厚い事件簿を薄くしたい   作:あきゅおす

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第6話

 つい先日公開された映画『ゴールドラッシュ』。いろいろな意味で話題になってしまい、興味本位で見た人たちも多かったことだろう。筆者もその1人で、新人アイドルを主演と助演にしていたため侮っていた節があったが、その意見は手のひらを返さざるを得なかった。ネタバレはしない主義なので詳しいことは言えないが、主演である夕凪はるか、助演である速水玲香がお互いに高め合うように演技をしあい、その熱に魅せられてしまった。興味がある人、侮っている人はぜひ見て欲しい。

――――とある映画評論家のSNSより

 

 

2人は友達でライバルで互いに互いを高め合う存在であって気を置けない存在同士でもあってつまり何が言いたいかというとれいはる尊い

――――とある限界オタクファンのSNSより

…後日、上記の映画評論家の別アカと判明

――――――――

 

 

 

 

 

 ○月×日

 …原作の2年前である今、早急に手を打たないといけない事件の1つ…錬金術殺人事件の元凶の被害者である夕凪はるか…さん?ちゃん?のことである。これに関してはどうやればいいか全く見当がつかない。とっかかりすらつかめない状態だ。せめていつきさんと知り合いだったら…とないものねだりをしてもしょうがないか。

 

 ○月▽日

 他の事件の元凶のことと平行して夕凪さんのことを調べているけど新人タレントだからそこまで情報も出てこない。代わりに深森蛍についても調べたけどこちらは売り出し中のタレントであるため、ちょいちょい情報が出てきている。見た目は清純そうだからそっち方面で売れているそうだ。原作と時代背景が違うからそっち系の情報も出てないかなと思ったけどさすがに出てないか。あそこまで性格が悪かったらどっからか漏れてそうと思ったけど、猫かぶりがうまいのか隠蔽がうまいのか…。

 

 ○月△日

 ロケではるかちゃんを見た。よくあるグルメレポートの仕事っぽかったけど、丁寧に仕事をこなしつつ、周りのスタッフさんを気にかけていた。猫かぶりしててもあそこまではできないと思うから本当に素直でいいこなんだろうとファンになりつつあると、周りにいたギャラリーで見たことある顔を見つけた。帽子を被っているけど神丘さんと分かり、バレない様に神丘の近くに行って軽く話しかけることにした。

 

 当然のごとく最初は不審な目で見られたけど、初めて見るタレントさんだけど名前なんて言うのかわかりますー?とかそんな感じで投げかけると答えてくれた。途中から興が乗ったのか質問してないことでも話してくれたのもあって、ロケが終わって解散したあともファミレスで話してくれた。今度映画もあるからそれも見てくれと熱く語っていた。原作ではアイドルオタクを装ってたっぽいけど、素質自体はあったんじゃないかな…。

 

 あと、ファンになったんだし、推しメンをさん付けで呼ぶのは違うんじゃない?と神丘さんに言われたのでちゃんづけにすることにした。呼び捨てとかあだな呼びはお兄さんを前にする気にはなれないっす。あとやっぱりアイドルに造詣深くない?

 

 ○月〇日

 本格的に手がない。いつ起きるか分からない状態だから焦っちゃいけないんだけど余計に焦る。…とりあえず神丘さんとの連絡は続けている。明日一緒に飯に行くことになった。

 

 

 ○月↑日

 

 

 ○月↓日

 

 

………

 

 ○月/日

 久々に日記。神丘さんと知り合えたのが本当に直前だったらしく、アドリブで動かないといけなかった。今思えばよくやれたな…。

 

 ↑日に神丘さんと飯を食べてゆっくりしていると神丘さんがメールを見て固まっていた。大丈夫か聞いたら最初はなんでもないと言っていたけど、相談してくださいと伝えたらぼやかしながらだったけど話してくれた。内容は原作のメールの通りだった。困惑している神丘さんに対して今すぐ会いに行った方がいいと伝えると、神丘さんはずっと電話をかけつつ、はるかちゃんの所属する事務所へと向かった。

 

 事務所の受付に行くと当然締め出されそうになったけどたまたま通りかかった社長さんが事情を知っていたらしく、別室に通されて2,3時間待った後(その間に神丘さんが事情を話してくれた)、事情聴取を終えて戻ってきたはるかちゃんと神丘さんは会えることになった。自分は社長さんとその部屋を出て少し話をすることにした。

 

 社長さんもはるかちゃんの薬の件は信じていないらしく、やってない、嵌められたんだと訴えてるけど取り合ってもらえないと語気を荒げていた。現行犯で捕まったのが痛すぎるとも言っていた。

 

 その話を聞き終わったぐらいに部屋から2人が出てきた。兄に会えて少し落ち着いたはるかちゃんだったけど、それでもまだ顔が青いままだった。神丘さんはしばらく付いててもいいか聞くと、社長さんは快く応じてくれた。そのあと、会議があるということで自分も連れていかれた。最初はなんで!?と思ったけど、流れとは言え、話を聞いてしまった自分の処遇と、社員は冷静になれないから比較的冷静な外部の人から見た知恵を貸してほしいと言われた。…社長さん、いい人だけどガバガバ過ぎない?神丘さんと友人ということ以外は部外者っすよ?

