~千里視点~
とりあえず、部屋には入らせてもらった。
彼の体には、無数の傷や痣が残されていた。
警察に伝える為、証拠にする為に写真に残しておく。
もちろん、彼から許可はちゃんと取った。
千里「それで…、君はどうして監視対象にされてるの?」
まず、その理由が聞きたい。
この家庭で何が起きたのか、どのような経緯で彼は監視されていたのか。
全て聞いてみる。
柊太「お母さんがああなったのは…、僕が6歳の時…。」
千里(…となると、今この子は杏梨と同い年で16歳…。10年も前から続いてたのか。)
10年となると、相当長い。
そんな期間でも、一切外出は許されなかったのか。
柊太「…僕が誤って道路に飛び出して、車に轢かれそうになった時、お父さんが庇ってくれたの。だけど…、お父さんは結局事故に遭って死んじゃった。お母さんは狂ったように叫んで、僕に暴力を振るい始めたの…。」
千里「……。」
幼い時にそんな事が…。
そりゃあ、2人はショックだったよね…。
目の前で信頼していた人が突然亡くなる事が…。
私も母親を亡くした身だから、気持ちはわかる。
…でも、それが監視対象の始まりって事?
いくら教育っていう事でも、学校にも行かせず、しかもこんなに痩せ細ってまで監視し続けるなんて。
…流石にやりすぎだと思う。
千里「お母さんは、君を危険に遭わせたくないから、君を監視してるって事?」
柊太「…だと…、思う…。」
千里「そっか…。私が子持ちの母親なら、いくら何でもそこまではしたくないかな。君のお母さんは、暴力も振るってるんでしょ?その時点で、完璧な犯罪者だと思う。」
真衣『ああ、千里に同意見だ。』
千里「……。」
柊太「…え?」
突然、通話を開いたままにしていた真衣が喋りかけた。
杏梨『萩君、私達は今、千里ちゃんのスマホに通話を繋げてるの。皆に聞こえるようにスピーカーにしてたから。』
柊太「そう…なんだ…。」
真衣『辛かったよな…。君の母親は、父親が死んだのは君のせいって言ったんだろ?悪意はないのに、父親を殺した訳でもないのに、罪は君の方に行っちまう…。』
柊太「……。」
真衣がそう言うと、男の子は悲しそうな表情をしていた。
これ以上思い出したくないだろうけど、今すぐにでも聞きたい事を聞いてみよう。
千里「ねえ、今君が言った事、もう警察には話したの?」
柊太「…!っ……!」
千里「…?どうしたの?」
男の子は怯え始め、私に抱き着いた。
柊太「それが……。っ……!!」
杏梨『何?』
真衣『怯えてるのか…?なあ、正直に話してくれ。何があったのか聞きたいんだ。』
柊太「話した…けど…、でも……!!」
柊太「お母さんが…!!皆殺しちゃった…!!!」
千里「…!?」
真衣『は…!?』
杏梨『えぇ…!?』
男の子の口から、衝撃的な一言が出された。
千里「皆殺した…?どういう事…?」
柊太「っ…!うぅ…!!」
ダメだ、話してくれそうにない。
余程思い出したくない出来事が起きたのだろうか。
真衣『なあ千里、ひょっとしたらさ…。』
真衣が私に話しかけた。
千里「…?何?」
真衣『彼が警察を呼んだが、その子の母親…。やっぱり口止めする為に、そこに来た警察を殺したって事じゃないか…?』
千里「え……?」
真衣『邪魔する奴が現れたのなら、皆排除せざるを得ない。多分その子が言いたいのは、そういう事だと思う。アタシらがそこに来た時も、誰もいなかったろ?もしかしたら、そのアパートに住む人達は皆…。』
杏梨『何それ、酷い…。関係ない人まで殺したって事…?』
千里「…そうなの?」
柊太「っ……。」コク
彼は怯えながらも頷いた。
やはりあいつは、完璧に犯罪者だった…。
千里「…そういう事だったんだね。ありがとう、話を聞かせてくれて。」
真衣『で?この後どうする?』
千里「一通り情報は集まった。これからすぐ戻るよ。」
真衣『おう、じゃあ後でな。』
そう告げ、私は通話を切った。
千里「君のお母さんは、私達が何とかする。だからもう少し辛抱してて。」
柊太「……。」コク
私は、さっき入った部屋の窓から出ようとした。
その時だった─────。
ガチャッ
真由美「柊太?誰かいる…の……。」
千里「…!?」
真由美「…!あんたは…。」
まずい、見つかった!!
くそ、何でこんな時に…!
真由美「ああ、思い出した。先日スマホで撮ってた女よね?何しに来たのかしら?柊太に何しようとしてたのかしら?理由次第ではタダじゃ済まないわよ。」
千里「……。」
こうなったら…。
逃げるが勝ち!!
柊太「…!」
真由美「あ!ちょっと待ちなさいよ!!」
彼女の言葉を無視し、私は逃げ出した。
~柊太視点~
お母さんは僕の部屋から出て、家から飛び出して行った。
きっと、あのお姉ちゃんを始末する為に…。
柊太「助けに…行かないと…!」
もう、我慢の限界だ。
僕は監獄から抜け出し、外に出た。
柊太「はぁ…、はぁ…。」
それから僕はお姉ちゃんを助けに、一生懸命走る。
でも、毎日少食の繰り返しで、長くは続かなかった。
柊太「あっ…!」
ドタッ!
挙句には、足を躓かせ転んでしまった。
…ああ、また自分の体に傷を付けちゃったな。
体力の限界か、息遣いが荒くなる。
柊太(このまま、死んじゃうのかな…。誰の手も届かないまま…、僕は…。)
うつ伏せのまま、そんな事が頭の中でよぎる。
もう、いいよね。どうせ助からないんだし…。
ドォンッ!!
柊太「…っ!」ビクッ
諦めようとしたその時、大きな物音がした。
柊太「何これ…。」
見ると、目の前には大きな扉があった。
何だろ、これ…。
僕は立ち上がり、よろけながら、扉に触れた。
ビリッ!!
柊太「いっ…!」
指先に電気か何かが通った。
そして───。
柊太「え…?何これ…!?うわあああ!!!」
───その後は、何が起きたのかわからなかった。
────一体どこに連れて行かれるんだろう。
──────僕の意識は、ここで途切れてしまった。
メインストーリーが終わったら番外編を書いてほしい?
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書いてもいいけど先に続編書いてほしい
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