異世界に召喚されしはイレギュラーが率いる異界の艦隊   作:日本武尊

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まる@@様より評価7を頂きました。

評価していただき、ありがとうございます。


第三十二話 戦いは終わりへ……

 

 

 ロウリア王国 王都ジンハーク

 

 

 城の外では、地獄そのものが繰り広げられていた。

 

 

 突然司令部からの指示がなくなり、どう動けばいいのか分からない兵士達は右往左往状態であった。

 

 当然その隙をトラック泊地陸戦隊とクワ・トイネ公国陸軍が見逃すはずもなく、一気に攻め入った。

 

 

 上空では疾風が城壁上に居る兵士達に対して機銃掃射を行い、機銃掃射が行われた線には赤い血と肉片しか残らなかった。

 

 他にA-1 スカイパイレーツによる爆撃で城壁の上にて航空機を迎撃していた魔導師を次々と吹き飛ばし、逃げ戸惑う中F8F ベアキャットや烈風による機銃掃射も加わり、魔導師達は次々と倒れていく。

 

 

 移動と設営を終えた砲兵隊はすぐに『グローセ』指揮の下砲撃を始め、第二城門へ砲弾が降り注ぐ。

 

 城門は木っ端微塵に破壊され、戦車一両が通れるスペースを開けた。

 

 これにより、ロウリア王国軍は防衛線を下げざるを得なくなり、独自の判断で兵士達が退く。 

 

 

 

 ―――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 そしてハーク城内

 

 

 

 ハーク城内にて接敵した兵士達を倒しながら、特戦隊と忍び部隊がロウリア34世が居る謁見室へ向かっていた。

 

 道中見張りの兵士を見つけるも、幸い背中を向けていたので、『霧島』と『黄昏月』が背後から近づいて兵士達の喉笛を掻っ切って、静かに仕留める。

 

 『U-666』、『U-47』、『U-73』、『U-101』、『U-522』は手にしているAKMを素早く身構えては、正確無比な射撃でロウリア王国軍の兵士の心臓か肝臓に二発の銃弾を叩き込み、倒れたところを更に頭に一発と、確実に仕留めた。

 

 『黒潮』に『暁』、『十六夜月』も艤装にある主砲を放つか、クナイ、手裏剣を用いて命を刈り取る。

 

 

「この階段の先が謁見室の扉の前になります」

 

 階段を登りながら『黒潮』がそう言うと、Uボート達は頷く。

 

 彼女達は階段を登っていき、頂上へと辿り着こうとした。

 

「……」

 

 すると先頭を行っていた『黄昏月』が立ち止まると同時に階段に伏せて、手で止まれのジェスチャーを後ろに向けて後続を止めさせる。

 

「どうしましたか、『黄昏月』殿?」

 

 『黒潮』が怪訝な表情を浮かべていると、『黄昏月』はこっそりと階段の向こうを見つめる。

 

 彼の視線の先には、一人の男性が二人のメイドの背後に立ち、王座の間の前で待ち構えている。相手の意図に気づいたランドは部隊を王座の前に配置し、更に非戦闘員のメイド二人を連れて盾にしていた。

 

 『黄昏月』は後ろを向かず、手信号で階段の向こうの状況を伝える。

 

「待ち伏せ、ですか」

 

 状況を理解した『黒潮』は目を細め、特戦隊へ状況を伝える。

 

「どうやら、敵にも勘の良い奴はいたようだな」

 

 『U-666』はAKMのマガジンを外して弾がまだあるのを確認して再度差し込む。

 

「どうするの、666?」

 

 AKMのマガジンを交換する『U-73』が『U-666』に問い掛ける。

 

「『黄昏月』の言うとおりなら、たぶん伏兵が潜んでいると思うよ」

 

「それじゃぁ、むやみに突っ込んでも面倒なだけね」

 

 『U-47』が予想を彼に伝えると、『U-522』が呟く。

 

「……スタングレネードをあるだけを広範囲に投げる。101、522、彼女達に分配しろ」

 

 『U-666』が伝えると、『U-101』『U-522』が二つあるスタングレネードの内一つを『霧島』と『十六夜月』に渡す。

 

「……」

 

 彼が頷くと、手にしているスタングレネードの安全ピンを引き抜き、他の面々も安全ピンを抜く。

 

「……」

 

 『黄昏月』が階段の向こうの状況を確認して、手のジェスチャーで合図を送ると、『U-666』達はスタングレネードの安全レバーを指で弾き、力の限りを使ってスタングレネードを階段の向こうへと投げる。

 

 宙を舞うスタングレネードは広範囲に渡って床へと音を立てて落ちると、「なんだこれ?」とランドは落ちてきた物を見て首を傾げる。

 

 その直後、眩い光と大きな音を発しながらスタングレネードが次々と破裂した。

 

「行け行け!」

 

 スタングレネードが破裂した直後に『U-666』が前進を指示して階段の向こうへと上がる。

 

