異世界に召喚されしはイレギュラーが率いる異界の艦隊   作:日本武尊

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第六十五話 世間は意外と狭いものなんです

 

 

 

 時間は過ぎて、夜のロデニウス連邦共和国……

 

 

「……」

「……」

 

 とある一室にて、とても気まずーい雰囲気が漂っており、その雰囲気の中に居る『大和』とマイラスは何も言わず、ジッと静かに座っている。

 

(な、なんでこうなったんだろうか……)

 

 マイラスは腕を組んでジトーと見ている『大和』に居心地の悪さを覚えながら、なぜこうなったのかを思い返す。

 

 

 

 今から大体30分前。マイラスは『筑後』との約束の待ち合わせ場所に向かい、とあるレストランの前で『筑後』と合流した。

 

 マイラスは彼女に今日呼んだ理由を聞くと、どうやら紹介したい方がいるとのことで、彼を食事に誘ったのである。

 

 『筑後』が紹介したいという人物。どんな人なのかマイラスは色んな考えが浮かぶ。この場合真っ先に思い浮かぶのは、彼女の両親だろう。もしくは彼女の恩師か他の友人か。しかし彼女がKAN-SENであるので、両親の線はすぐに消えて恩師か友人だろうとマイラスは考えていた。

 

 そうこう考えている内に、二人はレストランの個室前へとやって来ると、『筑後』は扉の前で一声掛けて扉を開ける。

 

 そこでマイラスが見たのは、驚きの表情を浮かべて固まっている『大和』と、「あらあら」とニコニコと笑みを浮かべている『天城』の姿であった。

 

 そして『筑後』はこう言った。

 

「マイラスさん。紹介します。私のお父様とお母様です」

 

 彼女は笑みを浮かべて、マイラスに二人を紹介した。

 

 

 

 んで、今に至るのである。

 

 ちなみに『筑後』は『天城』に連れられて外に出ているので、この場には二人だけだ。

 

 

「世間は狭いですね、マ イ ラ ス 殿?」

 

 と、黙っていた『大和』が妙に威圧感のある言い方で、マイラスに声を掛ける。

 

「あ、あははは……そうですね」

 

 マイラスは苦笑いを浮かべて頭の後ろを掻く。

 

 まさか『筑後』の父親が知り合いだったとは思わないだろう。ましても、『大和』も娘が紹介した相手がまさかの知り合いだっただとは思わなかっただろう。

 

「しかし、『筑後』が紹介したい相手がいるって言ったから誰なんだろうなって思えば、まさかマイラス殿とは」

「じ、自分も、『筑後』さんのお父上が、『ヤマト』殿とは思わなかったです」

「意外でしたか?」

「……はい」

「まぁ、KAN-SENの事を知っているのなら、当然の反応ですね」

 

 『大和』はそう言うと、息を吐く。

 

「『筑後』から話は聞いていますよ。何でもあの子と仲良くしているようですね」

「は、はい。学生時代に絵を描いていたので、絵には多少なりとも心得がありまして。よく『筑後』さんの絵を見させてもらったりしています」

「そうですか。話が合うからこそ、あの子も喜んでいたんだろうな」

 

 と、『筑後』との会話を思い出してか、『大和』は微笑みを浮かべる。

 

「あの、よろしいんですか?」

「何がですか?」

 

 『大和』はマイラスの言葉に首を傾げる。

 

「い、いえ。自分が『筑後』さんと仲良くしても……」

「ふむ。では『お前なんかの若造に娘はやらん!』というような頑固親父でも演じれば良かったでしょうか?」

「あっ、いえ。そういうわけじゃ」

「それとも、既に結構進んだ仲であると?」

「い、いや、自分と『筑後』さんはまだそこまでは……」

「まだ、ということはいつかは?」

「~っ!」

 

 ニヤニヤと問い詰める『大和』に、マイラスは困り果てて顔を赤くする。

 

「冗談ですよ。別に自分が二人の動向にとやかく言う事はありませんよ」

「は、はぁ……」

「あの子が自分で選んだのなら、今はまだ俺から言うことはありません」

「……」

「今は、様子見ですね。これからどうなるかの」

「どうなるか、ですか……」

 

 その言葉に、マイラスは息を呑む。

 

「あ、あの、もし自分が『筑後』さんに相応しくないと判断されたら、どうなりますか?」

「そうですね。とりあえずあの子の将来の為に、何かしらの手段に出るかもしれませんね。娘が不幸になるかもしれないのに、黙っていられるわけがありませんので」

「は、はぁ……」

 

 と、イイ笑顔を浮かべる『大和』だったが、目は全然笑っていない。

 

 これはかなりマジな様子である。

 

「でも、あの子の様子からすれば、特に心配するようなことは無いと思いますけどね。マイラス殿も、あの子と仲良くしているようですし」

「……」

「時間がある時だけでも構いません。あの子の事を、よろしくお願いします」

 

 と『大和』はマイラスに頭を下げる。

 

「……そのつもりですが」

「ですが?」

 

 マイラスの自身の無い様子に、『大和』は怪訝な表情を浮かべる。

 

「……正直、自信がありません。異性と接する機会があまりなかったもので、今後『筑後』さんに喜んでもらえるか……」

 

 と、彼はどこか表情が優れない。

 

