異世界に召喚されしはイレギュラーが率いる異界の艦隊   作:日本武尊

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第九十五話 デュロの戦い 弐

 

 

 

 時系列は現在に移り、再び場面はデュロに移る。

 

 

 

 市街地では皇軍の兵士達が瓦礫や家の中から持ち出した家具を積み上げてバリケードを作り、そこから皇軍兵がマスケット銃を構えて射撃を行う。

 

 マスケット銃から銃声と共に白煙を上げて弾丸が放たれるが、61式戦車改の装甲にいくら当たろうと、金属音と共に弾かれる。

 

 61式戦車改はすぐに砲塔を旋回させ、主砲の同軸機銃74式機関銃と、車長側のキューポラハッチに備えられたブローニングM2重機関銃を発射し、バリケードを貫通させて射撃した皇国兵を倒していく。その直後に主砲を放ち、バリケードを皇国兵ごと吹き飛ばす。

 

「くそっ!! 一体あれは何だよ!! 何で蛮族共があんな物を持っているんだよ!!」

「口を動かしている暇があったら手を動かせ!!」

 

 悪態をつく仲間に兵士が怒鳴りながら、マスケット銃に弾と粉末魔石をラムロッドで押し込み、装填を完了したマスケット銃を構えて発砲する。

 

 74式戦車改と61式戦車改を先頭に上陸部隊は市街地を進んで行き、敵を見つけ次第戦車が主砲や機銃を用いて排除していく。

 

 上空では多くのカ号観測機が飛び交い、常に市街地に厳しい監視の目を向け、皇国兵の待ち伏せや伏兵を捜索、見つけたらすぐに地上の上陸部隊に知らせている。時々防護用として備え付けられた機銃を使い、地上に向けて射撃を行っている。

 

 場合によっては空母より飛び立った艦爆隊が皇国兵が、潜伏している建物に爆弾を落とし、建物ごと皇国兵を排除している。

 

 死角が多い市街地であればロデニウス相手でも有利に立てる、と皇国側は考えていたが、状況は皇国側に芳しくないものだった。

 

 デュロには建物もそうだが、地下には下水道が張り巡らされて死角が多い。ロデニウス側はその死角に対して常に警戒しており、上空からカ号観測機が飛び交って死角になりそうな場所を監視し、常に地上にいる部隊に状況を報告している。

 地上からは歩兵が周囲を見渡して、特に建物は厳重に警戒している。

 

 地下の下水道からの不意打ちは、地上部隊が下水道に繋がるマンホールを発見次第、蓋を開けて中に手榴弾を放り込んで対処している。下水道で待機していた皇国兵は当然手榴弾なんて物を知らないので、投げ込まれたそれを避ける事が出来ずその命を散らすか、回避が遅れて炸裂時に放たれた破片で負傷して動けなくなる。

 中には火炎放射器を背負う兵士がマンホールを開けて中に火炎放射を行い、容赦なく下水道に潜んでいる皇国兵を排除する。

 

 上陸部隊は戦車や装甲車を盾にしつつ市街地を進み、デュロの防衛基地を目指す。

 

 

「……」

 

 そんな中、街道を進む74式戦車改を、建物の中で皇国兵が息を呑み見つめる。その傍には建物内に運び込んだ魔導砲があり、他の皇国兵も固唾を呑んで見つめている。

 

 彼らが見つめる中、戦車が彼らが潜んでいる建物の近くを通った瞬間、彼らは魔導砲の拉縄を引き、砲弾を放つ。

 

 放たれた砲弾は74式戦車改の砲塔に命中し、爆発する。

 

「やったぞ!!」

「ざまぁみろ!! 蛮族共!!」

「俺達に歯向かった罰だ!!」

 

 皇国兵達はその爆発を見て歓声を上げる。

 

 しかし直後に煙の中から轟音と共に衝撃波が放たれ、皇国兵達が潜んでいた建物が爆発を起こし、兵と魔導砲を粉々に粉砕する。

 

 煙が晴れて、そこには砲塔側面に焦げた跡がある74式戦車改の姿が現われた。爆発反応装甲に当たらず戦車本体の装甲に直撃していたが、皇国の魔導砲では傷をつけるのが関の山であるようだ。

