ロストワールドに侵入成功。
いつも通りの赤黒い景色だ。
今日でこの世界を見るのも最後だ。
ロスト賢一郎『千里ぉ!聞こえるか!』
突然、奴の声が聞こえた。
上の方だ。
ロスト賢一郎「こっからお前が入ってきたのが見えたぜ!俺を始末するんだってな!?もう1人のお前から聞いたぞ!言ったろ、無駄な事はやめとけ!」
無駄な事…。
その言葉、そっくりそのままひっくり返す。
私の行動は、全て無駄では無い事を。
真衣「…ずっとあそこで待ってたって訳か。」
千里「そうみたい。行くよ!」
場所は学校の屋上だ。
あのコンビニは学校の近くだからすぐにわかる。
私達はそこに向かう事にした。
屋上で待ち構えている。
なんか、泉田を思い出すな。
あいつは街全体というより、学校を縄張りにしていたからね。
~校庭~
千里「…ここまで来たね。」
真衣「…ああ。」
ようやく来た。
こいつのロストを消す時が。
ロスト賢一郎「よっと!」
屋上から奴が降りてきた。
ロスト賢一郎「昨日ぶりだな。千里。要件は聞いたぜ。父さんを消しにしたんだってな?」
千里「ああ、そうだよ。でなきゃここに来ていない。」
ロスト賢一郎「ハッ!言うねえ。ならお前の腕を見せてみろ。お前の正義が正しい事も、父さんの方に罪がある事も、全部お前の拳で証明してみろ。お前は、“悪を打ち破る鉄槌”なんだろ?」
二つ名まで認識済みか。
まあいい。
千里「望む所。全部終わらせてやる。」
決戦の時だ。
ロスト賢一郎「てめえは操り人形だ。俺の思うがままに動きゃいいだけの存在だ。俺の娘なら、言う事を聞きやがれ!!!」
バシィッ!!
私は、奴の拳を受け止めた。
始まった。
真っ向勝負で決着を着ける!
真衣「千里!わかってると思うが、無理だけはすんなよ!」
千里「そのつもり!」
もう、仲間は無駄にしない。
真衣に目を覚まされた時に決めたんだ。
私には仲間がいる。
1人で立ち向かっている訳では無い。
真衣「おらぁ!」
ガキンッ!
ロスト賢一郎「ハハッ、ヘボい刃だな!」
真衣「うわっ…!くっ!」
杏梨「これでもくらえー!」
バシュッ!
ロスト賢一郎「ふん、遅い遅い!」
柊太「はあぁ~!」
ロスト賢一郎「おいおい、のろくねえか!?オラァ!!」
ガキンッ!
柊太「僕には盾があるから無駄だよ!」
ロスト賢一郎「ほう?ならこれでどうだ!?」
ガシッ!
柊太「え…!?わわっ…!」
ロスト賢一郎「飛んでけぇ!」
ブォンッ!!
柊太「わあぁ~!!」
ただ攻めるだけでは通用しないか。
ここはいつものように、作戦を練るしかない。
真衣「千里!囮なら承るぜ!」
千里「待って!」
真衣「…え?」
私なりに作戦を考えた。
上手くいくかはわからないが、やってみる価値はありそうだ。
千里「今回は真衣、囮ではなく攻撃に移ってくれる?」
真衣「は?どういう事だ?」
千里「恐らく今回は、真衣も攻撃に入ってもらわないと、戦闘が成立しないのかも。」
真衣「……。」
千里「作戦を教える。耳貸して。」
私は真衣の耳の近くで作戦を囁く。
真衣「…なるほどな。わかった、やってみる。」
~真衣視点~
千里にはああ言われたが…。
果たして、意味はあるのだろうか?
だが千里は、「やってみる価値はある」と言っていた。
駄目で元々だ。行くぜ!
ロスト賢一郎「ハハハッ!もう腕が疲れた頃なんじゃねえか!?」
ガキンッ!ガキンッ!
柊太(流石に限界かも…!)
ロスト賢一郎「トドメのパンチを喰らいやがれ!!」
ブォンッ!!
ザシュッ!
ロスト賢一郎「うおっ!?」
柊太「!?」
アタシは、真っ先に柊太を狙っていたロストに一斬り叩き込んだ。
真衣「千里!」
千里「オッケー!」
そして、千里が飛び出す─────。
~千里視点~
上手くいった。
ここからフルボッコにしてやる───。
千里「どらぁっ!!このぉっ!!」
バキッ!!
ドゴッ!!
ボゴォッ!!
