少女は短き時に何を視る   作:寿咄

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この話の前に「USJ序」を投稿しています。急は待って。

・・・戦闘シーン書くの難しい。


USJ破

 終が黒霧によってワープさせられた場所は地面がガラスでそれ以外では遠くを見ればさまざまな建物が見え、上を向けば空が見える場所。USJの天井だった。

 

(あそこに向かわされると思ってましたが、これを安心ととっていいのやら)

 

 実際彼女の心境は正しい。

 彼女は、彼女の父親にとっては組織の裏切り者である。

 それに彼女の個性は父の個性の対等以上だと父自身が評価しているからこそ希少価値があり、危険な存在でもあった。

 だからすぐに手元に戻すのかと思われたが、どうやら違ったようだ。

 

「にしてもあの個性でここまでの時間がかかるものですかね?」

 

「散らし損ねた生徒たちに少々対処していたのと死柄木に報告をしていたので遅れたんですよ」

 

 そう言いながら黒い霧から現れた黒霧は一瞬安心した後、警戒するようにその場に立ち止まった。

 

「遅過ぎて『眼虫』を飛ばしてしまいましたよ。……で、死柄木というのはあの手の男で構いませんか?」

 

「ええ死柄木は彼で間違いありませんよ。…それと『眼虫』については構いませんが、流石に早過ぎませんか?」

 

「私にはあまり分からない感覚ですが、人間は目の前のゴミ山の中に純金が混ざってると聞いたら飛び掛かると聞きます。それと同じです」

 

「……その例えはどうかと思いますが、言いたい事は分かりましたよ」

 

 終の左目からは血が流れ出し、そこには本来あるはずの眼球が無くなっていた。

 これは彼女のスキルの1つ、『眼虫』によるものだ。

 『眼虫』は文字通り()()()()()()()()操ることができる。ただそのまま眼が蝶やカマキリになるわけではなく、虫の羽や脚が眼球から生えてくるというものである。そして重要なのは『眼虫』の視界は終自身とリンクしていることである。その時の終の視界には残ってる眼の視界と全く別の場所を見ていることになるため、慣れていないと非常に気持ち悪いものとなっている。

 それ以外の欠点として使うときは手段はともかく眼球を取り出さないと使えないため、そのときに来る激痛くらいだろう。最も、そんな欠点と引き換えてでも終の個性とはとても相性がよく、スキルの中ではそこそこ重宝しているものではある。

 

「しかしながら本当に変わりましたね、()()()()()()

 

「先ほども言いましたが、その名前で呼ばないでくれますか?今の私の名前は黒性終です」

 

「おあいこです。あなただって私の名前を覚えないじゃないですか。……それにしても本当に変わりましたね。以前はほとんど喋りませんでしたし、感情なんかもあるかどうかなんて分かりませんでした。そして何より()()()()()が生まれていることも驚きです。あの方が聞いたらどう反応することでしょう」

 

「大方、どんな個性の影響を受けたんだい?、とでも言うんでしょう。しかし今の私からすればどうでもいいことです。そんなこと。……それよりも先程の反応を見る限り、私がここにいるという確信はなくても予想くらいはありましたよね?」

 

 そう問いかけると黒霧は気付いてないんですか?と答えた。

 

「雄英の、受験日の、受験会場に、ちょうど隕石が落下する。こんな偶然普通は起きません。起きたとしても相当な確率のはずです。であれば、こんな事が可能なのは我々が知る中であなたしかいない、という判断をあの方は下されたんですよ。実際に入学までしているとは思いもよりませんでしたけど……」

 

「私だって人らしい事はしたいですよ。けれど生き甲斐である個性を視ることもやめられません。ならばまだ私の知らない個性があるであろう雄英に入学して、人の体験をして未知の個性を視ようと思い入学したな過ぎませんよ」

 

(そんな理由で……。彼女のせいで受からなかった方に同情します)

 

 黒霧は自分らしくない事を考えているな、と思いもしたがあの方から命じられた『もしも彼女に会ったら聞いておいて欲しい事』を聞く事にした。

 

「……念のため確認します。イレギュラー、いえ黒性終。敵連合に入りませんか?」

 

 こういう役目はリーダーである死柄木の役目だと感じながらも答えが分かっている問いを投げる。

 

