少女は短き時に何を視る   作:寿咄

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ちょいとめだかボックス要素を出す為に『チカラ』の評価を『スキル』に変更。物語に大した影響はないです。
あとそれに付随?して少し改変。


入学と個性把握テスト

 終は学校が始まるにしては()()()()()()()()()()()()に登校していた。

 その時間、何と7時!(補足すると雄英の朝礼は8時25分からである)

 何故そのような時刻に登校しているのか。

 登校に時間がかかるから余裕を持って登校したから。否。彼女の現在の住居は雄英周辺、しかもとは20分間内である。

 ヒーロー育成校のトップ校だから想像も出来ない何かに対策するため。否。確かに彼女のクラスの担任は型破りではあるが流石に朝礼前からそんな事はしない。合理的ではないからだ。

 終が極度の心配性であった為。否。彼女にはそんな心配事の殆どをどうにかできるチカラが備わっている。なんらな"個性"を使ってスキルは追加可能なのでより問題ない。さらに彼女の心配事は一つだけだ。

 

 では何故そこまで早くに登校しているのか。

 答えは単純。彼女は学校というものに通ったことがなかったのである。

 詳しいことは省くが彼女は諸事情で中学校どころか小学校にすら通った経験が無く、学校行事他を正しく理解できていない。もはや体育祭とはなんぞや、といった状況であるのだが、学校に入ってからチカラを使い()()()()()()()()()しこの学校で行われる行事のある程度のところまでは理解した。スキルの無駄遣いである。

 さらには入学試験序盤で使った探知系のスキルを使い雄英全体の地理に地形、施設などの位置を把握した。別にこれは必要なことではないのだが、こればっかりは癖である。

 

「おはようございます!」

 

 そんなことをしながら30分が経過し、ようやく2人目の生徒が入ってきた。

 入試の時プレゼント・マイクに質問をしていた眼鏡の少年である。

 

「む、君はあの時のジャージ女子。君も受かっていたのか」

 

 教室に入った途端自分の席を探しているのかキョロキョロと部屋全体を見回し、終に気づいたのか彼は話しかけてきた。

 

「ええ、まあ」

 

「ボ…俺は私立聡明中学出身の飯田天哉だ。よろしく頼む。君の名前は?」

 

「……黒性終です。よろしくお願いしますね飯田さん」

 

 ナンセンスであろうネーミングセンスを持つ眼鏡の少年ーー飯田と挨拶を交わし、彼の席の位置を伝えると彼は律儀に礼を言い先へと向かった。

 

 その後彼は新たに生徒が入ってくるたびにその人たちに挨拶をしていくが、終には関係ないことである。

 

 

 

「む?貴様俺のダークシャドウに近いものを感じるのだが……何者だ?」

 

「……………」

 

 時は経ちあと少しで朝礼となる時間になったとき、終の左隣に座っている鳥頭(馬鹿にしているわけではない)の少年が話しかけてきた。

 

「その身から放たれる禍々しき闇の波動。本当にそっくりだ」

 

「あなたは恋愛をしにここに来たんですか?」

 

「いやそういう訳ではない。ただ俺の個性の放つ雰囲気と貴様の放つ雰囲気が偶然似たように感じただけだ。気を悪くさせてしまったのなら謝罪しよう」

 

「いえご心配なさらず。それよりもあなたは?」

 

「む、そういえばまだ名乗ってもなかったな。俺の名は常闇踏影という。以後よろしく」

 

「私は黒性終と言います。よろしくお願いします」

 

 そう言いながら2人は握手をし、常闇は終の名前にどこか感じるところがあったようで少し目をうるわせている。

 

「……黒性!もしや貴様は我が同士では!!」

 

「いえそれだけは絶対無いです」

 

 終は一般常識が少し足りないとはいえ彼のような人種では無いのだ。

 

ーーガン!

