異世界に召喚されしはイレギュラーが率いる異界の艦隊   作:日本武尊

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佐藤幸男様より評価8
冷蔵庫様より評価1を頂きました。

評価していただきありがとうございます!

多くのコメントと評価があれば勢いが増す単純な性格ですので、早めに書き上がりました。ですので、多くのコメント、評価をお願いします。


第七十三話 後悔と怒りと決意

 

 

 

 パーパルディア皇国によってロデニウス連邦共和国の民間人が虐殺されたという『大和』からの報告は、大統領府を震撼させた。

 

 

 

「何ということだ!!」

 

 カナタは両手を執務机に叩き付けて怒りを露にする。

 

「まさか、皇国がこのような常軌を逸した手段に出てくるとは……」

「全くですな」

 

 両手を握り締めるカナタに同意するように、普段から温厚な秘書ですら怒りを滲ませている。

 

「自国の領土や領海内ならまだしも、関係の無い第三国内でこんな蛮行に及ぶとは……」

「皇国が手段を選ばない国なのは分かっていましたが、まさかここまで非常識なことをしでかすとは」

「……こうなるぐらいなら、全面的な渡航禁止を出すべきだったか」

 

 悔しさを滲ませるカナタは歯軋りを立てて、俯く。

 

 

 カナタはパーパルディア皇国が何かしらの行動を起こす可能性を考慮して、一部の国への渡航禁止令を出していた。渡航禁止になっている国は主に紛争状態にあるフェン王国とアルタラス王国はもちろんのこと、その周辺国が対象となっている。

 

 今回の件の場となったシオス王国も当初はその対象に入っていたのだが、皇国との関係はそこまで悪くない、というよりアルタラス王国と比べ皇国はそこまで興味を示していなかった、という点もあり、船団護衛の為の一艦隊が駐留しているだけで深く関係していなかった。

 そして国同士の関係も皇国が威圧的である事以外は特に悪くなかった。

 

 そのこともあって、シオス王国は渡航禁止リストから外された経緯があった。

 

 しかし、それが間違いであったのは、今回の件で証明されてしまった。

 

 

「そもそも、シオス王国は皇国との船団護衛契約を破棄して艦隊に退去勧告を出しているのに、未だに艦隊が駐留している点を重く見ていなかったのが間違いだった」

「『契約した以上期間まで我が艦隊はここに留まる必要がある。その間まではこれまで通り維持費等の金はそちらが出せ』とシオス王国に駐留している皇国の艦隊司令は仰っていたようですね」

「何が留まる必要があるだ。クライアントが必要無いと言っている以上留まる必要はそもそもないだろうに。しかも居座るくせに金は出せとは」

 

 忌々しく吐き捨てるカナタは椅子に乱暴に座り込み、頭に手を当ててため息をつく。

 

 元々海賊対策としてシオス王国は船団護衛の為、パーパルディア皇国と一艦隊を国内に駐留させる契約を結んでいたが、皇国と比べ契約金や維持費等の金額に雲泥の差がある安さがあって、ロデニウス連邦共和国との間で海上警備隊の部隊を駐留させる契約に切り替えている。

 

 その為、シオス王国は皇国と契約を打ち切って艦隊の退去勧告を出したが、先ほど述べたような理由や難癖を付けて金をせびりながら未だに駐留している。言わばシオス王国の一角を不法占拠しているだけならず、金を要求しているのだ。

 王国としては厄介ごとを持ち込んで欲しくないとして、さっさと艦隊に出て行って欲しいが、相手が相手なので強気に出られずにいるので、今の状態が続いている。そして皇国はその状況を良いことに態度がデカいとのこと。

 

「それで、『エンタープライズ』殿より提出された記録映像の解析は進んでいますか?」

「えぇ。既に犠牲となられた方々は行方不明になった船舶の航行記録と乗船記録と照らし合わせて何名かは判明しています。もちろん犯罪者の顔の解析も進んでいます」

「そうですか」

 

 秘書の報告を聞いてカナタは再びため息を付く。

 