 

「各員! 状況は!」

「こちら砲手! 異常無し!」

「こちら操縦手! 異常無し!」

「こちら装填手! 異常無し!」

 

 74式戦車改の車長が喉元に付けている咽喉マイクに手を当てて大声で問い掛けると、次々と報告が入って来る。敵の砲撃の直撃こそ受けたが、損害は装甲表面を焦がした程度である。

 

「全く。直撃を受けると生きた心地がしないな」

 

 報告を受けて車長の男性が安堵の表情を浮かべつつ、声を漏らす。

 

 74式戦車改は車長の命令で前進を再開し、歩兵が後に続く。

 

 

「何だよあれ……あんなの、勝てるわけがねぇ」

 

 建物の陰で、マスケット銃を持って壁にもたれかかっている皇国兵が身体を震わせている。

 

 見たことが無い鉄の塊が前進し、魔導砲を上回る破壊力の大砲で攻撃し、その後ろにいる歩兵が自分達の銃よりも早く連発出来る銃で攻撃している光景に、彼らは戦意を喪失していた。

 

 すぐ傍を戦車が通り過ぎ、歩兵が周囲を警戒している。

 

「皇国はなんて奴らを敵に回しやがったんだ!!」

「もう嫌だ!! こんなところで死にたくねぇよ!」

 

 ついに恐怖が限界を超え、皇国兵二人はマスケット銃を手放し、建物の陰から飛び出る。

 

「待て! 撃たないでくれ!!」

「降伏する! 降伏する!!」

 

 ロデニウス連邦共和国の歩兵が銃を向ける中、皇国兵は両手を上げて降伏の意思を伝える。共和国陸軍の歩兵は銃の引き金を引こうとしたが、何とか堪える。

 

「どうする?」

「どうするって、降伏しているんだぞ」

 

 歩兵が降伏している皇国兵に銃を向けながら会話を交わすと、降伏している皇国兵を見る。

 

 軍では降伏する者が居た場合、抵抗しない限り捕虜として受け入れよと命令が出ている。

 

「両手を頭の後ろで組んで、その場で膝を着け!」

 

 歩兵の一人が銃を皇国兵に向けながらそう伝えると、皇国兵達は両手を頭の後ろに組む。

 

 

 ッ!! ッ!!

 

 

 途端に銃声が二発鳴り、跪こうとしていた皇国兵二人の頭が撃ち抜かれ後ろに倒れる。

 

「っ!?」

 

 突然の出来事に共和国兵は驚きを隠せなかった。撃ったのは自分達ではないからだ。

 

 すぐに後ろを振り向くと、そこには64式小銃を構えるモイジの姿がある。

 

「も、モイジ隊長!? なぜ撃ったんですか!? 彼らは降伏して―――」

「降伏? 俺には降伏したフリをして騙し討ちしようとしていたようにしか、見えなかったがな」

 

 歩兵の一人が戸惑った様子でモイジに抗議するも、彼は素っ気ない様子でそう返す。

 

「で、ですが……上から降伏する者は受け入れるようにと通達が」

「だが、それで受け入れて奴らが不意打ちをしてきたらどうする? 現にやつらはフェン王国沖で降伏したフリして攻撃したんだぞ」

「それは……」

「それに、やつらは我が国に殲滅戦を宣言しているんだ。半端な情けを掛けても奴らはつけ上がるだけだ」

 

 モイジはそう言うと、二人の間を通り抜けて歩いて行く。

 

「モイジ隊長……」

「……」

「変わってしまったな……あの人。まぁ、仕方ないといえば、仕方ないよな。奥さんと娘さんは奴らに殺されたからな……」

「……だよな」

 

 二人はモイジの背中を見ながら、彼の行動を納得せざるを得なかった。

 

 

 シオス王国で起きたパーパルディア皇国によるロデニウス連邦共和国の民間人の処刑。あの時処刑された民間人の中に、モイジの妻と娘が居た。ちょうどその時二人はシオス王国に観光に来ていたのだが、二人が乗っていた船がシオス王国に駐留していた艦隊に臨検され、船は拿捕され、乗組員と観光客はスパイ容疑で拘束された。

