日曜の午後に動画見てたら幼女になって配信する件について 作:二三一〇
忙しくて体力も底をついて頭が回りませんでした。
「ノコノコ付いてくるとか、おめでてぇガキ共だぜ」
俺たちをここまで連れてきたアフロ髪がそんなふうに嘯く。彼の周りにはボロを着た子供たちが取り囲むようにいる。その数はたぶん三十人くらいだ。大人の姿が見えないところを見ると子供ばかりのギャング団といったところか。
「レ、レオ……」
さすがのイザークでも、この人数となると怖じ気づくらしい。まあ、そりゃそうだな。
とある映画では見た貧困街の子どもたちは、人殺しを屁とも思わないギャング相手に平気で殺し合う事だってしたのだ。彼らがそうしないとは言い切れない。
もっとも、ここの子供達はそこまで追い詰められてはいない感じがする。むしろアフロや取り巻きの何人かに強制されてここに来ている感じにも見える。
「有り金全部置いてけば、命は取らないさ」
アフロがそう言って、手の平を上に向けて出してくる。イタズラ心が刺激されて、この上に俺の出せる金貨全部ぶちまけてやろうかな、なんて考えてしまった。
手、潰れるからね
手だけじゃ済まないと思うな……
ま、まさか本気じゃないよね? ビクビク
いや、やらんけど。
けど、実のところ。
俺はテンションが下がり始めているのを自覚している。
俺としては、悪ガキの鼻っ柱を折るつもりだったのだ。
このアフロと取り巻きの三人、合わせて四人はそうしてもいいかもしれない。それなりにガタイも良いし、悪い事と知っていても金目のものを奪いにいく前のめりな姿勢はいっそ清々しく思える。コイツラは叩けばその分伸びるかもしれない。
でも、その他の子どもたちはというと……そんな覇気もない様子だ。アフロと取り巻きが金をせしめても、彼らにはほぼおこぼれはいかないという事が日常的に行われているのであろう。
そんな子供たちを暴力をもって相対するのは、人としてどうかと思えてしまうのだ。
リーセロットたん、クソ真面目(笑)
そこがいいトコだろw
アフロと取り巻きが悪いなら排除する?
まあ、それか。ガチでやると瞬殺出来るけど、それもなんか大人気ない気がするな。
弱いものイジメイクナイ(゜゜)
傍から見たら勝ち目なさそうだけど……なw
スピリットイーターニキ軽くのしたリセたんに勝てるわけない(笑)
いっそ魔法無しで戦う?
流石にそれは無茶。
体格も違うし、女のコやぞ?
(`・ω´・)+ ドヤァ
オフッ…… →300
ありがてぇ、ありがてぇ…… →500
そしてこのドヤ顔である →1500
そうだ。これならいけるか?
考え込む俺に業を煮やしたアフロが胸倉を掴んで恫喝してくる。
Σ(゚∀゚ノ)ノキャーコワーイ
全然怖がってなくてw
むしろ楽しげだね
「こわくてビビっちまったかぁ?」
「おいっ、その手を離せっ!」
「うっせぇっ!」
アフロの怒号に、取り巻きが手に持った棒切れでアイザックを殴りつける。身を引いて避ける彼は焦りを滲ませ叫ぶ。
「リー……レオを怒らせるなッ! 死ぬぞ?」
ええ……心配するのソコですか?(呆)
うっすら呆れ顔の俺をほっといて、アフロがせせら笑う。
「なんだぁ? こんな貧弱なガキに何が出来るってんだ?」
「あ、バカ……」
「……あ?」
……きたぜぇ。
久々に聴いたよ、この単語。
だがね。オレだってせいちょーしてるんだ(笑)
この程度で相手をボコして血に沈め……いや、地に沈めるなんてことはせんのだよ。
何日か前に聴いたはずだよなぁ……
政調……いや、清澄か?(すっとぼけ)
言い直しても変わらないんだよなぁ……
コメント、うっさい。
魔力を一気に拡散させ、子供たちを包み込む。
「ぐわっ!?」
「な、なんだっ?」
「か、体がうごかねぇ……」
周囲に展開した魔力をコイツらの身体に纏わせる。
手や足までもしっかり包んで、その身体を掌握。
俺の意思でしか動けないようにしたのだ。
「……な、なんで俺まで?」
「あ、勢いでまとめてやっちゃった。
メンゴメンゴ(*・ω・*)」
俺氏、謝る気がないw
いや、子供って三十五人いるぞ?