ロスト賢一郎「ぐっ!ぐほぁっ!?」
奴の顔面に、胸倉に、腹に。
あらゆる箇所に拳を入れる。
嫌悪と復讐に塗れた、正義の拳で。
奴を滅多打ちにする。
───しかし、それだけでは収まらなかった。
ロスト賢一郎「いい加減にしろよ、てめえ……!!」
奴は立ち上がる。
そして───。
ロスト賢一郎「レディースエーンドジェントルメーーーン!!さあさあ皆様ご注目ぅ!!これから行われるのはぁ!?正義ぶった挑戦者達の!お待ちかねの殺戮サーカスショーだあぁ!!」
千里、真衣、杏梨、柊太「…………!!!!」
『ワアァーーーーーーーーーー!!!!!』
辺りは一変した。
学校の校庭が、サーカスショーの会場になった。
周りには観客達がいる。
それも、ただの観客じゃない。
殺戮を見たがる、善良を失った者達だった。
ロスト賢一郎「まずは!空中ブランコ!!挑戦者は受け止められるかぁ!?」
奴は梯子に登り、ブランコに乗った。
それはかなり高い。
ロスト賢一郎「そらよっと!」
ブォンッ!!
真衣「おいマジかよ!?」
奴は勢いよくブランコを漕いだ。
恐らく空中ブランコに乗りながら攻撃をするつもりなのだろう。
千里(あの戦い方からして…、杏梨が有効そうかな…。)
一直線に向かって漕いでいる。
杏梨のメイン戦法は魔法だ。
上手く狙って、漕いでいる時に魔法をぶつければ、チャンスが生まれるかもしれない。
千里「杏梨!」
杏梨「ふぇ!?」
千里「ちょっと来てくれる?」
~杏梨視点~
千里ちゃんに呼ばれた。
一体何なのかな…。
千里「杏梨、ブランコを漕いでいる時、魔法をぶつけられるかな?」
杏梨「えぇ、できるのかな…。」
千里「よく狙って打てば良い。それを意識してやってみて。」
よく狙え。
うまくいくかはわからない。
でも当てれば、大きなチャンスに繋がるかもしれない。
杏梨「…やってみる。」
千里「お願いね。」
リーダーに頼まれたからにはやるしかない。
一か八かだ。
ロスト賢一郎「ヒャッホーーーーーイッ!!!」
ブォンッ!!
真衣「あっぶね!?速すぎんだろ!」
柊太「弓矢を放っても全然止められないよ~…。」
よく狙って…、撃つ…。
ブォンッ…!!
漕ぎ始めか…、漕いでる途中か…。
ブォンッ…!!
杏梨「クリスタルショット!!」
バシュッ!!
ドゴォッ!!
ロスト賢一郎「ぐおお!?わああああ!!!」
よし!当たった!
ロストは魔法の衝撃でバランスを崩し…。
千里「行くぞおおおおお!!!」
そして、千里ちゃんが真っ先に攻め込む…。
バキッ!!
ドゴッ!!
ボゴォッ!!
ロスト賢一郎「ぐっ!うがぁっ!」
千里ちゃんがロストを殴る、殴る…。
殴り倒す。
でもそれでも、ロストはまだ立つ。
ロスト賢一郎「へぇ…、面白ぇ事するじゃねえか…。おぉい!出番だぁ!!」
千里「…!」
~千里視点~
奴が指を鳴らすと、何かが降りてきた。
それは─────。
「ガルルルル……!」
杏梨「ひっ…!」
なんと、ライオンだった。
それに、ロストワールドにいるものだから、全身が赤黒い。
ロスト賢一郎「待たせて悪かったなぁ…。ようやく餌を迎える事ができたぜ。お前の思うように食らい付け!」
ライオン「グルアァッ!!!」
くそ、ここで面倒な奴が現れたな…。
千里「ここは2手に分かれよう!」
柊太「え…!?」
千里「真衣と杏梨はライオンをお願い!私と柊太は奴を狙う!」
真衣「ああ!任せろ!」
面倒な奴は早く倒せば良い。
そのためには、1番力が強い真衣に任せよう。
真衣「囮ならもう慣れっこだ。かかって来いよ、歪んだ猛獣よ!」
ライオン「グルアァーーーッ!!!」
ロスト賢一郎「俺の相手はお前らか。いいぜ、共同作業対共同作業と行こうか!」
千里「その憎たらしいにやけ面、二度とさせないようにしてやる…!」
向こうは真衣と杏梨に任せ、私と柊太で奴を打ちのめす。
戦力的にもその方が効率良いだろう。
千里「だあぁっ!」
私は奴に殴り掛かる。
ロスト賢一郎「遅せぇよ!」
そして奴は私に掴み掛かる。
でもね───。
ガシッ!
ロスト賢一郎「…!」
殴り掛かると見せかけて、奴の腕を掴む。
不意打ちには弱いからね。
千里「フェイント…って知ってる?」
ガッ!
ロスト賢一郎「ぐっ…!」
隙を作り、私は腸を蹴った。
今ので相当ダメージは入っただろう。
ロスト賢一郎「この…ふざけやがって!」
奴は全力で私に襲い掛かる。
柊太「させないよ!」
ガキンッ!
ロスト賢一郎「うおっ!」
柊太がパリィを決めた。
ザシュッ!
ズバァッ!
