~午後6時~
真衣「ほらよっと、出来上がりだ。」
外はだいぶ暗くなってきた。
私は昼間の事を考えていた。
あの男の狂いようからして、もう流石にロストに立ち向かわないと、この街全体が危なくなる。
あいつのロストワールドは、ここ全体なのだから。
柊太「お姉ちゃん?ご飯だよー。」
千里「ん?あ、うん。今行く。」
とりあえず、皆にも話しておいた方が良さそうだな。
杏梨「そういえば千里ちゃん、襲撃の時1人でお父さんの所に行ったんでしょ?大丈夫だった?」
杏梨が言っているのは、私が屋上に行った時の事だな。
まあでも、あの状況であんな所に行くのは、相当勇気がいる。
千里「大丈夫だよ。銃は多分、私を誘き寄せるためだけに使ってたと思う。」
真衣「マジで肝座ってるよな、千里って…。まるでアタシらの親父みたいだ。」
そっか、真衣と杏梨の父親はヤクザだったもんね。
そうなら相手が銃を持っていようが、戦うしかないからね。
千里「私は2人の親ほどじゃないよ。正直怖かった。あれが誘き寄せるだけじゃなく、プラスアルファで私の始末も有り得たからね…。」
考えただけでもえげつない。
あいつの脳みそを見てみたいもんだよ。
真衣「それにあの事件が来た時、学校中すごい騒がれてたもんな。有り得ねえよ。銃使うなんてよ。」
あいつのせいで、しばらく学校が休校となった。
とんだはた迷惑で、無駄な休みを与えられた。
千里「…考えたんだけどさ、もういっその事ロストワールドで蹴散らした方が良いと思うの。」
真衣「…本気か?」
千里「でないとこちら側が危なくなる。下手したら私が人形のままにされるか、付け狙われるかのどっちかだよ。」
あいつの考えている事は大体わかる。
でも、そんな手には乗る訳にはいかない。
なのであれば、ロストワールドであいつのロストを消すに限る。
それともう1つ。
千里「…それに、もう1人の私の謎も突き止めたいから。」
柊太「あ…。」
そう、あの時の真っ黒な私だ。
もしかすると、あいつも今回の事件の鍵を握っているのかもしれない。
同時に2人の敵に立ち向かう感じだ。
真衣「柊太から聞いた。もう1人の千里が出たって。」
千里「そう。未だに解明されてないままなんだ。せめてこの休校期間中にとっちめたいと思ってね。もう1人の私はどこで見つかるか、見当つかないけど…。」
私の話を聞いて、皆真剣な表情をしていた。
千里「皆、手を貸してくれる?」
真衣「やるっきゃねえだろ。立ち止まってられるか。」
杏梨「あんな奴の好きになんかさせない!」
柊太「僕達で、取り戻すんだ。」
千里「…ありがとう。」
そうと決まれば、明日行動開始だ。
私は今、夢を見ているのだろうか。
目を覚ますと、そこは真っ暗闇の空間だった。
???『千里─────。』
千里「…!」
声が聞こえる。
ロストワールドで聞き慣れた女性の声。
それにしても、久しぶりに聞いたな。
でも、そんな呑気な事を考えている場合では無かった。
???『千里、急い───さい。───れば────…。』
千里「…?何…?聞こえない…。」
???『も──人の──が、シ─────サトが、あなたに…。』
千里「どうしたの?聞き取れないよ。」
何やら様子がおかしかった。
まるで通信の悪いトランシーバーのように、途切れ途切れになっていた。
???『どうか──でいて、千里─────。』
千里「…!ねえ、どうしたの?しっかりして!」
挙句の果てには、何も聞こえなくなってしまった。
すると─────。
「久しぶりだね。“人形ちゃん”。」
千里「…!」
今度はあの女性ではない、私に似た声だった。
まさか…!!