魔力ゴリ押しの原初魔法かー……
この空き地にいる子供たちをまとめて縛る。ここまではなんて事ないが、こっから先は俺も成功するかは分からない。
けど……まあやってみよう。
「ほっほっ……」
「うわ、なんだ?」
「か、体が、勝手に?」
「おい、レオッ 何だコレ?」
なんだって……ラジオ体操だが?
大きく腕を上げて背伸びの運動からー♪
すげえ(笑)
一糸乱れぬラジオ体操……マスゲームかw
テラワロス
つかどうやってんのマジで?
∀のアレを魔力でやってるみたいなモンだよ。身体の上を魔力で覆って、外側からむりやり動かすってワケ。
はー……え? IFBD?
何ぞソレ(笑)
いや、それをやってるって……魔力もそうだけど、よく制御出来てるねぇっ!
自分の動きにシンクロさせるだけなら何とか。もう少し上手くなったら百人くらいまでなら動かさそうだな(笑)
さらっと怖いわ、この子……
この準備体操で脱落するのはいないと思ってたけど、何人かの子供(俺よりちっちゃい子)が息を上げてるので開放する。途端に頽れ、息をついてるので大事には至ってないと思う。
そうだよなー、暑いもんな。
子供にゃあ過酷かも知んないな。
でも、やる!
「はっ!」
腰を低くして右手を前に勢いよく出す。
同時に同調している彼らも同じ姿勢を決める。離脱した何人かの子供は乱れた息を整えながら、何が起こったのかと皆を仰ぎ見る。
「とぅーるる、とぅるるる、とぅーるるるー♪」
音楽を口で奏でるのはかなり恥ずかしいのだが、ここには音源もないし演奏する人間もいない。リーセロットの音感はかなり良いようで、思ったようなイメージの曲を歌う事ができている。
お……コレはひょっとして?
なに、なに? ダンス?
いや、これ地球の動画で見たことあるぞw
ああ、間違いないっ! これはっ
「はぁーっ、どっこいしょぉ、どっこいしょッ!」
ソーラン節、キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
なんや、それぇ(笑)
本来は民謡なんだけど、それをアレンジした楽曲に合わせた南○ソーラン節っ!
地球の管理者、解説乙!
俺氏、よく踊れるなっ!
母方の実家にいた頃に練習させられたからなっ
それはともかく、よく考えたら中段の奴らはミラーリングしなきゃいけないんだっけ。
まあ、今回はそのままいこうっ(楽)
「な、なんだっ? この変な動きはっ」
「身体が勝手にぃ!」
「止めてくれぇ!」
「りー、れおっ、なんで俺までぇっ!」
アイザック、まだちゃんと言い直してる(笑)
彼を巻き込んだのはただ単にどれだけ体力があるか知りたかったからである。間違ってなんていないのだよ。
ほら、か弱い女の子より体力ないとか。
貧弱じゃない?(クスッ)
ちゃっかり仕返ししてる……コワ
もう許してたんじゃないのかよ……
それはそれ、これはこれ。
ライバルとして認定するには、それなりに張り合えるようじゃないとなっ!
イザーク、君は泣いてもいいw
許嫁とか恋人じゃなくてライバルかよ(笑)
ま、まあ俺氏らしいよ、うん
中盤に入ってかなりの奴が脱落している。
アイザックは当然のように残っているが、アフロもなかなかに体力はあるようだ。
ていうか、俺の方が疲れてきたな。
やっぱり歌いながらはちとキツイか。
魔力の消費に関しては問題なさそう。離脱した奴らを動かさなくて済むから、その分余裕が出来たわけだ。
「ソーランッ、ソーランッ!」
「だからなんだよ、その掛け声!」
アイザックのツッコミは無視して歌を大きく叫び踊り続ける。
いや、俺も意味は知らんし(笑)
腕を振り、低く屈伸し、くるっと回転。足を上げつつ回転……何度か練習をすれば出来るとは思うけど、この炎天下に強制的に動かされるのは相当キツい筈だ。
そうして。
気が付けば、アイザックとアフロしか残ってなかった……なんかゴメン(・_・;)
いまさらあやまってもなぁ(笑)
死屍累々かあ……誰一人殴ってもいないのに
→4989
うまい。俺も投げる →4989
? あ、
「はいっ!」
最後のキメポーズの前で、魔力を止める。
前の二人が糸が切れたように体がブレるが、何とか崩れないように踏ん張った。
「や~、おつかれお疲れ♪ バチッと根性、見せてもらいましたよッ!」
「ぜ……ひぃ……ぜぇ……ひぃ……」
アフロ君にそう爽やかに笑いかけると、息も絶え絶えなご様子。
「おま……かげん、しろ……し、しぬ……」
アイザックの方は若干マシか。でも年齢差を考えるとコイツはこいつで凄いよな。だって俺と同い年なんだぜ? そんなんで年上のアフロより体力あるとか、やっぱ鍛えてんだなぁ。
88888888
ちょっと本家の方を見てくるわw
正直、違うと思った
リセたんらしくはないが、俺氏だもんw
こっちでも漁師とか村とかでは踊るらしいからね。
次はイザークと社交ダンスヨロ
コメントの方は賛否両論のような感じ。
まあ、久々に踊ったから俺的には問題ナシ!