 

 そんな会話をしていると終の席の斜め前の方から音が響いてきた。

 何事かと目を向けてみれば、そこにはガラの悪い不良のような男が机に足を乗っけていた。

 

「む、君!」

 

 誰がどう見ても不良の彼の態度を見かねたのであろう飯田がツカツカと歩いて迫る。

 

「机に足をかけるな!雄英の先輩方や机の制作者方に申し訳ないと思わないか!?」

 

「思わねーよ、てめー!どこ中だよ端役が!」

 

 飯田と不良の激しい口論そのまま続き、入学試験の際に見かけた緑髪の少年と丸顔の少女が入ってくるまで続いた。

 

 周りの大半は飯田と不良の口論に注目を向け、その大半に入らない一部の者たちは自分の世界を形成しているのか周りを無視していたり、入ってきた2人の男女の方を見つめていた。

 終はその一部の男女を見つめている側に当てはまる。

 

(……何でしょうか?彼を見ていると無性に恐怖が………少ないスキルで抑えきれる程度ですし、'"あの人“と比べたら大したことは無いのですが、少々彼の個性、気になりますね)

 

 しかし終は少年の方にまるで以前会ったことがあるような、それも死神の鎌が首元にあるような感覚が全身を遅い、原因不明の恐怖を感じていた。

 が、その程度のことは大した問題ではなくただの気力で抑え込んだ。

 しかしそれでも自身に恐怖を思わせる少年に、終は興味が湧いた。

 

「お友達ごっこがしたいなら余所へ行け。ここは…ヒーロー科だぞ」

 

 そんな中、声と共に芋虫のような物が入り、それが立ち上がると中から汚い男が出てきた。どうやら人間のようである。

 ちなみに入ったあとすぐにゼリー飲料を吸い尽くしていた。

 

「はい、静かになるまで8秒かかりました。時間は有限。君たちは合理性に欠くね……担任の相澤消太だ。よろしくね」

 

 生徒たちは黙っているが、試しにスキルを使ってクラスにいる人間の内側を覗いてみると皆『先生!?しかも担任!?』だとか『ゼリー飲料吸うの早っ!』とか『コイツつえーのか?』だった。ちなみに最初のやつが大半で、最後のやつは1人だった。ゼリー飲料の吸う速度に関して感想を持った生徒は緊張感が足りないと思う。ちなみにこちらも1人である。

 

(相澤消太……確かヒーロー名はイレイザーヘッド)

 

 相澤消太。またの名を抹消ヒーローイレイザーヘッド。個性は凝視している間、視た者の"個性"を抹消ーー使用不可能にする『抹消』。

 異形型には効果がなく、瞬きをする度に効果が切れてしまうという欠点があるものの、その個性はこの社会においては絶大なものであり、特に個性だよりの戦いをする発動型と変形型の個性持ちにとっては天敵だろう。

 

 そして何より終が未だ視ることができていない人物の1人である。

 

「早速だが、体操服着てグラウンドに出ろ」

 

 それだけ言い残すと相澤は去っていった。合理主義者な彼のことだ。グラウンドに向かったのだろう。

 

 そしてクラスには状況に追い付けず唖然と立ち尽くしている生徒だけが残った。

 

 

 

 

「……20、揃ったな。これから個性把握テストを行う」

 

「えっ!!入学式は!?ガイダンスは!?」

 

 丸顔の少女がクラスのほぼ全員の内心を代表して口に出したが、相澤は一切気に留めず続ける。

 

「そんな悠長な時間はない。それよりも爆豪、中学の時、ソフトボール投げ何mだった?」

 

「……67m」

 

 教室で飯田と口論をしていた不良ーー相澤に爆豪と呼ばれた生徒は簡潔に答えた。

 教師に向ける態度ではないだろうが気にせず相澤は爆豪にボールを投げ渡す。

 

「じゃあ個性を使ってやってみろ。円からでなきゃ何しても良い。早はよ。思いっきりな」

 

 その言葉に反応し、ストレッチ等を行い体を解した後爆豪は円の中に入り、「死ねぇ!!」という声と爆発音と共にボールを飛ばした。

 相澤が持つタブレットには705mという数字が表示される。これは爆豪が"個性を使って飛ばしたボールの距離"だ。

 

 その結果を見た生徒たちは各々好き勝手に感想を言い始め、「面白そう!」という声に相澤が鋭く反応した。

 