「……出入り口さん、いえ黒霧さん。あなたも分かった上で聞いてきているんですよね。ならば返答は、不要なはずです」

 

「やはりダメでしたか」

 

「当たり前です。でなければ私はすでに父さんの元に帰ってますから」

 

「……()()()ですか。確かにあなたはあの方の遺伝子を元に生み出されていますが、いくら()()()()()振舞ってもあなたが人間になる事はありませんよ」

 

「何を当然のことを。せいぜい私が慣れるのは人以下ですよ」

 

「理解しているようで何よりです」

 

 黒霧はちなみに、と続ける。

 

「……あの方よりもしこちら側に来ない場合に関して特に言われてません。しかしあなたという存在は死柄木にとって非常に良い駒になるはずです。ですので…やはり自発的に此方に戻ると宣言してはくれませんか?」

 

「何をふざけた事を。先ほど返答しましたでしょう…私はあなた方の、父さんの元へは帰りませんよ」

 

 その言葉を放ち終えたと同時に終は強い衝撃を受け後方に吹き飛ばされるがすぐさま立て直しガラスの上、いやガラスの()()()()()()

 

「なにが……」

 

「……そう返答することは予想できていましたし、理解していました。しかし、私個人としても、死柄木のお目付役としても、あの方の配下としてもあなたには帰ってきてもらいたい。……そう思うのは不自然なことでは無いはずです」

 

「……それは?」」

 

 黒霧の言葉を無視し問いかけた終の視線は彼の僅かに横を向いていた。

 そこに浮かんでいたのは細マッチョとも言える体系に白い体。目耳鼻が無く、剥き出しになった脳味噌が存在する頭部。そして何より目立つのはその頭部が()()も存在すること。一つはそのまま頭。一つは右肩に埋め込まれる形に。もう一つはその反対側の左肩に埋め込まれる形に。そして最後の一つは胸部に空けられた空間に心臓のように居座った唯一()()()()()()()もの。

 

「これですか?これは()()()()()()()()()()()()だそうです」

 

 「実に不気味ですよね」と黒霧は続ける。

 

「脳無……博士がそういう名のものを作っていると聞いてましたが、なるほどこんなに特別な()をプレゼントしてくれるとは中々粋なことをしてくれますね。そうは思いませんか?()()()

 

「兄さん?何を言っているのか分かりませんが、行きなさい脳無。アレを壊せ」

 

「AHaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!」

 

 黒霧の命令を受け脳無が奇声を上げ終に向かって宙を飛び突進してくる。

 しかし終はそれに動じることなくその場から一切動かなかった。

 その目を赤く光らせ、脳無を視界に収めーー用とした瞬間、

 

「マァァァァァァァァァァァ!!」

 

 左肩の顔が震えながら叫び、口から煙を噴出し始めた。

 

(ッ!?これはやられました)

 

 終がしようとしたのは『抹消』によって脳無の個性を一時的に消し、その間にトドメを刺すというものだったのだが、煙によって脳無を視界に収める事ができず『抹消』は不可能となり、同時に視界に収めて発動するスキルも全て封じられた。

 しかしそれでも終の手札はまだまだ存在する。

 

(……煙によって視界に収めて発動するタイプのスキルは全滅。であれば炎で、いやおそらく残りの頭部に邪魔されるでしょう。さっきのを見ると頭部一つにつき個性一つ。一つは今も飛んでいる事から空を飛ぶ事ができ、その事に関して自由の幅が広いタイプ……おそらく『飛行』あたりでしょう。もう一つは左肩の煙を出す個性。煙に触れてないので分かりませんが、ただの煙でしょう。しかし晴らしてもすぐに元通りでしょうからどうしようもありませんね。それにもしこの仮定通りならまだ個性は3つもある上仮定自体が正しいかどうかすら分からない)

 

「まっそれならそれでこうするだけですけど」

 

ーー『赤外線』『不定形を掴む』『突風』『抹消』『天に立つ』『弱点作成』『弱点看破』『弱点披露』『弱点補強』『腐接触』『速度調整』『狂気の瞳』『バーサーク』『自我制御』『皮剥』『肉剥』『爪半月(爪の白い部分)を強く押されたときの痛みを与える』『骨剣』『影斬』『骨斬』『附刃』『一人二役』『命中』『長編刀』『劣化症』『剣定』『剣重万化』『無剣無傷』『先手』『後手』『剣情』『剣銃』『剣垂』『生剣華』『身斬』『ツインスラッシュ』『原始力』『慈悲』『勤勉』『武器収納』『超回復×3』『速度上昇×8』『俊敏×5』『軽量化×2』『完全反射×4』『超反射』『引力』『演算×9』『予測×5』『オーバークロック』

