~???~
千里「……ん……。」
─────薄暗い空間の中で、私は目を覚ました。
────ようやく意識が戻ってきたような気がする。
真衣「千里……?大丈夫か……?」
同様に気絶していた真衣や杏梨、柊太も気が付いたようだ。
千里「私は大丈夫……。ここは…?」
私は体を起こし、辺りを見回す。
千里「え…?何ここ…!?」
私達がいたのは、赤黒くて薄暗く、建物や車、標識などが至る所に浮遊し、如何にも亜空間のような世界だった。
杏梨「うわ…、なんか気味悪い…。」
何もかもが歪んで見えるため、長居すると気分が悪くなりそうだ。
千里「確か私達、あいつのロストを倒して、それから…。」
真衣「ああ、その後突然叫び声が響いたんだ。しかしただのものではなかった。」
そうだ。思い出した。
それでいつの間にか気絶して、ここに迷い込んだんだ。
先程のロストワールドとは違う、一風変わった空間。
柊太「お姉ちゃん、あそこ。」
千里「…?」
柊太は上に指差し、私に教えた。
千里「あそこだけ真っ黒…?」
それは一部分だけ真っ黒…ブラックホールのような穴だった。
真衣「周りは赤黒いのに怪しいな。行ってみるか?」
千里「そうだね。この高さの感じ、かなり上だけど…。」
とても簡単には登れそうにないくらいの高さだ。
何も無いとはいえ、慎重に行かないと。
千里「本当に何なんだろ、ここ…。頭がおかしくなりそう…。」
どこを通っても歪み、歪み、歪み…。
精神的にもきつい。
杏梨「…!お姉ちゃん、あれ!」
真衣「ん?…!」
杏梨が指差したのは…。
真衣「あれって、江田組の事務所か!?」
そう、真衣と杏梨のお父さんが所属していたヤクザ事務所だった。
しかしこの空間では、歪みでボロボロに崩れ落ちていた。
それを見ていたその瞬間───。
真衣「うぐっ!?」
突然、真衣が跪いた。
千里「真衣…!?」
『ありがとな……。杏梨とも……、俺の娘でいてくれて……。』
『親父……!嘘だ……!!』
『嫌だあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!!!』
突然、悲痛な声が聞こえた。
もしやこれは…。
千里「真衣の…トラウマ…?」
そう、目には見えていないが、恐らく真衣が経験したであろう過去が流れていた。
あの時真衣と戦った、江田の声が聞こえた。
声だけでもわかった。
真衣「はぁ…、はぁ…。」
杏梨「お姉ちゃん!大丈夫!?」
真衣「あ、ああ…。」
どうやら落ち着いたみたいだ。
真衣はゆっくりと立ち上がる。
真衣「突然頭に電撃のようなものが走って、気付いたら蹲ってた…。」
千里(電撃…。まさかあいつが…?)
