣隊と連絡がつかないのか!!」

 

 そんなギムの中央広場に設けられた司令部に怒声が響く。

 

 ここ最近不機嫌な状態が続いている東方征伐軍の副将アデムである。その機嫌の悪さは下手すると頭の血管が切れてもおかしくないぐらいの怒りっぷりである。

 

「は、はい。全く連絡がありません! 先ほどから何度も魔通信で呼び掛けているのですが、応答がありません……」

 

 通信隊の隊長は怒り心頭のアデムを前にして、冷や汗を掻きながら答える。ここ最近兵士達がアデムによる八つ当たりを受けることが多く、怪我人が続出している。

 

 で、当のアデムがここまで苛立っているのは、何の前触れもなく、ジューンフィルア率いる先遣隊からの定期連絡が途絶え、その後連絡が取れない事にあった。

 

 何度も先遣隊へ呼び掛けているが、応答が無い。

 

 先遣隊とはいえど、その戦力は二万もの軍勢であり、その上機動力のある騎兵を多く擁している。特に精鋭のホーク騎士団も居るので、少なくとも全く応答が無くなるような状況に陥るのは考えにくい。

 

「ワイバーンによる偵察はどうなんだ!? なぜ飛ばしていなかったのだ!」

 

「今ワイバーンは哨戒に当てられる数しか居ませんので、そう簡単には飛ばせません。それにこの闇夜ではワイバーンは飛ぶことが出来ません。夜明けを待たなければ、偵察は……」

 

「ぐぬぬ……」

 

 アデムは歯が砕けそうなぐらい強く歯軋りを立てる。

 

 もし先遣隊と連絡が取れない状況と分かっていれば、現在数少ないワイバーンから一騎を飛ばして状況を知ることが出来ただろう。

 

 それと、ワイバーンの目は暗いところでは見えにくくなる鳥目であるので、基本夜に飛ばすことはない。一応星と月が出ていれば竜騎士の誘導で飛べなくはないが、今夜は雲が空を覆って月と星を隠しているので、漆黒の闇が広がっている。それゆえに今の天候でワイバーンが飛ぶのは不可能である。

 

「ならば伝令を出せ!! 今は情報が必要なのだ!!」

 

 怒声を上げながらテーブルの上に置かれている皿を手にして通信隊の隊長に投げつける。

 

「りょ、了解!」

 

 皿は通信隊の隊長の顔の真横を通り過ぎ、跳ね返った皿が地面に落ちて割れるのを見て、顔を青ざめた隊長は逃げ出すようにテントを後にする。

 

「くそっ! 忌々しい害獣共がぁ!」

 

 怒りの篭った声を吐き出しながらアデムはテーブルに怒り任せに拳を叩き付けると、置かれている乾燥肉、所謂ビーフジャーキーみたいな保存食を手にして齧り付き、強引に引き千切り、咀嚼する。

 

 ここ最近になってようやく食糧が本国から届き出して兵士達に供給されているが、食糧の配布の優先度は位の高い者からであったので、下っ端は少量で尚且つ質の悪い物が回っている。しかもここに来て素行の悪い兵士による下っ端虐めが顕著に出ており、多くの下っ端の兵士は食べ物を奪われている。

 虐めを受けた下っ端の兵士が上司に助けを求めても、その兵士は周りに口合わせをするように脅しているので、その兵士が罪に問われる事はなく、逆に侮辱したと罵って下っ端を更に孤立させていると、あまりにも悲惨な状況がギムにあった。

 

 士気は最悪どころの話ではなく、いつ味方同士で殺し合いが起きてもおかしくないのだ。

 

 アデムは副将とあって食糧が優先的に回されているが、それでも質素な料理しか口に出来ていない。苛々の原因はここにもあるようである。

 今口にしている乾燥肉も保存を目的にしているので、肉は固いわ塩辛くて不味く、オマケに臭いと評判は悪い。しかし貴重な栄養を摂取出来て、保存が利く食べ物なので、兵士達はこれを食べるしかない。

 

 

 閑急話題(それはともかく)

 

 

 現在ギムの雰囲気は最悪といっても過言ではない。

 

 

 

「相変わらずアデムは荒れているな」

 

「まぁ楽しみを奪われた上に、思い通りに行かない現状に苛立っているのでしょう」

 