 今回犠牲になった人たちの身元特定は『エンタープライズ』が密かにKAN-SENに内蔵されているカメラで撮影していた映像と、現在連絡が取れていない船舶の乗組員と、乗船した乗客リストから行われている。

 その為、犠牲者の身元特定は順調に進んでいる。

 

「海上警備隊の動きですが、どうですか?」

「部隊の編制と装備の準備は着々と進んでいます。編成後は潜水艦を用いてシオス王国に密かに部隊と装備を送り込み、時期を合わせて行動を開始する予定です」

「そうですか」

「そして警備艦隊も一艦隊を投入します。それに際して数人のKAN-SENも作戦に参加するとのこと」

「……『紀伊』殿もかなり本気のようですな」

「えぇ。そのようです」

 

 カナタが苦笑いを浮かべると、秘書もまた苦笑いを浮かべる。どうやら海上警備隊は既に行動を起こしているようだ。

 

「……大統領。今回の一件についての発表ですが……」

「今夜にも発表し、翌日の朝に記者会見を開きます。犠牲者はその時で現時点で判明している方々を発表、その後は判明次第逐一報告とします」

「分かりました。すぐにそのように調整します」

 

 秘書は一礼してから執務室を出る。

 

「……」

 

 カナタは机に両肘を着き、深々とため息を着く。

 

(結局……何も出来なかった)

 

 彼は組んだ両手に力を入れ、歯噛みする。

 

 

 今回の悲劇は回避しようと思えばどうにか回避できたかもしれなかった。

 

 遡ればフェン王国での一件直後でもパーパルディア皇国へ向かい、直接抗議すれば結果が変わったかもしれない。

 

 アルタラス王国へのパーパルディア皇国の侵攻を阻止した直後に何かしらの行動を起こしていれば、結果は変わっていたかもしれない。

 

 最初の出頭命令を受けて、会談の際に多くの戦艦を擁する艦隊による砲艦外交を行っていれば、結果が変わっていたかもしれない。

 

 今回の会談に際でも、艦隊を送って砲艦外交を行っていれば、どうにか出来ていたかもしれない。

 

 そして何より、シオス王国への渡航も禁止にしていれば、そもそも今回の一件が起こりえなかったかもしれない。

 

 

 しかし、どれだけたらればを述べた所で、民間人虐殺が起きたという過去は変えられない。既に起きてしまったことなのだから。

 

 それに、仮にシオス王国への渡航を禁止にしていたとしても、恐らく帳尻合わせのように、別の国で同じ事が起きていた可能性も否めない。

 

 

(……犠牲になられた方々をご遺族の元に帰してあげられないのは、悔やまれますね)

 

 カナタはギリっと、悔し気に歯軋りを立てる。

 

 皇国の兵士によって処刑された民間人は全員海に蹴り落とされ、切り落とされた頭は遅れて海に蹴り飛ばされてしまっている以上、遺体の回収は不可能であり、遺品ですら遺族の元に帰してあげられない。

 遺品に関してはまだ回収出来る可能性はあるが、恐らく全てとはいかないだろう。

 

(だが、起きてしまった以上、嘆いている暇は無い。必ず過去を清算しなければならない)

 

 カナタは顔を上げると、その眼には決意が宿っている。

 

(超拡大解釈ではあるが……犯罪者には必ず罪を償わせる)

 

 彼は決意を抱き、両手に力を入れる。

 

 

 

 ―――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 所変わり、トラック泊地

 

 

「やってくれたな、あのクソッタレ共が……」

 

 怒りを孕んだ声を漏らし、報告を聞いた『紀伊』は歯軋りを立てる。怒りによるものか、彼の瞳孔が爬虫類を彷彿とさせるように縦に割れている。

 

「指揮艦……」

 

 その様子に『ノースカロライナ』は不安な表情を浮かべる。

 

「最初から下手に出ず、強気に出ていれば、こうはならなかったはずだ。そもそも気遣うような相手でも無かったのに……!」

「……っ!」

「……いや、今更どうこう言っても無駄か」

 

