異世界に召喚されしはイレギュラーが率いる異界の艦隊   作:日本武尊

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第一話の冒頭が某氏の作品と似ているとの指摘を受けましたので、冒頭は丸々カットしました
そんなつもりは無かったけど、改めて見比べると結構似てた……


第三話 接触後

 

 

 時系列はロデニウス大陸に未確認騎が現れて一日下る……

 

 

 

 中央歴1637年 11月25日 トラック諸島

 

 

『……』

 

 窓にカーテンが掛かって薄暗い会議室。そこに『大和』に『紀伊』を含む、多くのKAN-SEN達とその他諸々が集まり、プロジェクターからスクリーンに投影されている映像を見ていた。

 

 プロジェクターから投影されている映像は、先日トラック諸島の夏島にある飛行場より飛び立った連山二機、その内低空を飛行した連山が撮影した映像である。

 

 映像には金色に広がる麦畑や古い町並み、連山に向かってくるワイバーンとそれに跨る鎧を纏った人間が映し出されている。

 

 最後には高高度から撮影した写真と、海面ギリギリから撮影したであろう港や付近の街並みを写した写真が数枚ほど流れる。

 

 

「先日諸島の周辺海域を哨戒していた連山二機が発見した大陸で『蒼龍』が乗った機と高高度を飛行していた機より撮影したものと、特戦のUボートが水中から撮影したものだ。これらを見る限り、文明を築いた国家らしき集落が確認されている」

 

 カーテンが開けられて日の光が会議室に差し込んで室内を明るくし、『大和』は手にしているタブレット型端末の画面に表示されている資料を見ながらKAN-SEN達に説明する。

 

「これは、竜?」

 

「でも、人間が乗っているわね」

 

「街の規模からすると、それなりに発展しているのだな」

 

「だが、とても古い装備が目立つな」

 

「これは帆船か? なんて古典的な」

 

 各々のKAN-SENがタブレット型端末に転送された資料を見て呟く。

 

「それで、どうするのだ、総旗艦に指揮艦?」

 

 その中で、白い髪に狐の耳が生えて、九本の尻尾を持つKAN-SEN『加賀』が問い掛ける。

 

 本来ならKAN-SEN『赤城』か『天城』がこの場に出るのだが、二人は現在諸事情で出席できないので、彼女が代わりに出席している。

 

「こちらとしては、この国と接触したいと考えている」

 

「このままジッとしていても、入ってくる情報は高が知れているからな」

 

 『大和』と『紀伊』は『加賀』の質問に答える。

 

「しかし、大丈夫なのでしょうか、兄様?」

 

 と、不安げな表情を浮かべて一人の男性が『大和』に声を掛ける。

 

「知らなかったとは言えど、この国の領空を侵犯しているから……どうなるか」

 

「……」

 

 男性は接触時に起こるであろう懸念を口にして、『大和』は何も言わない。

 

 赤い瞳に中性的な顔つきをして『大和』と同じ腰まで伸びた黒髪を一本結びにしている髪形をした青年だ。その格好は大和と同じ漆黒の第二種軍装を身に纏い、机には菊花紋章を持つ制帽を置いている。

 その容姿は大和と非常に似通っており、髪型に違いがなければパッと見で判別するのは難しいだろう。

 

 彼の名は『武蔵』 『大和』の弟である姉妹(きょうだい)艦の男性型KAN-SENだ。

 

「そこはちゃんと謝罪するつもりだ。知らなかったとは言えど、非はこちらにあるのだからな」

 

「……」

 

「申し訳ございません、兄上。自分が不用意に近付き過ぎたばかりに、このような事態を招いてしまって」

 

 と、連山に乗り込んでいた男性が『大和』に頭を下げて謝罪をする。

 

 彼の名前は『蒼龍』 『大和』と『武蔵』の弟である姉妹(きょうだい)艦の男性型KAN-SENだ。

 

「気にするな、蒼龍。元はと言えば、このような事態を想定しなった俺に非がある。お前ばかりを責められん」

 

