日曜の午後に動画見てたら幼女になって配信する件について   作:二三一〇

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 美味しいご飯食べてたのに、夢だと分かったときの絶望感。私は絶望しか感じないのに俺氏ときたら……うらやましい。


12 おそとへゴーッ!

 管理者の世界で食べる食事というのは、実は一番いいのではないかと思う。

 

 美味しいのだ。普通に食べてるとしか思えないのに、実は食べてない。一見すると損のように感じるかもしれないが、美味しい感覚は味わえるのに腹にはたまらない。

 

 それはつまり、太らないという事だ。

 

 まあ、俺は今のところ関係のない話である。元は男なのでそこまで神経質にならないし、リーセロット自体もまだまだ成長する子供だ。

 偏った食べ方さえしなければ多少は目を瞑って貰えるだろう。ではなんでこんな事を考えているのかというと。

 

「ほ、ほ、ほ、ほ……」

「お母さま、あと一周ですわ。ガンバってー!」

「あんあえー」

 

 木陰で休む俺の横でヘンリエッテが見様見真似の言葉で応援する。その母親(リーサンネ)は、現在屋敷の周りを走っていた。三周とはいえここの本邸はバカでかい。おまけに増改築した区画もある。正確に測ってはいないけどかなり苦しそうだ。

 

 このところ体重が増えていたのを気にしていたので、走ってみては? と提案したらすぐに食い付いた。一人で走るのはアレだろうからと伴走しようしたら、婚約者のイザークが挙手して来た。

 

「持久走やったことないだろ? 俺は鍛錬でやってるし」

 

 言われてみればトレーナーのようなペース配分とかは分からない。なら、任せてしまおうとイザークに投げた。そしたら、嬉々として運動着に着替えてきた。

 

 こいつ、さては鍛錬したいだけか。

 

 伯爵と父親(アデルベルト)は朝方から出掛けてて、今日は夜まで戻らないそうだ。今日も剣の師範は来ないので、イザークは基礎鍛錬を続ける様子だ。

 

 なんだかつまらなそうな顔してる?

 お外行きたいのにアデルベルトいないから交渉できん。不満が募るという感じか

 

 そうですよー。

 せっかくイザークという支援ユニットがいるのにさ。こいつ何日かしたら帰っちゃうんだぜ? 少ないチャンスはモノにしたかったんだよなぁ……

 

 そんなに行きたいなら行けばいいじゃん?

 せやな

 おまっ……ああけど問題ないか

 スピリットイーターさんワンパンのお嬢が街のゴロツキとか相手にならんw

 

 え……でも、悪くない? ( ゚д゚)

 

 そんなトコ気になるのかw

 人から見たら子供だけど、実際大人より強いし

 ワイはちゃんと了承得てから出た方がええと思うけどなぁ

 でも、下手すると初等学校通うまで出させてくれない可能性もあるよ?

 親バカ拗らせてるから有り得るかもしれんw

 この辺で一回反発しといて、折り合いつく形を模索してみるのも手かもしれない。

 

 勝手に出歩くくらいなら、月に何回か遊ばせろみたいな感じか。アイデアとしては悪くないね。

 

 なら、やってみるか ( ゚д゚ )クワッ!!

 

 

 とりま恰好だけは何とかした方がいい

 ドレス姿とか確実に目立つw

 運動着みたいに少しよれてる服がベスト

 

 よし。アンゼリカに頼んで着替えよう。あとは何か用意するのある?

 

 保管(ストレージ)開ける呪文って教わったっけ?

 俺氏、分かる?

 

 確か『セーフボックス』だったかな? 杖もあるし開けるのは問題ないと思うよ? 中の物とか確認してないけど。

 

 そういやウチラのスパチャいくらなん?

 あー、こっちからは確認できないんだよな……ここの管理者に聞いてみるか

 

 あ、そーいうの調べられるんだ。手で数えるのかと思ってた(笑)

 

 投げた分全部じゃないしね

 あの世界の運営リソースに大体五割くらい持っていって、魔王と人間の管理者リソースに一割ずつ、通貨両替に一割で手元には二割くらいかな(笑)

 

 ……地球の方が良心的だったとは思いたくなかった (´Д⊂グスン

 

 お、管理者から来たでw

 えーと、16363ゴルダだって。

 

 ……そういや貨幣単位って知らなかったな。

 誰か知ってる? コテン

 

 あざとい仕草あざーすっ

 ゴルダは金貨の単位。日本円での換算だとグラム四千円として……十六億ちょいくらいかな?

