異世界に召喚されしはイレギュラーが率いる異界の艦隊   作:日本武尊

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stssより評価8を頂きました。

評価していただきありがとうございます!


第四十七話 魔改造を繰り返した結果、全くの別物の機体といっても過言ではないが、それでも同一の機体である、等と妖精達は供述しており……

 

 

 

 『武蔵』がムー国使節団を乗せて出発し、一週間近くが経過した。

 

 

 

 中央歴1639年 8月10日 ロデニウス沖

 

 

 

『まもなく、ロデニウス連邦共和国の領海へ入ります』

 

 『武蔵』がスピーカーで艦全域に伝えるのを、甲板に立つマイラスは聞きながら海を眺めている。

 

 上空には『武蔵』を出迎える様に連邦共和国空軍の戦闘機や哨戒機が本土から飛んできて旋回している。そして『武蔵』の周りには、連邦共和国海軍のマツ級駆逐艦や乙型哨戒艇が周囲を囲って警戒している。

 

「一週間。長いようで、短かったな」

「あぁ。そうだな」

 

 隣に立つラッサンは、同じ方向を見ながら相槌を打つ。

 

「この続きはロデニウスに上陸してからしましょう。むしろ内地の方が詳しい情報があるだろうし」

 

 と、ラッサンの反対側に立つアイリスがそう言うと、モノクルの位置を整える。

 

 

 この一週間だけでも、彼らに与えた衝撃は大きかった。

 

 航行中の間、『武蔵』の艦載機や艦内にある資料室の図書の閲覧が許可されて、マイラス達は日夜彼らについて調べた。

 

 マイラスは『武蔵』の格納庫にて、艦載機を間近で見学していたが、彼の目に映るもの全てが未知なるものであって、同時に自国の技術が彼らに及ばないことを改めて実感する。しかし同時に彼の技術者魂に火を付けた。

 特に疾風改の串型配置の戦闘機には、大いに惹かれたとか何とか。

 

 ラッサンは資料室にある戦術関連の書物を読み漁り、彼らの戦術を見てきたが、その全てが自分の常識を上回っており、大きな衝撃を受ける。

 特に空母より飛び立った航空機による軍艦への攻撃は大いに惹かれたとかなんとか。

 

 アイリスは『武蔵』の艦の構造について調べており、大和型航空母艦の空母として、見たことの無い機構に驚愕した。特にカタパルトやアングルドデッキに興味を持っていたそうな。

 

 

 普通なら一週間の船旅というのは、精神的に参るものだが、彼らの場合一週間というのは物足りない時間であったようだ。

 

 だが、この後でロデニウス連邦共和国にて更に詳しく調べられるので、彼らはそれに期待するのである。

 

 

 

 ―――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

『……』

 

 しばらくして『武蔵』はクワ・トイネ州にある港町マイハークの軍港に到着し、タグボートによって停泊場所と移動させられている。

 甲板からマイハークを見たマイラス達は、目を見開いて呆然と立ち尽くしていた。

 

 なぜなら、ムーにある港町マイカルに匹敵する、もしくはそれよりも発展した港町が広がっているからだ。

 

「こ、これは……」

「文明圏外で、こんなに発展しているのか?」

「正直、ここまでとは思わなかったわ」

 

 マイハークの発展具合を見て、それぞれ感想を抱く。

 

(なるほど。技術が発展した異世界から一部分が転移しただけで、文明圏外でもここまで発展するのだな)

 

 しかし真実を聞いているマイラスは一人納得している中、三人の元に『大和』と『武蔵』がやって来る。

 

「いかがでしょうか? 我が連邦共和国一の港町であるマイハークは?」

「……その、あまりにも凄くて、何て言ったらいいか」

 

 マイラスは頭の後ろを掻きながら苦笑いを浮かべる。

 

「この後大統領府に赴き、大統領との会談を行い、その後マイハークの観光の予定となっています。今から一時間後に出発しますので、準備の方をお願いします」

「分かりました」

 

 『大和』はこの後の予定をマイラス達に伝えて、『武蔵』と共にその場を後にする。

 

 マイラス達はもう少しマイハークの景色を眺めた後、荷物を纏める為に艦内の部屋へと向かう。

 

 

 

 

 ―――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 その後マイラス達はカナタ大統領と会談を行い、今後の予定と共に色々な話が行われた。

 

 会談を終えた後、マイラス達は案内の元マイハークの観光を行い、その発展具合を目の当たりにする。

 

 

 ちなみにこの観光であったが、まんま自分達がやった事をほぼそのまま返されて、マイラスは苦笑いを浮かべたとか何とか……

 