「兄上……」

 

 

「しかし接近すれば、攻撃を受ける可能性があります。ただでさえ向こうは領空侵犯で緊張状態にあると思われますので」

 

 と、一人の男性が意見を述べる。

 

 短く切り揃えた髪から西洋の龍の角を彷彿とさせる角が二本後ろに向かって生えており、尻付近から龍の尻尾が生えている。その容姿と特徴は何処と無く紀伊に似た容姿をしているが、顔の半分近くを覆う火傷の痕が目立っている。

 

 彼の名は『尾張』 『紀伊』の弟である姉妹(きょうだい)艦の男性型KAN-SENだ。

 

「まぁ、その可能性は考えられる。意図的では無いにしろ、挑発的な行動を取ってしまっているのだからな」

 

「……」

 

 『尾張』は兄である『紀伊』の言葉を聞き、思わず息を呑む。

 

「だが、それでもこの国と接触し、ひいては交易を結んで食料と資源を確保しなければ、俺達は滅びを待つだけだ」

 

『……』

 

 『大和』の言葉に誰もが深刻な表情を浮かべる。

 

 

 

 突如としてトラック諸島は眩い光に包まれて、異世界に転移した。原因は分からないが、気付いた時には既に異世界にいたのだ。そう結論付けるのに至ったのは、周囲の環境の変化であった。

 人間だった頃の知識で『大和』と『紀伊』は、周辺環境の変化ですぐに異世界に転移したと結論を下し、警戒態勢を取ると共に情報収集の為に周囲の哨戒を行わせた。

 

 KAN-SENは兵器ゆえに必要な資源が無ければ、いずれその命が尽きる事になる。それに加えてKAN-SENは兵器であると同時に生きているし、KAN-SEN以外にも極少数の人間と、生き物が住んでいる。一応食糧の自給自足は出来るが、トラック諸島の全てを賄えるほどの量は無い。

 故に、彼らにとって食料と資源確保は最優先事項だった。

 

 そんな時、哨戒中の連山が、文明を築いた国と思われる集落を発見したのだ。

 

 

 

「それじゃ、大陸へ派遣するKAN-SENを発表する」

 

 『大和』はタブレットを持って編成表を出す。

 

「大陸へ派遣するKAN-SENは……武蔵に頼もうと思う」

 

「えっ? 僕ですか?」

 

 まさかの指名に『武蔵』は驚きを隠せなかった。

 

「接触にはなるべく敵意が無い事を相手に伝えないといけない。ガチガチに武装した戦艦や巡洋艦では警戒心を抱かれかねないからな」

 

「それは……」

 

「武蔵でもその巨体で警戒心を抱かれるんじゃないか、ヤマト?」

 

 と、『武蔵』に対しての『大和』の説明に、一人のKAN-SENが意見を挟む。

 

 腰まで伸びた金髪に碧眼をした容姿に、金色の装飾が施された黒い軍服を身に纏い、同色の制帽を被っている。赤い裏地を持つ黒いマントを羽織っており、いかにも軍人な雰囲気を醸し出している。

 

 彼女はビスマルク級戦艦の一番艦『ビスマルク』 そのKAN-SENである。

 

「まぁ、俺と『武蔵』 それに『蒼龍』の艦体じゃ、かえって警戒されるかもしれないな」

 

「なら、他の空母に任せても良いのではないのか?」

 

「それもありだが、もしもの場合を想定して彼を選んだんだ」

 

「もしもの場合、か。具体的には?」

 

 彼女は分かっていたが、あえて『大和』に問い掛けた。

 

「あまりあって欲しくないが、攻撃を受けた場合だ。通常の空母ではちょっとした攻撃が致命的になりかねないからな」

 

 『大和』の脳裏には人間だった事のミリオタ知識にあるミッドウェー沖海戦や、マリアナ沖海戦での戦闘が過ぎる。しかし前者は明確に覚えているが、後者に至っては『  』がぼやけてて思い出せないが。