「さて。後始末しておくか」
倒れたガキ共を放置して帰るわけにもいくまい。
杖を出して石畳の上に、大きめの浴槽のような箱を
「ほらほら、動ける奴は動けない子供に水を運んでやれ。自分で動ける奴は、勝手に飲みな」
水があると分かると、みんなわしゃわしゃ動き出して水を飲み始めた。いちおう、脱水症状を起こしてる奴はいなさそうで一安心だ。
「おい、アフロ」
「あ?」
水を飲むのに必死なアフロに革袋を投げつけ、奴の手元に狙い違わず収まる。
「こいつら、お前の子分なんだろ? それでなんか食わせてやれ。大変だろうが親分ならちゃんと面倒みてやれや」
「お、おう……」
いきなりだったせいか、かなり驚いた様子だ。
いや、金をやらないなんて一言も言ってないからな? ちゃんと最後まで残ってたわけだし。
「てか、本当にガッツあったじゃん! 見直したぜっ」
胸元を小突くと、少し嬉しそうな顔をする。
その顔は、年相応な少年らしい笑顔だった。
そんなアフロが、ぽつりと呟く。
「お前……女だったのか?」
「え?」
何言ってんだよ、俺は七歳の男の子。
やんちゃ坊主なレオ君だぜ?
いきなり正体見破ってくるとか、てめえさては名探偵か?
いやいや、俺氏気付いてないの?
髪、解けてるよ?
帽子も取れてるしw
パシャ →1000
コメントを見て、髪を触ってみる。
うん、さらさら♪
……
「ずらかりますわよっ、アイザック!」
言う必要は無かったと思うが、そう叫んでいた。
だいぶ混乱してるな、オレ(笑)
まだ横になったままでどうやら寝コケているようなので、首元をむんずと掴んでジャーンプ!
マップが入ったから位置は分かる。例の魔力障壁の壊れてるエリアの近くに現れて、そこからもう一度、壁の中へと戻る。
こうしないと最短距離を飛ぶので障壁に引っかかるのだ。
敷地内に入って、ようやく一息。
かなり時間が過ぎたような気がしたけど、まだ夕方までは二時間くらいかかりそうだ。
「おい、イザーク。そろそろ起きろー」
「ぐう……」
「しゃあねえなぁ……」
むりやり動かしたせいか、体力の消耗が激しいようだ。肩に担いでと。
虹のリングが背中側に展開され、身体がふわりと浮かぶ。わりと俺も体力がカラッ欠なので、イザーク背負って屋敷までは歩きたくないんだよ。
「まあまあ、汗だくじゃないですか。アンゼリカ、イザーク様をお運びして」
「はい、イルセ様」
屋敷の前でイルセとアンゼリカに会えた。
どうも探していたらしいが、表に逃げていたとは気付かなかったようだ。
「今日は何をなさってたのですか? リーセロット様?」
「うふ♪ 今日はダンスの練習をしてましたの。とっても有意義でしたわー」
「そ、そうでしたか。お外でダンスの練習ですか」
イルセが妙な顔をしている。子供なんだからお遊戯のダンスとかやると思うけど?
貴族にとってダンスと言えば社交ダンスだからね
農村とかではフォークダンスみたいなのあるだろうけど、イルセには馴染みないのかな?
イルセたん子爵家の娘だからね。わりと平民の暮らしは分からないよ
「今度はイルセもやってみる?」
「! はい、ぜひとも」
あー……
被害者一名追加ーw
後日。
イルセと巻き添えのアンゼリカは、足腰立たなくなった。
イザークがあの年のわりにスゴいと再確認できたのは良かったのだが……ほんと、ゴメンなさい。
m(_ _;)m ペコリ