 

 

 

 

 翌日。

 

 

 ムーの使節団の姿は、国内にいくつもあるロデニウス連邦共和国空軍の基地の中で、クイラ州の砂漠地帯に作られた基地にあった。

 

 

『……』

 

 目の前の光景に三人は唖然となり、立ち尽くしていた。

 

 長大で綺麗に舗装された滑走路に巨大な格納庫、整った航空管制設備等、ムーの空港並みかそれ以上の規模であった。

 

 しかし彼らが驚愕しているのは、滑走路の先にある物であった。

 

 滑走路の脇には、多くの戦闘機が並べられて駐機されており、妖精達や巨大なヒヨコこと饅頭達が新しく入った整備士達の指導を行っている。

 

「これらは連邦共和国空軍の主力戦闘機『三式戦闘機 飛燕』と言います」

 

 『大和』と共に今日一日空軍基地にて彼の補佐を行うことになった『アークロイヤル』が説明する先には、滑走路脇に駐機されている戦闘機の姿がある。その名を『三式戦闘機 飛燕』という。

 

 ロデニウス連邦共和国空軍の主力戦闘機であり、戦闘機であるが、戦闘機らしからぬ搭載量を持つので、攻撃機として運用が可能なマルチロール機である。

 

 

 が、この三式戦闘機 飛燕。名前を聞いて思い浮かぶ機体とは全く違う機体であったりする。いや、この機体の運用が始まった当初は調整こそ施されてはいたが、その名と同じ機体であったのだ。

 しかし妖精達が三式戦闘機 飛燕の不具合点を直し、改良を重ねて魔改造を行った結果がこの三式戦闘機 飛燕である。

 

 当初は鉄血製の液冷エンジンを搭載していたが、現在はロイヤル製の液冷エンジンを搭載しており、それに伴い機体設計を多く変更しており、キャノピーは張り合わせ式から一体成型のバブルキャノピーに変わっているのも特徴的だ。

 武装は傑作航空機関砲である零式機銃を両翼に二門ずつ計四門を搭載しており、両翼下の懸架装置に爆弾やロケット弾を多く懸架可能である。

 

 度重なる魔改造の結果、三式戦闘機 飛燕は元の機体とは異なる、もう別の機体と言った方が納得できるレベルの機体に仕上がっている。しかし妖精達はあくまでもこの機体を三式戦闘機 飛燕と呼んでいるという。

 

 ちなみにこの三式戦闘機 飛燕。その見た目や構造的に言うとユニオンの『P-51 マスタング』に酷似している。実際武装以外は見た目から構造が似通っており、運用スタイルも似ていたりする。

 ここまで改造したのなら、最初からそのP-51を採用すれば良かっただろと思うだろうが、そもそも三式戦闘機 飛燕の今の姿は妖精達が改良を重ねていった結果であり、この姿になったのも偶々である。ここまで来たらわざわざ構造が似ているP-51を採用する必要性は無いのだ。

 

 

「この三式戦闘機 飛燕は液冷エンジンを搭載しており、武装は20mm機関砲を四門。その他に爆弾やロケット弾を両翼下に懸架可能となっており、対地攻撃にも活躍できるマルチロール機となっています」

「液冷エンジン……我が国じゃまだ開発段階だっていうのに」

 

 マイラスは『アークロイヤル』の説明を聞き、三式戦闘機 飛燕を見上げる。

 

 ムーでも液冷エンジンの開発は行われているが、構造が複雑で扱いが難しいとあって、中々開発が進まずに居た。尤もの事を言えば液冷エンジンと比べて比較的に構造がシンプルで整備がしやすい空冷エンジンの開発が優先されているのが、液冷エンジンの開発が進まない最もな理由だろうが。

 

(航空機の分野は完全にロデニウス側が圧勝ね)

 

 アイリスもまた三式戦闘機 飛燕を一目見て、自国の航空機技術が劣っているのを認める。液冷エンジンを実用化して、それを搭載している航空機を目の当たりにすれば、技術者であれば一目見てすぐに理解するだろう。

 

 

 ちなみになぜ『アークロイヤル』が『大和』の補佐をしているのか? 『大和』の周囲関係的に言えば『赤城』や『天城』が立候補しそうなのだが、二人が『大和』の補佐に入れていないのには、ちゃんとした理由がある。

 