 司令部のテントでは東方征伐軍総司令官パンドールが呆れた様子で声を漏らすと、部下の一人が答える。まぁイライラしているのはギムに居る誰でも同じことだが。

 

「しかし、先遣隊から連絡が途絶えたのは、あまりにも不自然ですな」

 

「あぁ。まさかジューンフィルアほどの者がクワ・トイネ如きにやられるとは考えづらいが」

 

 アデムだけならず、司令部の幹部達も先遣隊からの連絡途絶に疑問を抱いていた。

 

 パンドールはジューンフィルアの実力と武勇は良く知っている。それ故にエジェイ攻略の先遣隊の指揮官として任せたのだから。

 

「しかし、ワイバーンの引き抜きがなければ、先遣隊の支援に当てられて、今日中に状況を把握できたというのに」

 

「そうだな」

 

 部下の言葉を肯定しつつ、パンドールは顎に手を当てて、静かに唸る。

 

 本来であればワイバーンが100騎近くギムに配備されていたのだが、王都より突然ワイバーンの帰還命令が下されたのだ。あまりにも急な命令にパンドールは戸惑ったものも、王都からの命令である以上従わないわけにはいかず、多くのワイバーンを王都へと帰還させた。

 

 その為現在ギムには哨戒できる最低限の数しかワイバーンが残されていない。その為調べられたはずの状況を調べられなかったのだ。

 

 

 このワイバーンの帰還命令の真相は、あのロデニウス沖海戦における400騎のワイバーンの全滅にあり、上層部はその補填として東方征伐隊からワイバーンを引き抜くことにしたのだ。その引き抜く決定を下した理由としては『王都周辺の厳戒態勢を敷く為であり、ワイバーンが少なくても亜人相手であれば少数で十分』と、いい加減なものであった。

 ちなみに400騎全てを艦隊支援の為に上げて全滅させた司令官は責任を負わされて更迭されたそうな。

 

 

「クワ・トイネ……亜人や獣姦主義の人間ばかりの農民の国ではなかったのか? なぜここまでの力を」

 

 しかしワイバーンによる航空支援が無くても、先遣隊が全滅するような事は考えにくい。それも全く連絡が無いのは尚更ありえない。

 

 そこから考えられるのは、未確認の要素が関わっているのではないかという疑いだ。

 

「やはり以前より偵察部隊から報告のある未知の武器が関わっているのでは?」

 

「……その報告か」

 

 部下の言葉を聞き、パンドールは偵察部隊から受けた報告内容を思い出す。

 

 

『クワ・トイネの亜人や人間が剣や弓矢とは異なる武器らしき物を有している』

 

 

 結局その武器が何だったのかの詳細は無かったので、パンドールは気にしていなかった。

 

 しかしその報告書にある未知の武器がエジェイで使われた可能性がある。

 

「もしかすれば、その武器は第三文明圏にあるとされる『ジュウ』と呼ばれる武器ではないのか?」

 

「ジュウ、ですか? それは一体?」

 

「噂で聞いた話だが、射程と威力は弓矢を超えて、弓矢と違って訓練が楽で短く、すぐに戦力化が出来るそうだ」

 

「なんと! そのような武器があるのですか!?」

 

 部下は驚きのあまり思わず声を上げる。

 

「あの第三文明圏の列強国 パーパルディア皇国では兵士一人一人にそのジュウが行き渡っているそうだ。そしてそのジュウを大きくした大砲と呼ばれる兵器があるらしい」

 

「凄まじい。さすがは列強と呼ばれているだけはありますな。まさかクワ・トイネがそのジュウを持っていると?」

 

「確証は無いが、仮に先遣隊が壊滅しているとなると、ジュウが使われた可能性は考えられる」

 

「ですが、我々よりも劣って出せる物も出せない亜人如きに、あのパーパルディア皇国が支援をしますでしょうか?」

 

「さしずめ金を稼ぐ為にジュウを横流しした者が居たのだろう。でなければ我々に支援をしておいて敵に支援なんかしないだろうし、何より我々の手に渡っていない武器が敵にあるというのもおかしいからな」

 

「それは確かに」

 

 納得したように部下は頷く。

 

 まぁ実際の真実は違うのだが、彼らにそれを確かめる術が無いので、そう考える他無い。

 