 そして皇国は乗組員と観光客20名の処刑を行った。

 

 娘の処刑を泣きながらやめるように懇願するも、そんな母親の前で娘が首を切り落とされ、自身もその後に首を切り落とされた。

 

 そして二人の遺体は皇国の人間によって海に蹴り落とされたので、遺体は戻って来なかった。その上遺品も何一つモイジの元に戻って来なかった。処刑された人達の所持品は全て盗られていて、その殆どが紛失していたので、遺品すら遺族の元に戻って来なかったケースが多かった。

 

 その為、モイジの中はパーパルディア皇国に対する憎悪で一杯になっていて、今回はその皇国に対する復讐で頭が一杯になっていた。

 

 そしてモイジのように、パーパルディア皇国に対する憎しみを抱く者は……予想以上に多かったのだ。

 

 

 


 

 

 

「急げ! まだなのか!?」

 

 陸軍の新兵器開発部に所属する開発主任のハルカスが怒鳴るように問い掛ける。

 

 そこには神聖ミリシアル帝国より密輸した対空魔光砲があり、保管されていた倉庫より引っ張り出されたそれは使えるように調整が行われ、現在対空魔光砲に魔力充填が行われている。

 

 しかし魔力の充填は思うようにいかず、未だに満タンまで充填できていない。

 

「神聖ミリシアル帝国の技師によれば『魔力充填はすぐに終わる』と言っていましたが……我が国の魔導エンジンの出力ではそうはいかないようですね」

「うーぬ。伊達に世界最強を名乗っているわけではないか。こんな燃費の悪い物を当たり前のように使えるのだからな」

 

 皇国の技師の言葉に、ハルカスは苦虫を噛んだような表情を浮かべながらため息を付く。

 

 この対空魔光砲は、べつに燃費の悪い代物ではない。ただ単に、パーパルディア皇国が持つ魔導エンジンの出力が低すぎるだけである。

 

 ちゃんとした技術的土台が整っていれば、対空魔光砲はカタログスペック通りの性能を発揮する。彼らからすれば燃費の悪い物に見えるかもしれないが、神聖ミリシアル帝国ではこれが当たり前なのだ。

 

 まぁ、身の丈に合わない物を導入しても使いこなせないのは当然である。ましてやコピーなんて無理な話である。

 

「っ! ロデニウスの飛行機械が!」

 

 準備にもたついている間に、基地にロデニウスの航空隊が迫って来ていた。

 

「来たか。魔力はどのくらい溜まっている?」

「87%です!」

「そのくらいあれば充分だ! 攻撃用意!」

 

 ハルカスの指示で、対空魔光砲は空に銃口を向ける。

 

 対空魔光砲からは自動的に詠唱が発せられ、発射準備が行われる。

 

「ロデニウスめ。皇国は蹂躙させぬぞ」

 

 彼は確固たる意志を瞳に宿し、接近する航空隊を睨みつける。

 

 

 


 

 

 

「間もなく、皇軍の陸軍基地だ。後から来るお客さんの為にも、基地機能を破壊するぞ」

 

 空母『ヒョウリュウ』より飛び立った流星改二の攻撃隊の隊長が各機に通信を送って確認させる。

 

 周囲には『エンリュウ』の流星改二の攻撃隊の他に、『アーク・ロイヤル』のA-1 スカイレイダーの攻撃隊と『グラーフ・ツェッペリン』のFW190Mの攻撃隊が展開している。

 

 皇軍のワイバーンロードとワイバーンオーバーロードはすでに戦闘機隊によって駆逐され、制空権はロデニウス側に移っていた。

 

 そしてトラック泊地より飛び立った輸送機がそろそろデュロ付近に到着する予定となっている。輸送機には基地を制圧する為に空挺部隊が乗り込んでいる。

 

(しかし、これだけの被害が出ているのに、なぜやつらは降伏しようとしないんだ。そんなにも負けを認めたくないのか)

 

 隊長は地上を見ながら内心呟き、歯噛みする。

 

 勝敗は決したようなものだが、やはり皇国はそのプライドの高さからか、降伏という道を選ぼうとはしなかった。

 

