異世界に召喚されしはイレギュラーが率いる異界の艦隊 作:日本武尊
命滅軍より評価8を頂きました。
評価していただきありがとうございます!
その日の夜。
ムー国の高級ホテルでも最高級の部屋に泊まる『大和』達は、今日のことを話していた。
「しかし、噂には聞いていたが、本当に科学文明で成り立っているんだな」
椅子に座り、タブレット端末を手にしながら水が入ったコップを手にして一口水を飲み、『大和』は窓から望むムー国の市街地の景色を見て言葉を漏らす。
「あぁ。この世界では魔法が常識的だというのに、一国だけで科学文明を培ってここまで発展させるとはな」
彼の向かい側の席に座り、コートと制帽を脱いでる『エンタープライズ』も夜景を目にして、言葉を連ねる。
「しかし、この世界で唯一の科学文明の国ですか……」
『尾張』はタブレット端末に表示している資料を整理しながら呟く。
「魔法しかないこの世界では、正にイレギュラーな存在だな」
コップをテーブルに置き、『大和』が答える。
この世界では魔法が常識的であり、純粋に科学力を持っているのはムーのみである。一応科学と魔法の両方を持つ国があるとか何とか。
「イレギュラー。なんだか私達みたいね」
『ティルピッツ』が『尾張』の尻尾に触れながら、タブレット端末に表示している資料の整理を行い、彼の仕事の手伝いをしている。
「もしかしたら、ムーも私達と同じ別の世界から来たんじゃないか?」
「まさか。確かにムーには色々とイレギュラー的な要素は多いけど、そんな偶然が……」
『エンタープライズ』の推測を聞き、『尾張』は否定的である。
「でも、私達というイレギュラーがある以上、可能性は捨てきれないわね」
「……イレギュラーってそう簡単に何度も起きて良いものだっけ?」
『ティルピッツ』の言葉に『尾張』がげんなりとした様子で答える。
「……」
「どうした、『ヤマト』?」
黙り込む『大和』に『エンタープライズ』が首を傾げる。
「いや、なんでもない」
『大和』はそう答えるも、彼の脳裏には人間だった頃に知ったとある伝説を。そして旧世界でも噂になっている、とある伝説が過ぎる。
(いや、まさかな)
彼は内心呟くと、『尾張』と『ティルピッツ』の資料作りの手伝いをする。
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中央歴1639年 7月27日 第二文明圏 ムー国
朝の九時になり、迎えにやって来たマイラスに連れられて『大和』達は、ムー歴史資料館にいた。
一通り資料館を見て周り、『大和』達はムー国の歴史を知る。
最後に資料館の休憩スペースを陣取り、マイラスは簡単に説明を始める。
「まず、いくつか前提を説明しておかないといけません。各国には中々信じてもらえないのですが、我々のご先祖様はこの星の住人ではありません」
「えっ?」
「ほぅ……」
「ふむ」
「どういうことかしら?」
マイラスの衝撃的言葉に『尾張』、『大和』、『エンタープライズ』、『ティルピッツ』の順でそれぞれの反応を示す。
マイラスは小さいながらも彼らをようやく驚かせたのに少し気を良くして、話を続ける。
「時は1万2千年前、大陸大転移と呼ばれる現象が起こりました。これにより、ムー大陸のほとんどはこの世界へ転移してしまいました。これは、当時王政だったムーの正式な記録によって残されています。これが前世界の惑星になります」
マイラスは資料館職員が用意した地球儀を机の上に置く。
「っ! これって!」
「……」
(さすがに惑星、天体の概念も知っているか)
惑星を知っているような反応に、気を良くしたばかりのマイラスは肩を落とすも、説明を続ける。
「ご存知かとは思いますが、この世界は惑星という球体ですよね。前世界はもう少し小さな惑星だったのです。残る文献の水平線の湾曲率から計算すると、恐らく全周4万kmほどだったと――――」
「地球だな」
「はい?」
『大和』が地球儀に触れながらそう呟くと、マイラスは思わず声を漏らす。
「重桜に、ユニオンもあるな」
「この辺りがロイヤル、鉄血、サディア、アイリスがありますね」
「北方連合と東煌もこの辺りになるな。しかし大昔にこれだけ正確に測量できる技術があるとは、ムーは他よりも進んでいたのだな」
「でも、こんな大陸は地球には無い。ということは、これがムー大陸か?」
「だがよく見ると、この地球儀の地軸は位置が少し違うのか?」
「しかし、この配置は紛れも無く地球ですね。あれ? 南極大陸がこの位置にある?」
「ということは、大昔は氷に覆われてはいなかったということかしら」
変な所で驚かれて釈然としないが、四人がある大陸を指差しているので、マイラスは説明を始める。
「この大陸は『アトランティス』と言いまして、ムーと共に世界を二分するほどの力を持った国家でした。ムーがいなくなった今、恐らくアトランティスが全世界を支配しているでしょうね。ちなみに……」
と言って、マイラスは4つの大きな島が集まっている場所を指し示す。
「この国は『ヤムート』と言って、我が国一の友好国だったそうです。しかし、転移で引き裂かれたため、おそらくアトランティスに飲み込まれているでしょうけど……」
「ちょっとよろしいですか?」
と、『大和』がマイラスの発言に割って入る。
「どうぞ」
「我々のことを説明するのに、一番良い方法が出来ました」
「はい?」
彼の発案にマイラスは思わず首を傾げる。