「…面白そう…か。ヒーローになる三年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?…よし、トータル成績最下位の者は見込み無しと判断し、除籍処分としよう」

 

 生徒たちの表情が険しくなるが気にせず続ける。

 

「生徒の如何は教師の自由。ようこそ、これが雄英高校ヒーロー科だ」

 

 髪を掻き上げ、ニヤリと笑いながら相澤は凄む。

 生徒たちは反論を行うが、それら全ては肯定はされなかったが、逆に否定すらもされなかった。興味がないのだろう。

 

「自然災害、大事故、身勝手な敵、いつどこからくるか分からない厄災、日本は理不尽にまみれている。そういう理不尽を覆していくのがヒーロー。PulsUltraさ。全力で乗り越えて来い。さあ、本番だ」

 

 生徒たちは除籍されないように自らを鼓舞する者も居れば、恐怖に打ち勝つ為に自らに暗示のようなことを呟く者も居れば、除籍しない自信があるのか特に気にせず立つものもいる。

 しかしそこには緊張があった。

 

 ここに個性把握テストが始まった。

 

 

 第一種目 50メートル走

 

 この個性把握テストは出席番号順に行わており、それは終とて例外だはなく、彼女の後ろの席に座る砂藤力道という少年が彼女のペアだ。

 緊張故か声をかけてくる事は無いものの、横から見るだけで何も知らない人から見れば今彼が行なっている行為は薬中が行うアレである。

 ……彼の名誉のために説明すると彼の個性は『シュガードープ』。糖分10g(角砂糖約3個分)の摂取につき、3分間だけ通常時の5倍の身体能力を発揮するというものだ。もちろんデメリットもあるが、そこの説明は省かせてもらう。

 そのため彼が今口に入れている白い粉は薬中の常備薬ではなく砂糖である。

 

(なかなか変わった個性で面白いですね)

 

 その隣にいる終は砂藤の個性に感想を抱きながらどうすれば自身が納得のいける結果を出せるスキルの組み合わせを考えていた。

 

 そして迷っても仕方が無いと判断し、走る際に有利なるであろうチカラを発動していく。

 

「『速度上昇×8』『俊敏×5』『足筋強化』『軽量化×2』『限界突破×3』『綺麗に走れる』『完全反射×4』『超反射』『整地』『体力増加×20』『逃げる際有利になる』『風の後押し』『旋風』『風の加護』『空気を押し出す』『バネ』『引力』『転びにくい』『演算×9』『予測×5』……って、もう言う必要性ないんでしたね」

 

 スキルを多重に組み合わせ走る準備は完全し、後はスタートの合図を待つだけである。

 

『ヨーイ……ドン!』

 

 そして合図はきた。

 終はチカラによって強化された体を使い全力で走り抜ける。

 隣のレーンで走っていた砂藤が無慈悲にもレーンの外へと飛ばされたが、終は気付くことは無かった。

 

 黒性終、記録0.17秒。砂藤力道、記録5.46秒(取り直し)。

 

「これになら自信があったのに!」

 

「風ヤバかったな」

 

「なんか黒性のやつが走ったレーン、なんか綺麗になってない?」

 

「走る前に言ってたアレってもしかして個性?それとも沢山の能力を持つ個性?どちらにしろ応用が聞く個性だ。それにもしーー」

 

 ちなみに砂藤は個性を使ってはいなかった。オンオフが出来るタイプなのだろうか。

 

 

 第二種目 握力

 

 終は個性把握テストは先程の50メートル走同様スキルを多重に使って決めた。

 

(なるほど。では私は純粋な腕力で対抗しましょう)

 

 終わりの目線の先では少し離れたところで胸の大きい少女が万力を創り出し握力を測っていた。

 故に終は純粋な腕力のみで測りたくなった。

 

 腕力を強化するのに適するスキルを重複させ腕を自らの半身より大きくし、その状態で測ると計測器がスポンジのように壊れてしまった。

 

 黒性終、記録測定不明。

 

「腕気持ち悪!」

 

「あの子ってさっきすごい速さで走ってた子だよね?どんな個性なんだろう?」

 

