少女は短き時に何を視る   作:寿咄

1 / 8
初めましての方は初めまして。そうじゃない方はなろうの方を読んでくれた方。ありがとう。
当作はなろうの方で書いている小説の筆のノリが悪いので息抜きで書いた小説です。
それでもいい人はどうぞ。


ちょいとめだかボックス要素を出す為に『チカラ』の評価を『スキル』に変更。物語に大した影響はないです。


???:オリジン

「これはこれは、実に面白い個性だ。初めての成功体と思っていたが……これはそれ以上、いや異常と言っていい」

 

 そう愉快に語っているスーツの男の前にはたった今生まれた人でありながら人ではないーー人の失敗作といえる"ソレ"は男の声、いやその全てをただ視て観察していた。

 

 男の後方にいる白衣の老人は男とは似ているが似ていない不思議な反応をしており"ソレ"は老人に興味を示すと同時に彼の持つ不思議なナニカのチカラを使い自らは生きながらえることが出来ていると理解した。

 

 "ソレ"は辺りを見回した。"ソレ"に知識がなく理解はできてないが、"ソレ"のいる場所は大きなガラスの筒によく分からない配線に機械などが無数に配置されているーー実験施設に近いものだった。

 

「なんと!個性を持って生まれたか!先生、こいつはいったいどんな個性を持ってるんじゃ?」

 

「正直なところ未知数といったところかな。僕の個性を変質しているとはいえ強く受け継いでいる。下手をしたら僕のより強い個性かもしれないね」

 

 男は"ソレ"を再び興味深く見始めた、老人は凶喜のあまりにか何かを考え始めた。おそらくは次の実験でも考えているのだろう。

 

 ……男は"ソレ"の持つチカラーー個性を確認するために"ソレ"の頭に手を当て自らの個性を発動し、その表情は男の仲間からは歓喜と、敵からは悪の象徴と捉えられるであろうモノへと変化した。

 

「これは、もう時間さえあれば僕の個性なんて容易く超えてしまうな。実に厄介だ」

 

 そして男が"ソレ"に感じたのは微弱な恐怖。自らの手の内に入れておきたい個性であったが、それを制御し切れるかどうか男には自信がなかった。だから"ソレ"の個性を確認した後すぐに返却した。

 

 男はこの時代において最強の一角にいる存在だ。知恵、人脈、性質、そして何より醜悪極まりない個性。そのどれをとっても一流であり、道が違えば英雄となることも出来た筈だ。

 老人は男が英雄になる可能性なんてこれっぽっちも感じたことはなく、むしろ悪の英雄なら……と思ったが、それ以上にそんなことを思わせる男が制御し切れるかどうか分からない個性に興味が湧いた。

 

「先生、その個性、いったいどういうものだったんじゃ?」

 

 先程聞いた内容と全く一緒だったが、深みが違った。先ほどが科学者としてのものだとするならば、今回は男の仲間というものだった。

 だからか"ソレ"はその声には醜悪さというものを感じた。

 

「……そうだね、この個性を一言で表すなら君が提唱した"個性特異点"に最も早く辿り着き、これさえあれば僕の個性なんて無能そのもの。完全に上位互換さ

 

「なんと!先生にそこまで言わす個性とは!!」

 

 男は言葉を選ぶように"ソレ"の個性のなんたるかを語り、老人は再び凶喜した。

 

 

 "ソレ"はその光景を自我がというものを得てからずっと視ていた。

 まず"ソレ"は言葉を模倣した(覚えた)。次に感情を模倣した(覚えた)

 そして最後に男の個性を模倣した(覚えた)

 

 だから"ソレ"は試してみたかった。

 男から模倣した(覚えた)新しい()()()をーー

 

「ーーお前!いったい何を!?」

 

「……………」

 

 老人の声に一切の反応を示さず"ソレ"は男の頭を目掛けて飛び掛かりーー見事に返り討ちにされた。

 

「全くやんちゃなだね君は」

 

「先生!大丈夫だったか!?」

 

「もちろん見ての通り……とは言えないかな。()()()()()()()()()()

 

「それはどういう…………!?」

 

 老人はこの時初めて"ソレ"を実験動物や試作品ではなく恐怖の対象として見た。

 下手に頭が良いせいで理解してしまったのだ。

 何故"ソレ"は()()()を目指したのか。

 

 そこからは早かった。

 "ソレ"の個性が何なのか。

 男の個性同様、単純故に強い。

 そして何より男の個性を容易く上回ってしまう力を。

 

 その全てを老人は瞬時に理解してしまったのだ。

 

 

 しかし"ソレ"はそんな老人に意を返さず覚えたばかりの言葉と知識と感情を使い"人らしい"言葉を発した。

 

「あなたは……何?」

 

 男も老人も"ソレ"が喋るなんて思いもやらなかっただろう。

 元々"ソレ"やその"兄"や"姉"にあたるであろうモノ達には『喋る』という機能は求めていなかった。

 ただ主人の命令を聞き実行していく人形を造っていたのだ。そこには感情も自我も要らない。必要なのは忠誠心と力だけ。だから先程男を襲ったのは"ソレ"に突如として起こったエラーと考えていたが……今の発言にて理解した。

 

 "ソレ"には自我があることを。

 

「……これは本当に異常(イレギュラー)だね」

 

 男は小さく呟き、"ソレ"の元へ進んでいく。

 老人が男を止めようとしているのか何か騒いでいるが無視して進んでいく。

 

 男は"ソレ"に近づき抱き抱える。

 そして悪魔のような声で"ソレ"の疑問に答える。

 

「僕は君の父親さ。そして君が持つ力の名は『完成(ジ・エンド)』。いずれ君を個性の特異点へと連れていくであろう力ーー個性の名前さ」

 

 




あっ、ハーメルンの方は初投稿なので不慣れです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。