「ともかく、今は夜明けを待つしかあるまい。それで状況は把握出来る」

 

「そうですな」

 

 パンドールはそういうと、会議の為に幹部を呼ぶよう部下に命じた。

 

 

 

 ―――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 所変わってロデニウス大陸のとある海岸

 

 

 海岸にあるヤシの木の林。その林に隠れるように巨大な影がひっそりと潜んでいる。

 

 

「……」

 

 その影こと『紀伊』は顔にヤシの木の葉っぱを被って静かに寝息を立てて寝ている。

 

 マイハークを出港した『紀伊』はある程度進んだ所で海岸に潜み、時間になるまで隠れて待機しているのだ。

 

 

 そしてある時刻になると、『紀伊』は目を覚ましてヤシの葉っぱを顔から退かし、大きな欠伸をする。

 

「ふわぁぁぁ……時間か……」

 

 上半身を起こして首を鳴らしながら今の時刻を確認し、『紀伊』は傍に突き立てている大剣の柄を掴み、それを支えにしてゆっくりと立ち上がる。

 

「さてと、仕事の時間だ」

 

 背伸びをしながら呟くと、彼の肩に乗っている小さなUMAこと妖精が敬礼をする。

 

 『紀伊』は大剣を地面から引き抜いて林を抜け、剣先に着いた土を振るって払うと、背中の艤装にあるマウントラックを上に起こし、そこに大剣を置くと固定し、元の向きに戻して大剣を収容して海に出る。

 

「……」

 

 『紀伊』が艤装の左側のアームに接続されているユニットに目をやると、そこでは小さな妖精達が水上機のカタパルトにて水上機が発進準備に入っている。

 

 そして発進準備を終え、水上機はカタパルトによって射出されて飛び立つ。

 

 直後水上機は光に包まれると、たちまち大きくなり、光が晴れると実物大の大きさになった水上機こと『瑞雲』が空高くへと飛んでいく。

 

「頼むぞ」

 

 『紀伊』は高度を上げて飛ぶ瑞雲を見送りつつ、浜辺から海へと出る。

 

 

 『紀伊』より飛び立った瑞雲は高度を上げつつ辺りを捜索する。

 

 瑞雲は闇夜に紛れる為に黒一色に塗装され、航続距離を伸ばす為に改造が施されており、追加の増倉が取り付けられている。

 

 

 『紀伊』はある程度陸地から離れると、西へと身体を向けて海上を走る。

 

「さてと、目標の位置は……」

 

 彼は目を閉じて、意識を集中する。

 

 すると彼の脳裏に瑞雲より見ている視点が映り、同時に自分と瑞雲との距離を感覚で把握する。

 

「……」

 

 彼は距離を把握しつつ、攻撃目標の位置を探る。

 

 

 

 ―――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 所変わって、再びギム。

 

 

 兵士達は交代で町の周囲を見張り、敵の襲撃に備えている。

 

「くそっ、あの野郎。今日も俺から食糧を取りやがって」

 

 高い建物から見張りをしている兵士は憎しみの篭った声を漏らし、歯軋りを立てる。

 

(俺達が農村の出だからって、偉そうに。その上仕事も全て押し付けて、自分はお休みかよ)

 

 内心愚痴る兵士は、行き場の無い怒りが募り、表情から怒り心頭であるのが見て取れる。

 

 ロウリア王国軍の兵士の多くは農村からの出が多く、王都出身の兵士達からは田舎者として格下扱いされることが多い。それ故に兵士間の間で虐めの対象にされるのも珍しくなかった。

 

 今回も農村の出の兵士達がその標的にされ、自分に回された食糧を奪われている。

 

 その上見張りの仕事も押し付けられており、兵士達の多くが睡眠不足に陥っている。

 

 これらがあっても、農村出身の彼らは王都出身の兵士達に逆らえない。逆らおうとすれば、より一層立場が酷くなるからであるからだ。

 

 その為、兵士間の雰囲気が険悪になっている。これで仲間割れが起きないのはある意味奇跡である。

 

 

 

「ん?」

 

 と、見張りをしている兵士は顔を上げる。

 

「何の音だ?」

 

 見張りの兵士は神経を集中させて、耳を傾ける。

 