 

 は……(つд⊂)ゴシゴシ……( ゚д゚ )……オイ

 ちょっとまて。多過ぎないか?

 

 無論日本での価値なので等しくはないけど。

 でも、男爵領とかだと一万ゴルダいかないか

 ハハワロス

 

 いや、笑い事じゃねえ(マジ顔)

 子供に渡す金額じゃねえし、この世界の金相場とかに影響出ないか?

 

 まあ、一度に出すと変わるかも。

 でもそれ、全部出すと500kgくらいになるよ?

 

 重っ!

 つかそんな量入るもんなの?

 

 実は金貨としては入ってないんだ。

 取り出す時に自動的に物質変換してその分の貨幣を作る。ウチらのスパチャはそういう仕様やねん

 もっとも適合率の高い君だと普通の人より多く入るのは間違いないよ

 

 はえー……

 リアル錬金術って、たまげたなぁ……

 

 今のアークステインのゴルダ金貨の含有量は最新のものは85%。それに合わせてるから鑑定してもホンモノなんだよ

 

 ……ま、いいや。

 俺が手を付けない限り流通しないなら問題もない。金貨数枚位なら出しても問題はないだろうし。

 

 そうと決まればイザークに声をかけよう。

 

 おーい、今ひま?

 ちょっち、オレと付き合わなーい?

 

「えっ? ひ、暇じゃないぞ。これから素振りを」

「何回素振りすれば気が済みまして? それよりあなたのお力添えがほしいのですの」

「な、なんだよかしこまって……分かったよ」

 

 ぶつくさ言いながらも素振りはやめてくれるらしい。スマンね、少年。

 ちなみについてこようとしたアンゼリカにはお願いをして二人きりにしてもらった。

 

「イザークぼっちゃまと二人きりになんて……」

「ヒミツの特訓ですの。お父様やお母様をびっくりさせるためです。それに、イザーク様が紳士なのはご存知でしょう?」

 

 あと、本気を出せばオレなら瞬殺出来るし。

 その辺りをよく知っているアンゼリカは、渋々納得してくれた。

 

「ありがとう、アンゼリカさん♪」

「もう……仕方ないですね」

 

 ちなみに特訓という事で服は多少薄汚れている物にしてもらった。ちゃんと長袖長ズボン、大きなキャスケットのような帽子まで被っている。ベルトではなくてサスペンダーなのが、実にショタっぽくてナイス(笑)

 

「お待たせですわ」

「おう……今日は本格的だな」

「いつものひらひらした恰好では少々困りますのでね♪」

「……その髪、邪魔じゃないか?」

「用意はしてありますのよ。細工は流々仕上を御覧じろ、でございますわ」

 

 パチリ、とウインクしてからゴム紐をいくつか、ヘアピンも数本取り出す。この辺りの品はメイド達が管理してるけどちょろまかすのはわけない話だ。

 

 まとめて上げて、ピンで留めて。帽子を被ればすっかり消える。帽子が大きいので後ろ髪も隠れるから、髪を上げた女の子には見えないだろう。

 

「いかがかしら? 男の子に見えまして?」

「うーん……遠目から見れば」

 

 会心の出来だと思ったけど、イザーク少年の評価は意外と厳しい。なんで?

 

「顔が可愛すぎる」

「え……」

 

 ん? 不意打ちみたいに褒めるなよ、驚くだろ?

 

 驚くと言いつつ喜ぶリセたん イイデスネェ!

 イザークてめえ……ライン越えたな?(ギロリ)

 サラリと言うところがイケメンっぽい

 

 ……面と向かって言うとは思わなかった。コイツやっぱ勝ち組イケメン野郎だな。ナチュラルに人を誑していくタイプだぜ。

 ま、俺はほら。野郎だからそんなの効かないけどな!