 

「だが、俺や『武蔵』 『蒼龍』の艦体なら、ある程度の攻撃に耐えられる装甲を有している。だから『武蔵』を選んだ」

 

「……」

 

 『ビスマルク』は納得したのか、それ以上は聞かなかった。

 

「本当なら俺が行きたい所だったが、生憎今俺の艦体は改装中だからな」

 

「……」

 

 表情を暗くする『大和』に、『武蔵』は何も言えなかった。

 

 『蒼龍』もまた、表情を暗くして右手を握り締める。

 

「だが、万が一の事もある。『武蔵』の後方に五航戦と『紀伊』が率いる艦隊を待機させる。いざという時は頼む」

 

「あぁ。任せておけ『大和』」

 

 『紀伊』は『大和』に頷いて肯定する。

 

「他のKAN-SENは?」

 

「もちろん艦隊はいつでも出撃出来る様に諸島湾内に待機。指揮は『ビスマルク』に任せる」

 

「Ja.」

 

 『大和』の指示を聞き、『ビスマルク』は返事をしつつ頷く。

 

「基地航空隊はどうしますか?」

 

「基地航空隊も出撃準備をして待機だ」

 

「分かりました」

 

 『大和』の指示を聞いて『蒼龍』は頷く。

 

「我が陸戦隊の出撃も考えられるか?」

 

 彼が蒼龍に基地航空隊への出撃待機命令を出すと、一人のKAN-SENが口を開く。

 

 腰まで伸びた黒い髪を一本結びにして、頭からは水牛のような角が生えている。金の装飾が施された黒い軍服にスカートを身に纏い、その上から白い着物を羽織っており、右腕にはZ旗を模した腕章を付けている。

 

 彼女は敷島型戦艦の四番艦『三笠』 そのKAN-SENである。

 

「無いに越した事はありませんが、敵が攻めてくる可能性は捨てきれないので、陸戦隊も戦闘準備を整えていてください」

 

「了解した」

 

 『大和』の指示を聞いて『三笠』は頷く。

 

「それと交渉役として、俺が『武蔵』に乗船して行く」

 

「ヤマト自らが?」 

 

 と、驚いたようにKAN-SEN『エンタープライズ』が『大和』に声を掛ける。

 

「こういった交渉に、代表が行かないわけにはいかないからな」

 

「それはそうだが……」

 

「『赤城』のやつが聞いたら、研究室を抜けてお前に付いて行こうとするだろうな」

 

 困惑する『エンタープライズ』に続いて、『紀伊』が冗談交じりに苦笑いを浮かべる。

 

「『赤城』には前日に説明して納得してもらっている。その心配は無い(その代わり色々と要求されたけど)」

 

 『紀伊』に説明しつつ、『大和』は前日の出来事を思い出す。

 

「まぁ、さすがに俺だけだと交渉に不安があるから『天城』に一緒に来てもらう」

 

「大丈夫なのか? 『天城』さんを同行させて」

 

 と、『加賀』が少し不安げな表情を浮かべる。

 

「本当なら彼女にはジッとして欲しいが、聞かないんだよなぁ……」

 

「はぁ……」とため息を付きながら頭を掻く。

 

「『天城』さんらしいですね」

 

「まぁな」

 

 納得したように『加賀』がそう言うと、『大和』は咳払いをして気を取り直す。

 

「一応俺達の護衛に『土佐』と『出雲』が同行するようにしている」

 

「あの二人が一緒なら、心配は無いか」

 

 『紀伊』は納得したように頷く。

 

「ともかく、これは重要な接触だ。接触後の交渉の成否で俺達の今後が左右される。各員は気を引き締めるように」

 

 『大和』がそう言うと、KAN-SEN達は立ち上がって敬礼をする。

 

 

 

 




感想、質問、評価、要望等をお待ちしています。

竜の伝説編はやっておくべき?

  • やっておいた方が良い
  • 別にやらなくても良いんじゃね?
  • オリジナル要素を加えてやるべき
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