確かではないが、真衣の過去を流したのは…。
影の私なのではと推測している。
千里「…進んでいけば何かわかるかもしれない。」
私は真衣を手助けしながら、杏梨や柊太と歩き始めた。
しばらく歩いていくと、また何かが見えた。
杏梨「きゃあぁっ!!」
真衣「…!杏梨…!?」
今度は、杏梨が跪いた。
『あ、ゴメーン、スパイクの練習しようとしたらぶつかっちゃった~♪』
『ホントゴメンね~、片付けの邪魔しちゃってさ。』
『…何だよその目。そんなゴミみてえな腐った目で見るんじゃねえよ!!!』
『いっその事、あんたみたいなゴミ、死ねば良かったのにな。そしたら今頃私は、選手に選ばれてんだよ。それをあんたは邪魔したんだよ?責任取れんの?』
杏梨「うぅ…!」
真衣「大丈夫か、杏梨!」
杏梨「うん…。私も、お姉ちゃんみたいに頭に…。」
先程の真衣と同じような感じだった。
辺りをよく見ると、崩れ落ちた学校のようなものがある。
この空間に残された、聖麗学園高等学校だろう。
今の声は恐らく、泉田だ。
杏梨がまだ虐めに遭っていた頃、その時であろう出来事が流れてきた。
千里「何なんだよ、これ…!」
ああもう、訳がわからないよ。
さっさとこんな苦痛を終わらせないと。
また進んだ所に、もう1つ崩れたものがあった。
千里「あれは…。」
柊太「うわっ…!!」
千里「柊太!」
その次には、柊太が跪いた。
『はあ?あんたが言う事を聞かないからこうなるのよ!傷を付けられたくなかったら従いなさいよ!!』
『はぁ…、はぁ…。まだ殴り足りないわ。お母さんの怒りが収まるまで付き合ってもらうから。』
『…何?見せもんじゃないのよ。関係ない奴は消えなさいよ。消えろって言ってんだろ!!』
今の声は恐らく、柊太の母親だろう。
となるとあの瓦礫は、柊太が住んでいたアパートのものか。
柊太「んっ…、はぁ…!」
千里「柊太、大丈夫?」
私は頭を抱えていた柊太に駆け寄った。
柊太「うん…、もしかして僕にも…。」
千里「…そうみたい。あの時の光景、声だけでもわかった。」
柊太が誰もいない裏路地で、母親から虐待を受けていた光景。
……あまり思い出したくないけど。
真衣「アタシ、杏梨、柊太……この3人が頭に電撃が走ったのか…。」
この3人に、無理矢理にでもトラウマを蘇らせようとしているのか。
そう考えたら、さっさと消した方が良さそう。
千里「…あ、もうすぐ着くね。」
気付けば穴の近くまで来ていた。
ここからが正念場だ。
ここで全てを終わらせよう。
穴の中に入り、少し進んで行くと、誰かがいるのがわかった。
???「……ようやくここまで来たんだね。」
千里「…あんたは…。」
そこにいたのは、もう1人の私─────。
─────シャドウ・チサトだった。
千里「あんたは何なの?何が狙いな訳?」
シャドウ・チサト「元々あんたはボロボロに朽ち果てて死ぬはずだったんだけどねぇ。でもそうは行かなかった。せっかくロストワールドを作って、私が真の彩神千里になりきれると思っていたのに。だから私は、この亜空間も作り出した。そして、そいつらのトラウマを蘇らせるべく、絶望に突き落とそうと試みた。それでうまく行ったと思ってたんだけどなぁ。」
さっき流れた真衣達の過去か。
彼女らも同じように、思い出したくもない壮絶な過去を経験している。
父親の死、女王様からの虐め、母親からの虐待…。
その過去が、この空間に全て詰め込まれているのだろう。
真衣「絶望に突き落とすとかイカれてやがる…。それで何か得するモンはあんのか?」
シャドウ・チサト「当たり前じゃん?なんたってそうしたら、彩神千里の座を奪う上、世界を私の物にできるのだから。」
なるほどね。
ろくでもない理由なのはわかった。
千里「彩神千里の座を奪うとか…。そんな事できると思ってんの?悪いけど、そう簡単にはさせない。ロストワールドを切り抜けて来たからこそこう言える。」
千里「所詮、あんたは私の“偽者”なんだよ。」
私はそう吐き捨てた。
彼女は何も動じないが、それでも私は戦う覚悟はできている。
シャドウ・チサト「……面白い。」
パチンッ…
彼女は指を鳴らし、何かを召喚した───。
杏梨「あれは…!?」
シャドウ・チサト「そろそろ来るだろうと思って用意したんだ。影の“私達”を。」
彼女が召喚したのは、紛れもない真っ黒な人物───。
───影の真衣、杏梨、柊太だった。
真衣「もしかしてアタシ達か…!?」
千里「全員、配置に着いて!」
この感じからして、そろそろ来るだろう。
最終決戦が。
シャドウ・チサト「私の邪魔をした偽者は、死んで後悔しな!!」
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