東京ロストワールド   作:ヤガミ

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第36話

~千里視点~

 千里(…どうする…?あいつに気付かれずに戻れるのか…?)

 

 あいつに追われてから、どれくらい経ったのだろうか。

 まさか、部屋を出ようとしたタイミングで来るとは思わなかった。

 とりあえず、2人には伝えた方がいいよね。今の状況…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~真衣視点~

 真衣「遅いな、千里…。」

 

 千里から戻ると言われたが、あれから結構時間が経ってる。

 

 

 

ピロンッ

 

 杏梨「…!お姉ちゃん、千里ちゃんからメールが。」

 真衣「ん?あいつから?どれどれ…。」

 

 アタシは杏梨にそう言われ、スマホの画面を見た。

 

 

 

 しかし、それには思いもよらない事が書いてあった───。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真衣「は…?」

 杏梨「お姉ちゃん?どうしたの…って!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『あいつに追われてる ちょっとヤバいかも』

 

 真衣「おいおいおいおい!あいつに追われてるって、見つかったって事か!?」

 杏梨「嘘でしょ!?バレた!?」

 

 千里があの女にバレたらしい。

 早く助けに行かねえと!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …ん?待てよ?

 

 

 

 

 

 真衣「なあ杏梨、千里が追われてるって事は、母親も今家にいないって事じゃね?」

 杏梨「え?確かにそうだけど…。」

 

 

 

 

 

 真衣「これさ、裏を返せば男の子を助けられるチャンスなんじゃ?」

 

 

 

 

 

 杏梨「あっ…!?」

 

 つまり、そういう事だ。

 千里には申し訳ないが、あいつが追われてる今が好機かもしれない。

 

 真衣「アタシ達、事が済んだらロストワールドに行く予定だったよな?」

 杏梨「そうだけど。」

 真衣「なら今すぐ行くしかねえよ。千里を迎えて、あの子を安全な場所に連れて、ロストワールドに行こうぜ。」

 

 となれば、早速行動開始だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真衣「ご勝手ながらお邪魔します!!」

 

 アタシらはあの子の家に向かった。

 

 真衣「あれ…?ガラ空きか…?」

 

 入ってみると、誰もいない。

 つまり、男の子もいないという事になる。

 

 杏梨「もしかして、萩君も出て行っちゃった…?」

 真衣「ちっ、こりゃ予想外だったな…。なら変更だ。千里を迎えに行くぞ!」

 

 即座に家を出て、千里の所に向かう事に。

 

 

 

 

 

 どうしてあの子がいないんだ?

 

 2人が出て行った時に抜け出したのだろうか?

 

 まさかだとは思うが、ロストワールドに…?

 

 でも通話越しだが、あの感じからして、彼はスマホを持っているような雰囲気はなさそうだ。

 

 ロストワールドに行っている可能性は低い。

 

 なら、彼はどこ行ったんだ?

 

 くそ、状況が追い付かねえ…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~柊太視点~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 柊太「───ん。」

 

 

 

 

 

 ───ここはどこだろう。

 

 

 

 ──だんだん意識が戻ってきた気がする。

 

 

 

 ─寝慣れたせいか、すぐに体を起こせた。

 

 

 

 

 

 柊太「ここは…?」

 

 辺りを見回してみると、赤なのか、黒なのか、よくわからない所に来ていた。

 もしかして、あの扉みたいなもののせいかな…。

 

 

 

 

 

 柊太「梯子…?」

 

 目の前には、ぽっかり空いた大きな穴と、その穴に続く梯子があった。

 進める所はここしかないのかな。

 そう考えながらも、僕は降りる事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 穴の中には、何だかよくわからない生物がうじゃうじゃいた。

 

 柊太「何これ…、ゲームの世界に来たみたい…。」

 

 その光景は、まるで薄暗いダンジョンみたいだった。

 子供の頃にやってたゲームみたいな。

 これって、本当に現実なの…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『─────柊太。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 柊太「…!」

 

 どこからか、声が聞こえた。

 

 低めの男の人の声。

 

 だけど、何故だか聞き覚えのある声だった。

 

 

 

 

 

 『───柊太。』

 

 

 

 ああ、やっと思い出した。

 

 この声は───。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 柊太「…お父…さん……?」

 

 そうだ、小さい頃に死んじゃったお父さんだ。

 

