東京ロストワールド   作:ヤガミ

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第39話

~翌日~

 私達はアパート前まで来ていた。

 今回で、あいつのロストを消す。

 あれから柊太君と色々話し、ロストを消す事に協力してくれるみたい。

 

 真衣「全員揃ったな。よし、扉出すぞ。」

 柊太「扉?」

 千里「昨日話したでしょ?ロストワールドに入るには、スマホの中にあるアイコンをタップしないといけないの。」

 真衣「誰か1人でも持ってたら、皆同時に入れるって訳だ。」

 柊太「そうなんだ。そういえばそんな話してたっけ…。」

 

 思えば、柊太君がここに入るのは2回目だね。

 何だかこれ、真衣や杏梨と同じような感じがするな。

 

 真衣「皆準備は良いな?じゃあ、扉を……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「やっと見つけたわ!!」

 

 

 

 

 

 千里、真衣、杏梨、柊太「……!!!」

 

 

 

 ロストワールドに入ろうとした瞬間、声が聞こえた。

 柊太君の母親だった。

 

 真衣「やば…!」

 真由美「勝手に息子を拐っておいて…!タダで済むと思ってんの?」

 千里「…人聞きの悪い事言いますね。私達はこの子を助ける為に連れ出したんですよ?」

 真由美「ふん、そんな事言っても通用しないわよ。」

 千里「…?」

 

 彼女がそう言い放つと、自分のスマホの画面を見せた。

 そこに書いてあったのは───。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『今日 ○○警察 5分前』

 

 彼女が警察に電話したと思われる通話履歴だった。

 

 真衣「はあ!?」

 真由美「言い訳するだろうと思って、通報しといて良かったわ。これで手間が省けそうね?」

 

 こいつ…!私達に冤罪を着せようと…!?

 

 真衣「ふざけんな!どう考えても加害者はてめえだろ!」

 真由美「ふざけてるのはそっちでしょう?大して証拠ないくせに、よく私を加害者なんて言い張れるわね?それに、あんた達高校生でしょ?将来への道が残ってるこの時期に、こんな事して恥ずかしくないの?」

 

 だめだ、もう我慢の限界だ。

 勝手に私達を犯罪者扱いして、もう許せない。

 何か言い出そうとしたその時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真衣「…いい加減にしろよ、毒親が。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真由美「……は?」

 

 真衣が前に出て、彼女に怒りを見せていた。

 

 真衣「…じゃあ聞くけどよ、あんたにとって柊太は何だ?アタシらからしたら、あんたは柊太を奴隷扱いしてるようにしか見えねえぞ。」

 真由美「奴隷?意味がわからないわ。そんな物騒な事……。」

 真衣「子供のやりたい事を見守ってやるのが親ってモンだろ。それを関係なしに虐待だ?笑わせんな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真衣

「見守りもできねえ奴が、子供なんて産むんじゃねえよ!!」

 

 

 

 

 

 真由美「っ…!」

 

 彼女に対して、今まで吐き出したかった想いを、真衣がぶつけていた。

 

 真衣「柊太を痛め付けて、傷や痣だらけなのは何だ?柊太が痩せ細っているのは何だ?被害者面しやがって、ならお前こそタダで済むと思うなよ?こっちには徹底的な証拠を手にしているんだからな。」

 

 真衣はそう言うと、私は彼女にスマホの画面を見せた。

 

 

 

 

 

 真由美『まだ殴り足りないわ。お母さんの怒りが収まるまで付き合ってもらうから。』

 

 

 

 真由美「…それが何だって言うの?それだけで証拠になると思う?」

 真衣「思うからやってんだろ?…杏梨。」

 杏梨「うん。」

 

 さらに、杏梨も前に出てスマホの画面を見せた。

 

 

 

 

 

 『何か?』

 真衣『あ、どうも。今お伺いしても宜しかったでしょうか?』

 真由美『何ですか?セールスならお断りです。』

 真衣『いえ、セールスではないんです。ちょっとお宅の事をお伺いしたくて。』

 真由美『結構です。帰ってください。』

 真衣『ちょっとだけお話するだけでもいいんです。どうかお願い申し上げ─────。』

 真由美『帰れ。』

 真衣『…え。』

 

ジャキンッ!!