 というのも、今日の『天城』は体調が優れず、ただでさえ平均気温が高いクイラ州の環境では、彼女の負担が大きいと『大和』が彼女を説得し、『天城』は理解を示して辞退した。『赤城』は確かに仕事は出来る方であるものも、優先順位が『大和』にあるが故にちゃんと仕事が出来るかどうか不安があり、『大和』は今回ばかりはと彼女を止めた。当然それで『赤城』が納得するわけも無く抗議するが、あまりにも彼女がしつこかったので、『天城』の愛の鉄拳(ゲンコツ)によって沈黙させられた。

 その後他のKAN-SENが立候補するも、最終的に『アークロイヤル』が選ばれた。彼女が選ばれた理由は、ちょうどこの空軍基地にて『加賀』と共にパイロットの教導を行っていたとあって、教導を『加賀』に任せて彼女が『大和』の補佐に入ったのだ。

 

 しかし当の本人からすれば、前回やらかした一件もあってか、名誉挽回の為に至極真面目に『大和』の補佐に回っているそうな。そんな姿に『大和』は「最初からその姿勢なら良かったのに」と呟いたそうな。

 

 

 閑話休題(それはともかく) 

 

 

「おや? あれは」

 

 と、ラッサンが駐機されている三式戦闘機 飛燕の奥で駐機されている戦闘機に気づく。

 

「あれは『ムサシ』にあった艦載機では?」

「えぇ。あれは陸上機の『疾風(はやて)』と言いまして、あれを基にして疾風(しっぷう)が作られました」

 

 アイリスが質問をして『大和』が答える視線の先には、陸上戦闘機の疾風(はやて)が数機ほど駐機されている。

 

 空軍では三式戦闘機 飛燕を主力として採用しているが、疾風(はやて)も小規模ながら主力として採用されている。

 

 疾風(はやて)が全面的に空軍に採用していない理由は、エンジンが串型配置という複雑な構造に加え、双発機故にコストが高いことが大きな要因だろう。さすがに全面的に採用するにはコストが高く、エンジンを二基串型配置にしている構造は複雑とあって、整備性の良くない機体を採用するわけにはいかない。

 その為、疾風(はやて)は小規模での採用となって、P-51もどきになった三式戦闘機 飛燕が空軍の主力の座に就いたのだ。

 

疾風(はやて)は見ての通り、エンジンとプロペラを前後に二基搭載された独特な姿をしています。それに加えて機体の大きさも他と比べて大柄ですので、様々な任務に対応した装備を持ちます」

「様々な装備ですか?」

 

 マイラスは疾風(はやて)と三式戦闘機 飛燕を見比べながら首を傾げる。

 

「えぇ。疾風(はやて)は戦闘機に分類されますが、構造的には戦闘爆撃機とも言えますね」

「戦闘爆撃機?」

「戦闘機に軽く爆撃機としての機能を有する機体の事です。この疾風(はやて)には爆弾を収める爆弾倉があります」

 

 『アークロイヤル』はそう説明すると、『大和』が疾風(はやて)を整備している妖精に声を掛け、妖精は機体下部を弄って爆弾倉の扉を開ける。

 

「これは……凄いな」

「機体内部に爆弾を納めるのね。これなら空気抵抗を大きく減らせて速度低下を最低限のものに出来るわね」

 

 マイラスとアイリスは開かれた疾風(はやて)の爆弾倉の中を見ながら声を漏らす。

 

(軽く爆撃機としての運用に適した機能を持つ戦闘機か。さすがにこれ一つに纏めるわけには行かないが、こういうのがあったら便利そうだな)

 

 機体を眺めていたラッサンは内心呟きながら、戦闘爆撃機の先見性を見る。

 

「『ヤマト』殿。様々な装備があると言いましたが、例えばどのようなものがあるのですか?」

「そうですね。疾風(はやて)は戦闘機爆撃機ではありますが、その機能をどちらか一つに纏めた機体もあれば、早期警戒機と呼ばれる機体もあります」

「早期警戒機?」

「特殊な装備を積んで広範囲で索敵を行う航空機ですね。ムーから飛び立って『武蔵』へ向かった時に乗った航空機と同じと思えば良いです」

「なるほど」

 

 マイラスはあの時のPBJ-1Hを思い出す。

 

「その他にも様々な装備を施した機体もありますが、説明が長くなるので今回は省略します」

 

 『大和』はそう言うと、疾風(はやて)を見る。

 

 

 疾風(はやて)には戦闘機や爆撃機、早期警戒機の他に、機体の設計を大きく変えた計画が立てられていた。

 

 その中には橘花改のようなジェットエンジンを搭載した型やレシプロエンジンとターボジェットエンジンを積んだ混合型など、様々な計画が立てられ、その内いくつかで試作機が作られて、試験が行われた。