剣を突き刺し、斬り裂く。
それでもやはり奴は倒れず、これでもかってくらい何度も立ち上がる。
ロスト賢一郎「…こうなっちゃあ仕方ねえ。」
奴はライオンの方を向き、ピュイッと指笛を鳴らす。
ライオン「ガルルルッ!!」
そしてライオンは奴の方に近付き…。
ロスト賢一郎「そらよっと!」
ライオン「グルアァッ!!」
真衣「…!おいマジかよ!?」
なんと、奴はライオンに跨った。
ロスト賢一郎「どうよ!素晴らしいパフォーマンスだと思わないか!?我ながら見事で自分が怖いくらいだ!!」
千里「…まったく、本当に面倒な事してくれるなぁ…!」
完全に騎乗状態だ。
下手に手出しすると反撃を喰らうかもしれない。
本当にしぶとい…。
千里(まず、あのライオンを何とかしないと。何か方法は…。)
奴を狙うには、ライオンを止めなければならない。
ワンチャン銃で狙えそうな高さにはいるが、ライオン自体の動きが速いため狙えそうにない。
千里(真衣に囮を頼みたい…。でも、真衣は1番力が強いからそれは避けたい…。)
となるとここは…。
千里「柊太!」
~柊太視点~
なんとあいつは、ライオンに乗ってしまった。
ライオン自体も手強いのに、乗ったとなるとより難関になってくる。
千里「柊太!」
柊太「…!」
突然、千里お姉ちゃんに呼ばれた。
僕は千里お姉ちゃんの所に駆け込む。
千里「真衣の代わりにライオンを引き付けてくれるかな。」
柊太「僕が?」
千里「今回、真衣には攻撃に移ってもらいたいからね。他に囮になれるのは柊太しかいないから。」
そういう事か。
僕には盾があるし、多少の注意は引き付けられる。
なら実行するしかないね。
柊太「やってみる。」
柊太「“挑発の心得”~!」
敵に注意を引き付け、狙われやすくなるスキルを使った。
これなら後ろはガラ空きになるだろう。
ライオン「グルル…?」
ライオンは僕の方に向いた。
ライオン「グルアァッ!!」
そして、僕に襲い掛かる。
ライオン「ガアッ!ガアァッ!!」
ライオンは僕に引っ掻き、殴りを繰り返す。
僕は盾を構え、金属の鈍い音を鳴らしながら防いだ。
真衣「隙ありぃ!!」
ザシュッ!
ライオン「ガアアァッ!?」
その隙に真衣が一振り入れた。
そして───。
杏梨「クリスタルショット!!」
バシュッ!!
ライオン「グルアァッ…!!」
ロスト賢一郎「うおっ!?」
杏梨ちゃんが追い討ちに魔法をライオンにぶつける。
その衝撃で奴はバランスを崩し、ライオンから手放した。
千里「これで……!!」
千里
「終わりだああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」
ドゴォッ!!
奴の腸に拳を入れ、地面へ叩き付けた。
私は…、奴に勝った。
今まで憎んでいた男に、ようやく勝つ事ができたのだ─────。
ロスト賢一郎「ぐっ……はぁっ……!!」
千里「…どう?殺戮ショーはできた?」
私は奴に銃を向けた。
ロスト賢一郎「お前…、いつの間にこんなに…?」
千里「…道化師が情けない。今のあんたの姿は、昔の私と同じだよ。これだけ私は、あんたに心を痛め付けられたんだ。人間は脆く儚い生き物。あんただってそれくらいわかるでしょ?認めろよ。あんたは負け組だってさ。」
私は銃を向けながら、最後に言い残す事はないかと問いかける。
その考えは甘かった─────。
ロスト賢一郎「忘れ去られちゃ困るなぁ……。」
千里「…?」
ロスト賢一郎?「本当は…、倒すべき相手がもう1人いるんじゃないの?」
「──────“操り人形”ちゃん。」
千里「……!!」
真衣「おい、今のって…!」
急に口調が変わったと思った。
言葉の感じからしたら、ロストの男の声じゃない。
そう、こいつは─────。
『ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!#&*$$¥#&*¥$$$@#¥¥**¥##$$$&¥¥***』
杏梨「きゃあぁっ!!」
柊太「何…これ…!?」
真衣「千里…!これは一体…!?」
千里「……!!」
突然、ロストワールド全体に響き渡るような、耳障りな爆音が鳴り響いた。
そして─────。
ニ ガ サ ナ イ
千里「…嘘……でしょ……?」
───私は、そのまま倒れた。
────次々と倒れていく音が微かに聞こえる。
─────皆も、そうなったのだろう。
──────やがて意識が手放される時に見えたのは───。
ミ ジ メ ナ ニ ン ギ ョ ウ チ ャ ン
───────真っ黒な“何か”だった─────。
メインストーリーが終わったら番外編を書いてほしい?
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書いてほしい
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書かなくていい
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書いてもいいけど先に続編書いてほしい
-
作者に任せる