 このまま戦闘が続けば、余計な被害が増えるばかりである。

 

 

「ん?」

 

 皇国に対して憤りを覚えていると、隊長は何かに気付く。

 

 地上に何か違和感を覚えると、ハッと気づく。

 

「っ!? 全機散開!! 対空砲だ!!」

 

 隊長はすぐさま命令を発して回避行動を取る。

 

 他の機もすぐに編隊を解いて散開するが、回避が遅れた流星改二の一機が地上の対空魔光砲より放たれた光の弾に機体を貫かれ、不運にも燃料に引火して火達磨になる。

 

『6番機被弾!』

「っ!」

 

 隊長は、火達磨になって高度を下げていく流星改二を見つめる。

 

 

 

「やったぞ!!」

「ざまぁ見ろ!! 蛮族め!!」

 

 飛行機械一機を仕留めたとあって、対空魔光砲に就く技師たちが歓喜の声を上げる。

 

「さすがは世界最強の兵器だ。よし! このまま他の飛行機械を撃ち落とせ!!」

 

 ハルカスは指示を出し、射撃を再開させようとするが、対空魔光砲は二、三発発砲して動かなくなる。

 

「っ!? どうした!?」

「ま、魔力切れです!!」

「馬鹿な!? いくらなんでも早すぎるぞ!!」

 

 魔力ゲージを見て魔力が空になっているのを技師が報告すると、ハルカスは驚きを隠せなかった。

 

 確かに魔力を満タンには充填していなかったが、それでもたった数秒の射撃で魔力が無くなるとは思っていなかった。

 

 まあ単に、出力が低い魔導エンジンを使っている上に使い方が間違っていて、簡単に魔力切れになっただけなのだが、彼らがそれに気付く暇は無い。

 

「っ!! ロデニウスの飛行機械が!?」

 

 と、技師の一人が気づいて声を上げ、誰もが空を見上げる。

 

 視線の先には、火達磨になりながらもこちらに向かっている流星改二の姿があった。

 

 さっきの最後っ屁が対空魔光砲の位置を示してしまい、被弾した流星改二のパイロットがそれを目撃し、針路を対空魔光砲に向けた。

 

 自身は破片で腹を貫かれて、機体は火達磨になっている。もう助からないと、彼は悟っていた。後部機銃手からは返答が無く、既に息絶えているのを知った。

 

 であれば、一矢を報いる為に、彼は薄れゆく意識の中で対空砲の位置を確認し、最後の力を振り絞って針路を対空魔光砲に向けた。

 

「に、逃げろぉっ!!」

 

 ハルカスは流星改二の意図を察し、大声を上げながら対空魔光砲から離れるように走り出す。

 

 そのまま流星改二は対空魔光砲に向かって墜落し、爆弾倉に抱えている爆弾が、対空魔光砲を巻き込み大爆発を起こす。

 

 

『6番機墜落!!』

「……」

 

 僚機が墜落し対空魔光砲と共に爆発した光景に、隊長は歯が砕けんばかりに強く歯噛みする。

 

「各機!! 対空砲に警戒しつつ、目標を攻撃!! もし対空砲を発見すれば優先的に破壊しろ!!」

 

 隊長は僚機に指示を出して、対空砲に警戒しながら敵基地攻撃に移る。

 

 しかし対空砲はさっきの対空魔光砲以外は対空用のバリスタ程度で、そのバリスタを破壊して、地上のリントヴルムや皇国兵に向けて爆撃や機銃掃射を行って排除する。

 

 

 しばらくしてトラック泊地より輸送機仕様の連山改が五機やって来て、連山改より空挺部隊の妖精達が次々と基地へ降下し、抵抗する皇国兵を排除しつつ基地を制圧。基地司令のストリームを捕らえた。

 

 その後ロデニウス側の指示に従い、ストリームは魔導通信機にて全部隊へ攻撃を停止、降伏するように呼びかけるのだった。

 

 

 


 

 

 

 所変わり、パーパルディア皇国 皇都エストシラント

 

 

 

「……はぁ」

 

 瓦礫を邪魔にならない端まで抱えて移動し、その場に置いた男性は息を吐く。

 

