東京ロストワールド   作:ヤガミ

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第13話

 ロスト江田「おうオウオう!!さっきマでノ威勢はドウしたよ!?」

 真衣「へん、こんなのかすり傷だっつの。」

 

 あれから5分くらいかかっているが、ロスト江田はビクともしていない。

 隙を見せたと思ったら触手で攻撃を弾かれたり、不意打ちを仕掛けたりと、なかなか強力な行動力を持っていた。

 

 ロスト江田「ジ獄に落トシてヤンぞオラァ!!!!!!!!!!」

 

 ロスト江田の爪が振りかぶる───。

 

 

 

ガキンッ!

 

 真衣「危ねぇな…。効かねえよ!」

 

 間一髪で真衣が大剣でガードした。

 一足遅かったら確実に斬り裂かれていただろう。

 

 千里(…しかし、素早いし強いな…。何かあいつを留める方法はないのか…?)

 

 私は戦いながら、それを考えた。

 何か…、あいつの隙が見えるものがあれば…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ???『千里!』

 

 千里「…!どうかしたの?」

 

 あの人の声だ。

 誰かもわからないあの声。

 

 ???『今の江田を見て、何か気付きませんか?』

 千里「…?どういう事?」

 ???『今はもう1人の覚醒者…真衣に目を向けています。という事は…。』

 千里「真衣に…?…!!」

 

 そうか。そういう事か。

 今の江田は真衣しか狙ってない。

 という事は、後ろは全くのガラ空きだ。

 

 ???『ようやく気付いたようですね。それでは、銃を使うのです。』

 千里「銃?いつの間に…?」

 ???『あなたが覚醒したと共に、懐に銃を与えたのです。』

 

 そういえば気付かなかった。

 近接と遠距離を使い分けろって事か。

 それなら簡単だ。

 

 

 

 ロスト江田「ハハはハハは!!!!おいおい、それデも北乃の娘かぁ!?雑魚すギて笑エテくるぜ!?」

 真衣「ああ、くそ!どうすりゃいいんだ!」

 

 

 

 ???『心を落ち着かせて、よく狙って、撃ち抜くのです。』

 千里「わかってる。」

 

 集中して、私は遠くから江田に銃を向ける。

 トリガーに指を添え、いつでも撃てる準備はしておく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 千里「……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ???『今です!!』

 

 

 

 

 

バァンッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グシュッ!

 

 ロスト江田「ぐっ!?」

 

 真衣「…!?」

 

 

 

 見事に命中した。

 弾は江田の背中に入り込み、血飛沫をあげる。

 

 真衣「千里か…?今、何したんだ?」

 千里「 遠距離攻撃だよ。後ろはガラ空きだったからね。」

 真衣「…なるほど。そういう事か。」

 

 真衣にもわかったようだ。

 江田は目の前の敵しか狙わない。

 だとすれば1人が囮になってもう1人が後ろから狙うという事だ。

 必ずしも成功するとは限らないが、この方法なら何とかなるだろう。

 

 真衣「おい、江田!こっちだ!」

 ロスト江田「…このメスガキ共ガ!俺の身体に傷を付けやがッて…!許さねエゾオラァッ!!!!!!!!!!!!!!!!」

 真衣(千里!アタシが囮になる!江田を隙を見て撃ってくれ!)

 

 作戦開始だ。

 真衣の目を見ればわかる。

 そう思い、私は銃を構える。

 

 

 

 ロスト江田「オラオラオラァッ!!!!!!!!!!」

 

ガキンッ!ガキンッ!

 

 真衣「喰らわねえよ、そんなもの!」

 千里(今だ!)

 

バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!

 

 私は真衣ばかり狙っている江田を何発も撃ち込む。

 これの繰り返すだけだ。

 

 

 

 ロスト江田

「ざっけンナよてめエらああああああああああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 真衣「!?江田が…!?」

 

 何やら様子がおかしい。

 

 いや、元からおかしいけど、さっきとは打って変わったように感じる。

 

 

 

 千里(…!体勢が変わったんだ!)

 

 そうとしか思いようがなかった。

 

 

 

 真衣「何だよこれ…!あいつ、四足歩行になったぞ!?」

 千里「…ここからが本番だね。」

 

 ロスト江田「サッキカラバンバンバンバンヤリヤガッテヨオ!!血祭リヲアゲテヤロウカ!?!?!?!?」

 真衣「できるもんならやってみろよ!どうせお前を消すだけだからな!」

 

 どうやら真衣も覚悟を決めたらしい。

 

 1人が囮になる作戦を繰り返すと思いきや───。

 

 

 

 ロスト江田

「オラアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 真衣「…!危な!?」

 

 今回はそうはいかなかった。

 囮になる所か、江田は手当り次第無造作に視覚を失った人のように暴れ出す。

 このままでは裏を取れない。

 銃で撃とうともするが、動きがさっきと比べると何倍も速くなっている。

 

 千里(くそ!どうすればいい…!?考えろ…!)