「まさか腕を肥大化させて握力計を壊すなんて……。いったあの腕にはどれほどの力が篭ってるだ?」

 

なおスキルを使っている時点で純粋な腕力のみで測っていないことには誰一人気づかなかった。

 

 

 第三種目 立ち幅跳び

 

「先生、個性で出した物が地面に触れたら、それは着地に入りますか?」

 

「いや入らん。あくまでも体が地面に触れたらだ」

 

「了解です」

 

 相澤の確認を取ると終はスタートライン手前から飛ぶ気配もなく歩き始め、スターライン直前で停止すると棒を服の中から取り出して地面にそれを押し付けながら移動していった。

 

「おい黒性、歩くな」

 

「先生歩いてませんよ。分かりにくいかもしれませんが3mmだけ浮いてます」

 

「……分からん」

 

黒性終、記録測定不能

 

「「「なんでわざわざ3mm?」」」

 

 

 第四種目 反復横跳び

 

 相澤の目の前には黒性が複数見えた。

 

「……黒性、なんだそれは」

 

「「「超高速に加速と停止を繰り返してます」」」

 

「じゃあなんで増えてる?」

 

「「「残像です。ちなみに回数はちゃんと数えてますよ」

 

「……そうか」

 

 黒性終、記録24696回

 

 もう彼女にコメントする者はいない。

 

 

 第五種目 ソフトボール投げ

 

 今回はどうやるか少々迷い、結果ワープさせる事にした。

 腕の辺りから()()()を出現させそこにボールを放り投げる。

 

「……黒性、ボールの反応が消失したんだが?」

 

「とりあえず太陽の中心までワープさせました」

 

「………」

 

 黒性終、記録∞

 

 その後に爆豪と緑髪の少年ーー緑谷出久との絡みがあったが、終からすれば『抹消』を視ることができて良かったので割愛する。

 

 

 第六種目 持久走

 

 もうここまで来ると語るまでもなく、転移をスタートとゴール間で幾度か繰り返し余裕の一位となった。

 ちなみに他の生徒は終がゴールした際には速い人だとやっと1周目の半分である。

 

 黒性終、記録10秒(一位)

 

 

 第七種目 長座前屈

 

 これに関しては腕を伸ばすスキルを使い一位を取った。

 

 黒性終、記録一位

 

 後ろのから訳がわからないよと聞こえてきたが、気のせいであろう。

 

 

 第八種目 上体起こし

 

 抑える相手は50メートル走のペアと同じらしく砂藤だ。

 終からすれば自分を増やして抑えることが出来る上、彼がいると周りの被害を、気にして行わないといけないため慎重にチカラを選び使用した。

 

 黒性終、記録72回

 

 今までで一番低いが、何故か周りは安心していた。

 おそらく彼女より上の回数を取れた者がいたからだろう。

 

 

 

「んじゃ、パパっと結果発表」

 

 1 黒性終

 2 八百万百

 3 轟焦凍

 4 爆豪勝己

 5 飯田天哉

 6 常闇踏陰

 7 障子目蔵

 8 尾白猿夫

 9 切島鋭児郎

 10 芦戸三奈

 11 麗日お茶子

 12 口田甲司

 13 砂藤力道

 14 蛙吹梅雨

 15 瀬呂範太

 16 上鳴電気

 17 耳郎響香

 18 葉隠透

 19 峰田実

 20 緑谷出久

         』

 

「ちなみに除籍はウソ、君らの最大限を引き出す合理的虚偽」

 

「「「「はぁぁぁぁーーー!?」」」」

 

 終を除くと爆豪や頭が紅白な少年、握力測定の際万力を創り出した少女を除き全員が反応していた。そりゃそうだ。

 

「これにて終わりだ、教室にカリキュラム等の書類あるから戻ったら目を通しとけ。ーー緑谷、保健室でリカバリーガールバアさんに治してもらえ。明日からもっと過酷な試験の目白押しだ、覚悟しとけよ。……それから黒性、お前には聞きたい話があるから着替え終わったら俺のところまで来い。以上だ。解散」

 

 

こうして波乱の個性把握テストは終了した。




個性とスキルの違いについてもUSJ辺りを予定
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