東京ロストワールド   作:ヤガミ

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※シリアスなシーンがあります。苦手な方はご注意ください。


第48話

~千里視点~

 私達は、あいつの手下に囲まれている。

 それも、逃げ道を塞がれているほど。

 

 真衣「くそ!なんて数だ!」

 

 倒しても倒しても、わんさか湧いてくる。

 あいつにとっては、高みの見物だろうな。

 

 ロスト賢一郎「フフフ…、哀れな娘よ。この大人数の中で苦しめ、そして絶望しな!」

 

 何やら呟いているが、そんなの気にしない。

 今は目の前の状況を打破しないと。

 

 皆真っ向勝負で戦うが、なかなか手下の数が減らない。

 一体どれだけの手下を率いっているのか。

 これだけ数がいるって事は、やはりこの街自体が奴の縄張りだろう。

 この街の善良を失った人々が、こいつの手下なのだろう。

 そう考えるだけでも、その人々を打ち破りたくなる。

 

 杏梨「ああもう!次から次へと!」

 

 殴る、斬る、放つ…。

 それをずっと繰り返していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 千里「はぁ…、はぁ…、はぁ…。」

 

 だいぶ数が減ってきただろうか。

 

 体力の限界が近くなってきた。

 

 

 

 

 

 いいや、そんなのどうだっていい。

 

 今はあいつを…。

 

 

 

 

 

 ロスト賢一郎「ふむ、ここまで戦えている事は褒めてやろう。」

 千里「……。」

 ロスト賢一郎「だが、足がふらついてんぞ?そんなんでこのまま俺と戦おうってか?」

 千里「うる…さい…!やるったらやるんだよ!!」

 

 私は無理矢理足を動かし、奴の元へと走り出した。

 

 真衣「千里!よせ!」

 

 真衣の声なんかにも届かず、必死に。

 

 だが─────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガシッ!

 

 

 

 

 

 千里「が……!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ロスト賢一郎「哀れな奴め…。言ったろ?所詮無駄だとな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~柊太視点~

 僕は、何を見ているのだろうか。

 

 視線の先にいるのは、千里お姉ちゃんとその父親。

 

 お姉ちゃんは、首を掴まれていた。

 

 助けなきゃ…。

 

 動かなきゃ…!

 

 

 

 

 

 柊太「お姉ちゃんを…離せ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガッ!

 

 柊太「ぐっ……!!がはっ……!!」

 

 お姉ちゃんを助けようとした。

 

 だが不用心な事に、お腹を強く蹴られてしまった。

 

 ロスト賢一郎「あー、低脳な奴で助かったわ。そこのガキは盾持ってたのに勿体ねえな?」

 

 お姉ちゃんを助ける、そんな事ばかり考えていた。

 

 僕は、何のために盾を持ってたんだ。

 

 ううん、仮に盾を持ってたとしても、その盾は軽く剥がされるだろう。

 

 どちらにしろ、今の体力と状況で防御ができる訳が無い。

 

 ロスト賢一郎「つー訳で、皆纏めて吹っ飛びな!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブォンッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 奴は、千里お姉ちゃんを球の如く投げた。

 

 

 

 

 

ドゴォッ!!

 

 真衣「ぐわあああああああああ!!!」

 杏梨「きゃあああああああああ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 千里お姉ちゃんが投げ飛ばされた衝撃で、僕ら全員が吹っ飛ばされてしまった。

 

 それも、すごく遠い所まで。

 

 僕らは、どうする事もできなかった───。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ロスト賢一郎「いつでも出直して来な。そん時は粉々に打ち砕いてやるからよ……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~千里視点~

 私は…、敗れてしまった。

 

 あの男の姿を見て、冷静ではいられなくなった。

 

 あの時恨みに恨んで、歯向かわなければこうはならなかっただろう。

 

 だけど、今の私はそんな事はどうでも良かった。

 

 真衣「いっつ…!」

 

 あいつによって、私達は現実世界へ戻されてしまった。

 

 私が吹っ飛ばされた衝撃で、皆がロストワールドへの扉まで飛ばされた。

 

 なんて力なの、あいつは…。

 

 杏梨「千里ちゃん…。」

 

 千里「……。」

 

 真衣「…今日はここで退くとしよう…。今のままじゃどうしようもできない…。」

 

 千里「……。」

 

 どうしようもできない…?

 

 どうにかするんじゃないの…?

 

 私は立ち上がった。

 

 柊太「お姉ちゃん…?」

 

 真衣「おい千里…、聞いてんのか…?」

 

 もう、誰の言葉も聞きたくない。

 

 私はスマホを取り出し、ロストワールドへ行こうとしていた。

 

 千里「……。」

 

 真衣「おい、千里!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 千里

 「黙って!!!!!」

 

 

 

 

 

 真衣、杏梨、柊太「……!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~真衣視点~

 千里は無茶な事に、またロストワールドへ行こうとしていた。

 

 これ以上奴に向かってもダメだというのに…。

 

 それだってのに…。

 

 千里

 「黙って!!!!!」

 

 

 

 

 

 千里「私がやるって決めたからやってるの!!あいつを倒したい気持ちでいっぱいな時に邪魔しないで!!!」

 

 千里の言葉で、何かがぶっ壊れた。

 

 もうアタシも、我慢の限界が来てしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バシッ!

 

 千里「…!!」

 

 アタシは千里の顔を引っ叩いた。

 

 真衣「……ふざけんなよ。」

 

 千里「……は…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真衣

 「ふざけんなっつってんだよ!!!」

 

 ついにアタシは、怒りが爆発した。

 

 千里がこうなったのだから───。

 

 真衣「…あいつを倒したい?邪魔?いい加減な事抜かしてんじゃねえぞ。」

 

 千里「いい加減な事じゃない!私を突き放して、自分に非が無い奴なんて見過ごせる訳無いでしょ!?」

 

 真衣「その事を言ってんだよ。あの時お前が酷く立ち向かってたら、恨みを晴らす所か死んでたかもしれないんだぞ?ちょっとは冷静になれよ。何のために杏梨や柊太みたいな仲間がいると思ってんだ。」

 

 千里「こんな時に冷静になれる訳無い!!あんな奴なんか…!私が倒さなきゃならない!!」

 

 こいつ、ここまで…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真衣

 「じゃあてめえだけで行ってろ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 千里「っ…!」

 

 真衣

 「こっちはてめえのために言ってやってんのに何様のつもりだ!!あの時周りが見えなくなったアタシを支えてた千里はどこ行った!?何故無駄な事をしようとする!!何故無駄だとわかってるのに歯向かおうとすんだよ!!」

 

 杏梨「お姉ちゃん!喧嘩はやめて!」

 

 アタシは千里の親父よりも、冷静でいられなくなった千里に腹立っていた。

 

 千里「……杏梨がいなきゃ落ち着いていられないんだね。」

 

 真衣「んだと?」

 

 千里「私の過去も大して詳しく知らないくせに、よくそんなに口が叩けるよね…!」

 

 真衣「っ…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガッ!!

 

 千里「つっ…!」

 

 杏梨「お姉ちゃん!」

 

 挙句の果てには、アタシは千里を蹴飛ばした。

 

 こうなってしまった以上、抑える事などできっこなかった。

 

 真衣「アタシは…、信じてたのに…。」

 

 千里「…!」

 

 真衣「お前がそんな奴だとは思わなかったよ…!」

 

 アタシは千里を見捨て、ズカズカと家に帰るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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