 

 しかし機械というのは、元々の設計と異なる構造にすればバランスを崩す場合があり、今回も性能事態は良かったが、元より良かったかといえば正直なところ微妙な性能であった。

 ジェットエンジン搭載型はそもそもジェット機があるのにわざわざレシプロ機をジェット機にする必要性が無く、レシプロエンジンとターボジェットエンジンを搭載した機体は上昇能力は高いが、こちらもジェット機があるので作る必要性が薄い。

 

 小手先程度の改良で性能は向上したが、疾風(はやて)にはこれ以上の性能向上は望めなかった。つまりこの機体には先が無く、いずれ訪れる世代交代の波に真っ先に飲まれる機体である。

 

 そして疾風(はやて)の艦載機型である疾風(しっぷう)もまた、小手先程度の改良で性能の向上は行われたが、艦載機として運用できるように設計変更に加え、元々持つ爆弾倉を犠牲にして燃料タンクを増設したギリギリな作りの疾風(しっぷう)には、疾風(はやて)よりも先が無い機体であった。

 まぁ元々は登場した時点で旧式機の烙印が押された烈風に代わる、決戦に向けた間に合わせの機体として急遽設計されて採用された機体なので、元より先が無い運命にあった。むしろ登場した時点で旧式機の烙印が押された烈風の方がまだ先のある機体であった。

 

 現に烈風は『烈風改』として、2900馬力の排気タービン付きのエンジンに換装され、機体各所に改良が施されたことで、速度は700km/hにまで向上した。武装は相変わらず20mmの零式機銃を四門搭載であるが、一応30mm機関砲四門に換装した試作機が作られたものも、火力は確かに向上こそしたが、装弾数が低下して継戦能力が下がるとしてテストパイロットから反対意見を受けた。

 それに、艦載機が相対するのは同じ艦載機であり、30mm機関砲では威力が過剰であり、そもそも零式機銃の性能の高さに加え、HE(M)(薄殻榴弾)の威力もあって、艦載機相手にはこれらの装備で十分と判断され、20mmの零式機銃のままである。

 

 ちなみに30mm機関砲の威力は大型の爆撃機には有効的であると、一部の疾風(はやて)や三式戦闘機 飛燕に30mm機関砲搭載型が存在する。

 

 

「ん? 総旗艦か」

 

 と、『大和』達の元に『加賀』がやって来る。

 

「『加賀』か。教導の方は大丈夫なのか?」

「今は休憩時間だから問題ない。それより貴様が総旗艦の足を引っ張っていないかが気がかりでな」

「そ、そんなわけ無いだろう! 閣下から選ばれたのだから、その使命はちゃんと全うしている!」

 

 『大和』が問い掛けると『加賀』はそう答えつつ、『アークロイヤル』を睨み、彼女は冷や汗を掻きながらもそう答える。

 

 一方マイラス達は『加賀』の白く、九本もあるフサフサな毛で覆われた尻尾を持つ特徴的な姿に目を奪われていた。

 

「ん? あぁ、ムーの使節団か」

 

 そんな視線に気づいてか、『加賀』はマイラス達を見る。

 

「加賀型航空母艦『加賀』だ。よろしく頼む」

 

「あっ、こちらこそ」とマイラスが代表して挨拶を返す。

 

(KAN-SENって色んな姿形があるのね)

 

 『加賀』の特徴的な姿を観察しながら、アイリスは内心呟く。

 

 

 

 すると上空を一機の三式戦闘機 飛燕が通過する。

 

「あれは……」

 

 『アークロイヤル』が顔を上げて三式戦闘機 飛燕を見ると、目を細める。

 

 その三式戦闘機 飛燕の胴には、骨を交差させその上にドクロのマークが描かれている。

 

「知っているのか?」

「えぇ。教導中のパイロットに、あのマークを入れた者が居ます」

 

 『大和』が問い掛けると、『アークロイヤル』が答える。

 

「元々竜騎士であった者ですが、ワイバーンと馬が合わなかったのかあまり評判は良くなかったようです。ですが航空機のパイロットとして教導を受けたところ、こちらの方が性に合っていたのでしょう。みるみる内に腕を上げています」

「今では教導中のパイロットの中で、一番の実力者だ」

「なるほど。だが、なぜ髑髏なんだ?」

 

 『アークロイヤル』と『加賀』の説明を聞き、『大和』は納得しつつ、髑髏のマークに首を傾げる。

 