 そこでは眩い光に目をやられ、大きな音で耳と平衡感覚をやられて倒れているランドと、目を回して気絶しているメイドの二人の姿に、柱の陰から倒れて耳を押さえている兵士達の姿があった。

 

 『U-666』達はすぐさま兵士達の元へと向かい、拘束する。

 

「っ! 貴様!」

 

「悪いが、眠ってもらうぞ」

 

 と、『U-666』はランドの顎を加減して蹴り上げて、意識を刈り取り、両腕を後ろにやって太めの結束バンドで両手首を縛り上げる。

 

 周りでは同じように『黒潮』や『暁』、『霧島』、『十六夜月』、『黄昏月』も兵士達の意識を刈り取ってから両腕を後ろに回して拘束し、Uボート達も同じように兵士達を拘束している。

 

「拘束完了。後は」

 

「あぁ」

 

 『U-101』が全員を拘束したと報告すると、『U-666』は扉を見る。

 

 

「っ! 敵襲!! 3時方向!!」

 

 『U-73』が叫んで全員がその方向を見ると、壁が勢いよく開いてそこから中に潜んでいた兵士達が次々と出てくる。

 

「Granate!!」

 

 『U-666』が叫ぶと共に、Uボート達はそれぞれ手榴弾を手にして安全ピンを抜き、安全レバーを指で弾きながら敵兵に向かって投げる。

 

 敵兵の一団の中に落ちた手榴弾は次々と爆発し、近くに居た兵士達は破片で手足が千切れ飛んでその場に倒れる。

 

「『黒潮』殿! 入り口を頼む!」

 

「承知しました!」

 

 『U-666』は『黒潮』に入り口の確保を要請し、Uボート達はAKMを構えて敵兵へ射撃を開始した。

 

 

 

 ―――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 かつてクワ・トイネ公国とクイラ王国に対して戦争の許可を大らかに宣言した謁見室で、玉座に座るハーク・ロウリア34世は頭を抱えて、絶望していた。

 

(一体何を間違えたのだろうか……)

 

 彼は頭の中で何度も何度も、同じ言葉を繰り返していた。

 

 

 6年もの時間と、もはや服従と言ってもいいほどの屈辱的な条件を飲んで、第三文明圏の列強国 パーパルディア皇国から多大な軍事支援を受けてきた。

 

 数万規模の兵士に、大量の軍船とワイバーンを輸入し、軍事顧問団によって兵士達の練度を引き上げて来た。

 

 資材に、資金、人材、国力をギリギリまで投入して、多くの負債を背負うことになったが、それによって手にしたロデニウス大陸最強の軍隊。

 

 石橋を叩いて渡るかのごとく力を付けていき、二ヶ国との軍事力に差をつけてたはずだ。

 

 クワ・トイネ公国の軍にも、クイラ王国の軍にも、決して負けるような要素は無かった。ましても害獣として迫害し、人間に劣ると見下した亜人であるのなら、尚更負ける要素など無かったのだ。

 

 それは誰もが理想に思える、完璧な勝利が約束されていたはずだ。

 

 

 

 だが、現実はどうだ?

 

 

 

 最初のギムへの侵攻で亜人の姑息な罠によって多くの兵士が死傷し、そこで調達するはずだった食料と水が無かったことで、緒戦から物資の不足に陥り、計画を大きく変更せざるを得なかった。

 

 だがまぁ、ここまでなら想定の範囲内である。

 

 しかしこの後に始まったロデニウス沖海戦で、確実に勝てる4500隻と言う戦力を投入していながらも、艦隊は壊滅し、シャークンは戦死(実際は生きて捕虜になっているが……)して、更に上空援護に出撃させたワイバーン400騎は全滅した。

 

 確実にか勝てる戦力であったはずなのに、誰もがどう見ても惨敗としか思えない結果となった。

 

 その後のエジェイ攻略戦も全く状況を把握していないが、先遣隊は全滅したと言われ、ギムを占領した東方征伐軍もまた夜襲を受けて壊滅的打撃を受けた。

 

 同時に北部の港がたった一隻の軍船の攻撃で壊滅させられ、しかも信じられないがそこからこのジンハーク周辺へ巨大な攻撃を行い、城壁を破壊され、未知なる恐怖を植えつけた。

 

 この攻撃により、ロウリア王国の海軍は実質的に壊滅した。

 

 

 その後ビーズルが攻撃を受けて、工場地帯は壊滅し、多くの加工職人を失ったことで、武器の生産能力はほぼ失った。

 

 北部防衛の為に派遣した部隊は敵ワイバーンの攻撃で壊滅し、上空支援のために出撃させたワイバーン20騎も軽く捻り潰されてしまった。

 

 北部への防衛体制を整えれば、今度は来るはずがない南から敵が攻め入ってくる想定外の事態になり、現在に至る。 

 

 

