厚い事件簿を薄くしたい   作:あきゅおす

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第10話

 帝王大学病院にて大規模な違反 医院長などを逮捕

 

 

 

 △月×日、帝王大学病院で様々な違反があったとして、医院長、経営陣、医療責任者や担当医など計十数名が逮捕された。

 調べによると、当初、帝王大学病院で悪性の小児がんと診断された女の子が別の病院で診察を受けた際に初期の小児がんと診断されたため、女の子の父親が起訴。その後、その診断が新薬のデータを取るためわざとねつ造されたものということが判明、その過程で病院ぐるみでの他の患者への診断のねつ造、無許可で新薬の投薬などが行われていたと判明し、今回の逮捕につながったという。

 調べに対し、容疑者は全員容疑を認めている。警視庁はさらに余罪があるものとして調査を進めている。

 

 

―――△月×日発行、○○新聞より

 

 

 

――――――

 

 

 ○月×日

 帝王大学病院とゴマスリ製薬について調べている。聖恋島の事件があるからだ。

 聖恋島での事件は伊豆丸さんの娘さんである麻里香ちゃんが初期の小児がんで治療の余地もあったのにも関わらず、新薬のデータのために悪性と判断されて投薬されたのが原因だった。なのでどうにかして別の病院に通ってもらえれば大丈夫だと思う。今回はそのための説得の材料もあるし。

 しかし病院ぐるみで新薬のデータのために捏造・新薬の投薬とか相変わらず悪い方の医者は倫理観死に過ぎじゃないですかね…。

 

 とりあえず帝王病院とゴマスリ製薬はすぐに見つけることが出来たけど、どうやって麻理香ちゃんの入院を阻止するかだよな…。ずっと病院前で張り込むわけにもいかないし、そもそもすでに起こっているかどうかも分からないし、うーん…。とりあえずゴマスリ製薬に張り込んで伊豆丸さんを見つけてアパートを割り出して、その道に近い公園を張り込むか。

 

 ○月□日

 転生したとはいえ一般人が尾行をうまくできるはずもなく、見失ったりとかして何度か失敗したけど、ようやく伊豆丸さんを尾行に成功してアパートを割り出し、麻理香ちゃんと出会うであろう公園に目星をつけた。幸い、近くの公園が少なかったうえに、描写されていた設備がある公園も1か所しかなかったから簡単に特定することが出来た。

 

 あと何度か伊豆丸さんを尾行していて気付いたけれど、スーツではあるけどちょっとよれていたりとか、泊まり込みの荷物を持っていたので、外見を気にしなかったり内勤が多い業種…まだ研究職であること、それに加えて表情が疲れている感じだったから、まだ麻理香ちゃんに会ってないんじゃ?と推測できた。

 

 確定ではないけれど希望を持つことが出来たので、目星をつけた公園で日曜日に張り込むことにした。…よくよく考えたら人の疲れた顔を見て希望を持つって文字にするとひどいな!

 

 

 ○月△日

 じっと張り込んでいるのも怪しまれると思ったので、公園内でウォーキングとか軽い運動をしながら張り込むことにした。フィジカルは大事。

 少し大きめの公園で、しかも日曜日のお昼ということもあってか、家族連れやカップル、運動している人など様々な人がいたから自分もすんなり溶け込むことができた。…反面、リア充オーラが漂う場所なので一人だと地味にダメージあるから、今度ジゼルさんと蘭も誘うか。ジゼルさんはインドア派だから渋るかもしれないけど、その時はしょうがない。

 

 

(数回分の張り込みの記述がされている)

 

 

 ×月〇日

 今日はジゼルさんの都合がつかなかったので蘭と2人で遊ん…張り込みしていたら、蘭が麻理香ちゃんと仲良くなりました。

 蘭がト…お花を摘みに行って帰ってきたら麻理香ちゃんを連れてきた。一人でボールで遊んでいたのを見かけ、なんか気になったから一緒に遊ぶことにしたんだとか。一緒についてきた麻理香ちゃんを見たとき変な声でるとこだった。この世界でなんか気になったってときの住人特有の察しの良さ凄すぎない?

 

 その際に母親の美月さんとも話すことが出来た。蘭との関係が親子や兄弟に見えないのもあったのか、最初は探り探りといった感じだったけど、事情を簡単に話すと納得してくれた。

 2人を見守りつつ色々話し、もしよければ今後も遊んでほしいと言われたので、こちらこそお願いしますと返した。

 

 追記

 蘭がなんか気になったっていうのを改めて聞くと、「なんというか、自分と似てる部分があると感じたんだよね。全然違うタイプなのに」ということらしい。あー、なるほど…。

 

 追記2

 ジゼルさんも含めて遊んだけれど、馬があったのかこちらもすんなり仲良くなっていた。ただジゼルさんはインドアかつゴスっぽい恰好なせいか途中で力尽きていた。野外で遊ぶからって伝えてたのに…。

 

 

(何度か麻理香と遊んだことが記されている)

 

 

 □月△日

 ちょいちょい麻理香ちゃんと遊ぶようになったけど、今日初めて面と向かって伊豆丸さんと会った。唐突だったからすごい驚いた。

 蘭がへろへろになっているジゼルさんにパスをしたとき、ジゼルさんが取り損なって、フォローに入った麻理香ちゃんがボールを追いかけた先に驚いている伊豆丸さんがいた。原作の流れ…かと思ったけど、自分たちがいたのもあってかそのまま遊ぶことなく麻理香ちゃんが帰ってきた。

 

 意図せず原作から離れているのを感じたのでどうするか頭をフル回転させていると、麻理香ちゃんが伊豆丸さんの方を気にしていたのもあって、トイレに行くフリをして美月さんに相談。離婚の話は聞いていたので、伊豆丸さんの反応で彼が元旦那さんと気付いた(ということにした)ので、麻理香ちゃんが遊びたさそうにしているのを提案、自分たちは予定があったということにして帰ることにして、元の流れに戻すことにした。