千里「もしかして、黒い私…!?」
目の前に姿が現れた。
案の定、真っ黒な私だった。
千里…?「せいかーい♪しばらく見ない間にすぐ勘付くようになったね~!」
千里「あなたは何なの…?何で私の前に現れるの?」
千里…?「あんたがどのように絶望に足掻いているか見に来ただけ。それにさ、あんたは自分の父親のロストを消そうとしているんだってね?」
千里「…あいつのせいで休校になったからね。他の生徒まで巻き込んでまで…。」
そう、過去の件だけでなく、今の休校の件もあいつと関わっている。
そうなれば、こちらとしては黙っていられない。
それと───。
千里「…あなたは何者?どうして私に似た姿をしているの?」
これが私が気になっていた事だ。
そもそも何故私の姿なのか。何故その姿で生まれたのか。
千里…?「そうだねぇ…。あんたが“彩神千里”ならば私は…。」
「“シャドウ・チサト”、とでも名乗ろうかな。」
千里「シャドウ…チサト…?」
となれば、この私は…。
“影の彩神千里”……って事か…。
シャドウ・チサト「あんた父親を消した後、私も消そうとしているんだって?ま、私を消せばロストワールドも消えて一石二鳥だけど、そう簡単にできるのかなぁ~。」
そうか、やはりこいつが…。
…ロストワールドを作り出した張本人って事か。
千里「できるかどうかじゃない、やるんだよ。でなかったら私はここまで這い上がって来ていない。」
シャドウ・チサト「望む所♪じゃ、父親のロストを消した時にまた会おうね~。」
やる事は決まった。
まず父親のロストを消す。
そして、シャドウ・チサトも消す。
それでロストワールドは終わるんだ。
やるからには本気で。
───もうすぐ目が覚める。
目を覚ましたら早速作戦開始だ。
私の意識は遠のいていった───。
千里「ん……。」
目を覚ました。
時計を見ると、7時を指している。
隣には、柊太が抱き着いて寝ていた。
千里(……起きれないんだけど…。)
ガチャッ…
真衣「ふわあぁ~…。」
リビングに入ってきたのは真衣だった。
それに、寝癖ボーボーのままだ。
真衣「あ、千里。起きてたのか。」
千里「うん。体起こせないけどね…。」
真衣「まあ、知ってた。お前が柊太と寝ると大抵そうなるよな。」
真衣はそう言いながら、台所へ向かっていった。
恐らく、コーヒーを飲んでから朝食を作るのだろう。
…今日はロストを消す日だ。
このような状況でロストを消すのは、この休校期間の中でしか無い。
放っておいたら、街が危ない。
今日で終わらせるんだ。
父親も、影の私も、そしてロストワールドも…。
~午後1時~
千里「…皆、やり残した事とか無い?」
真衣「ああ。いつでも良いぜ!」
私達は今、ロストワールドの出入口前まで来ている。
ここでロストワールドに入った。
千里「それじゃあ、扉を出すよ。一応言っとくけど、ロストワールドに入ったら後戻りはできないと思ってて。今日でこのロストワールドも終わらせるのだから。」
柊太「影の千里お姉ちゃんだよね?わかってる~。」
杏梨「私も大丈夫だよ!早くこの事件も終わらせたいもん!」
真衣「…だそうだ、千里。」
皆、覚悟ができたね。
私はスマホを構え、ロストワールドを出す───。
ドォンッ!!
……。
真衣「…?千里?」
千里(───これで最後なんだ。)
ロストワールドに入る前に、胸に刻んでおこう。
ロストワールドが消えたら、この扉も消えるのだから。
千里「…皆、ありがとね。」
真衣「え?」
千里「私1人だったら、ここまで這い上がれなかったかも。皆がいたから、ロストワールドそのものを消す事ができる。だから、ありがとう。」
真衣「何だよ、別れる訳じゃあるまいし。でもまあ…、アタシらもここまで来れたのも、千里、お前のお陰でもある。お前がいたから、1人1人の悩みや苦しみを解けたんだ。だから…アタシらからもありがとな。」
杏梨「千里ちゃんは正義のヒーローだよ。ヒーローがいてからこそ、私達も強くなれる。そう思えたんだ。」
柊太「僕は、千里お姉ちゃんがいなかったら、僕の人生は壊れてた。お姉ちゃんは…いや、真衣ちゃんも、杏梨ちゃんも。僕の恩人だよ。ありがとう。」
本当に、真衣や杏梨、柊太は良い子だよ。
1人1人個性は違えど、持つべき正義は同じだ。
千里「行こう。私達で終わらせるんだ。」
真衣「おうよ!」
杏梨「了解!」
柊太「作戦開始~。」
私はロストワールドへの扉に手を触れ、侵入したのだった─────。
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