 難攻不落のはずの城壁は軽く破壊され、敵はこのハーク城へ向かってきている。

 

 しかも城の中に侵入者が現れ、こちらに向かってきているとの事だ。

 

 

(なぜ、なぜこんな事になったのだ……)

 

 ロウリア34世は震えながら内心呟き、自身の髪を握り締める。

 

 多方面で犠牲を強いられながらも、苦労して築き上げてきた軍隊は、その多くが失われてしまった。

 

 

 こんな事になるなら、クワ・トイネ公国とクイラ王国を亜人国家と侮らず、もっとよく詳細な情報を集めてからでも、戦争を始めて良かったはずだ。

 

「そうだ……最初からそうするべきだったのだ」

 

 彼はそう声を漏らして、背もたれに力なくもたれかかって、天井を見上げる。

 

 もっと詳しく、最近の二ヶ国の状況を調べておけば、対策を練られていたはずではなかったのか。

 

「……余は……選択を誤ったのか」

 

 悔やんでも悔やんでも、悔やみきれない。

 

 しかしどこまで悔やんだとしても、それで状況が変わることは無いし、ましても過去が変わるわけではない。

 

 既に結果は目と鼻の先で起きているのだから。

 

「……」

 

 ロウリア34世はうな垂れて、静かに息を吐く。

 

 彼は側近から秘密の逃げ道から逃げるように諭されていたが、彼はそれを否定して、ここに残っている。

 

 国民を捨てて王だけが逃げ延びるわけにはいかない。それにこの状況を招いたのも、その要因を作り出したのも、全て自分にある。

 

 ならば、最後まで王としての責任を負おうと、彼は残ったのだ。

 

 まぁ、逃げようにも秘密の抜け道を知られている以上、彼に逃げ場など無いが。

 

 

 ―――ッ!!

 

 

 すると謁見室の外で大きな音が何度もして、その後最初とは違う大きな音がすると共に、空気が抜けるような音が何度も起きる。

 

 聞いたことの無い音と共に、兵士達の悲鳴が聞こえる。

 

(敵は……すぐそこか)

 

 彼は内心呟くと、玉座に姿勢を正して、気持ちを引き締める。

 

 せめて最後ぐらいは、王としての威厳を保ったまま、最後を迎えよう……

 

 

 ――ッ!!

 

 

 すると、謁見室の扉の一部が破壊され、出来た穴から妙な格好をした者達が部屋の中へと飛び込んでくる。

 

 

 黒い杖のような物を持っている者達の多くは身体に密着して、やけに肌の露出が多い格好をしており、とても戦うような格好ではない。しかもそれらがまだ年端もいかない少女達であるので、余計違和感しかない。

 その少女達の先頭に立つ男性もまた、継ぎ目が殆ど無い黒い服を身に纏っており、少女達と同じように各所に防具が着けられているが、これも戦うような姿とも思えない。

 

 一方彼らの両脇に居る者達もまた珍妙な格好をしており、こちらもその多くが柔肌の多くを出している格好をしており、見たことのない武器を手にしている。その内二人は全身真っ黒の衣服で身に纏い、顔も仮面で隠されているので、恐らく彼らは密偵の類なのだろう。

 しかし彼らは他と違い、角や尻尾があるので、亜人で構成されていると思われる。

 

 その黒い杖を持った者達がロウリア34世に向けられると、先頭に立つ『U-666』がロウリア34世に声を掛ける。

 

「お前がハーク・ロウリア34世か」

 

「そうだ」

 

 質問に対してロウリア34世は頷くと、彼らに問い掛けた。

 

「お前達は、魔帝軍か?」

 

「マテイグン、というのはよく分からんが、我々はそうではない。かといって任務の都合上身分は明かせないが」

 

「……」

 

「ハーク・ロウリア34世。お前の身柄を拘束する。抵抗は無駄だ」

 

 と、彼の後ろでUボート達がロウリア34世に銃口を向ける。

 

「抵抗はせんよ。今更抵抗したところで、どうすることもできん」

 

 ロウリア34世は玉座から立ち上がり、彼らの元へと歩いて両腕を上げる。

 

「賢明な判断だ」

 

 『U-666』はそう言うと、彼の両腕を後ろに回し、結束バンドで両手首を縛る。

 

「それと、全軍に対して戦闘停止を命令してもらう。これ以上余計な犠牲者が出る前にな」

 

「分かっている。王としての最後の仕事は、全うさせてもらう」

 

 彼はそう頷くと、そのまま連行される。

 

 

 

 

 その後ロウリア34世によって全軍に戦闘停止命令が出され、司令部が制圧されたことを伝えられ、ロウリア王国軍は武装解除を行った上でクワ・トイネ公国軍に投降した。

 

 

 戦闘終了と共に、ロデニウス大陸で起きた三ヶ国の争いは、ロウリア王国の敗北によって終結を迎えるのであった。

 

 

 

 




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竜の伝説編はやっておくべき?

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