 男性ことシルガイアは腰を数回軽く叩いてから再度瓦礫の元へ向かう。

 

「……」

 

 ふと、彼の視線は港にあった崩れ落ちた海軍司令部に向けられる。

 

「バルス……」

 

 彼は悲しげな表情を浮かべ、今は亡き昇進した同期を思い出す。

 

 

 同じ時期に皇国の兵士として志した二人は互いに切磋琢磨し、実力をつけて行った。二人の間の実力はほぼ互角だったが、そのほぼの差が決定的となり、シルガイアは掃除夫まで堕ち、バルスは海軍司令の座まで上がった。

 

 しかし彼はバルスを憎むことは無く、むしろ当然だと思っていて、バルスも昇進してもシルガイアを変わらず友人として見ていて、前に会った時も変わらず友人として接してくれた。それがある意味彼の救いとなっていた。

 

 だが、先の空襲によって海軍司令部は破壊され、その中でバルスは命を落とした。

 

 当時シルガイアは掃除夫の仕事で別の場所に居たので、空襲に巻き込まれることが無かった。

 

 その後は空襲で受けた被害の復旧の為に、シルガイアを含め予備役や退役した軍人、兵士として徴兵された民間人と共に港の復旧作業に駆り出される日々を送っている。

 

 

(皇国は……これからどうなるんだろうな)

 

 シルガイアは破壊された軍港を見て、内心呟く。

 

 先の空襲で受けた被害からの復興は未だに見通しが立っておらず、今やっている復旧作業も計画的ではない手探りでやっている。まぁどこから手を付ければいいか分からないような被害状況であるのなら、こうもなるだろう。

 幸い港へと繋がっている道の復旧が終わっているので、瓦礫を荷車で運ぶことが可能となり、多少なりとも作業効率はよくなっている。

 

 しかし復旧に携わっている人員も、とにかく駆り出せる者を掻き集めているような状態で、指揮できる者が多くないので統率が取れていない上に、多くの者が年を取っていたり病弱であったりで体力が続かないため、思いのほか作業が進んでいない。

 

 兵士たちは連日の復旧作業に追われて多くの者が過労で倒れ兵舎で寝込んでおり、街の治安維持は皇帝陛下の護衛を担う近衛兵が駆り出されている。

 

 パールネウスはもちろん、他の基地はロデニウスの攻撃に備えて現地の防衛に専念しなければならないので、エストシラントに戦力を送るわけにはいかない。

 

 故に、圧倒的人員不足に陥っているエストシラントでの組織的防衛は、事実上不可能になっている。

 

「……ん?」

 

 ふと、海の方を見たシルガイアは、ある違和感を覚える。 

 

「なんだ?」

 

 彼は目を細めて、空を見る。

 

 エストシラント上空は雲が少ない晴れた空模様をしている。それ故に、違和感があったのだろう。

 

「っ!?」

 

 と、彼の耳に届いた音に、目を見開く。

 

 その音に聞き覚えがあった。先の空襲でも、嫌と言うほど聞いた音に似ている。

 

 ならば、空にある違和感の正体を察するのに、時間は掛からなかった。

 

「て、敵だぁっ!! 敵の飛行機械だぁ!!」

 

 シルガイアは大声を上げながらその場を離れ、周りに居た者達もその言葉に空を見上げ、視界に入った存在に一目散に逃げる。

 

 

 

 アルタラス島にあるムーの飛行場に集結した深山改と連山改の爆撃隊は、作戦開始と共に飛行場を飛び立ち、護衛の天雷と共にエストシラントを目指していた。

 

 更にエストシラント沖に展開している『エンタープライズ』『エセックス』『イントレピッド』の空母KAN-SEN3隻より艦載機が発艦し、攻撃隊と共に爆撃隊の護衛の戦闘機を向かわせた。

 

 そして爆撃隊よりも高い高度を超重爆撃機『雷神』2機が護衛の天雷を率いて飛行している。

 

 エストシラントを攻撃目標にしている爆撃隊と違い、雷神2機の攻撃目標は……パーパルディア皇国の聖都パールネウスである。

 

 

 

 




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