 怒りのあまり彼は思わず拳を力強く机に叩きつけて表面に凹みを作り、その大きな音と普段から見られない『紀伊』の姿に『ノースカロライナ』は身体を震わせる。

 

 少しして『紀伊』は冷静になり、ゆっくりと息を吐いて椅子に座り込む。その際には縦に割れていた瞳孔は元の形に戻っている。

 

「それに、一番怒りを抱いているのは……目の当たりにした『大和』か」

「……」

 

 『紀伊』は深呼吸をして気持ちを落ちかせて気持ちを切り替えると、『ノースカロライナ』に声を掛ける。

 

「『ノースカロライナ』。海上警備隊の今後の動きとフェン王国に送る艦隊について報告はあるか?」

「はい。海上警備隊はシオス王国の一件を受けて、部隊の編制と艦隊の派遣を決定しました。編成した部隊は潜水艦によってシオス王国へ装備と共に密かに送り込み、戦力を集結させるとのこと。艦隊もKAN-SENを組み込んだ一艦隊を送るとのこと」

「そうか。陣頭指揮は『ジャン・バール』が執るのか?」

「はい。それに加えて『ドレイク』さんと『デューク・オブ・ヨーク』さん、『出雲』さん『土佐』さんが参加を希望しています」

「『ドレイク』や『出雲』『土佐』はともかく、『デューク・オブ・ヨーク』が参加希望か」

 

 『紀伊』は顎に手を当てて「ふむ」と声を漏らす。

 

 海上警備隊の一部隊を率いる『ドレイク』が参加するとして、武闘派な『出雲』『土佐』はともかく、普段から目立たない『デューク・オブ・ヨーク』が参加を希望するとなると、彼女もまた余程憤りを覚えているのだろう。

 

「フェン王国の防衛に派遣予定の艦隊は既に編成し、該当KAN-SEN及び艦艇は待機中です」

「そうか。早くても明日には上からの出撃命令も下るだろうし、フェン王国の防衛は何とかなるか」

「それと、ムーから観戦武官の同行が要望されて、今回の艦隊に同行するとのことです」

「ムーから観戦武官か。まぁ戦術を見る為だろうな」

 

 『ノースカロライナ』より報告を聞き、『紀伊』はムーから観戦武官が送られてきた理由を察して呟く。

 

「しかし、指揮艦。皇国はフェン王国に攻めてくるでしょうか?」

「必ず攻めてくる。やつらには絶対的な自信もそうだが、何よりプライドが高い。格下に泥を塗られた以上、許すはずがないし、見逃す気も無いだろう」

「そういうものでしょうか?」

「そういうものだ。どちらにしても、皇国は必ずフェン王国を攻めてくる。だが、それを俺達が確実に食い止めて、やつらに現実を見せつける」

「……」

「まさか現実を目の当たりにしておいて尚、馬鹿をやるとは思えないが……」

 

 『紀伊』は静かに唸り、腕を組む。

 

「まぁ、どちらにせよ、この戦いが始まりになる。恐らく旧ロウリア王国との戦いよりも大きな戦いがな」

「そうですね」

(それに、以前よりもKAN-SENの数もそうだが、戦力も増えているし、戦いの規模も大きくなるだろうな)

 

 転移してからも、彼らは軍拡を続けており、その戦力は転移前と比べると倍近いだろう。そして何より疑似メンタルキューブの研究が完成を迎えて、多くのKAN-SENを迎え入れられたのが一番大きい。

 まぁ、その迎え入れたKAN-SENの中にはワケありな個体が結構居たりするが……

 

 彼は先の旧ロウリア王国よりも、遥かに規模の大きな戦いが起こるだろうと予想しながら、窓の方を向いて日が暮れ出している外を眺める。

 

 

 

 ―――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 その日の夜。ロデニウス連邦共和国は衝撃が走る。

 

 シオス王国でパーパルディア皇国の皇軍によって、観光に訪れたロデニウス連邦共和国の観光客と船の乗組員が捕らえられ、処刑が行われたことが速報で伝えられた。

 