 

 予定があったというのを伝えると麻理香ちゃんは残念がってくれた。代わりにさっきからこちらを気にしている伊豆丸さんに声をかけて後をお願いした。伊豆丸さんは戸惑った後に感極まった顔で了承してくれた。

 

 帰り道に蘭から「あのおじさん、麻理香ちゃんのお父さんでしょ」と言われた。唐突に言われたから驚いたけど、どうやら自分たちの反応で目星がついたらしい。鋭い…って思ったけど原作を考えると元から賢いからそりゃ当然だわ。

 

 

(伊豆丸家との交流が記されている)

 

 

 ×月△日

 麻理香ちゃんから蘭にしばらく遊べないと連絡がきた。急いで美月さんに連絡すると、原作の通りの診断をされたらしく、入院するとのことだった。動揺する美月さんに待ったをかけて、伊豆丸さんを呼び出してもらい、自分もジゼルさんと蘭と合流してから3人に会いに行った。

 

 麻理香ちゃんと蘭には遊んでもらって、伊豆丸さんと一緒に改めて美月さんと話を聞くと、伊豆丸さんはそれはないはずだと否定してた。しかし完全に否定はできない…という膠着した状態になったで、自分の案、セカンドオピニオン*1を提案した。

 美月さんは首をかしげていたけど、医療関係者である伊豆丸さんはピンと来たらしく、受けよう!とすぐ賛同してくれた。美月さんにセカンドオピニオンについて2人で説明したあと、時雨ちゃんが入院している病院(名前は思い出せなかったので場所で説明すると伊豆丸さんが察してくれた)をお勧めすると、病院の評判は伊豆丸さんの耳にも届いていたらしく、そこで受けることになった。あの病院なら大丈夫だと思うし、帝王病院の誤診…というかねつ造にも何かしら手を打ってくれるだろう。

 

 

 ×月/日

 セカンドオピニオンを受けると聞いてから2、3日経ったある日、伊豆丸さんから連絡が来た。

 どうやらセカンドオピニオンで初期の小児がんと診察されてそちらで治療を受けることになった…のは良かったけれど、帝王大学病院の誤診が発覚して大事になってきたらしくドタバタしているらしい。伊豆丸さん自身は当分忙しいから、良かったら麻理香ちゃんの見舞いに来てくれないかと頼まれた。もちろん元から行くつもりだったので、蘭とジゼルさんと一緒に行く予定だ。

 ついでに麻理香ちゃんと時雨ちゃんを出会わせてもいいかもしれない。入院している者同士というのもあるけど、麻理香ちゃんの純粋さと時雨ちゃんの意外とある面倒見のよさは仲良くなれると思うし。

 

 ただなぁ…、ジゼルさんと時雨ちゃん、なんでか馬が合わないんだよなぁ…。

 

 

 △月×日

 テレビから帝王大学病院という単語が聞こえてきたので慌ててそちらを見ると、病院のお偉いさんや影尾が連行される様子や段ボールを運ぶ警察官の姿が流された。影尾の診断結果を捏造した上に新薬を使われたことのほかにも病院ぐるみの悪事が明るみに出たんだとか。病院ぐるみで捏造は知っていたけどその他もしていたとかマジでこの世界の医療関係…。いやいい人もいるってわかってるんだけどさぁ!

 

 △月〇日

 険さんから連絡があって、落ち着いたので改めてお礼を…ということで、入院している病院の近くのカフェで会うことになった。ちなみに伊豆丸さんが険さん呼びになったのは、美月さんとよりを戻して3人とも伊豆丸さんになったからだ。めでたい。

 

 カフェでは伊豆丸夫妻が待っていた。挨拶と夫妻からのお礼があったあと、改めて今回の話を聞いた。

 連絡で聞いたあとに関してはテレビで流れた通りだった。最初は麻理香ちゃんの誤診からだったけど、病院ぐるみでの捏造や無許可で新薬の投薬など色々黒い部分が分かったので最終的には集団訴訟にまで発展した、ということらしい。影尾だけじゃなくて病院自体もヤバいからどうにかできないかな…と思っていたけど、まさかそこまでなるとは…。いや、表に出れば大きなスキャンダルになるのは目に見えていたけど。

 ちなみにもろもろの手続きなどは勧めた病院などがしてくれたらしい。手を打ってくれるとは思っていたけどそこまでしてくれるとは…。

 

 その後見舞いにいったら蘭と麻理香ちゃんのほのぼのとした雰囲気と、ジゼルさんと時雨ちゃんのぱっとみ仲良く見えるけど話を聞くと隠しきれない殺伐とした雰囲気が混ざり合って空気的には異質でした。頼むから仲良くしてくれぇ…。

*1
※別の医療機関に意見を聞くこと。




 年末が近づくにつれ忙しくなってきたけれど初投稿です。

 この話を書く前はすでに元凶が起こっている事件に着手していましたが、頭がヒートエンドしかけたのでこちらの事件にスライドしました。途中までは出たあとにこうなるから駄目じゃねーか!の連続ですねぇ!

 ちなみに今回の決まり手であるセカンドオピニオンについては、以前から読んでいる某病理医の漫画を読んでいたのですっと出てきました。なので裏設定でいつもの病院に麺好きの性格悪い病理医もいることにしようかなと一瞬考えましたが、某ロボットがたくさん出るゲームみたいに大変なことになりそうなので新たに設定生やして見ないふりをします。本編に出ない設定だからセーフ。あと講談社縛りもしてるからギリセーフ。

 誤字修正してくださった方、ありがとうございます!
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