千里、真衣、杏梨「はぁ…、はぁ…。」
ようやく、現実世界に戻れた。
千里「2人共、大丈夫…?」
真衣「何とか…な…。」
杏梨「はぁ…、はぁ…、今のは何…?」
千里「恐らくだけど、ロストを消せばロストワールドが崩れるって仕組みだと思うんだ。はっきりした答えはわかんないけど…。」
これは、江田の時もそうだった。
ロストを消せば、ロストワールドは崩れ、スマホのアイコンも消える。
こうなる事で、ロストの主が改心される…という事だが…。
真衣「…今日はもう帰って休まねえ?部活に支障出るかもしれないし、アタシももうヘトヘトだぜ…。」
千里「だよね…。真衣と杏梨ちゃんは大会近いし、今日は早めに休んだ方がいいかも。」
私がそう言うと、真っ先に帰宅した。
今回も成功…って事でいいのかな。
これで泉田が改心したのであれば、成功になると思うが…。
明日にでも様子を見るとしよう。
~翌日~
私達は、朝会のために体育館に来ていた。
大会が近いため、在校生の激励と選手の意気込みのために集まったため。
『───以上で、朝会を終わります。生徒の皆さんは、速やかに教室に戻りましょう。』
司会の人がそう告げると、生徒達は体育館へと出る。
───その時だった。
「あれって、泉田か?」
「1年の?急にどうしたんだ?」
杏梨「…え…?」
突然、ステージに1人の少女が立っていた。
泉田だ。
しかし彼女は、悲しげな表情をしていた。
真衣「…泉田?」
「泉田さん、何やってるの?早く教室に戻りなさい。」
泉田「……。」
千里「…!これって…。」
私は、すぐに察した。
今から行われるのは…。
泉田「…今日は、皆さんに伝えたい事があります。」
「え?何なに?」
「あの1年、何かしたのか?」
周りの生徒はガヤガヤと話し合っているが、私達は泉田の方に視線を向けるだけでいた。
恐らく、杏梨ちゃんもそうなのだろう。
泉田「先日、佐島先生がお亡くなりになった事、皆さんは覚えていますでしょうか。」
泉田「その佐島先生の件ですが…、あの人を死に追いやっていたのは…、私です。私が…、佐島先生を殺めてしまいました。」
そして、体育館の空気が凍り付いた。
私は、あれで泉田が改心したんだと発覚した。
泉田「何故私が佐島先生を殺めたのかと言うと…、先生への憎しみでした。私は、バレー部に所属していて、ずっと選手になろうと努力していたのですが、叶わず、苛立ちが続く日々を送っていました。今思えば、許されざる行為だと思っています。それと私はもう1つ、罪を犯していました。」
私は黙って、泉田の言葉を聞いていた。
泉田「…私は、北乃杏梨さんに酷い事をしてきました。才能がないからという理由で、北乃さんを傷付けて…、毎日彼女を苦しめさせていました。もちろん、才能がないというのは、撤回します。北乃さんは何も悪くないのに、私は彼女を平気で傷付けて…。本当に才能がないのは、私の方だと気付きました。その理由で、仲が良かった友達も離れていって…、気付けば孤独になって、私の心は歪んでいきました。」
杏梨「泉田…。」
泉田「…だから私は、この学校を辞めて、自首致します。聖麗学園高等学校の皆さん、散々迷惑かけて、本当に申し訳ありませんでした……。」
泉田は泣きながら、自分の罪を全て告白した。
杏梨ちゃんを憎むあまり、なりふり構わず迷惑をかけていた事。
それは、とても許されざる行為であった。
真衣「…これで良かったんだよな?千里…。」
千里「改心はさせた。これが正当な方法かはまだわかんないけど…。」
真衣「まあ…、そうだよな。アタシ達も戻るか…。」
私達は、教室に戻りに体育館を出た。
真衣「…ん?」
千里「どうしたの?真衣。」
真衣「あれ…、杏梨じゃないか?」
廊下を歩いている時、真衣は外を見ていた。
そこには、今パトカーに乗ろうとしている泉田と、それの前に何か言いたそうにしていた杏梨ちゃんがいた。
~杏梨視点~
警官「ほら、早く乗るんだ。」
泉田「…はい…。」
杏梨「待って!」
泉田「…!」
私は、泉田に何か言わなきゃいけないと思い、声をかけて止めた。
杏梨「泉田…。」