 小さく「ブーン……」と虫の羽音の様で違う、聞いた事の無い音がしている。

 

「一体なん―――」

 

 

 と、兵士が言い終える前に、突然建物が爆発し、見張りの兵士は吹き飛ばされる。

 

 彼が最期に見たのは、闇夜を飛翔する何かであった。

 

 

 

 突然の轟音にギムは蜂の巣を突いた様な騒ぎとなった。

 

「何事だ!?」

 

「て、敵襲です! 敵が攻めて来ました!」

 

 指揮官の男性が叫ぶと、兵士がやって来て報告する。直後に彼らの上空を何かが高速で通り過ぎる。

 

「何だと!? 見張りは何をしていたのだ!?」

 

 と、闇夜の上空を高速で何かが通り過ぎ、直後に爆発が起こる。

 

「それが、いきなり現れたんです!」

 

「そんなわけあるか! あんな大きな音を出しておいて、接近に気付けないはずがないだろうが!!」

 

「で、ですが、突然現れたことに変わりはありません……」

 

 上空を指差しながら指揮官が叫び、兵士はおどおどとしながらも答える。

 

 兵士の報告通り、敵は突然現れた。気付いた時にはもう目と鼻の先にまで迫っており、それを認識した瞬間攻撃を受けた。

 

「ワイバーンによる夜襲とは! 兎に角! ワイバーンを起こして速やかに飛ばせ!! すぐにだ!」

 

「は、ハッ!」

 

 

「ほ、報告します!」

 

 と、他の兵士が指揮官の元へとやって来る。

 

「先ほどの攻撃で、ワイバーンが……壊滅しました」

 

「……なに?」

 

 報告を聞いた彼は、ゆっくりと報告した兵士へと向く。

 

「どういう、ことだ?」

 

「詳細は分かりませんが、先ほどの爆発でワイバーンと、駆け寄っていた竜騎士が巻き添えを受けて、飛べるワイバーンは……いなくなりました」

 

「馬鹿な……」

 

 目を見開いて、信じられないような表情を浮かべる指揮官は、空を見上げる。

 

 それは即ち、制空権喪失を意味しているのを、この場にいる誰もが理解した。

 

 そして彼の目が捉えたのは、こちらに向かって降下してくるワイバーンとは似ても似つかない物体で、鼻先と翼が瞬くと、その瞬間彼らの意識は永遠に失われた。

 

 

 

 高速で飛翔する正体は航空機であり、ロウリア王国軍によって占領されたギムに対して攻撃を行っていた。

 

 零式艦上戦闘機 三二型 通称『零戦改』と呼ばれる戦闘機がワイバーンが休んでいる竜舎へと両翼の懸架装置に下げている一〇〇式ロケット弾改を放ち、その後ロウリア王国軍の竜騎士や兵士に対して機首と両翼に搭載された零式機銃四門による機銃掃射を行う。

 

 零戦改と同じように『F6F-6』が両翼のロケット弾を物資集積所へと放ち、ロケット弾を撃ち終えた後は機銃掃射へと切り替える。

 

 その他にも流星に酷似した『FW190M』と呼ばれる艦上攻撃機と、SB2Cヘルダイバー、TBFアヴェンジャーといった艦載機が爆弾やロケット弾を放ち、次々と兵士が潜んでいるであろう建造物を破壊していく。

 

 

 

「奇襲成功。戦果はまずまずか」

 

「……」

 

 ギムから離れた丘の上で、二人の女性が燃え上がるギムを観ていた。

 

 一人はアークロイヤルで、もう一人は銀色の長髪に赤い瞳、胸元が大きく開かれ、タイトスカートの黒い軍服を身に纏い、その上から白い外套を羽織っている女性ことKAN-SEN『グラーフ・ツェッペリン』である。

 

 二人共艤装を展開しており、アークロイヤルは右腕に空母の飛行甲板とライフル銃を合わせたみたいな形状の艤装を持ち、グラーフ・ツェッペリンは飛行甲板に連装砲四基、更にまるで鮫の様な姿をした艤装を持ち、艤装自体に意思があるのか動いている。

 

 

 二人はエジェイ防衛が終わると共に作戦に従い、ロウリア王国軍に動きを悟られないように大きく迂回して移動し、ギムから5km以上離れた地点に到着し、艤装を展開してそれぞれ航空機を発艦させた。