「実は我々も……正確に言えばロデニウス連邦共和国ではなく、その一部の領土がこの世界に転移してきたのですよ」
『大和』は肩に掛けている鞄から取り出したタブレット端末を開き、保存している画像から前世界の世界地図を表示させてマイラスに見せる。
「なっ!? これは、地球!?」
マイラスはタブレット端末に表示されている、ちょうど地球儀にあるムー大陸の無い世界地図を見て驚愕する。
「同じ世界であると言う確証はありませんが、我々がいた世界には『1万2千年前に沈んだ大陸の伝説』が言い伝え程度ですが残っています。あなた方がアトランティスと呼んだ大陸は、南極と呼ばれる氷に閉ざされた大陸となっています。恐らくムー大陸が転移した影響で、地軸がずれたものだと思われ、極端な環境変化によって、アトランティスは滅んだものと思われます」
『大和』はタブレット端末のズームを使い、重桜がある島国を見せる。
「前世界にてムーの友好国とされたヤムートですが、重桜と言う名前に変えて未だに健在しています。ちなみに自分と『尾張』、それに他にも重桜と関わりがある者が居ます」
「なんと!」
『大和』の話した事実にマイラスは驚く。
四人の使者の内二人が、かつてのムーの友好国の末裔の国の関係者であるのだから、見ようによっては1万2千年ぶりの再会になるのだ。
「そして……」
次に彼は地図を移動させて、トラック諸島を映す。
「このトラック諸島と呼ばれる諸島が、この世界に転移してきたのですよ」
「転移、ですか……」
「疑問に思いませんでしたか? 文明圏外にある国が、これほどの技術力を持っているのを」
「それは……そうですね。普通ならありえません」
「えぇ。そうです。ですから――――」
『大和』はこれまでのことをマイラスに説明した。
何の前触れも無く突然この世界に転移し、その後ロデニウス大陸にてクワ・トイネ公国と接触し、軍事同盟を結んだことにより、ロデニウス大陸の文明発達の始まりであると。
そしてロウリア王国との戦争を経て、大陸を統一して『ロデニウス連邦共和国』が建国されたのを。
「……」
壮大な話に、マイラスは息を呑む。
「なんとも、信じ難い内容ですが、確かに納得できます」
マイラスは『大和』の説明を受けて、驚愕と共に納得した。
文明圏外の国が、第二文明圏の列強国の技術力を上回るなど、この世界の常識ではありえないことなのだ。
しかし他の世界から発達した文明を持ち込んで、それを物にしたのなら、これだけの技術力を持っていてもおかしくない。
彼の中でバラバラであった欠片が、一つ一つ組み合わさっていき、そして一つの答えが出来上がった。
「しかし……ハハハ。まさかの歴史的発見ですね。まさか、こんなことが……。後で、すぐに上に報告いたします」
その後、気を取り直したマイラスは改めて簡単に、転移後のムーの歴史を伝えた。
転移後の混乱、周辺国との軋轢、魔法文明に比べての劣勢、機械文明としての再出発、そして世界第二位の国家へ。
ムーの歴史は、転移してからは苦難の歴史だったようだ。しかし、単一国家独力で車や飛行機を開発しているのは、驚きの限りである。
「マイラス殿」
「何でしょうか?」
転移後のムーの歴史を知り、再度休憩スペースにて『大和』がマイラスに声を掛ける。
「もう一つ、我々の秘密を明かそうと思っています」
「秘密? まだ何かあるのですか?」
「えぇ」
「総旗艦……」
と、何かを明かそうとしている『大和』に『ティルピッツ』が声を掛ける。
(我々の事を話して大丈夫なのか?)
(あぁ。大統領の内諾は得ているし、これも情報開示の一環だ。それに、これは抑止力になる)
(……)
(一体何を話しているんだ? それに「ティルピッツ」さんはなぜヤマト殿を総旗艦なんて呼んだんだ? 司令官じゃないのか?)
二人がこっそり話している中、次々と疑問が出来てマイラスは首を傾げていた。
(というか、今度は何で驚かすつもりなんだ。もうちょっとやそっとで驚きはしないぞ)
内心色々と言っていると、話が纏まったのか『大和』がマイラスに向き直る。
「お待たせしました。早速話しをしようと思っています」
「それは構わないのですが、良いのですか? なんだかさっきの様子じゃ宜しくないような感じでしたが」
「大丈夫です。ある程度の情報開示は上からの指示ですので」
「は、はぁ」
マイラスはどことなく戸惑いを見せて、『大和』は語り出す。
自分達の正体を。
自分達が人間ではなく、ましても亜人でもない……
人の姿をした軍艦……KAN-SENであると……
「KAN-SEN、ですか? ヤマト殿や、他の皆様も?」
マイラスは信じられないと言った様子で、『大和』達を見渡す。
「えぇ。尤も、自分と『尾張』は特殊な例でありますが」
「は、はぁ。しかし、うーん……」
「……まぁ、人の姿をした軍艦なんて、こんな荒唐無稽な話。普通は信じられませんよね」
「は、はい。申し訳ありませんが……とても」
戸惑いと懐疑的な様子のマイラスに、『大和』は肩を竦めるしかなかった。
まぁ目の前にいる四人の男女が、戦う為に生まれた兵器であると、人の姿をした軍艦なんて、まず誰も信じられないだろう。
「これに関しては、この後あなた方の海軍基地を見学する際に証明できます」
「わ、分かりました」
マイラスは戸惑いが消えないまま、その後歴史資料館を後にして次の見学場所である海軍基地へと向かう。
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