「どうやらやつの先祖から受け継がれてきたマークのようだ。どういう意味が込められているかは当の本人のみにしか知らん」

「先祖から受け継がれてきたマーク、か」

 

 彼はそう呟くと、ドクロが描かれた三式戦闘機 飛燕を見る。

 

 

 

「ん? 『ヤマト』か」

 

 と、自身の名前が聞こえて声がした方を見ると、『エンタープライズ』の姿があった。

 

「『エンタープライズ』。なぜここに?」

「私が呼びました」

 

 なぜ空軍基地に彼女が居るのか疑問に思っていると、『アークロイヤル』が声を掛ける。

 

「『エンタープライズ』には臨時的な教官として来て貰っています。私の代理としてでありますが、他の意見も参考にしたかったので」

「なるほど。他の意見、ねぇ」

 

 『大和』は納得したというより、何とも言えない様な様子で小さく呟く。

 

「あなたは確か、本国に来た使節団の一員の……」

「『エンタープライズ』だ。我が空軍基地はどうでしたか?」

「あっ、はい。どれも圧倒されるばかりでした」

 

 マイラスは彼女が本国に来た使節団の一員で、軍港で空母を見せたKAN-SENであるのを思い出すも、彼女の名前を思い出していると、『エンタープライズ』が名前を伝えて空軍基地を見た感想を聞くと、彼は自身の抱いた感想を述べる。

 

「それで、何か用があるのか?」

 

 『大和』は『エンタープライズ』が来た理由を問う。

 

「あぁ。そろそろ休憩が終わるからお前を呼びに来たんだ」

「そうか。もう時間か」

 

 『加賀』は懐から懐中時計を取り出して時間を確認する。

 

「ところで、『加賀』。一つ提案があるんだが……」

「なんだ? あまり妙なことは出来んぞ」

「別に難しい事を言うわけじゃない。訓練生に模擬戦を見せたいんだ」

「模擬戦?」

 

 彼女の提案に『加賀』は首を傾げる。

 

「今日初めて訓練生を見たが、実力はそれなりに伴っていると思う。それで、ここで一刺激与えると良いと思うのだが」

「一刺激か……」

 

 『加賀』は顎に手を当てて、一考する。

 

「だが、模擬戦を行うにしても、誰とする気だ」

「……」

 

 『アークロイヤル』がそう問い掛けると、彼女は『大和』達を見渡す。

 

「最初は『アークロイヤル』か『加賀』のどちらかと思っていたが……」

 

 と、『エンタープライズ』は二人を見てから、『大和』に視線を向ける。

 

「……『ヤマト』」

「なんだ?」

「ちょうどいい機会だ。一試合、やらないか?」

 

 彼女は不敵な笑みを浮かべて、『大和』に模擬戦の相手を申し込む。

 

「ほぅ。一試合を、ねぇ」

 

 『大和』もまた不敵な笑みを浮かべる。心なしか雰囲気がガラリと変わったような気がする。

 

「海の上で戦うのも良いが……空の上で戦うのも、悪くないな」

「だろう?」

 

 二人の闘争心を剥き出しにしたただならぬ雰囲気に、ムー使節団の面々は息を飲む。特に『大和』はこれまでの優しげな雰囲気から一変して、闘志を醸し出している。

 

(また総旗艦の悪い癖が出たな)

(これでは、訓練生には逆効果になるんじゃないか?)

 

 『加賀』と『アークロイヤル』は闘争心を剥き出しにした二人の雰囲気から、模擬戦の許可を下ろしたのに少し後悔する。

 

 

 

 ―――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 その後『大和』と『エンタープライズ』は滑走路へと移動し、フェンスの向こうで訓練生達が見守る中、それぞれ烈風改とF8F ベアキャットを用意する。

 『大和』は疾風改では無く、あえて生まれ変わった烈風改で勝負を挑んだ。

 

 

 二機の戦闘機は滑走路から飛び立ち、『加賀』の合図と共に戦闘の火蓋が切られた。

 

 

 

 そしてその後繰り広げられた空戦は……お目に掛かれるかどうか分からないような、とても激しいものであり、二人はありとあらゆる技を駆使して航空機を操り、一進一退の攻防を繰り広げた。

 

 

 が、見応えこそあったものも、本国のパイロットでも出来そうにない、あまりにも激しい空戦にムー使節団の面々はドン引きだったとかなんとか……

 

 

 しかし『エンタープライズ』の目論見どおり、模擬戦は訓練生に良い刺激になったようで、その後の訓練の気合が入っていたとかなんとか……

 

 




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竜の伝説編はやっておくべき?

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