 その反応は様々で、国民の全員が衝撃を受けたのはもちろん、中にはかつての祖国の蛮行に呆れた者、動揺を隠せない者も居た。ムーから留学して来た者達の多くは「正気か?」と疑いの目を向けていた。

 誰もが不安を覚え、この日の夜は眠れなかった。

 

 次の日の朝。カナタ大統領が記者会見を開き、事件の詳細を伝えた。そして現時点で判明した犠牲者の発表も行った。

 

 それにより、安堵する者、嘆き悲しむ者、怒りを露にする者、その反応は様々だった。

 

 だが、国民の感情はやがて悲しみから怒りへと変わり、誰もがパーパルディア皇国討つべしと声を上げる。

 

 この事を受けて、カナタ大統領はこれ以上の犠牲者を出さない為、軍にあらゆる措置を講じるようにと指示を出したことを発表する。

 

 

 そしてこの発表は各国に伝えられた。

 

 

 フェン王国の剣王シハンはその発表を聞き、犠牲者に哀悼の意を述べて黙祷をするが、内心は思惑通りに事が進み、これで国が救われると喜んでいた。その後武官文官にロデニウスへ全面協力するように下命した。

 

 

 フィルアデス大陸の東にあるトーパ王国では、国内にあるロデニウスの新聞社より発行された号外が配られ、国民はどちらが勝つかどうかの話をしたが、ロデニウス連邦共和国が勝つという予想が優勢だった。

 軍の方でもロデニウスが勝つと断言していた。何せ軍は防衛の為、ロデニウス連邦共和国より支援を受けているので、その力をよく知っているのだから。

 

 

 ロデニウス連邦共和国の協力でパーパルディア皇国の皇軍の侵攻を退けられたアルタラス王国もその発表を受けて、ターラ14世は犠牲となった方々に対して哀悼の意を述べ、虐殺を行ったパーパルディア皇国に対して怒りの言葉を語り、ロデニウスに対して全面協力することを発表した。

 

 

 ムーではパーパルディア皇国のあまりの愚行に政府の人間は誰もが呆れていたそうな。そしてロデニウス連邦共和国が烈火の如く怒り狂う事が予想され、万が一を考えてパーパルディア皇国に居る自国民の安全確保の為、避難指示を出す為の準備に取り掛かる。

 そして多くの観戦武官を送る用意も行った。

 

 

 その他のロデニウス連邦共和国と国交を持つ国々は、これから起こるであろう大きな戦争を予感し、あわよくばパーパルディア皇国が甚大な被害を受けることを願うのだった。

 

 

 

 

 

 所変わり、パーパルディア皇国

 

 

「やれやれ。文明圏外の国を相手にするのは大変ね」

 

 第1外務局にて、エルトは書類の整理作業を行っており、その最中に声を漏らす。

 

(レミール様がお相手していたロデニウスの特使は処刑を目の当たりにして声を荒げていたようね。途中からはなぜか冷静になっていたようだけど)

 

 エルトはその時の議事録を確認し、ロデニウス側の反応にどことなく違和感を覚えていた。これが怒り狂いそのまま退出するのなら、これまで対応してしてきた文明圏外の国々に見られた反応だが、途中で冷静になり、そのまま淡々とした様子で退出したのは、これまでに無い反応だったという。

 その冷静さが逆に不気味さを醸し出している。

 

(しかし、カイオスも余計な一手間を掛けたものね。蛮族の国にそんなに掛けていられる時間は無いというのに)

 

 彼女は呆れた様子で内心呟き、ため息を付く。

 

「……どこで変わってしまったのかしら」

 

 そして彼女は何やら意味深な事を呟く。果たしてその呟きは何を意味しているのか……

 

 

 コンコン……

 

 

 すると扉がノックされて、ボーとしていたエルトの意識が引き戻される。

 

「入りなさい」

 

 エルトは入室を許可すると、扉が開かれて彼女の部下であるハンスが決裁書類を持って駆け込んでくる。

 