 

 真衣『…!!』

 真由美『帰れっつってんだよ!!物分りの悪いゴミ虫が!!!』

 真衣『ゴミ…!?』

 真由美『さっさと回れ右しろ!!ぶっ殺されてえのか!?あぁ!?』

 真衣『ぐっ…!くそ…!…失礼しました~。』

 

 

 

 真衣『辛かったよな…。君の母親は、父親が死んだのは君のせいって言ったんだろ?悪意はないのに、父親を殺した訳でもないのに、罪は君の方に行っちまう…。』

 柊太『……。』

 千里『ねえ、今君が言った事、もう警察には話したの?』

 柊太『…!っ……!』

 千里『…?どうしたの?』

 柊太『それが……。っ……!!』

 杏梨『何?』

 真衣『怯えてるのか…?ねえ、正直に話してくれ。何があったのか聞きたいんだ。』

 柊太『話した…けど…、でも……!!お母さんが…!!皆殺しちゃった…!!!』

 

 

 

 真由美「……。」

 真衣「ここまで見せてもまだ口応えするか?」

 

 ついには母親は、返す言葉もなくなってしまった。

 

 真衣「こっちは徹底的な証拠を掴んでいるんだからな。警察が来たとしても、どちらにせよお前の負けだ。」

 

 真衣がそう言うと…。

 

 

 

 

 

 柊太「…お母さん。」

 

 

 

 真由美「…?」

 

 柊太が前に出た。

 

 

 

 柊太「僕はもう、この家には帰らない。」

 真由美「…!!」

 柊太「被害者面して、お姉ちゃん達に罪を負わせるなんて、そんなの僕は望んでない。僕がどれだけ苦しい思いをしたと思ってるの?お父さんが死んじゃってから、ずっとこんな思いしてるんだよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 柊太「だから僕は…、お母さんの所には戻らないよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真由美「……はぁ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真由美「……もう、いいわ。」

 

 

 

 

 

 真衣「…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャキンッ!!

 

 柊太「…!!」

 千里「は…!?」

 杏梨「え…!?」

 真衣「おい、マジかよ…!」

 

 

 

 彼女は懐から刃物を取り出した。

 

 真由美「あんた達が罪を認めないなら、私がここで殺す事にするわ。警察が来ても、“自殺した”って言えばいいもの。」

 真衣「てめえ…!!」

 

 くそ、それも策って事か…!

 

 真由美「まずは柊太、あんたからよ。お母さんをこんなにしたあんたのせいよ。大人しくしていれば、こんな事にならずに済んだのにね。お母さん残念だわ。」

 柊太「っ…!」

 

 今のあいつにとって、柊太君は“使い物にならない奴”。

 そうなれば、処理せざるを得ない。

 このままではまずい──────。

 

 

 

 

 

 真衣「ざっけんなよてめえ!!」

 

 私がそう思っていると、真衣が彼女を手を掴んだ。

 

 真由美「…!離せよ、このガキ!」

 

 真衣「お前ら!先行け!」

 千里「え…!?」

 真衣「先にロストワールドに行っててくれ!アタシは後から行くから!」

 杏梨「お姉ちゃん…!わかった!萩君、行くよ!」

 柊太「う、うん…!」

 

 私達は真衣を置いて、ロストワールドに入った。

 

 

 

 千里(真衣、無事でいて…!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 柊太「見た事ある場所…。」

 

 私達はあの時最初に入った所から、ロストワールドへ向かっていた。

 

 千里「いい?今回の目的は、柊太君の母親のロストを消す事。」

 杏梨「うん。」

 千里「柊太君も行ける?」

 柊太「うん、大丈夫。」

 

 全員準備完了って事だね。

 真衣はあいつを食い止めてる。

 真衣の事も心配だけど…、今は目の前の事に集中しよう。

 

 

 

 

 

 千里「柊太君も、ここから降りて行ったんだよね?」

 柊太「うん。確かそうだった。」

 

 柊太君は昨日ここに迷い込んで、覚醒した。

 良かった、ちゃんと覚えてたんだね。

 

 千里「じゃあ降りよっか。」

 柊太「わかった……あれ?」

 杏梨「どうしたの?」

 

 梯子を降りようとした時、柊太君は何かに気付いた。

 

 

 

 柊太「こんなのがあった。」

 千里「それ…、ロープ?」

 

 柊太君の懐にあったのは、かなり長く巻かれたロープだった。

 そういえばあの時…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 千里『ロープとかあれば良かったんだけど…。』

 杏梨『都合良く見つかるかって話なんだよね…。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …丁度良いで現れたな、このロープ。

 

 千里「そのロープ、下ろせるかな?」

 柊太「え?うん。」

 

 柊太はしゃがみ、ロープを下ろした。

 よく見るとこのロープ、先端に引っ掛け部分がある。

 それに、かなり丈夫みたいだ。

 

 そしてロープを伝って降り、私達はアパートへ向かうのだった。

 

 あんな奴は早く改心させるしかない。

 

 あのまま暴れられたら、無関係な人も危なくなる。

 

 行こうか。ロストを消しに───。

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