 

「ほ、ほら。行きますわよっ」

「おう」

 

 

 

 イザークを連れて東の邸宅を目指す俺。そこは今は空き家であり、管理するために使用人が清掃している以外はほとんど人が寄り付かない。

 

 なんでここに来たかと言うと、壁との境にも近いからだ。

 

 ? 俺氏、バイタルジャンプで抜ける気?

 アレは魔法障壁を突破できないぞ?

 

 ふっふっふ……そこも実は考えてある。立木や地面が焦げている辺りを見れば分かるだろ?

 

「この辺は……出火でもしたのか?」

「火ではありませんが……ちょっと手違いでして」

 

 ほほほ……と笑うと壁の前に立つ。

 そこには直径一メートル前後の黒い円が形造られていた。絵ではなく、これは焼け焦げた後なのである。

 

 俺氏。ここってアレか?

 ○丸(レイガン)もとい、ビームライフルの弾着点か

 まだ直してなかったんだね

 そうか。ここの障壁も直ってないんだ

 スピリットイーター関連でゴタゴタしたから忘れてたのかな?

 

「これは……魔法の跡か? なんて強力な」

「子細はわたくしも存じません」

 

 しれっと嘘をつく。俺がやったと言ったらまた呆れられるだろうし。

 イザークの手を掴んでおく。離れるとバイタルジャンプで飛べないので仕方ないね。

 

「お、おい」

「行きますわよ?」

 

 くすりと笑って前を向く。虹の輝きがリング状に現れ、それが前から俺とイザークを包み込み……

 

 

「目を開けて下さいませ、イザーク様」

「え……ここは」

「屋敷の外ですわ。ようやく、成功ですわっ♪」

 

 ヒャッホウッ

 

 飛び跳ねて快哉をあげる俺をよそに、イザークはポカーンと口を開けていた。

 

「すごい……石壁も抜けちゃうんだ」

「身体強化でジャンプしてもいいのですけど、上の辺りの障壁は残ってますし。それに……」

 

 すぐさま路地に向かって走る俺に、イザークも慌ててついてくる。そのあと、しばらくすると槍を持った従士が二人来る。巡回で回っているらしい彼らは、壁の側にいた子どもたちに気づかずに立ち去った。

 

「人の目もあると思いましてね。正解でしたわ」

「き、君は……まさかこのために?」

 

 やや呆れ顔のイザーク少年。俺は悪戯の成功した悪ガキのように口角をあげて笑う。

 

「社会科見学の特訓ですわよ? イザークさま」

 

 どう見ても小悪魔の微笑み(笑)

 あー……こんな子なら悪戯されてぇ……

 もまえらイタズラする側やろ草

 

 とりま、周りの風景を覚えておく。『飲んだくれウォリーの酒場』と『ガイバーズ’バー』の間だな。ちょうどあの辺りのはず。

 従士がいなくなってから再度試してみると、ちゃんと中に戻れた。あの穴から少しズレても入れるので魔法障壁は少し広く壊れているらしい。

 戻ってくると、イザークが慌てて聞いてくる。

 

「ちゃ、ちゃんと戻れたのか?」

「ええ、問題ありませんわ。なんならお戻りになります?」

 

 そう聞くと、少し考えてからこっちを見てきた。

 

「つまり、君は戻らないつもりかい?」

「まだ何も見学してませんもの」

 

 コテン

 首を傾げると彼は額に手を当て、ため息をつく。

 

「日暮れまでには帰らないと。たぶんメイドにも迷惑かかるから」

「! それはいけませんわね。では、さっさといきましょうか」

 

 アンゼリカに迷惑はかけたくないしね。

 時間を守って戻ることにしよう。

 

 




 変装して脱出とか、秘密の通路からの脱出とか考えましたが、性格的にこうするだろうと思ったのでやめました(笑)

 あと、この後の話を書くにあたりアンケートを取ってみます。ちなみにモノによっては時間かかる可能性も微レ存(笑)

次回、街なかでのお話になりますがどんなのがキボンヌ?

  • 街中の基本、買食いアンド食べ歩き♪
  • ペロッ これは毒? いきなり殺人事件w
  • 突然踊りだすヤンキー?スラムのガキ共抗争
  • 街のイベントといえばカジノだろぁっ?
  • 親父に見つかって連れ戻される、ド定番
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