 

 発艦直後はミニチュアサイズであった艦載機だが、ギムの上空まで飛行してそこで実物大の大きさへと変わり、攻撃を開始した。

 

 地上で艤装を展開したKAN-SENは海上での機動力は失われ、火力も低下しがちだが、馬力と装甲、そして能力は変わらず使用できる。

 

 特に空母に関しては艦載機を問題無く使用出来るので、このように敵陣地付近から艦載機を飛ばし、直前になって大きさを実物大へと変えて奇襲するという戦法が取れるのだ。

 

 しかもわざわざ飛行場を設営しなくても航空機を運用出来るので、地上でのKAN-SENの運用で一番厄介なのは、空母であろう。

 

 もちろん前の世界ではこのような戦法に対しての対抗策があるので、成功例は少ない。

 

 しかしKAN-SENが存在しないこの世界では、当然防ぐ術などあるわけが無く、ましても夜間となれば、防ぎようがない。

 

 

「しかし、愚かなものだ」

 

 グラーフ・ツェッペリンは脳裏に艦載機から見た光景が広がり、ギムの様子が浮かび上がっている。その光景に哀れめいた声を漏らす。

 

 FW190Mが急降下して腹の爆弾倉の扉を開けて抱えている50番陸用爆弾一発と両翼に下げている25番陸用爆弾二発を投下し、広場にあるテントに直撃させて破壊する。

 

「ロデニウス沖での敗北に、エジェイでの敗北があったというのに、ほとんど警戒していないとはな」

 

 攻撃直前まで殆ど警戒されてなかったので、その腑抜けっぷりに彼女はどこかつまらなそうであった。

 

「ロデニウス沖はともかく、エジェイでの戦闘はそれほど時間が経っていない上に、戦闘の最中に通信機も破壊されて情報が届いていないのだろう。陸戦隊は派手にやったみたいだからな」

 

 彼女の呟きを聞き、アークロイヤルは手にしているライフル銃型の艤装に異常が無いか確認しながら答える。

 

 まぁ後者はともかく、前者に関しては彼女達が知る由も無いが、敗北した事実が秘匿されているとは思わないだろう。

 

「まぁ、警戒されていないのなら、こちらとしては好都合だ。仕事が捗る」

 

「……」

 

 アークロイヤルはライフル銃型の艤装を構えると、右目にホログラフのサイトが現れ、飛行甲板にある小さなF6F-6が次々とカタパルトを使って発艦し、飛び立った直後に一瞬光り輝いて実物大の大きさへと巨大化し、ギムへと向かっていく。

 

 グラーフ・ツェッペリンも右側にある飛行甲板から小さな零戦改をカタパルトを使って発艦させ、飛び立った直後に零戦改は一瞬光り輝いて実物大の大きさへと変貌し、F6F-6の編隊に続く。

 

「しかし、彼らは運が良いな」

 

 と、アークロイヤルは自身の艦載機らの視界に映るギムの光景を見つつ、ライフル銃型の艤装を肩に担ぐ。

 

 ロウリア王国軍の兵士達は機銃掃射を行う為に降下してくる零戦改とF6F-6から逃げ戸惑い、反撃の意思を見せる者は僅かであった。

 

 中には傷付いて倒れている兵士に対して一部の兵士達がなぜかその負傷兵に剣を突き刺すか、鈍器で殴り殺して止めを差す光景がいくつも広がる。

 

 二人が知る良しも無いが、倒れている兵士の多くが王都出身者であり、襲っているのは農村出身者で、この混乱に乗じて日頃の鬱憤を晴らしていた。

 

 しかし当の二人はそんな異常な光景を特に気にする様子は無い。

 

「本来のプラン通りであれば、彼らはギム諸共この地上から消え去っていたのだからな」

 

 と、彼女はとても物騒な事を呟く。

 

 実を言うと、この作戦は最初空母による奇襲では無く、別の案で攻撃を行う予定だった。しかし話し合った結果、ギムの奇襲は空母の艦載機で行うとして、その作戦の発案者は別の場所を攻撃する為に行動している。

 

「計画通りなら、今頃動いているか」

 

 グラーフ・ツェッペリンは顔を上げる。

 

 




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竜の伝説編はやっておくべき?

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