 

 一生懸命に戦える手段を考えるが、動きながらだとそれすらもできなくなってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 千里「…ん?」

 

 走り回る途中で何か見つけた。

 

 千里(あれは…大砲?いや、それにしては銃口が見当たらないな。

 弓矢…?クロスボウ…?いやでも、それより一回り大きいな。)

 

 かくなる上に私が出た答えは…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 千里「…!バリスタか!」

 

 そうだ。兵器のバリスタだ。

 昔、バリスタを使って戦う映画を見たのを思い出した。

 

 千里(…でも、使った所で隙はなさそう。くそ、せっかく兵器を見つけたのに…!)

 

 と、私が心の中で叫んでいると…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ???『千里、拘束を使いましょう。』

 千里「…え?」

 

 またあの人の声だ。

 拘束?…て事は…。

 

 ???『そのバリスタには、拘束弾が対応しています。さあ、早く!』

 千里「…!なるほどね。」

 

 よく見ると陰にロープが付いた大きなバリスタの弾が置いてある。

 あれで拘束すれば、暴れている江田の動きを止められる。

 しかしその代わり、外せば大損だ。

 

 ???『銃と同じように、よく狙って撃つのです。狙いの腕はあなたにかかっています。』

 千里「同じだね。やってみる。」

 

 よく狙って、撃つ。

 失敗は許されない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 千里「ここだ!」

 

バシュッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グシュッ!

 

 ロスト江田

「ウガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 真衣「…!?あれは…!?」

 千里「拘束したよ!」

 

 命中した。

 少しハラハラしたけど、何とか拘束に成功した。

 

 真衣「…!でかしたぞ!千里!」

 

 今のうちに畳み掛ける。

 煮るなり焼くなりの一心で。

 

 

 

 真衣「これで終わりだ。江田ああああああああああ!!!」

 

 

 

ズバッ!

 

 ロスト江田「ウグ…!!ガアアアアアアア!!!!!!!!!!」

 

 江田は叫び声をあげながら、ゆっくりと倒れていく。

 

 これで、終わったのか。

 

 

 

 ロスト江田「はぁ…ぐっ…。」

 

 やっとの事で、江田は元の姿に…人間の姿に戻った。

 

 

 

 真衣「…終わりだ。江田。」

 ロスト江田「くっ……。フッフッフッ……。」

 

 江田は静かな笑いをあげる。

 真衣はその江田に、剣の刃先を向けていた。

 

 

 

 ロスト江田「やっぱすげーよな……。子供の成長ってのはよ……。」

 真衣「……。」

 

 

 ロスト江田「前にな…、親父がこう言ってたんだ。“真衣は一人前に成長した”ってよ……。“剣道やって、心も体も強くなって、俺が変に言葉かける必要はなくなっちまった”って……。」

 真衣「…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~真衣視点~

 組長さんは、そんな事言ってたのか。

 

 アタシの知らない所で、そんな事を呟いて…。

 

 アタシの成長を、隠れて見てくれたんだな…。

 

 

 

 ロスト江田「いいよな……。お前は……。親父があんな事言ってたって事は…、それだけ愛されてたって事だろ…?」

 真衣「……。」

 ロスト江田「お袋がいなくなっちまって…、寂しい思いしてたお前ら…。そん時だっけか…?親父がお前らに駆け付けたのは……。」

 

 

 

 江田の言葉を聞く度に、涙が出そうになる。

 

 確かにそうだ。

 

 お袋が突然いなくなって、その時にアタシは組長さんと出会ったんだ。

 

 今でも鮮明に覚えてる。

 

 

 

 真衣「…もういいよ。思い出すだけで苦しくなる。」

 ロスト江田「…ハッ…、敗北者は黙れってか…?わーってるよ…、そんなの……。ほら……、消せよ…。お前らは俺に勝ったんだから……。」

 真衣「……。」

 

 言う通りに、アタシは大剣を上げる。

 

 こいつを消せば、善良に戻るのだろうか。

 

 いや…、そんな事はどうでもいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真衣「……じゃあな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドグシュッ!!

 

 

 

 

 

 鈍い音が、辺りに響き渡った。

 

 床には無惨に血がべったりと飛び散る。

 

 ようやく、江田は終わったんだ…。

 

 

 

 

 

~千里視点~

 やがて江田は消え、世界は静けさに覆われた。

 

 千里「…真衣、本当にこれで良かったの?」

 真衣「…いいさ。何も後悔はない。」

 

 真衣は、いつも通りの爽やかな笑みを作りながら、そう言った。

 しかしその笑みは、どこか悲しげだった。

 

 

 

ゴゴゴゴ…!

 

 真衣「…!?何だ!?」

 

 突然、床が揺れ出した。

 

 いや、これは世界全体が揺れてる…!?

 

 

 

 ???『千里!最初に入った場所へ急ぎなさい!』

 千里「…え!?」

 ???『覚えてますか?あなたは最初、ゴミ捨て場からこの世界に入ったでしょう?』

 千里「…!あそこか!」

 

 私が最初にロストワールドに迷い込んだ場所か。

 大丈夫。覚えてる。

 

 真衣「千里!どうするんだ!?」

 千里「行く道はあるよ!付いて来て!」

 

 私と真衣は、最初に入った場所へ走り出す。

 

 複数の瓦礫が落ちる中、全力で駆け抜けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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