東京ロストワールド   作:ヤガミ

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第44話

~千里視点~

~10年前~

 賢一郎『…お前の病気、もう見飽きたんだよ。』

 

 洋子『何で…?何でそんな事言うの…?結婚する前にちゃんと話したじゃない…!』

 

 賢一郎『うるせえな。言葉の通りだよ。毎回毎回薬処方しに病院に付き合わされてるこっちの身にもなってみろよ。』

 

 洋子『あなた、他の人にもそう言っている訳!?病気を持っている人を何だと思ってるの!?』

 

 賢一郎『どうでもいいだろ、そんな事。俺の言葉が気に入らねえなら、どこか遠くへ行けばいいだけの話じゃねえか?』

 

 洋子『あなたがそんな人だったなんてね…!千里!行きましょ!こんな人に着いて行くだけ無駄よ!』

 

 賢一郎『勝手にやってろ。だが、後悔するのはお前の方だからな。』

 

 

 

 

 

 洋子『ごめんね、千里…。お母さんが病気を持ってなければ、こんな事にならなかったのに…。』

 

 千里(7)『…おかあさんはわるくないよ。それにね、わたしはおかあさんといっしょにいられるの、すっごくうれしいしたのしいんだ。』

 

 洋子『ふふ、そうなのね。ありがとう、千里…。』

 

 

 

 

 

~6年後~

 千里(13)『お母さん。具合どう?』

 

 洋子『大丈夫よ。お薬飲んだら、少しは良くなるから…。』

 

 千里『無理しないでね。何かあったら何でも言って。』

 

 洋子『ありがとう、千里…。』

 

 

 

 

 

~2年後 卒業式終了後~

 千里(15)「……ただいま。」

 

……。

 

 千里「……。」

 

 千里(…お母さんがいないんじゃ、卒業式もなんだか寂しいな…。)

 

プルルル…

 

 千里「…ん?」

 

 

 

【○○市立病院】

 

 

 

 千里「もしもし…?」

 

 『洋子さんの娘さんでよろしいですか…?』

 

 千里「そうですけど…。」

 

 『お母さんの容態が…、悪化してきて…!』

 

 千里「…!え…!?」

 

 

 

 

 

 千里『お母さん!!』

 

 洋子『千里……。』

 

 

 洋子『千里の卒業を…見届けられなくて…ごめんね……。』

 

 千里『お母さん…!駄目だよ…!生きて…!』

 

 

 

 洋子『千里…、生まれてきてくれて…ありがとう……。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 洋子『……愛してる───。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ピー……

 

 千里『……!!』

 

 

 

 そんな…、嫌だよ…。』

 

 

 

 何で…、私を置いて行っちゃうの…?そんなの…、嫌だよ…。

 

 

 

 嘘って言ってよ…。目を覚ましてよ…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『…お前の病気、もう見飽きたんだよ。』

 

 『病院に付き合わされてるこっちの身にもなってみろよ。』

 

 『どうでもいいだろ、そんな事。』

 

 やめてよ…。

 

 『後悔するのはお前の方だからな。』

 

 黙ってよ…!

 

 『育ちの悪いガキが。』

 

 

 

 

 

 黙れよ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 千里「はっ…!?」

 

 

 

 

 

 気付いたら、私は目を覚ました。

 今のは夢なのか…。

 あの頃の記憶が全て蘇った。

 

 柊太「……お姉ちゃん……?」

 

 私の隣で寝ていた柊太が目を覚ます。

 

 千里「あ…、ごめん、起こしちゃった…?」

 柊太「大丈夫……。」

 

 柊太は眠い目を擦りながら、私の顔をじっと見た。

 

 

 

 柊太「お姉ちゃん…、何で泣いてるの…?」

 

 

 

 千里「…え…?」

 

 柊太にそう言われ、私は目に手を当てた。

 本当だ、確かに温かく、濡れた感触がある。

 

 千里「あれ…?何で泣いてるんだろ、私…。」

 

 もしかすると、あの夢のせいなのか。

 私が今まで経験してきた事。

 母親の死、そして父親だった男への怒りで出てきたものなのか。

 それは私にもわからなかった。

 

 柊太「もしかして…、あいつの事…?」

 千里「…!」

 

 どうやら、柊太にはわかったらしい。

 

 柊太「お姉ちゃん、あいつに怒ってるんだよね…?あの時、お姉ちゃんが馬鹿にされてわかったんだ。きっと、お姉ちゃんは何かあったんだって。」

 千里「……。」

 

 柊太は、私と同じで苦しい思いをしてきたから、すぐにわかったのかもしれない。

 それは、真衣にも杏梨にも言える事だろう。

 

 千里「ごめんね、柊太。心配かけちゃって…。」

 柊太「僕は大丈夫だよ。僕が虐待されていた時、1番最初に助けてくれたのは、お姉ちゃんだから。だから、次は僕がお姉ちゃんを助ける番。僕はいつまでも、お姉ちゃんの味方だよ。」

 千里「柊太…。っ…!」

 

 柊太の言葉で、涙が溢れ出る。

 今まで虐待されていた柊太は、こんなにも良い子なんだ。

 そう思った私は、泣く事しかできなかった。

 

 

 

 

 

 あいつだけは絶対に許さない。

 

 もしあいつのロストが出たら、徹底的に消してやる。

 

 私は柊太を抱きながら、再び眠りについた───。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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