泉田「…もういいでしょ。今から私刑務所行くから、止めないで。あんたは笑っていればいいから。私の事バカにしてもいいからさ…。」
杏梨「…そんな事、私がすると思う?」
泉田「…え?」
杏梨「確かに、あなたは私に酷い事をしてきた。でもさ、あなたが捕まって、私は逆の立場になって笑うのは、私的にはしたくないかな。」
泉田は、紛うことなき悪人だ。
だけど悪人だろうが、終わってしまう人を笑う事なんてできない。
そうした所で、何も変わらないから。
泉田「……。…バカ。本当にバカ。」
杏梨「バカなりに生きてるもん。もっと言ってもいいんだよ?」
泉田「バカ、ドジ、マヌケ。」
杏梨「あはは、それは言いすぎだよ。」
警官「おい、話は済んだか。」
泉田「はい。」
杏梨「あ、泉田。最後に1ついい?」
泉田「…何?」
私はまた、泉田を呼び止めた。
杏梨「…出所したら、また会える?」
泉田「…は?頭おかしいでしょ。犯罪者と仲良くする気?」
杏梨「…なんとなく…かな。」
泉田「…いいけどさ。てかいつ出所するかは知らないよ?」
杏梨「それでもいい。待ってる。」
泉田「…本当にバカだね。あんたって。あんたらしいからいいけど。」
泉田はそう言い告げ、パトカーに乗り刑務所へ行った。
~千里視点~
昼休み、私達3人は中庭で昼食を食べていた。
真衣「杏梨、泉田と和解したって本当か?」
杏梨「うん。」
杏梨ちゃんがあの泉田と和解したらしい。
あれだけ痛め付けられていたのに、友達のような関係に作り上げた杏梨ちゃんも、肝が据わってると思った。
私なら絶対しないかな。怖いし…。
真衣「よくやるなぁ…。あの騒ぎ起こしてた泉田と…。」
杏梨「ねえ、千里ちゃん。」
千里「ん?」
突然私は、杏梨ちゃんに話しかけられる。
杏梨「いや、もう私の家には慣れたかなって。」
千里「まあ、慣れたっちゃ慣れたけど…、何で?」
杏梨「私のお願いなんだけど…。」
杏梨「“杏梨”って呼んでほしいな。」
えーと、それってつまり…。
ちゃん付けでなく、呼び捨てって事かな。
杏梨「…ダメかな?」
千里「ううん、ダメじゃないよ。そういう事ならわかった。」
私は咳払いし、呼ぶ準備を整える。
千里「杏梨。」
杏梨「…!」
呼び捨てに変えると、杏梨ちゃん…杏梨は驚いた。
真衣「杏梨?どした?」
杏梨「あ、ううん、お父さんとお母さん、お姉ちゃん以外の人に呼び捨てされるの慣れてなくて…。」
千里「…嫌ならちゃん付けする?」
杏梨「大丈夫!私が慣れればいいだけの話だから…!」
心無しか、杏梨の顔は赤くなっていた。
まあ、いいか。
杏梨の笑顔は戻ってきたらしいし。
真衣「よし!午後も頑張りますか!アタシと杏梨、大会控えてるしな!」
千里「頑張ってね。」
もう、何も失わない。
ずっと思ってきた事だ。
またロストは現れるかもしれないけど。
それはその時の話かな。
千里「……。」
『あんたは、私を止められない。』
『止める事なんてできない。どう足掻こうとも…。』
あの時現れたもう1人の私は、一体何だったのだろうか。
それを知るためにも、徹底的にロストワールドの事を知り尽くすしかない。
私とロストワールドとの戦いは、まだまだ続くのであった─────。
これにてEpisode3は終了です。
次回からEpisode4に入ります。
次はどんな物語になるのでしょうか?
また長引かせるかもしれませんが、あたたかく待っていただけると幸いです。
お楽しみに。
メインストーリーが終わったら番外編を書いてほしい?
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書いてほしい
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書かなくていい
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書いてもいいけど先に続編書いてほしい
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作者に任せる