 

 

 その瞬間起こった出来事を離れていたところで見ていた黒霧にも理解できなかった。

 時間にして1秒あるかどうかわからないほど。その間に脳無が放った煙は消え去り、脳無そのものは()()()()()()()で空中に倒れ伏していた。

 

「……相変わらず、そのやり方は変わらないんですね」

 

「いえいえ変わりましたよ。以前よりも効率的なスキル運用を目指して色々と変わりまして、例えば攻撃系のスキルの数を減らす代わりに一撃の威力が高いものだけを選んだりとかーー」

 

 対して変わってない。黒霧が終の話を聞いていて真っ先に思ったことだ。

 スキルの名前こそ出していないにしても相変わらず出鱈目である。

 彼の主である男も近いことはできなくは無いが、()()()この数は流石に不可能であり出来てこの半分だろうという確信がある。………なぜだかは知らないが。

 

「あくまでも仲間ではなく『道具』あるいは『兵器』としての運用を目安に作られていますが……見てて可愛そうになるのは何故でしょうか?」

 

「……それは私達の可愛いい弟であるからでは?」

 

「ですから私は貴方のような妹もアレのような弟もいませんよ・・・」

 

 あくまでも壊れたモノが喋る戯言である。

 彼らからの見た終は本来の役割から逸脱しているため、その認識はあながち間違いではないのである。

 しかし黒霧が脳無のことを可哀想に見えてしまうのは仕方がないことだ。

 

 そう思えてしまう原因は彼女が先程使用したスキル『慈悲』が原因である。

 このスキルの効果は、言ってしまえば発動中傷を与えずに相手を傷つけることを可能とすることができるスキルである。

 別の言い方をすれば()()()()()()()()()()()()()()、もしくは外面的な傷()()ないことができる。

 例で言えば殴ったら殴られた人は殴られた感覚もその傷もそこから生まれる不快感も感じないが殴られたという事実が残りダメージとして蓄積される。

 あるいはゲームのHPを相手に攻撃せずに直接減らしていく感じだろう。

 

 そんなスキルを使用した結果が先程の()()()()()()()の脳無である。

 

 しかし今回はそれを使用してしまったことが終のミスである。

 

「ーーーーー!」

 

 声には出しは出さなかったものの黒霧は視界の端に空中で立ち上がる脳無の姿を捉えた。正直言って予想外であり脳無を呼び出した際にはもう、やはりオールマイトにぶつけた方が良いのでは?、などと思っていたがそこは専用の脳無。ダメージだけを受けたくらいじゃ倒れない。

 脳無は黒霧の命令に忠実に従い終を壊そうとする。

 ある程度の知性は存在するのか、今の彼女の死角である左側に回り込んでいる。おそらくはそこから襲いかかり壊すつもりなのだろう。

 

 しかし彼女には他者の衣類の布ずれの音や周囲の空気の振動で相手の動きを感知し、周囲の状況を視認せずとも理解できるスキル『赤外線』を使っていた。

ーー『筋肉増強』『筋骨発条化』『瞬発力×4』『膂力増強×3』『増殖』『肥大化』『エアウォーク』『槍骨』『オーバークロック』『完全反射×4』『超反射』『ツインインパクト』

 なんと哀れ。反射的であったためかスキル数は少ないもののふと思いついたもので脳無は思いっきりUSJ上空へ吹き飛ばされた。

 

 ただ視ることができた終はなにを思ったのか吹き飛ばした脳無のもとへ向かいそのまま勢いよく下へ叩きつけ、脳無と終はUSJへと侵入していった。




今話におけるスキルラッシュに登場したスキルの一部はめだかボックスのスキルを参考に作らせていただきました。なお、めだかボックスだけではなく作者が知っている他作品の能力ほかもスキルとして入れてさせて頂いております。『狂気の瞳』とかは露骨だと思う。
・・・いつかは未定だけど体育祭と職場体験には一回ずつ入れたいけど辛い。ほんと安心院さんのスキル600連はすごいと思う。
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