 しかしその顔色はなぜかひどく悪く、やけに緊張していた。

 

「どうしました?」

 

 異様な部下の様子にエルトは怪訝な表情を浮かべて尋ねると、ハンスは息を整えるように大きく深呼吸し、ゆっくりと話す。

 

「今回のフェン王国の戦いに際し、列強各国に観戦武官の派遣の有無を調査いたしました。神聖ミリシアル帝国については、今回も派遣しないとの回答でした」

「いつものことですね」

 

 ハンスの報告を聞き、エルトはどういう返答が来るのか分かっていたようで、特に驚いた様子も無く声を漏らす。第一文明圏にして世界の頂点に君臨する列強国が、わざわざ格下の国同士の戦いに興味を抱くわけがないのは、容易に想像出来るからだ。

 

「ではムーはどうですか? いつ観戦武官を派遣してくるのですか」

 

 彼女はムーがいつ観戦武官を送って来るのか、ハンスに問い掛ける。ムーは各国の戦闘情報の収集をよく行っており、特に勝利するであろう側に観戦武官を派遣する場合が多い。

 故に今回もムーから観戦武官が皇国に派遣されると思い、その予定日を問い掛けた。

 

「……」

 

 しかしハンスはなぜか口ごもり、すぐに答えようとせず、書類に目を落とした。

 

「……? どうしました?」

 

 あまり見ない部下の様子に、エルトは怪訝な表情を浮かべる。

 

「その……ムーは皇国への観戦武官の派遣はしないと回答してきました」

「珍しいですね、ムーが派遣をして来ないとは。戦闘情報の収集癖が無くなったのでしょうか?」

「……」

 

 するとハンスは彼女に対する言葉を選んでいるようで、目を泳がせている。

 

 エルトはますます不思議に思い、書類を寄こすように手を差し出す。

 

「何かありましたか?」

「それが、ムーは……ロデニウスに観戦武官を派遣した事が判明いたしました……」

「……えぇっ?」

 

 ハンスの口から告げられた衝撃的な事実に、エルトは思わず間抜けな声を漏らした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『そっちはとても面白い事になっているようね』

『そうだね。まぁある意味こちらが望んだ展開になりつつあるね』

『これで更に彼らの力は増すわ。良い傾向だわ』

『確かに。加えて君が送ってくれたプレゼントは彼らに良い成長を促しているよ』

『それは何よりね』

『で、私はこれまで通りにしていればいいの?』

『そうね。あなたは引き続き彼らの観察を頼むわ。彼らの進化は私は楽しみなのよ』

『了解』

『それと、今からそちらに彼女を送るから、よろしく』

『……えっ? 何でまた彼女を? 理由を教えてくれないかい?』

『彼女にはちょっとした事をしてもらう為にある物と一緒に送るのよ。一応技術者として送る予定よ』

『全然彼女適任者じゃ無いんだけど……どっちかっていうと戦闘狂みたいな感じな』

『良いのよ。要は彼女が持っている物が重要なのだから。それさえあれば彼らの所の妖精達がどうにか出来るから』

『……それなら直接それを送れば、わざわざ彼女に持たせる必要は無いんじゃ』

『彼女にはやってもらうことがあるからよ。ついでよ、つ・い・で』

『……』

『まぁ、彼女も暇を持て余していたから、ちょうど良かったのよ』

『一応聞くけど、彼女にやらせることって?』

『それはその時になっての楽しみよ』

『……』

『まぁ「ヤマト」の言葉を借りるなら、万が一に備えて、かしらね』

『万が一、ねぇ』

『機能の一部を制限して送るから、問題は起きないはずよ。それにちゃんと技術者として働けるように調整してあるから』

『人間の言葉でそれって左遷っていうんじゃないのかい?』

『そうかもね』

『……』

『兎に角、近い内に彼女……「ピュリファイアー」が来ると思うから、その時は彼らに説明よろしく「ゲイザー」』

『……分かったよ――――

 

 

 

 ――――「オブザーバー」』

 

 

 

 




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