東京ロストワールド   作:ヤガミ

29 / 59
北乃杏梨、解決

 千里、真衣、杏梨「はぁ…、はぁ…。」

 

 ようやく、現実世界に戻れた。

 

 千里「2人共、大丈夫…?」

 真衣「何とか…な…。」

 杏梨「はぁ…、はぁ…、今のは何…?」

 千里「恐らくだけど、ロストを消せばロストワールドが崩れるって仕組みだと思うんだ。はっきりした答えはわかんないけど…。」

 

 これは、江田の時もそうだった。

 ロストを消せば、ロストワールドは崩れ、スマホのアイコンも消える。

 こうなる事で、ロストの主が改心される…という事だが…。

 

 真衣「…今日はもう帰って休まねえ?部活に支障出るかもしれないし、アタシももうヘトヘトだぜ…。」

 千里「だよね…。真衣と杏梨ちゃんは大会近いし、今日は早めに休んだ方がいいかも。」

 

 私がそう言うと、真っ先に帰宅した。

 

 

 

 今回も成功…って事でいいのかな。

 

 これで泉田が改心したのであれば、成功になると思うが…。

 

 明日にでも様子を見るとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~翌日~

 私達は、朝会のために体育館に来ていた。

 大会が近いため、在校生の激励と選手の意気込みのために集まったため。

 

 

 

 『───以上で、朝会を終わります。生徒の皆さんは、速やかに教室に戻りましょう。』

 

 司会の人がそう告げると、生徒達は体育館へと出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ───その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あれって、泉田か?」

 

 「1年の?急にどうしたんだ?」

 

 

 

 

 

 杏梨「…え…?」

 

 

 

 

 

 突然、ステージに1人の少女が立っていた。

 

 泉田だ。

 

 しかし彼女は、悲しげな表情をしていた。

 

 

 

 

 

 真衣「…泉田?」

 

 

 

 「泉田さん、何やってるの?早く教室に戻りなさい。」

 

 泉田「……。」

 

 千里「…!これって…。」

 

 私は、すぐに察した。

 

 今から行われるのは…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 泉田「…今日は、皆さんに伝えたい事があります。」

 

 

 

 

 

 「え?何なに?」

 「あの1年、何かしたのか?」

 

 周りの生徒はガヤガヤと話し合っているが、私達は泉田の方に視線を向けるだけでいた。

 恐らく、杏梨ちゃんもそうなのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 泉田「先日、佐島先生がお亡くなりになった事、皆さんは覚えていますでしょうか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 泉田「その佐島先生の件ですが…、あの人を死に追いやっていたのは…、私です。私が…、佐島先生を殺めてしまいました。」

 

 そして、体育館の空気が凍り付いた。

 私は、あれで泉田が改心したんだと発覚した。

 

 泉田「何故私が佐島先生を殺めたのかと言うと…、先生への憎しみでした。私は、バレー部に所属していて、ずっと選手になろうと努力していたのですが、叶わず、苛立ちが続く日々を送っていました。今思えば、許されざる行為だと思っています。それと私はもう1つ、罪を犯していました。」

 

 私は黙って、泉田の言葉を聞いていた。

 

 泉田「…私は、北乃杏梨さんに酷い事をしてきました。才能がないからという理由で、北乃さんを傷付けて…、毎日彼女を苦しめさせていました。もちろん、才能がないというのは、撤回します。北乃さんは何も悪くないのに、私は彼女を平気で傷付けて…。本当に才能がないのは、私の方だと気付きました。その理由で、仲が良かった友達も離れていって…、気付けば孤独になって、私の心は歪んでいきました。」

 

 杏梨「泉田…。」

 

 泉田「…だから私は、この学校を辞めて、自首致します。聖麗学園高等学校の皆さん、散々迷惑かけて、本当に申し訳ありませんでした……。」

 

 泉田は泣きながら、自分の罪を全て告白した。

 

 杏梨ちゃんを憎むあまり、なりふり構わず迷惑をかけていた事。

 

 それは、とても許されざる行為であった。

 

 

 

 

 

 真衣「…これで良かったんだよな?千里…。」

 千里「改心はさせた。これが正当な方法かはまだわかんないけど…。」

 真衣「まあ…、そうだよな。アタシ達も戻るか…。」

 

 私達は、教室に戻りに体育館を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真衣「…ん?」

 千里「どうしたの?真衣。」

 真衣「あれ…、杏梨じゃないか?」

 

 廊下を歩いている時、真衣は外を見ていた。

 そこには、今パトカーに乗ろうとしている泉田と、それの前に何か言いたそうにしていた杏梨ちゃんがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~杏梨視点~

 警官「ほら、早く乗るんだ。」

 泉田「…はい…。」

 