 

 会議には社長さんと御影さんを含めた何人かの社員さんがいた。そこからは原作知識と社長さんがはるかちゃんや警察から聞いた情報を元にして反論を立てた。そういう子じゃない、というだけでは聞いてもらえないと思ったので、入手経路が判明していない、カバンの中に入っていたのは注射タイプなのになぜ口からとっていたのかなどの反論を組み上げた。そして自分からは噂として警察にこぼすだけでもいいので相手の社長――鬼沢だけでなく深森がやのつく方々とつながっている、と話してほしいと伝えた。いち高校生である自分の情報ってこともあってか信じてもらえるか怪しかったけど、もともと鬼沢の方にはそういう噂があったらしい。ただ、深森の方は一切なかったらしく、半信半疑という情報も併せて伝えることになった。そのときはそこがとっかかりになって深森まで捜査が行けばいいなと思っただけだけど。

 そういう方針になったからか、マネージャーの御影さんが重かった口を開き、鬼沢に脅されたことを伝えてくれた。このことも警察に伝えることも約束してくれた。

 

 そこからははるかちゃんは連日事情聴取を受け、社長さんは警察とのやり取りに骨を折り、神丘さんははるかちゃんのために事務所に泊まり詰めだった。自分はできることと言えば買い出しぐらいだったので、蓮花さんの買い出しと並行していた。…最近買い出しばっかしてるな。

 

 その最後のがうまくハマったのかは知らないけど、数日たって逮捕されたのが鬼沢と深森、ADの繭村だった。終わってから書いてるから安心しているけど、ここ何日かはろくに休めなかったので本当に疲れた…。

 

 

 追記

 原作じゃ描写がなかったこの社長さんがいたら原作みたいにならないんじゃ?と思っていたけど、今回のことははるかちゃんが死ぬのを防いで事件を長引かせたから鬼沢たちの周りまで捜査が及んだんじゃないかと後から思った。もしかして神丘さんとはるかちゃんを会わせるのが一番よかったのであってあとは御影さんの証言以外は蛇足だった可能性が…?いやだけどこの世界の警察はガバガバだし…まぁ防げたしいっか!

 

 

 ×月〇日

 はるかちゃんと玲香ちゃんの映画がクランクアップし、自分と神丘さんは映画のパーティとは別に行われた事務所内でのパーティに呼ばれた。今回の件で神丘さんとはるかちゃんの件は事務所内には伝わったらしく、出入りが比較的許されるようになった。神丘さんは分かるけど自分もいいの…?上機嫌な社長がかまへんかまへん言ってたからいいんだろうけどさ。

 

 んで、そのパーティの中で神丘さんを通してはるかちゃんを紹介され、3人で話をした。

 神丘さんからはほぼ初対面なのに巻き込んでしまったことに対する謝罪と会いに行くよう背を押してくれたお礼、はるかちゃんからは今回いろいろ手伝ってくれたことに対するお礼だった。いや、背を押したこと以外は役に立ってないんすよ…というと、2人から分かってますよといったような笑みを向けられた。いやほんとなんだけどなぁ…。

 あと途中からべろんべろんに酔っぱらった社長が合流し大騒ぎになった。はるかちゃん当人を除けば一番大変だったのが社長だろうから、本人の気の向くままに飲み散らかしいつのまにかソファに轟沈していた。お疲れ様でした。

 

 …はるかちゃんと御影さんも2人で話をしていたっぽいけど、その内容は当人たちだけが知っておけばいいだろう。

 

 

 

 

 

 

 ▽月×日

 はるかちゃんのプレミア試写会に呼ばれたので、神丘さんと見に行くことに。鬼沢たちのスキャンダルもあって話題になっていたけど、はるかちゃんと玲香ちゃんの演技に熱がこもっておりスキャンダル無しでも売れるんじゃないかと思う。原作では玲香ちゃんが主役だった深森を喰って主役交代をしていたが、自分が見た映画では交代していなかった。

 試写会のあとの俳優の登壇で、はるかちゃんと玲香ちゃんを含めた数人の俳優さん、あと監督さんとプロデューサーの園光寺さんも上がっていた。撮影時のエピソードを聞くと2人とも仲良くなったそうでなにより。玲香ちゃんの未来のことを考えるとはるかちゃんもトップアイドルになるんだろうn…トップアイドル…はるか…春香…気付かなかったことにしよう。

 

 

 

―――――――2年後のとある日

 

 

 ○月×日

 ぼくはいまれんきんとうにいます。だいじょうぶだよね?

 

 

 

 




これ介入できるの…?と何度も書き直しながらようやく出てきたので初投稿です。
今回も着地地点が難しかったのでガバがあるかもしれません。玲香ちゃんが知り合いだったら容易だったのですが、知り合いであるはずもないのでどう事件に首突っ込むかが問題でした。自分の頭ではこの介入が限界でした…。


今回は初めて前後編にしようかなと思っています。前編は元凶をなくす話で後編は2年後での恋琴島でのお話です。字面だけ見るとラブコメで出てきそうな名前っすね恋琴島…。
元凶はなくなりましたが番組がなくなるわけじゃない、と思ったので結局行くことになった感じです。
あともう一つ理由があり、こっちの割合が大きいのですが、貴重な怪盗紳士の登場回なので削るとなかなか出てこないんですよね…。彼女いる?と言われると思うので偏差打ちでいる(鋼鉄の意思)と書いておきます。彼女も事件簿…さらに言えば珍しい彼女自身は人の死が付随しない事件簿の一部なので。(なおその周りで殺人事件が起こる模様)

 …この事件に関しては予告状どころかなんの予兆もなく不意打ちで盗んだから怪盗紳士という単語に首を捻っちゃいますが。まぁ殺人事件が起こらなければ予告状を出していたとポジティブに行きます。
レギュラーの枠には深森に代わりはるかちゃんが入ることになっております。つまり妹が孤島に行ってるのが心配で付いて行ける機会を必死で掴み取ったお兄ちゃんがこの中に…?


誤字修正してくださった方、ありがとうございます!
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