 しかし腐れ縁とは言えど、アイリスの事を異性としてカウントしていないのは、それはそれでどうなんだ……

 

「少なくとも、あの子は喜んでいる様子でしたよ。何せあの子にとって、あなたは数少ない友人なのですから」

「数少ない? それはどういう……」

 

 『大和』の言葉にマイラスは首を傾げると、『大和』は一考した後、口を開く。

 

「『筑後』は俺と『天城』……あぁさっきの女性で、彼女もKAN-SENです。自分と彼女の間に生まれたのが、あの子です」

「それは……」

「恐らくマイラス殿の考え通りかと思いますが、本来であればあの子は存在することもなかった存在ですからね」

「……」

 

 マイラスは『大和』がKAN-SENとして本来なら存在しない男性型のKAN-SENであるのを思い出す。

 

「『筑後』は第二世代と呼ばれる次世代のKAN-SENです。まぁ今の所自分達の所で便宜上そう呼んでいるだけですが」

「第二世代……」

「ですから、旧世界ではあの子を手に入れる為ならば、大国が全力を以ってして確保に動くでしょう。それだけの価値があの子にはあります」

「……」

 

 『大和』より『筑後』がどういう存在で、どれだけの価値があるのかを聞かされ、マイラスは息を呑む。

 

 

 第二世代のKAN-SEN。言ってしまえばこれまでのKAN-SENとは異なる新種の存在になるのだ。

 

 男性型KAN-SENですら大国の一つや二つがその存在を確保すべく大軍を送り込んでくるのだ。未知なる存在である第二世代のKAN-SENとならば、恐らく総力を以ってして確保に動くだろう。

 

 それだけの価値が、第二世代のKAN-SENにはある。そして第二世代のKAN-SENを生み出すのに必要不可欠な男性型KAN-SENもまた、同じ価値がある。

 

 

「その為、第二世代の存在を世界から秘匿する為に、あの子は外の世界を知りません」

「……」

「友達と言える友達も、箱入り娘故に、限られていましたからね。気が合い、その上異性となれば、少なくともマイラス殿が初めてになりますし」

「……」

「だからこそ、あの子は喜んでいたんですよ」

「そう、ですか……」

 

 マイラスは声を漏らし、俯く。

 

「それで、あなたの答えを聞かせてもらえないでしょうか。あの子のことをどう思っているのかを」

「……」

 

 『大和』の問いにマイラスは何も言えず、彼はただただ静かにジッとして考え込む。

 

「……その、『筑後』さんとは、まだ出会って短いので、正直な所……まだ何とも言えないです。彼女のことを、どういう風に見ているのか。これからどうしたいのか……」

「……」

 

 マイラスは絞り出すように口を開き、『大和』は静かに彼の言葉を聞く。

 

「でも、いつか必ず、答えを出して見せます。ですので、それまで待っていただけますか?」

「……」

 

 『大和』は浅く息を吐き、微笑みを浮かべてマイラスを見る。

 

「首を長くして、吉報を待っていますよ」

「……はい」

 

 マイラスは頷き、気を引き締める。

 

 

「お待たせしましたわ」

 

 と、外に出ていた『天城』が『筑後』を連れて戻ってきた。

 

「話は終わったのか?」

「えぇ、『筑後』との話は終わりましたわ」

「何を話していたんだ?」

「フフフ……それは女性同士の秘密のお話だと言っておきますわ」

「そ、そうなのか」

 

 意味深な笑みを浮かべる『天城』に『大和』は苦笑いを浮かべ、『筑後』はどこか恥ずかし気に頬を赤くする。

 

「それでは、少々時間が掛かりましたが、食事をしながらお話しをしましょう。マイラス様から色々とお聞きしたいので」

「は、はい……」

 

 ニコニコと笑みを浮かべている『天城』にマイラスは苦笑いを浮かべる。何か威圧的な雰囲気を感じ取ったのだろうか。

 

 

 その後『大和』達親子は、マイラスを交えて食事をしながら色んな事を話した。

 

 まぁ特にマイラスに関することを『天城』が彼に根掘り葉掘り聞いていたのだが。

 

 どんな仕事をして、『筑後』とはどんな出会いだったのか、『筑後』のことをどう思っているのかとか。

 

 とても和やか雰囲気が漂う。

 

「……」

 

 『大和』はコップに入った水を飲んでテーブルに置くと、周りを見る。

 

 『天城』がにこやかな笑みを浮かべてマイラスに色々と聞いており、彼は苦笑いを浮かべて戸惑っている。その様子を『筑後』が苦笑いを浮かべて見ている。

 

(……平和、か)

 

 彼は内心呟きつつ、その様子を見て微笑みを浮かべる。

 

(いつまでも、この平和が続けば良いのだがな……)

 

 そう願うものも、それが困難な願いであるのは『大和』が一番知っている。 

 

(……守らないとな。今と、これからの若者達の平和を)

 

 『大和』は楽しげに話しているマイラスと『筑後』の二人を見ながら、改めて決意を胸に秘める。

 

 

 

 

 

 

 しかし、そんな彼の思いとは裏腹に、戦争の火種は、着実に火を起こそうと大きくなろうとしていた……

 

 

 

 




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竜の伝説編はやっておくべき?

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