 僕を庇って、車に轢かれたお父さん。

 

 柊太の父『あそこに行くんだ、柊太。大丈夫。ここの怪物には、見つからないように隠してあげるから。』

 柊太「……。」

 

 上に見えるのは、僕が住んでるアパート。

 

 僕は、導かれるままに歩いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 柊太「…ここは…?」

 

 あれから僕は長い道のりを歩き、アパートに入った。

 そこは、おぞましい空間で包まれていた。

 

 

 

 柊太の父『ここは、歪んだ母さんの世界だ。』

 柊太「歪んだ…世界…?」

 柊太の父『そう。柊太、父さんがいなくなって、母さんが狂ってしまっただろう?ここは、母さんが狂い出して、歪みを得て、作られた世界なんだ。』

 

 よくわからない。

 わからないけど、ここはお母さんが見ているもう1つの世界なんだ。

 

 柊太「ねえお父さん。お父さんはどこにいるの?」

 

 だけど、今疑問に思っているのは、お父さんがどこにいるかだ。

 声だけ聞こえて、姿が見えない。

 

 

 

 

 

 柊太の父『父さんはね、柊太の中にいるんだよ。』

 

 

 

 

 

 柊太「…?どういう事?」

 柊太の父『父さんは、ここでしか話せない。つまり、魂だけが残って、柊太の中に入り込めたんだ。』

 柊太「……。」

 柊太の父『それにな、柊太。』

 柊太「何?」

 柊太の父『今から父さんは、これから起きる事を予言しておくよ。』

 

 僕は耳を澄まして、よく聞いてみる。

 

 

 

 

 

 柊太の父『柊太はこれから、3人の女の子と出会うんだ。“悪を打ち砕く鉄槌”、“闇を斬り裂く騎士”、“癒しを解き放つ女神”。それがこれから、柊太と出会う女の子達。少なくとも柊太は、もうその鉄槌と出会ってる筈だよ?』

 

 柊太「鉄槌…?」

 

 柊太の父『覚えているかい?柊太を助けに来てくれた、黒髪の女の子。彩神千里ちゃんだ。柊太が1番最初に出会った女の子だよ。その子が今言った、“悪を打ち砕く鉄槌”。彼女はそう呼ばれている。』

 柊太「……。」

 

 もしかすると、あのお姉ちゃんはここで戦っていたのかもしれない。

 僕の知らない所で、そんな世界が存在していたんだ。

 

 柊太の父『柊太、お前は小さい頃、何になりたいって言ってた?』

 柊太「…!」

 

 僕はお父さんに言われ、ふと記憶が蘇る。

 

 そうだ、僕は─────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 柊太「……勇者になりたい。」

 

 

 

 柊太の父『そうだ。良かったよ、忘れてなくて。』

 

 僕は、勇者になりたかったんだ。

 小さい頃にやってたゲームの主人公がかっこよくて、「自分もあんな風になってみたい」なんて考えていた事があった。

 

 柊太の父『急で申し訳ないが、今がその時だ。』

 柊太「…え?」

 柊太の父『柊太もそのような力を得て、彼女達と共に戦う。だから、もう1人で抱え込まないでくれ。』

 

 そっか、そうなんだ。

 

 僕、勇者になれるんだ。

 

 あの時、夢に見ていた、勇者に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 柊太「……うん。お父さん、僕、頑張る。僕はあのお姉ちゃんに助けられたんだ。だから今度は、僕がお姉ちゃんを助ける番。お姉ちゃんを助ける勇者になるんだ。」

 

 もう、あんな暮らしなんて散々だ。

 

 僕はやっと、あの監獄から抜け出せたような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「誰かいるの?」

 

 足音が聞こえ、誰かがやって来た。

 

 見た顔だ。

 

 悪者のお母さん。姿は違うけど、僕を散々痛め付けてたお母さん。

 

 ロスト真由美「誰かと思えば柊太じゃない。何でここにいるの?まさか、彼女らみたいにここを荒らしに来たんじゃないでしょうね?」

 

 もう、僕は弱くないんだ。

 

 もう逃げない。

 

 お父さん、僕、やるよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 柊太

「これ以上、僕や他人を痛め付けないで!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ついに柊太、動き出しました。
次回はどのような展開になっていくでしょうか。
お楽しみに。

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