 

 

 

 

 杏梨「待って!」

 泉田「…!」

 

 私は、泉田に何か言わなきゃいけないと思い、声をかけて止めた。

 

 杏梨「泉田…。」

 泉田「…もういいでしょ。今から私刑務所行くから、止めないで。あんたは笑っていればいいから。私の事バカにしてもいいからさ…。」

 

 

 

 

 

 杏梨「…そんな事、私がすると思う?」

 

 

 

 

 

 泉田「…え?」

 

 杏梨「確かに、あなたは私に酷い事をしてきた。でもさ、あなたが捕まって、私は逆の立場になって笑うのは、私的にはしたくないかな。」

 

 泉田は、紛うことなき悪人だ。

 だけど悪人だろうが、終わってしまう人を笑う事なんてできない。

 そうした所で、何も変わらないから。

 

 泉田「……。…バカ。本当にバカ。」

 杏梨「バカなりに生きてるもん。もっと言ってもいいんだよ?」

 泉田「バカ、ドジ、マヌケ。」

 杏梨「あはは、それは言いすぎだよ。」

 

 

 

 警官「おい、話は済んだか。」

 泉田「はい。」

 杏梨「あ、泉田。最後に1ついい?」

 泉田「…何?」

 

 私はまた、泉田を呼び止めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 杏梨「…出所したら、また会える?」

 

 

 

 

 

 泉田「…は?頭おかしいでしょ。犯罪者と仲良くする気?」

 杏梨「…なんとなく…かな。」

 泉田「…いいけどさ。てかいつ出所するかは知らないよ?」

 杏梨「それでもいい。待ってる。」

 泉田「…本当にバカだね。あんたって。あんたらしいからいいけど。」

 

 泉田はそう言い告げ、パトカーに乗り刑務所へ行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~千里視点~

 昼休み、私達3人は中庭で昼食を食べていた。

 

 真衣「杏梨、泉田と和解したって本当か?」

 杏梨「うん。」

 

 杏梨ちゃんがあの泉田と和解したらしい。

 あれだけ痛め付けられていたのに、友達のような関係に作り上げた杏梨ちゃんも、肝が据わってると思った。

 私なら絶対しないかな。怖いし…。

 

 真衣「よくやるなぁ…。あの騒ぎ起こしてた泉田と…。」

 

 

 

 

 

 杏梨「ねえ、千里ちゃん。」

 千里「ん?」

 

 突然私は、杏梨ちゃんに話しかけられる。

 

 杏梨「いや、もう私の家には慣れたかなって。」

 千里「まあ、慣れたっちゃ慣れたけど…、何で?」

 杏梨「私のお願いなんだけど…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 杏梨「“杏梨”って呼んでほしいな。」

 

 

 

 

 

 えーと、それってつまり…。

 ちゃん付けでなく、呼び捨てって事かな。

 

 杏梨「…ダメかな?」

 千里「ううん、ダメじゃないよ。そういう事ならわかった。」

 

 私は咳払いし、呼ぶ準備を整える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 千里「杏梨。」

 

 

 

 杏梨「…!」

 

 呼び捨てに変えると、杏梨ちゃん…杏梨は驚いた。

 

 真衣「杏梨?どした?」

 杏梨「あ、ううん、お父さんとお母さん、お姉ちゃん以外の人に呼び捨てされるの慣れてなくて…。」

 千里「…嫌ならちゃん付けする?」

 杏梨「大丈夫!私が慣れればいいだけの話だから…!」

 

 心無しか、杏梨の顔は赤くなっていた。

 

 まあ、いいか。

 

 杏梨の笑顔は戻ってきたらしいし。

 

 真衣「よし!午後も頑張りますか!アタシと杏梨、大会控えてるしな!」

 千里「頑張ってね。」

 

 もう、何も失わない。

 

 ずっと思ってきた事だ。

 

 またロストは現れるかもしれないけど。

 

 それはその時の話かな。

 

 

 

 

 

 千里「……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『あんたは、私を止められない。』

 

 『止める事なんてできない。どう足掻こうとも…。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの時現れたもう1人の私は、一体何だったのだろうか。

 

 それを知るためにも、徹底的にロストワールドの事を知り尽くすしかない。

 

 

 

 私とロストワールドとの戦いは、まだまだ続くのであった─────。

 

 

 

 

 




これにてEpisode3は終了です。
次回からEpisode4に入ります。
次はどんな物語になるのでしょうか?
また長引かせるかもしれませんが、あたたかく待っていただけると幸いです。
お楽しみに。

メインストーリーが終わったら番外編を書いてほしい?

  • 書いてほしい
  • 書かなくていい
  • 書いてもいいけど先に続編書いてほしい
  • 作者に任せる
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。